【発明の詳細な説明】
生ポテトスライスを低カロリー脂肪組成物で揚げ、その脂肪組成物の一部を
チップから除去することにより得られる低カロリーポテトチップ
技術分野
本発明は、低カロリー脂肪組成物を含有するが、それでもなお咀嚼時に望まし
くないグリーシー(greasiness)感を与えず、口内で許容される滑らかさ(lubr
iciousness)を有する、慣用的なポテトチップの製造方法に関する。本発明は本
発明の方法に従い製造されたポテトチップに更に関する。
発明の背景
ポテトチップのような塩味スナックは特に人気のある消費スナック製品である
。慣用的なポテトチップは、典型的には、全ポテトをポテトスライスに切断し、
その後約300〜400°F(148.9〜204.4℃)の温度に加熱された
フライ用油脂媒体にポテトスライスを浸漬することにより製造される。
ポテトスライスは様々な長さの時間にわたり、典型的には約45秒間〜約3分
30秒間程度、この熱いフライ用媒体に浸漬される。浸漬中に、スライスは実質
量の、通常最終ポテトチップの約35〜約50重量%程度のフライ用油脂を吸収
する。典型的には、フライ用媒体には大豆油、綿実油又はピーナツ油がある。し
たがって、このフライ用油脂はほぼ独占的にトリグリセリドからなるため、これ
はこのような媒体で揚げられたポテトスライスにかなりのカロリー分(約9カロ
リー/吸収油g)を与える。
あるポリオール脂肪酸ポリエステルは、これらのトリグリセリド油脂に代わる
低カロリー代替物として示唆されている。例えば、1971年8月17日付で発
行されたMattsonらの米国特許第3,600,186号明細書では、各脂肪酸が
炭素原子8〜22を有する少くとも4つの脂肪酸エステル基を有した非吸収性非
消化性糖脂肪酸エステル又は糖アルコール脂肪酸エステルにより脂肪含有食品の
脂肪分の少くとも一部が形成されている低カロリー食品組成物について開示して
いる。
しばしば、受動的油喪失抑制剤として働く固体粒状物質は望ましい特に小さな
粒子に結晶化する固体ポリオールポリエステルである。このタイプの固体油喪失
抑制粒子の例は、1989年4月12日付で公開されたLettonの欧州特許出願第
311,154号明細書で記載された多様エステル化ポリオールポリエステルで
ある。ポテトチップのような低カロリー塩味スナック製品を製造する上でこのタ
イプの多様エステル化ポリオールポリエステル油喪失抑制剤の使用は、1992
年2月4日付で発行されたYoungの米国特許第5,085,884号明細書で記
載されている。
このような従来の非消化性脂肪組成物により示される改善された油喪失抑制及
び口内感効果にもかかわらず、実質レベルのこれら物質を含有したフライ用脂肪
で揚げられて、トリグリセリド油で揚げられたポテトチップと同様の脂肪レベル
(例えば、35〜50%)を含むポテトチップは咀嚼時に望ましくないグリーシ
ー感も与えることがある(感応的性質に関して、“グリーシー性”とは口内でワ
セリン様コーティングとして記載される)。
したがって、カロリー効果を実現するために低カロリー脂肪組成物を含有して
いて、それでもなおトリグリセリド油脂で揚げられたポテトチップの望ましい(
例えば、グリーシーでなく、しかもワキシーでない)味を維持した、ポテトチッ
プを提供する何らかの手段を有することが望まれる。
発明の要旨
本発明は、低カロリー脂肪組成物を含有するが、それでもなお咀嚼時に望まし
くないグリーシー又はワキシー感を与えず、望ましい滑らかさを有する、慣用的
ポテトチップの製造方法に関する。
このような方法は、1)約25〜約150キロパスカル/秒(kPa/s)範囲内
のワキシー/グリーシーチキソトロピー面積値を有する低カロリー脂肪組成物を
ポテトスライス中に配合させるために適した条件下で生ポテトスライスを約2〜
約20%の含水率まで揚げる、及び2)最終ポテトチップが約23〜約32%範
囲内の脂肪含有率を有するように低カロリー脂肪組成物の量を除去するステップ
からなる。
本発明の方法で利用される低カロリー脂肪組成物は、約70〜100%の非消
化性脂肪成分と0〜約30%の慣用的トリグリセリド油脂成分を含有している。
低カロリー脂肪組成物の非消化性脂肪成分は液体非消化性油と非消化性固体ポリ
オールポリエステルの粒子とのブレンドからなる。固体粒子は1ミクロン以下の
厚さを有して、液体非消化性油の摂取に際して受動的油喪失を抑制するために十
分な量で液体非消化性油に分散されている。更に非消化性脂肪成分は70〜98
.6°F(約21〜37℃)で0〜約−0.75%固形分/°Fの固体脂肪含有
率分布勾配を有する。
本発明は本発明のプロセスに従い製造されたポテトチップにも関する。
発明の具体的な説明
本発明のプロセスで用いられる物質と、そのプロセスのステップは、以下で詳
細に記載されている:
I.プロセス物質
本発明のプロセスで用いられる物質には、ポテトチップを形成するために揚げ
られるポテトスライスと、このようなポテトチップ中に配合されるフライ用媒体
として使用できる低カロリー脂肪組成物がある。
A.ポテトスライス
本発明に従い製造されるポテトチップは、勿論、出発物質としてスライスされ
た生ポテトから作られる。これから“慣用的”ポテトチップを実現する。本発明
の目的にとり、“慣用的”ポテトチップとは生ポテトスライスのみから作られる
ものである。“慣用的”ポテトチップには、ポテトベースドウ物質から作られる
もののような加工チップを含まない。
本プロセスで用いられるポテトスライスを作るために、生ポテトはサイズ分け
され、外皮が通常除去される。ポテトは均一な揚げを保証するために径が約2〜
5インチ(5.1〜12.7cm)であるべきである。次いで皮を剥いたポテトは
、ERノットマシン社(ER Knott Machine Co.Inc.)モデル108‐21SA2
枚ブレードロータリースライサーのような標準スライシング装置を用いて、望ま
しい厚さにスライスされる。典型的には、ポテトは約0.050〜約0.070
インチ(1.27〜1.77mm)範囲内の厚さにスライスされる。スライスされ
たポテトは過剰のデンプンを除去するために洗浄され、その後過剰の水がポテト
スライスの表面から除去される。この時点において、ポテトスライスは約80%
の含水率と約0.2%以下の脂肪含有率を有し、後で更に十分に記載されるよう
なチップ製造プロセスに付される。
B.低カロリー脂肪組成物
本発明のポテトチップ製造プロセスで用いられるもう1つの必須物質は、本プ
ロセスでフライ用媒体として使用できる低カロリー脂肪組成物である。このよう
な低カロリー脂肪組成物は非消化性脂肪成分と、場合により慣用的トリグリセリ
ド油脂成分を含有している。低カロリー脂肪組成物は、後で更に十分に記載され
るようなある特定のレオロジー特徴を有していなければならない。
1.非消化性脂肪成分
本発明でフライ用媒体として用いられる低カロリー脂肪組成物は、液体非消化
性油とその液体非消化性油に分散された固体非消化性ポリオールポリエステルの
粒子とのブレンドからなる非消化性脂肪成分を含有していなければならない。こ
のようなブレンドは室温及び体温間の温度範囲で比較的平坦な固体脂肪含有率(
SFC)分布勾配を有しているべきである。液体非消化性油と固体ポリオールポ
リエステルの粒子は以下で詳細に記載されている:
a)非消化性液体油
非消化性脂肪成分の主要成分は液体非消化性油である。本発明の目的にとり、
液体非消化性油とは約37℃以下の完全融点を有するものである。本発明で使用
に適した液体非消化性食用油には液体ポリオール脂肪酸ポリエステル(Jandacek
;米国特許第4,005,195号;1977年1月25日付発行参照);トリ
カルバリル酸の液体エステル(Hamm;米国特許第4,508,746号;198
5年4月2日付発行参照);マロン酸及びコハク酸の誘導体のようなジカルボン
酸の液体ジエステル(Fulcher;米国特許第4,582,927号;1986年
4月15日付発行参照);α‐分岐鎖カルボン酸の液体トリグリセリド(Whyte
;米国特許第3,579,548号;1971年5月18日付発行参照);ネオ
ペンチル部分を含んだ液体エーテル及びエーテルエステル(Minich;米国特許第
2,962,419号;1960年11月29日付発行参照);ポリグリセロー
ルの液体脂肪ポリエーテル(Hunterら;米国特許第3,932,532号;19
76年1月13日付発行参照);液体アルキルグリコシド脂肪酸ポリエステル(
Meyerら;米国特許第4,840,815号;1989年6月20日付発行参照
);2つのエーテル結合ヒドロキシポリカルボン酸(例えば、クエン酸又はイソ
クエン酸)の液体ポリエステル(Huhnら;米国特許第4,888,195号;1
988年12月19日付発行参照);エポキシド伸長ポリオールの液体エステル
(Whiteら;米国特許第4,861,613号;1989年8月29日付発行参
照);液体ポリジメチルシロキサン〔例えば、ダウ・コーニング(Dow Corning
)市販の液体シリコーン〕があり、上記すべてが参考のため本明細書に組み込ま
れる。
好ましい液体非消化性油は、液体糖脂肪酸ポリエステル、液体糖アルコール脂
肪酸ポリエステル及びそれらの混合物からなる、液体ポリオール脂肪酸ポリエス
テルである。これらはスクロース脂肪酸エステルであることが多い。
非消化性脂肪成分で使用に適した液体ポリオール脂肪酸ポリエステルは、当業
者に知られる様々な方法により製造できる。これらの方法には、様々な触媒を用
いたメチル、エチル又はグリセロール脂肪酸エステルによるポリオール(即ち、
糖又は糖アルコール)のエステル交換;脂肪酸クロリドによるポリオールのアシ
ル化;脂肪酸無水物によるポリオールのアシル化;脂肪酸自体によるポリオール
のアシル化がある。ポリオール脂肪酸ポリエステルの適切な製造方法について開
示する、例えば米国特許第2,831,854号、第3,600,186号、第
3,963,699号、第4,517,360号及び第4,518,772号明
細書参照;それらのすべてが参考のため組み込まれる。本発明の実施上使用に適
した液体ポリオールポリエステルの具体的だが非制限的な製造例は1991年1
0月31日付で公開されたYoungらの国際特許出願US第91‐02394号(
公開番号WO91‐15964)明細書で開示されており、参考に組み込まれる
。
b)固体ポリオールポリエステル粒子
非消化性脂肪成分のもう1つの主要成分は、受動的油喪失を抑制又は防止する
ために液体非消化性油に分散された、あるポリオールポリエステル物質の非消化
性固体粒子である(例えば、1990年4月26日付で出願されたZimmermanら
の米国特許出願第514,795号明細書参照;参考のため組み込まれる)。典
型的には、これらの非消化性固体粒子は比較的小さく(例えば、1ミクロン以下
、好ましくは0.1ミクロン以下、更に好ましくは0.05ミクロン以下)、約
37〜500℃、好ましくは約50〜約200℃、更に好ましくは約60〜約1
00℃の完全融点を有する(1992年10月30日付で出願されたElsenらの
米国特許出願第07/969,670号明細書参照;参考のため組み込まれ
る)。
受動的油喪失抑制を示す非消化性液体油成分に分散された固体非消化性粒子は
、様々な有機及び無機双方の物質から形成できる。例えば、固体非消化性粒子は
、エステル基が1)C2‐C12短鎖脂肪酸基、C12以上不飽和脂肪酸基又はそれ
らの混合と、2)C20以上飽和脂肪酸基の組合せから形成された、ポリオールポ
リエステルから形成することができる(1989年1月10日付で発行されたJa
ndacekらの米国特許第4,797,300号;1991年5月21日付で発行さ
れたJandacekらの米国特許第5,107,398号;1991年10月31日付
で公開されたLettonらの国際特許出願US第91/02272号(公開番号WO
91‐15960);1991年10月31日付で公開されたLettonらの国際特
許出願US第91/02388号(公開番号WO91/15961);1989
年4月12日付で公開されたLettonの欧州特許出願311,154号明細書参照
;上記すべてが参考のため本明細書に組み込まれる)。固体非消化性粒子は他の
多様エステル化ポリオールポリエステル(1992年10月30日付で出願され
たCorriganらの米国特許出願第07/968,780号及び1992年10月3
0日付で出願されたCorriganの米国特許出願第07/968,792号明細書参
照)、あるポリマー含有ポリオールポリエステル(1992年10月30日付で
出願されたcorriganらの米国特許出願第07/968,791号明細書参照)、
あるポリグリセロールエステル(1992年10月30日付で出願されたHowieの
米国特許出願第07/968,775号明細書参照)、ポリオールポリエステル
ハードストック及び結晶改質剤の共結晶化ブレンド(1992年10月30日付
で出願されたJohnstonらの米国特許出願第07/969,607号明細書参照)
から形成してもよい;上記すべてが参考のため本明細書に組み込まれる。
これらの固体ポリオールポリエステル粒子はポリオールポリエステルを製造す
る従来公知の方法に従い得られる。1つのこのような製造方法は、好ましくは連
続エステル化プロセスを用いて、各脂肪酸の酸クロリド又は酸無水物とスクロー
スとを反応させることによる。これらの連続エステル化プロセスについて開示す
る、1989年10月6日付で出願されたJames C,Lettonの米国特許出願第41
7,990号明細書参照(参考のため本明細書に組み込まれる)。
これらの固体ポリオールポリエステルを製造するもう1つの方法は、脂肪酸石
鹸と炭酸カリウムのような塩基性触媒の存在下で各脂肪酸のメチルエステルをス
クロースと反応させるプロセスによる。例えば、1976年6月15日付で発行
されたRizziらの米国特許第3,963,699号、1985年5月21日付で
発行されたVolpenheinの米国特許第4,518,772号及び1985年5月1
4日付で発行されたVolpenheinの米国特許第4,517,360号明細書参照;
上記すべてが参考のため組み込まれる。更に、参考のため本明細書に組み込まれ
る、1991年10月31日付で公開されたYoungらの国際特許出願US第91
‐02394号(公開番号WO91‐15964)参照。
c)非消化性脂肪成分の処方
本発明で用いられる低カロリー脂肪組成物の非消化性脂肪成分は、液体非消化
性油と、受動的油喪失を抑制又は防止するために十分な量の固体ポリオールポリ
エステル粒子とを一緒にブレンドすることにより処方できる。固体ポリオールポ
リエステル粒子に関して“受動的油喪失を抑制又は防止するために十分な量”を
構成するものは、関与する具体的固体ポリオールポリエステル粒子、望まれる具
体的な受動的油喪失抑制効果と、非消化性脂肪含有食品で許容しうる具体的なグ
リーシー感に依存している。
本発明で用いられる低カロリー脂肪組成物の非消化性脂肪成分は、典型的には
約80〜約99%の液体非消化性油と約1〜約20%の固体ポリオールポリエス
テル粒子からなる。好ましくは、このようなブレンドは約85〜約99%の液体
非消化性油と約1〜約15%の固体ポリオールポリエステル粒子からなる。更に
好ましくは、このようなブレンドは約91〜約99%の液体非消化性油と約1〜
約9%の固体ポリオールポリエステル粒子からなる。
更に、非消化性脂肪成分は典型的室温〜体温、即ち70〜98.6°Fの温度
範囲で比較的平坦なSFC分布勾配を示す。典型的には、これらの温度間におけ
るSFC分布勾配は0〜−0.75%固形分/°F、好ましくは0〜−0.3%
固形分/°F、最も好ましくは0〜−0.1%固形分/°Fである。本発明で用
いられる組成物の非消化性脂肪成分のSFC分布勾配を調べる適切な方法は、後
の分析方法セクションで詳細に示されている。
非消化性脂肪成分は、非消化性脂肪成分で示される受動的油喪失抑制の量の指
標になる、その液体/固体安定率でも特徴付けできる。これら液体/固体ブレン
ドの液体/固体安定率は、典型的には少くとも約30%、好ましくは少くとも約
50%、更に好ましくは少くとも約60%、最も好ましくは少くとも約70%で
ある。本発明で用いられる組成物の非消化性脂肪成分の液体/固体安定率を調べ
る適切な方法も、後の分析方法セクションで示されている。
2.慣用的トリグリセリド油脂成分
非消化性脂肪成分に加えて、本発明でフライ用媒体として用いられる低カロリ
ー脂肪組成物は、場合により慣用的な消化性トリグリセリド油脂を含有すること
ができる。
本明細書で用いられる“トリグリセリド油”という用語は、約25℃以上で流
体又は液体であるトリグリセリド組成物に関する。必要ではないが、本発明で有
用なトリグリセリド油には25℃以下で流体又は液体であるものを含めることが
できる。これらのトリグリセリド油は主にトリグリセリド物質からなるが、モノ
及びジグリセリドのような他の成分も残留レベルで含有することができる。25
℃以下の温度でも流体又は液体であるためには、トリグリセリド油はトリグリセ
リド油が冷却されたときに固形分増加を制限するように約25℃以上の融点を有
するグリセリドを最少量で含有する。トリグリセリド油は化学的に安定でかつ耐
酸化性であることが望ましい。
適切なトリグリセリド油は、綿実油、大豆油、サフラワー油、コーン油、オリ
ーブ油、ココナツ油、パーム核油、ピーナツ油、菜種油、カノーラ油(即ち、エ
ルカ酸が低い菜種油)、ゴマ種子油、ヒマワリ種子油及びそれらの混合物のよう
な天然液体植物油から誘導することができる。例えばグレイニング(graining)
又はディレクテッド(directed)エステル交換、その後油の分離によりパーム油
、ラード及び獣脂から得られる液体油分画も適する。不飽和酸のグリセリドで主
要な油はフレーバーを維持するために少し水素付加を要することもあるが、25
℃以上で溶融するグリセリドの量をあまり増加させないように注意が払われるべ
きである。25〜40℃で溶融する固形分を所望よりも多い量で有する油が選択
されるときには、固形分を分離させることが必要になることがある。例えば、精
製してわずかに水素付加された大豆油と精製綿実油が適する。
本明細書で用いられる“グリセリド脂”という用語は、約25℃以上で固体又
は可塑性であるトリグリセリド組成物に関する。これらの固体又は可塑性脂肪は
植物又は動物に由来しても、あるいは食用合成油脂であってもよい。例えば、室
温で固体であるラード、獣脂、オレオ油、オレオストック、オレオステアリン等
のような動物脂肪が利用できる。更に、トリグリセリド油、例えば不飽和植物油
は液体油の易流動性を妨げる堅い格子状の結晶構造を形成するために、油の脂肪
酸部分の不飽和二重結合の部分的水素付加とその後に慣用的な冷却及び結晶化技
術によるか、又は室温で固体である十分なトリグリセリドとの適正な混合により
、可塑性脂肪に変換することができる。固体又は可塑性脂肪の他の例に関しては
、1967年11月28日付で発行されたPurvesらの米国特許第3,355,3
02号及び1975年2月18日付で発行されたDarraghらの米国特許第3,8
67,556号明細書参照(参考のため本明細書に組み込まれる)。
3.本発明で用いられる低カロリー脂肪組成物の処方
本発明のプロセスでフライ用媒体として用いられる脂肪組成物は、非消化性脂
肪成分と慣用的トリグリセリド油脂成分を望ましい割合で混合することにより処
方できる。
これらの脂肪組成物は約70〜100%の非消化性脂肪と0〜約30%のトリ
グリセリド油脂からなる。好ましくは、このような組成物は約80〜100%の
非消化性脂肪と0〜約20%のトリグリセリド油脂からなる。更に好ましくはこ
のような組成物は約90〜100%の非消化性脂肪と0〜10%のトリグリセリ
ド油脂からなり、最も好ましくはこのような組成物は約95〜100%の非消化
性脂肪と約0〜約5%のトリグリセリド油脂からなる。
4.本発明で用いられる低カロリー脂肪組成物の物理的及び化学的特徴
望ましい特徴を有する本発明のプロセスにより製造されるポテトチップにとり
、フライ用媒体として用いられる低カロリー脂肪組成物はあるレオロジー特徴を
有していなければならないことがわかった。特に、本発明で用いられる低カロリ
ー脂肪組成物は口内温度(92°F、33.3℃)で約25〜約150kPa/s範
囲内のワキシー/グリーシーチキソトロピー面積値を有していなければならない
。好ましくは、低カロリー脂肪組成物は約40〜約140kPa/s、更に好ましく
は約55〜約130kPa/s、最も好ましくは約70〜約120kPa/s範囲内のワキ
シー/グリーシーチキソトロピー面積値を口内温度で有する。
本明細書で用いられる“ワキシー/グリーシーチキソトロピー面積値”という
用語は脂肪組成物のレオロジー測定に関するもので、特定の剪断条件下で脂肪の
物理的構造を破壊するために要するエネルギー/単位容量に関する。脂肪組成物
のこのワキシー/グリーシーチキソトロピー面積値はこれらの組成物で揚げられ
てそれを含有したポテトチップのワキシー及びグリーシー感と相関しうることが
わかった。前記ワキシー/グリーシーチキソトロピー面積値を有する脂肪組成物
は、後記レベルでこれらの脂肪組成物を含有したポテトチップに望ましくないワ
キシー又はグリーシー感を与えない。本脂肪組成物のワキシー/グリーシーチキ
ソトロピー面積値は、後の分析方法セクションで更に詳細に記載される操作を用
いて測定できる。
脂肪酸エステル基を含むもののような低カロリー脂肪組成物は、いくつかの従
来公知の測定法を用いて特徴付けできることにも留意すべきである。測定には、
例えばこのような成分の脂肪酸分、このような成分のエステル分布の測定及び示
差走査熱量計(DSC)による融点測定がある。これらの測定を行う操作は、例
えば参考のため本明細書に組み込まれる1992年2月4日付で発行されたYoun
gの米国特許第5,085,884号明細書で記載されている。
II.プロセスステップ
前記されたポテトと低カロリー脂肪物質を用いて、本発明のプロセスでは最初
にポテトスライスを低カロリーフライ用媒体で特定の程度まで揚げ、その後揚げ
ステップ時に配合された低カロリー脂肪組成物のある量をフライドチップから除
去する。これら2つの基本ステップの各々は以下のように詳細に記載されている
:
A.揚げステップ
第一プロセスステップにおいて、前記のようなポテトスライスはフライヤー、
好ましくは連続フライヤー中に供給されるが、これは単一でも又はマルチゾーン
のフライヤーであってもよい。フライヤーは前記タイプの低カロリー脂肪組成物
からなるフライ油を含有している。パドルホイール、液内コンベア又は双方のよ
うな手段も連続かつ均一式にポテトスライスをフライ油中に輸送するために用意
してよい。
フライ油は約300〜約400°F(約148.9〜約204.4℃)の温度
で維持される。好ましくは、フライ油は約330〜約370°F(約165.5
〜約187.8℃)の温度で維持される。フライ油の温度はいくつかの理由から
重要
である。第一に、温度が増加するに従い、フライヤーは短時間で所定含水率まで
ポテトスライスを加工処理できる。短い揚げ時間だとポテトスライスによる脂肪
吸収を少なくして、少ない脂肪含有率を有する最終ポテトチップを最終的に供給
することになる。第二に、油温度はフライドスナック食品の質感形成及びフレー
バー形成に影響を与えることがある。更に、フライ油の温度は、本プロセスで後
に回収されるフライ油がリサイクルされるつもりならば、かなり重要であるフラ
イ油の安定性に影響を与える(フライ油のリサイクルについて開示する、199
0年6月12日付で発行されたNeelらの米国特許第4,933,199号明細書
参照;参考のため本明細書に組み込まれる)。このため、低カロリー脂肪組成物
の最適温度は上記のバランスと他の考慮事項に依存する。
本発明によれば、ポテトスライスは、スライスが約2〜約20%、好ましくは
約4〜約15%、更に好ましくは約5〜約10%範囲内の平均含水率に部分的に
揚げられる(“パーフライドされる”(par-fried))まで、フライヤー内に留ま
る。ポテトスライスを比較的高い含水率までパーフライドすることにより、ポテ
トスライスを完全に揚げることで製造されたポテトチップと比較して低い脂肪含
有率を有する最終ポテトチップを得ることができる。揚げている最中に、ポテト
スライスからの水分はそれに比例して脂肪と置き換わる。ポテトスライスからの
水分のほとんどは失われ、その結果最終ポテトチップ中に含有される脂肪のほと
んどは後の揚げ段階で吸収される。したがって、ポテトスライスが最終チップと
比較して比較的高い含水率をなお有するようにそれらが部分的に揚げられるだけ
ならば、それらは脂肪を少なく吸収することになる。揚げている最中に吸収され
る脂肪の制限量が揚げ後処理(後記)中にポテトチップから効果的に除去できる
だけであるため、揚げている最中に吸収される脂肪を最少に抑えて望ましい脂肪
含有率を有する最終ポテトチップを得ることが重要である。ポテトスライスは、
最終ポテトチップで望ましい含水率を実現するため、後記の揚げ後処理中に脱水
する
ことができる。他方、ポテトスライスが後記のスチーム除去揚げ後処理に付され
るとき、含水率は崩壊せずに垂直に並べられる十分な構造を有するポテトスライ
スを提供できるほど十分に低いことが好ましい。比較的厚いか又は波打ちされた
ポテトスライスは、比較的高い含水率にパーフライドされたときでも、スチーム
除去に付せる十分な構造を通常獲得することができる。このため、ポテトスライ
スが揚げられるべき具体的な含水率は、最終ポテトチップで望まれる脂肪含有率
、用いられる揚げ後処理と、ポテトスライスの形状及び厚さに依存する。
フライヤー内におけるポテトスライスの滞留時間は、望ましい含水率に一定し
て達するように調整される。典型的な滞留時間は約45〜約180秒間の範囲内
である。フライヤー中におけるポテトスライスの具体的な滞留時間は、パーフラ
イドポテトスライスで望まれる含水率、フライ油の温度と、フライヤー中におけ
るポテトスライスの流速に依存する。パーフライドポテトスライスは、フライヤ
ーから取出すときに、典型的には約25〜約40%、好ましくは約28〜約35
%の脂肪含有率を有する。望ましいパーフライド含水率に達したら、ポテトスラ
イスはフライヤーから取出される。ポテトスライス/チップの含水率及び脂肪含
有率の双方を調べる操作は、後の分析方法セクションで示されている。
B.脂肪除去ステップ
第二の必須プロセスステップにおいて、ポテトスライスがフライヤーから取出
された直後に、何らかの手段がポテトスライスの表面から一部の量の脂肪組成物
を除去するために用いられる。低カロリー脂肪組成物はポテトスライスからのト
リグリセリド脂肪の除去のためのいずれか慣用的な揚げ後処理によりポテトスラ
イスから除去してよい。例えば、脂肪はスチーム除去(例えば、1990年6月
12日付で発行されたNeelらの米国特許第4,933,199号及び1978年
7月26日付で公開されたスウェーデン特許出願第1,519,049号明細書
参照;双方とも参考のため本明細書に組み込まれる)、あるいはチップに含有さ
れる表面及び内部脂肪の一部を溶解させるために超臨界CO2又はヘキサンのよ
うな溶媒でのチップの処理(例えば、1964年3月31日付で発行されたGoul
stonの米国特許第3,127,271号及び1992年3月5日付で公開された
Kazlasらの国際特許出願US第91/05950号(公開番号WO92/030
64)明細書参照;双方とも参考のため本明細書に組み込まれる)により、チッ
プの表面から除去できる。脂肪は非消化性脂肪組成物に低い溶解度を示す液体、
例えばエタノールにチップを約0.5〜約5分間浸漬して、チップの表面から脂
肪を物理的に洗い落とすことにより、チップの表面から除去してもよい。次いで
チップの残留溶媒は真空下オーブンで除去される。
スチーム除去はポテトスライスから表面脂肪を除去する特に好ましい方法であ
る。スチーム除去が用いられるとき、パーフライドポテトスライスはスチームス
トリッパーに連続的に運搬される。ポテトスライスは好ましくは垂直に並べられ
、約1〜約6インチ(2.5〜15.2cm)の深さを有する層を形成する。こう
して、ポテトスライスからの脂肪除去は最大化される。スチームストリッパーは
パーフライドポテトスライスから最大の脂肪除去を行えるように操作される。
スチームストリッパーは、加熱スチームがポテトスライスから低カロリー脂肪
組成物を除去するために高速でパーフライドポテトスライスの層に送り込まれる
、閉鎖領域を含んでいる。スチームストリッパーの湿球温度は約150〜約21
0°F(65.5〜98.9℃)、好ましくは約180〜約210°F(82.
2〜98.90℃)で維持される。スチームストリッパーの乾球温度は約280
〜約350°F(137.8〜176.6℃)、好ましくは約300〜約330
°F(148.9〜165.5℃)で維持される。約280°F(137.8℃
)の乾球温度より下では、パーフライドポテトスライスは妥当な滞留時間で十分
量の脂肪を除去させていないことがわかった。約350°F(176.6℃)よ
り高い乾球温度でのスチーム除去は最終製品で焦げたフレーバーを形成する可能
性を増し、
そのため回避されるべきである。
加熱スチームは約500〜約3000フィート/分(fpm)範囲内の速度でポ
テトスライス層に向けられる。好ましくは、加熱スチームの速度は約1300〜
約2500fpm、最も好ましくは約1700〜約2200fpmの範囲内である。加
熱スチームは加熱スチームの方向性をもったカーテンのようないずれか公知の手
段により;間隔をあけて方向性をもった多数のノズルにより;あるいはスチーム
が加熱されることを保証して、ポテトスライスの層に加熱スチームを向けるため
にヒーター及びブロアー手段を利用したポテトスライスの層近くのスペース中へ
のスチームの注入により、スチームストリッパー中に注入してよい。好ましくは
、加熱スチームはポテトスライスの層で下方に向けられ、その層は有孔運搬手段
に配置される。
ポテトスライスは、典型的には、約23〜約32%範囲内の脂肪含有率を有す
る最終ポテトチップを得る上で十分な時間にわたりスチームストリッパーで維持
される。これらの脂肪含有率を達成するための滞留時間は、典型的には約30〜
約180秒間、好ましくは約60〜約120秒間である。一方、ポテトチップは
17.5〜約31%範囲内の脂肪含有率までスチーム除去して、その後最終ポテ
トチップにとり望ましい脂肪含有率を達成するために1〜約5.5重量%のトリ
グリセリドでスプレーしてもよい。この方法ではチップの表面上における液体ト
リグリセリドの存在のために最終チップで滑らかさの望ましい増加を起こすが、
チップのカロリー分は増加する。
いずれにしても、パーフライドポテトスライスから除去される低カロリー脂肪
組成物の量は、最終ポテトチップが約23〜約32%、好ましくは約24〜約3
0%、更に好ましくは約24〜約28%、最も好ましくは約24〜約27%範囲
内の脂肪含有率を有するような量である。これらの脂肪レベルを有するポテトチ
ップは、典型的には0〜約4%、好ましくは0〜約3%、最も好ましくは0
〜約2%の含水率を有する。
前記の低カロリー脂肪組成物で揚げられて、約23%未満の脂肪含有率を有す
るポテトチップは望ましい滑らかさを有さず、例えばそれらは乾燥すると考えら
れる。更に、前記の低カロリー脂肪組成物で揚げられて、約32%を超える脂肪
含有率を有するポテトチップは、摂取時に望ましくないグリーシー及び/又はワ
キシー感を有する。しかしながら、約23〜約32%範囲内の脂肪含有率を有す
るポテトチップは望ましい滑らかさと許容されるグリーシー及びワキシー感の双
方を有する。
III.本発明のプロセスにより製造されたポテトチップ
本発明は本発明のプロセスにより製造されたポテトチップにも関する。これら
のポテトチップは咀嚼時に望ましくないグリーシー又はワキシー感を与えず、望
ましい滑らかさを有する。ポテトチップは約23〜約32%範囲内の脂肪含有率
と0〜約4%範囲内の含水率を有する。最終スナック製品に含有される低カロリ
ー脂肪組成物のワキシー/グリーシーチキソトロピー面積値は約25〜約150
kPa/sの範囲内である。
分析試験方法
本発明の要素を特徴付けるために用いられるいくつかのパラメーターは、特定
の実験分析操作により定量される。これら操作の各々は以下で詳細に記載されて
いる:
1.ポリオールポリエステルの固体脂肪含有率(SFC)
SFC値を決定する前に、ポリオールポリエステルのサンプルは少くとも30
分間又はサンプルが完全に溶融されるまで140°F(60℃)以上の温度に加
熱される。次いで溶融サンプルは下記のようにテンパリングされる:80°F(
26.7℃)で15分間、32°F(0℃)で15分間、80°F(26.7℃
)で30分間、32°F(0℃)で15分間。テンパリング後、50°F(10
℃)、
70°F(21.1℃)、80°F(26.7℃)、92°F(33.3℃)及
び98.6°F(37℃)の温度におけるサンプルのSFC値が、各温度で30
分間の平衡後にパルス核磁気共鳴(PNMR)で調べられる。SFC分布の勾配
%固形分/°Fは、98.6°F(37℃)のSFC値から70°F(21.1
℃)のSFC値を差し引き、その後28.6で割ることにより計算される。PN
MRでSFC値を決定する方法はJ.Amer.Oil Chem.Soc.,Vol.55(1978),pp.328-3
1(参考のため本明細書に組み込まれる)及びA.O.A.C.Official Method Cd.16-8
1,Official Methods and Recommended Practices of The American Oil Chemist
s Society,3rd Ed.,1987(参考のため本明細書に組み込まれる)で記載されてい
る。
2.ポリオールポリエステル液体/固体安定率測定
ポリエステルのサンプルはそれが完全に溶融するまで190°F(87.8℃
)以上の熱水浴で加熱され、その後十分にミックスされる。次いでサンプルは1
00°F(37.8℃)で4.4ml遠心管中にいっぱいに注がれる。次いでサン
プルは定温室中100°F(37.8℃)で24時間再結晶化させる。次いでサ
ンプルはベックマン(Beckman)モデルSW60ローターにおいて100°F(
37.8℃)で1時間にわたり60,000rpmで遠心する。サンプルで最大の
(即ち、管の底における)力は485,000gである。次いで分離された液体
率が液相及び固相の相対的高さを比較することにより測定される。液相の高さは
メートル定規を用いて測定され、mmで記録される。サンプルの高さも同様に測定
され、mmで記録される。2mm(管底の湾曲による補正)が真っ直ぐな壁の高さに
加えられて、“全高さ”を得る。液体/固体安定率(%)=100×(全サンプ
ル高さ−液体油高さ)/全サンプル高さ
3.低カロリー脂肪組成物のワキシー/グリーシーチキソトロピー面積値
本発明で用いられる低カロリー脂肪組成物は、これらの脂肪組成物で揚げられ
たポテトチップにより付与されるワキシー又はグリーシーな口内感と相関するあ
るレオロジー特徴を示す。この方法は、固体成分が慣用的ポテトチップで典型的
な冷却プロフィルで結晶化された低カロリー脂肪組成物のワキシー/グリーシー
チキソトロピー面積値を決定するために用いられる。
この方法において、剪断応力はコーン及びプレートレオメーターを用いて0〜
800s-1の剪断速度の関数として測定される。剪断速度は最初に0s-1から8
00s-1まで2分間かけて増加させ、その後92°F(33.3℃)で2分間か
けて0s-1に戻す。ワキシー/グリーシーチキソトロピー面積は上昇及び下降流
動曲線間のヒステリシスの面積である。
A.レコーダーの設定
冷却プロフィルテンプレートを時間がX軸になるようにX‐Yレコーダー〔ヒ
ューストン・インストルメンツ(Houston Instruments)モデル200〕におく
。この場合において、用いられる冷却プロフィルは慣用的ポテトチップの冷却プ
ロフィルと類似し、すべてのディープ脂肪フライド塩味スナック製品に典型的で
ある。レコーダースイッチをテンプレートに書き込まれたパラメーターにセット
し、その後下記のように設定する:
1.カリブレーターを50mVにセットする。
2.ゼロ電位差計をペンがレコーダーで50°Fを示すまで調整する。
3.カリブレーターを190mVにセットする。
4.スパン電位差計をペンがレコーダーで190°Fを示すまで調整する。
上記ステップ1〜4はペンが調整せずに適正な温度を示すまで繰返す。次いでス
トリップチャートレコーダーを熱電対リーダー〔オメガ(Omega)#199A〕の
アナログインプットに接続する。
B.サンプル調製
低カロリー脂肪組成物のサンプルを完全溶融するまで加熱し、その後十分にミ
ックスする。次いでサンプル8gを秤量パン〔VWRサイエンティフィック
(Scientific)#25433-008〕にいれて秤量する。熱電対(オメガ#5TC-T-36-360
.005インチタイプT)をパンのほぼ中央でサンプルに浸漬し、熱電対チップ
がパンの底に触らないように注意を払う。次いでパンをホットプレート上におき
、約240°Fに加熱する。この温度に達したら、レコーダーを始動させ、パン
をホットプレートから除き、ラボベンチ(lab bench)の上におく。サンプルの
温度はテンプレートで示される冷却曲線を正確にたどるようにコントロールする
。これは、パンを静かに振動させて冷却を促進し、ラボベンチ上からパンを除い
て冷却速度を遅くすることにより行う。この冷却プロセスは終了まで約3分間要
し、その後熱電対を除く。次いで低カロリー脂肪サンプルを、チキソトロピー面
積の測定前に、約70°Fで7日間テンパリングする。
C.レオメーター調整
レオメーター〔2、5及び7cmコーン装備のコントレーブス・レオマット(Con
traves Rheomat)115A,角度2°〕をコンピューターに接続し、下記条件下
で調整する:
プログラム設定
データ出力条件
測定ポイント1〜15のプリントアウト
ワキシー/グリーシーチキソトロピー面積値の計算
プリントアウト結果
D.コーン選択
CP‐8(2cm)コーンを用いて、この方法に従いサンプルのワキシー/グリ
ーシーチキソトロピー面積を測定する。ワキシー/グリーシーチキソトロピー面
積が200kPa/sより大きければ、最大精度に達していた。ワキシー/グリーシ
ーチキソトロピー面積値が50〜200kPa/sであれば、その方法は最大精度を
得るためにCP‐6(5cm)コーンを用いて繰返すべきである。ワキシー/グリ
ーシーチキソトロピー面積値が0〜50kPa/sであれば、その方法は最大精度を
得るためにCP‐10(7cm)コーンを用いて繰返すべきである。
E.トルク設定
レオメーターは、測定ヘッドをプレートから持上げ、その後調節ノブの左にあ
るトルクメーターが“+000”になって“+”フラッシングするまで、レオメ
ーターのフロントパネルにあるノブを調節することにより、トルクについて設定
する。
F.温度設定
分析中におけるサンプルの温度は33.3±0.1℃で維持するべきである。
約33.3℃に達するように再循環浴を調整した後、少量の油をプレートに塗り
、コーンをプレート上におき、熱電対プローブをコーンとプレートとの間のギャ
ップに挿入し、その後その温度で数分間平衡化させることにより、プレート温度
をチェックする。次いで温度をプレート温度が33.3±0.1℃になるまで浴
温を調節しながら読取る。
G.サンプル分析
低カロリー脂肪サンプル約4gをレオメータープレートに適用する。次いでコ
ーンアセンブリーをサンプル上にゆっくりと下降させ、プレート上にしっかりと
設置する。この時点で、流動曲線プログラムを開始する。ランの終了時に、レポ
ートは流動曲線及び計算されたチキソトロピー面積について最初の15データポ
イントをリスト化してプリントアウトする。ワキシー/グリーシーチキソトロピ
ー面積は上昇及び下降流動曲線間のヒステリシス面積であり、ワキシー/グリー
シーチキソトロピー面積値(kPa/sec)として報告する。
4.ポテトスライス又はポテトチップの脂肪含有率
ポテトスライス又はポテトチップの脂肪含有率は下記のようなソックスレー抽
出で調べることができる:装置/試薬
ソックスレーHT6抽出器、水浴、熱油浴、抽出ビーカー、抽出シンブル、真
空乾燥オーブン、窒素パージガス、塩化メチレン、沸石、ガラスウール操作
1.抽出シンブルを秤量し(四ケタ0.0001まで)、風袋として記録する
。
2.約8〜12gの粉砕チップサンプルをシンブル中にいれ、全重量として記
録する(0.0001まで)。
3.シンブル中でチップサンプルの上にガラスウールをおいて、シンブル中に
チップを含有させる。
4.抽出ビーカー中に2〜3個の沸石をいれ、秤量し、風袋として重量を記録
する(0.0001まで)。
5.塩化メチレン50mlを抽出ビーカーに加える。
6.抽出ビーカーとチップサンプルを含有したシンブルを抽出器中にいれる。
7.油浴を110℃及び水浴を28.3℃にセットし、平衡化させる。
8.シンブルを抽出ビーカー中に下げ、コンデンサー豆コックを開いて60分
間沸騰させる。
9.抽出ビーカーからシンブルを持ち上げて、60分間リンスする。
10.コンデンサー豆コックを閉鎖位置に回し、窒素でパージし、塩化メチレ
ンを60分間蒸発させる。
11.抽出ビーカーを真空オーブン中に120℃で30分間おく。
12.抽出ビーカーを室温まで冷却させ、(0.0001まで)秤量し、最終
重量(ビーカー、沸石及び抽出脂肪の重量)として記録する。計算
1.チップサンプル重量=全重量(ステップ2)−風袋重量(ステップ1)
2.抽出脂肪重量=最終重量(ステップ12)−風袋重量(ステップ4)
3.脂肪含有率(%)=〔抽出脂肪重量/チップサンプル重量〕×100
5.ポテトチップ又はポテトスライスの含水率
ポテトチップ又はポテトスライスの含水率は下記のような強制空気オーブン揮
発性物質法で調べることができる:装置
強制空気オーブン、アルミニウム缶、キャビネットタイプデシケーター操作
1.缶及びふたを0.0001gまで秤量し、風袋重量として重さを記録する
。
2.2〜3gの粉砕チップサンプルを缶にいれ、0.0001gまで秤量し、
全重量として記録する。
3.オーブン温度を105℃にセットする。
4.チップサンプルを含有した缶をふたなしでオーブンに1時間いれる。
5.サンプルを含有した缶をオーブンから取出し、缶にふたして、室温に冷却
されるまでデシケーターにいれる。
6.缶、ふた及び乾燥サンプルを0.0001gまで秤量し、最終乾燥重量と
して記録する。計算
1.サンプル重量=全重量−風袋重量
2.最終重量=ステップ6で記録された重量
3.含水率(%)=〔(全重量−最終重量)/サンプル重量〕×100
例 例1
比重1.09のノーチップ(Norchip)種ポテトを約0.055インチ(約1
.4mm)の厚さにスライスする。次いでポテトスライスをインダストリアル・カ
ンバッション・サービシス(Industrial Combustion Services)連続フライヤー
のような連続フライヤー中に約225lb/hr(約102kg/hr)の速度で供給する
。フライヤー熱交換機システムに約420lb(約190kg)のフライ油をいれる
。フライ油は約8%固体非消化性粒子及び約92%液体綿実スクロースポリエス
テルからなるスクロースポリエステルブレンド100%である。固体非消化性粒
子は、エステル基がヒマワリ油に由来する脂肪酸及びC22飽和脂肪酸から形成さ
れているスクロースポリエステルから形成する。液体及び固体スクロースポリエ
ステルは下記特性を有する:
フライ油は115kPa/sのワキシー/グリーシーチキソトロピー面積値を有す
る。油は350°Fの温度でフライヤーに入り、約330°Fで出る。
ポテトスライスを約90秒間揚げ、その後フライヤーから取出す。フライヤー
から取出した後、約33%の脂肪含有率及び約7%の含水率を有するパーフライ
ドポテトスライスを〔ヒート&コントロール(Heat & Control)スチームストリッ
パー〕のようなスチームストリッパーに直ちに通す。スチームストリッパー中に
おけるポテトスライスの滞留時間は下記プロセス条件下で約120秒間である:
乾球温度 300°F
湿球温度 180°F
スチーム速度 1300fpm
最終製品流速は約65lb/hr(約30kg/hr)である。スチームストリッパーか
ら出したとき、ポテトチップは下記特性を有している:
脂肪含有率 27.0%
含水率 1.4%例2
比重1.09のノーチップ種ポテトを約0.060インチ(約1.5mm)の厚
さにスライスする。次いでポテトスライスを連続フライヤー中に約225lb/hr
の速度で供給する。フライヤー熱交換機システムに約420lbのフライ油をいれ
る。フライ油は例1で記載された固体スクロースポリエステル約6%及び例1で
記載された液体スクロースポリエステル約94%からなるスクロースポリエステ
ルブレンド100%である。フライ油のワキシー/グリーシーチキソトロピー面
積値は81kPa/sである。油は350°Fの温度でフライヤーに入り、約330
°Fで出る。
ポテトスライスを約80秒間揚げ、その後フライヤーから取出す。フライヤー
から取出した後、約29%の脂肪含有率及び約16%の含水率を有するパーフラ
イドポテトスライスをスチームストリッパーに直ちに通す。スチームストリッパ
ー中におけるポテトスライスの滞留時間は下記プロセス条件下で約120秒間で
ある:
乾球温度 320°F
湿球温度 200°F
スチーム速度 1560fpm
最終製品流速は約65lb/hrである。スチームストリッパーから出したとき、
ポテトチップは下記特性を有している:
脂肪含有率 23.8%
含水率 2.3%例3
比重1.08のノーチップ種ポテトを約0.055インチの厚さにスライスす
る。次いでポテトスライスを連続フライヤー中に約225lb/hrの速度で供給す
る。フライヤー熱交換機システムに、例1で記載されたフライ油75%及び綿実
トリグリセリド油25%からなるフライ油約420lbをいれる。フライ油のワキ
シー/グリーシーチキソトロピー面積値は35kPa/sである。油は350°Fの
温度でフライヤーに入り、約330°Fで出る。
ポテトスライスを約80秒間揚げ、その後フライヤーから取出す。フライヤー
から取出した後、約33%の脂肪含有率及び約7%の含水率を有するパーフライ
ドポテトスライスをスチームストリッパーに直ちに通す。スチームストリッパー
中におけるポテトスライスの滞留時間は下記プロセス条件下で約120秒間であ
る:
乾球温度 310°F
湿球温度 180°F
スチーム速度 1300fpm
最終製品流速は約65lb/hrである。スチームストリッパーから出したとき、
ポテトチップは下記特性を有している:
脂肪含有率 31.9%
含水率 1.36%例4
比重1.094のノーチップ種ポテトを約0.054インチの厚さにスライス
する。次いでポテトスライスを連続フライヤー中に約225lb/hrの速度で供給
する。フライヤー熱交換機システムに、例2で記載されたフライ油約420lbを
いれる。フライ油のワキシー/グリーシーチキソトロピー面積値は81kPa/sで
ある。油は350°Fの温度でフライヤーに入り、約330°Fで出る。
ポテトスライスを約110秒間揚げ、その後フライヤーから取出す。フライヤ
ーから取出した後、約33%の脂肪含有率及び約3.5%の含水率を有するパー
フライドポテトスライスをスチームストリッパーに直ちに通す。スチームストリ
ッパー中におけるポテトスライスの滞留時間は下記プロセス条件下で約120秒
間である:
乾球温度 325°F
湿球温度 180°F
スチーム速度 1820fpm
最終製品流速は約65lb/hrである。スチームストリッパーから出したとき、
ポテトチップは下記特性を有している:
脂肪含有率 28%
含水率 1.0%
─────────────────────────────────────────────────────
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AU,BB,BG,BR,BY,CA,
CN,CZ,FI,GE,JP,KG,KP,KR,K
Z,LK,LV,MD,MG,MN,MW,NO,NZ
,PL,RO,RU,SD,SI,SK,TJ,TT,
UA,UZ,VN
(72)発明者 ケスター,ジェフリー ジョン
アメリカ合衆国オハイオ州、ウェスト、チ
ェスター、ティンバーウッド、ドライブ、
6704
(72)発明者 ジョンストン,ロバート ウイリアム
兵庫県芦屋市岩園町19―5
(72)発明者 エルセン,ジョセフ ジェームズ
アメリカ合衆国オハイオ州、シンシナチ、
モンタナ、アベニュ、2807