【発明の詳細な説明】
低カロリー脂肪組成物を含んだ、あるいはその脂肪組成物で揚げられた、
又はその脂肪組成物でコートされた、低カロリースナック食品
技術分野
本発明は、咀嚼時に望ましくないグリーシー(greaslness)感を与えず、口内
で許容される滑らかさ(lubriciousness)を有する、低カロリー低水分調理スナ
ック食品に関する。
発明の背景
加工ポテトスナック、コーンチップ及びトルティーヤチップのような塩味スナ
ックは特に人気のある消費スナック製品である。加工ポテトスナックの場合には
、全体のポテトがつぶされ、ポテトフレーク又は顆粒を得るために乾燥され、ポ
テトドウのシートを形成するために再調製され、その後各ピースがポテトドウシ
ートから加工される。次いでこれらの加工ポテトピースは約300〜400°F
(148.9〜204.4℃)の温度に加熱されたフライ用油脂媒体に浸漬され
る。
加工スナックピースは様々な長さの時間にわたり、典型的には約10秒間〜約
3分30秒間程度、熱いフライ用媒体に浸漬される。浸漬中に、ピースは実質量
の、通常最終スナック又はチップの約35〜約50重量%程度のフライ用油脂を
吸収する。典型的には、大豆油、綿実油又はピーナツ油が用いられる。これらは
トリグリセリドであるため、かなりのカロリー分(約9カロリー/吸収油g)が
このような媒体で揚げられた加工スナックピースに加えられる。
あるポリオール脂肪酸ポリエステルは、これらのトリグリセリド油脂に代わる
低カロリー代替物として示唆されている。例えば、1971年8月17日付で発
行されたMattsonらの米国特許第3,600,186号明細書では、各脂肪酸が
炭素原子8〜22を有する少くとも4つの脂肪酸エステル基を有した非吸収性非
消化性糖脂肪酸エステル又は糖アルコール脂肪酸エステルにより脂肪含有食品の
脂肪分の少くとも一部が形成されている低カロリー食品組成物について開示して
いる。残念ながら、完全に液体形のこれらポリオールポリエステルの中〜高レベ
ルの日常的摂取は、望ましくない受動的油喪失、即ち肛門括約筋からの液体ポリ
オールポリエステルの漏出を起こすことがある。逆に、完全に固体形のこれらポ
リオールポリエステルは受動的油喪失抑制問題を示さないが、口内温度で十分に
高い固体含有率を有するため、これらの固体ポリオールポリエステルを含有した
食品は咀嚼時に口内でワキシー性(waxiness)を呈する。
完全液体又は完全固体非消化性/非吸収性ポリオール脂肪酸ポリエステルの代
替物として、受動的油喪失抑制と同時に口内で低いワキシー性を示すある中間融
点ポリオール脂肪酸ポリエステルが開発された(1987年9月9日付で公開さ
れたBernhardtの欧州特許出願第236,288号及び1987年8月26日付
で公開されたBernhardtの欧州特許出願第233,856号明細書参照)。これ
らの中間融点ポリオールポリエステルは、残留液体部分と結合する最少レベルの
固形分(例えば、約12%以下)を含んだマトリックスのおかげで、体温で独特
なレオロジーを示す。その結果、これらの中間融点ポリオールポリエステルは受
動的油喪失を抑制する上で十分に粘稠であり、しかも十分に高い液体/固体安定
性を体温で有している。
しかしながら、実質レベルで、特に約40%を超えるレベルでこれらの中間融
点ポリオールポリエステルを含有したフライ用脂肪で揚げられたポテト又は他の
加工スナックは、トリグリセリド油脂で揚げられたスナックと比較して、有意に
高いワキシー感を有することがわかった。
受動的油喪失/ワキシー口内感問題を克服するために開発されたもう1つのタ
イプのポリオールポリエステル非消化性脂肪組成物は、中間融点物質とは異なり
、このような組成物が室温(70°F)〜体温(98.6°F)の温度範囲にわ
たり本質的に平坦な固体脂肪含有率(SFC)分布勾配を有するように選択され
た、液体ポリオールポリエステル及びあるタイプの固体粒状物質の組合せからな
る。このような組成物における固体物質は非常に小さな粒子(1ミクロン以下)
として通常存在し、比較的低い濃度で存在する。しばしば、受動的油喪失抑制剤
として働くこのような固体粒状物質は望ましい特に小さな粒子に結晶化する固体
ポリオールポリエステルである。このタイプの固体油喪失抑制粒子の例は、19
89年4月12日付で公開されたLettonの欧州特許出願第311,154号明細
書で記載された多様エステル化ポリオールポリエステルである。ポテトチップの
ような低カロリー塩味スナック製品を製造する上でこのタイプの多様エステル化
ポリオールポリエステル油喪失抑制剤の使用は、1992年2月4日付で発行さ
れたYoungの米国特許第5,085,884号明細書で記載されている。
このような従来の非消化性脂肪組成物により示される改善された油喪失抑制及
び口内感効果にもかかわらず、実質量のこれら物質を含有した低カロリー脂肪組
成物で揚げられて、トリグリセリド油で揚げられたスナックと同様の脂肪レベル
(例えば、35〜50%)を含む加工スナックは咀嚼時に望ましくないグリーシ
ー感も与えることがある(感応的性質に関して、“グリーシー性”とは口内でワ
セリン様コーティングとして記載される)。
したがって、カロリー効果を実現するために低カロリー脂肪組成物を含有して
いて、それでもなおトリグリセリド油脂で揚げられたスナック食品の望ましい(
例えば、グリーシーでなく、しかもワキシーでない)味を維持した、低水分調理
スナック食品を提供する何らかの手段を有することが望まれる。
発明の要旨
本発明は、咀嚼時に許容される滑らかさと共に望ましい低いグリーシー性を有
する低カロリー低水分調理スナック食品に関する。これらのスナック食品は食用
基材と低カロリー脂肪組成物とを含んでいる。スナック製品はある脂肪含有率で
特徴付けられる。
本スナック製品の成分として用いられる低カロリー脂肪組成物は、約25〜約
150キロパスカル/秒(kPa/s)範囲内のワキシー/グリーシーチキソトロピ
ー面積値を有して、約70〜100%の非消化性脂肪成分と0〜約30%の慣用
的トリグリセリド油脂成分を含有している。低カロリー脂肪組成物の非消化性脂
肪成分は液体非消化性油と非消化性固体ポリオールポリエステルの粒子とのブレ
ンドからなる。固体粒子は約1ミクロン以下の厚さを有して、液体非消化性油の
摂取に際して受動的油喪失を抑制するために十分な量で液体非消化性油に分散さ
れている。更に非消化性脂肪成分は70〜98.6°F(約21〜37℃)で0
〜約−0.75%固形分/°Fの固体脂肪含有率分布勾配を有する。
本発明の低カロリー低水分調理スナック食品は、約23〜約32%範囲内の脂
肪含有率でも特徴付けられる。
発明の具体的な説明
本発明は前記の脂肪組成物を含有した低水分調理スナック食品に関する。本明
細書で用いられる“低水分食品”という用語は約10%以下、好ましくは約4%
以下、更に好ましくは約3%以下、最も好ましくは約2%以下の最終製品含水率
を有する食品に関する。加工ポテトスナックに加えて、低水分調理スナック食品
には、例えばコーンチップ、トルティーヤチップ、ポテトスティック、ポップコ
ーン、コーンカール及びコーンパフ、ペレットスナック、半製品、クラッカーと
、コーン又は小麦、ライス等のような他の穀物に基づく他の押出しスナックのよ
うなフライド、ベークド及び/又は押出し塩味スナックがある。
本発明の低水分調理スナック食品の諸成分、諸成分の関係と、本スナック食品
の製造は以下で詳細に記載されている:
I.成分物質
本発明の低カロリー低水分調理スナック食品を製造するために用いられる物質
には、食用基材と、食用基材中及び/又はその上に配合される低カロリー脂肪組
成物がある。
A.食用基材
本発明の低水分調理スナック食品の1つの必須成分は食用基材である。食用基
材には、例えば加工ポテトピースがある。本明細書で用いられる“加工ポテトピ
ース”という用語は、マッシュドポテト又は再調製マッシュドポテト(即ち、水
が添加されたフレーク及び/又は顆粒の形態をした乾燥マッシュドポテト)から
形成されるドウシートから得られるポテトピースに関する。食用基材にはコーン
又は小麦、ライス等のような他の穀物から形成される他の非ポテトベースドウか
ら得られる加工ピースもある。ポップコーン及び熱処理ライスのような加工全穀
物非ドウベース基材も用いてよい。
B.低カロリー脂肪組成物
本発明の低水分調理スナック食品のもう1つの必須成分は低カロリー脂肪組成
物である。このような低カロリー脂肪組成物は非消化性脂肪成分と、場合により
慣用的トリグリセリド油脂成分を含有している。低カロリー脂肪組成物は、後で
更に十分に記載されるようなある特定のレオロジー特徴を有していなければなら
ない。
1.非消化性脂肪成分
本スナック食品で用いられる低カロリー脂肪組成物は、液体非消化性油とその
液体非消化性油に分散された固体非消化性ポリオールポリエステルの粒子とのブ
レンドからなる非消化性脂肪成分を含有していなければならない。このようなブ
レンドは室温及び体温間の温度範囲で比較的平坦な固体脂肪含有率(SFC)分
布勾配を有しているべきである。液体非消化性油と固体ポリオールポリエステル
の粒子は以下で詳細に記載されている:
a)非消化性液体油
非消化性脂肪成分の主要成分は液体非消化性油である。本発明の目的にとり、
液体油とは約37℃以下の完全融点を有するものである。本発明で使用に適した
液体非消化性食用油には液体ポリオール脂肪酸ポリエステル(Jandacek;米国特
許第4,005,195号;1977年1月25日付発行参照);トリカルバリ
ル酸の液体エステル(Hamm;米国特許第4,508,746号;1985年4月
2日付発行参照);マロン酸及びコハク酸の誘導体のようなジカルボン酸の液体
ジエステル(Fulcher;米国特許第4,582,927号;1986年4月15
日付発行参照);α‐分岐鎖カルボン酸の液体トリグリセリド(Whyte;米国特
許第3,579,548号;1971年5月18日付発行参照);ネオペンチル
部分を含んだ液体エーテル及びエーテルエステル(Min1ch;米国特許第2,96
2,419号;1960年11月29日付発行参照);ポリグリセロールの液体
脂肪ポリエーテル(Hunterら;米国特許第3,932,532号;1976年1
月13日付発行参照);液体アルキルグリコシド脂肪酸ポリエステル(Meyerら
;米国特許第4,840,815号;1989年6月20日付発行参照);2つ
のエーテル結合ヒドロキシポリカルボン酸(例えば、クエン酸又はイソクエン酸
)の液体ポリエステル(Huhnら;米国特許第4,888,195号;1988年
12月19日付発行参照);エポキシド伸長ポリオールの液体エステル(Whl1e
ら;米国特許第4,861,613号;1989年8月29日付発行参照);液
体ポリジメチルシロキサン〔例えば、ダウ・コーニング(DowCorning)市販の液
体シリコーン〕があり、上記すべてが参考のため本明細書に組み込まれる。
好ましい液体非消化性油は、液体糖脂肪酸ポリエステル、液体糖アルコール脂
肪酸ポリエステル及びそれらの混合物からなる、液体ポリオール脂肪酸ポリエス
テルである。これらはスクロース脂肪酸エステルであることが多い。
非消化性脂肪成分で使用に適した液体ポリオール脂肪酸ポリエステルは、当業
者に知られる様々な方法により製造できる。これらの方法には、様々な触媒を用
いたメチル、エチル又はグリセロール脂肪酸エステルによるポリオール(即ち、
糖又は糖アルコール)のエステル交換;脂肪酸クロリドによるポリオールのアシ
ル化;脂肪酸無水物によるポリオールのアシル化;脂肪酸自体によるポリオール
のアシル化がある。ポリオール脂肪酸ポリエステルの適切な製造方法について開
示する、例えば米国特許第2,831,854号、第3,600,186号、第
3,963,699号、第4,517,360号及び第4,518,772号明
細書参照;それらのすべてが参考のため組み込まれる。本発明の実施上使用に適
した液体ポリオールポリエステルの具体的だが非制限的な製造例は1991年1
0月31日付で公開されたYoungらの国際特許出願US第91‐02394号(
公開番号WO91‐15964)明細書で開示されており、参考に組み込まれる
。
b)固体ポリオールポリエステル粒子
非消化性脂肪成分のもう1つの主要成分は、受動的油喪失を抑制又は防止する
ために液体非消化性油に分散された、あるポリオールポリエステル物質の非消化
性固体粒子である(例えば、1990年4月26日付で出願されたZimmermanら
の米国特許出願第514,795号明細書参照;参考のため組み込まれる)。典
型的には、これらの非消化性固体粒子は比較的小さく(例えば、1ミクロン以下
、好ましくは0.1ミクロン以下、更に好ましくは0.05ミクロン以下)、約
37〜500℃、好ましくは約50〜約200℃、更に好ましくは約60〜約1
00℃の完全融点を有する(1992年10月30日付で出願されたElsenらの
米国特許出願第07/969,670号明細書参照;参考のため組み込まれる)
。
受動的油喪失抑制を示す非消化性液体油成分に分散された固体非消化性粒子は
、
様々な有機及び無機双方の物質から形成できる。例えば、固体非消化性粒子は、
エステル基が1)C2‐C12短鎖脂肪酸基、C12以上不飽和脂肪酸基又はそれら
の混合と、2)C20以上飽和脂肪酸基の組合せから形成された、ポリオールポリ
エステルから形成することができる(1989年1月10日付で発行されたJand
acekらの米国特許第4,797,300号;1991年5月21日付で発行され
たJandacekらの米国特許第5,107,398号;1991年10月31日付で
公開されたLettonらの国際特許出願US第91/02272号(公開番号WO9
1−15960);1991年10月31日付で公開されたLettonらの国際特許
出願US第91/02388号(公開番号WO91/15961);1989年
4月12日付で公開されたLettonの欧州特許出願311,154号明細書参照;
上記すべてが参考のため本明細書に組み込まれる)。固体非消化性粒子は他の多
様エステル化ポリオールポリエステル(1992年10月30日付で出願された
Corriganらの米国特許出願第07/968,780号及び1992年10月30
日付で出願されたCorriganの米国特許出願第07/968,792号明細書参照
)、あるポリマー含有ポリオールポリエステル(1992年10月30日付で出
願されたCorriganらの米国特許出願第07/968,791号明細書参照)、あ
るポリグリセロールエステル(1992年10月30日付で出願されたHowieの
米国特許出願第07/968,775号明細書参照)、ポリオールポリエステル
ハードストック及び結晶改質剤の共結晶化ブレンド(1992年10月30日付
で出願されたJohnstonらの米国特許出願第07/969,607号明細書参照)
から形成してもよい;上記すべてが参考のため本明細書に組み込まれる。
これらの固体ポリオールポリエステル粒子はポリオールポリエステルを製造す
る従来公知の方法に従い得られる。1つのこのような製造方法は、好ましくは連
続エステル化プロセスを用いて、各脂肪酸の酸クロリド又は酸無水物とスクロー
スとを反応させることによる。
これらの固体ポリオールポリエステルを製造するもう1つの方法は、脂肪酸石
鹸と炭酸カリウムのような塩基性触媒の存在下で各脂肪酸のメチルエステルをス
クロースと反応させるプロセスによる。例えば、1976年6月15日付で発行
されたRizziらの米国特許第3,963,699号、1985年5月21日付で
発行されたVolpenheinの米国特許第4,518,772号及び1985年5月1
4日付で発行されたVolpenheinの米国特許第4,517,360号明細書参照;
上記すべてが参考のため組み込まれる。更に、参考のため本明細書に組み込まれ
る、1991年10月31日付で公開されたYoungらの国際特許出願US第91
‐02394号(公開番号WO91‐15964)参照。
c)非消化性脂肪成分の処方
本スナック食品で用いられる低カロリー脂肪組成物の非消化性脂肪成分は、液
体非消化性油と、受動的油喪失を抑制又は防止するために十分な量の固体ポリオ
ールポリエステル粒子とを一緒にブレンドすることにより処方できる。固体ポリ
オールポリエステル粒子に関して“受動的油喪失を抑制又は防止するために十分
な量”を構成するものは、関与する具体的固体ポリオールポリエステル粒子、望
まれる具体的な受動的油喪失抑制効果と、非消化性脂肪含有食品で許容しうるグ
リーシー感の具体的レベルに依存している。
本発明のスナック食品で用いられる低カロリー脂肪組成物の非消化性脂肪成分
は、典型的には約80〜約99%の液体非消化性油と約1〜約20%の固体ポリ
オールポリエステル粒子からなる。好ましくは、このようなブレンドは約85〜
約99%の液体非消化性油と約1〜約15%の固体ポリオールポリエステル粒子
からなる。更に好ましくは、このようなブレンドは約91〜約99%の液体非消
化性油と約1〜約9%の固体ポリオールポリエステル粒子からなる。
更に、非消化性脂肪成分は典型的室温〜体温、即ち70〜98.6°Fの温度
範囲で比較的平坦なSFC分布勾配を示す。典型的には、これらの温度間におけ
る
SFC分布勾配は0〜−0.75%固形分/°F、好ましくは0〜−0.3%固
形分/°F、最も好ましくは0〜−0.1%固形分/°Fである。組成物の非消
化性脂肪成分のSFC分布勾配を調べる適切な方法は分析方法セクションで示さ
れている。
非消化性脂肪成分は、非消化性脂肪成分で示される受動的油喪失抑制の量の指
標になる、その液体/固体安定率でも特徴付けできる。これら液体/固体ブレン
ドの液体/固体安定率は、典型的には少くとも約30%、好ましくは少くとも約
50%、更に好ましくは少くとも約60%、最も好ましくは少くとも約70%で
ある。非消化性脂肪成分の液体/固体安定率を調べる適切な方法も、後の分析方
法セクションで示されている。
2.慣用的トリグリセリド油脂成分
非消化性脂肪成分に加えて、本発明のスナック食品で用いられる低カロリー脂
肪組成物は、場合により慣用的な消化性トリグリセリド油脂を含有することがで
きる。
本明細書で用いられる“トリグリセリド油”という用語は、約25℃以上で流
体又は液体であるトリグリセリド組成物に関する。必要ではないが、本発明で有
用なトリグリセリド油には25℃以下で流体又は液体であるものを含めることが
できる。これらのトリグリセリド油は主にトリグリセリド物質からなるが、モノ
及びジグリセリドのような他の成分も残留レベルで含有することができる。25
℃以下の温度でも流体又は液体であるためには、トリグリセリド油はトリグリセ
リド油が冷却されたときに固形分増加を制限するように約25℃以上の融点を有
するグリセリドを最少量で含有する。トリグリセリド油は化学的に安定でかつ耐
酸化性であることが望ましい。
適切なトリグリセリド油は、綿実油、大豆油、サフラワー油、コーン油、オリ
ーブ油、ココナツ油、パーム核油、ピーナツ油、菜種油、カノーラ油(即ち、エ
ルカ酸が低い菜種油)、ゴマ種子油、ヒマワリ種子油及びそれらの混合物のよう
な天然液体植物油から誘導することができる。例えばグレイニング(graining)
又はディレクテッド(directed)エステル交換、その後油の分離によりパーム油
、ラード及び獣脂から得られる液体油分画も適する。不飽和酸のグリセリドで主
要な油はフレーバーを維持するために少し水素付加を要することもあるが、25
℃以上で溶融するグリセリドの量をあまり増加させないように注意が払われるべ
きである。25〜40℃で溶融する固形分を所望よりも多い量で有する油が選択
されるときには、固形分を分離させることが必要になることがある。例えば、精
製してわずかに水素付加された大豆油と精製綿実油が適する。
本明細書で用いられる“グリセリド脂”という用語は、約25℃以上で固体又
は可塑性であるトリグリセリド組成物に関する。これらの固体又は可塑性脂肪は
植物又は動物に由来しても、あるいは食用合成油脂であってもよい。例えば、室
温で固体であるラード、獣脂、オレオ油、オレオストック、オレオステアリン等
のような動物脂肪が利用できる。更に、トリグリセリド油、例えば不飽和植物油
は液体油の易流動性を妨げる堅い格子状の結晶構造を形成するために、油の脂肪
酸部分の不飽和二重結合の部分的水素付加とその後に慣用的な冷却及び結晶化技
術によるか、又は室温で固体である十分なトリグリセリドとの適正な混合により
、可塑性脂肪に変換することができる。固体又は可塑性脂肪の他の例に関しては
、1967年11月28日付で発行されたPurvesらの米国特許第3,355,3
02号及び1975年2月18日付で発行されたDarraghらの米国特許第3,8
67,556号明細書参照(参考のため本明細書に組み込まれる)。
3.低カロリー脂肪組成物の処方
本発明のスナック食品で用いられる脂肪組成物は、非消化性脂肪成分と慣用的
トリグリセリド油脂成分を望ましい割合で混合することにより処方できる。
これらの脂肪組成物は約70〜100%の非消化性脂肪と0〜約30%のトリ
グリセリド油脂からなる。好ましくは、このような組成物は約80〜100%の
非消化性脂肪と0〜約20%のトリグリセリド油脂からなる。更に好ましくはこ
のような組成物は約90〜100%の非消化性脂肪と0〜10%のトリグリセリ
ド油脂からなり、最も好ましくはこのような組成物は約95〜100%の非消化
性脂肪と0〜約5%のトリグリセリド油脂からなる。
4.本発明で用いられる低カロリー脂肪組成物の物理的及び化学的特徴
望ましい特徴を有する本発明の低水分調理スナック食品にとり、食用基材中及
び/又はその上に配合される低カロリー脂肪組成物はあるレオロジー特徴を有し
ていなければならないことがわかった。特に、本発明のスナック食品で用いられ
る低カロリー脂肪組成物は口内温度(92°F、33.3℃)で約25〜約15
0kPa/s範囲内のワキシー/グリーシーチキソトロピー面積値を有していなけれ
ばならない。好ましくは、低カロリー脂肪組成物は約40〜約140kPa/s、更
に好ましくは約55〜約130kPa/s、最も好ましくは約70〜約120kPa/s範
囲内のワキシー/グリーシーチキソトロピー面積値を有する。
本明細書で用いられる“ワキシー/グリーシーチキソトロピー面積値”という
用語は脂肪組成物のレオロジー測定に関するもので、特定の剪断条件下で脂肪の
物理的構造を破壊するために要するエネルギー/単位容量に関する。脂肪組成物
のワキシー/グリーシーチキソトロピー面積値はこれらの組成物を含有したスナ
ック食品のワキシー及びグリーシー感と相関しうることがわかった。前記ワキシ
ー/グリーシーチキソトロピー面積値を有する脂肪組成物は、後記レベルでこれ
らの脂肪組成物を含有した食品に望ましくないワキシー又はグリーシー感を与え
ない。本スナック食品で用いられる脂肪組成物のワキシー/グリーシーチキソト
ロピー面積値は、後の分析方法セクションで更に詳細に記載される操作を用いて
測定できる。
脂肪酸エステル基を含む組成物のような、本スナック食品で有用な低カロリー
脂肪組成物は、いくつかの従来公知の測定法を用いて特徴付けできることにも留
意すべきである。測定には、例えばこのような成分の脂肪酸分、このような成分
のエステル分布の測定及び示差走査熱量計(DSC)による融点測定がある。こ
れらの測定を行う操作は、例えば参考のため本明細書に組み込まれる1992年
2月4日付で発行されたYoungの米国特許第5,085,884号明細書で記載
されている。
II.成分濃度
本発明の低カロリー低水分調理スナック食品は、最終スナック食品の約23〜
約32重量%範囲内の脂肪含有率で特徴付けられる。前記の低カロリー脂肪組成
物を含有して、約23%未満の脂肪含有率を有するスナック食品は望ましい滑ら
かさを有さず、例えばそれらは乾燥すると考えられる。更に、前記の脂肪組成物
を含有して、約32%を超える脂肪含有率を有するスナック食品は、咀嚼時に望
ましくないグリーシー及び/又はワキシー感を有する。しかしながら、前記の脂
肪組成物を含有して、約23〜約32%範囲内の脂肪含有率を有するスナック食
品は望ましい滑らかさと許容されるグリーシー及びワキシー感を双方とも有する
。
好ましくは、本発明の最終スナック食品は、約24〜約30%、更に好ましく
は約24〜約28%、最も好ましくは約24〜約27%範囲内の脂肪含有率を有
する。これらの脂肪レベルを有するスナック食品は、典型的には0〜約4%、好
ましくは0〜約3%、最も好ましくは0〜約2%の含水率を有する。
III.低カロリー低水分調理スナック食品の製造
本発明の低水分調理スナック食品は食用基材中及び/又は上に低カロリー脂肪
組成物を配合することにより製造される。望まれる具体的な脂肪含有率は、調理
前又は中に食用基材の処理、調理後にスナック食品の処理、あるいはそれらの組
合せにより調整される。
A.食用基材中への低カロリー脂肪組成物の配合
低水分調理スナック食品は上記タイプの低カロリー脂肪組成物を上記タイプの
食用基材中及び/又は上に配合している。
食用基材中に低カロリー脂肪組成物を配合する1つの手段は、食用基材の外表
面に低カロリー脂肪組成物を塗布することである。食用基材の表面の一部又は全
部に脂肪組成物を塗布することで製造されるスナック食品は脂肪コート食品と称
される。低カロリー脂肪組成物は食用基材の内部に配合するか又は食用基材中に
配合して、その後その外表面に塗布してもよい。
本発明の低水分スナック食品はこれらの組成物でコートされることが好ましい
。脂肪組成物はイマーシング(immersing)、ディッピング(dipping)、ソーキ
ング(soaklng)、スプレーイング、ブローイング、ポアリング(pouring)、パ
ンコーティング(例えば、回転パンで)、タンブルコーティング、ブラッシング
、ローラー塗布、脂肪組成物の容器でのローリングアラウンド、フォーリング(
falling)フィルム法、エンロービング及びカーテンコーティングを含めた様々
な手段により塗布できる。脂肪組成物は揚げる場合のように食用基材への塗布時
に加熱することができる。所望であれば、脂肪組成物は食品の表面に塗布して、
その後加熱する、例えばベークド食品の場合では焼くことができる。脂肪組成物
は既に脂肪を含有した食品の表面にも塗布できる。表面に塗布されると、脂肪組
成物は典型的には加工ポテトスナック、コーンチップ及びトルティーヤチップの
場合のように食品の内部に吸収される。
クラッカーはそれらが焼かれる場合通常20%以下の脂肪を含有する。典型的
には、それらは8〜15%脂肪レベルの範囲内である。追加の油脂はスプレー器
又はエンローバーで加えられる。本低カロリー脂肪組成物の場合、脂肪はクラッ
カーへの塗布前に170°F(67℃)又はその融点以上に加熱される。好まし
くは、低カロリー脂肪組成物は170〜約250°F(67〜121℃)の温度
で塗
布される。クラッカー中への低カロリー脂肪の吸収を高めるために、クラッカー
は170°F以上でしばらく、通常1〜5分間保たれる。
B.最終スナック食品で望ましい脂肪含有率にする
前記手段による食用基材への低カロリー脂肪組成物の配合で、グリーシーすぎ
るか又は滑らかでないスナック食品を得ることがある。これは最終スナック食品
の脂肪含有率が高すぎるか又は低すぎるためである。例えば、前記の低カロリー
脂肪組成物で完全に揚げられたスナック食品は通常約35〜約50%範囲内の脂
肪含有率を有する。このようなスナック食品は口内で望ましくないグリーシー性
である。望ましい脂肪含有率を有するスナック食品は、調理前又は中に食用基材
の処理、あるいは調理後にスナック食品の処理により得られることがわかった。
1.調理前処理
望ましい脂肪含有率を有するスナック食品を得る1つの方法は、加工ポテトス
ナック又は加工スナックを作るために用いられるドウを調理前に処理することで
ある。例えば、揚げている最中における加工スナック中への脂肪の吸収はスナッ
クピースの厚さを増加させることで減少させることができる。トリグリセリド油
で揚げられたポテトチップの脂肪含有率を減少させる様々な方法が試みられた。
しかしながら、ポテトチップは、全ポテトスライス又はピースから作られたポテ
トチップにおいて脂肪がチップの中心に容易には移動しないという点で、本加工
スナックと異なる。ドウから作られた低水分製品では、脂肪はスナックピースの
中心に移動できる。
揚げている最中に加工スナックにより吸収される脂肪の量を減少させるもう1
つの方法は、揚げる前に対流又はマイクロ波加熱による等で加工ポテトスナック
を部分的に乾燥させることである。加えて、薄い親水コロイド膜(例えば、セル
ロースエーテル、高アミロースデンプン、タンパク質等)による生加工ポテトス
ナックのコーティングは揚げている最中の脂肪吸収を制限して、より低い脂肪含
有率を有する最終チップを作る。
揚げている最中に加工スナックにより吸収される脂肪の量は、揚げる前にドウ
水分レベルの慎重なコントロールにより、及び/又は加工スナックを製造するた
めに用いられるドウ中にマルトデキストリンを配合することにより制限できる(
例えば、1990年9月21日付で出願されたLodgeの米国特許出願第07/4
38,275号明細書参照;参考のため本明細書に組み込まれる)。ベークドス
ナック食品の場合、最終スナック製品の脂肪含有率はドウの処方と局所コーティ
ング又は添加の量によりコントロールできる。
プルーファー(proofer)ボックスは揚げる前にドウ内で水分を平衡化するた
めにトルティーヤスナック製造で用いられる。このプロセスは本加工スナックで
使用できる。
2.調理中における食用基材の処理
低カロリー脂肪組成物が揚げることで食用基材中に配合されたとき、食用基材
により吸収される脂肪の量はフライヤーで温度プロフィルを高めながら低い初期
温度で揚げることにより制限できる(1992年8月11日付で発行されたBens
onらの米国特許第5,137,740号及び1978年7月26日付で公開され
たスウェーデン特許出願第1,519,049号明細書参照)。加えて、加工ポ
テトスナック又は加工スナック製品を低カロリー脂肪組成物の薄膜でコートし、
その後対流又はマイクロ波オーブンで焼くことにより、最終スナック製品で望ま
しい脂肪含有率にすることができる(1988年7月12日付で発行されたDreh
erらの米国特許第4,756,916号、1981年8月付で発行されたYaunら
の米国特許第4,283,425号及び1983年8月16日付で発行されたMe
htaらのカナダ特許第1,151,945号明細書参照)。
3.調理後処理
望ましい脂肪含有率を有するスナック食品を得るもう1つの方法は、それが食
用基材中及び/又は上に配合された後で低カロリー脂肪組成物の一部を除去する
ことである。低カロリー脂肪組成物は、スナック食品からトリグリセリド脂肪の
除去のための慣用的な揚げ後処理によりスナック食品から除去してよい。例えば
、脂肪はスチーム除去(例えば、1990年6月12日付で発行されたNeelらの
米国特許第4,933,199号及び1992年12月15日付で発行されたYo
ungらの米国特許第5,171,600号明細書参照)、あるいはスナック食品
に含有される表面及び内部脂肪の一部を溶解させるために超臨界CO2又はヘキ
サンのような溶媒でのスナック食品の処理(1964年3月31日付で発行され
たGoulstonの米国特許第3,127,271号及び1992年3月5日付で公開
されたKazlasらの国際特許出願US第91‐05950号(公開番号WO92/
03064)明細書参照)により、スナック食品の表面から除去できる。脂肪は
非消化性脂肪組成物に低い溶解度を示す液体、例えばエタノールにスナック食品
を約0.5〜約5分間浸漬して、スナック食品の表面から脂肪を物理的に洗い落
とすことにより、スナック食品の表面から除去してもよい。次いでスナック食品
の残留溶媒は真空下オーブンで除去される。
加えて、脂肪はスナック食品を揚げた後に熱風又は窒素の吹付けと接触させる
か(例えば、1985年8月27日付で発行されたBernardの米国特許第4,5
37,786号明細書参照)、あるいはフライドスナック食品の遠心と同時にス
ナック食品と過熱スチーム、飽和スチーム又はスチームと乾燥熱風の混合物との
接触(1974年11月19日付で発行されたHaiらのカナダ特許第957,8
96号明細書参照)により、スナック食品の表面から除去できる。
分析試験方法
本発明の要素を特徴付けるために用いられるいくつかのパラメーターは、特定
の実験分析操作により定量される。これら操作の各々は以下で詳細に記載されて
いる:
1.ポリオールポリエステルの固体脂肪含有率(SFC)
SFCはYoungらに発行された米国特許第5,085,884号明細書、第2
1欄、41〜65行目(参考のため本明細書に組み込まれる)で記載されたよう
に測定される。分布勾配が℃で計算されるとき、分布勾配は1.8の係数で異な
ることに注意せよ。
2.ポリオールポリエステル液体/固体安定率測定
ポリエステルのサンプルはそれが完全に溶融するまで190°F(87.8℃
)以上の熱水浴で加熱され、その後十分にミックスされる。次いでサンプルは1
00°F(37.8℃)で4.4ml遠心管中にいっぱいに注がれる。次いでサン
プルは定温室中100°F(37.8℃)で24時間再結晶化させる。次いでサ
ンプルはベックマン(Beckman)モデルSW60ローターにおいて100°F(3
7.8℃)で1時間にわたり60,000rpmで遠心する。サンプルで最大の(
即ち、管の底における)力は485,000gである。次いで分離された液体率
が液相及び固相の相対的高さを比較することにより測定される。液相の高さはメ
ートル定規を用いて測定され、mmで記録される。サンプルの高さも同様に測定さ
れ、mmで記録される。2mm(管底の湾曲による補正)が真っ直ぐな壁の高さに加
えられて、“全高さ”を得る。液体/固体安定率(%)=100×(全サンプル
高さ−液体油高さ)/全サンプル高さ
3.低カロリー脂肪組成物のワキシー/グリーシーチキソトロピー面積値
本発明で用いられる低カロリー脂肪組成物は、これらの脂肪組成物を含有した
スナック食品により付与されるワキシー又はグリーシーな口内感と相関するある
レオロジー特徴を示す。この方法は、固体成分が慣用的ポテトチップで典型的な
冷却プロフィルで結晶化された低カロリー脂肪組成物のワキシー/グリーシーチ
キソトロピー面積値を決定するために用いられる。
この方法において、剪断応力はコーン及びプレートレオメーターを用いて0〜
800s-1の剪断速度の関数として測定される。剪断速度は最初に0s-1から8
00s-1まで2分間かけて増加させ、その後92°F(33.3℃)で2分間か
けて0s-1に戻す。ワキシー/グリーシーチキソトロピー面積は上昇及び下降流
動曲線間のヒステリシスの面積である。
A.レコーダーの設定
冷却プロフィルテンプレートを時間がX軸になるようにX‐Yレコーダー〔ヒ
ューストン・インストルメンツ(Houston Instruments)モデル200〕におく
。この場合において、用いられる冷却プロフィルは慣用的ポテトチップの冷却プ
ロフィルと類似し、すべてのディープ脂肪フライド塩味スナック製品に典型的で
ある。レコーダースイッチをテンプレートに書き込まれたパラメーターにセット
し、その後下記のように設定する:
1.カリブレーターを50mVにセットする。
2.ゼロ電位差計をペンがレコーダーで50°Fを示すまで調整する。
3.カリブレーターを190mVにセットする。
4.スパン電位差計をペンがレコーダーで190°Fを示すまで調整する。
上記ステップ1〜4はペンが調整せずに適正な温度を示すまで繰返す。次いでス
トリップチャートレコーダーを熱電対リーダー〔オメガ(Omega)#199A〕
のアナログインプットに接続する。
B.サンプル調製
低カロリー脂肪組成物のサンプルを完全溶融するまで加熱し、その後十分にミ
ックスする。次いでサンプル8gを秤量パン〔VWRサイエンティフィック
(Scientific)#25433-008〕にいれて秤量する。熱電対(オメガ#5TC-T-36-360
.005インチタイプT)をパンのほぼ中央でサンプルに浸漬し、熱電対チップ
がパンの底に触らないように注意を払う。次いでパンをホットプレート上におき
、約240°Fに加熱する。この温度に達したら、レコーダーを始動させ、パン
をホットプレートから除き、ラボベンチ(lab bench)の上におく。サンプルの
温度はテンプレートで示される冷却曲線を正確にたどるようにコントロールする
。これは、パンを静かに振動させて冷却を促進し、ラボベンチ上からパンを除い
て冷却速度を遅くすることにより行う。この冷却プロセスは終了まで約3分間要
し、その後熱電対を除く。次いで低カロリー脂肪サンプルを、ワキシー/グリー
シーチキソトロピー面積の測定前に、約70°Fで7日間テンパリングする。
C.レオメーター調整
レオメーター〔2、5及び7cmコーン装備のコントレーブス・レオマット(Co
ntraves Rheomat)115A,角度2°〕をコンピューターに接続し、下記条件
下で調整する:
プログラム設定
データ出力条件
測定ポイント1〜15のプリントアウト
ワキシー/グリーシーチキソトロピー面積値の計算
プリントアウト結果
D.コーン選択
CP‐8(2cm)コーンを用いて、この方法に従いサンプルのワキシー/グリ
ーシーチキソトロピー面積を測定する。ワキシー/グリーシーチキソトロピー面
積が200kPa/sより大きければ、最大精度に達していた。ワキシー/グリーシ
ーチキソトロピー面積が50〜200kPa/sであれば、その方法は最大精度を得
るためにCP‐6(5cm)コーンを用いて繰返すべきである。ワキシー/グリー
シーチキソトロピー面積値が0〜50kPa/sであれば、その方法は最大精度を得
るためにCP‐10(7cm)コーンを用いて繰返すべきである。
E.トルク設定
レオメーターは、測定ヘッドをプレートから持上げ、その後調節ノブの左にあ
るトルクメーターが“+000”になって“+”フラッシングするまで、レオメ
ーターのフロントパネルにあるノブを調節することにより、トルクについて設定
する。
F.温度設定
分析中におけるサンプルの温度は33.3±0.1℃で維持するべきである。
約33.3℃に達するように再循環浴を調整した後、少量の油をプレートに塗り
、コーンをプレート上におき、熱電対プローブをコーンとプレートとの間のギャ
ップに挿入し、その後その温度で数分間平衡化させることにより、プレート温度
をチェックする。次いで温度をプレート温度が33.3±0.1℃になるまで浴
温を調節しながら読取る。
G.サンプル分析
低カロリー脂肪サンプル約4gをレオメータープレートに適用する。次いでコ
ーンアセンブリーをサンプル上にゆっくりと下降させ、プレート上にしっかりと
設置する。この時点で、流動曲線プログラムを開始する。ランの終了時に、レポ
ートは流動曲線及び計算されたワキシー/グリーシーチキソトロピー面積値につ
いて最初の15データポイントをリスト化してプリントアウトする。ワキシー/
グリーシーチキソトロピー面積は上昇及び下降流動曲線間のヒステリシス面積で
あり、ワキシー/グリーシーチキソトロピー面積値(kPa/sec)として報告する
。
4.加工ポテトスナックの脂肪含有率
加工ポテトスナックの脂肪含有率は下記のようなソックスレー抽出で調べるこ
とができる:装置/試薬
ソックスレーHT6抽出器、水浴、熱油浴、抽出ビーカー、抽出シンブル、真
空乾燥オーブン、窒素パージガス、塩化メチレン、沸石、ガラスウール操作
1.抽出シンブルを秤量し(四ケタ0.0001まで)、風袋として記録する
。
2.約8〜12gの粉砕チップサンプルをシンブル中にいれ、全重量として記
録する(0.0001まで)。
3.シンブル中でチップサンプルの上にガラスウールをおいて、シンブル中に
チップを含有させる。
4.抽出ビーカー中に2〜3個の沸石をいれ、秤量し、風袋として重量を記録
する(0.0001まで)。
5.塩化メチレン50mlを抽出ビーカーに加える。
6.抽出ビーカーとチップサンプルを含有したシンブルを抽出器中にいれる。
7.油浴を110℃及び水浴を28.3℃にセットし、平衡化させる。
8.シンブルを抽出ビーカー中に下げ、コンデンサー豆コックを開いて60分
間沸騰させる。
9.抽出ビーカーからシンブルを持ち上げて、60分間リンスする。
10.コンデンサー豆コックを閉鎖位置に回し、窒素でパージし、塩化メチレ
ンを60分間蒸発させる。
11.抽出ビーカーを真空オーブン中に120℃で30分間おく。
12.抽出ビーカーを室温まで冷却させ、(0.0001まで)秤量し、最終
重量(ビーカー、沸石及び抽出脂肪の重量)として記録する。計算
1.チップサンプル重量=全重量(ステップ2)−風袋重量(ステップ1)
2.抽出脂肪重量=最終重量(ステップ12)−風袋重量(ステップ4)
3.脂肪含有率(%)=〔抽出脂肪重量/チップサンプル重量〕×100
5.加工低水分スナックの含水率
スナック製品の含水率は下記のような強制空気オーブン揮発性物質法で調べる
ことができる:装置
強制空気オーブン、ふた付きアルミニウム缶、キャビネットタイプデシケータ
ー操作
1.缶及びふたを0.0001gまで秤量し、風袋重量として重さを記録する
。
2.2〜3gの粉砕チップサンプルを缶にいれ、0.0001gまで秤量し、
全重量として記録する。
3.オーブン温度を105℃にセットする。
4.チップサンプルを含有した缶をふたなしでオーブンに1時間いれる。
5.サンプルを含有した缶をオーブンから取出し、缶にふたして、室温に冷却
されるまでデシケーターにいれる。
6.缶、ふた及び乾燥サンプルを0.0001gまで秤量し、最終乾燥重量と
して記録する。計算
1.サンプル重量=全重量−風袋重量
2.最終重量=ステップ6で記録された重量
3.含水率(%)=〔(全重量−最終重量)/サンプル重量〕×100
例
例1
加工ポテトチップドウピースは下記成分を用いてバッチスケールで製造する:
ポテト粉、マルトデキストリン及びスクロースを予め計量して、クージナート
(Cousinart)に加える。計測量の蒸留水及び乳化剤をビーカー中にいれて、マ
イクロ波オーブン中100°Fで加熱する。水及び乳化剤を短時間攪拌し、その
後クージナートに加える。完全混合物を2分間ブレンドし、停止し、側面をかき
とる。次いで混合物を更に2分間ブレンドする。ブレンドされた物質をツインブ
レードセルフワイピングミキシングヘッド装備のファリナグラフ(Farinagraph
)に移して、ヘッドを100°Fで保つ。ファリナグラフを350ブラベンダー
単位(BU)の読取り値に達するまで100rpmでランする。次いでドウをミキ
シングヘッドから除去し、ラフなボール形に押し出して、ロールミルに移す。次
いで各ボールをセットギャップ3〜5mmの8″ツインロールミルに通して、約2
3〜27mmのシート厚さを得る。次いでシートをピースに切断する。
ドウピースを100%スクロースポリエステルフライ油で20〜25秒間揚げ
る。フライ油は下記特性を有する約6%固体非消化性粒子及び約94%液体綿実
スクロースポリエステルからなるブレンドである:
液体スクロースポリエステルは下記特性を有する:
フライ油は115kPa/sのワキシー/グリーシーチキソトロピー面積値を有す
る。油は350°Fの温度でフライヤーに入り、約330°Fで出る。
固体非消化性粒子は、エステル基が大豆油に由来する脂肪酸及びC22飽和脂肪
酸から形成されている、スクロースポリエステルから形成する。固体スクロース
ポリエステルは下記特性を有する:
フライ油のワキシー/グリーシーチキソトロピー面積値は95kPa/sである。
最終加工ポテトチップは26.9%の脂肪含有率を有する。
例2
トルティーヤチップをアルカリ処理コーンドウ、即ちマサ(masa)から作る。
マサを作るために、乾燥コーンをスチームジャケット容器中の水及びライム溶液
(pH=11.2)に浸漬する。混合液を加熱沸騰させ、その後115〜140
°F(46〜60℃)に冷却する。コーンをコーンの含水率が約50%に達する
まで8〜24時間浸す。浸漬後にコーンを洗浄し、その後均一に粉砕又は破砕し
てドウ(マサ)にする。マサドウを0.050〜0.060″の厚さでシート化
し、ドウピースに切断する。ドウピースを750〜900°F(400〜480
℃)の温度で12〜18秒間オーブン中で部分的に焼く。オーブンから出した部
分的調理ドウピースの含水率は35〜40%である。
次いでドウピースをフライ油含有の5lb(約2.3kg)容量バッチフライヤー
でバッチ式に揚げる。フライ油は約6%固体非消化性粒子及び約94%液体大豆
スクロースポリエステルからなるスクロースポリエステルブレンド100%であ
る。フライ油のワキシー/グリーシーチキソトロピー面積値は75kPa/sである
。フライ油は365°F(185℃)の温度で維持する。ドウピースを約90秒
間揚げる。フライヤーからの除去時に、最終トルティーヤチップは26.8%の
脂肪含有率及び約1.0%の含水率を有する。
例3
クラッカードウは下記処方とミキシング操作を用いて水平バッチミキサーで作
る:
これらの成分を一緒にブレンドし、その後65rpmで90秒間ミックスする。
トレムタブ(Trem Tab)はパン屋から容易に入手できる酵素錠剤である。
を加え、45rpmで180秒間ミックスする。次いで、
を加え、45rpmで480秒間ミックスする。
この処方で用いられるスクロースポリエステルブレンドは8%固体非消化性粒
子及び92%液体大豆スクロースポリエステルを含有している。それは約110
kPa/sのワキシー/グリーシーチキソトロピー面積値を有する。
ドウを75〜80°F(約24℃)の最終温度までミックスし、その後連続ク
ラッカーカッター及びベーキングオーブンに供給するシーター/ロールミル中に
いれる。ロールミルは0.050インチの厚さを有するシートにドウを成形する
。
クラッカーをドウシートから切断し、クラッカードウを3ゾーン間接燃焼オー
ブン中平均温度約458゜F(236℃)で3.5分間焼く。焼いた後、製品を
室温まで冷却させる。それは<3%の含水率及び9.8%のスクロースポリエス
テル含有率を有する。
次いでクラッカーを小さなラボオーブンで250°F(121℃)に製品全体
でその温度に達するまで十分な時間にわたり再加熱する。上記クラッカードウ処
方
で用いられた場合と同様の組成のスクロースポリエステルを175°F(79℃
)に加熱し、27.4重量%増加となるようなレベルでクラッカーの上表面にス
プレーする。この時点におけるクラッカーの全スクロースポリエステル含有率は
29.2%である。クラッカーを175°F(79℃)で1〜5分間オーブン中
に戻し、その後取出して、室温まで冷却する。試験では、製品の表面上にスプレ
ーされたスクロースポリエステルがクラッカーマトリックス中に約半分まで浸透
したようである。クラッカーはグリーシーな外観、接触時のグリーシー性又は咀
嚼時のグリーシー性を有しない。クラッカーは同等の脂質レベルのトリグリセリ
ドクラッカーと同じ位に滑らかである。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AU,BB,BG,BR,BY,CA,
CN,CZ,FI,GE,HU,JP,KG,KP,K
R,KZ,LK,LV,MD,MG,MN,MW,NO
,NZ,PL,RO,RU,SD,SI,SK,TJ,
TT,UA,UZ,VN
(72)発明者 ビーダーマン,デイビッド トーマス
アメリカ合衆国オハイオ州、シンシナチ、
パクストン、ウッズ、ドライブ、4123
(72)発明者 リース,ロバート ダニエル
アメリカ合衆国ケンタッキー州、エッジウ
ッド、フォーンヒル、ドライブ、914