【発明の詳細な説明】
多重溶剤クリーニング系
本出願は、出願第801,199号(1991年12月2日出願)の一部継続
出願である。技術的分野
本発明は、汚染された物品をクリーニングする方法と装置及びその装置に関し
、さらに詳しくは、部品クリーニングのための有機溶剤と非引火性フルオロカー
ボン溶剤とを用いる非水性クリーニング系における部品の脱フラックス(deflux
ing)又は脱脂に関する。背景技術
溶剤蒸気相脱脂及び脱フラックスは、汚れた基体(例えば、印刷回路板、又は
金属、ガラス、セラミック、プラスチック若しくはエラストマーの二次加工部品
若しくは複合体)を沸騰する非引火性液体(例えば、クロロカーボン又はクロロ
フルオロカーボン又は混合物)中に浸漬し、次にこの部品を第2タンク若しくは
クリーニング帯において第1クリーニング帯において用いたものと同じクロロカ
ーボン若しくはクロロフルオロカーボンであるクリーニング溶剤による浸漬又は
留出物噴霧によってすすぎ洗いするプロセスである。次に、冷却した部品を凝縮
する蒸気(condensing vapor)中に温度が平衡に達するまで維持することによっ
て、部品を乾燥させる。
多様な種類の部品の溶剤クリーニングは一般にバッチ式、ホイスト補助(hois
t assisted)バッチ式、コンベヤーバッチ式、又はイン−ライン型コンベヤー式
脱脂器(degreaser)及び脱フラックス器(defluxer)装置中で行われる。この
ようなイン−ラインコンベヤー式脱脂器及び脱フラックス器装置とは、本発明の
譲り受け人に共通に譲渡された米国特許第5,007,179号(名称:“冷風
ロック蒸気シール(Cold Air Lock Vapor Seal)”に開示されている。部品を例
えば、これも共通に譲渡された米国特許出願第07/587,893号(199
0年9月25日出願)に開示されるように、オープントップ(open top)脱フラ
ックス器又は脱脂器装置においてクリーニングすることもできる。両方の種類の
装置において、装置の入口端部及び/又は出口端部は一般に周囲環境と、装置内
の溶剤の両
方と開放連絡する。対流又は拡散による装置からの溶剤の損失を最小にするため
に、当該分野で一般に実施されることは、Randへの米国特許第4,261,
111号に開示されるような、脱脂器/脱フラックス器タンク内の高温帯又は周
囲帯(ambient zone)領域上に凝縮蒸気ブランケットを生じる水冷式又は冷媒冷
却式コイルを用いることである。
それ故、上記溶剤蒸気相脱脂プロセスでは、単一種類の有機クロロカーボン又
はクロロフルオロカーボン(CFC)流体を用いて、クリーニング、すすぎ洗い
及び乾燥工程を実施することが知られている。CFC−113とFreon型溶
剤との使用は今までに特にポピュラーであった。しかし、環境中へのその蒸気拡
散は最近の科学研究において、好ましくない地球上成層圏オゾン枯渇の多くの可
能な原因の1つであると推論されており、このようなクロロフルオロカーボンの
生産と使用は最近規制されており、90年代の終わりまでには(by theend of
this decade)合衆国において段階的に排除される。
環境上の関心に応じて、CFCベース蒸気相脱脂及び脱フラックスプロセスの
より環境的に受容される代替え物を提供するために、この数年間にヒドロクロロ
フルオロカーボン(HCFC)ベース溶剤が開発されている。これらの物質は種
々なクリーニング用途のために優れたCFC代替え物であると判明しているが、
これらはこれらが代替えするCFCよりは非常に低いとは言え、まだ、小さい、
限られたオゾン枯渇力を有するので、CFCの一時的な(interim)代替え物で
あると見なされる。このため、これらのHCFC溶剤も近い将来において地球上
から段階的に除去するように提案されている。塩素、臭素又はヨウ素原子を含ま
ない有機溶剤は成層圏オゾン枯渇の一因にはならないと、一般に考えられている
。しかし、塩素、臭素又はヨウ素原子を含まない有機化学製品(例えば、炭化水
素、アルコール、エステル、エーテル、ケトン等)は通常、好ましくない引火性
又は反応性を含む。過フッ素化炭化水素及びヒドロフルオロカーボンは多くの好
ましい溶剤特性:オゾン枯渇力ゼロ;安定性、不反応性かつプラスチックとの高
い相容性;良好な排水力(water displacement potential);一般に非毒性;及
び不活性を有し、蒸気相溶剤クリーニング装置に理想的に適する。しかし、パー
フルオロカーボンは多くの一般的な有機汚れ及び無機汚れ(例えば、フラックス
)に対
して非常に不良な溶剤であると判明している。ヒドロフルオロカーボンは分子上
のフッ素含量の量が減少するので、パーフルオロカーボンに比べて改良された(
但し、まだ限定された)クリーニング力を提供するが、低フッ素含量炭化水素は
それらの炭化水素類似体と同等な、好ましくない引火性を示し始める可能性があ
る。ヨーロッパ特許公報第431,458号(1991年6月12日発行)は、
クリーニング用組成物として有用である、式:CnFmH2n+2m[式中、4≦n≦
6及び6≦m≦12]で示される脂肪族炭化水素を開示する。この参考文献は、
脂肪族ヒドロフルオカーボンが汚れた部品からのフラックス、脂肪と油、及びダ
ストの除去における活性成分であることを開示する。この参考文献は、フラック
スを溶解するための溶解性を高めるために、炭化水素、アルコール、エステル及
びケトンから選択した溶剤を0.5〜30重量%の量で脂肪族ヒドロフルオロカ
ーボンに加えることができることを教えている。
例えば水性クリーニングのような、他の種類のクリーニング方法も存在する。
水性クリーニングは一般に、洗剤又は界面活性剤の水溶液中で基体又は部品をク
リーニングした後に、精製水によって多重すすぎ洗いすることを含む。この部品
を次に空気中での時間のかかる蒸発によって又はエネルギー集約的な加熱乾燥装
置によって乾燥させる。この方法は乾燥のための高いエネルギー費用、地下水に
下水として流す(sewering)前に州及び地方の当局によって要求される水性廃水
浄化を満たすための付加的な設備投資及び操作費用負担のために必ずしも好まし
いとは限らない。
他のクリーニング方法、半水性クリーニングは、部品からクリーニングされる
油、ワックス及び脂に対して高い親和性を有する、例えばテルペン、エステル又
は石油留出物をベースとする炭化水素溶剤中で、界面活性剤を用いて又は用いな
いで、基体をクリーニングすることから成る。クリーニングした基体から高沸点
炭化水素溶剤を精製水を用いる多数回のすすぎ洗い工程によってすすぎ落とす。
炭化水素溶剤をクリーニングサンプ(sump)に段階的に分離して戻し、水性流出
液は地下水に下水として流す前に処理しなければならない。その結果、上記水性
クリーニング方法と同様に、乾燥エネルギー及び廃水流出液の処理に関連した高
い費用が明らかである。他の欠点は、炭化水素溶剤が通常、引火点を有するので
、
爆発を避けるために、これを例えば窒素のような、非引火性の圧縮ガスで細心に
処理するか又は被覆しなければならないことである。窒素ガスは凝縮帯に含まれ
るフルオロカーボンの濃厚な蒸気よりも非常に不安定である。さらに、クリーニ
ングすべき基体が炭化水素溶剤と相容性であるような、多くの用途では、一部の
プラスチック又は金属が水性すすぎ洗い溶剤と非相容性であり、基体の吸水又は
錆びを生じる。発明の開示
したがって、環境に安全なやり方で部品を脱脂又は脱フラックスする非水性ク
リーニング系を提供することが、本発明の1つの目的である。
本発明の他の目的は、すすぎ洗いのために水を用いず、水性廃水浄化を必要と
せず、物質が水と非相容性である場合に非水性クリーニング系を用いることがで
きるように、非水性クリーニング系を提供することである。
さらに他の目的は、すすぎ洗い流体の時間のかかる、空気中での蒸発又はエネ
ルギー集約的な加熱乾燥方法による乾燥の必要性を避ける非水性クリーニング系
を提供することである。
さらに他の目的は、部品をクリーニングするための有機液体クリーニング剤と
、部品から有機クリーニング剤をすすぎ落とすための、有機洗剤に対して少なく
とも軽度な溶解性を有するすすぎ剤(rinsing agent)とを用い、すすぎ剤が少
量のエネルギーによって部品から乾燥することができる非水性クリーニング系を
提供することである。
本発明によって、部品から残留汚れ又は表面汚染を除去するための非水性クリ
ーニング方法は、前記汚染を実質的に除去するために充分な溶解性を有する有機
クリーニング流体と部品を接触させる工程と、次に部品を有機流体から取り出し
て、基体から同流体を除去するために該有機クリーニング剤に対して少なくとも
ある程度の溶解性を有するすすぎ剤中ですすぎ洗いする工程を含む。基体に対し
て、すすぎ剤中に浸漬又はすすぎ剤を噴霧又はすすぎ剤の蒸気に暴露又はこれら
の組合せを実施する。蒸気から取り出すときに、部品は本質的に清浄であり、乾
燥している。好ましくは、本発明の非水性クリーニング系は2タンククリーニン
グプロセスを用い、第1タンクは有機溶剤を含み、第2タンクはすすぎ剤を含む
。
クリーニングすべき部品又は基体をクリーニングタンクからすすぎ洗いタンクに
周知のコンベヤー又はホイスト手段を用いて運搬することができる。タンクは周
知のイン−ラインコンベヤー化脱脂/脱フラックス装置の一部、分離オープント
ップ脱フラックスタンク、又はクリーニング及びすすぎ洗いタンク若しくはサン
プを含むように改良されたオープントップ脱フラックスタンクであることができ
る。
本発明の他の態様によると、部品から残留汚れ又は表面汚染を除去するための
非水性クリーニング方法は、部品から残留汚染を除去するために充分な溶解性を
有する有機流体中に基体又は部品を導入する工程を含む。次に、部品を第1有機
流体溶剤が示す溶解性よりも汚れ又は表面汚染に対して軽度な溶解性を有するが
、第1溶剤に対しては優れた溶解特性を有する第2有機溶剤と接触させることに
よってすすぎ洗いする。第2溶剤(すすぎ剤)は好ましくは、炭素原子2個以上
から成る有機バックボーンに付着した少なくとも1個のフッ素原子を含み、やは
りバックボーンに付着した、例えば酸素、硫黄、窒素、リン、水素又は他のハロ
ゲン原子のような、他の原子も任意に含む、溶剤のフルオロカーボン種類から選
択することができ;これよりは好ましくないが、すすぎ剤を例えばアルコール、
エーテル、エステル、ケトン、炭化水素、及び他の非水性媒質のような、他の種
類の溶剤から選択することもできる。次に、部品を第1有機クリーニング溶剤の
引火性又は、引火性であるならば、第2すすぎ洗い溶剤の引火性をも軽減する又
は弱める不活性蒸気ブランケット下に維持することによって乾燥させることがで
きる、この場合に、このような引火性遮蔽蒸気ブランケットは窒素、二酸化炭素
、パーフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン若しくはヒドロクロロカーボ
ンの少なくとも1種によって形成することができる。
1実施態様では、炭化水素溶剤とフルオロカーボン溶剤との溶液を任意に脱脂
器中で可溶化剤としての界面活性剤と一緒に混合する系においてクリーニングを
実施することができる。より揮発性であるフルオロカーボンは引火性抑制ブラン
ケットを形成する。同じフルオロカーボンを初期浸漬又は噴霧液体すすぎ洗いの
ための隣接すすぎ洗いサンプに用いることができ、この後に蒸気中での最終すす
ぎ洗いを実施する。
最も簡単な実施態様では、炭化水素溶剤と低沸点フルオロカーボンとの溶液を
任意に可溶化剤としての界面活性剤と一緒に混合する系においてクリーニングを
実施することができる。より揮発性であるフルオロカーボンは引火性抑制ブラン
ケットを形成し、クリーニング性混合物中に浸漬した汚染部品を凝縮性フルオロ
カーボン蒸気中に充分に長い時間維持する場合には、部品を蒸気相から清浄な状
態で取り出して、乾燥させることができる。
本明細書で用いるかぎり、“炭化水素溶剤”なる用語は、少なくとも1個の水
素原子と少なくとも1個の炭素原子とを有する溶剤を意味する。
有機クリーニング溶剤はエステル部分に少なくとも1個の炭素原子を有する直
鎖又は分枝鎖アルキル又はアルカノールモノカルボン酸エステル又はジカルボン
酸エステルから選択することができ、このような溶剤は最も好ましくは200°
F(93℃)を越える引火点を有し、これより好ましくはないが、150°F(
66℃)を越える引火点を有する。有用なエステルには、メチルエステルと、ア
ジピン酸、コハク酸及びグルタル酸のジメチルエステル混合物とを含む。有機流
体は環内又は環外に、少なくとも1個のオレフィン結合を含む、線状又は環状炭
化水素から選択することもできる。
炭化水素クリーニング剤はピネン及び/又はカンフェンを含むか、又はテルピ
ネン、リモネン、テルピノレン、テルピネオール、リナレオール及びテルペン類
の他の関連要素を含むことができる。
有機クリーニング溶剤はC10−C30化学種を含む線状、分枝又は環状炭化水素
から成ることもできる。
有機クリーニング流体は、R1〜R12基によって置換され、1〜2個の水素原
子又は炭素数1〜6のアルキル基又は両方が置換基を構成することができるオレ
フィン部分を含む炭化水素、すなわち
を含むこともできる。
有用な例は1,5−ジメチルシクロオクタジエンを含む。
この有機クリーニング流体は線状構造(1):
R(CH2)nOH (1)
R=H、ヒドロキシル
[式中、nは1〜20から選択される]
又は分枝構造(2):
[式中、nは1〜20から選択される]
又は環状構造(3):
[式中、R1〜R9はアルキル基又は水素基又はこれらの混合物として定義され、
nは0〜6として定義される]
によって定義される非環状又は環状モノオール又はジオールから成ることもでき
る。有用なジオールはシクロヘキサノール及びポリエチレングリコール(MW2
00)(ポリエーテルジオール)を含む。
有機流体は線状、分枝又は環状モノケトン又はポリケトン、例えば
[式中、nは0〜6として定義され、R1〜R10はアルキル又は水素基又はこれ
らの混合物として定義される]
から成ることができる。有用な環状ケトンはシクロヘキサノンを含む。
本発明に適用可能な、他の有機クリーニング流体は:
(a)式:R−CN
[式中、Rはアルキル基(メチル、エチル等)、フェニル基、若しくはアルキル
置換フェニル基である]
で示されるアルキル又はアリールニトリル;
(b)式:
で示されるアルキルベンゼン;
(c)例えば、式:
で示されるアルキルエステル;
(d)式:
[式中、R1はH、アルキル又はヒドロキシル基によって定義される化合物の種
類から選択され、R2はH又はアルキル又はフルオロアルキル基によって定義さ
れる化合物の種類から選択される]
で示されるポリエーテルアルカノール;
(e)式:
[式中、R1〜R6は水素、アルキル、フルオロアルキル又はハロゲン基及びこれ
らの組合せ(例えば、トリフルオロベンゼン)から選択される]
から構成することもできる。
このような有機クリーニング溶剤は上記全ての有機クリーニング溶剤と、例え
ば、任意に炭素原子に付着した、置換した酸素、硫黄、窒素、リン若しくは他の
ハロゲン原子を有する線状、分枝若しくは環状のパーフルオロカーボン若しくは
ヒドロフルオロカーボン若しくはヒドロクロロフルオロカーボンのようなフルオ
ロカーボンと、任意に可溶化剤としての界面活性剤との混合物を含むこともでき
る。
フルオロカーボンすすぎ洗い溶剤は少なくとも25℃〜120℃の沸点を有す
る線状、分枝若しくは環状の構造から成るヒドロフルオロカーボン若しくはヒド
ロクロロフルオロカーボン化合物又はこれらの混合物の種類から選択することが
でき、このようなフルオロカーボンは他のハロゲンと酸素、硫黄、窒素及びリン
原子から成る群から選択される他の官能基によって任意に置換することができる
。
好ましいヒドロフルオロカーボン化合物又はヒドロクロロフルオロカーボンは
、少なくとも2モル%の炭化水素クリーニング溶剤がヒドロフルオロカーボン流
体と相分離なしに混和可能であるように、少なくとも25℃〜120℃の沸点範
囲内の有機クリーニング溶剤に対してある程度の混和性を有する。
ヒドロフルオロカーボンは好ましくは3〜8個の炭素原子、水素及びフッ素を
化合物中に含む。沸点は好ましくは25℃〜120℃であり、少なくとも60重
量%のフッ素を含む。この化合物は好ましくは直鎖又は分枝鎖を有する。
本発明は部品から残留汚れ又は表面汚染をクリーニング又は除去するための組
成物を提供する。この組成物は炭化水素溶剤とヒドロフルオロカーボンとの非共
沸混合物を含む。炭化水素成分は組成物全体に基づいて少なくとも2重量%の量
で存在し、部品から残留汚れ又は表面汚染を実質的に除去することができる。ヒ
ドロフルオロカーボン成分は3〜7個の炭素原子と少なくとも60重量%のフッ
素とを有する直鎖又は分枝鎖構造を有し、部品上に残留する炭化水素成分を実質
的に除去することができるが、部品から残留汚れ又は表面汚染を実質的に除去す
ることは関しては炭化水素成分よりも劣る。
脂肪族炭化水素がフラックス、脂肪と油、及びダストを除去するための“活性
成分”であるヨーロッパ特許公報第431,458号(1991年6月12日発
行)のクリーニング組成物とは対照的に、本発明のクリーニング組成物の炭化水
素成分は部品から残留汚れ又は表面汚染を実質的に除去することができる。本発
明のクリーニング組成物のヒドロフルオロカーボン成分は炭化水素成分に対して
優れた溶解特性を有するが、汚れ又は表面汚染に対しては炭化水素成分よりも劣
っ
た溶解特性を有する。
引火性抑制付与を適当な蒸気ブランケット形成化学種の使用によって維持する
ことができる。すすぎ洗い溶剤を他の線状、分枝若しくは環状のアルキル若しく
はアリールアルコール、エステル、ニトロ−、ニトロシクロ−若しくはニトリル
化合物、エーテル、ケトン、炭化水素及び他の非水性媒質から成る化合物又は混
合物から選択することもできる。
本発明のさらに他の目的及び利点は下記の詳細な説明から当業者に容易に明ら
かになるであろう、下記の詳細な説明では、本発明の好ましい実施態様のみを本
発明の実施を考慮した最良の形式を簡単に説明することによって示し、記載する
。認識されるように、本発明は他の異なる実施態様も可能であり、本発明の幾ら
かの詳細を種々な明白な点に関して、全て本発明から逸脱せずに、改良すること
ができる。したがって、図面と説明とを本質的に例示と見なすべきであり、限定
と見なすべきではない。図面の簡単な説明
図1は本発明の多重溶剤非水性クリーニング系に使用可能である、脱脂又は脱
フラックス装置の部分概略図であり;
図2は本発明に使用可能である装置の代替え実施態様を示す概略図であり;
図3は本発明に用いるための装置の代替え実施態様を示す概略図であり;
図4は本発明の系を実施するためのさらに他の代替え装置の部分概略図であり
;
図5は本発明に用いるための装置の他の実施態様であり;
図6は本発明に用いるための装置の他の実施態様である。発明を実施するための最良の形式
本発明は、その最も基本的な形式では、半水性クリーニング方法と溶剤蒸気脱
脂溶剤方法との最も魅力的な特徴が組合わされた、新規な非水性クリーニング方
法である。詳しくは、クリーニングすべき基体又は部品(例えば、ロジンベース
フラックスで被覆した印刷回路板、又は石油、合成若しくは半合成ベース油若し
くは脂肪を塗布した金属若しくは非金属部品)を最初に、フルオロカーボンベー
ス溶剤よりも基体上の汚れ又は汚染物に対して大きい親和性を有する傾向がある
温かい又は周囲温度の炭化水素溶剤中でクリーニングする。部品を次に、好まし
くは炭化水素溶剤よりも低い沸点を有する、非引火性フルオロカーボン溶剤を含
む第2タンク又はクリーニング領域において噴霧又は浸漬によってすすぎ洗いす
る。フルオロカーボン溶剤は炭化水素溶剤に対して少なくとも軽度な溶解性を有
するので、部品の表面から炭化水素溶剤をすすぎ落とす。次に、フルオロカーボ
ン溶剤を部品表面から周知のやり方で蒸発によって乾燥させる。この方法の利益
は、乾燥費用が最小化され、廃水処理費用と装置及び設備投資が実際に除去され
、操作の安全性が改良されることである。さらに、すすぎ洗い工程及び乾燥工程
におけるヒドロフルオロカーボン又はパーフルオロカーボン溶剤の使用によって
、環境上の利益がクロロカーボン又はクロロフルオロカーボン溶剤系に比べて非
常に改良される。
有機クリーニング剤は好ましくは、脂肪族部分に少なくとも6炭素原子を有し
、エステル部分に少なくとも1炭素原子を有する線状又は分枝アルキル若しくは
アルカノールモノカルボン酸エステルから選択される炭化水素である。
有機炭化水素流体は環の内部又は外部に、少なくとも1個のオレフィン結合を
含む、線状又は環状炭化水素から選択することもできる。
炭化水素がピネン又はカンフェンであることもできる。
好ましいヒドロフルオロカーボンは実験式:
C3HnF8-n [式中、1≦n≦4]
で示される化合物を含む。炭素数3ヒドロフルオロカーボンはテトラフルオロプ
ロパン(HFC−254)、ペンタフルオロプロパン(HFC−245)、ヘキ
サフルオロプロパン(HFC−236)及びヘプタフルオロプロパン(HFC−
227)を含む。好ましい炭素数3ヒドロフルオロカーボンはテトラフルオロプ
ロパン及びペンタフルオロプロパンである。テトラフルオロプロパンは下記異性
体を含む:
ペンタフルオロプロパンは下記異性体を含む:
好ましいヒドロフルオロカーボンは実験式:
C4HnF10-n [式中、1≦n≦5]
で示される化合物を含む。
炭素数4ヒドロフルオロカーボンはペンタフルオロブタン(HFC−365)
、ヘキサフルオロブタン(HFC−356)、ヘプタフルオロブタン(HFC−
347)、オクタフルオロブタン(HFC−338)及びノナフルオロブタン(
HFC−329)を含む。ペンタフルオロブタンは下記異性体を含む。
ヘキサフルオロブタンは下記異性体を含む:
ヘプタフルオロブタンは下記異性体を含む:
オクタフルオロブタンは下記異性体を含む:
ノナフルオロブタンは下記異性体を含む:
好ましいヒドロフルオロカーボンは実験式:
C5HnF12-n [式中、1≦n≦6]
で示される線状又は分枝化合物を含む。
炭素数5ヒドロフルオロカーボンはヘキサフルオロペンタン(HFC−476
)、ヘプタフルオロペンタン(HFC−467)、オクタフルオロペンタン(H
FC−458)、ノナフルオロペンタン(HFC−449)、デカフルオロペン
タン(HFC−43−10)及びウンデカフルオロペンタン(HFC−42−1
1)を含む。ヘプタフルオロペンタンは下記異性体を含む。
オクタフルオロペンタンは下記異性体を含む:
最も好ましいオクタフルオロペンタンは、HFC−458mfcfとして当該
技術分野において周知のCF3CH2CF2CH2CF3である。ノナフルオロペン
タンは下記異性体を含む。
デカフルオロペンタンは下記異性体を含む:
ウンデカフルオロペンタンは下記異性体を含む:
好ましいヒドロフルオロカーボンは下記実験式:
C6HnF14-n [式中、1≦n≦7]
で示される線状又は分枝化合物を含む。炭素数6ヒドロフルオロカーボンはヘプ
タフルオロヘキサン(HFC−587)、オクタフルオロヘキサン(HFC−5
78)、ノナフルオロヘキサン(HFC−569)、デカフルオロペンタン(H
FC−55−10)、ウンデカフルオロヘキサン(HFC−54−11)、ドデ
カフルオロヘキサン(HFC−53−12)及びトリデカフルオロヘキサン(H
FC−52−13)を含む。
ヘプタフルオロヘキサンは下記異性体を含む:
オクタフルオロヘキサンは下記異性体を含む:
ノナフルオロヘキサンは下記異性体を含む:
デカフルオロペンタンは下記異性体を含む:
ウンデカフルオロペンタンは下記異性体を含む:
好ましいウンデカフルオロヘキサンは、HFC−54−11mmzfとして当該
技術分野において周知の(CF3)2CHCH2CF2CF3である。ドデカフルオ
ロヘキサンは下記異性体を含む:
好ましいドデカフルオロヘキサンはHFC−53−12mmzeとして当該技術
分野において周知の(CF3)2CHCHCF2CF3である。ドデカフルオロヘキ
サンは下記異性体を含む:
他の好ましいヒドロフルオロカーボンは下記実験式:
C7HnF16-n [式中、1≦n≦8]
で示される線状又は分枝化合物を含む。
この種類の典型的な例は下記の通りである:
他の好ましいヒドロフルオロカーボンは下記実験式:
C8HnF18-n [式中、1≦n≦9]
で示される線状又は分枝化合物を含む。
この種類の典型的な例は下記の通りである:
ヒドロフルオロカーボン成分はヒドロフルオロカーボンと他の成分との共沸混
合物であることもできる、但し、このような共沸混合物が部品上に残留する炭化
水素成分を実質的に除去することができ、部品からの残留汚れ又は表面汚染の実
質的な除去に関しては炭化水素成分よりも劣ることを条件とする。好ましい共沸
混合物の例はCF3CH2CF2CH2CF3と、下記成分:メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、n−プロパノール、t−ブタノール、イソブタノール、
n−ブタノール、t−アミルアルコール、トリクロロエチレン及びパークロロエ
チレンのいずれかとを含む。
図1は、本発明の方法に用いることができる装置の1形式の部分概略図である
。この図において、容器(10)は3つのサンプ(クリーニングサンプ15、洗
浄サンプ20、すすぎ洗いサンプ25)に分割される。クリーニング区画15は
1つ以上の壁17、19によって第2区画20から分離され、第2区画20はフ
ル
オロカーボン流体22を含み、これはヒーター34によってその沸点に加熱され
て、容器10に共通したサンプ15、20、25の全ての上に非引火性凝縮性蒸
気ブランケット30又は引火性抑制ブランケットを形成する。区画20は、汚れ
及び有機クリーニング剤の大部分が区画20に含まれるフルオロカーボン流体中
への浸漬によって又は純粋なフルオロカーボン凝縮物の噴霧流18中に、汚染し
た液体が下方のサンプ中に滴加するように、入れることによって、基体から洗浄
されることができる領域をも与える。クリーニング区画15はクリーニング用途
のために調整した有機クリーニング溶剤24の本体を含むのに適し、有機クリー
ニング溶剤24は上記と、重質クリーニングに関する以下の実施例とにおいて述
べるように、有機炭化水素であることができ、あまり強度ではない洗浄用途に関
しては、例えばフルオロカーボンのような緩和な(milder)溶剤と有機炭化水素
との混合物であることができる(この場合に、基体との相容性がより重要な考察
である)。洗浄区画20はクリーニング溶剤24に対して少なくとも軽度な溶解
性を有するすすぎ剤22を含むのに適する。本明細書を通して用いるかぎり、炭
化水素クリーニング溶剤に対するすすぎ洗い用フルオロカーボン溶剤の“軽度な
溶解性”とはフルオロカーボン溶剤中に≧2モル%の炭化水素が溶解性であると
定義される。適当なすすぎ剤22と本発明に好ましいすすぎ剤は上記と以下の実
施例において述べるようなフルオロカーボンベース溶剤である。任意に、区画2
0よりも低温である第2すすぎ洗い区画25を第1すすぎ洗い区画20から下流
に設けることができ、この区画もフルオロカーボン溶剤すすぎ剤を含むのに適す
る。区画25の目的は、基体に最終浸漬すすぎ洗いを施して、汚れ又はクリーニ
ング溶剤の微量残渣を除去し、さらに蒸気帯30において純粋な凝縮蒸気によっ
て部品をすすぎ洗いするように基体を冷却することである。蒸気帯30は各区画
15、20、25の上に形成され、技術上周知の種類の冷却コイル32(例えば
、Randへの米国特許第4,261,111号に開示)は蒸気帯32の最上限
を画定して、凝縮物を区画25に戻すために、蒸気を凝縮する。
炭化水素クリーニング溶剤24とフルオロカーボンすすぎ洗い流体22とはそ
れらのそれぞれの相互溶解性に関して、例えば相分離のような、何らかの物理的
分離手段を用いて、汚れの蓄積を除去し、かつ清浄な有機溶剤をその最初のサン
プ(originating sump)に再循環して戻すように選択することができることに注
目すべきである。それ故、図1に関して、U管相分離器(図示せず)又はせき(
weir)又はスキマー(skimmer)を区画20と組合せて用いて、フルオロカーボ
ンの頂部に浮遊する凝縮炭化水素を分離又は除去することができることに注目す
べきであり、この分離装置(図示せず)は過剰な炭化水素流体がすすぎ洗いタン
ク20から流出してクリーニングタンク15に戻るように配置することができる
。
図1の容器10はオープントップ式脱フラックス器又は脱脂器として示す。し
かし、容器10がその概略形において、コンベヤー手段(図示せず)を用いて、
部品をクリーニングサンプ15からすすぎ洗いサンプ20と25に連続的に運搬
することができるイン−ライン式脱フラックス器又は脱脂器を特徴づけることも
できる。
図2では、クリーニングタンク15中の有機クリーニング流体に任意にフルオ
ロカーボン型溶剤を混合することができる。この場合に、フルオロカーボンをボ
イルオフさせる(boil off)ために、充分な温度にクリーニング流体を加温する
、この場合にフルオロカーボンの沸点は有機炭化水素流体の沸点よりも少なくと
も10℃低くなければならない。この混合物をコイル33によって加熱して、炭
化水素を直接覆う、生ずる蒸気帯33が爆発の可能性を最小にするために本質的
にフルオロカーボンベース非引火性蒸気帯又は引火性抑制蒸気帯であるようにす
る。クリーニング流体混合物は有機炭化水素とフルオロカーボン溶剤との相均質
性を保証するために界面活性剤添加剤を必要とすることもある。ボイルオフした
フルオロカーボンを区画15内で、蒸気凝縮物をこの区画に戻すことによって及
び/又はすすぎ洗い区画20、25から流体をこのサンプへ、体積又はレベル感
知トランスデューサー(図示せず)によって制御して汲み出すことによって一定
濃度に維持する。図1のこの変更態様では、沸騰するすすぎ洗いサンプ20は必
要ないか、又は区画15と区画25との間の中間温度において純粋に第2すすぎ
洗いサンプとして機能することができる。サンプ20がフルオロカーボン蒸気を
供給して容器10の非引火性ブランケットを形成する、三サンプ形式(option)
では、サンプ20を加熱コイル34によって加熱することができ、加熱コイル3
3は必要ない。サンプ15がフルオロカーボン蒸気を供給して、容器10の非引
火性ブ
ランケット30を形成する二サンプ形式では、加熱コイル33が好ましく、加熱
コイル34は不要である。サンプ15がフルオロカーボン蒸気を供給して、容器
10の非引火性ブランケット30を形成する二サンプ形式では、サンプ20は必
要なく、清浄化基体を最終の純粋凝縮物すすぎ洗いのために蒸気凝縮帯30中に
入れる前に、サンプ25が低温すすぎ洗い浸漬を提供する。
図3では、すすぎ洗いサンプ20がフルオロカーボンベースすすぎ洗い溶剤と
炭化水素ベースクリーニング流体の飽和溶液を含む。流体は、炭化水素相がフル
オロカーボン中で低濃度(10モル%未満)で分離して、より濃厚なフルオロカ
ーボンの上部に浮遊して、クリーニングサンプ15中にカスケード効果で戻るよ
うに選択する。次に、すすぎ洗いサンプ25a又は25bも純粋なすすぎ洗い溶
剤をサンプ20中にカスケードして、そのレベルを維持し、さらに分離した有機
層を沸騰サンプ(boil sump)15方向に前進させるフロースキミング(flow sk
imming)作用を指向的に生じることができる。
図4では、沸騰サンプ15は層状クリーニング帯15aと15bを形成するほ
ど充分な不混和性を有する、炭化水素溶剤とフルオロカーボンベース溶剤の両方
を含む。この配置の利点は、容器10上に非引火性蒸気ブランケットを形成する
加熱コイル33をこの場合にはフルオロカーボン富化層中に浸漬することであり
、これはサンプ中の液体がその予定レベルの下方に滴下する場合の火災の可能性
を軽減する。さらに、この場合には、沸騰するフルオロカーボン液体が上部のあ
まり濃厚でない有機炭化水素相に撹拌作用を与えて、クリーニング性能を補助す
る。図3におけるように、フルオロカーボンすすぎ洗い溶剤と炭化水素クリーニ
ング溶剤とをそれらのそれぞれのサンプにカスケードするか又は戻し入れて、サ
ンプ液体量の維持を保証することができる。
図5では、炭化水素クリーニング帯15をすすぎ洗い帯20、25から、分離
した構造11と12内にそれそれを設けることによって、分離することができる
。この形態は例えば図5の容器12によって代表されるような、慣習的な溶剤蒸
気脱脂又は脱フラックスバッチ式装置を本発明のクリーニング方法によって改良
するように意図される。容器11から容器12への有機溶剤の持ち出しは例えば
エアーナイフ37のような機械的デバイスによって減ずることができる。窒素又
は
他の非引火性圧縮ガスを炭化水素サンプ15を覆う蒸気帯中に導入して、通常の
半水性(有機クリーニング/水性すすぎ洗い)クリーニングプロセスに典型的で
ある、炭化水素の引火性又は爆発の危険性を弱めることができる。フルオロカー
ボン沸騰系20では、クリーニングサンプ15から持ち出される残留炭化水素は
、図1に述べるように機械的に分離して、ポンプ45(概略的に示す)によって
蒸気実施態様におけるようなカスケーティングを妨げる2クリーニング帯の物理
的分離を考慮して再循環させる。
図6では、クリーニングサンプ15内の有機クリーニング溶剤がすすぎ洗いサ
ンプ25内のフルオロカーボンベースすすぎ洗い溶剤と不混和性又は低混和性で
あることが考えられる。これらの溶剤が一緒に混合して、洗浄済み基体を再汚染
することを防止するために、第1すすぎ洗い帯にカップリング溶剤(例えば、ブ
タノールのようなアルカノール、又は例えばトリフルオロベンゼンのようなフル
オロケミカル、又は任意の他の種類の炭化水素)を供給する、この場合にフルオ
ロカーボン溶剤はカップリング溶剤と混和性である。好ましくは、フルオロカー
ボン溶剤は有機クリーニング溶剤又はカップリング溶剤よりも低い沸点を有する
。この場合に、サンプ25中のフルオロカーボンは主としてサンプ15、20中
の引火性液体を非引火性蒸気によって覆うという目的を果たし、主としてカップ
リング溶剤から構成されるすすぎ洗いサンプ20中の液体レベルがサンプ25か
らのフルオロカーボン液体の補充によって維持される。カップリング溶剤サンプ
20中ですすぎ洗いした基体に対して、サンプ25a及び/又は25b中での最
終浸漬すすぎ洗いを実施するか、又は最終すすぎ洗いのためにこの基体をフルオ
ロカーボン凝縮蒸気帯42中に維持する、これはカップリング溶剤がフルオロカ
ーボン溶剤と混和性であるので適切に達成することができる。
実施例
下記実施例を用いて、汚れたクーポンを最初に有機クリーニング溶剤中に浸漬
した後に、フルオロケミカル溶剤によってすすぎ洗いした場合に観察される予想
外のクリーニング性能を実証する。これらの研究では、ステンレス鋼クーポンに
種々な商業的な石油、半合成油及び合成油を塗布した。商業的な石油系油(petr
oleum oil)はパラフィン系直鎖又は分枝鎖飽和炭化水素である。これらの油の
全
ては冷却又は潤滑目的のために金属加工産業で用いられている。合成油は、脂肪
酸及びアミンを含めた添加剤と共に合成ポリマーを含む。半合成油は石油と合成
油との混合物である。本発明を実証する試験に用いるクリーニング方法は、有機
クリーニング溶剤中へのクーポンの30秒間の浸漬と、その後のフルオロケミカ
ル溶剤中への30秒間浸漬と、フルオロケミカル溶剤の凝縮蒸気による冷却コイ
ル帯での液体上方での30秒間すすぎ洗いから成る。クリーニング前後のクーポ
ン上の汚れ量を商業的CO2電量計によって測定した、この電量計は基体上の炭
素単位で表現される、有機残渣量をμg感度で測定する。クーポン上の残渣サン
プルをサンプルボードを介して燃焼炉に入れ、酸素雰囲気中で650℃の温度に
おいて燃焼させる。生ずるCO2とその他の燃焼生成物をスクラバーに通して、
妨害性のハロゲン、硫黄、窒素酸化物及び水を除去する。次に、指示溶液を含む
電量計セルにガスを通す。ガス流をこの溶液に通すと、CO2が定量的に吸収さ
れ、溶液中の化学薬品と反応して、滴定可能な酸を生じる。次に、電流が自動的
に調節されて、溶液を中和し、総電流が合計され、結果が炭素のμgで表示され
る。この方法の感度は±0.01μg炭素であり、これは表面上の炭素成分を再
現可能に分析するための最も敏感な方法の1つである。本発明で洗浄された油の
全ては主として性質が有機であるので、炭素含量の監視は高い再現性かつ感度で
基体上の有機汚れ量を測定する優れた方法である。実施例1
有機溶剤として(C9〜C11)メチルエステルを用いる。分光特性化は少量の
分枝成分を表示した。HFC52−13はフルオロカーボンすすぎ剤として用い
た分枝ヒドロフルオロカーボン(C6F13H)である。メチルエステルは金属ク
ーポンから室温において石油ベース油(petroleum based oil)の除去に効果的
であるが、クリーニングプロセス後にメチルエステル溶剤の薄いフィルムが残留
した。この油はHFC52−13によってクーポン表面から洗浄されることがで
きない。しかし、メチルエステルによるクリーニング、HFC52−13による
すすぎ洗い、その後のフルオロカーボン凝縮蒸気によるすすぎ洗いから成る方法
は金属クーポンから高沸点エステルの薄いフィルムの99.9%を越える除去に
非常に効果的であり、測定可能な微量の油汚染物を残さなかった。クリーニング
の
効果は重量測定によって評価した。以下の各実施例において、ブランククーポン
は表面上に約10pg炭素を含むと測定された。実施例2
それぞれ、10重量%/22重量%/68重量%の割合のアジピン酸、コハク
酸及びグルタル酸のジメチルエステルを合成することによって、二塩基酸エステ
ルクリーニング溶剤混合物を実験室で製造した。汚れたクーポンを二塩基酸エス
テルとHFC−365(CF3CH2CF2CH3)との混合物中に56℃において
浸漬し、次に周囲温度におけるHFC−365中での30秒間浸漬及びHFC−
365による30秒間蒸気すすぎ洗いを実施した。下記結果が記録された:
有機クリーニング工程と、その後のフルオロケミカル蒸気すすぎ洗い工程とを用
いる、石油と合成油とによる実験では、クーポン表面のほぼ完全なクリーニング
が生じた(炭素の>99.9%除去)。しかし、実験(b)と(e)では、クー
ポンを二塩基酸エステル中に30秒間浸漬した後にHFC蒸気すすぎ洗いなしに
空気中で30秒間乾燥のみを実施して、クリーニングした場合に、表面上に有意
な量の炭素が残留した。実験(c)と(f)では、クーポンをHFC−365中
に30秒間浸漬した後にエステルクリーニング工程を用いずに空気中で30秒間
乾燥を実施して、クリーニングした場合に、表面上に有意な量の炭素残渣が残留
した。この実施例は、二塩基酸エステルのみ又は二塩基酸エステルとフルオロケ
ミカルとの混合物のいずれかの中に浸漬した、汚れた表面を完全にクリーニング
するためにはフルオロケミカル蒸気すすぎ洗い工程が必要であり、エステルのみ
でもフルオロケミカル溶剤のみでも表面の完全なクリーニングのために充分でな
いことを実証する。実施例3
汚れたクーポンをシクロヘキサノン(環状ケトン)とHFC−365(ヒドロ
フルオロカーボン)との50/50容量%混合物中に57〜59℃において30
秒間浸漬した後に、周囲温度においてHFC−365中に30秒間浸漬し、HF
C−365による30秒間蒸気すすぎ洗いした。下記結果が記録された:
有機クリーニング工程と、その後のフルオロケミカル蒸気すすぎ洗い工程とを用
いる実験(a)〜(f)では、クーポン表面のほぼ完全なクリーニングが生じた
(炭素の>99.9%除去)。しかし、実験(b)と(e)では、クーポンをシ
クロヘキサノン中に30秒間浸漬した後にHFC蒸気すすぎ洗いなしに空気中で
30秒間乾燥のみを実施して、クリーニングした場合に、表面上に有意な量の炭
素が残留した。実験(c)と(f)では、クーポンをHFC−365中に30秒
間浸漬した後にケトンクリーニング工程を用いずに空気中で30秒間乾燥を実施
して、クリーニングした場合に、表面上に有意な量の炭素残渣が残留した。この
実施例は、ケトン(環状又は非環状)とフルオロケミカルとの中に浸漬した、汚
れた表面を完全にクリーニングするためにはフルオロケミカル蒸気すすぎ洗い工
程が必要であり、ケトンのみでもフルオロケミカル溶剤のみでも表面の完全なク
リーニングのために充分でないことを実証する。実験4
汚れたクーポンをシクロヘキサノール(環状アルカノール)とHFC−365
(ヒドロフルオロカーボン)との50/50容量%混合物中に57〜59℃にお
いて30秒間浸漬した後に、周囲温度においてHFC−365中に30秒間浸漬
し、HFC−365による30秒間蒸気すすぎ洗いした。下記結果が記録された
有機クリーニング工程と、その後のフルオロケミカル蒸気すすぎ洗い工程とを用
いる、石油系油による実験では、クーポン表面のほぼ完全なクリーニングが生じ
た(炭素の>99.9%除去)。シクロヘキサノールは、実験(b)と(e)に
示すように、合成油のクリーニングではかなり不良な溶剤であるので、実験(d
)に示すような、本発明のクリーニング方法によって油と有機溶剤フィルムとの
大部分を除去することができた。さらに、実験(b)と(e)では、クーポンを
シクロヘキサノール中に30秒間浸漬した後にHFC蒸気すすぎ洗いなしに空気
中で30秒間乾燥のみを実施して、クリーニングした場合に、表面上に有意な量
の炭素が残留した。実験(c)と(f)では、クーポンをHFC−365中に3
0
秒間浸漬し、その後に、アルカノールクリーニング工程なしに空気中で30秒間
乾燥することによってクリーニングした場合に、表面上に有意な量の炭素残渣が
残留した。この実施例は、アルカノール(環状又は非環状)中に浸漬した、汚れ
た表面を完全にクリーニングするためにはフルオロケミカル蒸気すすぎ洗い工程
が必要であり、アルカノールのみでもフルオロケミカル溶剤のみでも表面の完全
なクリーニングのために充分でないことを実証する。実施例5
汚れたクーポンを液体1,5−ジメチルシクロオクタジエン(環状オレフィン
)とHFC−365(ヒドロフルオロカーボン)との50/50容量%混合物中
に57〜59℃において30秒間浸漬した後に、周囲温度においてHFC−36
5中に30秒間浸漬し、HFC−365による30秒間蒸気すすぎ洗いした。下
記結果が記録された:
有機クリーニング工程と、その後のフルオロケミカル蒸気すすぎ洗い工程とを用
いる、石油系油と合成油による実験では、クーポン表面のほぼ完全なクリーニン
グが生じた(炭素の>99.9%除去)。しかし、実験(b)と(e)では、ク
ーポンを1,5−ジメチルシクロオクタジエン中に30秒間浸漬した後にHFC
蒸気すすぎ洗いなしに空気中で30秒間乾燥のみを実施して、クリーニングした
場合に、表面上に有意な量の炭素が残留した。実験(c)と(f)では、クーポ
ンをHFC−365中に30秒間浸漬し、その後に、オレフィン溶剤クリーニン
グ工程なしに空気中で30秒間乾燥することによってクリーニングした場合に、
表面上に有意な量の炭素残渣が残留した。この実施例は、オレフィン(環状又は
非環状)中に浸漬した、汚れた表面を完全にクリーニングするためにはフルオロ
ケミカル蒸気すすぎ洗い工程が必要であり、オレフィンのみでもフルオロケミカ
ル溶剤のみでも表面の完全なクリーニングのために充分でないことを実証する。実施例6
汚れたクーポンを液体ベンゾトリフルオリド(フッ素化芳香族ケミカル)とH
FC−365(ヒドロフルオロカーボン)との50/50容量%混合物中に57
〜59℃において30秒間浸漬した後に、周囲温度においてHFC−365中に
30秒間浸漬し、HFC−365による30秒間蒸気すすぎ洗いした。下記結果
が記録された:
有機クリーニング工程と、その後のフルオロケミカル蒸気すすぎ洗い工程とを用
いる、石油系油と合成油による実験では、クーポン表面のほぼ完全なクリーニン
グが生じた(炭素の>99.8%除去)。しかし、実験(b)と(e)では、ク
ーポンをベンゾトリフルオリド中に30秒間浸漬した後にHFC蒸気すすぎ洗い
なしに空気中で30秒間乾燥のみを実施して、クリーニングした場合に、表面上
に有意な量の炭素が残留した。実験(c)と(f)では、クーポンをHFC−3
65中に30秒間浸漬し、その後に、フルオロ芳香族クリーニング工程なしに空
気中で30秒間乾燥することによってクリーニングした場合に、表面上に有意な
量の炭素残渣が残留した。この実施例は、フッ素化芳香族溶剤中に浸漬した、汚
れた表面を完全にクリーニングするためにはフルオロケミカル蒸気すすぎ洗い工
程が必要であり、フルオロ芳香族溶剤のみでもフルオロケミカル溶剤のみでも表
面の完全なクリーニングのために充分でないことを実証する。実施例7
汚れたクーポンをポリエチレグリコール(MW200)(ポリエーテルジオー
ル)とメチルエステルとの50容量%混合物とHFC−365(ヒドロフルオロ
カーボン)の50容量%との中に45〜50℃において30秒間浸漬した後に、
周囲温度においてHFC−365中に30秒間浸漬し、HFC−365による3
0秒間蒸気すすぎ洗いした。下記結果が記録された:
有機クリーニング工程と、その後のフルオロケミカル蒸気すすぎ洗い工程とを用
いる、石油系油と合成油による実験では、クーポン表面のほぼ完全なクリーニン
グが生じた(炭素の>99.8%除去)。しかし、実験(b)と(e)では、ク
ーポンをポリエチレングリコール/メチルエステル溶剤混合物中に30秒間浸漬
した後にHFC蒸気すすぎ洗いなしに空気中で30秒間乾燥のみを実施して、ク
リーニングした場合に、表面上に有意な量の炭素が残留した。実験(c)と(f
)では、クーポンをHFC−365中に30秒間浸漬し、その後に、ポリエチレ
ングリコール/メチルエステルクリーニング工程なしに空気中で30秒間乾燥す
ることによってクリーニングした場合に、表面上に有意な量の炭素残渣が残留し
た。この実施例は、グリコールとエステルとの混合物中に浸漬した、汚れた表面
を完全にクリーニングするためにはフルオロケミカル蒸気すすぎ洗い工程が必要
であり、上記の混合した有機溶剤のみでもフルオロケミカル溶剤のみでも表面の
完全なクリーニングのために充分でないことを実証する。実施例8
汚れたクーポンをメチルエステル又は、ポリエチレングリコール(MW200
)(ポリエーテルジオール)とメチルエステルとの混合物のいずれかの中に57
〜59℃において30秒間浸漬した後に、周囲温度においてHCFC−123(
ヒドロクロロフルオロカーボン)中に又はHFC−52−13(高フッ素化アル
カン)中に30秒間浸漬し、いずれかのフルオロケミカル溶剤によって30秒間
蒸気すすぎ洗いした。下記結果が記録された:
(a)合成油とグリースValvolineは両方とも、本発明の方法におい
てPEG−200/メチルエステルクリーニング溶剤混合物とすすぎ洗い溶剤と
してのHCFC−123とを用いて、金属クーポンから99.9%よりも良好に
除去された。
(b)HCFC−123の代わりにHFC−52−13((CF3)2CHCF2
CF2CF3)を用いて(a)と同じ。実施例9
汚れたクーポンをBIOACT EC−7(テルペンと非イオン界面活性剤と
の商業的ブレンド)とHFC−365(ヒドロフルオロカーボン)との50/5
0容量%混合物中に57〜59℃において30秒間浸漬した後に、周囲温度にお
いてHFC−365中に30秒間浸漬し、HFC−365による30秒間蒸気す
すぎ洗いした。下記結果が記録された:
有機クリーニング工程と、その後のフルオロケミカル蒸気すすぎ洗い工程とを用
いる、石油系油と合成油による実験では、クーポン表面の実際に完全なクリーニ
ングが生じた(炭素の>99.6%除去)。しかし、実験(b)と(e)では、
クーポンをテルペン溶剤混合物中に30秒間浸漬した後にHFC蒸気すすぎ洗い
なしに空気中で30秒間乾燥のみを実施して、クリーニングした場合に、表面上
に有意な量の炭素が残留した。実験(c)と(f)では、クーポンをHFC−3
65中に30秒間浸漬し、その後に、テルペン溶剤クリーニング工程なしに空気
中で30秒間乾燥することによってクリーニングした場合に、表面上に有意な量
の炭素残渣が残留した。この実施例は、テルペン溶剤中に浸漬した、汚れた表面
を完全にクリーニングするためにはフルオロケミカル蒸気すすぎ洗い工程が必要
であり、テルペン溶剤のみでもフルオロケミカル溶剤のみでも表面の完全なクリ
ーニングのために充分でないことを実証する。実施例10
汚れたクーポンを液体シクロヘキサノン(環状ケトン)とHFC−365(ヒ
ドロフルオロカーボン)との50/50容量%混合物中に56〜59℃において
30秒間浸漬した後に、5%HCFC−141b(ヒドロクロロフルオロカーボ
ン)と90%HFC−365(ヒドロフルオロカーボン)との非引火性一定沸点
ブレンド中に周囲温度において30秒間浸漬し、HCFC−141b/HFC−
365の凝縮共沸混合物蒸気によって30秒間蒸気すすぎ洗いした。下記結果が
記録された:
有機クリーニング工程と、その後のHCFC及びHFCのフルオロケミカルブレ
ンド蒸気すすぎ洗い工程とを用いる、石油系油と合成油による実験では、クーポ
ン表面の実際に完全なクリーニングが生じた(炭素の>99.8%除去)。しか
し、実験(b)と(e)では、クーポンをケトンクリーニング溶剤中に30秒間
浸漬した後にHCFC/HFC蒸気すすぎ洗いなしに空気中で30秒間乾燥のみ
を実施して、クリーニングした場合に、表面上に有意な量の炭素が残留した。実
験(c)、(f)、(h)及び(j)では、クーポンをHCFC−141b/H
FC−365共沸混合物中に30秒間浸漬し、その後に空気中で30秒間乾燥さ
せることによってクリーニングした場合に、テルペン溶剤クリーニング工程を用
いる本発明の二重溶剤プロセスにおけるよりも多くの炭素残渣が表面上に残留し
た。この実施例は、例えばHFCF−141bを含むブレンドのような、強力な
フルオロケミカルすすぎ洗い溶剤を用いる場合にも、組合せた有機(ケトン)ク
リーニング工程とその後のフルオロケミカルすすぎ洗い工程とが、この基体のク
リーニングにケトン溶剤のみ又はフルオロケミカル溶剤のみを用いる場合よりも
高度なクリーニングを生じることを実証する。実施例11
汚れたクーポンを液体シクロヘキサノン(環状ケトン)とHFC−365/F
C−72(95:5重量比)との50/50容量%混合物中に56〜59℃にお
いて30秒間浸漬した後に、5%FC−72(パーフルオロカーボン)と95%
HFC−365(ヒドロフルオロカーボン)との非分離(non-segregating)ブ
レンド中に周囲温度において30秒間浸漬し、FC−72/HFC−365/H
FC−365の凝縮共沸混合物蒸気によって30秒間蒸気すすぎ洗いした。下記
結果が記録された:
有機クリーニング工程と、その後のフルオロケミカル蒸気すすぎ洗い工程とを用
いる、上記実験では、クーポン表面の完全なクリーニングが生じた(炭素の>9
9.9%除去)。クーポンをFC−72/HFC−365混合物中に30秒間浸
漬した後に、シクロヘキサノン溶剤クリーニング工程を用いずに空気中で30秒
間乾燥のみを実施して、クリーニングした場合に、表面上に比較的多量の炭素が
残留した。この実施例は、ケトン溶剤中に浸漬した汚れた表面を完全にクリーニ
ングするにはフルオロケミカル蒸気すすぎ洗い工程が必要であること、及びケト
ン溶剤のみも、フルオロケミカル溶剤のみも表面の完全なクリーニングのために
充分でないことを実証する。さらに、例えばFC−72のようなパーフルオロカ
ーボンが油のために非常に不良な溶剤であるが、有機クリーニング工程と組み合
わせた、このプロセスの蒸気又は浸漬すすぎ洗い工程においてヒドロクロロカー
ボン又はヒドロクロロフルオロカーボンとさえもブレンドする場合には、二重溶
剤プロセスが、個々の溶剤だけでは完全にクリーニングされることができないク
ーポンの完全なクリーニングを生じることは周知である。実施例12
汚れたクーポンをクリーニングの前に、HFCと混合されていない液体シクロ
ヘキサノール(環状アルコール)中に浸漬した。このクーポンを56〜59℃に
おいて30秒間浸漬した後に、HFC−365(ヒドロフルオロカーボン)中に
周囲温度において30秒間浸漬し、HFC−365の凝縮共沸混合物蒸気によっ
て30秒間蒸気すすぎ洗いした。下記結果が記録された:
この実施例では、HFCから分離した(segregated)有機洗浄剤の洗浄力(cl
eaning ability)を実証した。結果は、有機物/溶剤混合系を評価した実施例4
の結果に対して実験誤差の範囲内である。興味深いことには、この実施例では、
クリーニングサンプ中のHFC/有機物混合物はクリーニングサンプが有機溶剤
(シクロヘキサノール)のみを含む場合よりも良好に洗浄した。実施例13
汚れたクーポンをクリーニング(上記実施例と同様に)の前に、HFCと混合
されていない液体シクロヘキサノン(環状ケトン)中に浸漬した。このクーポン
を56〜59℃において30秒間浸漬した後に、HFC−365(ヒドロフルオ
ロカーボン)中に周囲温度において30秒間浸漬し、HFC−365の凝縮共沸
混合物蒸気によって30秒間蒸気すすぎ洗いした。下記結果が記録された:
この実施例では、HFCから分離した有機洗浄剤の洗浄力を実証した。結果は
、有機物/溶剤混合系を評価した実施例12の結果に対して実験誤差の範囲内で
ある。
本発明が上記目的の全てを満たすことは、当業者によって容易に理解されるで
あろう。上記明細書を読んだ後に、当業者は本明細書で広範囲に開示した、本発
明の種々な変化、同等物の置換及び種々な、他の態様を実施することが可能にな
るであろう。それ故、本明細書に与えられる保護は添付請求の範囲及びその同等
物に含まれる定義によってのみ限定されるように意図される。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年3月10日
【補正内容】
請求の範囲
1.部品から残留汚れ又は表面汚染を除去するための非水性クリーニング方
法であって、下記工程:
(a)部品から汚染を実質的に除去するために充分な溶解性を有する有機又は
炭化水素クリーニング流体を含むクリーニング区画中に前記部品を入れる工程と
(b)前記有機又は炭化水素クリーニング流体から前記部品を取り出して、前
記汚れ又は表面汚染に対して充分な溶解性を有するが、前記有機又は炭化水素ク
リーニング流体に対しては前記部品から前記有機又は炭化水素クリーニング流体
を除去するために少なくとも充分な溶解性を有する液体すすぎ剤によって第1す
すぎ洗い区画において前記部品をすすぎ洗いする工程であって、前記すすぎ剤が
化合物中に少なくとも60重量%のフッ素と共に約3〜約8個の炭素原子を含み
、直鎖又は分枝鎖を有し、約25℃〜約125℃の範囲内の沸点を有する1種以
上のヒドロフルオロカーボンから本質的に成る工程と;
(c)工程(a)と(b)中にクリーニング区画と第1すすぎ洗い区画との上
に、実質的に純粋なヒドロフルオロカーボン蒸気から本質的に成る引火性抑制ブ
ランケットを形成する工程と;
(d)前記部品を乾燥させる工程と
を含む前記方法。
2.前記ヒドロフルオロカーボンが下記グループ:
(1)実験式:C3HnF8-n [式中、1≦n≦4]
で示される化合物と;
(2)実験式:C4HnF10-n [式中、1≦n≦5]
で示される線状又は枝分れ化合物と;
(3)実験式:C5HnF12-n [式中、1≦n≦6]
で示される線状又は枝分れ化合物と;
(4)実験式:C6HnF14-n [式中、1≦n≦7]
で示される線状又は枝分れ化合物と;
(5)実験式:C7HnF16-n [式中、1≦n≦8]
で示される線状又は枝分れ化合物と;
(6)実験式:C8HnF18-n [式中、1≦n≦9]
で示される線状又は枝分れ化合物と
から選択される請求項1記載の方法。
3.クリーニング区画がヒドロフルオロカーボン溶剤と混合した有機又は炭
化水素クリーニング溶剤を含み、生ずる混合物が前記部品から汚染を実質的に除
去し、この混合物を炭化水素流体よりも低い沸点を有するヒドロフルオロカーボ
ンの少なくとも一部を蒸発させるために充分な温度に加熱して、クリーニング流
体を覆う、生ずる蒸気帯が本質的にフルオロカーボンベース引火性抑制蒸気帯で
あるようにする請求項1記載の方法。
4.前記ヒドロフルオロカーボンが下記グループ:
(1)実験式:C3HnF8-n [式中、1≦n≦4]
で示される化合物と;
(2)実験式:C4HnF10-n [式中、1≦n≦5]
で示される線状又は枝分れ化合物と;
(3)実験式:C5HnF12-n [式中、1≦n≦6]
で示される線状又は枝分れ化合物と;
(4)実験式:C6HnF14-n [式中、1≦n≦7]
で示される線状又は枝分れ化合物と;
(5)実験式:C7HnF16-n [式中、1≦n≦8]
で示される線状又は枝分れ化合物と;
(6)実験式:C8HnF18-n [式中、1≦n≦9]
で示される線状又は枝分れ化合物と
から選択される請求項3記載の方法。
5.ヒドロフルオロカーボンすすぎ剤を含むすすぎ洗い区画中に存在する有
機又は炭化水素クリーニング流体がヒドロフルオロカーボン溶剤から所定の低濃
度において分離して、すすぎ洗い区画の上部に浮遊して、クリーニング区画中に
炭化水素クリーニング流体を戻すカスケード効果を生じるように、前記ヒドロフ
ルオロカーボンすすぎ剤と前記有機又は炭化水素クリーニング流体とを選択する
請求項1記載の方法。
6.実質的に完全にヒドロフルオロカーボン溶剤のみを含む第2すすぎ洗い
区画を形成し、第1すすぎ洗い区画中に実質的に純粋なヒドロフルオロカーボン
すすぎ洗い溶剤を入れてその所定レベルを維持し、分離した炭化水素クリーニン
グ流体をクリーニング区画方向に戻すためのフロースキム作用を指向的に生じる
ためのカスケード効果を与える工程を含む請求項5記載の方法。
7.すすぎ洗い区画を含む構造から分離した構造中に炭化水素クリーニング
区画を収容する他の工程を含む請求項1記載の方法。
8.部品から残留汚れ又は表面汚染を除去するための非水性クリーニング方
法であって、下記工程:
(a)部品から汚染を実質的に除去するために充分な溶解性を有する有機又は
炭化水素クリーニング流体中に前記部品を入れる工程と;
(b)前記有機又は炭化水素クリーニング流体から前記部品を取り出して、有
機又は炭化水素クリーニング流体を含むクリーニング区画から分離したすすぎ洗
い区画に含まれる液体ヒドロフルオロカーボンベースすすぎ洗い溶剤中での暴露
によって前記部品をすすぎ洗いする工程であって、前記液体ヒドロフルオロカー
ボンすすぎ洗い溶剤が前記部品から前記有機又は炭化水素クリーニング流体を除
去するために供給される工程と;
(c)工程(a)と(b)中にクリーニング区画と第1すすぎ洗い区画との上
に、実質的に純粋なヒドロフルオロカーボン蒸気から本質的に成る引火性抑制ブ
ランケットを形成する工程と;
(d)前記部品を乾燥させる工程と
を含む前記方法。
【手続補正書】
【提出日】1995年12月1日
【補正内容】
請求の範囲
1.部品から残留汚れ又は表面汚染を除去するための非水性クリーニング方
法であって、下記工程:
(a)部品から汚染を実質的に除去するために充分な溶解性を有する有機又は
炭化水素クリーニング流体を含むクリーニング区画中に前記部品を入れる工程と
;
(b)前記有機又は炭化水素クリーニング流体から前記部品を取り出して、前
記汚れ又は表面汚染に対して充分な溶解性を有するが、前記有機又は炭化水素ク
リーニング流体に対しては前記部品から前記有機又は炭化水素クリーニング流体
を除去するために少なくとも充分な溶解性を有する液体すすぎ剤によって第1す
すぎ洗い区画において前記部品をすすぎ洗いする工程であって、前記すすぎ剤が
化合物中に少なくとも60重量%のフッ素と共に約3〜約8個の炭素原子を含み
、直鎖又は分枝鎖を有し、約25℃〜約125℃の範囲内の沸点を有する1種以
上のヒドロフルオロカーボンから本質的に成る工程と;
(c)工程(a)と(b)中にクリーニング区画と第1すすぎ洗い区画との上
に、実質的に純粋なヒドロフルオロカーボン蒸気から本質的に成る引火性抑制ブ
ランケットを形成する工程と;
(d)前記部品を乾燥させる工程と
を含む前記方法。
2.前記ヒドロフルオロカーボンが下記グループ:
(1)実験式:C3HnF8-n [式中、1≦n≦4]
で示される化合物と;
(2)実験式:C4HnF10-n [式中、1≦n≦5]
で示される線状又は枝分れ化合物と;
(3)実験式:C5HnF12-n [式中、1≦n≦6]
で示される線状又は枝分れ化合物と;
(4)実験式:C6HnF14-n [式中、1≦n≦7]
て示される線状又は枝分れ化合物と;
(5)実験式:C7HnF16-n [式中、1≦n≦8]
で示される線状又は枝分れ化合物と;
(6)実験式:C8HnF18-n [式中、1≦n≦9]
で示される線状又は枝分れ化合物と
から選択される請求項1記載の方法。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C23G 5/028 9352−4K
// H05K 3/26 7511−4E
(72)発明者 ウィルソン,デービッド・ポール
アメリカ合衆国ニューヨーク州14051,イ
ースト・アムハースト,ワックスウィン
グ・コート 118
(72)発明者 ヴァン・デル・プイ,ミヒャエル
アメリカ合衆国ニューヨーク州14227,チ
ークトワガ,ジョアン・レーン 32
(72)発明者 スワン,エレン・ルイーズ
アメリカ合衆国ニューヨーク州14086,ラ
ンカスター,ホワイトストーン・レーン
27
(72)発明者 ログスドン,ピーター・ブライアン
アメリカ合衆国ニューヨーク州14120,ノ
ース・トナワンダ,キングストン 1536
(72)発明者 ズィホウスキー,ゲイリー・ジョン
アメリカ合衆国ニューヨーク州14086,ラ
ンカスター,ラニング・ブルック・ドライ
ブ 26
(72)発明者 インガム,ヘップバーン
アメリカ合衆国イリノイ州60016,デス・
プレインズ,サウス・リー・ストリート
1153,ナンバー 206
(72)発明者 ハーニッシュ,ダニエル・フランクリン
アメリカ合衆国ニューヨーク州14127,オ
ーチャード・パーク,ミドルバリー 77
(72)発明者 ロジャース,ジョエル・エドワード
アメリカ合衆国カリフォルニア州90274,
パロス・ベルデス・エステイツ,ヴィア・
エストゥディロ 2121