JPH08502898A - 微小管関連タンパク質タウに対するモノクローナル抗体、これらの抗体を分泌するハイブリドーマ、これらのモノクローナル抗体による抗原認識及びこれらの応用 - Google Patents

微小管関連タンパク質タウに対するモノクローナル抗体、これらの抗体を分泌するハイブリドーマ、これらのモノクローナル抗体による抗原認識及びこれらの応用

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヒト大脳皮質から単離される脳ホモジネートから得られるタウタンパクである、正常ヒトタウタンパク及び異常にリン酸化されたヒトタウタンパクに属する抗原のエピトープと免疫学的複合体を形成するモノクローナル抗体に関する。本発明のモノクローナル抗体は、脳抽出物及び濃縮されていない脳脊髄液中のタウ及び異常にリン酸化されたタウを検出するために使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 微小管関連タンパク質タウに対するモノクローナル抗体、これらの抗体を分泌 するハイブリドーマ、これらのモノクローナル抗体による抗原認識及びこれらの 応用 本発明は、ヒト微小管関連タンパク質タウ(microtubule-associated protein tau)に対する新規なモノクローナル抗体、これらのモノクローナル抗体を分泌 するハイブリドーマ、及びこれらのモノクローナル抗体による抗原認識とこれら の応用に関する。本発明はまた、上記モノクローナル抗体により認識される(タ ウタンパクの)特定のエピトープに関連する脳疾患を診断する方法にも関する。 アルツハイマー病(AD)は、最も一般的な型の成人発症性の痴呆である。現 在のところ、ADの生前診断のための生化学的試験は実用化されていない。従っ てこの疾患は、主として他の型の痴呆を除外することにより臨床的に診断される 。この病気は、神経炎性(老人性)局面と神経原線維錯綜(neurofibrillary ta ngles)(NFT)の存在により神経病理学的に特徴付けられる。 神経原線維錯綜は、対らせんフィラメント(paired helical filaments)(P HF)よりなり、PHFの主要なタンパク成分は修飾された形態の微小管関連タ ンパク質タウであり(Brion et al.,1985;Greenberg and Davies,1990;Lee et al.,1991)、これは正常な状況下では微小管の会合と安定性を促進し(Wein garten et al.,1975;Bre and Karsenti,1990)、ヒトを含む幾つかの種のニ ューロンで合成され(Kosik et al.,1989)、そしてこれ らのニューロンの軸索の区画に豊富に存在する(Binder et al.,1985)。 このタンパクは、異なるアイソフォームのファミリーとして存在し、この内4 〜6つのアイソフォームは正常成人脳で見い出されるが、1つのアイソフォーム だけは胎児脳で検出される(Goedert et al.,1989)。これらのアイソフォーム の多様性は、単一の遺伝子から選択的mRNAスプライシングにより生じる(Hi mmler,1989)。タウタンパクの最も際だった特徴は、分子クローニングから予 測されるように、3回又は4回繰り返される、分子のカルボキシ末端部分に現れ る連続的な31又は32アミノ酸のストレッチである。他の多様性は、分子のN H2末端部分の29又は58アミノ酸の長さの挿入により生じる(Goedert et al .,1989)。 アルカリホスファターゼ処理後に観察される分子量の見掛け上の増加により示 されるように、異常にリン酸化された64及び69kDaのタウの変異体は、神経 原繊維錯綜と老人斑を示す脳領域に限って検出されている(Flament et al.,19 89,1990)。4つの異なるキナーゼによるリン酸化の部位は、タウのC末端微小 管結合性半分に位置づけられており、細菌で発現されたタウへのカルシウムカル モジュリン依存性キナーゼの作用が、電気泳動での移動度を低くするSer(4 05)のリン酸化をもたらすことが示され得る(Steiner et al.,1990)。PH T−タウと呼ばれる、対らせんフィラメントに存在するタウは、異常にリン酸化 されている(Lee et al.,1991)。この異常なリン酸化は、タウに構造(コンフ ォメーション)変化を引き起こし、恐らく自己会合とPHFの形成を もたらす。ADのPHF−タウは、幾つかの部位でリン酸化されており、その1 つがホスホセリン199及び/又は202である。この部位は、AT8と呼ばれ るmAbにより特異的に認識される(Biernat et al.,1992)。従って、AT8 はPHF−タウの識別性マーカーである(Goedert et al.,1992)。 ヒトタウに反応性を示す幾つかの抗体は、それらが神経線維上に存在する非特 異的リン酸化エピトープに対するものであり、後に正常な及び異常にリン酸化さ れたタウと交差反応することが示された(Nukina et al.,1987;Ksiezak-Redin g et al.,1987)ため、又はこれらの抗体が正常な及び異常にリン酸化されたタ ウ上の特異的エピトープを認識する(Kosik et al.,1988)ため、報告されてき た。非特異的エピトープに対するタウ抗体に加えて、リン酸化されたタウエピト ープに特異的な抗体が記載されている(Mercken et al.,1992b)。 アルツハイマー病罹患の脳領域で、タウの全mRNAレベルは僅かに変化して いるだけである(Goedert et al.,1988;Barton et al.,1990)が、全タウタ ンパクレベルは、少なくとも6倍異なり得ることが示された(Khatoon et al., 1992)。これは、タウに対するポリクローナル抗体(Flament and Delacourte, 1990)と、充分に定義されたエピトープに対するモノクローナル抗体とにより、 明らかにされている。脳ホモジネートのサンドイッチ免疫測定法に、タウ分子の N末端のリン酸非依存性エピトープを認識するAlz50モノクローナル抗体( Goedert et al.,1991)を使用して、アルツハイマー病患者の脳でタウのレベル が高くなっているこ とが示された(Ghanbari et al.,1990;特許出願EP 444 856)。 プロナーゼ処理したPHFに対してつくられ、9.5kDa及び12kDa断片と特 異的反応性を有する「423」と命名された抗体も、アルツハイマー病のタウタ ンパクを測定するのに使用された(特許出願WO 89/03993)。同様に、対照の脳 ホモジネートと比べて、アルツハイマー病の脳ホモジネートで、mAb423の 免疫反応性の上昇が見い出された。 Merckenら(1992b)は、ホスファターゼ感受性エピトープに特異的である(A T8)か、又はウェスタンブロットで正常タウと同様にPHF−タウと反応する (AT1、AT4、AT6、AT9、AT11、AT12及びAT14)、一連 のモノクローナル抗体を記載している。 更に、抗体タウ1(Wischik et al.,1988;Harrington et al., 1990)も、 脳ホモジネート中のタウを測定するために使用された。タウレベルがアルツハイ マー病罹患の脳の切片で特異的に測定されたあるケースにおいて、タウレベルは 、正常脳ホモジネートのレベルに比べて8倍高かった(Khatoon et al.,1992) 。 脳脊髄液でアルツハイマー病を診断する最初の試みでは、PHF−タウ特異的 モノクローナル抗体AT8(Mercken et al.,1992b)が使用された。しかし、 PHFタウ抗原は明らかにされ得なかった。 これまでのところ、タウの存在は、100倍濃縮脳脊髄液(CSF)中に観察 されたか(Wolozin and Davies,1987)又はポリクローナル抗体を使用してCS F試料中に観察された (Delacourte and Vermersch,1991)が、記載されてきたどのモノクローナル抗 体も、濃縮されていないCSF中のタウの検出に成功していない。 従って、本発明の目的は、脳抽出物中及び濃縮されていない脳脊髄液中に存在 する正常なタウ及び異常にリン酸化されたタウを、確実かつ高感度に検出するこ とを可能にするモノクローナル抗体を提供することである。本発明はまた、上記 モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを提供することをも目的とする。 更に本発明は、上記モノクローナル抗体により認識される、脳ホモジネート中 又は脳脊髄液のような体液中に存在するタウのエピトープを提供することを目的 とする。 本発明は、タウタンパクが関与する脳疾患のインビトロ(試験管内)検出又は 診断の方法を提供することを目的とする。 本発明のモノクローナル抗体は、正常なヒトタウタンパクと異常にリン酸化さ れたヒトタウタンパクの両者に存在するエピトープと反応する、という事実によ り特徴付けられる。このモノクローナル抗体は、正常なヒトタウタンパク及び異 常にリン酸化されたヒトタウタンパクに属するエピトープ又は抗原と免疫学的複 合体を形成する、という事実により更に特徴付けられる。本発明のモノクローナ ル抗体はまた、ELISAにより測定すると、タウタンパクと部分配列を共有す る(Nukina et al.,1987;Lewis et al.,1988)MAP−1、MAP−2及び 神経線維のような他のリン酸化タンパクとは免疫学的複合体を形成しない、とい う事実により特徴付けられる。本発明のモノクローナル抗体はまた、CSF中の 、 1.0pg/mlという低濃度のヒトタウタンパクを検出し得、またタウタンパク陰 性CSF中への一定量のタウタンパクの添加において100%の回収率でタウタ ンパクを検出する(100%添加回収)、という事実により特徴付けられる。 本発明のモノクローナル抗体はまた、CSFに基づくアルツハイマー病(AD )の診断、すなわちCSF中のタウと修飾形態のタウを検出することを可能にす る。これに関連した問題は、この抗原がCSF中に非常に少量で存在し、従って 検出アッセイは非常に高感度でなければならないことである。この問題は、本発 明のモノクローナル抗体を、触媒レポーター沈殿増幅法(catalysed reporter d eposition amplification technique)(CARD、Bobrow et al.,1989)との 組合せで使用して、より高感度のタウ特異的CARD・ELISAにすることに より解決できる。或は、各々AT120エピトープとは異なるエピトープを認識 する標識モノクローナル抗体の混合物又は組合せを、検出抗体として使用するこ ともできる。 本発明のハイブリドーマAT120により分泌されるモノクローナル抗体によ り得られる結果は、タウレベルの上昇が、ADだけでなく、ニューロンの死又は 損傷が生じる他の神経学的疾患でも見い出されることを示している。 「〜と免疫学的複合体を形成する」という表現は、本発明のモノクローナル抗 体が、以下の方法で言及される下記の条件の1つの下で、上述の抗原と結合する ことを意味する: −光学免疫顕微鏡法 手術又は解剖(検死)で得られた脳組織試料を、4%ホルマリン又はボウイン の固定液(Bouin's fixative)中に浸漬して固定し、切片化のためにパラフィン に包埋する。3,3′−ジアミノベンジジン四塩酸を発色のために使用するアビ ジン−ビオチン化ペルオキシダーゼ複合体法(Hsu et al.,1981)のような、形 成される免疫複合体を可視化する方法と結び付けて、本発明のモノクローナル抗 体を適用する。切片を、ハリス・ヘマトキシリン染色(Harris haematoxylin st ain)でカウンター染色する。 −組織切片の免疫電子顕微鏡法 手術又は解剖で得られた脳組織試料を、切片化前に、包埋はせずに、ボウイン の固定液又は10%緩衝化ホルマリン中で固定する(Vibratome)。全て当業者 に公知の標準的プロトコール(Brion et al.,1985)により、間接免疫金法(in direct immunogoldmethod)による免疫染色に、本発明のモノクローナル抗体を 使用し、その後、切片を固定し、包埋し、電子顕微鏡法用に切片化する。 −免疫ブロット法 免疫ブロットのために、記載されている(Lindwall and Cole,1984)ように タウを濃縮した分画を調製する。典型的には、脳組織50gをハサミで小片に切 り、テフロンのプランジャーを取付けたポッター(Potter)ホモジナイザーを用 いて、緩衝液A(20mM2−[N−モルホリノ]エタンスルホン酸、80mM N aCl、2mM EDTA)0.1mM EGTA、1mMβ−メルカプトエタノール 、pH6.75)中で、1:1(重量/体積)でホモジナイズ する。このホモジネートを、4℃で150,000gで1時間遠心分離して、上 清を沸騰水中で5分間加熱し、氷上で10分間再び冷却する。このスラリーを4 ℃で150,000gで2時間遠心分離して、上清を集める。この熱安定性サイ トゾル抽出物を、2.5%過塩素酸に添加して、4℃で150,000gで1時 間遠心分離し、その後上清を3Mトリスで中和する。次に上清を水で透析して、 セントリプレップ濃縮器(Centriprep concentrator)(アミコン社(Amicon) 、ローザンヌ市、スイス)で濃縮する。 12%ゲル上で還元条件下で、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動を行う( Laemmli,1970)。電気泳動後、タンパクを、固定してクマシー・ブリリアント ブルーで染色するか、又はニトロセルロースのシート[Hybond-C;アマーシャム (Amersham)社]もしくはイモビロン・フィルター(Immobilon filters;ミリ ポア社)にトランスファーする(Towbin et al.,1979)。 トランスファー後、0.05%(v/v)ツイーン(Tween)20を含有するPB S(ツイーン−PBS)にフィルターを前もって浸し、次に5%(w/v)乾燥ス キムミルクと10%(v/v)ウシ新生児血清を含有するツイーン−PBS(ブロ ッキング緩衝液)中で1時間インキュベートする。次いで、4℃で一晩、ブロッ キング緩衝液で適宜希釈した本発明のモノクローナル抗体でフィルターを処理す る。 次に、フィルターをツイーン−PBS中で3回洗浄して、ブロッキング緩衝液 で1/3000希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ウサギ抗マウスIgG (Dakopatts、デンマーク)で、室温で 1.5時間処理する。ツイーン−PBS中で3回の洗浄の後、ブロッキング緩衝 液で1/250希釈した、ストレプトアビジン−ビオチン化西洋ワサビペルオキ シダーゼ複合体(アマーシャム社)を、室温で1.5時間適用する。その後、フ ィルターを、ツイーン−PBSで3回、PBSで1回洗浄する。次に、バックグ ラウンドが発色するまで、0.05%(w/v)ジアミノベンジジンと0.03% (v/v)過酸化水素を含有するPBS中で、フィルターをインキュベートする。 モノクローナル抗体と抗原との間での免疫学的複合体の形成は、上述の正確な 条件に制限されず、抗体と抗原の結合の免疫化学的特性を尊重する全ての方法が 、免疫学的複合体の同様な形成を生みだすことは、明らかなはずである。 ヒト正常タウは、全てのニューロンの樹状突起ドメイン(somatodendritic do main)に特異的に発現する、分子量58〜64kDaの範囲の少なくとも6つのタ ウタンパクの集合(クラス)である(Papasozomenos and Binder,1987)。更に 、アルツハイマー病又はダウン症候群の変性した皮質のニューロンで生じ、その 電気泳動の低い移動度が異常なリン酸化に帰される、アルツハイマー(錯綜)特 異的タウの形態が記載されている(Flament et al.,1989;Delacourte et al. ,1990)。 本発明の有利な実施態様によると、モノクローナル抗体は、神経学的疾患に罹 患した患者の大脳皮質から単離された脳ホモジネートから得られるヒトタウタン パクである、上述のタウの全ての形態と免疫学的複合体を形成する。 「脳ホモジネート」とタウタンパクは、LindwallとColeの方法(1984)のよう な標準的な方法により当業者は得ることができる。 有利な実施態様によると、本発明のモノクローナル抗体は、 −ヒトタウタンパクの下記のアミノ酸配列内に位置するエピトープ: −又は、それ自体配列番号1に示されるタウタンパク領域に位置するエピトープ と複合体を形成するモノクローナル抗体と免疫学的複合体を形成することのでき る他のあらゆるペプチド と、免疫学的複合体を形成する。 配列番号1に示される配列は、以下本明細書では、本発明の「エピトープ」を 含有するものとして示される。このアミノ酸配列は、ヒトタウ40の番号付けを 使用して、ヒトタウのアミノ酸155〜221にわたる(Goedert et al.,1989 )。 それ自体上述のペプチドと複合体を形成するモノクローナル抗体 と免疫学的複合体を形成することのできるペプチドは、「変異体ペプチド」とし て定義される。 本発明の好ましいモノクローナル抗体は、ECACC(European Collection of Animal Cell Cultures,Vaccine Research and Production Laboratory,Pub lic Health and Laboratory Service(PHLS),Centre for Applied Microbiolo gy and Research,Proton Down,GB-Salisbury,Wiltshire SP4 OJG)に、19 92年10月8日に第92100853番として寄託したハイブリドーマにより 分泌される。 以下本明細書では、このハイブリドーマは「ハイブリドーマAT120」と呼 び、そしてその分泌されるモノクローナル抗体は「モノクローナル抗体AT12 0」として呼ぶ。 本発明はまた、本発明によるモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ、 特にECACCに1992年10月8日に第92100853番として寄託した ハイブリドーマに関する。 上述のモノクローナル抗体は、これらのモノクローナル抗体を分泌するハイブ リドーマの獲得と単離を含む方法により得られる。 ハイブリドーマを得るための方法は、 −ECACCに1992年10月8日に第92100853番として寄託したハ イブリドーマにより分泌されるモノクローナル抗体のような本発明のモノクロー ナル抗体により認識される抗原を用いて、予めインビボ(生体内)免疫した動物 (例えばマウス又はラット)の脾臓細胞、又は予めインビトロ(試験管内)免疫 したそのような動物の脾臓細胞から出発して; −ハイブリドーマ形成条件下で、上記免疫細胞と骨髄腫細胞とを融合させて;そ して −上述の抗原のエピトープを特異的に認識し、正常タウ又はタウタンパクの異常 にリン酸化された形態、或は本発明のモノクローナル抗体により認識されるタウ のエピトープを含むペプチドと、免疫学的複合体を形成するモノクローナル抗体 を分泌するハイブリドーマを選択すること を包含する。 対応するモノクローナル抗体を産生させるための方法は、 −上述のように選択したハイブリドーマを適切な培地中で培養し;そして −その選択したハイブリドーマにより分泌されるモノクローナル抗体を回収する こと;又はその代わりに −選択したハイブリドーマをマウスの腹腔に移植し、そのマウスに腹水が産生さ れた時; −上記腹水から形成されたモノクローナル抗体を回収すること を包含する。 本発明のモノクローナル抗体は、例えば中空糸又はマイクロカプセルを使用し た固定化細胞の培養のような、或は、例えばエアリフト・リアクター又は撹拌バ イオリアクターを使用した均一な懸濁液中での細胞の培養のような、インビトロ の従来法により調製することができる。 本発明はまた、アルツハイマー病の患者から得られたヒト大脳皮質から単離し たヒト脳ホモジネートから得られ、本発明のモノク ローナル抗体と免疫学的複合体を形成する、ペプチド(抗原)に関する。 本発明はまた、本発明のいずれかのモノクローナル抗体と免疫学的複合体を形 成し、そして −配列番号1に示される配列の部分により、含有されるか又は構成され; −上記で定義された変異体ペプチドの配列を含有するか又はその配列により構成 される、 ペプチド(抗原)に関する。 変異体ペプチドは、モノクローナル抗体と免疫学的複合体を形成することので きるペプチドであり、そしてモノクローナル抗体自体は配列番号1に示されるタ ウタンパク領域に位置するエピトープと複合体を形成することを想起すべきであ る。 本発明はまた、 −配列番号1に示される配列を含有するか、又は −上記で定義された変異体ペプチドの配列を含有する、 約100アミノ酸のポリペプチド(抗原)に関する。 本発明はまた、本発明のモノクローナル抗体を生成する上述のペプチドに関す る。 本発明はまた、アルツハイマー病もしくは正常ヒトタウタンパクに関係する何 らかの脳疾患を有する患者の脳、脳脊髄液又は血清中に含有され、本発明のモノ クローナル抗体と免疫学的複合体を形成する、ペプチド(抗原)に関する。 本発明はまた、アルツハイマー病又はPHFもしくは異常にリン 酸化されたヒトタウタンパクに関係する何らかの脳疾患を有する患者の脳、脳脊 髄液又は血清中に含有され、本発明のモノクローナル抗体と免疫学的複合体を形 成する、ペプチド(抗原)に関する。 本発明のペプチドを調製するための方法は、好ましくはC末端アミノ酸から出 発して、必要な順に連続するアミノアシルを、又は予め形成されて適切な順に幾 つかのアミノアシル残基を既に含有する断片とアミノアシルとを、又はその代わ りにこの方法で予め調製された幾つかの断片を、連続的に2つ1組でカップリン グさせるが、この時、ペプチド合成で公知の方法等々により、特にカルボキシル 基の活性化後、正常にペプチド結合形成に関わるべき一方のアミノ基ともう一方 のカルボキシル基(又はその逆)以外の、これらのアミノアシル又は断片の全て の反応性基を前もって保護するよう注意を払うことが理解され、これをN末端ア ミノ酸まで段階的に進行させることにより特徴付けられる。 ヒト大脳皮質から出発して当業者に公知の方法(Lindwall and Cole,1984) により調製され得る本発明の抗原は、上述のような本発明のモノクローナル抗体 、有利にはECACCに1992年10月8日に第92100853番として寄 託したハイブリドーマAT120により分泌されるモノクローナル抗体と、免疫 学的複合体を形成する能力により特徴付けられる。 本発明の抗原は、有利にはアルツハイマー病、ダウン症候群、ピック病、亜急 性硬化性汎脳炎(SSPE)又は正常タウもしくは異常にリン酸化されたタウタ ンパクが関係する他の神経学的疾患を有する患者の脳、脳脊髄液又は血清に含有 される;この抗原は、本 発明のモノクローナル抗体との免疫学的反応を引き起こす。 本発明はまた、タウタンパクが関係する脳疾患、即ちアルツハイマー病のイン ビトロ検出又は診断のための方法に関し、そしてこの方法は、 −タウタンパクを含有するNFTの調製物、或は、アルツハイマー病又はタウタ ンパクもしくは異常にリン酸化されたタウタンパクが関係する他の何らかの疾患 を有していた患者から単離したタウタンパクを含有する界面活性剤抽出した脳ホ モジネートを、抗原−抗体複合体を生成するのに好適な条件下で、本発明のモノ クローナル抗体と接触させて;そして −上記複合体から抗原を分離して、精製された形態で、求める抗原を回収するこ と を包含する。 タウの調製は、LindwallとCole(1984)の方法により行うことができる。 有利には、使用するモノクローナル抗体は、樹脂のような好適な支持体上に固 定化された状態にある。抗原の検出方法は、下記のとおり行うことができる: −脳組織又は脳脊髄液から出発する当業者に公知の抽出方法(Iqbal et al.,19 84;Greenberg and Davies,1990)の結果として得られるタンパク質とポリペプ チドを含有する上清を、免疫学的複合体の形成を可能にするような条件下で、上 記モノクローナル抗体と接触させて; −形成された固定化抗体−抗原複合体を洗浄し; −抗原−抗体複合体を解離させることができる溶液(例えば、3Mチオシアン化 カリウム、2.5M塩化マグネシウム、0.2Mクエン酸塩−クエン酸、pH3.5 、又は0.1M酢酸)でこの複合体を処理し;そして; −精製された形態で抗原を回収する。 例えばアルツハイマー病のような、タウタンパク及び異常にリン酸化されたタ ウタンパクが関係する脳疾患の、本発明のインビトロ検出又は診断方法は、 −タウタンパクもしくはPHFが関係する神経学的疾患(特にアルツハイマー病 )を疑われる患者からの、脳ホモジネート又は脳脊髄液又は血清の試料を、抗原 −抗体複合体を生成するのに好適なインビトロ条件下で、本発明のモノクローナ ル抗体と接触させて;そして −上記脳ホモジネート又は脳脊髄液又は血清の試料への上記抗体の免疫学的結合 を検出すること を含む。 免疫学的に結合したモノクローナル抗体の検出は、従来法により行うことがで きる。有利には、本発明のモノクローナル抗体は、それ自体、後で例示するよう に、マーカー、又はマーカーと直接もしくは間接カップリングするための基を有 している。また、ポリクローナル抗血清を使用することもでき、これは、本発明 の抗原を動物(好ましくはウサギ)に注射し、上記抗原が結合しているカラムに 上記ポリクローナル抗体を通す免疫親和性精製により抗血清を回収し、そして上 記ポリクローナル抗体を従来法により溶出すること により作られるポリクローナル抗血清である。 検出は、本発明のエピトープを含む標識ペプチドとの、抗原の競合的結合によ っても行うことができる。 PHF及び/又は正常タウタンパクが関係する脳疾患(例えばアルツハイマー 病)の本発明のインビトロ検出又は診断方法の、特に有利な実施態様は、 −正常もしくは異常にリン酸化されたタウタンパクが関係する神経学的疾患(特 にアルツハイマー病)を疑われる患者から単離した濃縮されていない脳脊髄液試 料を、抗原−抗体複合体を生成するのに好適な条件下で、インビトロ条件下で本 発明のモノクローナル抗体と接触させて;そして −上記脳脊髄液試料への上記抗体の免疫学的結合を、好ましくは触媒レポーター 診断増強(catalysed reporter diagnosis enhancement)(CARD)法を適用 する、サンドイッチELISA法により検出する 工程を包含する。 本発明はまた、下記の疾患のいずれかのインビトロ診断のためのキットに関す る:アルツハイマー病、ダウン症候群、ピック病、亜急性硬化性汎脳炎(SSP E)、及び正常タウタンパクもしくは異常にリン酸化されたタウタンパクが関係 する他の神経変性疾患。このようなキットは、 −本発明のモノクローナル抗体をその上につけるための少なくとも1つのマイク ロプレート; −本発明のエピトープを含有する標識ペプチドと、好ましくは配列 番号1に示されるペプチド配列で並ぶペプチドとできる限り一緒に、インビトロ 診断すべき試料を含有する調製物; −2次抗体であって、これは、 *正常もしくは異常にリン酸化されたタウタンパクの別のエピトープ、又は本発 明のいずれかのペプチドの別のエピトープであって、本発明のエピトープとは異 なるエピトープを認識するモノクローナル抗体であることができ、或は *正常もしくは異常にリン酸化されたタウタンパク、又は本発明のペプチドに対 するポリクローナル抗体であって、本発明のエピトープとは全て異なるエピトー プと免疫学的複合体を形成するポリクローナル抗体であり、好ましくは固定化タ ウタンパクを使用する免疫親和性クロマトグラフィーにより精製されているポリ クローナル抗体であることができる、 −上記2次抗体との特異的標識付け又はカップリングのためのマーカー; −一方では本発明のモノクローナル抗体と試験試料との、他方では結合2次抗体 とマーカーとの、免疫学的反応を行うための適切な緩衝液 を含有する。 上述の標識ペプチドは、当業者に公知の任意の方法によって標識されたペプチ ドであってよい。更に、標識付けとカップリングに特異的なマーカーは、当業者 に公知の任意のマーカーであってよい。 本発明はまた、探索される抗原に関して、競合用量法で使用され るキットのために、本発明の抗原[この本発明の抗原は(探索される抗原の定量 測定のための)標準物質又は競合物質である]をも含有する、上述のキットに関 する。 図面の簡単な説明第1図 モノクローナル抗体Tau−1(Binder et al.,1985)、AT8(Mercken e t al.,1992b)及びAT120を使用した、正常タウ又はPHF−タウのウェス タンブロット検出。レーン1、3及び5:GreenbergとDavies(1990)の方法に より単離したPHF−タウ。レーン2、4及び6:Merckenら(1992b)の方法に よる正常の親和性精製したヒトタウ。レーン7:分子量マーカー。 レーン1と2はAT8を使用して、レーン3と4はAT120を使用して、そ してレーン5と6はTau−1モノクローナル抗体を使用して発色させた。第2A図及び第2B図 免疫化学によるタウタンパクの検出。 第2A図:アルツハイマー病の患者の海馬からの切片。倍率212×。 第2B図:錯綜(tangles)の多いアルツハイマー病の患者の別の海馬からの 切片。倍率212×。第3図 増幅した(CARD)AT120サンドイッチELISAを使用した、タウ陰 性CSFプールに添加した正常(○)及びPHFタウ(■)の力価測定。全ての 希釈物は2重測定し、データは光学密度 (OD)単位として表した。第4図 実施例Vに示されるように構築し、実施例Iに示されるようにAT120で染 色した、幾つかの欠失突然変異体のウェスタンブロット。突然変異体は、下記の アミノ酸(AA)を含む;レーン1、全長のタウ34(Goedert et al.,1989) ;レーン2、タウ34のAA154までのアミノ末端;レーン3、タウ34のAA1 55 からカルボキシ末端;レーン4、タウ34のAA242までのアミノ末端;レー ン5、タウ34のAA221までのアミノ末端;レーン6、タウ34のAA222から カルボキシ末端。第5図 モノクローナル抗体HT7、BT2、AT8のエピトープ認識部位を、1文字 アミノ酸コードで示す本発明のエピトープ(配列番号1)上に描いてある。エピ トープは四角で囲まれている。星印「*」は、AT8エピトープ認識がセリン残 基202のリン酸化を要することを表す。 実施例 実施例I:モノクローナル抗体AT120(IgGl、サブタイプ:カッパ)の 調製 1.免疫のための抗原の調製 GreenbergとDavies(1990)の変法により、PHF−タウを部分精製した。組 織学的に診断の確定したアルツハイマー患者から、主に前頭皮質及び側頭皮質か らの灰白質よりなる死後組織を得た。このアルツハイマー灰白質脳試料(5〜1 0g)を、テフロン/ ガラスのポッターS(Potter S)(ブラウン社、ドイツ)ホモジナイザー中で、 10倍量の冷緩衝液H(10mMトリス/1mM EGTA/0.8M NaCl/ 10%蔗糖、pH7.4)と一緒にホモジナイズした。このホモジネートを、6 0Ti MSEローター中で、4℃で20分間、27,000×gで遠心分離し た後、ペレットを除去し、上清を1%(重量/体積)N−ラウロシルサルコシン 及び1%(体積/体積)2−メルカプトエタノールに調整し、37℃で2.5時 間、ミキサー(Swelab、スエーデン)で回転させながらインキュベートした。上 清混合物を、20℃で35分間、108,000×gで遠心分離した。PHF− タウを含有するぺレットをPBSで穏やかに洗浄し、最後に同じ緩衝液1mlに懸 濁した。 10%ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動と、続いて ポリクローナルウサギ抗ヒト正常タウ抗血清での免疫ブロッティングを使用する ウェスタン・ブロットにより、この抗原調製物を評価した(Mercken et al.,19 92b)。 2.免疫のプロトコール及び融合手順 完全フロイント・アジュバント中の部分精製PHF−タウ100μgの皮下投 与によりBalb/cマウスをプライミング(初回抗原投与)し、その後3週間 間隔で不完全フロイント・アジュバント中の同一抗原100μgの腹腔内投与に より3回追加免疫を行った。融合前の第3日及び第2日には、生理食塩水中のP HF−タウ100μgでマウスに追加免疫を行った。 用いて、マウス牌臓細胞をSP2/0骨髄腫細胞と融合させた。 前もってフィーダー層としてマウス腹腔マクロファージを播いた96ウェルプ レート上に、4.5×104脾臓細胞/ウェルの密度に、融合実験の細胞を懸濁 した。12日後、以下第3節で検討するように正常タウ又はPHF−タウに特異 的なサンドイッチELISAで抗タウ抗体産生についてこれらのウェルをスクリ ーニングした。 ハイブリドーマの増殖は、20%ウシ胎児血清、ピルビン酸ナトリウム(1mM )、L−グルタミン(2mM)、ぺニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン (100mg/ml)、及び非必須アミノ酸を補完したダルベッコ改変イーグル培地 (DMEM)中で行った。全ての材料は、ギブコ社(Gibco)(Paisley、英国) から購入した。細胞は、加湿CO2−空気インキュベーター中でインキュベート した。 3.抗体スクリーニングのためのサンドイッチELISA 抗タウモノクローナル抗体の検出のために使用したスクリーニングELISA は、コーティング相に親和性精製したポリクローナルウサギ抗ヒトタウ抗体(Me rcken et al.,1992a)を用いるサンドイッチELISA系であった。このため に、臭化シアン活性化セファロース(ファルマシアLKB社、スエーデン)を使用 する免疫親和性カラムの調製に、Merckenら(1992a)に記載されたとおりに調製 した精製ヒト正常タウを使用した。親和性結合抗タウ分画は、pH2.5の0.1 Mクエン酸緩衝化溶液を用いてこのカラムから溶出した。中和後、抗タウ含有分 画をプールして、コーティン グ緩衝液(10mMトリス、10mM NaCl、10mM NaN3、pH8.5)中 で、高結合マイクロタイタープレート[ヌンク(Nunc)、ギブコ社、Paisley、 英国]上に4℃で一晩コーティングした(1μg/ml)。非特異結合を減少させる ためにPBS中の10%飽和カゼイン125μlで30分間オーバーコーティン グした後、プレートを、適切に希釈したPHF−タウ調製物100μlと一緒に 37℃で60分間インキュベートした。PBS−0.05%ツイーン20(v/v )でこのプレートを3回洗浄し;ハイブリドーマ上清100μlを添加して、3 7℃で1時間インキュベーションを続けた。洗浄後、ぺルオキシダーゼ結合ウサ ギ抗マウス血清(Dakopatts、Glostrup、デンマーク)を用いて、結合したモノ クローナル抗体を検出した。全ての試薬は、10%カゼインを含むPBSで希釈 した。最後の洗浄後、ぺルオキシダーゼの基質として、pH4.3の100mMク エン酸、100mMリン酸水素二ナトリウム中の0.42mM 3,5,3′,5′ −テトラメチルベンジジン、0.003%H22(v/v)100μlを添加した 。2MH2SO4溶液50μlで反応を停止した。450nmでタイターテク・マル チスキャン(Titertek Multiscan)(Flow Laboratories,Eflab,Oy、フィンラ ンド)で吸光度を読んだ。 ELISAにおける正常タウとのモノクローナル抗体の交差反応性を、PHF −タウの代わりに親相性精製した正常タウを抗原として使用したことを除いてス クリーニングアッセイと同一のサンドイッチELISAで試験した。 陽性ハイブリドーマ培養物の最初の選択では、ウェルの視診によ ると、大部分の陽性培養物は、当初混合クローンからなっていた(ウェル当り3 〜4クローン)。これらの陽性培養物を任意にAT1からAT24と呼んだ(こ れらのハイブリドーマ培養物の幾つか、即ちAT1からAT14は、Mercken et al.,1992bに記載されたものである)。この最初のスクリーニングの後、当業 者に周知の技法である限定希釈法によりハイブリドーマ培養物をサブクローニン グして、最終的に均一なイディオタイプの抗体を分泌する純粋なハイブリドーマ クローンを得た。ELISA、ウェスタンブロット及び免疫組織化学における正 常及びPHF−タウに対する反応性パターンの点から、そして脳脊髄液の希釈さ れていない試料に存在するタウタンパクに対する親和性により神経学的疾患を診 断する能力の点から、これらの純粋なハイブリドーマクローンを更に試験した。 これらの判断基準に基づき、モノクローナル抗体AT120を選択して、更に下 記の実施例に示したように特徴付けを行った。 4.抗体のクラス及びサブクラスの決定 Inno-LIA(Innogenetics、Ghent、ベルギー)により、抗体のクラス及びサブ クラスを決定した。本発明の抗体AT120は、IgG1、カッパサブタイプで あるらしいことが判った。 実施例II:ELISA及びウェスタンブロットによる病理学的タウ及び正常タウ の検出 1.AT120を使用するELISAによる正常タウの検出 無血清ハイブリドーマAT120調整培地(コンディションドメディウム)か ら得られたプロテインG精製モノクローナル抗体AT120を、ELISAプレ ート上にコーティングして、Mercken et al.(1992a)に記載されたように、PBS及び10%カゼインの溶液中に調 製した、親和性精製したヒト正常タウの異なる希釈物と反応させた。 正常タウの純度をSDS−PAGEで測定した。420A/Hアミノ酸アナラ イザー(Applied Biosystems B.V.、Maarssen、オランダ)で、メーカーの指 示に従いタウ試料を分析すると、このタンパクは予想されたアミノ酸組成を示し た。アミノ酸組成から、そして標準ぺプチドとの比較により、正常タウの濃度を 測定した。 タウ及びPHF−タウ陰性CSFに添加した異なる濃度のタウを用いてELI SAプレートを室温で1時間インキュベートした後、プレートを洗浄して、0. 2μg/mlのビオチン化BT2とHT7(各々AT120エピトープとは異なる正 常タウ上に存在するエピトープを認識する)と共にインキュベートした。洗浄後 、実施例Iで詳述したように、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ストレプトアビ ジン(Jackson)と発色剤で、複合体化したビオチン化抗体を測定した。結果を 第I表と第3図に示す。 2.AT120を使用するウェスタンブロットによる病理学的タウ及び正常タウ の検出 精製した正常ヒトタウとPHF−タウを、10%SDS−ポリアクリルアミド ゲルにのせて、Laemmli(1970)に従って変性条件下で泳動した。SDS−PA GE後、冷却しながら55Vで120分間、10mM NaHCO3、3mM Na2 CO3、pH9.9中で、ニトロセルロース(Hybond-C、アマーシャム社、Brussel s、ベルギー)へのトランスファーを行った。ブロッティング後、ニトロセルロ ースをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で平衡化して、ブロット緩衝液[5%( w/v)乾燥スキムミルク及び10%(v/v)ウシ新生児血清を補完したPBS]で タンパク結合部位をブロッキングした。ブロットしたタンパクを、1次抗体とし てAT120と一緒に4℃で一晩インキュベートした。PBS−0.05%ツイ ーン20(v/v)で3回の洗浄後、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ウサギ抗マ ウスイムノグロブリン(Dakopatts、Glostrup、デンマーク)を1/3000の 希釈率で使用して、室温で90分間インキュベートした。全ての抗血清は、ブロ ット緩衝液で希釈した。次に、PBS/ツイーン中でブロットを3回洗浄し、基 質溶液[PBS、0.05%(w/v)3,3′−ジアミノベンジジン、0.03 %(v/v)H22]で発色させ、その後H2O中で反応を停止した。第1図に示し た結果は、AT120抗体が全てのタウのアイソフォームを認識することを示し ている。それと対照的に、Tau−1抗体(Binder et al.,1985)は正常タウ とのみ反応し、AT8抗体(Mercken et al.,1992b)はPHF−タウとだけ反 応する。 AT120、AT8及びTau−1mAbを、PHF−タウ抗原上のウェスタ ンブロット及びELISAによるそれらのエピトープのホスファターゼ感受性に ついて試験した。PHF−タウとのAT120抗体の反応性は、ELISA(デ ータは示さない)又はウェスタンブロット(データは示さない)で、ホスファタ ーゼ処理に感受性ではなかった。AT8の反応性は、ELISAにおけるPHF −タウ抗原のアルカリホスファターゼ処理後、ほぼ完全に消失した。以前に記載 されている(Binder et al.,1985)ように、PHF−タウの脱リン酸化により Tau−1の免疫反応性は強化された。 実施例III:免疫組織化学によるタウの検出 数人のアルツハイマー患者及び患者と年齢を合わせた対照の新皮質、海馬、小 脳、脳橋、及び脊髄からのホルマリン固定脳組織のパラフィン切片と、対照の1 人からの末梢神経の切片を調製した。 アルツハイマー患者及び患者と年齢を合わせた対照の脳からのクリオスタット 切片も調製した。各々Dakopatts社(デンマーク)とアマーシャム社(英国)の 試薬を使用して、ペルオキシダーゼ−抗ペルオキシダーゼ(PAP)法(Steinb erger et al.,1970)又はアビジン−ビオチン複合体(ABC)法(Hsu et al. ,1981)を用いて、組織を免疫染色した。 簡単に述べると、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有するトリス緩衝生 理食塩水(TBS)で1:25に希釈した正常ブタ血清(Dakopatts、X901 )を用いて非特異的相互作用をブロッキングした後、切片を、TBS/BSAで 適切に希釈した AT120 1次抗体と一緒に一晩インキュベートした。次に、2次抗体及びペ ルオキシダーゼ複合体を各30分間、間にTBS中ですすいで、適用した。3, 3’−ジアミノベンジジン四塩酸(シグマ社)で発色させた。切片を、ハリス・ へマトキシリンでカウンター染色し、脱水し、カバーグラスをかけ、光学顕微鏡 下で観察した。 AT120が、多くのNFT、局面のジストロフィーの軸索(neurites)の染 色と、分散した神経網(神経網の糸)の染色を生じたことが、第2A図と第2B 図により明白に示された。 実施例IV:脳脊髄液試料中のタウの検出脳脊髄液試料 患者からのCSF試料は、アントワープ大学病院(University Hospital of A ntwerp)の神経学科で集めた。ルーチンの診断目的で行った腰椎穿刺により、全 ての試料を得た。CSF試料は、少量に分注して、使用するまで−75℃で凍結 保存した。 患者を異なる3群に分けた:Mc Khannら(1984)の方法に従ってADの可能性 があると診断された27人の患者、神経根障害のため腰椎穿刺を受けた精神的に 健常な対照患者、及び他の神経学的疾患(other neurological diseases、ON D)に罹患している患者。OND群は、アデノ白質萎縮症(adenoleukodystroph y)、前頭葉変性、小脳萎縮、オリーブ橋小脳萎縮、及び筋萎縮性側索硬化症の ような神経変性疾患の患者を含む、炎症性、血管性、及び他の疾患を含んでいた 。各患者について年齢、性別及び診断を記した。AT120アッセイ 無血清調整培地からプロテインGカラムクロマトグラフィーにより精製したA T120モノクローナル抗体を、コーティング緩衝液中3μg/ml(10mMトリス 、10mM NaCl、10mM NaN3、pH8.5)で、高結合マイクロタイタ ープレート[ヌンク(Nunc)、ギブコ社、Paisley、英国]上に、4℃で一晩コ ーティングした。非特異的結合を減少させるためにPBS中の10%飽和カゼイ ン150μlで30分間オーバーコーティングした後、CSF25μlと、5% ツイーン20、10%飽和カゼインを含むPBS中に0.2μg/mlのビオチン化 BT2及び同量のHT7を含有するコンジュゲート混合物75μlと一緒に、こ のプレートをインキュベートした。プレートを室温で一晩放置して、洗浄後、室 温で30分間、ぺルオキシダーゼ結合ストレプトアビジン(Jackson)(1/1 5000)を添加した。 更に洗浄した後、ぺルオキシダーゼの基質として、0.42mM 3,5,3′ ,5′−テトラメチルベンジジン、0.003%H22(v/v)を含む100mM クエン酸、100mMリン酸水素二ナトリウム、pH4.3を、100μl添加した 。2M H2SO4溶液50μlで反応を停止した。450nmでタイターテク・マ ルチスキャン(Titertek Multiscan)(Flow Laboratories,Eflab,Oy、フィン ランド)で吸光度を読んだ。 CSF試料からAT120を用いて得られた吸光度値を、既知量の親和性精製 した正常ヒトタウから作成した標準曲線と比較し、この比較により結果をpgタウ /mlとして表すことができた。 これらの結果の概要を第II表にまとめ、ここに患者の同定 (ID)、診断、年齢、及びpg/ml CSFで表したタウ値をリストした。これ らの結果から、種々の神経学的疾患に罹患した患者群(OND;平均値:26. 4pg/ml)に比較して、対照患者のレベルが実質的に低い(平均:16.4pg/ml )ことは明白である。アルツハイマー病の患者については、対照やOND試料よ りも平均値は明らかに上昇している(アルツハイマー患者の平均:50.8pg/m l)。 27pg/mlのカットオフレベルを採用する場合、対照試料の8%が陽性であり 、一方、OND群とアルツハイマー群のこの値は各々27%と80%である。第II表 :対照患者、アルツハイマー患者(AD)及び他の神経学的疾患(OND )により、及び年齢コホートにより群分けした、AT120のELISAで測定 した平均タウレベル。 略語:SSPE:亜急性硬化性汎脳炎、GBS:ギラン−バレー症候群、TC: 髄膜結核、MS:多発性硬化症、PNP:多発性神経障害、CVA:脳血管アミ ロイド症、ALS:筋萎縮性側索硬化症、TIA:一過性脳虚血発作、OPCA :オリーブ橋小脳萎縮症、COLD:慢性閉塞性肺疾患。 実施例V:AT120エピトープの定義 AT120はタウの全てのアイソフォームと等しく反応する(Goedert et al. ,1989)ため、欠失マッピングのために最小の組換えタウの形態を使用した。こ れに、欠失の構築のため2つの部位、即ちヒトタウ34配列の155位のSac II部位と220位のSmaI部位を使用した(Goedert et al.,1989)。最小の タウのオープン・リーディング・フレームがマウス腫瘍壊死因子の25アミノ酸 に融合しているmTNF−融合ベクタ−pmTNF(MPH)(Innogenetics、 Ghent、ベルギー)を、ApaI−SacIIで切断し、T4DNAポリメラーゼで 平滑化して繋いだ。非突然変異体のバックグラウンドを減少させるために、繋い だ物質をSacIIとApaIで切断した後、混合物をMC1061 pc I5 87中に形質転換した[Casadaban&Cohen,(1980)]。制限消化と、抗タウ抗 体との反応性により、選択した各クローンを更に特徴付けした。 XmaI制限部位にフレーム・シフト突然変異を挿入するため に、同一のマウスTNF融合タウベクターを使用した。ベクターをSmaIで切 断し、T4DNAポリメラーゼで平滑化して、非突然変異体のバックグラウンド を減少させるために、繋いだ混合物を形質転換前にSmaIで再処理した。各突 然変異体の反応性パターンを、ウェスタンブロットにより、AT120モノクロ ーナル抗体で調べた。これにより、第一近似として、アミノ酸155〜221の 65アミノ酸の領域にAT120のエピトープを局在化することができた(第4 図)。しかし、この領域には他の2つの抗体、BT2(Mercken et al.,1992a )とHT7(Mercken、博士論文)も反応性を示すため、これらのモノクローナ ル抗体とAT120との間に競合結合が観察されないことを証明する必要があっ た。 従って、これらの各抗体を用いて競合ELISAを行った。このため、親和性 精製したウサギ抗ヒトタウポリクローナル抗体を、コーティング緩衝液(10mM トリス、pH8.6、10mM NaCl、10mM NaN3)中で4℃で一晩コー ティングして、PBS中の0.1%カゼインでブロッキングした後、37℃で1 時間、純粋なPHF−タウ100μl/ウェルを添加した。洗浄後、10μg/mlの 濃度でAT8、BT2又はAT120の非標識モノクローナル抗体のいずれか5 0μlを添加して、37℃で30分間インキュベーションを続けた。次に、ビオ チン化モノクローナル抗体50μlを添加した。実施例IIに記載したタウのサン ドイッチELISAで最大OD値の50%を与えるよう前もって設定した濃度で 、これらの各ビオチン化抗体を使用した。続いて37℃で1時間のインキュベー ションの後、プレートを、実施例IIに記載したよ うに更に処理した。 N.D.は吸光度が測定されなかったことを表す。 第III表に示した結果は、モノクローナル抗体AT120に認識されるエピト ープはモノクローナル抗体BT2及びAT8に認識されるエピトープとは異なる ことを明白に示す。これらの各モノクローナル抗体と一緒に、本発明のエピトー プから誘導した配列を有する合成ノナペプチドを固定化した固相をインキュベー トし、続いて実施例Iの第3節のように複合体を可視化することにより得られた 、これらの各々の反応性パターンに基づいて、AT120に認識されるエピトー プは他の各モノクローナル抗体のものとは異なることを確認した(第IV表及び第 5図)。第IV表 固相結合ノナペプチドとのモノクローナル抗体BT2、HT7及びAT 120の反応性。 このノナペプチドは、1文字アミノ酸コードで表す。 参考文献 配列表 (1)一般的情報: (i)出願人: (A) 名:Innogenetics sa. (B) 通り:Industriepark-Zwijnaarde 7,box 4 (C) 市:ゲント (E) 国:ベルギー (F) 郵便番号(ZIP):B-9052 (G) 電話:00 32 9 241 07 11 (H) ファクシミリ:00 32 9 241 07 99 (ii)発明の名称:微小管関連タンパク質タウに対するモノク ローナル抗体、これらの抗体を分泌するハイ ブリドーマ、これらのモノクローナル抗体に よる抗原認識及びこれらの応用 (iii)配列の数:3 (iv)コンピュータ読取り形態: (A) 媒質タイプ:フロッピーディスク (B) コンピュータ:IBM PC互換機 (C) オペレーティングシステム:PC-DOS/MS-DOS (D) ソフトウェア:PatentIn Release#1.0, Version#1.25(EPO) (2)配列番号1の情報: (i)配列の特徴: (A) 長さ:67アミノ酸 (B) 型:アミノ酸 (D) トボロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ぺプチド (xi)配列:配列番号1: (2)配列番号2の情報: (i)配列の特徴: (A) 長さ:9アミノ酸 (B) 型:アミノ酸 (D) トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ぺプチド (xi)配列:配列番号2: (2)配列番号3の情報: (i)配列の特徴: (A) 長さ:9アミノ酸 (B) 型:アミノ酸 (D) トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:ぺプチド (xi)配列:配列番号3:
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C07K 16/18 C12N 5/00 G01N 33/53 D 8310−2J 33/577 B 8310−2J // A61K 39/00 H 9284−4C 39/395 N 9284−4C (C12P 21/08 C12R 1:91) (C12N 5/00 C12R 1:91) C12R 1:91) (72)発明者 ファンメヘレン,エーヘーン ベルギー国、ベー―9810 ナザレット―エ ケ、テン・エデストラート 101 (72)発明者 ファン・デ・フォールデ,アンドレ ベルギー国、ベー―9160 ローケレン、フ レンストラート 22

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.それ自体ヒト大脳皮質から単離される脳ホモジネートから得られるタウタン パクである、ヒト正常タウタンパク及び異常にリン酸化されたタウタンパクに属 する抗原のエピトープと免疫学的複合体を形成するモノクローナル抗体であって 、 −ELISAにより測定すると、タウタンパクと部分配列を共有するMAP−1 、MAP−2及び神経線維のような他のリン酸化されたタンパクとは免疫学的複 合体を形成せず、 −脳脊髄液(CSF)中の、1.0pg/mlという低濃度のヒト正常タウタンパク 及び異常にリン酸化されたタウタンパクを検出し、そして −タウタンパク陰性CSF中への一定量のタウタンパクの添加に際し、100% の回収率で上記タウタンパクを検出する、 という事実により特徴付けられる、モノクローナル抗体。 2.請求の範囲第1項に記載のモノクローナル抗体であって、 −ヒトタウタンパクの下記のアミノ酸配列内に位置するエピトープか、 又は、 −配列番号1に示されるタウタンパク領域に位置するエピトープと複合体を形成 するモノクローナル抗体と免疫学的複合体を形成することのできる他のあらゆる ペプチド と免疫学的複合体を形成する、という事実により特徴付けられる、モノクローナ ル抗体。 3.ECACCに1992年10月8日に第92100853番として寄託され たハイブリドーマにより分泌される、請求の範囲第1項又は第2項記載のモノク ローナル抗体。 4.請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項記載のモノクローナル抗体を分泌 するハイブリドーマであって、更に詳しくはECACCに1992年10月8日 に第92100853番として寄託されたハイブリドーマ。 5.それ自体ヒト大脳皮質又はアルツハイマー病の患者から得られる大脳皮質か ら単離される脳ホモジネートから得られうるペプチドであって、請求の範囲第1 項〜第3項のいずれか1項記載のモノクローナル抗体と免疫学的複合体を形成す る、ペプチド。 6.請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項記載のモノクローナル抗体のいず れかと免疫学的複合体を形成するペプチドであって、 −配列番号1に示される配列の部分により、含有されるか又は構成され、 −配列番号1に示されるタウタンパク領域に位置するエピトープと複合体を形成 する請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項記載のモノクローナル抗体と免疫 学的複合体を形成するペプチドの配列を含有するか又はその配列により構成され る、 ペプチド。 7.約100アミノ酸のペプチドであって、 −配列番号1に示される配列を含有し、 −配列番号1に示される配列内のペプチドと複合体を形成する請求の範囲第1項 〜第3項のいずれか1項記載のモノクローナル抗体と免疫学的複合体を形成する ペプチドの配列を含有する、 ペプチド。 8.免疫により、請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項記載のモノクローナ ル抗体を生成する、請求の範囲第5項〜第7項のいずれか1項記載のペプチド。 9.アルツハイマー病又はPHFもしくは正常タウタンパクが関係する脳疾患を 有する患者の脳、脳脊髄液又は血清中に含有されるペプチドであり、請求の範囲 第1項〜第3項のいずれか1項記載のモノクローナル抗体と免疫学的複合体を形 成するペプチド。 10.請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項記載のモノクローナル抗体を分泌 する、請求の範囲第3項記載のハイブリドーマを入手及び単離する方法であって 、 −ECACCに1992年10月8日に第92100853番とし て寄託されたモノクローナル抗体により認識される抗原を用いて、予めインビボ 免疫した動物(例えばマウス又はラット)の脾臓細胞、又は予めインビトロ免疫 したそのような細胞の脾臓細胞から出発して; −ハイブリドーマ形成条件下で、上記免疫細胞を骨髄腫細胞と融合させて;そし て −請求の範囲第5項〜第8項のいずれか1項記載の抗原のエピトープを特異的に 認識し、上記エピトープと免疫学的複合体を形成するモノクローナル抗体を分泌 するハイブリドーマを選択すること を包含することを特徴とする方法。 11.請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項記載のモノクローナル抗体を製造 する方法であって、 −請求の範囲第4項記載の選択したハイブリドーマを適切な培地中で培養し;そ して −上記選択したハイブリドーマにより分泌されるモノクローナル抗体を回収する こと;又はその代わりに −請求の範囲第4項記載の選択したハイブリドーマをマウスの腹腔に移植し、上 記動物により腹水が産生された時、上記腹水から形成されたモノクローナル抗体 を回収すること を包含する方法。 12.例えばアルツハイマー病のような、PHF−タウと正常タウタンパクの両方 又は一方が関係する脳疾患のインビトロ検出又は診断方法であって、 −アルツハイマー病又はタウタンパクもしくは異常にリン酸化され たタウタンパクが関係する他の何らかの疾患の患者から単離した界面活性剤抽出 した脳ホモジネート又はNFTの調製物を、抗原−抗体複合体を生じるのに好適 な条件下で、請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項記載のモノクローナル抗 体と接触させて;そして −上記複合体から抗原を分離して、精製された形態で、求める抗原を回収するこ と を包含する方法。 13.例えばアルツハイマー病のような、異常にリン酸化されたタウタンパクが関 係する脳疾患のインビトロ検出又は診断方法であって、 −タウタンパクもしくはPHFが関係する神経学的疾患、特にアルツハイマー病 を疑われる患者からの脳ホモジネート又は脳脊髄液又は血清の試料を、抗原−抗 体複合体を生じるのに好適な条件下で、インビトロ条件下で請求の範囲第1項〜 第3項のいずれか1項記載のモノクローナル抗体と接触させて;そして −上記脳ホモジネート又は脳脊髄液又は血清の試料への上記抗体の免疫学的結合 を検出すること を含む方法。 14.例えばアルツハイマー病のような、PHF及び/又は正常タウタンパクが関 係する脳疾患のインビトロ検出又は診断方法であって、 −正常もしくは異常にリン酸化されたタウタンパクが関係する神経学的疾患、特 にアルツハイマー病を疑われる患者から単離した濃縮されていない脳脊髄液試料 を、抗原−抗体複合体を生じるのに好適 な条件下で、インビトロ条件下で請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項記載 のモノクローナル抗体と接触させて;そして −上記脳脊髄液試料への上記抗体の免疫学的結合を、好ましくは触媒レポーター 診断増強(catalysed reporter diagnosis enhancement)(CARD)法を適用 する、サンドイッチELISA法により検出する 工程を包含する方法。 15.以下の疾患、すなわち、アルツハイマー病、ダウン症候群、ピック病、SS PE、及び正常タウタンパクもしくは異常にリン酸化されたタウタンパク又は対 らせんフィラメントが関係する他の神経学的疾患のいずれかのインビトロ診断の ためのキットであって、 −請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項記載のモノクローナル抗体のいずれ かをその上につけるための少なくとも1つのマイクロプレート; −本発明のエピトープを含有する標識ペプチドと、そして好ましくは配列番号1 に示されるように並ぶペプチドとできる限り一緒に、インビトロ診断すべき試料 を含有する調製物; −2次抗体であって、これは、 *正常タウもしくは異常にリン酸化されたタウタンパクのエピトープ、又は請求 の範囲第5項〜第9項のいずれか1項記載のペプチドのエピトープであって、本 発明のエピトープとは異なるエピトープ、を認識するモノクローナル抗体である ことができ、或は *正常タウもしくは異常にリン酸化されたタウ、又は請求の範囲第 5項〜第9項のいずれか1項記載のペプチドを認識するポリクローナル抗体であ って、本発明のエピトープとは全て異なるエピトープと免疫学的複合体を形成す るポリクローナル抗体であり、好ましくは固定化タウタンパクを使用する免疫親 和性クロマトグラフィーにより精製されたポリクローナル抗体であることができ る、 2次抗体; −上記2次抗体との特異的標識付け又はカップリングのためのマーカー; −一方では本発明のモノクローナル抗体と試験試料との、他方では結合2次抗体 とマーカーとの、免疫学的反応を行うための、適切な緩衝液; −できる限り、標準物質の目的の、又は検出される抗原に関する競合の目的の、 請求の範囲第5項〜第9項のいずれか1項記載のペプチド を含むことにより特徴づけられる、キット。
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