JPH084930A - バルブ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】異種金属配管を接続しても、異種金属接触腐食
を完全に防止することができ、製造作業工程が簡易で製
造コストも低減できるバルブを提供することを目的とし
ている。 【構成】接続される配管材の内側に嵌合するコアを有す
る樹脂製のアダプター本体に、接続される配管材と略同
じ自然電位を備えた金属材で形成された内面に雌ねじを
有するねじ筒をインサート成形したアダプターを、アダ
プター本体の外周面に形成された雄ねじをバルブ本体に
設けた雌ねじ孔に螺合させることで受口を形成し、この
受口にバルブ本体と異なる自然電位を有する金属材から
なる配管材を接続するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、バルブを構成する金属
材と異なる自然電位を有する金属管を接続するのに有用
なバルブに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、給水配管には、内部に錆が発生し
て赤水が発生しないように内面を樹脂ライニングしたラ
イニング鋼管が使用されている。このようなライニング
鋼管を使用した給水配管途中に設けられるバルブとし
て、特開平２−１３４４７９号公報に開示されているよ
うなバルブがある。

【０００３】図３に示すように、このバルブ１００は、
両側に受口１０１を有し、受口１０１の内周面に設けら
れた雌ねじ部１０２にライニング鋼管１０３の端部外周
面に設けられた雄ねじ部１０４を螺合させることで、ラ
イニング鋼管１０３が接続されるようになっているとと
もに、雌ねじ部１０２に対面するように筒状の樹脂コア
１０５が設けられていて、ライニング鋼管１０３が接続
されると同時にこの樹脂コア１０５がライニング鋼管１
０３の内周面に密着し、ライニング鋼管１０３の管端に
露出した鋼管部１０６が配管中を流れる湯や水に曝され
て錆が発生しないようにしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、給水配管か
ら給水された水を加熱して供給する給湯器などの給湯ラ
インには、耐蝕性を備えた銅合金やステンレス製のバル
ブを用いて接続されていることが多い。しかし、たと
え、上記のようなバルブ１００を用いて、ライニング鋼
管１０３の管端の鋼管部１０６が樹脂コア１０５によっ
て配管中を流れる湯や水に曝されないようにしても、バ
ルブを構成する銅合金や銅と、鋼管とは、自然電位が異
なるため、長期間使用していると、鋼管１０３とバルブ
１００とのねじ接続部で自然電位の差による電位差腐食
が発生し、ねじが無くなって鋼管１０３が抜けてしまう
と言う問題がある。

【０００５】そこで、このような問題を解決するため
に、絶縁継手をバルブと鋼管との間に介在させる方法が
実施されているが、この方法の場合、絶縁継手を別途用
意しなければならないとともに、バルブと絶縁継手とを
接続する工程が余分に必要なため、作業性が非常に悪
い。本発明は、このような事情に鑑みて、異種金属配管
を接続しても、異種金属接触腐食を完全に防止すること
ができ、製造作業工程が簡易で製造コストも低減できる
バルブを提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明にかかる絶縁継手
は、このような目的を達成するために、金属製のバルブ
本体と２つの受口とを有するバルブにおいて、接続され
る配管材と略同じ自然電位を備えた金属材で形成され、
接続される配管材の外周面に形成された雄ねじが螺合す
る雌ねじを内周面に形成したねじ筒が、内側にインサー
トされているとともに、雄ねじを外周面に有する合成樹
脂製のアダプター本体と、前記ねじ筒との間に接続され
る配管材の先端部が嵌合するようにねじ筒の内側に配置
され、接続された配管材の内側に嵌合して外周面が配管
材内周面に水密に密着するとともに、前記アダプター本
体と一体成形された合成樹脂製のコアとからなるアダプ
ターが、バルブ本体に設けられた雌ねじ孔に前記雄ねじ
を螺合することで、バルブ本体と自然電位の異なる金属
材からなる配管材が接続される側の受口が形成されてい
る構成とした。

【０００７】上記構成において、アダプター本体を構成
する合成樹脂としては、たとえば、ポリ塩化ビニル、ポ
リエチレン、ポリブテン、ポリプロピレン、ＡＢＳ樹
脂、ポリフッ化ビニリデン（ＰＶＤＦ）、ポリアミド
（ナイロン）、ポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥ
Ｋ）、ポリフェニレンスルフィド（ＰＰＳ）、架橋ポリ
エチレン、ポリアミドイミド、ポリイミドなど、射出成
形可能な樹脂であれば、特に限定されないが、ポリフェ
ニレンスルフィド、ポリアミドイミド、ポリイミド等が
好ましく、これらに無機充填剤等を充填して強度を高め
たものが特に好ましい。

【０００８】バルブ本体を構成する金属としては、特に
限定されないが、鉄、銅、砲金、青銅等が挙げられる
が、耐蝕性を考慮すると銅合金製のものが好ましい。バ
ルブの種類としては、ボールバルブ、ゲートバルブ、チ
ャッキ弁、ストレーナー、減圧弁等が挙げられる。ねじ
筒としては、接続される配管材とほぼ同じ自然電位を有
する金属材であれば、特に限定されないが、外周面にロ
ーレットを設けておくことが好ましい。

【０００９】

【作用】上記構成によれば、バルブ本体と異なる金属で
形成された配管材を、この配管材と略同じ自然電位を有
するねじ筒をインサートしたアダプターによって形成さ
れた受口に接続する。ねじ筒は、アダプター本体によっ
てバルブ本体と絶縁されているから、配管材およびねじ
筒は異種金属接触腐食を起こすことがない。

【００１０】また、配管材がライニング鋼管である場
合、接続によってアダプターに設けた樹脂コアがライニ
ング鋼管の内面に密着するため、ライニング鋼管の管端
に露出する鋼管部が配管内を流れる湯や水から絶縁され
る。

【００１１】

【実施例】以下に、本発明を、その実施例をあらわす図
面を参照しつつ詳しく説明する。図１は本発明にかかる
バルブの第１実施例をあらわしている。図１に示すよう
に、このバルブ１ａは、ゲートバルブであって、両側に
受口１１，１１を備え、バルブ本体２とアダプター３と
から構成され、両側の受口１１，１１に樹脂ライニング
鋼管が接続されるようになっている。

【００１２】バルブ本体２は、青銅製の鋳物であって、
両側に雌ねじ孔２１，２１を備えている。アダプター３
は、合成樹脂製のアダプター本体３１と鋼製のねじ筒３
２とから構成されている。ねじ筒３２は、内周面に雌ね
じ３２ａが設けられていて、外周面にローレット溝３２
ｂが設けられている。

【００１３】アダプター本体３１は、ねじ筒３２がイン
サート成形で一体に設けられていて、ねじ筒３２に対面
するようにコア３１ａが筒状に設けられているととも
に、外周面に雄ねじ３１ｂが設けられている。そして、
アダプター３は、バルブ本体２の雌ねじ孔２１に雄ねじ
３１ｂを螺合させることで、バルブ本体２と一体化され
ている。

【００１４】このバルブ１ａは、上記のようになってい
るので、配管材としてライニング鋼管を受口１１に接続
しても、バルブ本体２とライニング鋼管の鋼管部とが直
接接することがない。また、接続と同時にコア３１ａが
ライニング鋼管の内側に嵌合し、コア３１ａの外周面が
ライニング鋼管の内周面に水密に密着するため、ライニ
ング鋼管の管端に露出した鋼管部が配管内を流れる湯や
水に直接曝されることがない。

【００１５】すなわち、ライニング鋼管の鋼管部が異種
金属接触による電位差腐食を起こすことがなくなるとと
もに、鋼管部が湯や水に曝されて腐食したりすることが
ない。したがって、配管内に赤水が発生することがな
い。また、ライニング鋼管がねじ筒３２の雌ねじ３２ａ
に螺合されているため、バルブ１とライニング鋼管と
は、しっかりとした接続強度で接続される。

【００１６】しかも、ねじ筒３２の外周面にローレット
溝３２ｂが設けられているので、ライニング鋼管が抜け
る方向に負荷がかかっても、ねじ筒３２がアダプター本
体３１から外れたりすることがない。さらに、バルブ本
体２とアダプター３の２つの部品を接続するだけで製造
できるため、生産性に優れている。

【００１７】なお、このパルブ１ａには、ライニング鋼
管以外の配管材を接続することができることは勿論であ
る。図２は本発明にかかるバルブの第２実施例をあらわ
している。図２に示すように、このバルブ１ｂは、バル
ブ本体２の雌ねじ孔２１の奥壁に同心円状に３本の環状
溝２２が設けられていて、ゴムリング３４が中央の環状
溝２２に嵌合されるとともに、アダプター３の端面に水
密に密着し、外側と内側の溝２２に、アダプター本体３
１の一部が嵌まり込んでいる。

【００１８】そして、このバルブ１ｂは、アダプター本
体３１の外側壁が青銅製の筒体３３をインサート成形す
ることで形成されていて、雄ねじ３１ａがこの筒体３３
の外周面に形成されている以外は、第１実施例のバルブ
１ｂと同じになっている。すなわち、このバルブ１ｂに
よれば、上記バルブ１ａの作用効果を備えていることは
勿論のこと、アダプター３とバルブ本体２とのねじ接合
部も金属同士であるので、よりしっかりした接続状態を
得ることができるとともに、Ｏリング３４によってアダ
プター３とバルブ本体２との接続面のシール性に優れて
いる。また、環状溝３３にアダプター本体３１の一部が
嵌まり込んでいるので、樹脂の内径方向への収縮を防止
することができる。

【００１９】本発明にかかるバルブは、上記実施例に限
定されない。たとえば、上記の実施例では、両側の受口
がアダプター３をバルブ本体２に装着することで形成さ
れていたが、たとえば、一方の受口にバルブ本体と同じ
材質の配管材を接続する場合には、バルブ本体１と一体
に形成したものでも構わない。

【００２０】

【発明の効果】本発明にかかるバルブは、以上のように
構成されているので、バルブ本体と自然電位が異なる配
管材を接続してもバルブ本体と配管材とが直接接触する
ことがない。したがって、配管材が異種金属接触による
電位差腐食を起こすことがない。しかも、配管材がライ
ニング鋼管である場合、コアの外周面がライニング鋼管
の内周面に水密に密着するため、ライニング鋼管の管端
に露出した鋼管部が配管内を流れる湯や水に直接曝され
ることがない。鋼管部が湯や水に曝されて腐食すると言
うこともない。

【００２１】また、バルブ本体にアダプターをねじ接続
させることで組み立てることができるので、製造が容易
で製造コストも低減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかるバルブの第１実施例をあらわす
断面図である。

【図２】本発明にかかるバルブの第２実施例をあらわす
断面図である。

【図３】公知のバルブの断面図である。

【符号の説明】 １ａ バルブ １ｂ バルブ ２ バルブ本体 ３ アダプター １１ 受口 ２１ 雌ねじ孔 ３１ アダプター本体 ３２ ねじ筒 ３１ａ コア ３１ｂ 雄ねじ ３２ａ 雌ねじ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属製のバルブ本体と２つの受口とを有
   するバルブにおいて、接続される配管材と略同じ自然電
   位を備えた金属材で形成され、接続される配管材の外周
   面に形成された雄ねじが螺合する雌ねじを内周面に形成
   したねじ筒が、内側にインサートされているとともに、
   雄ねじを外周面に有する合成樹脂製のアダプター本体
   と、前記ねじ筒との間に接続される配管材の先端部が嵌
   合するようにねじ筒の内側に配置され、接続された配管
   材の内側に嵌合して外周面が配管材内周面に水密に密着
   するとともに、前記アダプター本体と一体成形された合
   成樹脂製のコアとからなるアダプターが、バルブ本体に
   設けられた雌ねじ孔に前記雄ねじを螺合することで、バ
   ルブ本体と自然電位の異なる金属材からなる配管材が接
   続される側の受口が形成されていることを特徴とするバ
   ルブ。