JPH0848230A - 車両用アンチスキッド制御装置 - Google Patents

車両用アンチスキッド制御装置

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JPH0848230A
JPH0848230A JP18478794A JP18478794A JPH0848230A JP H0848230 A JPH0848230 A JP H0848230A JP 18478794 A JP18478794 A JP 18478794A JP 18478794 A JP18478794 A JP 18478794A JP H0848230 A JPH0848230 A JP H0848230A
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唯基 文屋
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豊晴 勝倉
Hiromi Maehata
博己 前畑
Yoshiaki Tsuchiya
義明 土屋
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アンチスキッド制御時の車両のスピンを正確
に検出してできるだけ速やかに効果的な制動を実施す
る。 【構成】 t3で4輪の減圧あるいは減圧保持の継続時
間が所定時間KT1を経過し、t5で前輪車輪速度VW=
0の継続時間が所定時間KT3を経過し、t7で後輪車輪
速度VW=0の継続時間が所定時間KT4を経過する。そ
して、時刻t5と時刻t7との時間差ΔTが所定時間KT
5よりも小さい。これらのことからスピン状態がセット
され、時刻t7以後は、推定車両速度VBとスリップ基準
速度V0の上昇が抑えられる。このため車輪速度VWはス
リップ基準速度V0を横切った(時刻t8,t9)後、ス
リップ基準速度V0よりも十分に高い速度となり、アン
チスキッド制御により急速にブレーキ圧力が上昇し、車
輪の回転を十分に抑制することができ、車両の不安定な
状態を早期に解消できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアンチスキッド制御装置
に関し、特にスピン状態におけるアンチスキッド制御に
関する。
【0002】
【従来の技術】アンチスキッド制御装置は、車輪の回転
特性に関連した検出値に基づき、車輪の過度のスリップ
状態を抑制するようにブレーキ圧力を調整している。例
えば、車輪の速度(車輪速度)と基準速度との比較(更
に車輪の減速度と基準減速度との比較も加えることがあ
る)により、車輪に過度のスリップが生じると判断した
ときに車輪のブレーキ圧力を調整している。
【0003】ところで、車両は、ハンドルを切りながら
ブレーキをかけた場合等において、後輪側が滑りすぎて
スピン状態になることがある。その際、車輪は地面によ
る摩擦の影響で車輪速度が比較的大きな減速度でもって
低下する。この場合、アンチスキッド制御装置において
は、車輪のロック傾向が大きいという判断になり、その
結果、ブレーキペダルを踏み込んでもブレーキ圧力を減
圧させるような制御が実行される。その後、車両がスピ
ン終了後に直進走行を始めた段階においても、その時点
の車輪速度は基準速度よりも低いので、上記減圧制御が
継続され、制動力の低下が続く。このため、車両は、ブ
レーキがかけられ、かつ低車速であるにもかかわらず、
停車するまでにしばらく走行状態を継続してしまう。
【0004】これを解決するものとして、特開平5−6
9812号公報記載の技術がある。この技術は、各車輪
にブレーキ圧力を減少せしめていく制御もしくは所定の
減圧状態で保持する制御がなされて、全車輪につきブレ
ーキ圧力が増大しない状態が所定時間以上継続したとき
に、車両にスピンを生じていると判定し、そのときに上
記車輪のブレーキ圧力を増大させるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術にて、車
両がスピンであるか否かは、ブレーキ圧力の減少あるい
はその保持状態にある時間が所定時間以上継続したか否
かにより、判定している。しかし、氷上路のような低路
面摩擦係数の路面の走行においても、同様な継続時間、
ブレーキ圧力減少・保持が続くことがある。氷上路等に
おいて、スピンと判断されて増圧側に制御がなされれ
ば、車輪のロック傾向を助長することがある。
【0006】本発明は、車両のスピンに対して速やかに
効果的な対応をするべく車両のスピンを正確に検出する
ことができるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
図9に例示するごとく、車輪の回転特性に関連した検出
値に基づき、車輪の過度のスリップ状態を抑制するよう
にブレーキ圧力を調整する車両用アンチスキッド制御装
置において、車両の複数の車輪の車輪速度を検出する車
輪速度検出手段と、前記車輪の過度のスリップ状態を抑
制するようにブレーキ圧力を制御しても当該過度のスリ
ップ状態が解消されない状態が所定期間継続する条件、
および前記車輪速度検出手段によって検出される複数の
車輪速度の内、少なくとも1輪の車輪速度が実質的に零
となる条件が満足された場合に車両がスピン状態である
と判定するスピン状態判定手段と、前記スピン状態判定
手段によって車両がスピン状態にあると判定されたとき
に、車輪のブレーキ圧力を増圧する増圧制御手段と、を
備えることを特徴とする車両用アンチスキッド制御装置
である。
【0008】請求項2記載の発明は、上記スピン状態判
定手段が、前記車輪の過度のスリップ状態を抑制するよ
うにブレーキ圧力を制御しても当該過度のスリップ状態
が解消されない状態が所定期間継続する条件、および前
記車輪速度検出手段によって検出される複数の車輪速度
の内、少なくとも1輪の車輪速度が実質的に零となった
状態が所定時間以上継続する条件が満足された場合に車
両がスピン状態であると判定する請求項1記載の車両用
アンチスキッド制御装置である。
【0009】請求項3記載の発明は、上記スピン状態判
定手段が、前記車輪の過度のスリップ状態を抑制するよ
うにブレーキ圧力を制御しても当該過度のスリップ状態
が解消されない状態が所定期間継続する条件、および前
記車輪速度検出手段によって検出される複数の車輪速度
の内、少なくとも2輪の車輪速度が実質的に零となる条
件が満足された場合に車両がスピン状態であると判定す
る請求項1または2記載の車両用アンチスキッド制御装
置である。
【0010】請求項4記載の発明は、上記スピン状態判
定手段が、前記車輪の過度のスリップ状態を抑制するよ
うにブレーキ圧力を制御しても当該過度のスリップ状態
が解消されない状態が所定期間継続する条件、および前
記車輪速度検出手段によって検出される複数の車輪速度
の内、少なくとも前後輪の各1輪の車輪速度が実質的に
零となる条件が満足された場合に車両がスピン状態であ
ると判定する請求項1〜3のいずれか記載の車両用アン
チスキッド制御装置である。
【0011】請求項5記載の発明は、上記スピン状態判
定手段が、更に、前輪の車輪速度が実質的に零となるタ
イミングと後輪の車輪速度が実質的に零となるタイミン
グとの時間差が所定時間以内である条件が満足された場
合に車両がスピン状態にあると判定する請求項4記載の
車両用アンチスキッド制御装置である。
【0012】請求項6記載の発明は、上記スピン状態判
定手段が、更に、前輪の少なくとも1車輪の車輪速度が
実質的に零となり後輪の両輪の車輪速度が共に実質的に
零となる条件が満足された場合に車両がスピン状態にあ
ると判定する請求項4または5記載の車両用アンチスキ
ッド制御装置である。
【0013】請求項7記載の発明は、ブレーキ圧力の調
節が、車輪の回転特性に関連した検出値と基準値との比
較により、車輪の過度のスリップを抑制するようなされ
ている場合に、増圧制御手段が、前記スピン状態判定手
段によって車両がスピン状態にあると判定されたとき
に、上記基準値をより低い別の基準値に切り替える請求
項1〜6のいずれか記載の車両用アンチスキッド制御装
置である。
【0014】請求項8記載の発明は、上記増圧制御手段
の代わりに、前記スピン状態判定手段によって車両がス
ピン状態にあると判定されたときに、アンチスキッド制
御を停止するアンチスキッド制御停止手段を備えた請求
項1〜6のいずれか記載の車両用アンチスキッド制御装
置である。
【0015】
【作用及び発明の効果】車両がスピンする場合は、低路
面摩擦係数の路面にて車輪がロック傾向、即ち過度のス
リップ状態となるのと同様に車輪速度が急速に低下する
が、この他に、低路面摩擦係数の路面にては発生しない
現象が生じる。即ち、少なくとも1輪の車輪速度が一旦
は零となる現象が生じることである。
【0016】通常、アンチスキッド制御している際に
は、車輪が過度のスリップ状態となることはあっても、
いずれかの車輪が速度零となることはない。スピン時
に、例えば車両が後向きになる場合、図8に示すごとく
(a)〜(d)の状態を順次、経て行く。このため、車
両Mに対して必ず前後のいずれかの車輪T1,T2が、直
角方向となる状態が生じる。後輪T2なら例えば(c)
の状態である。このように直角となった場合には、車両
Mがスピンしながら前進しているにもかかわらず、車輪
速度は零となる。このため、アンチスキッド制御中にい
ずれかの車輪T1,T2の速度が、一時的にでも零となる
ことがあれば、車両がスピンしていると正確に判定でき
る。
【0017】したがって、請求項1記載の発明は、スピ
ン状態判定手段が、車輪の過度のスリップ状態を抑制す
るようにブレーキ圧力を制御しても当該過度のスリップ
状態が解消されない状態が所定期間継続する条件、およ
び前記車輪速度検出手段によって検出される複数の車輪
速度の内、少なくとも1輪の車輪速度が実質的に零とな
る条件が満足された場合に車両がスピン状態であると判
定する。このことにより、車両のスピンを正確に検出で
きる。そして、前記スピン状態判定手段によって車両が
スピン状態にあると判定されたときに、増圧制御手段は
車輪のブレーキ圧力を増圧する。このことにより、速や
かに効果的な制動を実施できる。またスピン状態に無い
と判定された場合は、氷上路等の低路面摩擦係数の路面
走行であることから、通常のアンチスキッド制御を実施
でき、制動距離を短くすることができる。
【0018】上記スピン状態判定手段は、前記車輪の過
度のスリップ状態を抑制するようにブレーキ圧力を制御
しても当該過度のスリップ状態が解消されない状態が所
定期間継続する条件、および前記車輪速度検出手段によ
って検出される複数の車輪速度の内、少なくとも1輪の
車輪速度が実質的に零となった状態が所定時間以上継続
する条件が満足された場合に車両がスピン状態であると
判定してもよい。少なくとも1輪の車輪速度が実質的に
零となった状態に対して、その状態が所定時間以上継続
するという条件を付加することにより、ノイズ的に一
瞬、車輪速度が零と検出されてもその状態を排除するこ
とができ、より正確な車両スピンの検出が可能となる。
【0019】更に、上記スピン状態判定手段は、前記車
輪の過度のスリップ状態を抑制するようにブレーキ圧力
を制御しても当該過度のスリップ状態が解消されない状
態が所定期間継続する条件、および前記車輪速度検出手
段によって検出される複数の車輪速度の内、少なくとも
2輪の車輪速度が実質的に零となる条件が満足された場
合に車両がスピン状態であると判定してもよい。2輪の
車輪速度が零となる条件を付加することは、上述と同様
にノイズ的に一瞬、車輪速度が零と検出されてもその状
態を排除することができ、より正確な車両スピンの検出
が可能となる。
【0020】更に、上記スピン状態判定手段は、前記車
輪の過度のスリップ状態を抑制するようにブレーキ圧力
を制御しても当該過度のスリップ状態が解消されない状
態が所定期間継続する条件、および前記車輪速度検出手
段によって検出される複数の車輪速度の内、少なくとも
前後輪の各1輪の車輪速度が実質的に零となる条件が満
足された場合に車両がスピン状態であると判定してもよ
い。前後の各1輪の車輪速度が零となる場合はスピン状
態であることがほぼ確実と言える。したがって、この条
件を付加することは、上述と同様にノイズ的に一瞬、車
輪速度が零と検出されてもその状態を排除することがで
き、より正確な車両スピンの検出が可能となる。
【0021】上記スピン状態判定手段に対して、更に、
前輪の車輪速度が実質的に零となるタイミングと後輪の
車輪速度が実質的に零となるタイミングとの時間差が所
定時間以内である条件を付加して、その条件も加えた全
条件が満足された場合に車両がスピン状態にあると判定
してもよい。
【0022】一つのスピンにより生じた前輪の該当車輪
の車輪速度が実質的に零となるタイミングと後輪の該当
車輪の車輪速度が実質的に零となるタイミングとは、あ
る所定時間内で生じるのが普通であり、あまり時間的に
離れていると、両者は異なる原因にて車速零になったも
のと考えられ、スピンではない可能性が高まる。したが
って、両タイミングが所定時間内で生じた場合に車両が
スピンしたと判定した方が一層精度の高いスピン検出と
なる。
【0023】上記スピン状態判定手段に対して、更に、
前輪の少なくとも1車輪の車輪速度が実質的に零となり
後輪の両輪の車輪速度が共に実質的に零となる条件を付
加して、その条件も加えた全条件が満足された場合に車
両がスピン状態にあると判定してもよい。スピン状態で
は、車輪がしっかり路面に接触していれば、全ての車輪
が1回は速度零となるはずである。したがって、全輪が
所定時間内に一度は車速零となったことを検出すれば、
スピンが生じたと判定することが、最も好ましい判定方
法である。しかし、実際には、車輪が路面から離れる場
合がある。特に、スピン状態では、左右一方の車輪が路
面から離れる場合がある。したがって、請求項1のごと
く、少なくとも1輪の車輪速度が実質的に零となった場
合に、スピンと判定することになる。特に通常の自動車
のごとく重心が前方に有る場合は、スピン時に前輪のい
ずれかが路面から離れやすい。このような場合を考慮し
て、前輪の少なくとも1車輪の車輪速度が零となり後輪
の両輪が共に零となった場合に、車両がスピン状態にあ
ると判定することが、実際上、より正確にスピンを検出
することができる上で好ましい。また、前輪の少なくと
も1車輪の車輪速度が零となるタイミングと後輪の両輪
が共に零となるタイミングとの時間差が所定時間以内で
ある場合に、車両がスピン状態にあると判定すれば、更
に、正確にスピンを検出することができる。
【0024】上記ブレーキ圧力の調節が、車輪の回転特
性に関連した検出値と基準値との比較により、車輪の過
度のスリップを抑制するようなされている場合に、増圧
制御手段として、前記スピン状態判定手段によって車両
がスピン状態にあると判定されたときに、上記基準値を
より低い別の基準値に切り替えるようにしてもよい。
【0025】増圧制御手段は、車両がスピン状態にある
と判定された場合に、上記基準値をこれよりも小さい値
を持つ別の基準値に切り換えれば、この基準値に対して
車輪の回転特性に関連した検出値(例えば車輪速度)が
大きくなるのが早期となる。したがってアンチスキッド
制御により急速にブレーキ圧力を上昇させることとな
り、早めにスピンによる車両の不安定状態から抜け出し
て車両を安定化させることができる。
【0026】また、上記増圧制御手段の代わりに、前記
スピン状態判定手段によって車両がスピン状態にあると
判定されたときに、アンチスキッド制御を停止するアン
チスキッド制御停止手段を備えてもよい。即ち、アンチ
スキッド制御時には、ドライバーによりブレーキがかけ
られているので、そのブレーキ圧力を、アンチスキッド
制御が調整せずに、ドライバーの踏み込み力そのものに
任せることにより、スピン時の車両の不安定性を早期に
解消させることができる。
【0027】
【実施例】本発明の一実施例を図1以下に示す。図1
は、本発明の一実施例としてのアンチスキッド制御装置
の構成を示す説明図である。図1において、ブレーキペ
ダル20は、真空ブースタ21を介してマスタシリンダ
28に連結されている。したがって、ブレーキペダル2
0を踏むことによりマスタシリンダ28に油圧が発生
し、この油圧は、各車輪(左前輪FL、右前輪FR、左
後輪RL、右後輪RR)に設けられたホイールシリンダ
31,32,33,34に供給され、ブレーキ圧力が発
生する。
【0028】マスタシリンダ28は互いに同じ圧力のブ
レーキ油圧を発生する2つの圧力室(図示せず)を有
し、各圧力室にはそれぞれ供給管40,50が接続され
ている。供給管40は連通管41,42に分岐してい
る。連通管41は、電磁弁60aを介して、ホイールシ
リンダ31に連通するブレーキ管43と接続されてい
る。同様に、連通管42は、電磁弁60cを介して、ホ
イールシリンダ34に連通するブレーキ管44と接続さ
れている。
【0029】供給管50も供給管40と同様な接続関係
にあり、連通管51,52に分岐している。連通管51
は、電磁弁60bを介して、ホイールシリンダ32に連
通するブレーキ管53と接続されている。同様に、連通
管52は、電磁弁60dを介してホイールシリンダ33
に連通するブレーキ管54と接続されている。
【0030】また、ホイールシリンダ33,34に接続
されるブレーキ管54,44中には公知のプロポーショ
ニングバルブ59,49が設置されている。このプロポ
ーショニングバルブ59,49は、後輪RL、RRに供
給されるブレーキ油圧を制御して前後輪FL〜RRの制
動力の分配を理想に近づけるものである。
【0031】各車輪FL〜RRには、車輪の回転速度を
捉えるための電磁ピックアップ式の車輪速度センサ7
1,72,73,74が設置され、電子制御回路(EC
U)80にその信号が入力される。ECU80は、入力
された各車輪FL〜RRの車輪速度に基づいて各ホイー
ルシリンダ31〜34のブレーキ油圧を制御すべく、電
磁弁60a〜60dに対して駆動信号を出力する。
【0032】電磁弁60a,60b,60c,60d
は、3ポート3位置型の電磁弁で図1のA位置において
は、連通管41,42,51,52とブレーキ管43,
44,53,54とをそれぞれ連通し、B位置において
は、連通管41,42,51,52、ブレーキ管43,
44,53,54、枝管47,48,57,58間を全
て遮断する。また、C位置においては、ブレーキ管4
3,44,53,54と、枝管47,48,57,58
とをそれぞれ連通する。
【0033】枝管47,48はともに排出管81に接続
され、枝管57,58はともに排出管91に接続され
る。これら排出管81,91は、それぞれリザーバ93
a,93bに接続されている。リザーバ93a,93b
は、各電磁弁60a〜60dがC位置のとき、各ホイー
ルシリンダ31〜34から排出されるブレーキ液を一時
的に蓄えるものである。このため電磁弁60a〜60d
では、A位置においてはホイールシリンダ31〜34の
ブレーキ油圧を増圧し、B位置においてはそのブレーキ
油圧を保持し、C位置においてはそのブレーキ油圧を減
圧することができる。
【0034】ポンプ99a,99bは、リザーバ93
a,93bに蓄積されたブレーキ液を汲み上げてマスタ
シリンダ28側に還流させる。また、チェック弁97
a,98a,97b,98bは、リザーバ93a,93
bから汲み上げられたブレーキ液が、再びリザーバ93
a,93b側に逆流するのを防ぐためのものである。
【0035】なお、ストップスイッチ10は、運転者が
ブレーキペダル20を踏んでいるか否かを検出するもの
である。次に、このように構成された本実施例において
ECU80が実行するアンチスキッド制御について図2
以下に基づき説明する。ECU80は、マイクロコンピ
ュータとして構成され、公知のCPU,ROM,RA
M,I/Oを備えている。ROMにはアンチスキッド制
御を実行するためのプログラムが格納されている。
【0036】図2はアンチスキッド制御の全体を示すフ
ローチャートである。イグニッションスイッチがオンさ
れると、先ずステップ100にて各種フラグのリセット
などCPU内部の初期化を行う。続くステップ200で
は、各センサ・スイッチからの検出信号を読み込む。例
えば、車輪速度センサ71〜74からの回転速度信号を
検出し、パルス入力時刻の記憶を行う。ステップ300
ではステップ200での時刻を基に、各車輪FL〜RR
の回転速度(車輪速度)VWおよび車輪加速度GWを個々
に求める。次にステップ400にて、推定車両速度(車
速)VBが求められる。また、図示しないがアンチスキ
ッド制御の開始直前に得られた車輪加速度GWにより、
別途、推定路面摩擦係数μが求められている。
【0037】推定車両速度VBは、ステップ300で得
られた各車輪速度VWの内の最大車輪速度VWMAXと、限
界減速度勾配VDOWNで低下させることにより得られる速
度とのいずれか大きい方を、限界加速度勾配VUPで得ら
れる車速を上限として設定される。これを式で表すと、
次の式1のようになる。
【0038】
【数1】
【0039】尚、ここで(n)は今回の値を、(n−
1)は前回の制御周期で得られている値を表す。限界減
速度勾配VDOWNとは、路面が実際に上記推定路面摩擦係
数μと同じ摩擦係数であった場合に得られる車両の最大
の減速度(車速の下降勾配)を示すものであり、限界加
速度勾配VUPとは、路面が実際に推定路面摩擦係数μと
同じ摩擦係数であった場合に得られる車両の最大の加速
度(車速の上昇勾配)を示すものであり、それぞれ推定
路面摩擦係数μの大きさに対応して設定され、これ以上
の減速度あるいは加速度で、車両は減速あるいは加速で
きないことを意味する。
【0040】次にステップ500にて、車輪がスリップ
の程度を判定しブレーキ圧力を調整するためのスリップ
基準速度V0(基準値)の設定がなされる。このスリッ
プ基準速度V0はステップ400にて求められた推定車
両速度VBに基づいて定められる。なお、スリップ基準
速度V0 の設定方法は周知の事項(例えば、特開平3−
54058号公報)であるので、ここでは詳述しない。
【0041】次にステップ600にて、動作モード設定
処理が行われる。ステップ300,500で求めた車輪
速度VWとスリップ基準速度V0との比較、および車輪加
速度GWと減圧基準加速度G1,増圧基準加速度G2との
比較により各車輪FL〜RRのスリップ状態を判定し、
電磁弁60a〜60dの動作モードを増圧モード,保持
モード,減圧モードに切り換える。
【0042】ここで、車輪速度VWがスリップ基準速度
V0以下に低下し、車輪加速度GWが減圧基準加速度G1
以下に低下したとき、車輪のスリップ状態が過度になっ
たとみなし、即ち、アンチスキッド制御開始条件が満足
されたとして、動作モードを減圧モードに切り換えてア
ンチスキッド制御を開始する。
【0043】なお、図2のフローチャートに示すアンチ
スキッド制御処理が実行されているのみでは、ブレーキ
圧力を好適に調節して制動距離を短くする制御、いわゆ
るアンチスキッド制御が実行されているとは限らない。
上述したアンチスキッド制御開始条件が満足されること
によりステップ600でブレーキ圧力を好適に調節する
処理が開始されてアンチスキッド制御が始まる。したが
って、以下の説明で、アンチスキッド制御中というの
は、このステップ600にて、アンチスキッド制御開始
条件が満足されてアンチスキッド制御が開始された後か
ら、後述するような停止条件あるいは一般的なアンチス
キッド制御停止条件が成立して制動距離を短くするため
のブレーキ圧力の調節をしなくなるまでの期間に存在す
る状態をいう。
【0044】続くステップ700では、ステップ600
で設定された動作モードに従って電磁弁切換制御信号を
出力して、電磁弁60a〜60dを駆動する。その後、
所定時間経過毎に繰り返しステップ200から処理を行
う。次に、ステップ600で実行される動作モード設定
処理を、図3〜図6のフローチャートに基づいて説明す
る。尚、本フローチャートはスピン時の動作モードにつ
いて詳述し、他の動作モードの設定については周知のご
とくであるので詳述しない。
【0045】まずスピン状態を判定するために条件A成
立判定処理(図3)、条件B,C成立判定処理(図4)
およびスピン判定処理(図5)が実行され、その結果に
基づいて、動作モード決定処理(図6)にて、スピン時
の制御モードあるいは通常のブレーキ圧力制御モードが
設定される。なお、これらの各処理は、所定時間経過毎
に繰り返し実行されるもので、特に条件B,C成立判定
処理は、車両の前後輪を対象に個別に実行される。
【0046】まず、条件A成立判定処理(図3)のステ
ップ602にて、スピンの可能性が高いことを表す条件
Aの成立が判定される。成立していなければ、今回の処
理にて成立したかを判断すべく、車輪FL〜RRが4輪
とも減圧または減圧保持状態にあるトータルの継続時間
が所定時間KT1を越えているか判定される(ステップ
604)。この判定により、スピンの可能性が有るか否
かを確認するのである。 減圧または減圧保持状態にあ
るトータルの継続時間が所定時間KT1を越えていなけ
れば、このまま処理を抜けるが、4輪とも所定時間KT
1を越えれば、条件Aが成立したとしてフラグFAがセ
ットされる(ステップ606)。次回の条件A成立判定
処理の実行時には、ステップ602では肯定判定され
て、ステップ608にてアンチスキッド制御中か判定さ
れる。アンチスキッド制御中であれば、次に1輪以上の
車輪FL〜RRが増圧または増圧保持状態にあるトータ
ルの継続時間が所定時間KT2を越えているかが判定さ
れる(ステップ610)。越えていなければスピンの可
能性が高い状態が継続しているとして、このまま条件A
成立判定処理を抜け、フラグFAのセットを維持する。
【0047】もし、ステップ610にて、1輪以上の車
輪FL〜RRが増圧または増圧保持状態にあるトータル
の継続時間が所定時間KT2を越えていると判定された
場合には、氷上路の走行であると判断できるので、スピ
ン状態ではないとしてフラグFAがリセットされる(ス
テップ612)。またアンチスキッド制御が終わってい
る状態にても、スピンを判定する必要がないのでステッ
プ608にて否定判定され、フラグFAがリセットされ
る(ステップ612)。
【0048】次に、条件B,C成立判定処理(図4)の
ステップ622にてアンチスキッド制御中か否かが判定
される。アンチスキッド制御中であれば次にフラグFA
がセットされているか判定される(ステップ624)。
フラグFAがセットされていなければ、フラグFB,F
Cをリセットして(ステップ626)、一旦、条件B,
C成立判定処理(図4)を抜ける。
【0049】ステップ624にてフラグFAがセットさ
れていると判定された場合、即ち、条件A成立判定処理
(図3)のステップ606の実行によりフラグFAがセ
ットされた状態が継続している場合には、今回の処理対
象が前輪FL,FRであるか否かが判定される(ステッ
プ628)。前輪FL,FRであれば、一輪以上の車輪
速度VWが零である時間が所定時間KT3より長く継続し
ているか否かが判定される(ステップ630)。即ち、
前輪FL,FRの内、いずれか1輪の車輪速度VWが零
となっている時間が所定時間KT3を越えて継続してい
るか否かが判定される。継続していなければこのまま条
件B,C成立判定処理を一旦抜けるが、継続していれば
フラグFBがセットされる(ステップ632)。
【0050】次に後輪が処理対象になった場合、ステッ
プ628にて否定判定されて次に後輪の両輪(左右輪)
とも車輪速度VWが零の時間が所定時間KT4を越えて継
続しているか否かが判定される(ステップ634)。継
続していなければこのまま条件B,C成立判定処理を一
旦抜けるが、継続していればフラグFCがセットされる
(ステップ636)。
【0051】尚、ステップ632にてフラグFBがセッ
トされた場合、あるいはステップ636にてフラグFC
がセットされた場合の、いずれか早い処理にてECU8
0内のタイマーがセットされ、ステップ632,636
のいずれか遅い処理にてタイマーが記録される。即ち、
フラグFB,FCが両者ともリセットされている状態か
らフラグFB,FCのいずれか一方がセットされた状態
に移行した時から、フラグFB,FCの残りの他方がセ
ットされた時までの時間を計測して記憶している。ステ
ップ626により、フラグFB,FCがリセットされた
場合にはタイマーはリセットされ、タイマーカウントは
停止される。
【0052】次にスピン判定処理(図5)について説明
する。この処理は条件Aの成立を前提として判定される
条件B,Cの成立状態からスピン状態かそれ以外の状態
かを判定するものである。まず、ステップ642にてア
ンチスキッド制御中か否かが判定され、アンチスキッド
制御中でなければ、スピン状態はリセットされる(ステ
ップ644)。アンチスキッド制御中であれば、次に条
件Bの成立の判定(ステップ646)、条件Cの成立の
判定(ステップ648)、および前述した条件B成立と
条件C成立の時間差が所定時間KT5未満か否かが判定
される(ステップ650)。これらの内、1つでも満足
されないと、このまま一旦、スピン判定処理(図5)を
抜ける。
【0053】もし、ステップ646,648,650の
全てが満足された場合に、スピン状態のセットがなされ
る。即ち、ここで初めてスピンであると判定する(ステ
ップ652)。次に動作モード決定処理(図6)が実行
される。まずアンチスキッド制御中か否かが判定され
(ステップ662)、更にスピン状態か否かが判定され
る(ステップ664)。いずれかの条件が満足されない
と、ステップ666で通常のブレーキ圧力制御モード設
定処理が実行される。即ち、ステップ662でアンチス
キッド制御中でないとしてステップ666が実行された
場合には、ステップ700にては、ドライバーがブレー
キペダル20を踏むことによりマスタシリンダ28に発
生した油圧は、各車輪(左前輪FL、右前輪FR、左後
輪RL、右後輪RR)に設けられたホイールシリンダ3
1,32,33,34にそのまま供給される。即ち、電
磁弁60a〜60dを、A位置に維持して、ドライバー
の踏み込みにより生じた油圧をそのままホイールシリン
ダ31〜34に伝達させる。
【0054】またステップ664にてスピン状態でない
としてステップ666が実行された場合には、通常のア
ンチスキッド制御により行われるスリップ制御がステッ
プ700で行われる。即ち、例えば、スリップ基準速度
V0に比較して車輪速度VWが低く、かつ車輪加速度GW
が減圧基準加速度G1より低くなれば、電磁弁60a〜
60dをC位置としてブレーキ圧力を低下させて車輪速
度VWの低下を抑制する。そして、車輪加速度GWが増圧
基準加速度G2(>G1)まで復帰すると、電磁弁60a
〜60dをB位置としてブレーキ圧力を低下させたまま
維持し、車輪速度VWを上昇させる。更に、スリップ基
準速度V0に車輪速度VWが達すると、電磁弁60a〜6
0dをA位置として急速にブレーキ圧力を上昇し、この
ことにより加速度GWが低下して零となると、電磁弁6
0a〜60dをA位置とB位置との間を短い間隔で切り
替えて、ブレーキ圧力を緩い増圧状態とし、更に、スリ
ップ基準速度V0および減圧基準加速度G1まで、車輪速
度VWおよび車輪加速度GWが低下すると、最初と同様に
電磁弁60a〜60dをC位置としてブレーキ圧力を低
下させて車輪速度VWの低下を抑制する処理が繰り返し
て行われ、制動時のスリップ率を好適な状態として、制
動距離を最短となるように制御する。
【0055】ステップ662,664の両方の条件が満
足されると、ステップ668にてスピン時制御モード処
理がなされる。即ち、スピン時には、通常のアンチスキ
ッド制御を行ってしまうと、前述したごとく、ブレーキ
圧力が低下して、車両の不安定性を増すこととなる。こ
のため、ステップ668のスピン時制御モード処理で
は、ブレーキ圧力の低下を防止したり、あるいは増圧す
る処理がなされる。
【0056】スピン時制御モード処理を例示すると、推
定車両速度VBを別の基準値に切り替える処理が挙げら
れる。この例を図7のタイミングチャートに示す。時刻
t0から制動が始まると、限界減速度勾配VDOWNにて設
定される推定車両速度VBに基づいて設定されるスリッ
プ基準速度V0よりも前輪FL,FRの車輪速度VWが時
刻t1で低くなり前輪FL,FRのブレーキ圧力が減圧
され、更に時刻t2でスリップ基準速度V0よりも後輪R
L,RRの車輪速度VWが低くなりブレーキ圧力が減圧
され、アンチスキッド制御が開始される。時刻t3にて
4輪の減圧あるいは減圧保持の継続時間が所定時間KT
1を経過したことから、フラグFAがセットされる(ス
テップ606)。その後、時刻t4にて前輪FL,FR
の車輪速度VWが零となり、この前輪車輪速度VW=0の
継続時間が時刻t5にて所定時間KT3を経過するので、
フラグFBがセットされる(ステップ632)。更に、
時刻t6にて後輪RL,RRの車輪速度VWが零となり、
この後輪車輪速度VW=0の継続時間が時刻t7にて所定
時間KT4を経過するので、フラグFCがセットされる
(ステップ636)。
【0057】そして、時刻t5と時刻t7との時間差ΔT
が所定時間KT5よりも小さいことから、スピン状態が
セットされる(ステップ652)。このことにより、時
刻t7以後は、上記式1によって設定された推定車両速
度VBを用いず、上記式1の限界加速度勾配VUP=0と
して設定した推定車両速度VB′を用いる。これにより
スリップ基準速度V0も上昇しなくなる。
【0058】スピンした車両は時刻t5前後で横向きと
なり、更に時刻t7前後で後向きとなって、慣性で走行
し始めた場合、車輪速度VWが上昇し、推定車両速度VB
に到達する。通常のアンチスキッド制御ならば、上記式
1に基づいて算出されるため、前輪FL,FRの車輪速
度VWと推定車両速度VBとはほぼ同一となって、共に上
昇するため、車輪速度VWがスリップ基準速度V0よりも
十分に高くなるということはない。しかし、ここでは、
ステップ668にてスピン時の制御モードが設定されて
いるため、推定車両速度VB′およびスリップ基準速度
V0は時刻t7の速度から上昇することはない。
【0059】このため車輪速度VWはスリップ基準速度
V0を横切った(時刻t8,t9)後、スリップ基準速度
V0よりも十分に高い速度となる。したがって、時刻t
8,t9以後、アンチスキッド制御により急速にブレーキ
圧力が上昇し、車輪FL,FR,RL,RRの回転を十
分に抑制することができ、車両の不安定な状態を早期に
解消できる。
【0060】もし、推定車両速度VBを用いると、図7
では時刻t8付近で推定車両速度VBが前輪車輪速度VW
と交差し、その後は、上述したごとく推定車両速度VB
はほぼ前輪車輪速度VWと同じとなって、前輪車輪速度
VWはスリップ基準速度V0とほとんど差がない状態が継
続する。したがって、前輪も後輪も共にほとんどブレー
キ圧力が上がらない状態で推移し、車両が安定化しな
い。即ち、後向きとなった車両が後向きに走行をはじめ
てしまう恐れがある。本実施例では十分にブレーキ力が
働くので後向きとなっても直ちに停止され、車両の不安
定状態が早期に解消する。
【0061】スピン時制御モード処理の他の例として
は、スピンが判明した時点で更に急速にブレーキ圧力を
上昇させるために、推定車両速度VB′を上記方法で設
定するのではなく、より下方修正して設定してもよい。
この様にすれば、図7の例ではスピンが判定された時刻
t7後、直ちに、前輪車輪速度VWと、推定車両速度VB
およびスリップ基準速度V0との差を、十分に大きくす
ることができる。したがって、スピン判定がなされた直
後に、アンチスキッド制御により急速にブレーキ圧力が
上昇し、車輪FL,FR,RL,RRの回転を十分に抑
制することができ、車両の不安定な状態を一層早期に解
消できる。
【0062】スピン時制御モード処理の更に他の例とし
ては、アンチスキッド制御を停止することにより、ブレ
ーキ圧力を急速に上昇させるようにしてもよい。即ち、
ブレーキ圧力を調整しているのはアンチスキッド制御に
よるのであるから、このアンチスキッド制御をスピンの
判定があった場合には、直ちに停止することにより、電
磁弁60a〜60dをA位置に維持して、ドライバーの
踏み込みにより生じた油圧をそのままホイールシリンダ
31〜34に伝達させることができる。したがって、ス
ピン判定がなされた直後に、急速にブレーキ圧力が上昇
し、車輪FL,FR,RL,RRの回転を十分に抑制す
ることができ、車両の不安定な状態を一層早期に解消で
きる。上記実施例のステップ634において、後輪の両
輪(左右輪)とも車輪速度VWが零の状態が所定時間K
T4を越えて継続しているか否かが判定されているが、
ステップ630の場合と同様に、後輪RL,RRの内、
いずれか1輪の車輪速度VWが零となっている状態が所
定時間KT4を越えて継続しているか否かを判定するも
のとしてもよい。ただし、両輪RL,RRを判定する方
が、スピンを一層正確に判定できるので好ましい。勿
論、前輪FL,FRも後輪RL,RRも共に両輪を判定
してもよいが、実際の自動車車両のごとく重心が前方に
有る場合は、スピン時に前輪FL,FRのいずれかが路
面から離れやすい。このような場合を考慮して、前輪F
L,FRの少なくとも1車輪の車輪速度VWが零となり
後輪RL,RRの両輪が共に零となった場合に、車両が
スピン状態にあると判定することが、実際上、最も正確
にスピンを検出することができる。
【0063】またステップ650にては、条件B成立と
条件C成立の時間差が所定時間KT5未満か否かを判定
していたが、一連のアンチスキッド制御の中で、条件B
と条件Cとが生じれば、ほぼスピンであると判断できる
ので、ステップ650は設けなくてもよい。ただし、条
件Bと条件Cとはスピンであれば十分に短い時間間隔で
生じることから、ステップ650の判断を加えること
は、正確なスピン検出上、望ましい。
【0064】また、ステップ630,634にて車輪速
度VW=0が所定時間KT3,KT4継続することが条件
として含まれているが、継続時間を限らず、前後輪の車
輪速度VW=0が満足された場合にステップ630,6
34にて肯定判定し、条件Bセット(ステップ632)
または条件Cセット(ステップ636)を行ってもよ
い。ただし、ノイズ等を考慮すると所定時間KT3,K
T4の継続を条件とすることが望ましい。
【0065】また、上述した車輪速度が零であるという
条件として、全輪の内で1輪のみが車輪速度VW=0と
なった場合であってもよいし、全輪の内で2輪のみが車
輪速度VW=0となった場合であってもよい。更に前者
の場合、1輪のみが車輪速度VW=0となっている時間
が所定時間継続することを条件に加えてもよいし、後者
の場合、2輪の各々が車輪速度VW=0となっている時
間がそれぞれ所定時間継続することを条件に加えてもよ
い。また後者の場合に前輪のいずれかの1輪と後輪のい
ずれかの1輪とが、車輪速度VW=0となった場合であ
ってもよい。
【0066】上述した車輪速度は、車輪速度センサ7
1,72,73,74のパルス信号の間隔に基づいて算
出されるが、きわめて低い速度、例えば、1km/h以
下では、パルス信号の間隔から算出している性質上、安
定した速度を得ることができないため、このような状態
を速度0km/hとしている。したがって、実施例の各
所で、車輪速度VW=0と記載しているのは、このよう
な状態を意味している。実際に、このような車輪速度零
の検出で十分に目的とする効果を発揮することが可能だ
からである。勿論、他のセンサにて完全に車輪の回転が
零となった場合を捉えても構わない。このように、完全
に車輪速度が零の場合も含めて、車輪速度センサ71,
72,73,74等の各種センサにて零と判断される範
囲を、「実質的に零」と表現している。
【0067】上記実施例において、車輪速度センサ7
1,72,73,74が車輪速度検出手段の一部の機能
を果たし、ECU80が実行するステップ200,30
0の処理が車輪速度検出手段としての処理に該当し、ス
テップ602〜652の処理がスピン状態判定手段とし
ての処理に該当し、ステップ662,664,668の
処理が増圧制御手段(あるいはアンチスキッド制御停止
手段)としての処理に該当する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のアンチスキッド制御装置の構成説明
図である。
【図2】 アンチスキッド制御の全体を示すフローチャ
ートである。
【図3】 その動作モード設定処理の内、条件A成立判
定処理のフローチャートである。
【図4】 動作モード設定処理の内、条件B,C成立判
定処理のフローチャートである。
【図5】 動作モード設定処理の内、スピン判定処理の
フローチャートである。
【図6】 動作モード設定処理の内、動作モード決定処
理のフローチャートである。
【図7】 実施例の処理を表すタイミングチャートであ
る。
【図8】 車両のスピン状態の説明図である。
【図9】 発明の構成を例示する説明図である。
【符号の説明】
10…ストップスイッチ 20…ブレーキペダル 21…真空ブースタ 28…マスタシリンダ 31,32,33,34…ホイールシリンダ 40,50…供給管 41,42,51,52…連通管 43,44,53,54…ブレーキ管 47,48,57,58…枝管 59,49…プロポーショニングバルブ 60a,60b,60c,60d…電磁弁 71,72,73,74…車輪速度センサ 80…ECU 81,91…排出管 93a,93b…リザーバ 97a,98a,97b,98b…チェック弁 99a,99b…ポンプ FL…左前輪 FR…右前輪 RL…左後輪 RR…右後輪
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前畑 博己 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内 (72)発明者 土屋 義明 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪の回転特性に関連した検出値に基づ
    き、車輪の過度のスリップ状態を抑制するようにブレー
    キ圧力を調整する車両用アンチスキッド制御装置におい
    て、 車両の複数の車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手
    段と、 前記車輪の過度のスリップ状態を抑制するようにブレー
    キ圧力を制御しても当該過度のスリップ状態が解消され
    ない状態が所定期間継続する条件、および前記車輪速度
    検出手段によって検出される複数の車輪速度の内、少な
    くとも1輪の車輪速度が実質的に零となる条件が満足さ
    れた場合に車両がスピン状態であると判定するスピン状
    態判定手段と、 前記スピン状態判定手段によって車両がスピン状態にあ
    ると判定されたときに、車輪のブレーキ圧力を増圧する
    増圧制御手段と、 を備えることを特徴とする車両用アンチスキッド制御装
    置。
  2. 【請求項2】 上記スピン状態判定手段が、前記車輪の
    過度のスリップ状態を抑制するようにブレーキ圧力を制
    御しても当該過度のスリップ状態が解消されない状態が
    所定期間継続する条件、および前記車輪速度検出手段に
    よって検出される複数の車輪速度の内、少なくとも1輪
    の車輪速度が実質的に零となった状態が所定時間以上継
    続する条件が満足された場合に車両がスピン状態である
    と判定する請求項1記載の車両用アンチスキッド制御装
    置。
  3. 【請求項3】 上記スピン状態判定手段が、前記車輪の
    過度のスリップ状態を抑制するようにブレーキ圧力を制
    御しても当該過度のスリップ状態が解消されない状態が
    所定期間継続する条件、および前記車輪速度検出手段に
    よって検出される複数の車輪速度の内、少なくとも2輪
    の車輪速度が実質的に零となる条件が満足された場合に
    車両がスピン状態であると判定する請求項1または2記
    載の車両用アンチスキッド制御装置。
  4. 【請求項4】 上記スピン状態判定手段が、前記車輪の
    過度のスリップ状態を抑制するようにブレーキ圧力を制
    御しても当該過度のスリップ状態が解消されない状態が
    所定期間継続する条件、および前記車輪速度検出手段に
    よって検出される複数の車輪速度の内、少なくとも前後
    輪の各1輪の車輪速度が実質的に零となる条件が満足さ
    れた場合に車両がスピン状態であると判定する請求項1
    〜3のいずれか記載の車両用アンチスキッド制御装置。
  5. 【請求項5】 上記スピン状態判定手段が、更に、前輪
    の車輪速度が実質的に零となるタイミングと後輪の車輪
    速度が実質的に零となるタイミングとの時間差が所定時
    間以内である条件が満足された場合に車両がスピン状態
    にあると判定する請求項4記載の車両用アンチスキッド
    制御装置。
  6. 【請求項6】 上記スピン状態判定手段が、更に、前輪
    の少なくとも1車輪の車輪速度が実質的に零となり後輪
    の両輪の車輪速度が共に実質的に零となる条件が満足さ
    れた場合に車両がスピン状態にあると判定する請求項4
    または5記載の車両用アンチスキッド制御装置。
  7. 【請求項7】 ブレーキ圧力の調節が、車輪の回転特性
    に関連した検出値と基準値との比較により、車輪の過度
    のスリップを抑制するようなされている場合に、増圧制
    御手段が、前記スピン状態判定手段によって車両がスピ
    ン状態にあると判定されたときに、上記基準値をより低
    い別の基準値に切り替える請求項1〜6のいずれか記載
    の車両用アンチスキッド制御装置。
  8. 【請求項8】 上記増圧制御手段の代わりに、 前記スピン状態判定手段によって車両がスピン状態にあ
    ると判定されたときに、アンチスキッド制御を停止する
    アンチスキッド制御停止手段を備えた請求項1〜6のい
    ずれか記載の車両用アンチスキッド制御装置。
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