JPH0843994A - 受像シート - Google Patents

受像シート

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JPH0843994A
JPH0843994A JP6183752A JP18375294A JPH0843994A JP H0843994 A JPH0843994 A JP H0843994A JP 6183752 A JP6183752 A JP 6183752A JP 18375294 A JP18375294 A JP 18375294A JP H0843994 A JPH0843994 A JP H0843994A
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JP
Japan
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film
layer
receiving sheet
image
coating layer
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Application number
JP6183752A
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English (en)
Inventor
Kazuo Matsuura
和夫 松浦
Katsuji Nakahara
勝次 中原
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】フィルム支持体の少なくとも片面に被覆層
(A)、被覆層(B)が順次に形成された受像シートで
あって、該フィルム支持体が150℃の熱収縮率が0.
5%以下で、かつ比重が1.3以下のポリエステルフィ
ルムであり、被覆層(A)がハロゲン化ポリオレフィン
を主成分とする層からなり、被覆層(B)が水性エチレ
ン性アイオノマー樹脂を主成分とする層からなることを
特徴とする受像シート。 【効果】低密度で、寸法安定性、柔軟性(クッション
性)、白色性、耐熱性に富む支持体層と、支持体層およ
び感材層との密着性、耐久性に優れた被覆層を有し、機
械的強度、耐水性、耐熱性、耐薬品性、耐折り曲げ性に
優れ、さらには、高温での熱ラミネート性、カール性、
加工適性、取り扱い性に優れた受像シートが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、受像シートに関する。
詳しくは、紙代用品としての低密度で白色性、クッショ
ン性、折り畳み性に優れ、製版、印刷工程での色校正性
に優れ、かつ耐熱性、耐久性、取り扱い性に優れた受像
シートに関する。
【0002】
【従来技術】近年、印刷物の高品質化と安定化、印刷工
程の効率化等をはかるために、製版、印刷工程での原稿
のネガあるいはポジフィルムを作って、文字や線画、色
を校正する方法が優れた色再現性を備えていることから
システム化され盛んに実施されている。なかでも色校正
用には、カラー感材フィルムとの密着性に優れた受像シ
ートが必要になっている。受像シートの構成は、受像層
と支持体層からなり、一般に支持体層はコーテイングや
含浸等により特殊加工を施した紙が支配的であった。
【0003】しかし、紙を支持体とする受像シートは機
械的強度や耐水性、耐薬品性、耐折れ曲げ性等が不十分
で耐久性、取り扱い性に劣っていたことから紙の代替品
としてフィルム支持体の適用が種々検討されてき、中で
も優れた特性を有するポリエステルフィルムを用いたも
のが盛んに提案されている。この様な受像シートとして
は、例えば、特開平3−114054号公報、特開平3
−206462号公報、特開平5−286227号公報
等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
フィルム支持体を基材とする受像シートにおいては、例
えば受像層にカラー感材フィルムを熱ラミネート後、露
光、現像、水洗、乾燥等の各工程を一定サイクルで数回
繰り返した時、受像層の耐熱性、耐久性が不十分であっ
たので、特に密着性を良くするために、熱ラミネート温
度を高めにするとフィルム支持体が収縮して、シワが入
ったり、カールしたり、また受像層の受ける温度変化が
急激となった場合などに受像層と感材層との密着性が不
十分となるおそれがあった。また、受像層の耐久性が不
足することから、連続処理工程でカールによる走行不良
を生じ易く、受像シート全体としての加工適性、取り扱
い性に改良の余地がある。
【0005】本発明の目的は、かかる問題点を改善し、
低密度で、寸法安定性、柔軟性(クッション性)、白色
性、耐熱性に富む支持体層と、支持体層および感材層と
の密着性、耐久性、に優れた被覆層を有し、機械的強
度、耐水性、耐熱性、耐薬品性、耐折り曲げ性に優れ、
さらには、高温での熱ラミネート性、カール性、加工適
性、取り扱い性に優れた受像シートを提供せんとするも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため次の構成、すなわち、フィルム支持体の少なく
とも片面に被覆層(A)、被覆層(B)が順次に形成さ
れた受像シートであって、該フィルム支持体が150℃
の熱収縮率が0.5%以下で、かつ比重が1.3以下の
ポリエステルフィルムであり、被覆層(A)がハロゲン
化ポリオレフィンを主成分とする層からなり、被覆層
(B)が水性エチレン性アイオノマー樹脂を主成分とす
る層からなることを特徴とする受像シートとするもので
ある。
【0007】本発明のフィルム支持体の材質は、ポリエ
ステルフィルムであることが好ましい。ポリエステルフ
ィルムはエステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分
子フィルムの総称であるが、特に好ましいポリエステル
としては、ポリエチレン2,6−ナフタレート、ポリエ
チレンα,β−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン
4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレン2,6−
ナフタレート、ポリブチレン2,6−ナフタレートなど
であり、これらの中でも品質等を総合的に勘案すると、
ポリエチレン2,6−ナフタレート(以下、PENと略
称することもある。)が最も好ましい。また、このPE
Nの中に公知の添加剤、例えば、耐熱安定剤、耐酸化安
定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔
料、有機または無機の微粒子、離型剤、帯電防止剤、核
剤などを配合しても良い。
【0008】上記PENフィルムは未配向、一軸配向、
二軸配向のいずれでも用い得るが機械的強度が優れてい
ることから二軸配向PENフィルムが好ましい。二軸配
向PENフィルムは無延伸状態のPENシートまたはフ
ィルムを長手方向および幅方向のいわゆる二軸方向に各
々2.5〜5倍程度延伸されて作られるものであり、広
角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。
【0009】PENフィルムには公知の方法で表面処
理、すなわちコロナ放電処理(空気中、窒素中、炭酸ガ
ス中など)や易接着処理が施されたフィルムである場
合、被覆層との密着性、耐水性、耐薬品性などが改良さ
れるのでより好ましく使用できる。易接着処理は公知の
各種の方法を用いることができ、フィルム製造工程中で
アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系などの各種の
易接着剤を塗布したもの、あるいは一軸又は二軸延伸後
のフィルムに上記のような各種易接着剤を塗布したもの
などが好適に用い得る。
【0010】フィルム支持体としてのPENフィルムの
厚みは、とくに限定されず、例えば受像シートに要求さ
れる腰の強さ等から、25〜500μm程度の範囲から
適当な厚みを設定することができる。
【0011】このPENフィルムからなる支持体は、そ
の150℃の熱収縮率が0.5%以下であることが必要
である。このようにフィルム支持体の熱収縮率を低く抑
えることにより、温度変化が生じた場合にもフィルム支
持体と被覆層との十分な密着性が得られ、また高温での
熱ラミネート後に、シワが入ったり、カールを抑制する
ことができる。
【0012】また、本発明においては、フィルム支持体
の比重は1.3以下、好ましくは1.2以下とされる。
フィルム支持体はPENフィルムからなるから、その比
重を1.3以下に抑えるには、例えば、以下に述べるよ
うな特別な工夫が必要となる。
【0013】まず、PENフィルム中に非相溶ポリマー
を分散混合させると、とくに該PENをフィルムに延伸
する際に、非相溶ポリマー周りにボイドが形成され、そ
の分比重が低く抑えられると同時に、フィルムが多数の
ボイドにより白色化される。このようにして得られたフ
ィルム支持体としてのPENフィルムは、通常のPEN
フィルムに比べて低比重であるとともに、優れた白色度
およびクッション性を有する。上記分散混合される非相
溶ポリマーのフィルム中での形状係数は、1〜20であ
ることが好ましく、さらに好ましくは1〜10が望まし
い。また、非相溶ポリマーにより形成されたフィルム中
でのボイドの平均球相当径は、1〜10μmであること
が好ましい。
【0014】上記非相溶ポリマーとしては、PENと非
相溶なポリマーであればとくに限定しないが、好ましく
は、メチルブテンポリマー、メチルペンテンポリマー、
スチレン系ポリマー、フッ素系ポリマー、セルロースア
セテート、セルロースプロピオネートポリマーから選ば
れた融点200℃以上のポリマーである。
【0015】また、フィルム支持体の比重を低く抑える
には、上記非相溶ポリマーの分散混合とともに、あるい
は非相溶ポリマーの分散混合とは別個に低比重化のみを
目的として、PENフィルム中に低比重化剤を含有させ
ることも有効である。低比重化剤とは、PEN中に添加
して比重を小さくする効果を持つ化合物のことであり、
特定の化合物のみにその効果が認められる。例えば、低
比重化剤として、ポリアルキレングリコール、エチレン
オキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、アルキル
ベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩及びそれ
らの変性体およびそれらとポリエステルの共重合体から
選ぶことができる。
【0016】本発明のPENフィルムは、さらに少なく
とも片面の最表層が、不活性粒子を含有させて表面に
均一な凹凸を形成させたポリエステルの層(C)であっ
たり、粒子に頼ることなくポリエステルの結晶化を利
用して表面に所望の微細突起を形成させたポリエステル
の層(D)であると、走行性、滑り性、耐スクラッチ性
に優れ、加工適性、取り扱い性等が一段と向上し好まし
い。
【0017】においては、該最表層の厚さ(tμm)
と該粒子の平均粒径(dμm)の関係が、 0.1≦t/d≦10 の範囲にあり、粒子含有量が0.1〜50重量%で、該
最表層の厚さが0.01〜3μmであり、かつPENを
主要構成成分とするポリエステルの層を積層するのが好
ましい。t/dが0.1未満では、走行性、滑り性が悪
化し易く、一方10を超えると耐スクラッチ性が低下し
易く、それぞれ好ましくない。該粒子含有量が0.1重
量%未満では、走行性、滑り性が悪化し易く、一方50
重量%を超えると膜強度が低下し易く、それぞれ好まし
くない。該最表層の厚みが0.01μm未満では、走行
性、滑り性が悪化し易く、一方3μmを超えると膜強度
や耐スクラッチ性が低下し易く、それぞれ好ましくな
い。該最表層はエチレンナフタレートを主要構成成分と
し、80重量%以上のPENからなることが好ましい
が、PENと他のポリエステルとをブレンドしたもの、
またはPENと他のポリエステルとの共重合体からなる
ものであってもよい。また本発明の目的を損なわない範
囲で、異種ポリマーをブレンドしてもよいし、また酸化
防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤などの有機添加
剤が通常添加される程度に添加されていてもよい。該不
活性粒子としては特に限定されないが、コロイダルシリ
カ、炭酸カルシウム、二酸化チタン、アルミナ、架橋高
分子(例えば架橋ポリスチレンなど)で、平均粒径は最
表層の厚みの0.1〜10倍が好ましく、さらに好まし
くは0.5〜5倍、より好ましくは、1.1〜3倍の範
囲であることが望ましい。上記範囲より小さくても、大
きくても走行性が悪化し易く好ましくない。該不活性粒
子の大きさは、最表層中での平均粒径(直径)が0.0
07〜0.5μmが好ましく、さらに好ましくは0.0
2〜0.45μmの範囲の場合に、耐スクラッチ性等が
より一層良好となるのでも望ましい。
【0018】においては、大部分または全部の表面突
起は、ポリエステルAの結晶化を利用して形成され、突
起の個数が、5×103 個/mm2 以上で、該突起個数
と該表面を形成する表層に含有される粒子の個数との比
である、突起個数/粒子個数(NR )が5以上であるこ
とが好ましい。NR が5未満であると、含有粒子によっ
て形成される突起の割合が多くなり、粒子添加に伴うボ
イド生成による破壊され易い突起の割合が増大するの
で、望ましい耐スクラッチ性が得られにくくなり、好ま
しくない。上記のようなポリエステルAの結晶化を利用
した表面突起の形成は、次のように行なわれる。ポリエ
ステルAを主成分とする二軸延伸フィルムを作製するに
際し、未延伸フィルムの少なくとも片面に熱処理を施
し、その後に該未延伸フィルムを二軸延伸することによ
って、所望の表面突起が形成される。未延伸フィルムに
まず熱処理を施すことにより、未延伸フィルムの特に表
面の結晶化が進められ、多数の微細な結晶が生成する。
この未延伸フィルムが二軸に延伸されて、フィルムが二
軸に配向されて目標とするフィルム自身の強度が達成さ
れるとともに、結晶とそうでない部分の硬さの差によっ
て、上記微細結晶に起因する均一な微細表面突起が形成
される。ここで、表面突起がポリエステルAの微細結晶
からなるものか否かについては、対象となる突起の下
を、フィルム厚さ方向に適切な溶媒でエッチングしてい
き、その突起を形成する起因物が不溶物として残存する
場合は、外部から添加された粒子、あるいは、内部析出
した粒子とする(I)。不溶物として残存するものが実
質的になかった場合は、その突起を形成する起因物は微
細結晶であると推定できる(II)。上記の溶媒として
は、例えば、フェノール/四塩化炭素(重量比:6/
4)の混合溶媒などが好ましく用いられる。この方法で
視野を約1mm2 とした時のIの頻度、IIの頻度を求
め、I/(I+II)の値が、70%以上である場合が好
ましいことになる。本発明において、ポリエステルAの
種類は特に限定されないが、結晶化パラメーターΔTc
gが好ましくは70゜C以下、さらに好ましくは65゜
C以下、より好ましくは55゜C以下であることが望ま
しい。結晶化パラメーターΔTcgが70゜Cよりも大
きいと、本発明で目標としている表面突起が得られにく
く好ましくない。ポリエステルAは、上記のような条件
を満たす限り特に限定されないが、エチレンレフタレー
ト、エチレン2,6−ナフタレート単位から選ばれた少
なくとも1種の構造単位を主要構成成分とする場合に特
に好ましい。目標とする表面突起を形成するために、ポ
リエステルAを主成分とするフィルムは、上述のように
二軸延伸前に熱処理により結晶化が進められるが、この
二軸延伸前の未延伸フィルム中に存在する球晶の直径r
は、0.03〜0.45μmの範囲にあることが好まし
い。より好ましくは0.10〜0.30μmの範囲であ
る。このような範囲にコントロールすることにより、二
軸延伸後のフィルム表面の耐スクラッチ性が優れたもの
となる。本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステ
ルAを主成分とする二軸配向フィルム単体で用いられて
もよいし、PENを主体とするフィルムの少なくとも片
面に積層された積層フィルムとして用いられても良い。
【0019】本発明における主成分とする層とは、その
ものが被覆層中50重量%以上が好ましく、さらに好ま
しくは60重量%以上であるものを指し、適宜他の物質
を添加してもよい。添加する樹脂は特に限定されない
が、代表例としては、ウレタン系樹脂、ポリエステル系
樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹
脂、スチレン系樹脂等の各樹脂をあげることができる。
本発明においては、かかる被覆層を前記ポリエステルフ
ィルムの少なくとも片面に設けるのであるが、この中で
両面に設ける場合は、以下に述べる該被覆層の説明は少
なくとも一方に適用されるものである。
【0020】本発明において被覆層(A)は、ハロゲン
化ポリオレフィンを主成分とする層であり、ハロゲン化
ポリオレフィンとは、ポリオレフィンをハロゲン化した
もので、例えば次のものがあげられる。
【0021】 A.ハロゲン化ポリエチレン及びその共重合体 B.ハロゲン化ポリプロピレン及びその共重合体 C.ハロゲン化ポリブチレン及びその共重合体 D.ハロゲン化ポリイソブチレン及びその共重合体 などでそのハロゲン含有量がポリマ組成物を基準にして
10〜80重量%ものが好ましい。ハロゲンの含有量が
これより少ないと密着性が悪くなり、一方これより多い
とこのポリマの溶媒に対する溶解性が低くなり、皮膜形
成性が悪くなったり、軟化点も高くなりすぎラミネート
性が悪化し易い。
【0022】ハロゲン化ポリオレフィンは通常知られた
方法で製造することができる。例えば、ポリオレフィン
をハロゲン系溶剤に溶解し、加温し加圧または常圧にて
ハロゲン化後蒸留、洗浄、乾燥などの工程を経て製造さ
れる。ハロゲン化ポリオレフィン中には、ハロゲン分
子、ハロゲン化水素、その他のハロゲン化合物などの不
純物含量が少ないものが好ましく使用される。ハロゲン
化ポリオレフィンの中でも製造のし易さの点から塩素化
ポリオレフィンが特に好ましく使用される。
【0023】被覆層(A)には本発明の効果を損なわな
い範囲で、必要に応じて公知の添加剤、例えば無機や有
機の微粒子、染料、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤等を添加してもよい。被覆層(A)の
積層厚さは、特に限定されないが、0.01〜50μm
が好ましく、さらに好ましくは0.05〜20μmの範
囲にあるものが被覆層の均一形成性や受像シートの特性
などの点で望ましい。また、被覆層(A)の表面粗さ
(Ra)は1.0μm以下が好ましく、さらに好ましく
は0.5μm以下が被覆層(B)を形成する上で望まし
い。
【0024】本発明でいう被覆層(B)は、水性エチレ
ン系アイオノマー樹脂を主成分とする層であり、水性エ
チレン系アイオノマー樹脂とは、エチレン/不飽和カル
ボン酸系共重合体のカルボン酸基を金属イオンによって
少なくとも部分的にイオン化し、金属イオンでイオン架
橋した樹脂である。エチレンとの共重合体を作る不飽和
カルボン酸としては、一般に炭素数3〜6の不飽和カル
ボン酸で、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン
酸、フマル酸、安息香酸ビニル等があげられる。また、
この共重合体には不飽和カルボン酸エステルとして、例
えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸
メチル、メタクリル酸ブチル、マレイン酸ブチル、フマ
ル酸ブチル等やビニルエステルとして、例えば酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、高級第
3級ビニルエステル、塩化ビニル、臭化ビニル等が、α
−オレフィンとして、例えばプロピレン、ブテン、ペン
テン、ヘキセン、ヘプテン、メチルブテン、メチルペン
テン等が共重合されていてもよい。さらにはエチレン/
不飽和カルボン酸系共重合体にスチレン等がグラフト共
重合されていてもよい。金属イオンとしては、ナトリウ
ム、カリウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、コバル
ト、ニッケル、マグネシウム、銅、鉛等がギ酸塩、酢酸
塩、硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素酸塩、酸化物、水酸化
物、アルコキシド等の形で適用される。
【0025】本発明において特に水性エチレン系アイオ
ノマー樹脂としては、エチレン/メタクリル酸共重合
体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレンアクリル
酸共重合体/スチレングラフト共重合体等があげられ、
金属イオンとしては、ナトリウム、亜鉛、マグネシウム
等があげられる。
【0026】エチレン系アイオノマー樹脂は例えば特公
昭46−25624号公報、特開昭61−9403号公
報等に記載されている公知の製法によって得られ公知の
技術によって水分散化され水性デイスパージョン等の形
となる。本発明では、得られたエチレン系アイオノマー
樹脂の軟化点がASTM−D−1525−70に基づく
測定法で20〜180℃が好ましく、さらに好ましくは
40〜150℃の範囲にあるのが望ましい。軟化点が2
0℃未満では被覆層の粘着性が増したり耐熱性が不足す
るので、受像シートの取り扱い性が悪化し易くなる。1
80℃を超えるものは現像処理後のカラー感材フィルム
とのラミネート性において、カール、シワ等を生じ、平
面性が悪化し易い。
【0027】本発明では、受像シートとして用いた時、
感材フィルムとのラミネート等の加工におけるロール粘
着、更には滑性不足による走行不良や作業性悪化を防ぐ
ため被覆層に無機コロイド、ワックス、ポリオレフィン
から選ばれたすくなくとも一種からなるスリッピング剤
を含有せしめることが好ましい。
【0028】本発明でいうスリッピング剤としての無機
コロイドとしては、共立出版社化学大辞典に定義されて
おり、粒子1個中に103 〜109 個の原子を含むもの
である。元素による金属コロイド、あるいは酸化物コロ
イド、あるいは水酸化物コロイド、炭酸塩コロイド、硫
酸塩コロイド、として得られる。金属コロイドとして
は、金、パラジウム、白金、銀、イオウなどが好ましく
使用され、酸化物コロイド、水酸化物コロイド、炭酸塩
コロイド、硫酸塩コロイドとしては、亜鉛、マグネシウ
ム、ケイ素、カルシウム、アルミニウム、ストロンチウ
ム、バリウム、じルコニウム、チタン、マンガン、鉄、
コバルト、ニッケル、スズなどの酸化物コロイド、水酸
化物コロイド、炭酸塩コロイド、硫酸塩コロイドが好ま
しく使用される。例えば四ハロゲン化ケイ素を水中に加
えるか、ケイ酸アルカリの水溶液に徐々に濃硫酸を加え
るなどの操作により得られる。無機コロイドの平均粒径
は特に限定されるものではないが5.0μm以下がより
好ましい。
【0029】また、ワックスとしては、炭化水素系ワッ
クス、脂肪酸系ワックス、脂肪酸アミド系ワックス、脂
肪酸の金属石鹸類、天然ワックス等の公知のものを使用
できる。本発明では天然パラフィン、合成パラフィン、
低分子量ポリエチレン等の炭化水素系ワックス、ステア
リルアミド、パルミチルアミド、メチレンビスステアロ
アミド等の脂肪酸アミド系ワックス、カルナウバロウ、
モンタンロウ等の天然ワックスの使用が好ましい。ワッ
クスは単独又は必要に応じて2種以上併用してもよい。
ワックスは被覆層内に均一分散させたものを用いるのが
望ましく、ワックス粒子は小さいほど被覆層の平滑性の
点で好ましい。
【0030】ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリペンテン、ポリヘキセン、ポリヘ
プテン等及びその共重合体があげられる。共重合体物質
は特に限定されないが、本発明では不飽和カルボン酸、
不飽和カルボン酸エステル、不飽和ニトリル等が好まし
く、共重合量はポロオレフィンに対して80モル%以
下、好ましくは、60モル%以下の割合であるのがラミ
ネート性の点で望ましい。ポリオレフィンは微粉末とし
て用いてもよいが好ましくは公知の製造方法によって水
性エマルジョン化、水性デイスパージョン化したものが
望ましい。
【0031】被覆層のスリッピング剤の含有量は0.1
〜40重量%が好まし、さらに好ましくは1〜30重量
%である。含有量が0.1重量%未満では、被覆層の滑
り性が不足し、ラミネート加工で熱ロールとの粘着性が
増し走行不良を生じ易い。40重量%を超えるものは、
受像シートと感材フィルムとのラミネート性が悪化し、
感材層が折り曲げ等で容易に剥離するため取り扱い性に
劣ったものとなる。
【0032】被覆層(B)の積層厚さは、特に限定され
るものではないが、0.O1〜50μmが好ましく、
0.05〜20μmの範囲にあるものが被覆層の均一形
成性、密着性などの点で、望ましい。
【0033】また、被覆層(B)の表面粗さ(Ra)は
1.0μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.5μ
m以下が望ましい。
【0034】また、被覆層(B)には、水性エチレン系
アイオノマー樹脂の密着性、耐水性、耐薬品性、機械強
度をより良化せしめるために架橋剤や公知の接着促進剤
としてエポキシ化合物、アジリジン化合物、ブロックイ
ソシアネート、ビニル化合物などの反応性化合物を含有
せしめてもよい。
【0035】更に、被覆層(B)には必要に応じて、本
発明の効果を損なわない量で公知の添加剤、例えば消泡
剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、染料、顔料などを含有せしめてもよい
し、滑剤として無機または有機化合物からなる微細粒子
を含有せしめてもよい。
【0036】本発明では、受像シートとして用いた時、
静電気による塵埃等の付着を避けるため受像シートに帯
電防止機能を付与させるのが好ましい。帯電防止性を付
与させるには、フィルム支持体の一方の面に被覆層を設
け、他方の面に帯電防止層を設けたり、前記被覆層の下
に帯電防止性の下引層を設けるのが望ましい。本発明で
いう帯電防止層とは、帯電防止剤からなる被覆層、帯電
防止剤を含む樹脂層、金属あるいは金属酸化物からなる
蒸着層等であって、帯電防止剤には公知である界面活性
剤、導電性ポリマー、導電性カーボン微粒子、金属ある
いは金属酸化物微粒子等があげられる。帯電防止性は、
その目安の一つである表面固有抵抗がJIS−C−13
03に基づく高絶縁抵抗計によって測定した値で105
〜1013Ω、好ましくは108 〜1011Ωの範囲が望ま
しい。
【0037】なお、受像層を形成する方法は、公知の方
法、たとえばグラビアコート法、リバースコート法、キ
スコート法、ダイコート法、メタリングコート法、ナイ
フコート法等の任意の方法を用いることができる。
【0038】本発明の受像シートの用途は、低密度で、
寸法安定性、柔軟性(クッション性)、白色性、耐熱
性、機械的強度に優れた支持体層と、支持体層および感
材層との密着性、可撓性、耐久性に優れた被覆層を有
し、機械的強度、耐水性、耐熱性、耐薬品性、耐折り曲
げ性に優れ、さらには、加工適性、取り扱い性、カール
性に優れた受像シートであるので、カラー感材フィルム
と組み合わせて、色校正用受像シートとして特に優れて
いる。また本発明の受像シートは、感熱転写インクや電
子写真トナー等の受容性、各種印刷インキの受容性等に
も優れているので、感熱転写受像シート、電子写真トナ
ー受像シート、印刷インキ受像シートなどとしても有効
に使用することができる。
【0039】
【物性の測定ならびに効果の評価方法】本発明の特性値
は、次の測定方法、評価基準による。
【0040】(1)表面粗さ JIS−B0601−1976に従い、カットオフ0.
25mm、測定長4mmで中心線平均粗さRa(μm)
及び最大粗さRt(μm)を求めた。
【0041】(2)非相溶ポリマーにより形成されたフ
ィルム中でのボイドの平均球相当径 フィルムの製膜工程の機械方向あるいは垂直方向に切っ
た断面を走査型電子顕微鏡で1000倍〜5000倍に
拡大した写真を撮り、指定した厚みの範囲の少なくとも
100個以上のボイドをイメージアナライザーにかけ、
ボイドの面積に相当する円の直径の分布を求めた。この
分布の体積平均径をボイドの平均球相当径とした。
【0042】(3)比重 四塩化炭素−n−ヘプタン系の密度勾配管によって25
℃での値を用いた。
【0043】(4)熱収縮率 フィルムを長手方向又は幅方向に幅10mm長さ300
mmに切り、200mm間隔にマーキングし支持板に一
定張力(5g)下で固定した後、マーキング間隔の原長
a(mm)を測定する。次に、3gのクリップを用いて
荷重をかけ150℃の熱風オーブン中を回転させながら
30分間処理し、原長測定と同様にして、マーキング間
隔b(mm)を測定した。下記の式により熱収縮率を求
め、5本の平均値を用いた。
【0044】熱収縮率(%)=(a−b)/a
【0045】(5)光学濃度 光学濃度計(TR927、マクベス社製)を用いて透過
濃度を測定する。フィルムの厚みと光学濃度とをプロッ
トし、各厚みに相当する光学濃度を求めた。
【0046】(6)白色度 JIS−L−1015に準じて、島津製作所(株)製U
V−260を用いて波長450nm及び550nmにお
ける反射率をそれぞれB%、G%とした時、白色度=4
B−3Gとした。
【0047】(7)延伸性 24時間連続して製膜した時、フィルム破れが皆無のも
のを「良好」、2回以上のものを「破れあり」とした。
【0048】(8)クッション率(%) 三豊製作所(株)ダイヤルゲージNO.2109−10
に標準測定子900030を用い、さらにダイヤルゲー
ジスタンドNO.7001DGS−Mを用いてダイヤル
ゲージ押え部分に荷重50gと500gとをかけた時の
それぞれのフィルムの厚みd50、d500 から次式により
求めた。
【0049】 クッション率=[(d50−d500 )/d50]×100
【0050】(9)形状係数 ボイドの平均径を求めるときと同様に、フィルム面での
非相溶ポリマーの形状をイメージアナライザーにかけ1
00個の平均の長径/短径の比率とした。
【0051】(10)被覆層の密着性 被覆層/フィルム支持体の密着力は、被覆層上に“セロ
テープ”CT−24(ニチバン(株)製)を貼り、ハン
ドローラーを用いて約5kgの荷重をかけ、5回往復し
て圧着させ、“セロテープ”を手で180゜方向に強制
剥離し、被覆層の全剥離面積に対する剥離度合いを観察
し評価した。判定基準は、 ○:良好(剥離面積5%未満) △:やや劣る(剥離面積5%以上20%未満) ×:不良(剥離面積20%以上)とした。
【0052】(11)耐水性 被覆層を設けたフィルム支持体を25℃水中で10分間
浸漬処理後、該被覆層を前記(10)と同様に評価し
た。
【0053】(12)被覆層の粘着性 受像シートと該受像シートの約2/3面積のポジ型マッ
チプリント感材フィルム(3M社製)を輪郭部に被覆層
が露出した状態で重ね合わせ、温度130゜Cの熱ロー
ルでラミネートし、該熱ロールに対する被覆層の転着性
を肉視観察し次のように評価した。
【0054】○:被覆層が全く転着しない状態 △:被覆層に若干の転着がみられる状態 ×:被覆層の転着が著しい状態
【0055】(13)ラミネート性、カール性 受像シート(200×250mm)の受像層面の中央部
に感材フィルムとして市販のポジ型マッチプリントフィ
ルム(3M社製、150×200mmに切り取り使用)
を用い、その感材層を受像シートに重ね合わせ熱ロール
(感材層側:130℃、支持体側:70℃)で熱ラミネ
ートした後、感材フィルムを引き剥がした感材層の転着
密着性を評価し、ラミネート性を次のように評価した。
【0056】○:良好(密着が良い) △:やや良好(密着性がやや劣る) ×:不良(密着性が劣る)
【0057】ついで、別のラミネート品について、23
℃、65%RHで、感材層面を上側にして、水平で平滑
な机上に静置し、四端部の机からの浮きを測定し、カー
ル性を次のように評価した。
【0058】○:良好(10mm未満) △:やや良好(10mm以上、30mm未満) ×:不良(30mm以上)
【0059】(14)折り曲げ性 上記(13)で作成したラミネート良好品を用い、該シ
ートを180゜に折り曲げを5回繰り返し、折り目近傍
の転写像の状態を肉視観察し、以下の基準で判定を下し
た。
【0060】○:全く変化のないもの △:わずかに感材層のうきがみられるもの ×:うきが大きいもの
【0061】(15)耐薬品性 被覆層を設けたフィルム支持体を1重量%の水酸化ナト
リウム水溶液中に10分間浸漬処理後、前記(10)と
同様に評価し判定した。
【0062】(16)耐久性 被覆層上にポジ型マッチプリント用感材フィルム(青)
(3M社製)を130℃で熱ラミネートし、該ラミネー
ト品の感材層カバーフィルムを剥した後、ネガマスクを
重ねてジェットライト(光強度5.5mW/m2 )でU
V露光を行なった。次に、該UV露光品をマッチプリン
ト用現像液中で露光面を3分間ブラッシング処理し、3
分間水洗した後、被覆層を65℃で10分間乾燥させ
た。こうして得られたパターン像上に感材フィルム
(黄)、(赤)、(黒)の各々を前記条件と同様に連続
的に処理し、カラー画像を形成させた。この一連の工程
を肉視観察し、以下のように評価した。
【0063】○:被覆層が何ら変化を生じることなく、
ラミネート時の走行性が安定している状態 △:被覆層に若干の膨潤あるいは粘着性を生じ、そのた
めにラミネート時の走行性にやや不安感のある状態 ×:被覆層の変化が顕著であり、ラミネート時に走行支
障をきたす状態
【0064】(17)ヤング率 JIS−Z−1702に準じて、“インストロン”タイ
プの引張試験機を用いて、25℃、65%RHで測定し
た。
【0065】(18)耐スクラッチ性 スチールウール#0000で表面を摩擦し、傷のつき具
合を次の基準で評価した。
【0066】○:軽く摩擦してもほとんど傷がつかない △:軽く摩擦すると少し傷がつく ×:軽い摩擦でも傷がつく
【0067】(19)結晶化パラメーターΔTcg パーキンエルマー社製のDSC−II(示差走査熱量計)
を用いて測定した。DSCの測定条件は次の通りであ
る。すなわち、試料10mgをDSC装置にセットし、
300℃の温度で5分間溶融した後、液体窒素中に急冷
する。この急冷試料を10℃/分で昇温し、ガラス転移
点Tgを検知する。さらに昇温を続け、ガラス状態から
の結晶化発熱ピークをもって冷結晶化温度Tccとし
た。さらに昇温を続け、融解ピークから融解熱を求め
た。ここでTccとTgの差(Tcc−Tg)を結晶化
パラメーターΔTcgと定義する。
【0068】(20)フィルム表面の突起個数 2検出器方式の走査型電子顕微鏡(ESM−3200、
エリオニクス(株)製)と断面測定装置(PMS−1、
エリオニクス(株)製)において、フィルム表面の平坦
面の高さを0として走査した時の突起の高さ測定値を画
像処理装置(IBAS2000、カールツアイス(株)
製)に送り、画像処理装置上にフィルム表面突起画像を
再構築する。次に、この表面突起画像で突起部分を2値
化して得られた個々の突起部分の中で最も高い値をその
突起の高さとし、これを個々の突起について求める。こ
の測定を場所を変えて500回繰り返し、20nm以上
の高さのものを突起とし、突起個数を求めた。また走査
型電子顕微鏡の倍率は、1000〜8000倍の間を選
択する。なお、場合によっては、高精度光干渉式3次元
表面解析装置(WYKO社製TOPO−3D、対物レン
ズ:40〜200倍、高解像度カメラ使用が有効)によ
って得られるピークカウントなどの個数情報を上記SE
Mの値に読み替えて用いても良い。また、時突起を立体
的に捉えるため、フィルムを82.5゜傾けて、倍率1
万〜50万倍で電子顕微鏡(SEM)による写真を撮影
し、100視野測定を行なった平均値から突起数を1m
2 あたりに換算しても良い。
【0069】(21)表層に含有される粒子個数 本発明で表層とは、フィルム表面より、深さ3Dまでの
部分をいう。ここで、3Dとは、フィルム中に含有され
る粒子の平均粒径D×3を意味する。フィルム断面を透
過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、表面より3D
までの部分に存在する粒子個数を倍率3000〜100
000倍で500視野について観察し、1mm2 あたり
に換算した平均粒子個数を求めた。
【0070】(22)フィルム中の粒子の平均粒径 フィルムからポリマをプラズマ低温灰化処理法で除去
し、粒子を露出させる。処理条件はポリマは灰化される
が粒氏は極力ダメージを受けない条件を選択する。その
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子画像
をイメージアナライザーで処理する。SEMの倍率はお
よそ2000〜10000倍、また、1回の測定での視
野は一辺がおよそ10〜50μmから適宜選択する。観
察箇所をかえて粒子数500個以上で、粒径とその体積
分率から、次式で体積平均径fを得る。
【0071】f=Σfi ・Nvi ここで、fi は粒径、Nvi は体積分率である。粒子が
有機粒子等で、プラズマ低温灰化処理法で大幅なダメー
ジを受ける場合は、以下の方法を用いても良い。
【0072】フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TE
M)を用い、3000〜100000倍で間観察する。
TEMの切片厚さは約1000オングストロームとし、
場所を変えて500視野以上観察し、上記の式から体積
平均径fを求めた。
【0073】(23)球晶の平均直径 フィルムの断面を光学または電子顕微鏡で観察し、いず
れも合計100個の球晶が観察できるまで測定を繰り返
し、得られた値を平均して球晶の平均直径とした。
【0074】
【実施例】本発明を以下の実施例、比較例を用いて説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0075】実施例1 ポリエチレン2,6−ナフタレート(極限粘度[η]=
0.7)を94重量%、ポリ−4−メチルペンテン−1
(三井石油化学(株)製TPX−D820)5重量%、
分子量4000のポリエチレングリコール1重量%の割
合で予めペレタイズした原料を押出機Aに供給し、常法
により295゜Cで溶融してTダイ3層口金の中央部に
導入した。
【0076】一方、上記ポリエチレン2,6−ナフタレ
ート86重量%に炭酸カルシウム(平均粒径0.8μ
m)を14重量%添加した原料を押出機Bに供給し、常
法により295℃で溶融しTダイ3層口金の両表層にラ
ミネートして、該溶融体シートを表面温度25℃に保た
れた冷却ドラム上に静電荷法で密着冷却固化させた。続
いて該キャストシートを常法に従い長手方向に120℃
に加熱されたロール群を用いて3.5倍に延伸し、25
℃に冷却した。さらに、該延伸フィルムをテンターに導
き125℃に加熱された雰囲気中で幅方向に3.2倍延
伸し、225℃で熱固定を行ない、厚さ100μmのフ
ィルムを得た。各フィルム層の厚みは表層6μmずつ、
中央層88μmの構成であった。
【0077】次に、該フィルム表面上にコロナ放電処理
を施した後、トルエンを希釈媒体とし、これにハロゲン
化ポリオレフィンとして塩素含有率30%の塩素化ポリ
プロピレン“スーパークロン”(山陽国策パルプ(株)
製)及び前記樹脂固形分に対して平均粒径0.7μmの
酸化ケイ素を5重量部添加した濃度10重量%の均一分
散塗材をグラビアコート方式で塗布し、塗布層を120
℃で1分間乾燥させ、厚み1.0μmの被覆層(A)を
設けた。
【0078】かくして得られた被覆層(A)の表面上
に、水性エチレン系アイオノマー樹脂として水性デイス
パージョンの形で得られた“ケミパール”SA−100
(三井石油化学(株)製)を濃度15重量%に調整した
水媒体系塗材とし、リバースコート方式で塗布し、塗布
層を135℃で1分間乾燥させ、厚み3.0μmの被覆
層(B)を形成せしめ受像シートを作製した。受像シー
トの特性は表1、表2及び表3に示した通りであり、熱
安定性に優れ、クッション性および白色性の高い低比重
のフィルムであることが判る。また被覆層も各特性に優
れたものであった。
【0079】実施例2 実施例1の両表層で用いたポリエチレン2,6−ナフタ
レートと炭酸カルシウムの代わりに、平均粒径が0.3
μmのコロイダルシリカを15重量%含有するPENで
あり、かつ該両表面層の厚みがそれぞれO.5μmであ
る他は実施例1と全く同様にして、受像シートを得た。
得られた受像シートの特性を表1、表2及び表3に示
す。
【0080】実施例3 実施例1で用いたPENを中心層とし、ΔTcgが30
℃であるPENを両最表層とするポリエステルフィルム
をそれぞれ180℃で3時間減圧乾燥(400Pa)
し、それぞれ2台の押出機に供給し295℃で溶融し、
これらのポリマーを3層用の矩形の合流ブロック(フィ
ードブロック)で合流積層し、静電印加キャスト法を用
いて、冷媒温度30℃のキャステイング・ドラムに巻き
付けて冷却固化し3層構造の未延伸フィルムを得た。こ
の時、各押出機の吐出量を調節し、最表層の厚みを調節
した。この未延伸フィルムのドラムと接しない方の面に
ついて、公知のラジエーションヒーターを用いて、フィ
ルム表面を190℃で5秒間熱処理を行なった。熱処理
後、フィルムを温度90℃で長手方向に3.4倍延伸
し、さらにステンタを用いて延伸速度2000%/分で
100℃で幅方向に3.5倍延伸しさらに,定長下で、
210℃にて5秒間熱処理し、総厚み100μm(最表
層はそれぞれ0.2μm)の二軸配向PENフィルム
(比重:1.0)を得た。本フィルムの表面突起数は2
0万個/mm2 、NR は45であった。本フィルムを支
持体フィルムとして実施例1と同様に被覆層(A)及び
被覆層(B)を形成して受像シートを得た。得られた受
像シートの特性は表3に示す。
【0081】実施例4 実施例2で得た支持体フィルムを用いて、実施例1の水
性エチレン系アイオノマー樹脂“ケミパール”SA−1
00にスリッピング剤として低分子量ポリエチレン/合
成パラフィン/ステアリン酸アマイドを主成分とした水
分散性ワックス“ケミパール”AB−4(三井石油化学
(株)製)を固形分当り20重量%添加した他は同一手
法で受像シートを得た。該受像シートの特性は表3に示
したように各特性が共に優れていて、中でも特に受像シ
ートのラミネート時の走行性が良化していた。
【0082】実施例5 実施例1で得たフィルム支持体の両面にコロナ放電処理
を施した後、一方の面にメチルメタクリレート/エチル
アクリレート(50/50)モル%に官能基としてカル
ボキシル基、メチロール基を導入したアクリル系重合体
(平均分子量50万)とSO2 - + 基のX+ イオン
としてH+ を有し、平均分子量7万のスルホン化ポリス
チレンを重量比率80:20とした濃度4.0重量%の
水系塗材をバーコートし、120℃で乾燥し、表面固有
抵抗が8×109 Ωの帯電防止層を形成させた。次に、
該面の反対面に実施例1と同様の方法で被覆層(A)、
(B)を設け受像シートを作製した。この受像シートの
特性は表3に示した様に各特性が優れているとともに、
取り扱い上、ゴミ等の付着のないものであった。
【0083】比較例1 ポリエチレンテレフタレート(極限粘度[η]=0.6
5)を94重量%、ポリ−4−メチルペンテン−1(三
井石油化学(株))TPX−D820)5重量%、分子
量4000のポリエチレングリコール1重量%の割合で
予めペレタイズした原料を押出機Aに供給し、常法によ
り285℃で溶融してTダイ3層口金の中央部に導入し
た。
【0084】一方、上記ポリエチレン2,6−ナフタレ
ート86重量%に炭酸カルシウム(平均粒径0.8μ
m)を14重量%添加した原料を押出機Bに供給し、常
法により295℃で溶融しTダイ3層口金の両表層にラ
ミネートして、該溶融体シートを表面温度25℃に保た
れた冷却ドラム上に静電荷法で密着冷却固化させた。続
いて該キャストシートを常法に従い長手方向に120℃
に加熱されたロール群を用いて3.5倍に延伸し、25
℃に冷却した。さらに、該延伸フィルムをテンターに導
き125℃に加熱された雰囲気中で幅方向に3.2倍延
伸し、225℃で熱固定を行ない、厚さ125μmのフ
ィルム(比重:1.0)を得た。各フィルム層の厚みは
表層7.5μmずつ、中央層110μmの構成であっ
た。こうして得たフィルム支持体を用いて、実施例1と
全く同様にして被覆層(A)、(B)を形成して比較例
1の受像シートを得た。こうして得た受像シートの熱収
縮率は長手方向1.3%、幅方向0.7%であった。受
像シートの特性は表3に示した通りで、ラミネート性、
折り曲げ性、耐薬品性、耐久性、耐スクラッチ性、カー
ル性に劣るものであった。
【0085】
【表1】
【表2】
【表3】
【0086】
【発明の効果】本発明は、上述のごとく構成したので、
熱収縮率が小さく、機械的強度に優れ、かつ白色で、低
比重のフィルム支持体上に、被覆層(A)、被覆層
(B)を順次に積層せしめたので次のような優れた効果
が得られたものである。
【0087】まず、本発明の受像シートにおいては、フ
ィルム支持体としてPENフィルムを用いているので、
熱収縮率を低く抑えることができ、かつヤング率が大き
いので、熱寸法安定性、機械的強度に優れ、被覆層との
優れた密着性や支持体フィルムの薄膜化を達成できる。
【0088】また、本発明の受像シートは、フィルム支
持体の比重が1.3以下と小さく、さらには、クッショ
ン性、熱寸法安定性に優れているので、軽量化が計れる
とともに、耐折り曲げ性、加工適性、取り扱い性に優れ
ている。
【0089】また、本発明の受像シートにおいては、フ
ィルム支持体のポリエステリルに非相溶ポリマー及び低
比重化剤を加えることによりフィルム支持体の白色度を
高めることができ、転写像が鮮明となって、識別し易
く、さらには、高級なイメージを与える。
【0090】さらに本発明の受像シートは、感材フィル
ムとの密着性に優れ、しかも、耐久性、耐水性、耐久性
に優れているので強固な転写像が形成できる。
【0091】本発明の受像シートは、上記のような優れ
た特性を有するので、種々の印刷物の校正用に適用でき
るが、中でも、色校正用に用いるのが好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B41M 5/40 G03C 1/85 1/95 // G03G 7/00 M

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルム支持体の少なくとも片面に被覆
    層(A)、被覆層(B)が順次に形成された受像シート
    であって、該フィルム支持体が150℃の熱収縮率が
    0.5%以下で、かつ比重が1.3以下のポリエステル
    フィルムであり、被覆層(A)がハロゲン化ポリオレフ
    ィンを主成分とする層からなり、被覆層(B)が水性エ
    チレン性アイオノマー樹脂を主成分とする層からなるこ
    とを特徴とする受像シート。
  2. 【請求項2】 ハロゲン化ポリオレフィンが10〜80
    重量%のハロゲンを有することを特徴とする請求項1に
    記載の受像シート。
  3. 【請求項3】 被覆層(B)が無機コロイド、ワック
    ス、ポリオレフィンから選ばれた少なくとも1種からな
    るスリッピング剤を0.1〜40重量%含有することを
    特徴とする請求項1に記載の受像シート。
  4. 【請求項4】 ポリエステルフィルム中に非相溶性ポリ
    マーが分散混合され、かつ該非相溶ポリマーのポリエス
    テルフィルム中での形状係数が1〜4であることを特徴
    とする請求項1に記載の受像シート。
  5. 【請求項5】 非相溶ポリマーがメチルブテンポリマ
    ー、メチルペンテンポリマー、スチレン系ポリマー、フ
    ッ素系ポリマー、セルロースアセテート、セルロースプ
    ロピオネートポリマーから選ばれた融点200℃以上の
    ポリマーであることを特徴とする請求項4に記載の受像
    シート。
  6. 【請求項6】 ポリエステルフィルムがポリエステルに
    低比重化剤を含有させて得られるものであることを特徴
    とする請求項1に記載の受像シート。
  7. 【請求項7】 低比重化剤がポリアルキレングリコー
    ル、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合
    体、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン
    酸塩及びそれらとポリエステルの共重合体から選ばれた
    ものであることを特徴とする請求項6に記載の受像シー
    ト。
  8. 【請求項8】 フィルム支持体が一方の面に被覆層
    (A)、被覆層(B)を有し、他方の面に帯電防止層を
    有することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか
    に記載の受像シート。
  9. 【請求項9】 フィルム支持体の被覆層(A)、被覆層
    (B)の反対面が熱可塑性樹脂(a)と不活性粒子とを
    主成分としたフィルム層(C)であって、該フィルム層
    (C)中に含有される不活性粒子の平均粒径が該フィル
    ム層(C)の厚さの0.1〜10倍、該不活性粒子の含
    有量が0.1〜50重量%で、かつ該フィルム層(C)
    の厚さが0.005〜3μmであることを特徴とする請
    求項1〜請求項8のいずれかに記載の受像シート。
  10. 【請求項10】 フィルム支持体の少なくとも片面が熱
    可塑性樹脂(a)と不活性粒子とを主成分としたフィル
    ム層(C)であって、該フィルム層(C)中に含有され
    る不活性粒子の平均粒径が該フィルム層(C)の厚さの
    0.1〜10倍、該不活性粒子の含有量が0.5〜50
    重量%で、かつ該フィルム層(C)の厚さが0.005
    〜3μmであることを特徴とする請求項1〜請求項9の
    いずれかに記載の受像シート。
  11. 【請求項11】 フィルム支持体の少なくとも片面が本
    質的に粒子含有ではなく、ポリエステル自身の結晶化を
    利用して形成された突起を有するポリエステル層(D)
    であることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれ
    かに記載の受像シート。
  12. 【請求項12】 フィルム支持体の被覆層(A)、被覆
    層(B)の反対面が本質的に粒子含有ではなく、ポリエ
    ステル自身の結晶化を利用して形成された突起を有する
    ポリエステル層(D)であることを特徴とする請求項1
    〜請求項11のいずれかに記載の受像シート。
  13. 【請求項13】 フィルム支持体がポリエチレン2,6
    −ナフタレートであることを特徴とする請求項1〜請求
    項12のいずれかに記載の受像シート。
JP6183752A 1994-08-04 1994-08-04 受像シート Pending JPH0843994A (ja)

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