JPH0843601A - 着色光学部品及びその製造方法 - Google Patents

着色光学部品及びその製造方法

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JPH0843601A
JPH0843601A JP6174604A JP17460494A JPH0843601A JP H0843601 A JPH0843601 A JP H0843601A JP 6174604 A JP6174604 A JP 6174604A JP 17460494 A JP17460494 A JP 17460494A JP H0843601 A JPH0843601 A JP H0843601A
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JP
Japan
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heating
colored
base material
lens
dye
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JP6174604A
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English (en)
Inventor
Seiichiro Hoshiyama
征一郎 星山
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 着色光学部品の製造を容易にする。 【構成】 着色濃度勾配を有する着色光学部品の製造方
法において、基材表面に染料を塗布した後、前記基材に
対して放射熱または放射エネルギーを照射することで不
均等加熱を行い、該基材内部の任意な方向に染料の着色
濃度勾配を付与させることを特徴とする着色光学部品の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、着色光学部品、例えば
眼鏡用の着色レンズやフィルタ等の製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】例えば、眼鏡用レンズに着色を施してな
る着色レンズは、ファッション、流行などに関連した付
加価値技術として最近重要視されてきている。現在のレ
ンズの染色は、主として水系の分散媒に染料を分散さ
せ、大気圧下、100℃以下の温度に保った染液中への
レンズの浸漬/引き上げを繰り返す、いわゆる浸漬法に
よって行っていた。通常レンズ中心部にむけて色調が薄
くなるようなだらかな着色濃度勾配を付けたハーフ染色
が一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
如き従来の方法による光学部品の染色では、目的とする
色調や濃度を出すには作業者の長年の経験に頼りがち
で、特になだらかな濃度勾配を付ける場合、再現性に乏
しく、後加工による色調の変動要因が制御し難いという
問題点があった。更に、従来の浸漬法の場合、染色液の
廃液が多量に排出されるために、その処理のための設備
にコストがかかったり、また環境問題の点から、廃液の
処理が伴う染色技術の改善が急務となった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を
解消し、再現性良く、安定した着色された光学部品を製
造することを目的とする。そこで本発明は、第1に「着
色濃度勾配を有する着色光学部品の製造方法において、
基材表面に染料を塗布した後、前記基材に対して放射熱
または放射エネルギーを照射することで不均等加熱を行
い、該基材内部の任意な方向に染料の着色濃度勾配を付
与させることを特徴とする着色光学部品の製造方法(請
求項1)」を提供する。また、「前記放射熱または前記
放射エネルギー強度を一定にし、前記放射熱または前記
放射エネルギーの放射時間を制御することによって前記
不均等加熱を行うことを特徴とする請求項1記載の着色
された光学部品の製造方法(請求項2)」が好ましい。
また、「前記放射熱または前記放射エネルギーの放射時
間を一定にし、前記放射強度を制御することよって前記
不均等加熱を行うことを特徴とする請求項1記載の着色
された光学部品の製造方法(請求項3)」が好ましい。
更に、「請求項2記載の放射時間の制御を放射熱または
放射エネルギー遮断手段により、前記放射熱または前記
放射エネルギーを遮断することによって不均等加熱を行
うことを特徴とする着色光学部品の製造方法(請求項
4)」が好ましい。更に、「放射熱または放射エネルギ
ーの照射による不均等加熱により基材表面付近に着色濃
度勾配が生じた領域を有する着色光学部品(請求項
5)」を提供する。更にまた「前記着色光学部品が着色
眼鏡レンズである請求項6記載の部品(請求項6)」を
提供する。
【0005】
【作用】本発明の着色された光学部品の製造方法におい
ては、光学部品となる基材表面に染料液を塗布すること
により着色加工された表面に対して熱放射を行い、基材
内に染料を浸透させて着色加工を行うものである。本発
明において濃度勾配とは、着色される色の濃度が無色か
ら淡色を経て濃くなるように変化していく状態をいう。
また不均等加熱とは、基材表面全面を均一な温度に加熱
するのではなく、ある部位に対しては加熱量は少なく、
また別の部位では加熱量は大きくなるように基材表面を
部位によって加熱量を変化(不均一)させることをい
う。つまり、熱放射を多く受けた基材は被加熱量が多く
なる。本発明は、染料液が塗布された光学部品基材面の
被加熱量が多ければ、被加熱面に浸透する染料の量が多
くなり、着色濃度は濃くなり、放射強度が少なく被加熱
量が少なければ浸透する染料の量は少なく着色濃度は薄
くなるという、着色濃度と加熱量との対応関係に基づ
き、所望の濃度勾配に相当する加熱量差になるよう制御
しながら不均等加熱を行うことによって、作業者の経験
に頼ることなく所望の濃度勾配パターンを有する着色さ
れた光学部品を簡便に得ることができるものである。そ
して、光学部品基材面への加熱量を制御することによっ
て所望の濃度勾配を有する染料された光学部品を得るこ
とを可能としたものである。
【0006】更に、本発明においては、加熱を放射加熱
とし加熱量の制御によって不均等加熱を行うものであ
る。光学部品となる基材に対して着色濃度を濃くしたい
部位には比較的長時間または高強度の熱放射を行い、着
色濃度を薄くしたい部位には比較的短時間または低強度
の熱放射を行うよう放射時間または放射強度を変化させ
うことによって所望の濃度勾配パターンを生じさせるた
めの加熱量の差を簡便に得ることができる。
【0007】基材表面に対して加熱量差を生じさせる方
法として、第1に放射熱または放射エネルギー強度を一
定にし、前記放射熱または前記放射エネルギーの放射時
間を制御する方法がある。この方法の一態様として、放
射熱または熱エネルギーを放射するための熱放射手段と
基材との間に放射熱または熱エネルギーの遮断手段を設
け、放射熱または放射エネルギーを所定時間遮断し、そ
の遮断時間を変化させることによって基材表面の加熱時
間に差異を生じさせることにより、不均等加熱を行うこ
とが可能となる。
【0008】また、第2の方法として、前記放射熱また
は前記放射エネルギーの放射時間を一定にし、放射強度
を制御する方法がある。放射強度の制御方法の一態様と
しては、熱放射手段と基材との距離を制御することで放
射強度の差異を生じさせることができる。つまり、基材
を熱放射手段に接近させれば放射強度は高くなり、遠ざ
ければ放射強度は低くなる。
【0009】本発明において使用される光学部品は、着
色可能なものであればよく、特に制限されるものではな
いが、基材としてプラスチックを用いる場合、その材料
には、例えばポリメチルメタクリレート及びその重合
体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリカーボ
ネート、セルロースアセテート、ポリ塩化ビニル、ポリ
エチレンテレスタレート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエ
ステル樹脂、ポリウレタン樹脂、CR−39重合体など
が用いられる。
【0010】また、熱放射源として、赤外線,可視光線
等の放射、熱風、マイクロ波放射等種々のものが用いら
れるが、いずれにしてもレンズ基材が熱劣化しない加熱
条件を設定することが必要である。
【0011】
【実施例1】以下に、1発明の第1の実施例を示す。第
1の実施例として、赤外線ランプを熱放射手段とし、遮
蔽板を用いて熱放射手段からの放射熱を遮断することに
より放射時間の制御を行い、不均等加熱を行って着色レ
ンズを得る場合を示す。まず、ここで用いる染料液の調
整法を以下に説明する。
【0012】染料液組成物の調整 (1) 希釈液の調整 回転子を備えたビーカー中に、染料溶解用溶剤としての
アセトンを87.60wt%、塗膜形成剤としてのポリ
メタクリル酸メチル(PMMA)を2.65wt%、塗
膜の白化防止及び膜の平滑さを出すためのレベリング剤
としてのエチレングリコール・モノ・エチルエーテルを
9.50wt%,さらに界面活性剤として住友3M社製
フローラードを0.25wt%入れ、室温(約24℃)
において撹拌混合した後、ガラス製密閉容器中に移して
保管する。 (2) レッド染料の調整 回転子を備えたビーカー中に、アセトンを86.49w
t%、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を2.70
wt%、エチレングリコール・モノ・エチルエーテルを
9.74wt%、住友3M社製フローラードを0.26
wt%、染料としてC.I.(Colour Index)ソルベント
レッド73を0.81wt%を入れ、室温(約24℃)
において撹拌混合した後、ガラス製密閉容器中に移して
保管する。 (3) ブルー染料の調整 回転子を備えたビーカー中に、アセトンを86.72w
t%、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を2.71
wt%、エチレングリコール・モノ・エチルエーテルを
9.77wt%、住友3M社製フローラードを0.26
wt%,染料としてC.I.ディスパースブルー60を
0.54wt%入れ、室温(約24℃)において撹拌混
合した後、ガラス製密閉容器中に移して保管する。 (4) イエロー染料の調整 回転子を備えたビーカー中に、アセトンを84.43w
t%、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を2.64
wt%、エチレングリコール・モノ・エチルエーテルを
9.51wt%、住友3M社製フローラードを0.25
wt%,染料としてC.I.ディスパースイエロー54
を3.17wt%入れ、室温(約24℃)にて撹拌混合
した後、ガラス製密閉容器中に移して保管する。
【0013】着色レンズの製造に用いる染料液は、上記
のように各々調整したイエロー、レッド、ブルーの3原
色の染料を目的とする色調が再現できる任意の割合で調
合し、上記のアセトンを主成分とする希釈液で任意の濃
度に希釈したものとする。本実施例においては、色調に
ブラウンを選んだ。前記3原色の染料を体積比でイエロ
ー:レッド:ブルー=45:27:28の配合割合で調
合し、このブラウン原液を体積比でブラウン原液:希釈
液=3:97の割合で希釈したものを染料液とした。
【0014】以上の操作によって調整したブラウン染料
液を用いてレンズの着色を以下の方法で行った。まず、
厚さ2mm、直径65mmのCR−39からなる眼鏡用
プラスチックレンズ基材4にブラウン染料液をスピンコ
ート装置によって塗布し、染料塗膜を形成する。図2に
示すように、レンズ基材4を、被着色面を上方向にして
エアジャケット17内のレンズスピナー19にセット
し、染料取り入れ口15から染料滴下用バルブ12内に
ブラウン染料液を収容しておく。染料滴下ノヅル16か
ら被着色面に約2ml染料液を滴下し、レンズスピナー
19をまず1000r.p.m で5秒間、続けて2000r.
p.m で4秒間回転させ、レンズ基材の被着色面上に均一
な染料塗膜3を形成した。
【0015】次に染料塗膜3が形成されたレンズ基材4
を赤外線ランプ加熱炉において不均等加熱を行い、染料
をレンズ内へ加熱含浸させた。図1にその方法を示す。
図1において、レンズ基材4を、その低面(レンズ基材
4を挟んで、染料塗膜3とは反対面)から赤外線ランプ
1(東芝ライテック株式会社製,定格:100V、25
0W,型式:IR100V、250WRH)までの高さ
Hが約100mmとなるよう染料塗膜3の形成されてい
る面を上にして設置する。レンズ基材はレンズ保持具5
上に設置する。また、レンズ基材4底面からの高さhが
約20mmの位置の可動式遮蔽板2を、レンズ基材4の
端部Sからの距離Lが20mmの位置にその先端が来る
よう設定しておく。
【0016】このような初期設定において、120℃で
35分間、可動式遮蔽板2を1.43mm/minの速
度で矢印方向に移動させながらレンズ基材4への熱放射
を行った。次に20℃の塩化メチレン槽内に1分間浸
漬,揺動を2回行い、続いて40℃の塩化メチレン蒸気
槽に1分間浸漬して洗浄した。以上の操作で得られた着
色レンズの視感度透過率(図3の縦軸)と遮蔽板とレン
ズ基材間距離(図3の横軸)との関係を示す。ここでは
レンズの端部Sからの距離L毎に、着色濃度の評価基準
として視感度透過率を分光光度計により測定した。図3
からも明らかなように、端部Sからの距離が大きいほど
視感度透過率が高くなる。つまり、レンズ基材上の端部
Sからの距離が大きい程、遮蔽板による放射熱の遮断時
間が長くなり、加熱時間が短くなる。そのために、加熱
時間の短い部位は着色濃度は淡色となることから視感度
透過率は高くなる。
【0017】遮蔽板の移動速度は一定であったので、端
部Sからの距離が大きくなるに従って反比例的に熱放射
時間は短くる。この着色濃度は、初期設定における可動
式遮蔽板2の先端位置に対応する距離20mm位置付近
からはほぼ直線的な関係となっている。
【0018】
【実施例2】次に、第2の実施例として、厚さ2mm、
直径65mmの、第1の実施例とは異なるプラスチック
レンズ基材(ニコンライトDXII:商品名)に不均等加
熱による着色を行った場合を示す。ここでは染料液は第
1の実施例と同じブラウン染料液を用い、また第1の実
施例と同じ条件設定で図2に示すスピンコート装置によ
ってプラスチックレンズ基材に染料塗膜を形成した。
【0019】この染料塗膜が形成されたレンズ基材を、
図1で示した初期設定と同様に配置し、125℃で54
分間、可動式遮蔽板2を0.86mm/minの速度で
矢印方向に移動させながら熱放射を行った。次に、染料
塗膜の形成に用いたのと同じスピンコート装置を用いて
洗浄を行った。熱放射により染料の含浸を行った被着色
面を上方向にしてレンズ基材をエアジャケット17内の
レンズスピナー19にセットし、滴下ノヅル16から塩
化メチレンを滴下しながらレンズスピナー19を100
0r.p.m で4秒間回転させて洗浄を行った。
【0020】以上の操作で得られた着色レンズの視感度
透過率(図4の縦軸)と遮蔽板とレンズ基材間距離(図
4の横軸)との関係を示す。これは、第1の実施例の図
3と同様に、レンズの端部Sからの距離L毎に着色濃度
の評価基準として視感度透過率を分光光度計で測定した
ものである。図4から明らかなように、端部Sからの距
離が大きいほど、つまり放射時間が少ないほど、視感度
透過率が大きく、着色濃度が薄くなっており、初期設定
における可動式遮蔽板2の先端位置に対応する距離20
mm位置付近からはほぼ直線的な関係となっている。
【0021】
【実施例3】さらに、第3の実施例として、厚さ2m
m、直径65mmの、第1および第2の実施例と異なる
プラスチックレンズ基材(ニコンライト3:商品名)に
不均等加熱による着色を行った場合を示す。ここで用い
た染料液は、第1及び第2の実施例の場合と色調を変
え、上記の調整方法で調整した各3原色の染料を、体積
比でイエロー:レッド:ブルー=73:17:10の配
合割合で調合し、この染料原液を体積比原液:希釈液=
3:97の割合で希釈したものである。
【0022】このような染料液を用い、第1、第2の実
施例と同じ条件設定で図2に示すスピンコート装置によ
ってプラスチックレンズ基材に染料塗膜を形成した。さ
らにこのレンズ基材を図1で示した初期設定と同様に配
置し、125℃、54分間、可動式遮蔽板2を0.86
mm/minの速度で矢印方向に移動させながら熱放射
を行った。
【0023】上記の不均等加熱により染料含浸を行った
レンズ基材を20℃の塩化メチレン槽内に1分間浸漬,
揺動を2回を行い、続いて40℃の塩化メチレン蒸気槽
に1分間浸漬して洗浄した。以上の操作で得られた染色
レンズの視感度透過率(図5の縦軸)と遮蔽板とレンズ
基材間距離(図5の横軸)との関係を示す。これは、第
1、第2の実施例と同様に、レンズの端部Sからの距離
L毎に着色濃度の評価基準として視感度透過率を示した
ものである。図5から明らかなように、端部Sからの距
離が大きく、つまり放射時間が少ないほど、視感度透過
率が大きく即ち着色濃度が薄くなっており、放射時間に
対する着色濃度は初期設定における可動式遮蔽板2の先
端位置に対応する距離20mm位置付近からはほぼ直線
的な関係となっている。
【0024】着色レンズにおいて、所望の着色濃度勾配
はそれに対応する加熱量を与えれば再現性良く得ること
ができ、以上の実施例で示したように、所望の加熱量差
を持つ不均等加熱は、放射熱または放射エネルギーの放
射時間を制御するという簡便な方法によって得ることが
できる。なお、以上の第1、2、3の実施例において
は、熱放射時間の制御を可動式遮蔽板2の移動によって
行ったが、逆に遮蔽板を固定し、レンズ基材の方を移動
させて行うことも可能であり、また両者をそれぞれ異動
してもよい。
【0025】
【実施例4】第4の実施例を図6に示す。ここでは図6
にあるように台形状の長い固定遮蔽板22を用いて不均
等加熱を行う。被着色面に染料塗膜23が形成されたレ
ンズ基材24を、固定遮蔽板22下で遮蔽部分の面積が
大きくなる方向へ平行移動させながら熱放射を行う。
【0026】レンズ基材24が図中矢印方向へ平行移動
するに従って固定遮蔽板22による熱放射手段21から
の放射熱を遮る遮蔽面積が大きくなるため、レンズ基材
24の上端部aに向かうに従って単位面積当たりの放射
時間は長く、加熱量は大きくなる。従って、所望の濃度
勾配に対応した加熱量差が得られるようレンズ基材24
の移動速度を設定すれば良い。
【0027】レンズ基材21の平行移動は、ベルトコン
ベアー装置等を用いれば良い。このような方法を用いれ
ば、連続的に多量の同じ濃度勾配パターンを有する着色
レンズを製造するのがより容易である。
【0028】
【実施例5】次に、第5の実施例として、放射時間を一
定にし、放射強度を制御する方法の一例を示す。図7に
示すように、染料塗膜32が形成されたレンズ基材33
を、熱放射手段31に対して被加熱面が斜めになるよう
レンズ支持台34に設置し熱放射を行う。このときレン
ズ基材33の上端部b方向は熱放射手段31に近く、下
端部c方向にいくほど熱放射手段31から遠くなってお
り、この熱放射手段31からの距離の差がそのまま加熱
量の差となり、染料の加熱含浸量の違いとなって濃度勾
配が得られる。
【0029】なお、以上の実施例においては、レンズ基
材の接眼側レンズ面に染料塗膜を形成して熱放射を行っ
たが、対物側レンズ面であってもかまわない。また、染
料塗膜方法もスピンコートに限らず、刷毛で塗布するな
ど従来用いられている一般的な方法を用いることができ
る。また、染料液に用いた組成物は、上記実施例に示し
たものに限らず種々のものが使用可能である。例えば、
染料を溶解する溶剤として、アセトンの代わりにメタノ
ール、エタノール、イソプロパノール、トリクロルエチ
レン、塩化メチレン、トルエン、キシレン、石油ナフ
サ、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、酢酸エ
チル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、フルフローラ
ル、エチルエーテル、ジオキサン等が使用できるが、用
いる染料は溶解し、プラスチックレンズは溶解しないも
のを使用する。
【0030】また、塗膜形成剤として、ポリメタクリル
酸メチル(PMMA)の代わりにセルロースアセテー
ト、セルロースナイレート等の繊維素系樹脂、ポリメタ
クリレート等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ
ビニルアセタール等のビニル系樹脂、ポリスチレン、ポ
リエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂等がある。塗
膜の白化防止及びレベリング剤としてのエチレングリコ
ール・モノ・エチルエーテルの代わりには、エチレング
リコール・モノ・フェニルエーテル、ジエチレングリコ
ール・モノ・メチルエーテル、ジエチレングリコール・
モノ・エチルエーテル、ジエチレングリコール・モノ・
ブチルエーテル、酢酸エチレングリコール・モノ・メチ
ルエーテル、酢酸エチレングリコール・モノ・エチルエ
ーテル、乳酸エチル、プロピオン酸ブチル、ジアセトン
アルコール、シクロヘキサン等が使用できる。
【0031】さらに、レベリング剤として用いた住友3
M社製フローラードの代わりに使用可能なものとして、
信越シリコーン社製KP322、日信化学工業社製サー
フィノールシリーズ、共栄社油脂製ポリフロー、フロー
レンシリーズ、モンサント社製モダフロー、マルチフロ
ー、楠本化成社製ディスパロンシリーズ、サンノプコ社
製ノプコカラースパースシリーズ、ノプコ1338、モ
ディコールSNシックナーシリーズ、ヴァンデルビルト
社製のリオトール、ジェネラルアニリン社製のシケナー
L、トロイ社製LLBA、ラテックスアンチクレータ
ー、ヤンドット社製プリロニックシリーズ、SBSケミ
カルズ社製レジフロウシリーズなどが挙げられる。
【0032】また、着色に用いる染料は、実施例に用い
たものに限らないが、分散染料の原体および油溶性染料
が望ましい。以下にその一例を示す。分散染料には、
C.I.(Colour Index)ディスパースイエロー5,19
8,83,64,33,42,149,7,56,4,
3,33、C.I.ディスパースオレンジ49,31,
13,29,61,33,3、C.I.ディスパースレ
ッド72,225,146,76,54,56,20
5,227,135,1,17、C.I.ディスパース
バイオレット35,1,38、C.I.ディスパースブ
ルー106,201,183,148,128,56,
214,197,194,87,54,102,3,
1,7、C.I.ディスパースブラウン1、などがあ
る。
【0033】油溶性染料には、C.I.ソルベントイエ
ロー19,77、C.I.ソルベントオレンジ1、C.
I.ソルベントレッド1,111,146,88、C.
I.ソルベントバイオレット13,14、C.I.ソル
ベントブルー12,35,36、C.I.ソルベントグ
リーン3、C.I.ソルベントブラウン37、C.I.
ソルベントブラック3、などがある。
【0034】また、眼鏡用レンズには、表面に耐擦傷性
被膜を施す場合があるが、以上の着色レンズ製造工程
は、耐擦傷性被膜を形成する前に限らず、形成後に着色
を行ってもかまわない。レンズ表面に施す耐擦傷性被膜
の組成物として、例えば以下の式で表される有機けい素
化合物又はその加水分解物等が用いられる。
【0035】 R1 a2 bSi(OR34-(a+b) …式(1) (但しR1 は官能基又は不飽和2重結合を有する炭素数
4〜14の有機基、Rは炭素数1〜6の炭化水素基又は
ハロゲン化炭化水素基、R3 は炭素数1〜4アルキル
基,アルコキシアルキル基又はアシル基であり、a及び
bは各々0又は1であり且つa+bは1又は2であ
る。) 式(1) の化合物として、例えば、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリア
セトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエト
キシシラン β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
エチルトリエトキシシランや、さらにメチルメトキシシ
ラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセト
キシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アミノメ
チルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメト
キシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシ
ラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−ト
リフルオロプロピルトリメトキシシランなどの各種トリ
アルコキシラン、トリアシロキシシランアあるいはトリ
アルコキシアルコキシラン化合物、また、ジメチルジメ
トキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフ
ェニルジメトキシシラン、メチルビニウジメトキシシラ
ン、ジメチルジエトキシシラン、さらにメチルシリケー
ト、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−
プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、t−ブチ
ルシリケート、sec−ブチルシリケートなどが挙げら
れる。これらの化合物は、1種で用いても良いが目的・
種類に応じて2種以上を混合して用いても良い。また、
硬さを増すために種々の微粒子状酸化物を添加すること
が可能である。
【0036】
【発明の効果】本発明は以上説明したとおり、所望の濃
度勾配に相当する加熱量差となるよう熱放射時間や放射
強度を制御することによって不均等加熱を行うことによ
り、作業者の経験に頼ることなく所望の濃度勾配パター
ンを有する光学部材を簡便に得ることができる。
【0037】従って、着色光学部材の製造工程におい
て、同じ濃度勾配パターンの着色光学部材を大量に製造
する場合であっても、種々の異なる濃度勾配パターンの
着色光学部材を製造する場合であっても不均等加熱の制
御を行えば容易に着色可能なだけでなく、着色工程の無
人化、自動化が可能となり製造工程全体の効率の向上が
実現できる。また、本願発明の着色工程は、1つのライ
ンで連続的な加熱が可能でるため、従来の浸漬法を行う
場合のような複数の浸漬処理加工ラインは不必要であ
り、製造ラインの簡略化が実現できる。更に、従来の浸
漬法のような湿式法を用いないので、廃液を排出するこ
とがなく、環境問題に対して有効な方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の第1、第2、第3の実施例に係わ
る着色レンズの製造方法を説明する概略図である。
【図2】は、本発明の第1、第2、第3の実施例に係わ
る着色レンズの製造方法の一工程である染料塗布に用い
るスピンコート装置を示す概略構成図である。
【図3】は、第1の実施例で得られた着色レンズの各位
置における視感度透過率を示す説明図である。
【図4】は、第2の実施例で得られた着色レンズの各位
置における視感度透過率を示す説明図である。
【図5】は、第3の実施例で得られた着色レンズの各位
置における視感度透過率を示す説明図である。
【図6】は、第4の実施例に係わる着色レンズの製造方
法を説明する概略図である。
【図7】は、第5の実施例に係わる着色レンズの製造方
法を説明する概略図である。
【符号の説明】
1,21,31:加熱源 2:可動式遮蔽板 22:固定遮蔽板 3,23,32:染料塗膜 4,24,33:レンズ基材 5:レンズ保持具 11:支持棒 12:染料滴下用バルブ 13:バルブ駆動用圧縮空気取り入れ口 14:バルブ駆動用圧縮空気取り入れ口 15:染料取り入れ口 16:染料液滴下ノズル 17:エアージャケット 18:排気口 19:レンズスピナー 25:ベルトコンベアー 34:支持台 以上

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 着色濃度勾配を有する着色光学部品の製
    造方法において、基材表面に染料を塗布した後、前記基
    材に対して放射熱または放射エネルギーを照射すること
    で不均等加熱を行い、該基材内部の任意な方向に染料の
    着色濃度勾配を付与させることを特徴とする着色光学部
    品の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記放射熱または前記放射エネルギー強
    度を一定にし、前記放射熱または前記放射エネルギーの
    放射時間を制御することによって前記不均等加熱を行う
    ことを特徴とする請求項1記載の着色された光学部品の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記放射熱または前記放射エネルギーの
    放射時間を一定にし、前記放射強度を制御することよっ
    て前記不均等加熱を行うことを特徴とする請求項1記載
    の着色された光学部品の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の放射時間の制御を放射熱
    または放射エネルギー遮断手段により、前記放射熱また
    は前記放射エネルギーを遮断することによって不均等加
    熱を行うことを特徴とする着色光学部品の製造方法。
  5. 【請求項5】 放射熱または放射エネルギーの照射によ
    る不均等加熱により基材表面付近に着色濃度勾配が生じ
    た領域を有する着色光学部品。
  6. 【請求項6】 前記着色光学部品が着色眼鏡レンズであ
    る請求項6記載の部品。
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