JPH11170387A - フォトクロミックプラスチックレンズ及びその製造方法 - Google Patents

フォトクロミックプラスチックレンズ及びその製造方法

Info

Publication number
JPH11170387A
JPH11170387A JP9336756A JP33675697A JPH11170387A JP H11170387 A JPH11170387 A JP H11170387A JP 9336756 A JP9336756 A JP 9336756A JP 33675697 A JP33675697 A JP 33675697A JP H11170387 A JPH11170387 A JP H11170387A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photochromic
plastic lens
photochromic substance
substance
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9336756A
Other languages
English (en)
Inventor
Ichirou Ono
五千郎 小野
Koji Yamazaki
浩二 山崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
Priority to JP9336756A priority Critical patent/JPH11170387A/ja
Publication of JPH11170387A publication Critical patent/JPH11170387A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Optical Filters (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 フォトクロミックレンズを容易に得る。 【解決手段】 本発明のフォトクロミックレンズの製造
方法は、プラスチックレンズ基材の表面にフォトクロミ
ック物質を付着させる工程と、フォトクロミック物質を
基材表面から深さ方向に向かって0.1〜100μmの
範囲の領域に浸透させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フォトクロミック
プラスチックレンズ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックレンズは成形が容易なこ
と、軽くて割れにくいこと、染色により容易に着色が可
能であること等の特徴を持つことから、近年、光学レン
ズ、特に眼鏡用レンズとして広く用いられている。最
近、眼鏡用レンズは、フォトクロミック性能を有するも
のの検討が進められてきている。しかし、これまでのプ
ラスチックレンズを用いたレンズでは着色濃度、着色速
度、退色速度、調光性能の耐久性等といったフォトクロ
ミック性能に係わる機能面においては、無機ガラスレン
ズを用いたフォトクロミックレンズに比べると比較にな
らないほど劣っていた。
【0003】従来、プラスチックレンズにフォトクロミ
ック性能を付与する方法としては次のようなものが考え
られている。 1)フォトクロミック化合物(以下、フォトクロミック
物質)をプラスチックレンズ基材となる粉末または粒状
の材料と混ぜ合わせた後、溶融混練し硬化させる方法、 2)プラスチックレンズ基材となる液状のプラスチック
材料のモノマー中にフォトクロミック物質を分散溶解し
た後に重合、硬化させる方法、 3)フォトクロミック物質を適当な溶剤中に分散させた
後、これを硬化したプラスチックレンズ基材に含浸させ
る方法、 4)フォトクロミック物質を適当なポリマーおよび/ま
たはモノマー、必要に応じて溶剤を含んだ溶液中に分散
溶解させた後、無機ガラス、プラスチック等の各種基材
表面にコーティングし、乾燥および/または硬化させる
方法、 5)フォトクロミック物質を適当な溶媒中に分散させた
後にプラスチックレンズ基材上に塗布し、次いで加熱し
てフォトクロミック物質をプラスチックレンズ基材中に
浸透させる方法等である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
た従来の方法では、視力矯正用眼鏡プラスチックレンズ
を製造する場合には適した方法ではなかった。その理由
は以下のようである。前記1)、2)の方法で形成され
たフォトクロミックプラスチックレンズは、レンズ中に
フォトクロミック物質が均一に分散した状態で硬化して
いる。一般に眼鏡レンズは、中心部と外周部の厚みが異
なるため、基材の厚みに比例して必ず濃度勾配が生じて
しまい、均一な濃度のレンズが得られないのである。
【0005】また前記3)、4)の方法では、フォトク
ロミック物質を分散させるための溶剤あるいは溶媒を用
いるが、プラスチックレンズ基材表面を侵さない種類の
溶剤や溶媒を選択しなければならないという制約があ
る。更に前記5)の方法では、プラスチックレンズ基材
表面にコーティング可能なポリマーやモノマー、フォト
クロミック物質の種類が限られてしまう。また、着色さ
せたい色ごとにコーティング液をあらかじめ用意してお
かなければならず、生産性が非常に悪くなるという欠点
がある。
【0006】またフォトクロミックプラスチックレンズ
ではなく、染色レンズの製造においては、レンズ基材を
加熱し、抵抗加熱により昇華性染料を加熱蒸発させ、こ
れを真空中で飛ばし加熱されたレンズ表面へ付着させた
後に浸透させる方法が知られている。しかし、このよう
な染色レンズの製造方法では、染料の付着確率が悪く、
ほとんどがベルジャー内の周辺部に付着してしまうとい
う問題があった。更にこの方法では、真空中で昇華性染
料をプラスチックレンズ基材表面に付着させ、これを真
空中で加熱することにより基材内部へ浸透させるため
に、プロセスとしてはかなり時間がかかり、しかも濃い
濃度の着色レンズの製造には向いていないという欠点が
あった。
【0007】また、従来のフォトクロミックプラスチッ
クレンズの製造方法では、レンズ基材表面の全面にフォ
トクロミック物質が被覆され、全面が変退色するフォト
クロミックレンズしか得ることができなかった。更に従
来の製造方法では2色以上、特に3色以上の色を有する
フォトクロミックプラスチックレンズを得ることは困難
であった。
【0008】更にフォトクロミックプラスチックレンズ
はその性能上屋外で使用されることが多く、様々な環境
に耐え得るレンズを製造しなければならない。特にプラ
スチックレンズ基材の表面または内部にフォトクロミッ
ク物質の浸透領域が存在する場合、耐擦傷性、耐衝撃
性、密着性、防汚性などの耐久性をより向上させる必要
がある。更に調光スピード等のフォトクロミック性能も
向上させる必要がある。更にこれら様々な性質を有する
フォトクロミックプラスチックレンズは、容易にまた低
コストで製造しなければならない。
【0009】そこで、本願発明は上記のような問題点を
解決し、高耐久性、高フォトクロミック性能のフォトク
ロミックプラスチックレンズを低コスト、高生産性で製
造することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願発明は、上記課題を
解決するために、プラスチックレンズ基材の表面にフォ
トクロミック物質を真空蒸着法により付着させ、その後
プラスチックレンズ基材の表面に付着したフォトクロミ
ック物質を加熱することによりフォトクロミック物質を
基材表面に浸透させる。このような方法で形成されたフ
ォトクロミックプラスチックレンズは、基材表面にフォ
トクロミック物質が浸透した領域が存在し、その浸透領
域は基材表面から深さ方向に約0.1〜100μmの領
域に浸透しているものである。
【0011】そこで本願発明は第1に「プラスチックレ
ンズ基材の表面にフォトクロミック物質を付着させる工
程と、前記フォトクロミック物質を前記プラスチックレ
ンズ基材表面から深さ方向に向かって約0.1〜100
μmの範囲の領域に浸透させる工程を有することを特徴
とするフォトクロミックプラスチックレンズの製造方法
(請求項1)」を提供する。第2に「前記フォトクロミ
ック物質を付着させる工程として真空蒸着法を用いるこ
とを特徴とする請求項1記載の製造方法(請求項2)」
を提供する。第3に「プラスチックレンズ基材の表面か
ら深さ方向に向かって約0.1〜100μmの範囲の領
域に前記フォトクロミック物質の浸透領域が存在するこ
とを特徴とするフォトクロミックプラスチックレンズ
(請求項3)」を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】本願発明に関わるフォトクロミッ
ク物質としては、一般的にフォトクロミックプラスチッ
クレンズに用いられるクロメン系、スピロオキサジン
系、スピロナフトオキサジン系、スピロピラン系、ナフ
トピラン系、フルギド系、フルギミド系、ビオローゲン
系、トリアリールメタン系、ジアリールエテン系、ジア
ゾ系が挙げられる。
【0013】例えば、本願発明に使用することのできる
フォトクロミック物質としては、着色機構が次式
【0014】
【化1】
【0015】で表されるスピロピラン系やスピロオキサ
ジン系物質が例示される。実際のフォトクロミック物質
は、種々の置換基が導入されたり、骨格構造が多少異な
る誘導体が含まれる。例えば、次式は、スピロオキサジ
ン系誘導体の各種のものを例示したものである。
【0016】
【化2】
【0017】また、次式
【0018】
【化3】
【0019】
【化4】
【0020】で表されるフルギミド系物質やクロメン系
物質も例示される。次式
【0021】
【化5】
【0022】で表されるナフトピラン系の各種の誘導体
もこの発明に使用できるフォトクロミック物質として例
示される。これらのフォトクロミック物質の基材への付
着方法は、特に限定されないが真空蒸着法、スパッタリ
ング法等の乾式法が好ましい方法である。真空蒸着法を
用いる場合、通常真空排気度を5×10-5torr以下
とし、フォトクロミック物質をるつぼに入れた状態でヒ
ーター加熱して蒸着する。本願発明においてフォトクロ
ミック物質の加熱温度は100 〜200℃である。真
空蒸着方法については、従来周知の手法、あるいはその
改良に関わる適宜な手法を採用することができる。例え
ば真空中でフォトクロミック物質を抵抗加熱し、その上
部に位置するプラスチックレンズ基材の表面に向かって
飛散したフォトクロミック物質を付着させる。そしてフ
ォトクロミック物質が付着したプラスチックレンズ基材
を、加熱処理する。これにより、プラスチックレンズ基
材の表面にフォトクロミック物質が浸透し、所望のフォ
トクロミック性能を持つプラスチックレンズが製造され
る。
【0023】上記のフォトクロミック物質が表面に付着
したプラスチックレンズ基材の加熱処理は大気中または
不活性ガス雰囲気中、大気圧下で行ってよく、この点も
この発明の実際上の重要な特徴である。もちろん、所望
によっては、減圧条件を採用してもよい。また、この加
熱は、フォトクロミック物質のプラスチックレンズ基材
の表面への真空蒸着と共に行ってもよいが、基材表面に
フォトクロミック物質を付着させた後に加熱を行うのが
好ましい。これは、基板表面の温度が高いとフォトクロ
ミック物質の付着確立が低下してしまい、付着工程に多
くの時間を費やしてしまうためである。
【0024】蒸着後のフォトクロミック物質が付着した
プラスチックレンズ基材の加熱は、100〜200℃程
度において、約0.5〜数時間行う。なお加熱は電磁
波、あるいは熱風、水、油等の熱媒体を適宜用いること
ができる。加熱温度は使用するフォトクロミック物質の
昇華温度や基材中への浸透深さにより適宜決定される。
フォトクロミック物質の浸透深さの制御は、上記の加熱
温度の他に加熱時間、フォトクロミック物質の付着量等
で可能である。加熱時間は、フォトクロミック物質の浸
透し易さにより適宜決定することが好ましい。
【0025】本願発明によれば、モノマーにフォトクロ
物質を練り込む従来の方法と比較して、フォトクロミッ
ク物質の使用量が約10分の1から20分の1で済み、
かなりのコストダウンが可能になる。また、練り込み法
では同じ色のレンズを大量に製造するために、1〜2色
のフォトクロミックレンズの製造が限度であったが、本
願発明はバッチ処理であるため、バッチ毎に色に合った
フォトクロミック物質を秤量することによって、いろい
ろな色のフォトクロミックプラスチックレンズの製造が
可能となる。
【0026】更に本願発明では、基材表面から深さ方向
に約0.1〜100μmの領域にフォトクロミック物質
が存在しており、従来の基材全体に分散している練り混
む方法とは、そのフォトクロミック物質の存在領域の違
いが明らかである。フォトクロミック物質が紫外線に反
応して着色することを考慮すると、着色に寄与するフォ
トクロミック物質は、紫外線入射側の基材表面近傍に存
在すればよいことになる。従って、従来の練り混み法で
は、着色に寄与しない無駄なフォトクロミック物質が基
材の内部全体に大量に含まれていることになる。本願発
明の構成では従来法と比べてフォトクロミック物質の使
用量が少ないにも関わらず、十分な着色をが得ることが
可能である。
【0027】更に本願発明では、溶媒を用いないために
従来の溶媒分散による方法のように、溶媒選択性の問題
や、溶媒の処理にともなう製造工程上の問題もない。更
に、フォトクロミック物質を基材に付着させると共にプ
ラスチック基材を加熱することがないので、真空ベルジ
ャー内周辺部への染料の付着や、工程の長時間化、濃度
の調整が容易でない等の問題はなく、再現性良く、安価
に、高い生産性で均一着色可能なフォトクロミックプラ
スチックレンズを得ることができる。
【0028】また、フォトクロミック物質の浸透性、調
光スピード等のフォトクロミック性能を考慮すると、フ
ォトクロミック物質がレンズ基材の表面から内部に容易
に入り込み、かつ自由に動ける体積を有する材料を用い
ることが望ましい。そのためにフォトクロミック物質が
浸透し易い樹脂膜を基材表面にコーティングし、これの
表面から深さ方向に約0.1〜100μmの領域にフォ
トクロミック物質を浸透させてもよい。
【0029】基材表面に形成するフォトクロミック物質
が浸透可能な樹脂膜としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性
樹脂、UV硬化性樹脂等が好ましい。具体的な材料を例
示すると、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ブチラー
ル樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアルコール、セルロ
ース樹脂、アルキド、アクリル、エポキシ樹脂、ウレタ
ン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等の樹脂が挙
げられる。これらの樹脂は、1種のみ、数種の混合、共
重合体として使用することも可能である。これらの樹脂
は、耐衝撃性、密着性を向上させるプライマー層として
機能する。樹脂膜の膜厚は、約0.5〜5μm程度とす
ることが好ましい。
【0030】また、樹脂膜をプラスチックレンズ基材表
面に形成する場合は、使用するフォトクロミック物質の
種類と基材材料との組み合わせ、膜厚を適宜選択するこ
とが好ましい。本願発明において使用されるプラスチッ
クレンズ基材は、従来知られているものをはじめ各種の
もの、例えばポリメチルメタクリレートおよびその共重
合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリカー
ボネート、セルロースアセテート、ポリ塩化ビニル、ポ
リエチレンテレフタレート、エポキシ樹脂、不飽和ポリ
エステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ジエチレングリコー
ルビスアリルカーボネートポリマー等からなるプラスチ
ックレンズ成形物が例示される。
【0031】また紫外線硬化型樹脂または紫外線硬化性
と熱硬化性の両者を兼ね備えた樹脂を用いることも可能
である。紫外線硬化型樹脂からなる硬化物は、硬化後の
分子間の空隙が熱硬化性樹脂からなる硬化物よりも大き
く、そのためフォトクロミック物質が浸透し易くより構
造変化もし易いためフォトクロミック性能がより優れた
ものになる。
【0032】本願発明に用いる紫外線硬化樹脂としては
以下に挙げる紫外線照射により重合する紫外線硬化樹脂
が使用される。但し、前記のごとく紫外線硬化と熱硬化
の併用でも構わない。この場合、紫外線により重合を開
始する重合開始剤と熱により重合を開始する重合開始剤
をモノマーに添加する。紫外線重合反応系としては、紫
外線照射によってラジカルを発生する光重合ラジカル開
始剤と、ラジカル重合するモノマーあるいはオリゴマー
やプレポリマーが必要であり、この他に増感剤,貯蔵安
定剤,重合禁止剤や目的に応じたポリマーや色材などを
配合してもよい。また、光カチオン重合系も適宜利用さ
れている。 光ラジカル開始材としては、特に限定され
るものではなく公知のものが使用でき、代表的なものを
以下に示すと、ビアセチル、アセトフェノン、ベンゾフ
ェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベン
ゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケター
ル、テトラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイソブ
チルニトリル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェノ
ン、メチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパ
ーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、クメンハイ
ドロパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパー
オキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシ
イソプロピルカーボネート、ベンゾイルパーオキサイ
ド、ジ(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、t−
ブチルパーオキシベンゾエート、3,3’,4,4’−
テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェ
ノンなどが挙げられる。
【0033】また光ラジカル種が効率よく硬化するため
に、ラジカル重合性のオリゴマーが用いられ、また粘度
を調整する目的で重合性モノマーが適宜添加される。光
重合オリゴマーの種類は究めて多彩であるが、不飽和ポ
リエステル/スチレン系、エポキシ/ルイス酸系、ポリ
エン/チオール系およびアクリル酸エステルなどがあ
る。また、不飽和ポリエステル以外には重合性の単位と
してはアクリル基が多用されている。アクリル系のオリ
ゴマーとしては、その基本構造によりポリエステルアク
リレート、ポリウレタンアクリレート、エポキシアクリ
レート、ポリエーテルアクリレート、オリゴアクリレー
ト、アルキッドアクリレート、ポリオールアクリレー
ト、に大別されているが、希釈モノマーも含めたこれら
素材の選択が可能である。この中で重要なものは、ポリ
エステル、エポキシ、ウレタン、ポリオール各アクリレ
ートである。主な光重合性モノマーを挙げると、単官
能:ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオー
ルモノアクリレート、ジシクロペンタジエンアクリレー
ト等が挙げられる。また、2官能:1,3ブタンジオー
ルジアクリレート、1,4ブタンジオールジアクリレー
ト、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレ
ングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコー
ルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレ
ート、ポリエチレングリコール400ジアクリレート、
ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール
ジアクリレートが挙げられる。更に3官能以上:トリメ
チロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリト
ールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ
アクリレートが挙げられる。 増感剤としては、アミ
ン、尿素、イオウ化合物、ニトリル、リン化合物、その
他の窒素化合物、塩素化合物が挙げられる。
【0034】貯蔵安定剤としては、第4級アンモニウム
クロライド、ジエチルヒドロキシアミン、環状アミド、
ニトリル化合物、置換尿素、ベンゾチアゾール、ハイド
ロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、乳酸、
シュウ酸、安息香酸などの有機酸が挙げられる。本願発
明では基材内部へのフォトクロミック物質の浸透量を制
御し、浸透深さを制御することが容易にできるために、
浸透深さを徐々に変化させることにより色の濃度を様々
に変化させることができる。本願発明では、レンズ基材
表面にフォトクロミック物質を付着させた後にフォトク
ロミック物質を例えば加熱し、フォトクロミック物質を
基材表面内部に浸透させるので、加熱量を制御すること
でレンズ基材内部への浸透量の制御を容易に行うことが
できる。例えば、真空蒸着法によりフォトクロミック物
質をレンズ基材の表面全面に均一に付着させた後のレン
ズ基材の加熱工程において、加熱によりフォトクロミッ
ク物質を基材の表面内部に浸透させる際、レンズ基材表
面に熱勾配、つまりレンズ基材表面の被加熱量の制御を
行うことにより、グラデーション状にフォトクロミック
物質を浸透させることが可能である。
【0035】また加熱時間を制御することでフォトクロ
ミック物質の浸透量を制御し、グラデーション状にフォ
トクロミック物質を浸透させることが可能である。つま
り、被加熱時間の多い領域ではフォトクロミック物質が
相対的に多く浸透し、少ない領域ではフォトクロミック
物質が相対的に少なく浸透することにより、グラデーシ
ョン状にフォトクロミック物質を浸透させることが可能
となる。
【0036】加熱源としては、赤外線、電磁波、熱風、
加熱水、加熱油などの熱媒体などが用いられるがこれに
限られるものではない。また、フォトクロミック物質の
付着量を制御することでもグラデーション状のフォトク
ロミックプラスチックレンズを製造することも可能であ
る。付着量の制御方法としては、真空蒸着装置のチャン
バー内の上部にレンズ基材を設置し、レンズ下部近傍、
または蒸発源近傍の上部に遮蔽板を設置し、モーター等
の駆動機構を使用して徐々に動かす。これにより、レン
ズ基材表面へのフォトクロミック物質の付着量が制御さ
れ、フォトクロミック物質がグラデーション状に付着す
ることになる。そして、このプラスチックレンズ基材を
加熱することによって、レンズ基材表面にフォトクロミ
ック物質が浸透するわけであるが、加熱するプラスチッ
クレンズ基材は、フォトクロミック物質の付着量に勾配
が生じたものであるので、フォトクロミック物質の付着
量に比例して基材表面内部への浸透量に勾配が生じるこ
とになる。このように本願発明によれば、容易に濃度勾
配を有するフォトクロミックプラスチックレンズが得ら
れる。
【0037】また耐擦傷性を向上させるために、ハード
コート層を形成することが有効である。ハードコート層
としては有機ケイ素化合物を主成分とする液状高分子
(ハードコート液)をフォトクロミックプラスチックレ
ンズの表面に塗布することが可能である。特に、下記一
般式で表わされる有機ケイ素化合物またはその加水分解
物が好ましい。
【0038】一般式: R1aR2bSi(OR34-(a+b) (但し、式中、R1 は、官能基又は不飽和2重結合を有
する炭素数4〜14の機基であり、R2 は、炭素数1〜
6の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基でり、R3
炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシアルキル基又は
アシル基あり、a及びbは、それぞれ0又は1であり、
かつa+bは、1又は2である。) 前記一般式の化合
物のうち、R1 が官能基としてエポキシ基を有するもの
ついて言うと、例えば、次のものが使用される。
【0039】これらはエポキシ基を有するのでエポキシ
シランとも呼ばれる。エポキシシランの具体例として
は、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリアセトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキ
シシランなどが挙げられる。
【0040】また、前記一般式の化合物のうち、R1
官能基としてエポキシ基を有すもの以外(a=0のもの
を含む)の例としては、例えば次のものが使用される。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキ
シエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、3−
アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、
フェニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシ
シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキ
シシランなどの各種トリアルコキシシラン、トリアシロ
キシシランあるいはトリアルコキシアルコキシシラン化
合物。
【0041】以上に挙げた前記一般式の例示化合物は、
いずれもSi原子に結合するOR3基が3個ある(a+
b=1)3官能の例であるが、OR3 基が2個ある(b
=2)2官能の相当する化合物ももちろん使用すること
ができる。2官能の相当する化合物の例としては、ジメ
チルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、
メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメト
キシシラン、ジメチルジエトキシシランなどがある。
【0042】前記一般式の化合物は、1種類で使用して
もよいが、目的に応じて2種類以上を混合して使用して
もよい。特に、2官能の化合物を使用するときには、3
官能の化合物と併用することが好ましい。併用した場合
には、平均で2>a+b>1となる。更に、a+b=0
の4官能の相当する化合物を併用することも可能であ
る。4官能の相当する化合物の例としては、メチルシリ
ケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、
n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、t−
ブチルシリケート、sec−ブチルシリケートなどが挙
げられる。
【0043】前記一般式の化合物は、そのまま使用して
もよいが、反応速度を増し、硬化温度を下げる目的で加
水分解物として使用することが望ましい。2〜4官能の
化合物の中で同一官能数の化合物を2種以上を併用する
場合、或いは異なる官能数の化合物を2種以上を併用す
る場合、加水分解後に併用してもよいし、加水分解前に
併用して共加水分解を行なってもよい。加水分解により
HOR3 なるアルコールが遊離され、前記一般式の化合
物は、相当するシラノールになる。シラノールは、速や
かに脱水縮合が進み、オリゴマーになる。従って、この
反応が十分に進むように、加水分解後、1〜24時間放
置(養生)させてもよい。
【0044】これら組成物を使用した場合、硬度の向
上、干渉縞の発生防止、帯電防止性能を更に付与するた
めにゾルを添加することも可能である。また、塗布時に
おける流れ性を向上し、硬化膜の平滑性を向上するため
に、例えば、水、低級アルコール、アセトン、エーテ
ル、ケトン、エステルなど各種の溶媒を使用することが
可能である。
【0045】ハードコート層には微粒子状無機酸化物を
混入することが可能である。無機酸化物を混入すること
により、屈折率の調整や硬度の調整を行うことが可能と
なる。ゾルとしては、例えば、酸化亜鉛、酸化ケイ素、
酸化アルミニウム、酸化チタニウム、酸化ジルコニウ
ム、酸化スズ、酸化ベリリウム、酸化アンチモン、酸化
タングステン、酸化セリウム、酸化スズ、酸化タングス
テンの微粒子が使用可能である。また、これらの微粒子
は、単独で使用するだけでなく、必要に応じて2種類以
上を混合または複合状態で使用することも可能である。
例えば、酸化スズ微粒子を核として、これを酸化タング
ステンと酸化スズの複合形態の微粒子で被覆した変性状
態のものも使用可能である。このような変性状態にした
ものは溶媒中で凝集せず、良好な分散状態を形成する。
特に、酸化チタニウム、酸化アンチモン、酸化タングス
テン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化スズを使
用した場合には、組成物の屈折率を高くすることができ
る。
【0046】微粒子の分散媒としては、水、アルコール
その他の有機溶媒が使用され、有機アミンその他の安定
剤を添加することが好ましい。微粒子の粒子径は、1〜
200mμ、特に5〜100mμのものが好ましい。こ
れより小さいと製造が困難であり、微粒子自身の安定性
も悪く、かつ効果も小さい。これより大きいと、コーテ
ィング組成物の安定性、塗膜の透明性、平滑性などが低
下する。このようなゾルは、一部市販品として入手可能
である。
【0047】その塗布方法は、刷毛塗り、浸漬、ロール
塗り、スプレー塗装、流し塗り等、通常の塗布法を用い
ることができる。この際、塗布条件は、主としてビヒク
ルの性質によって決定される。このようにフォトクロミ
ックプラスチックレンズ表面にハードコート層を形成す
ることにより、耐擦傷性、耐摩耗製を向上させることが
でき、基材に浸透したフォトクロミック物質の劣化を防
止することができ長期間フォトクロミック性能の低下し
ない高耐久性のフォトクロミックレンズを得ることがで
きる。そのため,様々な使用条件での使用が可能とな
る。
【0048】このような湿式法による形成方法の他、乾
式法であるCVD法によりハードコート層を形成するこ
とも可能である。CVD法によりハードコート層を形成
する場合、基材表面に変性層を形成した後にハードコー
ト層を形成することが好ましいが、ハードコート層のみ
を形成することも可能である。この本願発明における変
性層とは、基材の表面上に形成され、基材側から膜厚方
向に徐々に屈折率が変化している層である。そして変性
層内の物質の組成比は徐々に変化している。更に変性層
を設けることにより、耐衝撃性が向上する事も確認して
いる。これは、従来のハードコート層の膜厚が3μm以
上であったためにハードコート層の内部応力が高くなっ
ていたが、基材とハードコート層との間に変性層を設け
ることにより、ハードコート層に残留する内部応力を低
くすることが可能となっためであると思われる。従っ
て、内部応力を低くすることができるために、耐温水
性、耐熱性によって引き起こされるクラックなどが回避
できる効果もある。
【0049】変性層及びハードコート層の製造に用いら
れるSiを含む有機化合物としては、テトラエトキシシ
ラン、ジメトキシシラン、メチルメトキシシラン、テト
ラメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエト
キシジメチルシラン、メチルトリエトキシシラン等が好
適に用いられる。またTiを含む有機化合物としては、
テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ
イソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタ
ン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソブトキシ
チタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−t
−ブトキシチタン、テトラジエチルアミノチタン等が好
適に用いられる。
【0050】これらのSiおよびTiを有機化合物は、
その一種類を単独で用いても、2種類以上を併用しても
よい。ハードコート層の膜厚は0.4μmよりも厚く、
5μmよりも薄いことが好ましい。また変性層の膜厚は
100nmよりも厚く、900nmよりも薄いことが好
ましい。
【0051】このようにCVDによるハードコート層を
形成することにより、乾式法のみで高耐久性を有するフ
ォトクロミックレンズが容易に製造することが可能とな
る。またフォトクロミックプラスチックレンズ表面にプ
ライマー層を形成することも可能である。プライマー層
を形成することにより、その上に形成するハードコート
層と基材との密着性を向上させることが可能であり、ま
た耐衝撃性を向上させることも可能である。これにより
衝撃に対する耐久性が優れ、より高耐久性を有し、様々
な使用環境に耐え得るフォトクロミックプラスチックレ
ンズが製造できる。
【0052】プライマー層に用いられる材料としては、
ウレタン系材料からなるものが好ましく使用できる。ウ
レタン系材料からなるプライマー層の組成物は、活性水
素含有化合物とポリイソシアネートとからなる。更に、
ウレタン系材料の他、ポリビニルアセタールまたは/及
び架橋されたポリビニルアセタールからなる材料からプ
ライマー層を形成することも可能である。ポリビニルア
セタール系プライマー層は、主成分であるポリビニルア
セタールと、加水分解性オルガノシラン化合物又はその
加水分解縮合物、アルミニウム又はチタニウムのアルコ
キシド化合物あるいはアルミニウム又はチタニウムのア
ルコキシドジケトネート化合物及び硬化触媒を溶解した
プライマー組成物をプラスチックレンズ表面に塗布し、
加熱処理することにより形成可能である。
【0053】プライマー組成物中のオルガノシラン化合
物の添加量としては0.01〜10重量%、好ましくは
0.1〜5重量%である。本発明におけるプライマー組
成物のプラスチック光学部品上への塗布方法は、スピン
コート法、ディッピング法など公知の方法であれば特に
制限はない。また、プラスチック光学部品の表面は必要
に応じてアルカリ処理、プラズマ処理、紫外線処理など
の前処理を行っておくことが好ましい。
【0054】プライマー層の硬化後の膜厚は、0.1〜
5μmであり好ましくは0.2〜3μmである。プライ
マー層の膜厚が0.1μmより薄いと耐衝撃性の改善が
十分でなく、また5μmより厚いと耐衝撃性の点では問
題がないが、耐熱性と面精度が低下する。また、プライ
マー溶液には、前記したようなハードコート層に混入さ
せたような微粒子状無機酸化物を混入させることが可能
である。微粒子の混入により、屈折率の調整、硬度の向
上などの効果を付与することができる。これら微粒子と
しては、市販されている水又は有機溶媒に分散した微粒
子をそのまま用いることができる。
【0055】微粒子状無機酸化物又はこれらの微粒子の
複合体の平均粒子径は1〜300nmであり、好ましく
は1〜50nmである。平均粒子径が300nmを越え
ると光の散乱によるレンズの曇りが生ずる。プライマー
組成物中の微粒子の添加量は固形分濃度として0.1〜
30重量%であるが、硬化したプライマー層の屈折率が
プラスチックレンズの屈折率に一致するか、もしくは極
めて近くなるように無機酸化物微粒子の種類、添加量が
調整される。
【0056】屈折率が1.60以上の高屈折率プラスチ
ックレンズ基材の場合には、ポリビニルアセタール1重
量部に対して、高屈折率である酸化チタニウム、酸化ジ
ルコニウム、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化
セリウム、酸化タングステン等の微粒子又はその複合
体、または混合状態のものを1〜5重量部添加するのが
好ましい。これらの無機微粒子は、ウレタン系材料から
なるプライマー層に添加することも可能である。
【0057】プライマー層の膜厚は、0.01〜30μ
mであるのが好ましい。特に好ましくは、1〜20μm
である。プライマー層となる樹脂の塗布方法としては、
スピンナー法,ディップ法,スプレー法等の公知の方法
の中から適宜選択され、CVD法や真空蒸着法などの乾
式法で形成することも可能である。
【0058】プライマー層は、前記したグラデーション
を有するフォトクロミックレンズまたは多色のフォトク
ロミックプラスチックレンズ上に形成することも可能で
あり、ファッション性に優れ、様々な環境下で使用でき
る高耐久性のフォトクロミックプラスチックレンズを製
造することができる。また、前記したようなプラスチッ
クレンズ基材上に形成した樹脂膜上にプライマー層を形
成することも可能である。
【0059】またプライマー層上には、前記したような
有機けい素化合物からなり従来の湿式法により形成され
るハードコート層やCVD法により形成するハードコー
ト層を形成することもできる。これにより、ファッショ
ン性に優れ、より耐擦傷性、耐衝撃性等の耐久性に優れ
たフォトクロミックプラスチックレンズを製造すること
ができる。
【0060】更に反射防止膜を形成してもよい。反射防
止膜としては通常知られているような無機酸化物からな
る単層または多層のものが好ましい。反射防止膜を形成
することにより、基材上での反射が軽減され、フォトク
ロミック性能をより鮮やかにすることができる。更に最
上層に撥水膜を形成してもよい。撥水材料としては、フ
ッ素基含有のオルガノシラン化合物を主成分とするもの
が好ましく使用できる。また、官能基材としてアルコキ
シ基及び/またはアミノ基を有し、1〜3官能のものが
使用できる。形成方法としては、浸漬法、蒸着法、スパ
ッタリング法等を使用できる。
【0061】このように撥水膜を形成することにより水
やけや汚れを防止することができ、フォトクロミック性
能の鮮やかさを維持することが可能となる。
【0062】
【実施例1】基材として紫外線硬化型アクリル樹脂を用
い、その凸表面に真空蒸着法にてクロメン系およびスピ
ロオキサジン系のフォトクロミック物質を付着させた。
これらの物質をブラウンに発色するように予め求められ
た配合比に従って充分に混ぜ合わせ、これを約0.3g
を秤量し蒸発源に入れた。レンズ基材は蒸発源から30
cm上部にセットした。また、水晶発振式成膜コントロ
ーラー(日本真空技術・製:CRTM−5000)及び
蒸着センサー(日本真空技術・製:CRTS−4)によ
り、膜厚を1μmに制御した。詳述すると、基材は蒸着
装置の上部のドームに設置されるが、ドーム中央部には
水晶センサーが設置されており、これに昇華されたフォ
トクロミック物質が付着し、膜厚が測定される。そして
フォトクロミック物質の昇華する割合及び膜厚の総計を
水晶発振式成膜コントローラーで制御し、設定膜厚にな
ったらフォトクロミック物質の基板表面への飛散をシャ
ッターにより止める。
【0063】ポンプを用い真空度を5×10-5Torr
に設定し、蒸発源を加熱してフォトクロミック物質を飛
散させ、レンズ基材の表面にフォトクロミック物質を付
着させる。フォトクロミック物質が付着したレンズ基材
は、無色透明で僅かに干渉色が見られた。このような状
態でフォトクロミック物質が付着したレンズ基材の表面
の全体を熱風オーブン中、120℃で1時間加熱を行っ
た。このレンズを、洗浄機で洗い余分なフォトクロミッ
ク物質を取り除いた。
【0064】このレンズ表面を分析したところ、フォト
クロミック物質は基材表面から約5μm浸透しているこ
とが分かった。更に耐擦傷性および反射防止のため、有
機シリコン系ハードコートをディッピングによりコーテ
ィングを施し、110℃4時間加熱を行い硬化させた。
その上に、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン
からなる無機多層薄膜を真空蒸着によって成形した。こ
のようにして作られたフォトクロミックレンズは、初期
着色がなく太陽光のもとで濃いブラウンに着色した。
【0065】
【実施例2】基材として実施例1と同様の材料で形成さ
れたプラスチックレンズ基材を使用した。次に実施例1
と同様のフォトクロミック物質を約0.1g真空蒸着法
により基材表面に付着させた。このレンズ基材を、遠赤
外線で約10分加熱を行い、基材の表面に付着したフォ
トクロミック物質を基材内部に浸透、拡散させた。この
レンズを、洗浄機で洗い余分なフォトクロミック物質を
取り除いた。
【0066】このレンズ表面を分析したところ、フォト
クロミック物質は基材表面から約1μm浸透しているこ
とが分かった。膜厚の制御は実施例1と同様に行った。
更に耐擦傷性および反射防止のため、有機シリコン系ハ
ードコートをディッピングによりコーティングを施し、
110℃4時間加熱を行い硬化させた。その上に、二酸
化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタンからなる無機多
層薄膜を真空蒸着によって成形した。このようにして作
られたフォトクロミックレンズは、初期着色がなく太陽
光のもとで淡いブラウンに着色した。
【0067】
【発明の効果】本発明のレンズにおいてフォトクロミッ
ク物質は、フォトクロミック性能に寄与する基材表面内
部の近傍にのみ浸透させているので、少ないフォトクロ
ミック物質で十分なフォトクロミック性能を得ることが
できる。そして、少ない量のフォトクロミック物質でフ
ォトクロミックプラスチックレンズを得ることができる
ので、低コストでフォトクロミックプラスチックレンズ
を得ることができる。
【0068】また、基材上にフォトクロミック物質を含
むコーティング液を塗布することも無いので、容易にフ
ォトクロミックプラスチックレンズを製造することがで
きる。 更に、多色、特に3色以上のものやグラデーシ
ョン状のフォトクロミックプラスチックレンズを容易に
得ることができる。また本発明の製造方法は乾式法であ
るので、従来の湿式法のように廃液処理の問題が全く無
い。フォトクロミック物質は有機化合物であり、その廃
棄を管理する費用、手間がかかっていたが、本発明によ
れば廃液は全く出ないので、廃液処理に係わる費用、手
間を軽減することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラスチックレンズ基材の表面にフォトク
    ロミック物質を付着させる工程と、前記フォトクロミッ
    ク物質を前記プラスチックレンズ基材表面から深さ方向
    に向かって約0.1〜100μmの範囲の領域に浸透さ
    せる工程を有することを特徴とするフォトクロミックプ
    ラスチックレンズの製造方法。
  2. 【請求項2】前記フォトクロミック物質を付着させる工
    程として真空蒸着法を用いることを特徴とする請求項1
    記載の製造方法。
  3. 【請求項3】プラスチックレンズ基材の表面から深さ方
    向に向かって約0.1〜100μmの範囲の領域に前記
    フォトクロミック物質の浸透領域が存在することを特徴
    とするフォトクロミックプラスチックレンズ。
JP9336756A 1997-12-08 1997-12-08 フォトクロミックプラスチックレンズ及びその製造方法 Pending JPH11170387A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9336756A JPH11170387A (ja) 1997-12-08 1997-12-08 フォトクロミックプラスチックレンズ及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9336756A JPH11170387A (ja) 1997-12-08 1997-12-08 フォトクロミックプラスチックレンズ及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11170387A true JPH11170387A (ja) 1999-06-29

Family

ID=18302432

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9336756A Pending JPH11170387A (ja) 1997-12-08 1997-12-08 フォトクロミックプラスチックレンズ及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11170387A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002093236A1 (fr) * 2001-05-14 2002-11-21 Hoya Corporation Lentilles photochromiques plastiques pour lunettes et procede de production desdites lentilles
US7473754B1 (en) 2000-10-17 2009-01-06 Ppg Industries Ohio, Inc. Optical resin composition
JP4750694B2 (ja) * 2004-03-15 2011-08-17 株式会社トクヤマ プラスチックレンズ
KR20150120990A (ko) * 2013-02-19 2015-10-28 가부시키가이샤 니데크 염색 장치
JP2020165024A (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 株式会社ニデック フォトクロミック樹脂体の製造方法及び機能付加用基体の製造方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7473754B1 (en) 2000-10-17 2009-01-06 Ppg Industries Ohio, Inc. Optical resin composition
WO2002093236A1 (fr) * 2001-05-14 2002-11-21 Hoya Corporation Lentilles photochromiques plastiques pour lunettes et procede de production desdites lentilles
US6913357B2 (en) 2001-05-14 2005-07-05 Hoya Corporation Plastic photochromic lenses for glasses and process for their production
AU2002309071B2 (en) * 2001-05-14 2007-03-29 Hoya Corporation Plastic photochromic lenses for glasses and process for their production
JP4750694B2 (ja) * 2004-03-15 2011-08-17 株式会社トクヤマ プラスチックレンズ
US9017758B2 (en) 2004-03-15 2015-04-28 Tokuyama Corporation Coating agent composition
KR20150120990A (ko) * 2013-02-19 2015-10-28 가부시키가이샤 니데크 염색 장치
JP2020165024A (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 株式会社ニデック フォトクロミック樹脂体の製造方法及び機能付加用基体の製造方法
US11623419B2 (en) 2019-03-29 2023-04-11 Nidek Co., Ltd. Method of producing photochromic resin body and method of producing function-adding base body

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5914193A (en) Photochromic plastic lens and its method of manufacture
US6027816A (en) Colored plastic lens and method of manufacture therefor
US5744243A (en) Coating composition and articles prepared therewith
JP5566306B2 (ja) コーティング組成物、該組成物の製造方法、およびハードコート層を有する積層体
US20070196667A1 (en) Anti-Reflection Film And Manufacturing Process Thereof
JP4750694B2 (ja) プラスチックレンズ
JP4745324B2 (ja) プラスチックレンズ
JPWO2010122912A1 (ja) コーティング組成物
JPH1010301A (ja) フォトクロミックプラスチックレンズ及びその製造方法
EP0119331A1 (en) Transparent material having antireflective coating
JPH09227830A (ja) コーティング組成物及び該組成物の硬化被膜を有する合成樹脂製レンズ
JPH0335236A (ja) フォトクロミック性を有する物品
JPS5846301A (ja) 反射防止膜を有する透明材料
JPH11170387A (ja) フォトクロミックプラスチックレンズ及びその製造方法
JPH1148356A (ja) 染色プラスチックレンズ及びその製造方法
JPH03145602A (ja) 積層体およびその製造方法
JPH11160501A (ja) フォトクロミックプラスチックレンズ及びその製造方法
JPS5949502A (ja) 染色可能な反射防止性レンズおよびその製造方法
WO1995025968A1 (fr) Lentille en matiere plastique et composition pour couche de base
JPH11142612A (ja) フォトクロミックレンズ及びその製造方法
JP2001294693A (ja) ポリカーボネート樹脂成形体
JPH08311401A (ja) コーティング用組成物およびその製造方法および積層体
WO2000067051A1 (fr) Lentille en plastic et son procede de traitement
JP2003292896A (ja) コーティング用組成物および積層体
JPS6191601A (ja) 反射防止性透明材料の製造方法