JPH084257Y2

JPH084257Y2 - 回転穿孔工具

Info

Publication number: JPH084257Y2
Application number: JP1990005567U
Authority: JP
Inventors: 洋右吉野
Original assignee: 有限会社吉野精機
Priority date: 1990-01-24
Filing date: 1990-01-24
Publication date: 1996-02-07
Anticipated expiration: 2005-01-24
Also published as: JPH0398016U

Description

【考案の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕この考案は、石材、コンクリート、磁器タイル、ガラ
ス、セラミック等の硬質非金属材への穴開けに用いられ
る回転穿孔工具に関する。

〔従来の技術〕

この種の回転穿孔工具では、工具本体に回転ドリルが
備えられており、回転ドリルの先端には例えばダイヤモ
ンド粒を焼結して成る切削刃が取付けられている。ま
た、穿孔時の摩擦熱による切削刃の早期損耗を抑制する
ために、回転ドリルには軸方向に貫通孔が形成されてお
り、外部から工具本体内部へ導入した流体を回転ドリル
を介して切削刃から噴出させるようになっている。

冷却流体としては水、空気が用いられているが、水冷
のものでは汚泥水によって作業域が汚損される欠点があ
り、一方、空冷式のものでは粉塵飛散によって作業環境
の悪化を来すとともに冷却能力が低いという問題があっ
た。

このため、本出願人は特開平1-222904号および実開平
1-153911号にて、水を霧化したいわゆるミスト（mist）
を冷却手段とする穿孔方法および回転穿孔工具を提案し
た。これは、工具本体の外部にミスト生成手段が設けら
れ、ミスト生成手段で生成されたミストを工具本体内部
に導入して回転ドリルに供給する概略構造となってい
る。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、上述のミスト冷却によるものでは、作業域
の汚損を回避できるとともに、大きい冷却効果によって
切削刃の早期損耗を回避でき、よって穿孔作業の能率向
上を図れることが実証されている。

しかしながら、さらなる考察の結果、ミスト生成手段
並びにミスト導入部が工具本体の外部に設けられている
ため、嵩張り、作業現場における他の構造物ないし物品
との接触によって破損し易く、このため穿孔作業を中断
しなければならない事態を招く危険性があるとの知見を
得た。

また、破損を避けるために余分な注意を払わなければ
ならないなど、作業能率を低下させるものであるとの知
見を得た。これらはミスト冷却による上記実用的価値を
減殺するものである。

そこでこの考案は、コンパクトで他物品との接触によ
る破損を来しにくく、よってミスト冷却による利点を存
分に発揮し得る回転穿孔工具の提供をその目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

この考案は、上記目的を達成すべく創案されたもの
で、その特徴は、工具本体の先端側に設けられ軸方向の
貫通孔を有するとともに先端に切削刃を有する回転ドリ
ルと、工具本体内部に設けられミストを生成するミスト
生成手段と、工具本体内部に設けられ上記ミスト生成手
段と回転ドリルとを連通させるミスト供給路とが備えら
れ、前記ミスト生成手段はねじ込み量によって水量を調
整する調整ツマミが工具本体の後端側の把手部に表出さ
れている構成にある。

好ましい態様としては、請求項１記載のものにおい
て、ミスト供給路には回転ドリルの駆動スイッチ操作に
連動してミスト供給路を開閉する開閉部材が設けられて
いる構成にある。

〔作用〕

この考案によれば、工具本体内部のミスト生成手段で
生成されたミストは、工具本体内部に設けられたミスト
供給路を経て回転ドリルに供給され、切削刃から噴出さ
せられる。これによって切削刃が冷却される。ミスト生
成手段が工具本体の把手部の調整ツマミによって外部か
らねじ込み操作されることによってそのミスト生成量が
調整される。ミスト生成手段とミスト供給路とが工具本
体内部に設けられているので、これらに対する他物品の
接触が回避される。

請求項２の工具によれば、駆動スイッチに連動してミ
スト供給路が開閉される。

〔実施例〕

第１図乃至第４図はこの考案の一実施例を示す。

工具本体２の先端側には回転ドリル４が取付けられて
おり、工具本体２の後端側には把手部６が形成されてい
る。把手部６の上方側には、回転ドリル４を駆動操作す
るための駆動スイッチ８が設けられており、把手部４の
下方側内部には、工具本体２の外部から操作可能にミス
ト生成手段10が設けられている。また、工具本体２の内
部には、ミスト生成手段10から回転ドリル４側へ延びる
ミスト供給路12が設けられており、ミスト供給路12の駆
動スイッチ８に対応する位置には、駆動スイッチ８の操
作に連動してミスト供給路12を開閉する開閉部材14が設
けられている。

回転ドリル４には軸方向の貫通孔4aが形成されている
とともに、その先端には切削刃16が取付けられている。
切削刃16は、例えばダイヤモンド粒を焼結して形成さ
れ、その側部には貫通孔4aに連通して噴出口16aが形成
されている。ミスト生成手段10で生成されたミストＭ
は、ミスト供給路12を介して回転ドリル４側へ導かれ、
貫通孔4aを経て切削刃16から噴出させられるようになっ
ている。これによって切削刃16の冷却がなされ、早期損
耗が抑制される。第１図において、符号17は電動モータ
（図示しない）の電源コードを示す。

ミスト生成手段10は、第２図に示すように、接続部材
18と、水量を調整する調整部材20とから概略構成されて
いる。接続部材18には、ミスト供給路12を接続する接続
口18aと、空気圧搾源（図示しない）からの空気供給用
パイプ22を接続する接続口18bと、水源（図示しない）
からの水供給用パイプ24を接続する接続口18cとが形成
されている。また、接続部材18には、接続口18aと接続
口18bとを連通させる案内路18dが形成されているととも
に、水溜め部18eが形成されている。案内路18dと水溜め
部18eとは径小の連絡孔18fで連通されている。また、接
続部材18には調整部材20を取付けるためのねじ孔18gが
形成されている。調整部材20は、接続部材18のねじ孔18
gに螺合される雄ねじ部20aと、連絡孔18fに臨むニード
ル部20bと、工具本体２の外部に突出する調整ツマミ20c
とから成っている。調整ツマミ20cを操作することによ
りミストＭの生成量が調整される。空気供給用パイプ22
から圧搾空気が案内路18dに流入し、ミスト供給路12へ
流れることによって案内路18dが負圧状態となり、ニー
ドル部20bで流量を規制された水が霧化される。

このように、ミスト生成手段10とミスト供給路12とを
工具本体２の内部に設ける構成とすることによって、工
具本体２のコンパクト化を図れるとともに作業現場等で
の他物品との接触による損壊事故等を回避でき、また、
工具の長寿命化を図れる。さらにまた、接触による損壊
等になんら注意を払うことなく作業を行うことができる
ので、作業能率の向上を図れる。併せて、ミスト冷却の
利点を減殺することなく維持できる。

開閉部材14は、第３図に示すように、ミスト供給路12
を連結する連結部材26と、連結部材26内を駆動スイッチ
８の動作に連動して摺動しミスト供給路12を開閉する開
閉ロッド28とから概略構成されている。詳細すると、連
結部材26には上下端部にそれぞれミスト供給路12を接続
する接続口26a,26aが形成され、これらに連通して内部
には連通路26bが形成されている。開閉ロッド28は、例
えば駆動スイッチ８に一体に取付けられるロッド本体28
aと、連通路26b内に位置する頭部28bとから構成でき
る。また、連結部材26には、開閉ロッド28の摺動を案内
する内方ガイド30と外方ガイド32とが設けられている。
内方ガイド30には、開閉ロッド28の挿通孔30aが形成さ
れているとともに、連通路26bに連通する接続路30bが形
成されている。また、内方ガイド30の一側には、開閉ロ
ッド28の頭部28bの下面に当接して連通路26bと接続路30
bとの連通を閉塞する閉塞端縁30cが形成されている。図
中、符号34はシール部材を示す。外方ガイド32には、開
閉ロッド28の挿通孔32aが形成されているとともに、雄
ねじ部32bが形成されている。これに対応して連結部材2
6には、外方ガイド32の装着ねじ孔26cが形成されてい
る。また、外方ガイド32には、連結部材26へねじ込み量
を規制する鍔部32cが形成されているとともに、駆動ス
イッチ８側に開口してバネ収容凹部32dが形成されてい
る。駆動スイッチ８には、外方ガイド32に対する嵌合凹
部8aが形成されており、嵌合凹部8aと外方ガイド32のバ
ネ収容凹部32dとの間には、駆動スイッチ８の戻り動作
を付勢するバネ部材36が設けられている。また、内方ガ
イド30と外方ガイド32との接触面には、ミストＭの漏洩
を防止するためにＯリング38が設けられている。なお、
符号39は外方ガイド32と連結部材26との間の気密を図る
シール部材である。

第３図は回転ドリル４が停止され、ミスト供給路12が
閉塞された状態を示している。この状態から回転ドリル
４を駆動すべく駆動スイッチ８が矢印Ｓ方向に押圧され
ると、内方ガイド30の閉塞端縁30cと、開閉ロッド28の
頭部28bとの間が二点鎖線で示すように開かれる。これ
によって連通路26bと接続路30bとが連通され、ミスト供
給路12が連通されてミストＭが回転ドリル４へ供給され
る。

次に、第４図に基づいて回転ドリル４の駆動機構とミ
ストＭの供給構造を一例として示す。

工具本体２の先端側内方には、中空部材40がベアリン
グ42,44を介して回転可能に設けられている。中空部材4
0は、ベアリング46,46を介して回転可能に設けられ電動
モータに接続される駆動軸48で歯車50,52を介して駆動
されるようになっている。中空部材40の後端には回転接
続体54が固定されており、これに対応して工具本体２に
は、内部にミスト通路56aが形成された固定接続体56が
設けられている。回転接続体54と固定接続体56との間に
はスラストベアリング58が設けられており、また、相互
の中心部間には径の異なるＯリング60,62が設けられて
２段階のシーリングが形成されている。ミスト生成装置
10側からのミスト供給路12は、連結管64で固定接続体56
のミスト通路56aに連通されている。

中空部材40の先端部には、装着凹部40aが形成されて
おり、回転ドリル４のテーパシャンク部4bを装着できる
とともに、奥行き端部をねじ止めして固定できるように
なっている。また、遠心力や通路面積の大きさによるミ
ストＭへの悪影響を低減するために、中空部材40内には
先端部が細口のテーパ状に形成された細管66がその後端
部を固定接続体56に圧入されて設けられており、回転ド
リル４内にはスペーサ68を介して同形状の細管70が設け
られている。細管66,70によって、ミストＭの消失が抑
制される。なお、符号72はコンクリート等の被穿孔材を
示す。

〔考案の効果〕

この考案によれば、ミスト生成手段と、回転ドリルへ
のミスト供給路とを作業現場等における他物品と接触し
ない状態に維持できるので、工具のコンパクト化をはか
ることができるとともに、接触による損壊事故を回避す
ることができるうえ、把手部の調整ツマミをねじ込み調
整するだけでミスト供給量を容易に調整することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る回転穿孔工具の一実施例を示す
一部切欠の側面図、第２図はミスト生成手段の拡大断面
図、第３図はミスト開閉部の要部拡大断面図、第４図は
回転ドリルの駆動機構周辺の断面図である。２……工具本体、４……回転ドリル 4a……貫通孔、10……ミスト生成手段 12……ミスト供給路、16……切削刃Ｍ……ミスト

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】工具本体の先端側に設けられ軸方向の貫通
孔を有するとともに先端に切削刃を有する回転ドリル
と、工具本体内部に設けられミストを生成するミスト生
成手段と、工具本体内部に設けられ上記ミスト生成手段
と回転ドリルとを連通させるミスト供給路とが備えら
れ、前記ミスト生成手段はねじ込み量によって水量を調
整する調整ツマミが工具本体の後端側の把手部に表出さ
れている回転穿孔工具。
【請求項２】請求項１記載のものにおいて、ミスト供給
路には回転ドリルの駆動スイッチ操作に連動してミスト
供給路を開閉する開閉部材が設けられている回転穿孔工
具。