JP4486864B2 - 孔あけ工具 - Google Patents
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例えば、特開平09−168908号公報に記載されているボール盤の油供給装置は、刃の刃先に油を供給するためのポンプを有し、ポンプによって油を一定流量で刃先に供給した後、油を回収し、回収した油をポンプによって刃先に再供給する。このボール盤の油供給装置では、油の供給量を孔あけ加工段階によって調整せず、常に十分な量の油を刃先に供給し、余分な油は回収する構成となっている。
また、例えば、従来の磁気固定式孔あけ工具の油供給装置においては、孔あけ工具の上部に設けられた油用のタンクと、油をタンクから孔あけ工具の下部に取付けられた刃まで供給するための管路と、管路の途中に設けられた手動コックとを有している。この油供給装置では、手動コックを開いて、タンク内の油をその自重によって管路の中を下方に導き、刃に油を供給する。また、このような磁気固定式孔あけ工具の油供給装置では、作業者が手動コックの開度を手で調整することにより、刃に供給される油の量を調整する。
また、上記の従来の磁気固定式孔あけ工具の油供給装置においては、油の供給量を作業者の調整に頼るので、油の供給量が少ない場合には、刃の磨耗を確実に防止することができず、また、必要以上の油を供給すると、タンク内の油がより早く消費されてしまい、補給に手間がかかる。
このように構成された孔あけ工具では、孔あけ箇所に孔あけ工具を持っていき、傾倒状態であっても固定装置によって孔あけ工具を被加工物に固定し、孔あけ作業を行うことができる。本発明の実施形態によれば、孔あけ工具が傾倒状態であっても、孔あけ作業段階に合わせて適量の油を刃先に供給することができる。
また、このような孔あけ工具は、被加工物の組立現場等の作業現場で頻繁に使用される。このような場合、例えば、作業現場で油を余分に使用すると、油が作業現場に広がり、作業環境を悪化させる。また、刃先に油が不足すると、刃先の磨耗の進行を早めたり、現場での孔あけ作業時間を長引かせたりする。更に、孔あけ箇所によっては、油さし等で油を刃先に供給しにくいこともある。従って、着脱自在な固定装置を有する孔あけ工具において、孔あけ作業段階に合わせて適量の油を刃先に供給できることは特に有用である。
このように構成された孔あけ工具では、第2の電圧を調整することにより、孔あけ加工中の油の供給流量を調整することができる。従って、孔あけすべき径の大きさや被加工物の材料等に適した量の油を刃先に供給することができる。
このように構成された孔あけ工具では、孔あけ加工中、第2の電圧で作動される電動ポンプからの油の供給流量が足りないとき、手動により、電動ポンプが作動される電圧を第2の電圧から第1の電圧に切替え、油の供給流量を一時的に増大させることができる。例えば、刃駆動装置による刃の回転を止めずに、連続して複数の孔あけを行うときに有利である。詳細には、第1の孔あけとその次の第2の孔あけとの間に手動により第2の電圧を第1の電圧に切替えることにより、油の供給量を増大させ、第2の孔あけにおいて刃が被加工物に食い込み始めるときの摩擦を軽減することができる。
このように構成された孔あけ工具では、刃駆動装置と固定装置とにより構成される空きスペースを利用してタンクが配置されている。その結果、孔あけ工具全体をコンパクトにすることができる。
摺動装置13は、孔あけ工具1を固定装置4によって被加工物Sに固定した後に刃2の位置を孔あけ位置に合わせるために、刃駆動装置6を固定装置4の下面14aとほぼ平行に固定装置4に対して摺動させる摺動機構(図示せず)と、刃駆動装置6を固定装置4に対して固定するためのロック機構17(図1参照)とを有している。摺動機構及びロック機構17は、本発明と直接関係がないので、その説明を省略する。
図3に示すように、刃駆動装置6は、固定装置4の上に取付けられたケーシング18と、ケーシング18内に配置された、刃2を回転させるための電動モータ20と、電動モータ20の回転を刃に伝えるための回転伝動機構22と、刃2を回転させながら被加工物Sに向かって下方に移動させるための上下移動機構24とを有している。
電動モータ20は、孔あけ工具1の高さ寸法を小さくするために、回転軸線28が下面14aとほぼ平行になるように、即ち、水平方向にケーシング18内に配置されている。電動モータ20は、回転軸線28周りに回転する出力軸30を有し、後述するように、制御部12に接続されている。
外側回転軸38は、上下方向に延び且つ内側回転軸40を摺動自在に受入れるための貫通孔42を有している。例えば、内側回転軸40はスプラインを有し、貫通孔42はこのスプラインに嵌合する孔である。内側回転軸40は、外側回転軸38の貫通孔42に沿って摺動自在な上部分40bを有し、上部分40bから下方に延びる下部分40aの外径は、上部分40bの外径よりも大きくなっている。
上下移動機構24は、内側回転軸40の下部分40aにベアリング44を介して取付けられたブラケット46と、ブラケット46から上方向に延び且つ内側回転軸40と一緒にケーシング18に対して上下方向に摺動自在なラック(図示せず)と、このラックと噛合い且つラックを上下方向に摺動させるために軸48を中心に回転可能なピニオン(図示せず)と、ピニオンに連結された上下レバー50(図1及び2参照)とを有している。上下移動機構24の構成要素は、本発明と直接関係がないので、その説明を省略する。
貫通孔52の中間部52d内には、後述する刃2のセンターピン62を下方に付勢するために中間部52d内を摺動自在な押し部材54と、押し部材54を下方に付勢するばね56とが挿入されている。ばね56は、第2の段部52eと押し部材54とに当接した圧縮ばねである。貫通孔52の下部52bには、円筒形の押し部材ストッパ58が第1の段部52cに隣接して支持されている。押し部材ストッパ58は、押し部材54が貫通孔52の中間部52dを越えて下方に移動することを阻止するように押し部材54に当接する座60を有している。押し部材54と座60とは、それらの間に密封性を有するような寸法及び材料で形成されるのが良い。押し部材ストッパ58の内径は、押し部材54の外径、即ち、貫通孔52の中間部52dの内径よりも小さくなっている。
センターピン62は、ピン用貫通孔2eに嵌合し且つ刃2よりも長い上下方向長さを有する本体部62aと、本体部62aから上方に延び且つ押し部材ストッパ58に嵌合する上端部62bとを有している。
図1に示すように、油供給装置10は、電動ポンプ8と、油を収容するためのタンク70と、タンク70から電動ポンプ8の吸込み口8aまで延びる吸込み側管路72と、電動ポンプの吐出口8bからケーシング18の上部に且つ上下方向軸線34と整列して設けられた継手74まで延びる吐出側管路76とを有している。
電動ポンプ8は、後述するように、制御部12に接続されており、本実施形態では、電磁ポンプ8である。電動ポンプとして電磁ポンプ8を採用することにより、電動ポンプが占めるスペースを小さくすることが可能になり、孔あけ工具1をコンパクトにし且つ軽量にすることができる。
タンク70は、電動モータ20に対して刃2と反対側において、刃駆動装置6と固定装置4との間の空きスペース64に配置されている。また、タンク70は、油補給口70aと、油補給口を密封するための蓋70bとを有している。
吸込み側管路72及び吐出側管路76は、中を流れる油が見えるように透明であることが好ましい。
図1及び図2に示すように、制御部12は、電磁石16の作動をON/OFFするための電磁石用スイッチ90と、モータ20の作動をON/OFFするためのモータ用スイッチ92と、手動により電磁ポンプ8を作動させるための押しボタンスイッチ94と、刃2が回転しているときの電磁ポンプ8にかかる電圧を調整して油の吐出量を調整するための調整つまみ96とを有している。押しボタンスイッチ94は、ノーマルオープン接点とノーマルクローズ接点を同時に作動させるように構成されている。
図6に示すように、概略的には、電気回路100の100Vの交流電源102に、電磁石16を作動させるための整流回路104、電動モータ20、及び電磁ポンプ8が並列に接続されている。詳細には、交流電源102、電磁石用スイッチ90及び整流回路104が直列に接続されている。また、直列に接続されたモータ用スイッチ92及び電動モータ20が、電磁石用スイッチ90と整流回路104との間のノード106から整流回路104と並列に接続されている。同様に、直列に接続された押しボタンスイッチ94のノーマルオープン接点94a及び電磁ポンプ8が、ノード106から整流回路104と並列に接続されている。また、モータ用スイッチ92と電動モータ20との間のノード108と、ノーマルオープン接点94aと電磁ポンプ8との間のノード110との間には、押しボタンスイッチ94のノーマルクローズ接点94bと電磁ポンプ8にかかる電圧を調整するための電圧調整回路112とが直列に接続されている。電圧調整回路112は、ノード108、110間の電圧を調整するための調整つまみ96を含んでいる。
最初、孔あけ工具1を100Vの交流電源につなぎ、被加工物Sの上に置く。電磁石用スイッチ90をONにすると、電磁石16は磁力を発生させ、それにより、孔あけ工具1が鋼材等の被加工物Sの上に固定される。固定された孔あけ工具1の姿勢はどのような向きであっても良く、孔あけ工具1が傾倒されて固定されていも良いし、上下逆に固定されても良い。
電磁ポンプ8からの供給流量を調節するときは、調整つまみ96をまわし、電圧調整回路112の両端の電圧を変化させることにより、電磁ポンプ8にかかる電圧を変化させれば良い。
また、刃2を回転させているときに刃2により多くの油を供給したい場合には、刃2を回転させたまま(モータ用スイッチ92をON)押しボタンスイッチ94を押すと、電磁ポンプ8に第1の電圧、即ち、電源電圧がかかり、電磁ポンプ8は、最大供給流量で油を供給する。
次いで、モータ用スイッチ92をOFFにして、電動モータ20の回転を停止させると、それと同時に、電磁ポンプ110に電圧がかからなくなり、油の供給を停止する。
また、上述の実施形態では、押し部材54と押し部材ストッパ58とが当接しているときに、油が貫通孔52の中間部52から刃2に漏れ出てこないように構成されている。更に、刃2を下げたときのセンターピン62の移動を利用して、押し部材54を移動させ、押し部材54と押し部材ストッパ58との間に隙間を形成することにより、油を刃2に供給している。このため、刃2への油の供給と停止を行う機構を刃駆動装置2内に収容することができ、孔あけ工具1をコンパクトにすることができる。
上述の説明では、本発明を、固定装置により被加工物に着脱自在に固定される孔あけ工具の実施形態を例に挙げて説明したけれども、孔あけ作業段階に合わせて最適量の油を刃先に供給することができれば、固定装置のない据付式ボール盤等、その他の孔あけ工具であっても良い。
また、上述の実施形態では、孔あけ工具1を被加工物Sに固定するのに電磁石を利用したが、孔あけ工具1が被加工物Sにしっかり固定されれば、クランプ装置等の他の固定方法を採用しても良い。
また、上述した実施形態では、電動ポンプとして電磁ポンプ8を採用したけれども、電動ポンプの配置スペースに余裕があれば、他の電動ポンプを採用しても良い。
また、上述の実施形態では、刃駆動装置6、油供給装置10及び制御部12を一体に構成したけれども、それに限らず、それらを別々に構成し電気及び流路を後から接続しても良い。
本実施形態では、刃2が回転していない状態で押しボタンスイッチ94を押したときに電磁ポンプ8にかけられる電圧と、刃2が回転している状態で押しボタンスイッチ94を押したときに電磁ポンプ8にかけられる電圧とが同じであったが、刃先に必要な量の油を迅速な供給をすることができる電圧であれば、両者の電圧の大きさは任意である。従って、前者の電圧が後者の電圧よりも高くても良いし、その逆に、前者の電圧が後者の電圧よりも低くても良い。
また、上述の実施形態では、刃先の形状が円筒形であったが、それに限らず、中実の刃先形状であっても良い。この場合には、油が刃の外面を伝って刃先に供給されることになる。
また、上述の実施形態において示した電気回路は1つの例に過ぎず、本発明の目的である孔あけ作業段階に合わせて最適量の油を刃先に供給することができれば、その他の電気回路を使用しても良い。例えば、いったん押しボタンスイッチ94を押したら、一定時間、電磁ポンプ8が最大流量で油を供給するようにしても良いし、刃2の回転を停止してから一定時間後に電磁ポンプ8の作動が停止するようにしても良い。
2 刃
4 固定装置
6 刃駆動装置
8 電磁ポンプ
10 油供給装置
12 制御部
64 空きスペース
70 タンク
94 押しボタンスイッチ
96 調整つまみ
112 電圧調整回路
Claims (5)
- 孔あけ工具であって、
被加工物に孔あけするための刃を回転駆動するための刃駆動装置と、
前記刃の刃先に油を供給するための電動ポンプを有する油供給装置と、
前記刃駆動装置及び前記油供給装置を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記刃が回転していないとき、手動により前記電動ポンプを第1の電圧で作動させ、且つ、前記電動ポンプが停止している状態で前記刃駆動装置により前記刃を回転させるとき、前記刃駆動装置と連動して自動で前記電動ポンプを前記第1の電圧よりも低い第2の電圧で作動させるように構成され、前記第1の電圧で作動される電動ポンプによる油の供給流量は、前記第2の電圧で作動される電動ポンプによる油の供給流量よりも多いことを特徴とする孔あけ工具。 - 更に、孔あけ工具を被加工物に対して着脱自在に固定する固定装置を有することを特徴とする請求項1に記載の孔あけ工具。
- 前記制御部は、更に、前記第2の電圧を手動で調整するための電圧調整回路を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の孔あけ工具。
- 前記制御部は、前記刃駆動装置により前記刃が回転しているとき、前記電動ポンプが作動される電圧を手動で前記第2の電圧から前記第1の電圧に切替えることができるように構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の孔あけ工具。
- 更に、前記電動モータに対する前記刃と反対側において前記刃駆動装置と前記固定装置とにより構成される空きスペースを有し、
前記油供給装置は、更に、油を収容するためのタンクを有し、前記タンクは、前記空きスペースに配置されることを特徴とする請求項2に記載の孔あけ工具。
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