JPH0840735A - 合成石英ガラスルツボの製造方法 - Google Patents

合成石英ガラスルツボの製造方法

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JPH0840735A
JPH0840735A JP17865894A JP17865894A JPH0840735A JP H0840735 A JPH0840735 A JP H0840735A JP 17865894 A JP17865894 A JP 17865894A JP 17865894 A JP17865894 A JP 17865894A JP H0840735 A JPH0840735 A JP H0840735A
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synthetic quartz
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producing
glass crucible
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Takeshi Aoyama
武 青山
Hisatoshi Otsuka
久利 大塚
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 本発明は合成石英ガラス中に含有されている
水酸基量および塩素量を低減させて、天然石英ガラスの
酸水素溶融点と同等以上の耐熱性を示す合成石英ガラス
ルツボ製造方法の提供を目的とするものである。 【構成】 本発明による合成石英ガラスルツボの製造方
法は、シラン化合物から合成された合成石英ガラスを粉
砕し、真空下で加熱溶融し、ルツボに成形してなること
を特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は合成石英ガラスルツボの
製造方法、特にはOH基および塩素を除去して、天然石
英ガラスルツボと同等以上の耐熱性を有することからシ
リコン単結晶引上げ用ルツボとして有用とされる合成石
英ガラスルツボの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体用のルツボ、例えばシリコ
ン単結晶引き上げ用のルツボは合成石英ガラスが融点の
低いものであることから天然石英ガラスで作られたもの
とされており、この天然石英ガラスからのルツボの製造
方法としては、 1)天然石英ガラス粉を回転体内でルツボ型に入れ、成
形し、アーク溶融により作製する方法、 2)1)のルツボの内面に合成石英ガラス粉の層を成形
し、溶融して、高純度層を設ける方法、 3)天然石英ガラス粉を回転体内でルツボ型に入れ、成
形し、ルツボ型に開いた小穴より減圧に引きながら、ア
ーク溶融により作製する方法が知られている。
【0003】しかし、この1)〜3)の方法で製作され
たルツボは原料に天然石英ガラスが使用されているため
に耐熱性は満足できるとしても純度が悪く、したがって
高純度の要求される半導体用ルツボとしては都合が悪い
という問題点がある。そのため、これについては高純度
である合成石英ガラスを使用してこの1)〜3)の方法
でルツボを作製することも試みられているが、この場合
には合成石英ガラス中にOH基およびClが残留してい
るために要求される耐熱性を満たすことができず、した
がってこれには不本意ながら天然石英ガラス製のルツボ
が使用されている。
【0004】他方、このルツボ原料用の合成石英ガラス
の製造としては、 1)四塩化けい素などのけい素化合物を酸水素火炎中で
火炎加水分解させて得たシリカ微粒子を担体上に堆積さ
せ、これを直接溶融させて石英ガラスとする直接法によ
る方法(特公平 3-31010号公報参照)、 2)このけい素化合物をメチルトリメトキシシランなど
のエステルシランとして多孔質ガラス母材を作り、これ
を溶融して石英ガラスとするスート法による方法(特公
平 4-20853号公報参照)、 3)高周波プラズマ炎中でけい素化合物、酸素および塩
化水素の混合ガスを反応させて二酸化けい素を生成さ
せ、これを担体上に堆積させるプラズマ法による方法
(特公昭63-38343号公報参照)、 4)アルコキシシランを酸またはアンモニア触媒の存在
下に加水分解して得たシリカを焼結して石英ガラスとす
る、いわゆるゾル−ゲル法と称されている方法、などが
知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この1)の直
接法で得られる石英ガラスは、水酸基含有量が 200〜1,
000ppmで塩素含有量が〜150ppmであるために、高温粘性
が低いという問題点があり、この2)のスート法により
得られる石英ガラスは水酸基含有量が〜300ppmで塩素含
有量が〜100ppmであり、塩素脱水しても塩素を含有する
ために高温粘性が高くならないという問題点がある。ま
た、この3)のプラズマ法により得られる石英ガラスに
は水酸基含有量はフリーになるけれども塩素含有量が〜
1,000ppmと高くなるし、生産コストが高く、量産も難し
いという不利があり、この4)のゾル−ゲル法により得
られる石英ガラスには塩素含有量はフリーになるけれど
も水酸基含有量が〜100ppmとなり、アンモニア触媒を用
いれば水酸基含有量もフリーとなるので高温粘性品を得
ることができるけれども、これは製造工程が長いために
コスト高となり、酸触媒を用いる場合には水酸基が残留
し、酸として塩酸を用いる場合には塩素も残存するため
に高温粘性の製品は得られないという欠点がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような不
利、欠点、問題点を解決した合成石英ガラスルツボの製
造方法に関するものであり、これはシラン化合物から合
成された合成石英ガラスを原料とし、これを真空下で加
熱溶融し、ルツボに成形してなることを特徴とするもの
である。
【0007】すなわち、本発明者らは水酸基含有量およ
び塩素含有量を減少させた高粘性の合成石英ガラスルツ
ボを製造する方法を開発すべく種々検討した結果、上記
した公知の方法で製造された合成石英ガラス部材は水酸
基および塩素の両方、またはこのいずれか一方を可成り
高い含有量で含有しているが、この合成石英ガラスを粉
砕して粉末にしたのち精製してから、真空下に加圧溶融
し、ルツボに成形すると、この合成石英ガラスはOH基
含有量、Cl含有量がいずれもフリーとなるし、その熱
特性としての歪み点を 1,130℃以上、徐冷点を 1,220℃
以上とすることができることを見出し、したがってこれ
によれば耐熱性の強い、高粘性の合成石英ガラスルツボ
を容易に得ることができることを確認して本発明を完成
させた。以下にこれをさらに詳述する。
【0008】
【作用】本発明による合成石英ガラスルツボの製造方法
は従来公知の方法で製造された水酸基含有量および/ま
たは塩素含有量の多い合成石英ガラス部材を、粉砕した
のち真空中で高温で溶融して、水酸基、塩素の含有量を
低下させて成形し、耐熱性のよい合成石英ガラスルツボ
とするものである。したがって、本発明で原料となる合
成石英ガラスは従来公知の方法、例えば直接法、スート
法、プラズマ法、ゾル−ゲル法で製造されたものとされ
るが、これらの方法で製造された合成石英ガラスの水酸
基含有量、塩素含有量は出発原料の種類によってそれぞ
れ下記のようなものとなる。
【0009】 すなわち、1)直接法により得られる合成石英ガラスは (出発原料) (OH基含有量、Cl含有量) SiCl4 、CH3SiCl3 OH基…200 〜1,000ppm、Cl…〜150ppm、 CH3Si(OCH3)3 OH基…400 〜1,000ppm、Cl…フリー、 2)スート法により得られる合成石英ガラスは SiCl4 OH基…〜300ppm、Cl…〜100ppm、 CH3Si(OCH3)3 OH基…〜50ppm 、Cl…フリー、 3)プラズマ法により得られる合成石英ガラスは SiCl4 OH基…フリー、Cl…〜1,000ppm、 4)ゾル−ゲル法により得られる合成石英ガラスは テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン OH基…〜100 、Cl…フリー となる。
【0010】このようにして製作された合成石英ガラス
は本発明ではまず粉砕により合成石英ガラス粉とされる
のであるが、この粉砕はジョークラッシャー、ディスク
ミル、ボールミルを用いて行なえばよく、これはついで
篩別により粒度を調整するのであるが、これは 600μm
以上であるとOH基、Clの除去が不充分となり、求め
る耐熱性のものが得られなくなるので、 600μm以下の
ものとすることがよい。しかし、このものは粉が溶融す
るときに均一に溶けることが望ましく、小さい粒子は早
く溶けて溶融し、泡が溶け残ることも考えられるため、
粉の粒度は均一であることが好ましいが、この粒度は 2
50〜 350μmのものとすればよい。
【0011】この粉砕品は粉砕時の汚染を除去するため
に精製することがよく、この精製は水洗、HF処理、H
Cl処理、磁力選鉱、浮遊選鉱などで行えばよいが、こ
の精製は汚染度に応じて省いてもよい。この精製が終了
した合成石英ガラス粉を耐熱性のルツボ成形用治具でル
ツボに成形し、これを真空ホットプレス溶融炉で加圧溶
融する。
【0012】図1(a)はルツボ成形用治具の分解縦断
面図、図1(b)はこの成形時の縦断面図を示したもの
である。図に示したようにルツボ型1に合成石英ガラス
粉を敷き(ルツボの底部に当たる)、ルツボ型1のセン
ターにくるように円柱型治具3を納め、ルツボ型1と円
柱状治具3の隙間に合成石英ガラス粉(ルツボの側部に
当たる)を入れ、その上に円筒型治具2を納める。合成
石英ガラス粉の充填量は、ルツボとした時の厚さによ
り、相当量を入れる。この場合、ルツボの密度は、泡を
ほとんど含まないことより、石英の密度2.2g/cm3と考え
てよいし、溶融時の昇華による重量減少も2%以下と考
えてよい。また、ルツボ成形治具の材質は、耐熱性を有
すればよいが、加工性、耐熱性、高純度化が可能である
ことから、カーボンを用いることが望ましい。
【0013】また、本発明は図に示されたルツボ成形用
治具の形状に限定されるものではなく、他の形状におい
ても採用できる。例えば、ルツボの底部にR曲線を持た
せるのであれば、ルツボ型1の内部底面と円柱状治具3
の底面を当該の形状に加工すればよい。このように成形
した合成石英ガラスをルツボ成形用治具にセットしたま
ま、真空ホットプレス炉に入れ、真空下で、一軸方向に
プレス4,5で 0.5〜2.0kgf/cm2で加圧し、 1,500〜
1,900℃で溶融する。真空度は、減圧10Torr程度でもO
H基、Clの減少効果は得られるものの、本発明で求め
ている物性は得られず、10-1Torr以下とすれば一応求め
る物性が得られるけれども、これは10-2Torr以下とする
ことが望ましい。溶融温度は、 1,500℃未満では合成石
英ガラスが溶融しないし、 1,900℃以上とすると合成石
英ガラスが昇華して重量減少や変形を引き起こすので、
1,500〜1,900℃の範囲とすることが必要とされ、好ま
しくは 1,700〜 1,900℃であるが、この溶融時間は、5
〜2hrであり、これは低温では長く、高温では短くする
ことが必然である。
【0014】このように合成石英ガラス粉を加圧溶融
し、ルツボ状に成形して得た合成石英ガラスルツボは、
形状がルツボ成形型の形状に依存し、大きさが炉の内容
積に依存したものとなるが、泡は1mm以上のものを殆ど
含まず、色は無色透明で、物性としてはOH基フリー、
Clフリー、歪み点 1,130℃以上、徐冷点 1,220℃以上
で天然石英ガラスの電気溶融品と同等以上のものとな
り、Alの含有量が 10ppb以下、他の金属元素の含有量
が各々1ppb 以下の高純度なものになるという有利性が
与えられる。
【0015】
【実施例】つぎに本発明の実施例、比較例をあげるが、
例中における合成石英ガラス部材の物性値は以下の方法
による測定値を示したものである。 (水酸基量の測定)IR(赤外線)測定器・IR−Spec
trophotometer TypeA−3[日本分光(株)製商品名]
を用いて、OH吸収波長である 2.7μmのピーク高より
概算する。 (塩素量の測定)立教大学原子炉IRIGA−II型にて
中性子を試料に衝突させて核反応を起こさせ、高純度G
e検出器、マルチチャンネル波高分析器にてγ線を検出
してCl含有量を求めた。
【0016】(歪み点、徐冷点の測定)歪み点、徐冷点
は、熱特性の代表的なものであり、高温粘性の指標とな
る物性である。歪み点は粘度が4×1014ポイズ(log η
=14.5)のときの温度で示し、徐冷点は粘度が1013ポイ
ズ(log η=13.0)のときの温度を示す。(朝倉書店
「ガラスハンドブック」P 637参照) 狭い温度範囲では、log ηの絶対温度の逆数に対するプ
ロットは直線関係にあるので、 1,100℃、 1,150℃、
1,200℃、 1,250℃、 1,300℃において伸び量△Lを測
定し(Fiber-elongation法※により)、各ηを求めた。
これを縦軸:logη、横軸:絶対温度の逆数の図にプロ
ットし、直線を求めた。この直線よりlog η=14.5に相
当する温度を歪み点、log η=13.0に相当する温度を徐
冷点として求めた。 ※Fiber-elongation法 4×2×40mmの試料に熱を加え、△t= 120〜 3,000秒
における試料の△L(cm)を求め、以下の式を用いて粘
性を求める。 A=0.4cm 、B=0.2cm 、L=4.0cm 、W=500g △t=測定時間(秒)、△L=伸び量(cm) (純度の測定)日立MIP−MS元素分析装置(P−70
00形)を用い、微量元素の定量を行なった。
【0017】実施例1 酸素ガス19Nm3/時および水素ガス30Nm3/時で形成された
酸水素バーナーの酸水素火炎中に四塩化けい素を 2,000
g/時で導入し、その火炎加水分解で発生したシリカ微粒
子を回転している耐熱性担体に堆積すると同時に溶融さ
せて、直径 120mmφ、長さ 500mmの合成石英ガラスイン
ゴットを製造したところ、このもののOH基含有量、C
l含有量は後記する表1に示したとおりのものとなっ
た。
【0018】ついで、この合成石英ガラスインゴットを
ジョークラッシャー、ディスクミルを用いて粉砕し、篩
別して粒度を 250〜 350μmに調整したのち、これを磁
力選鉱にかけてから20%HClに2時間、10%HFに10
分間浸漬して精製してから水洗し、有機物除去のために
1,000℃で1時間、酸素を含む雰囲気で加熱してルツボ
用の合成石英ガラス粉を製造した。
【0019】つぎに、底のある円筒形のカーボン型(外
径φ 200mm、高さ 300mm、底部肉厚20mm、側部肉厚10m
m)に原料粉を320g仕込み、平らにした後、その粉の上
でカーボン型のセンターにくるようにカーボン円柱状治
具(外径φ 180mm、高さ 300mm)をセットし、カーボン
型と円柱状治具の間に原料粉を1,050g仕込み、この上か
ら円筒形のカーボン治具(外径φ 198mm、内径φ 182m
m、高さ 200mm)をセットした。
【0020】ついでこの粉を仕込んだカーボン治具一式
を、一軸加圧型の真空炉にセットし、カーボンの円柱状
治具と円筒形治具にそれぞれ1kgf/cm2 となるように加
圧しながら、真空ポンプおよびメカニカルブースターポ
ンプを用いて炉内を10-2Torrの真空とし、加圧、真空度
の状態を維持したまま、 1,400℃まで、 300℃/minで昇
温し、1時間保持した後、加圧を解除し、ついで 1,750
℃まで1時間で昇温し、30分間保持して冷却してルツボ
を作製し、このルツボについての物性をしらべたとこ
ろ、後記する表1に示したとおりの結果が得られた。
【0021】比較例1 実施例1と同じルツボ用原料粉を使用し、これからアー
ク回転溶融法によってルツボを作製したところ、この原
料粉、ルツボの物性について後記する表1に示したとお
りの結果が得られた。
【0022】比較例2 ルツボ溶融時に不活性雰囲気(Ar)下に加圧溶融した
ほかは実施例1と同様に処理してルツボを作製したとこ
ろ、この原料粉、ルツボの物性について後記する表1に
示したとおりの結果が得られた。
【0023】比較例3 ルツボ溶融を無加圧溶融としたほかは実施例1と同様に
処理してルツボを作製したところ、この原料粉、ルツボ
の物性についてつぎの表1に示したとおりの結果が得ら
れた。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】本発明によれば合成石英ガラスに含有さ
れている水酸基、塩素量をフリーとすることができるの
で、これを天然石英ガラスの酸水素溶融品と同等以上の
耐熱性を有する合成石英ガラスルツボを得ることができ
るし、これは合成石英ガラスで高純度であるし、これに
は既存の製造設備が使用することができるので、これを
安価に得ることができるという有利性が与えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は合成石英ガラスルツボ成形用治具の分
解縦断面図、(b)はその成形時の縦断面図を示したも
のである。
【符号の説明】
1…ルツボ型カーボンケース 2…円筒型治具 3…円柱状治具 4…プレス1 5…プレス2 6…原料粉 7…テーブル

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シラン化合物から合成された合成石英ガ
    ラスを原料とし、これを真空下で加圧溶融し、ルツボに
    成形してなることを特徴とする合成石英ガラスルツボの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 合成石英ガラス粉の粒度が 600μm以下
    である請求項1に記載した合成石英ガラスルツボの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 真空度が10-1Torr以下である請求項1に
    記載した合成石英ガラスルツボの製造方法。
  4. 【請求項4】 溶融温度が 1,500〜 1,900℃とされる請
    求項1に記載した合成石英ガラスルツボの製造方法。
  5. 【請求項5】 カーボンケースに合成石英ガラス粉を仕
    込み、成形用治具の円筒形治具と円柱形治具をセット
    し、該治具に対して一軸方向にプレス圧 0.5〜2.0kgf/c
    m2で加圧する、請求項1に記載した合成石英ガラスルツ
    ボの製造方法。
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