JPH083680A - 低温靱性と疲労強度に優れた熱間鍛造用非調質鋼 - Google Patents

低温靱性と疲労強度に優れた熱間鍛造用非調質鋼

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JPH083680A
JPH083680A JP6159187A JP15918794A JPH083680A JP H083680 A JPH083680 A JP H083680A JP 6159187 A JP6159187 A JP 6159187A JP 15918794 A JP15918794 A JP 15918794A JP H083680 A JPH083680 A JP H083680A
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steel
heat treated
treated steel
toughness
low temperature
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JP6159187A
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Naoki Iwama
直樹 岩間
Katsumi Bando
克己 坂東
Kazue Nomura
一衛 野村
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Aichi Steel Corp
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Aichi Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 重量比にしてC:0.20〜0.40% 、Si:0.05 〜0.
50% 、Mn:0.80 〜2.00%、P:0.018%以下、S:0.030%以
下、Cr:0.30 〜1.50% 、Mo:0.05 〜0.50% 、Al:0.002〜
0.060%、V:0.05〜0.50% 、 N:0.008〜0.020%と、必要に
応じてPb:0.05 〜0.30% 、Ca:0.0005 〜0.01% のうち1
種または2種を含有し、かつTi(%)+Nb(%) ≦0.01% 、Mo
(%)+V(%)≧0.20(%) 、1.8Mn(%)+Cr(%)+0.5Mo(%) ≦20C
(%)、であり、残部Feならびに不純物元素からなること
を特徴とする低温靱性と疲労強度に優れた熱間鍛造用非
調質鋼。 【効果】 圧延直角方向(T方向)でも優れた低温靱性
を確保でき、かつ降伏比、耐久比に優れ、優れた特性の
得られる鍛造条件の範囲の広いベイナイト型非調質鋼の
提供が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱間鍛造後の熱処理を必
要とせず、自然空冷によって優れた強度、靱性、疲労強
度を確保でき、かつ部品寸法および鍛造条件が変化して
も性能の変化が少なく、特に低温靱性を必要とする自動
車の足廻り部品や建設機械の油圧部品等に用いられる鋼
として有用な熱間鍛造用非調質鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ステアリングナックル、アッパー
アーム等の自動車の足廻り部品やロッドエンド等の建設
機械の油圧部品には高強度、高靱性が要求され、特に極
寒地方での使用にも耐えられる低温において優れた靱
性、疲労強度を確保したい場合には、S45C等の炭素鋼を
用い、熱間鍛造により成形後、焼入焼もどし等の熱処理
(以下調質と記す)を施し、必要な性能を確保してい
た。
【0003】しかし、これらの熱処理は莫大なエネルギ
ーを必要とするため、省エネルギーの社会的要請に応え
るために、熱間鍛造後の自然空冷にて必要な性能の得ら
れる非調質鋼の開発が近年盛んに行われている。例えば
Cを0.20〜0.50% 程度含有する中炭素鋼に0.03〜0.20%
のV等の合金元素を適量添加したフェライト・パーライ
ト型非調質鋼が提案され、使用されている。この非調質
鋼は熱間鍛造後の冷却過程で析出するVの炭窒化物がフ
ェライト生地を強化し、調質することなく必要な強度を
得るものであり、例えば特開昭62-74055号、特開昭63-5
7742号公報に記載の発明が開発されている。また、最近
では低Cベイナイト型の非調質鋼も開発され、実用化が
進められており、例えば特開平4-176842号公報記載の発
明が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、非調質
鋼の開発初期に提案された鋼は、粗大なフェライト・パ
ーライト組織を有するものであり、靱性は焼入れ焼もど
しされた材料に比べて低いという欠点を有していた。前
述した公報に記載のフェライト・パーライト型非調質鋼
は、初期のフェライト・パーライト型非調質鋼における
前記欠点を解決するために提案されたものであるが、圧
延直角方向(以下T方向と記す。)の低温靱性の改善が
十分でなく、極寒地方で使用するための要求水準を十分
に満足することができない。さらに、フェライト・パー
ライト型非調質鋼は優れた特性の得られる鍛造条件(加
熱温度、鍛造温度、冷却速度等)の範囲が狭いため、新
製品製造の立上げ時には最適製造条件を得るためのテス
トが必要であるとともに、立上げ後も安定して優れた性
能を確保するために、鍛造条件を厳しく管理する必要が
あった。
【0005】前述の低Cベイナイト型非調質鋼は、フェ
ライト・パーライト型非調質鋼の製造可能な鍛造条件が
狭いという欠点を解決するために開発されたものである
が、低Cベイナイト鋼はフェライト・パーライト型非調
質鋼に比べると、優れた靱性を有しているものの、低温
靱性の要求を十分に満足するまでに到っておらず、かつ
降伏比、耐久比の点では、フェライト・パーライト型非
調質鋼に比べても劣るものであった。このため、降伏
点、疲労強度を要求水準に上げるためには、より高い引
張強度にしなくてはならず、その結果鍛造性、切削性等
が悪くなり、適用の妨げとなっていた。また、前述の特
開平4-176842号公報記載の発明は、低Cベイナイト型非
調質鋼の降伏比、耐久比を改善するために提案されたも
のであるが、低温靱性の点では若干劣り、改善を行う必
要があった。
【0006】本発明は従来の調質炭素鋼及び非調質鋼の
前記のごとき問題点を考慮してなされたもので、部品寸
法および鍛造条件によって強度、靱性等の性能が変化せ
ず、新製品のスムーズな立上げを可能とし、低温靱性を
含むあらゆる特性において調質炭素鋼以上の性能を示す
熱間鍛造用非調質鋼を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記目的の下
に、熱間鍛造用非調質鋼、中でも特にベイナイト型のも
のについて鋭意研究を重ねた結果、以下の知見をなし本
発明を得た。ベイナイト鋼の降伏比および耐久比が低い
原因が、ベイナイト鋼のミクロ組織中に存在する高炭素
島状マルテンサイトおよび残留オーステナイト(以下M
−Aと記す)によるものであることは、前記した公報に
て既に明らかとなっており、本発明においても、ミクロ
組織中のM−A量を低減するためにC量と合金元素量の
関係を適当な範囲に規制することによりM−A量の生成
を少なく抑え、降伏比および耐久比の改善を図ってい
る。
【0008】本発明の特徴は、前記方策に加え、Ti、Nb
の含有率の上限を厳しく規制することにより、圧延直角
方向の低温靱性値改善に大きな効果を有することを見出
したことにある。
【0009】Ti、Nbはその添加によって結晶粒が微細化
し、20℃程度の温度においては靱性向上に効果のある元
素であるが、添加によってPの粒界偏析を助長したり、
生成する炭窒化物が粒界に偏析することが原因となっ
て、低温靱性については、かえって劣化することを見出
したものである。
【0010】そして、Ti、Nbは特に電気炉のようなスク
ラップを用いた溶解によって製造する場合、不純物とし
て両者の合計で0.01% を超えて含有する場合も多く、T
i、Nb量の低いスクラップを選択して用いることが低温
靱性改善に大きな効果をもたらすことを新しく知見した
ものである。例えば、0.2C-0.3Si-1Mn-0.01S-1Cr-1Mo-
0.1V 鋼の場合、Ti+Nb 量が0.01% の場合の-50 ℃にお
けるT方向のUノッチシャルピー衝撃値は15J/cm2 程度
であるが、0.005%に低減すると30J/cm2 に、0.001%まで
厳しく低減すると、40J/cm2 まで向上することを見出し
たものである。また、Ti、Nb量の低減に加え、不純物と
して含有するS量の上限を同時に規制することによっ
て、さらに一層低温での衝撃値改善に効果のあることを
見出したものである。
【0011】以上説明した新しい知見を得ることにより
完成した本発明の第1発明は重量比にしてC:0.20〜0.40
% 、Si:0.05 〜0.50% 、Mn:0.80 〜2.00% 、P:0.018%以
下、S:0.030%以下、Cr:0.30 〜1.50% 、Mo:0.05 〜0.50
% 、Al:0.002〜0.060%、V:0.05〜0.50% 、 N:0.008〜0.
020%を含有し、かつTi(%)+Nb(%) ≦0.01% 、Mo(%)+V(%)
≧0.20(%) 、1.8Mn(%)+Cr(%)+0.5Mo(%) ≦20C(%)、であ
り、残部Feならびに不純物元素からなることを特徴とす
る低温靱性と疲労強度に優れた熱間鍛造用非調質鋼であ
り、第2発明は被削性を改善するために、第1発明鋼に
さらにPb:0.05〜0.30% 、Ca:0.0005 〜0.01% のうち1
種または2種を含有させたものである。
【0012】次に本発明の熱間鍛造用非調質鋼における
成分組成限定理由について以下に説明する。 C:0.20〜0.40% Cは強度を確保するために必要な元素であり、0.20% 以
上の含有が必要である。しかし、0.40% を越えて含有さ
せると靱性が低下するので上限を0.40% とした。但し、
強度の点をより厳しく考慮すると、下限は0.28% とする
ことが好ましく、また、靱性の点を考えると、上限は0.
32% とすることが好ましい。
【0013】Si:0.05 〜0.50% Siは製鋼時の脱酸材として添加されるものであり、0.05
% 以上、より好ましくは0.15% 以上含有させることが必
要である。しかし0.50% を越えると靱性が低下するので
上限を0.50% とした。より優れた靱性を確保するには、
0.35% 以下とするのが良い。
【0014】Mn:0.80 〜2.00% Mnは焼入性を向上させて組織をベイナイト化するのに必
要な元素である。Mnの含有が0.80% 未満であると焼入性
が不足し、ベイナイトの生成量が少なくなり、強度およ
び靱性が不足する。従って、最低でも0.80% 、より好ま
しくは1.40% の含有が必要である。しかし2.00% を越え
て含有させると焼入性が向上し過ぎるとともにM−Aの
生成を促進し、降伏比および耐久比が低下するので上限
を2.00%とした。上限は1.80% 以下とするのがより好ま
しい。
【0015】P:0.018%以下 Pは不可避的に不純物として含有する元素であるが、本
発明では特に低温靱性確保を目的としているため、上限
を厳しく管理する必要があり、上限を0.018%以下とし
た。好ましくは0.015%以下とするのが良い。
【0016】S:0.030%以下 SはP と同様に鋼中に不純物として含有する元素であ
り、多量に含有すると、異方性の程度が大きくなって、
特にT方向の靱性が低下するため、極力低減する必要が
ある。従って、上限を0.030%以下、より好ましくは0.01
0%とする必要がある。
【0017】Cr:0.30 〜1.50% CrはMnと同様に組織をベイナイト化するのに必要な元素
であり、最低でも0.30% 、より好ましくは0.40% の含有
が必要である。しかし多量に含有させるとM−Aの生成
を促進し、降伏比および耐久比が低下するので上限を1.
50% とした。より優れた降伏比、耐久比を得るには上限
を0.60% とするのが良い。
【0018】Mo:0.05 〜0.50% Moは組織をベイナイト化するとともにベイナイトラスを
微細化させて靱性を向上させるために必要な元素であ
り、最低でも0.05% 、より好ましくは0.15% 以上含有さ
せることが必要である。しかし、多量に含有させると、
効果が飽和するとともに、コスト高となり、Mn、Crと同
様に過剰添加はM−A生成を促進し、降伏比および耐久
比が低下するので上限を0.50% とした。より好ましく
は、上限を0.25% とするのが良い。
【0019】Al:0.002〜0.060% Alは強力な脱酸効果を持つ元素であるが、0.002%未満の
含有では脱酸効果が認められなくなるので下限を0.002%
とした。脱酸効果を安定して得るためには、0.015%以上
含有させることが好ましい。しかし、多量に含有させる
と前記効果が飽和するとともに被削性を低下させるの
で、上限を0.060%とした。より好ましくは上限を0.040%
とするのが良い。
【0020】V:0.05〜0.50% VはC 、N と親和力が強く、鋼中において炭窒化物とし
て析出し、初析フェライトが生成した場合にこれを析出
強化させて強度を向上させるとともに、ベイナイトラス
を微細化させて靱性を向上させる効果のある元素であ
り、最低でも0.05% 、より好ましくは0.06% 以上含有さ
せることが必要である。しかし、多量に含有させると前
記効果が飽和するとともにコスト高となるため、上限を
0.50% とした。より好ましくは0.14% 以下とするのが良
い。
【0021】N:0.008 〜0.020% NはV と親和力が強く、鋼中においてV の炭窒化物とし
て析出し、ベイナイト組織の微細化に効果のある元素で
ある。前記効果を得るためには少なくとも0.008%、好ま
しくは0.012%以上の含有が必要である。しかし、多量に
含有させると靱性を低下させるので上限を0.020%とし
た。より好ましくは0.018%以下とするのが良い。
【0022】Ti(%)+Nb(%)≦0.01(%) TiおよびNbは鋼中において炭窒化物として析出し、ピン
止め効果によりオーステナイト結晶粒を微細化し、20℃
程度の温度における靱性については向上する効果のある
元素であるが、-50 ℃程度の低温における靱性について
は逆に低下させる元素でもある。従って、低温靱性を重
視する本発明においては、その上限量を厳しく抑える必
要があり、上限を0.01% とした。より優れた低温靱性を
得るためには、0.005%以下とするのが良い。
【0023】Pb:0.05 〜0.30% 、Ca:0.0005 〜0.01% Pb 、Caは被削性の改善に有効な元素であり、必要に応
じて添加されるものである。前記効果を得るためには最
低でもPbについては0.05%(より好ましくは0.10%)、Caに
ついては0.0005% 以上の含有が必要である。しかし多量
に含有させてもその効果が飽和するとともに、靱性を低
下させるので上限をそれぞれ0.30% 、0.01% とした。
【0024】Mo(%)+V(%)≧0.20(%) Mo、V の複合添加はCの拡散を遅滞させてベイナイトラ
スの成長を妨げるので、ベイナイトラスを特に微細にす
る効果がある。前記効果を得るためにはMo、Vの合計含
有率を0.20% 以上にする必要がある。
【0025】1.8Mn(%)+Cr(%)+0.5Mo(%) ≦20C(%) 1.8Mn(%)+Cr(%)+0.5Mo(%) ≦20C(%)はベイナイトのミク
ロ組織中に生成するM−A量を少なく抑え、微細なセメ
ンタイトを析出させるための必要条件である。Mn、Cr、
Moを過剰に添加し1.8Mn(%)+Cr(%)+0.5Mo(%) >20C(%)と
なるとセメンタイトの析出量が減少し、これに代わって
M−Aが多量に生成し、降伏比および耐久比を低下させ
るため1.8Mn(%)+Cr(%)+0.5Mo(%) ≦20C(%)とする必要が
ある。
【0026】
【作用】本発明の熱間鍛造用非調質鋼は、最近提案され
ている低Cベイナイト型非調質鋼と同様に降伏比、耐久
比の改善を図るとともに、従来靱性向上のために積極添
加していたTi、Nbを逆に低減し、かつ不純物として含有
するP 、S 量を低減しているので、優れた低温靱性値を
確保することができる。
【0027】
【実施例】以下に本発明の特徴を比較鋼および従来鋼と
比較し、実施例でもって明らかにする。表1は実施例に
用いた供試材の化学成分を示すものである。
【0028】
【表1】
【0029】表1に示した鋼は全て2tVIM にて溶解した
もので、1〜8鋼は本発明鋼であり、1〜4鋼は第1発
明鋼、5〜8鋼は第2発明鋼である。また、9〜16鋼は
一部の元素が本発明の条件を満足しない比較鋼であり、
17、18鋼はフェライト・パーライト型の従来の非調質
鋼、19鋼はJIS 鋼であるS45Cである。なお、Ti+Nb 量が
本発明の条件を満足しない15鋼は前述の特開平4-176842
号公報記載の鋼に相当する従来の低Cベイナイト型非調
質鋼である。
【0030】20鋼を除く供試材については、溶製した鋼
塊を直径100mm の丸棒に熱間圧延し、これを1250℃に加
熱後、1150℃にて直径60mmの丸棒に鍛造し、室温まで自
然空冷し試験材とした。また、S45Cである20鋼について
は熱間圧延にて製造した直径60mmの丸棒を 860℃にて60
分間加熱後水冷する焼入を行い、続いて 580℃にて120
分間加熱後水冷するという焼もどしを行い試験材とし
た。
【0031】各供試材の試験材を用いて、ミクロ組織、
ベイナイトラス寸法、M−A量、0.2%耐力、引張強さ、
降伏比、耐久比、衝撃値、被削性について後述する方法
にて測定した。ベイナイトラス寸法は長手方向の寸法を
光学顕微鏡にて倍率1000倍で 100視野の測定を行い、そ
の平均値をもって測定値とした。M−A量は倍率5000倍
の走査型電子顕微鏡により各試料 100視野をポイントカ
ウンティング法で測定し、その平均値をもって測定値と
した。
【0032】引張試験の結果はJIS4号引張試験片を作製
し、引張速度1mm/min で測定したものであり、衝撃値は
JIS3号Uノッチシャルピー試験片を作製し、ドライアイ
スによって試験片を -50℃に冷却し、測定したものであ
る。耐久比は小野式回転曲げ疲労試験により107 回転で
の耐久限を求め、引張強度との比率をとったものであ
る。各供試材の性能評価結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】表2から明らかなように比較鋼、従来鋼で
ある9〜19鋼を本発明鋼と比較すると、9鋼はC含有率
が高いため衝撃値が劣るものであり、10、11鋼はMnある
いはCr含有率が高いため焼入性が向上し過ぎるととも
に、M−A量が非常に多く、また11鋼は式(1) の条件か
らもはずれているため、降伏比および耐久比が劣るもの
であり、12鋼はS 含有率が高いため、S の低い鋼に比べ
て衝撃値が若干低下したものであり、13鋼はMo、V の合
計含有率が低いため、ベイナイトラスの微細化が不十分
となり、衝撃値、耐久比が劣るものであり、14、15鋼
は、それぞれP 、Ti+Nb の含有率が高いため、低温衝撃
値が劣るものであり、16鋼はそれぞれの化学成分は本発
明鋼の範囲に入っているが、式(1) を満足していないた
め、降伏比、耐久比が劣るものである。また、従来のフ
ェライト・パーライト型非調質鋼のうち17鋼は前記加工
条件が17鋼にとって適正なものであったため、強度が若
干低いことを除き本発明鋼とほぼ同等の結果が得られて
いるが、18鋼は加工条件が適切でなかったため、衝撃
値、降伏比、耐久比が劣るものとなっている。さらに、
S45Cである19鋼は焼入性が劣るため、熱処理後の組織が
不完全焼入組織となり、降伏比、耐久比がともに劣るも
のである。
【0035】これに対して本発明鋼である1〜8鋼はM
o、V を複合添加したこと、C量と合金元素量の関係を
適切な範囲内に規制した(式(1))ことによりベイナイト
ラス寸法が微細化されM−A量も1%以下と少なく抑えら
れ、かつTi+Nb 量を適切なスクラップの選択によって極
力抑えたことにより、0.2%耐力600N/mm2以上、引張強さ
829N/mm2以上、降伏比0.70以上、耐久比0.51以上、低温
衝撃値34J/cm2 以上という調質炭素鋼以上の優れた性能
を示すものである。また表2には示していないが、被削
性についても材質SKH51 のストレートシャンクドリルを
用い、ドリル穿孔試験(穿孔距離で評価)による評価を
行った結果、被削性元素を添加した第2発明鋼は第1発
明鋼に比べて強度、靱性、疲労強度などの性能を損なう
ことなく優れた被削性を示すことが確認できた。
【0036】次に、適切な鍛造条件の範囲が広いという
本発明鋼の特徴を別の実施例により明らかにする。表1
に示す鋼のうち本発明鋼の1、6鋼と従来の非調質鋼で
ある17鋼を各種条件にて鍛造し、引張強さ、0.2%耐力、
耐久比および衝撃値を評価した。
【0037】表3は鍛造加熱温度と引張強さ、0.2%耐
力、耐久比および低温衝撃値の関係を示したものであ
る。試験データは1、6、17鋼の直径100mm の丸棒を13
50℃、1250℃および1150℃に加熱し各々1250℃、1150℃
および1050℃にて直径60mmの丸棒に鍛造後室温まで自然
空冷したものを供試材として、そのD/4 の位置よりJIS4
号引張試験片およびJIS3号Uノッチシャルピー試験片、
小野式回転曲げ疲労試験片を採取し、試験を実施して得
られたものである。
【0038】
【表3】
【0039】表3から明らかなように、従来のフェライ
ト・パーライト型の非調質鋼である17鋼は加熱温度の上
昇に伴い、引張強さが増加し、衝撃値が著しく低下する
のに対し、ベイナイト組織を有する1、6鋼は加熱温
度、加工温度によって性能が殆ど変化せず、全ての条件
において優れた特性を得られることがわかる。
【0040】表4は鍛造後の冷却速度と引張強さ、0.2%
耐力、降伏比および衝撃値の関係を示したものである。
なお鍛造後の冷却速度は鍛造後の丸棒サイズをφ30、φ
60、φ100 と変化させることにより変化させた。すなわ
ちφ30は比較的早い冷却速度(800〜650 ℃の平均冷却速
度40℃/min.)、φ100 は遅い冷却速度(800〜650 ℃の平
均冷却速度10℃/min.)に対応している。上記の鋼1、
6、17鋼の直径100mm の丸棒を1250℃に加熱後空冷及び
1150℃の温度で直径60mm、30mmの丸棒に鍛造後室温まで
自然空冷したものを供試材としてそのD/4 の位置よりJI
S4号引張試験片、JIS3号Uノッチシャルピー試験片及び
小野式回転曲げ疲労試験片を採取し試験を実施した。
【0041】
【表4】
【0042】表4から明らかなように、本発明鋼の1、
6鋼は冷却速度 (丸棒サイズ) が変化しても引張強さ、
0.2%耐力および衝撃値、耐久比は殆ど変化せず安定した
性能が得られるのに対し、フェライト・パーライト型の
従来の非調質鋼である17鋼は、冷却速度が遅くなるにつ
れて0.2%耐力、引張強さおよび衝撃値が徐々に低下し、
丸棒サイズがφ100 の場合には耐久比まで低下すること
がわかる。これに対し本発明鋼は、今回行った全ての試
験条件について、優れた機械的特性を示している。
【0043】最後に方向による特性の違いについて評価
した別の実施例を示す。表5は方向による各種特性の変
化を調査した結果を示したものである。試験方法は、溶
製した鋼塊をφ100 に圧延し、これを1250℃加熱、1150
℃鍛造の条件で厚さ30mmの板状に鍛造し、空冷した素材
を用い、素材よりL方向(圧延方向)とT方向につい
て、各試験片を採取し、試験を実施した。なお、本試験
については、Ti、Nbの低減による低温衝撃特性の改善の
程度を把握するため、前記表3、4で評価に使用した鋼
に加え、本発明鋼に比べTi+Nb 量の高い低Cベイナイト
型非調質鋼に相当する15鋼についても合わせて評価し
た。
【0044】
【表5】
【0045】表5から明らかなように、本発明鋼の1、
6鋼はL方向に比べT方向の衝撃値は若干低下するが、
30J/cm2 以上の値を確保している。それに対し、従来の
フェライト・パーライト型非調質鋼である17鋼はL方向
に対しT方向の衝撃値が極端に低下し、耐久比も劣るも
のであり、従来の低Cベイナイト型非調質鋼である19鋼
は、L方向、T方向共に低温靱性については劣るもので
ある。
【0046】
【発明の効果】本発明の熱間鍛造用非調質鋼は従来のフ
ェライト・パーライト型非調質鋼が有していた鍛造時の
条件を厳しく管理しないと優れた性能が得られないとい
った問題点を解決し、広い範囲の鍛造条件にて従来の非
調質鋼に比べ優れた強度、靱性、疲労強度が得られるも
のである。
【0047】また、Ti、Nb量を極力低減することによ
り、-50 ℃程度の低温における衝撃値についても優れた
値を確保でき、特にT方向の靱性低下が小さく抑えられ
る点で、従来の非調質鋼にない優れた低温靱性特性を確
保することができる。従って、本発明鋼は自動車の足廻
り部品や建設機械の油圧部品の中で、極寒地方での使用
等優れた低温靱性を要求される箇所の部品についても非
調質化を達成することができ、省エネルギー化の一層の
推進を可能にするものであり、産業上寄与するところは
極めて大きい。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比にしてC:0.20〜0.40% 、Si:0.05
    〜0.50% 、Mn:0.80〜2.00% 、P:0.018%以下、S:0.030%
    以下、Cr:0.30 〜1.50% 、Mo:0.05 〜0.50%、Al:0.002
    〜0.060%、V:0.05〜0.50% 、 N:0.008〜0.020%を含有
    し、かつTi(%)+Nb(%) ≦0.01% 、Mo(%)+V(%)≧0.20(%)
    、1.8Mn(%)+Cr(%)+0.5Mo(%) ≦20C(%)、であり、残部F
    eならびに不純物元素からなることを特徴とする低温靱
    性と疲労強度に優れた熱間鍛造用非調質鋼。
  2. 【請求項2】 重量比にしてC:0.20〜0.40% 、Si:0.05
    〜0.50% 、Mn:0.80〜2.00% 、P:0.018%以下、S:0.030%
    以下、Cr:0.30 〜1.50% 、Mo:0.05 〜0.50%、Al:0.002
    〜0.060%、V:0.05〜0.50% 、 N:0.008〜0.020%と、Pb:
    0.05 〜0.30%、Ca:0.0005 〜0.01% のうち1種または2
    種を含有し、かつTi(%)+Nb(%) ≦0.01% 、Mo(%)+V(%)≧
    0.20(%) 、1.8Mn(%)+Cr(%)+0.5Mo(%) ≦20C(%)、であ
    り、残部Feならびに不純物元素からなることを特徴とす
    る低温靱性と疲労強度に優れた熱間鍛造用非調質鋼。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100428581B1 (ko) * 1999-12-28 2004-04-30 주식회사 포스코 강도 및 인성이 우수한 비조질강 및 이를 이용한 선재의 제조방법
ES2208030A1 (es) * 2000-11-22 2004-06-01 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho (Kobe Steel, Ltd) Acero de gran resistencia para forja y cigueñal hecho a partir del mismo.

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