JPH083561A - 液晶組成物および液晶素子 - Google Patents

液晶組成物および液晶素子

Info

Publication number
JPH083561A
JPH083561A JP13468894A JP13468894A JPH083561A JP H083561 A JPH083561 A JP H083561A JP 13468894 A JP13468894 A JP 13468894A JP 13468894 A JP13468894 A JP 13468894A JP H083561 A JPH083561 A JP H083561A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
group
carboxylic acid
acid ester
fluorine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP13468894A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3570745B2 (ja
Inventor
Chiho Tanaka
中 千 穂 田
Junichi Kawabata
端 潤 一 川
Takahiro Fujiyama
山 高 広 藤
Shinichi Nishiyama
山 伸 一 西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Petrochemical Industries Ltd filed Critical Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Priority to JP13468894A priority Critical patent/JP3570745B2/ja
Publication of JPH083561A publication Critical patent/JPH083561A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3570745B2 publication Critical patent/JP3570745B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Liquid Crystal Substances (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 式(I)で表される化合物と、式(II)で表
される化合物とからなる液晶組成物; 【化1】 (R1,R3 は炭素数6〜16の(ハロゲン化)アルキル
基、R2,R4 炭素数1〜12のアルキル基、X1,X2
−O−または単結合、Y,Zは水素原子又はフッ素原子
(Y,Zが同時にフッ素原子の場合を除く)、mは2〜
5、nは1〜5)前記液晶組成物を用いた液晶素子。 【効果】この液晶組成物は低電圧駆動時にスイッチング
速度が速い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、液晶組成物、およびこの
液晶組成物を用いた液晶素子に関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】現在、広汎に使用されている液晶
化合物を用いた表示デバイスは、通常はTN(ツイスト
ネマチック)モードによって駆動されている。
【0003】しかしながら、この方式を採用した場合、
表示されている画像を変えるためには、素子中における
液晶化合物の分子の位置を変える必要があるために、駆
動時間が長くなり、液晶化合物の分子位置を変えるため
に必要とする電圧、すなわち消費電力も大きくなるとい
う問題点がある。
【0004】強誘電性液晶化合物あるいは反強誘電性液
晶化合物を用いたスイッチング素子は、TNモードある
いはSTNモードを利用したスイッチング素子とは異な
り、液晶化合物の分子の配向方向を変えるだけでスイッ
チング素子として機能させることができるため、スイッ
チング時間が非常に短縮される。さらに、強誘電性液晶
化合物あるいは反強誘電性液晶化合物のもつ自発分極
(Ps)と電界強度(E)とにより与えられるPs×E
の値が液晶化合物の分子の配向方向を変えるための実効
エネルギー強度であるので、スイッチング時間が高速に
なる。強誘電性液晶化合物は、印加電界の方向によって
二つの安定状態、すなわち双安定性を、また反強誘電性
液晶化合物は三安定を持つので、スイッチングのしきい
値特性も非常に良好であり、動画用の表示デバイスなど
として用いるのに特に適している。
【0005】
【従来技術における問題点】このような強誘電性液晶化
合物あるいは反強誘電性液晶化合物を光スイッチング素
子などに使用する場合、強誘電性液晶化合物あるいは反
強誘電性液晶化合物には、たとえば動作温度範囲が常温
付近あるいはそれ以下にあること、動作温度幅が広いこ
と、スイッチング速度が大きい(速い)ことおよびスイ
ッチングしきい値電圧が適正な範囲内にあることなど多
くの特性が要求される。殊にこれらのうちでも、動作温
度範囲は強誘電性液晶化合物あるいは反強誘電性液晶化
合物を実用化する際に特に重要な特性である。
【0006】しかしながら、これまで知られている強誘
電性液晶化合物あるいは反強誘電性液晶化合物では、た
とえば、R.B.Meyer,et.al.,の論文[ジャーナル・デ・
フイジーク(J.de Phys.)36巻L-69頁、1975年]、Y.Su
zuki,et al.,の論文[リキッドクリスタルズ(liquid C
rystals)6巻 167頁、1989年]に記載されているよう
に、一般に動作温度が狭く、また動作温度範囲が広い強
誘電性液晶化合物であっても動作温度範囲が室温を含ま
ない高温度域であるなど、強誘電性液晶化合物として実
用上満足できるものは得られていない。
【0007】また、現在までに製造されている強誘電性
液晶化合物または反強誘電性液晶化合物の多くは、低電
圧駆動時におけるスイッチング時間が充分高速ではない
ため、低電圧駆動時におけるスイッチング速度の速い液
晶組成物が求められている。
【0008】
【発明の目的】本発明は、液晶組成物、およびこの液晶
組成物を用いた液晶素子を提供することを目的としてい
る。さらに詳しくは、本発明は、低電圧駆動時にスイッ
チング速度が速い液晶素子を形成することができる液晶
組成物およびこの用途を提供することを目的としてい
る。
【0009】
【発明の概要】本発明の液晶組成物は、次式(I)で表
される含フッ素カルボン酸エステル化合物と、次式(I
I)で表される含フッ素カルボン酸エステル化合物とか
らなることを特徴としている;
【0010】
【化3】
【0011】(式中、R1 は、炭素原子数6〜16のア
ルキル基、炭素原子数6〜16のハロゲン化アルキル基
であり、これらの基を構成する−CH2−基、−CHL
−基または−CL2−基(ただし、Lはハロゲン原子で
ある)であって、X1 と直接結合していない基のうち、
互いに隣接しない基の一部は−O−基で置換されていて
もよく、また前記アルキル基またはハロゲン化アルキル
基は光学活性を有していてもよく、R2 は、炭素原子数
1〜12のアルキル基であり、mは、2〜5の整数であ
り、X1 は、−O−基または単結合である)
【0012】
【化4】
【0013】(式中、R3 は、炭素原子数6〜14のア
ルキル基、炭素原子数6〜14のハロゲン化アルキル基
であり、これらの基を構成する−CH2−基、−CHL
−基または−CL2−基(ただし、Lはハロゲン原子で
ある)であって、X2 と直接結合していない基のうち、
互いに隣接しない基の一部は−O−基で置換されていて
もよく、また前記アルキル基またはハロゲン化アルキル
基は光学活性を有していてもよく、R4 は、炭素原子数
1〜12のアルキル基であり、nは、1〜5の整数であ
り、X2 は、−O−基または単結合であり、YおよびZ
は、nが1〜4でありかつ前記式(I)のmが2〜5で
あるとき、あるいは、nが5でありかつ前記式(I)の
mが2〜4であるときそれぞれ独立して水素原子または
フッ素原子(ただし、いずれもフッ素原子の場合を除
く)であり、nが5でありかつ前記式(I)のmが5で
あるときYは水素原子であり、Zはフッ素原子であ
る)。
【0014】本発明の液晶組成物は、含フッ素カルボン
酸エステル化合物(I)が前記式(I)においてmが2
または3である含フッ素カルボン酸エステル化合物であ
り、含フッ素カルボン酸エステル化合物(II)が前記式
(II)においてnが2または3である含フッ素カルボン
酸エステル化合物であることが好ましい。
【0015】本発明の液晶素子は、互いに対向する二枚
の基板と該基板によって構成される間隙とからなるセ
ル、および該セルの間隙に充填された液晶材料より構成
される液晶素子であって、該液晶材料が前記液晶組成物
を含有することを特徴としている。
【0016】本発明により優れた液晶特性を有する液晶
組成物、特に低電圧駆動時にスイッチング速度が速い液
晶組成物が提供される。本発明の液晶組成物を液晶材料
として用いることにより、低電圧駆動時にスイッチング
速度が高速で、動作温度範囲が広く、消費電力がきわめ
て少なく、しかも安定したコントラストが得られるなど
の優れた特性を有する液晶素子を得ることができる。
【0017】
【発明の具体的説明】以下、本発明の液晶組成物および
液晶素子について具体的に説明する。まず、本発明の液
晶組成物について説明する。
【0018】本発明の液晶組成物は、下記式(I)で表
される含フッ素カルボン酸エステル化合物(I)と、下
記式(II)で表される含フッ素カルボン酸エステル化合
物(II)とから形成されている。
【0019】本発明の液晶組成物を形成する含フッ素カ
ルボン酸エステル化合物(I)は、下記式(I)で表さ
れる化合物である。
【0020】
【化5】
【0021】式中、R1 は、炭素原子数6〜16のアル
キル基、炭素原子数6〜16のハロゲン化アルキル基で
ある。ここでアルキル基またはハロゲン化アルキル基
は、直鎖状または分枝状のいずれの形態であってもよい
が、R1 が直鎖状のアルキル基またはハロゲン化アルキ
ル基である分子は、棒状構造を取り易く、優れた液晶性
を示す。
【0022】このような直鎖状のアルキル基の具体的な
例としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノ
ニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラ
デシル基、ヘキサデシル基などを挙げることができる。
【0023】また、直鎖状のハロゲン化アルキル基の具
体例としては、上記アルキル基の水素原子がフッ素原
子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子で置換され
た基などが挙げられる。
【0024】なお、これらのアルキル基またはハロゲン
素化アルキル基は光学活性を有していてもよい。さら
に、本発明では、R1 の一部を形成する−CH2−基、
−CHL−基または−CL2−基(ただし、Lはフッ素
原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子であ
る。)であって、X1 と直接結合していない基のうち、
互いに隣接しない−CH2−基、−CHL−基または−
CL2−基の一部が−O−基で置換されていてもよい。
たとえば、アルキル基において上記のような−CH2
基が−O−基で置換された基の具体的例としては、2-ヘ
キシルオキシメチル基およびノニルオキシメチル基を挙
げることができる。
【0025】R2 は、炭素原子数1〜12のアルキル基
であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、
オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基および
ドデシル基を挙げることができる。これらの基は、直鎖
状であっても分岐鎖を有していてもよい。
【0026】mは、2〜5の整数であり、好ましくは2
または3である。X1 は、−O−基または単結合であ
る。上記式(I)で表される化合物において、mが、2
または3である化合物を液晶材料として使用すると、m
が4以上である化合物を使用した場合に比べて、チルト
角が大きくなり、同時に応答速度が向上する。
【0027】このような含フッ素カルボン酸エステル化
合物(I)の具体的な例としては、たとえば次表1-(1)
〜表1-(4)に示す化合物を挙げることができる。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】上記のような含フッ素カルボン酸エステル
化合物(I)は、公知の合成技術を組み合わせて製造す
ることができる。たとえば、含フッ素カルボン酸エステ
ル化合物(I)のうち、mが3である含フッ素カルボン
酸エステル化合物(Ia)は、以下に示す合成経路に従っ
て合成することができる。
【0033】
【化6】
【0034】すなわち、たとえば、2-フルオロ-4-ヒド
ロキシ安息香酸(i)を、酸化ジ-n-ブチルスズなどの
触媒存在下、ベンジルブロマイドと反応させて、安息香
酸 ベンジルエステル誘導体(ii)を得る。
【0035】次に、この安息香酸 ベンジルエステル誘
導体(ii)と、4'-アルキル-4-ビフェニルカルボン酸ま
たは4'-アルコキシ-4-ビフェニルカルボン酸とをN,N-ジ
メチル-4-アミノピリジンなどの有機塩基を触媒として
用い、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの脱水縮合
剤の存在下、塩化メチレン、クロロホルムなどの溶媒中
で反応させ、さらにパラジウム炭素などの水素化触媒の
存在下に水素と反応させることにより安息香酸誘導体
(iv)を得る。
【0036】一方、これとは別にトリフルオロメチル基
を含むケトン(v)を還元剤で還元して含フッ素アルコ
ール(vi)を得る。ここで用いられる還元剤としては、
カルボニル基をヒドロキシ基に変換できる試剤であれば
特に限定されることはなく、たとえば水素化ホウ素ナト
リウム、水素化アルミニウムリチウムなどが挙げられ
る。また、反応溶媒は、還元剤として水素化アルミニウ
ムリチウムを用いる場合には、ジエチルエーテル、テト
ラヒドロフランなどを用いることが好ましい。反応温度
は、特に制限されないが、室温付近で反応させることが
好ましい。さらに、含フッ素アルコール(vi)を常法に
よりエステル化しエステル化合物(vii)を得る。エス
テル化剤としては、カルボン酸塩化物が好ましく、塩化
アセチル、塩化プロピオニル、塩化ブチリルなどが挙げ
られる。次いで、エステル化合物(vii)を加水分解酵
素を用いて不斉加水分解を行い光学活性アルコール(vi
ii)を得る。加水分解酵素としては、たとえば、リパー
ゼP、リパーゼMY、リパーゼOF、セルラーゼなどが
挙げられる。加水分解酵素の使用量は、原料のエステル
化合物(vii)1ミリモル当たり、500〜5000uni
tである。反応は、通常水中、またはメタノール、エタ
ノールなどの水溶性溶媒と水との混合溶媒中で実施され
る。原料のエステル化合物(vii)は、これらの溶媒に
対して、通常1〜40重量%、好ましくは3〜30重量
%の割合で用いられる。反応混合物のpHは、6〜8の
範囲にあることが好ましく、反応温度は10〜40℃程
度である。
【0037】次に、安息香酸誘導体(iv)と光学活性ア
ルコール(viii)とを、脱水縮合剤と触媒との存在下、
塩化メチレン、クロロホルムなどの溶媒中で反応させる
ことにより、容易に含フッ素カルボン酸エステル化合物
(Ia)を得ることができる。ここで、脱水縮合剤として
は、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどが用いられ、
触媒としては、N,N-ジメチル-4-アミノピリジンなどの
有機塩基が用いられる。
【0038】以上、上記式(I)においてmが3である
含フッ素カルボン酸エステル化合物の合成方法について
説明したが、式(I)においてmが2,4または5の整
数である含フッ素カルボン酸エステル化合物も、メチレ
ン基の数が2,4または5の整数である光学活性アルコ
ールを使用すれば上記と同様にして合成することができ
る。
【0039】なお、上記方法は、含フッ素カルボン酸エ
ステル化合物(I)の製造方法の一例であり、含フッ素
カルボン酸エステル化合物(I)は、この製造方法によ
って限定されるものではない。
【0040】本発明の液晶組成物を形成する含フッ素カ
ルボン酸エステル化合物(II)は、下記式(II)で表さ
れる化合物である。
【0041】
【化7】
【0042】式中、R3 は、炭素原子数6〜14のアル
キル基、炭素原子数6〜14のハロゲン化アルキル基で
ある。ここでアルキル基またはハロゲン化アルキル基
は、直鎖状または分枝状のいずれの形態であってもよい
が、R3 が直鎖状のアルキル基またはハロゲン化アルキ
ル基である分子は、棒状構造を取り易く、優れた液晶性
を示す。
【0043】このような直鎖状のアルキル基の具体的な
例としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノ
ニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラ
デシル基などを挙げることができる。
【0044】また、直鎖状のハロゲン化アルキル基の具
体例としては、上記アルキル基の水素原子がフッ素、塩
素、臭素などのハロゲン原子で置換された基が挙げられ
る。なお、これらのアルキル基またはハロゲン化アルキ
ル基は光学活性を有していてもよい。
【0045】さらに、本発明では、R3 の一部を形成す
る−CH2−基、−CHL−基または−CL2−基(ただ
し、Lはフッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲ
ン原子である。)であって、X2 と直接結合していない
基のうち、互いに隣接しない−CH2−基、−CHL−
基または−CL2−基の一部が−O−基で置換されてい
てもよい。たとえば、アルキル基において上記のような
−CH2−基が−O−基で置換された基の具体的例とし
ては、2-ヘキシルオキシメチル基およびノニルオキシメ
チル基を挙げることができる。
【0046】R4 は、炭素原子数1〜12のアルキル基
であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、
オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基および
ドデシル基を挙げることができる。これらの基は、直鎖
状であっても分岐鎖を有していてもよい。
【0047】X2 は、−O−基または単結合である。n
は、1〜5の整数であり、好ましくは2または3であ
る。上記式(II)で表される化合物において、nが、2
または3である化合物を液晶材料として使用すると、n
が4以上である化合物を使用した場合に比べて、チルト
角が大きくなり、同時に応答速度が向上する。
【0048】YおよびZは、nが1〜4でありかつ前記
式(I)のmが2〜5であるとき、あるいは、nが5で
ありかつ前記式(I)のmが2〜4であるときそれぞれ
独立して水素原子またはフッ素原子(ただし、いずれも
フッ素原子の場合を除く)であり、nが5でありかつ前
記式(I)のmが5であるときYは水素原子であり、Z
はフッ素原子である。
【0049】このような含フッ素カルボン酸エステル化
合物(II)の具体的な例としては、たとえば次表2-(1)
〜表2-(9)に示す化合物を挙げることができる。
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】
【表7】
【0053】
【表8】
【0054】
【表9】
【0055】
【表10】
【0056】
【表11】
【0057】
【表12】
【0058】
【表13】
【0059】上記のような含フッ素カルボン酸エステル
化合物(II)は、公知の合成技術を組み合わせて製造す
ることができる。たとえば、含フッ素カルボン酸エステ
ル化合物(II)のうち、Yが水素原子であり、Zがフッ
素原子であり、nが3である含フッ素カルボン酸エステ
ル化合物(IIa)は、前記含フッ素カルボン酸エステル
化合物(I)の合成経路において、4'-アルコキシ-4-ビ
フェニルカルボン酸の代わりに4'-アルキル安息香酸ま
たは4'-アルコシキ安息香酸を使用すれば同様に合成で
きる。
【0060】
【化8】
【0061】また、含フッ素カルボン酸エステル化合物
(II)のうち、Yが水素原子でありZが水素原子である
化合物は、上記反応経路において2-フルオロ-4-ヒドロ
キシ安息香酸(i)の代わりに4-ヒドロキシ安息香酸を
使用すれば上記と同様に合成でき、Yがフッ素原子であ
りZが水素原子である化合物は、上記反応経路において
2-フルオロ-4-ヒドロキシ安息香酸(i)の代わりに3-
フルオロ-4-ヒドロキシ安息香酸を使用すれば上記と同
様に合成できる。
【0062】以上、上記式(II)においてnが3である
含フッ素カルボン酸エステル化合物の合成方法について
説明したが、式(II)においてnが2,4または5の整
数である含フッ素カルボン酸エステル化合物も、メチレ
ン基の数が2,4または5の整数である光学活性アルコ
ールを使用すれば上記と同様にして合成することができ
る。
【0063】なお、上記方法は、含フッ素カルボン酸エ
ステル化合物(II)の製造方法の一例であり、含フッ素
カルボン酸エステル化合物(II)は、この製造方法によ
って限定されるものではない。
【0064】本発明の液晶組成物は、上記含フッ素カル
ボン酸エステル化合物(I)および上記含フッ素カルボ
ン酸エステル化合物(II)を含有している。この液晶組
成物中には、含フッ素カルボン酸エステル化合物(I)
および含フッ素カルボン酸エステル化合物(II)がモル
比〔(I):(II)〕で99:1〜50:50、好まし
くは99:1〜70:30の割合で含有されていること
が望ましい。
【0065】本発明では、含フッ素カルボン酸エステル
化合物(I)が前記式(I)においてmが2または3で
ある含フッ素カルボン酸エステル化合物であり、含フッ
素カルボン酸エステル化合物(II)が前記式(II)にお
いてnが2〜5である含フッ素カルボン酸エステル化合
物であるか、あるいは含フッ素カルボン酸エステル化合
物(I)が前記式(I)においてmが2〜5である含フ
ッ素カルボン酸エステル化合物であり、含フッ素カルボ
ン酸エステル化合物(II)が前記式(II)においてnが
2または3である含フッ素カルボン酸エステル化合物で
あることが好ましく、含フッ素カルボン酸エステル化合
物(I)が前記式(I)においてmが2または3である
含フッ素カルボン酸エステル化合物であり、含フッ素カ
ルボン酸エステル化合物(II)が前記式(II)において
nが2または3である含フッ素カルボン酸エステル化合
物であることがより好ましい。
【0066】本発明の液晶組成物において、含フッ素カ
ルボン酸エステル化合物(I)と含フッ素カルボン酸エ
ステル化合物(II)との組み合せとして具体的には、下
記のような組み合わせが挙げられる。
【0067】すなわち、含フッ素カルボン酸エステル化
合物(I)が、次式(Ib)で表される化合物である場
合、下記表3-(1)〜表3-(4)に示す含フッ素カルボン酸
エステル化合物(II)と組み合わせることが好ましい。
【0068】
【化9】
【0069】
【表14】
【0070】
【表15】
【0071】
【表16】
【0072】
【表17】
【0073】上記表3-(1)〜表3-(4)に示す化合物のう
ち、nが2または3である含フッ素カルボン酸エステル
化合物(II)が好ましい。また、含フッ素カルボン酸エ
ステル化合物(I)が、次式(Ic)で表される化合物で
ある場合、下記表4-(1)〜表4-(4)、表5-(1)〜表5-
(4)、表6-(1)〜表6-(4)に示す含フッ素カルボン酸エ
ステル化合物(II)と組み合わせることが好ましい。
【0074】
【化10】
【0075】
【表18】
【0076】
【表19】
【0077】
【表20】
【0078】
【表21】
【0079】
【表22】
【0080】
【表23】
【0081】
【表24】
【0082】
【表25】
【0083】
【表26】
【0084】
【表27】
【0085】
【表28】
【0086】
【表29】
【0087】上記表4-(1)〜表4-(4)、表5-(1)〜表5
-(4)、表6-(1)〜表6-(4)に示す化合物のうち、nが2
または3である含フッ素カルボン酸エステル化合物(I
I)が好ましい。
【0088】また、含フッ素カルボン酸エステル化合物
(I)が、次式(Id)で表される化合物である場合、下
記表7-(1)〜表7-(3)、表8-(1)〜表8-(3)、表9-(1)
〜表9-(4)に示す含フッ素カルボン酸エステル化合物
(II)と組み合わせることが好ましい。
【0089】
【化11】
【0090】
【表30】
【0091】
【表31】
【0092】
【表32】
【0093】
【表33】
【0094】
【表34】
【0095】
【表35】
【0096】
【表36】
【0097】
【表37】
【0098】
【表38】
【0099】
【表39】
【0100】上記表7-(1)〜表7-(3)、表8-(1)〜表8
-(3)、表9-(1)〜表9-(4)に示す化合物のうち、nが2
または3である含フッ素カルボン酸エステル化合物(I
I)が好ましい。
【0101】本発明の液晶組成物は、本発明の目的の範
囲内で他の液晶化合物が含有されていてもよく、このよ
うな液晶化合物の例としては、
【0102】
【化12】
【0103】のような液晶化合物の他、
【0104】
【化13】
【0105】あるいは
【0106】
【化14】
【0107】のような環状構造を有するとともに光学活
性を有する化合物を挙げることができる。さらに、
【0108】
【化15】
【0109】のようなシッフ塩基系液晶化合物、
【0110】
【化16】
【0111】のような安息香酸エステル系液晶化合物、
【0112】
【化17】
【0113】のようなシクロヘキシルカルボン酸エステ
ル系液晶化合物、
【0114】
【化18】
【0115】のようなビフェニル系液晶化合物、
【0116】
【化19】
【0117】のようなターフェニル系液晶化合物、
【0118】
【化20】
【0119】のようなシクロヘキシル系液晶化合物、お
よび
【0120】
【化21】
【0121】のようなピリミジン系液晶化合物を挙げる
ことができる。特に本発明の液晶組成物と共に使用でき
る液晶化合物のうちで好ましい例としては、
【0122】
【化22】
【0123】あるいは
【0124】
【化23】
【0125】が挙げられる。本発明の液晶組成物中に
は、さらに、たとえば電導性賦与剤および寿命向上剤な
ど、通常の液晶組成物に配合される添加剤が配合されて
いてもよい。
【0126】本発明の液晶組成物は、上記のような含フ
ッ素カルボン酸エステル化合物(I)および(II)、な
らびに所望により他の液晶材料および添加剤を混合する
ことにより常法により製造することができる。
【0127】上述した液晶組成物(液晶物質)は、電圧
を印加することにより、光スイッチング現象を起こすの
で、この現象を利用して応答性の良い表示装置を作成す
ることができる。本発明において、このような現象を利
用した素子あるいは素子の駆動方法に関しては、たとえ
ば特開昭56−107216号 公報および同59−1
18744号公報を参照することができる。
【0128】このような表示装置で使用される液晶物質
としては、スメクチックC相、F相、G相、H相、I
相、J相およびK相のいずれかの相を示す化合物を使用
することができるが、スメクチックC相以外では、この
ような液晶物質を用いた表示素子の応答速度が一般に遅
くなる(低くなる)ため、従来から、実用上は、応答速
度の高いスメクチックC相で駆動させることが有効であ
るとされていた。しかしながら、本発明においてはスメ
クチックC相だけでなく、スメクチックA相で使用する
こともできる。
【0129】本発明の液晶素子は、液晶物質が充填され
たセルと偏光板とからなる。すなわち、本発明の液晶素
子は、たとえば、図1に示すように、液晶物質を充填す
る間隙14を形成するように配置された二枚の透明基板
11a,11bと、この二枚の透明基板11a,11b
の液晶物質12に対面する面に形成された透明電極15
a,15bとからなるセル13と、このセル13の間隙
14に充填された液晶物質12およびこのセル13の両
外側に一枚ずつ配置された偏光板(図示なし)から形成
されている。
【0130】本発明において、透明基板としては、たと
えば、ガラス板および透明高分子化合物板などを用いる
ことができる。透明基板の厚さは、たとえばガラス基板
の場合には通常は0.01〜1.0mmの範囲内にあ
る。
【0131】また、本発明においては、透明基板とし
て、可撓性透明基板を用いることもできる。この場合、
透明基板の少なくとも一方の基板として可撓性透明基板
を用いることができ、さらに両者とも可撓性基板であっ
てもよい。このような可撓性透明基板としては、高分子
フィルムなどを用いることができる。
【0132】このような透明基板の表面には透明電極が
設けられている。透明電極は、たとえば酸化インジウム
あるいは酸化スズなどで透明基板表面をコーティングす
ることにより形成される。透明電極は、公知の方法によ
り形成することができる。透明電極の厚さは通常は10
0〜2000Åの範囲内にある。
【0133】このような透明電極が設けられた透明基板
には、さらに透明電極上に配向層あるいは強誘電体層が
設けられていてもよい。配向層としては、たとえば有機
シランカップリング剤あるいはカルボン酸多核錯体など
を化学吸着させることにより形成される有機薄膜および
無機薄膜を挙げることができる。有機薄膜の例として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポ
リアミド、ポリビニルアルコール(ポバール)およびポ
リイミドのような高分子薄膜を挙げることができる。こ
のような有機薄膜は、塗布、接着、蒸着、あるいは、基
板上での重合(たとえばプラズマ重合)などの方法で形
成することができる。また、無機薄膜の例としては、酸
化珪素、酸化ゲルマニウムおよびアルミナなどの酸化物
薄膜、窒化珪素のような窒化物薄膜並びに他の半導体薄
膜を挙げることができる。
【0134】さらに、上記のような薄膜に配向性を賦与
する方法には、膜成形時に薄膜自体に異方性あるいは形
状特異性を賦与する方法、薄膜作成後に外部から配向性
を賦与する方法がある。具体的には、透明電極上にポリ
イミド樹脂などの高分子物質を塗布して薄膜を形成した
後、この薄膜を一定方向にラビングする方法、高分子フ
ィルムを延伸して配向性を賦与する方法、酸化物を斜方
蒸着する方法などを挙げることができる。
【0135】上記のような透明基板を二枚、それぞれの
透明電極が対面し、かつこの透明基板により液晶物質を
充填する間隙が形成されるように配置する。上記のよう
にして形成される間隙の幅は、通常は1〜10μm、好
ましくは1〜5μmである。このような間隙は、たとえ
ば、スペーサを挟持するように二枚の基板を配置するこ
とにより形成することができる。このようなスペーサと
しては、たとえば、感光性ポリイミド前駆体をパターニ
ングして得られるポリイミド系高分子物質などを用いる
ことができる。スペーサを用いることにより、このスペ
ーサと液晶物質との界面効果によってモノドメインが形
成される。
【0136】また、図2(a)およびこのA−A断面図
である図2(b)に示すように、たとえば、配向膜とし
て作用する同心円形状のスペーサ26を用いて配向膜と
スペーサとを一体化することもできる。図2(a)およ
び(b)において、透明基板は27で、透明電極は25
で、液晶物質は23で示されている。
【0137】また、図3(a)およびこのA−A断面図
である図3(b)に示すように、たとえば、配向膜とし
て作用するクシ状のスペーサ36を用いて配向膜とスペ
ーサとを一体化することもできる。図3(a)および
(b)において、透明基板は37で、透明電極は35
で、液晶物質は33で示されている。
【0138】また、図4に示すように、上記のようなス
ペーサの他に、液晶物質43中にファイバー46を配合
して、このファイバーにより、透明電極45が付設され
た透明基板47が一定の間隙を形成するように保持する
こともできる。
【0139】さらに、上記ファイバーの替わりに、ある
いは上記ファイバーと共に粒状物を配合することもでき
る。このような粒状物としては、メラミン樹脂、尿素樹
脂あるいはベンゾグアナミン樹脂などからなる粒子径が
1〜10μmの粒状物を挙げることができる。
【0140】上記のようにして間隙を形成して配置され
た二枚の透明基板は、通常は周辺をシール材でシールす
ることにより貼り合わされる。シール材としては、エポ
キシ系樹脂、シリコン系樹脂などを用いることができ
る。このエポキシ樹脂などの樹脂は、アクリル系材料、
シリコン系ゴムなどで変性されていてもよい。
【0141】上記のような構成を有する液晶セルの間隙
には、上述したような液晶組成物を含む液晶物質が充填
されている。液晶セルの間隙に充填されたこのような液
晶物質は、たとえばスペーサエッジを利用した温度勾配
法あるいは配向膜を用いた表面処理法などの一軸配向制
御方法を利用して配向させることができる。また、本発
明においては、たとえば、液晶物質を加熱しながら、直
流バイアス電圧を用いて電界を印加することにより、液
晶物質の初期配向を行うこともできる。
【0142】このようにして液晶物質が充填され、初期
配向された液晶セルは、二枚の偏光板の間に配置され
る。さらに図5に示すように、上記のようにして調製さ
れた二枚の透明基板57、透明電極55および液晶物質
53からなるセル58を、この二枚の偏光板56の間に
二個以上配置することもできる。
【0143】本発明の液晶素子において、それぞれの偏
光板の偏光面のなす角度(回転角)が70〜110度に
なるように配置することができる。そして、この二枚の
偏光板の偏光方向が直交するように、すなわち上記角度
が90度になるように偏光板を配置することが好まし
い。
【0144】このような偏光板としては、たとえばポリ
ビニルアルコール樹脂フィルム、ポリビニルブチラール
樹脂フィルムなどの樹脂フィルムを、ヨウ素などの存在
下で延伸することによりフィルム中にヨウ素を吸収させ
て偏光性を賦与した偏光フィルムを用いることができ
る。このような偏光フィルムは、他の樹脂などで表面を
被覆して多層構造にすることもできる。
【0145】本発明において、上記のような液晶セル
は、上記のように配置された2枚の偏光板の間に、透過
する光量が最も少ない状態(すなわち、最暗状態)から
±10度の範囲内の角度(回転角度)を形成するよう
に、好ましくは最暗状態になるように二枚の偏光板の間
に配置することができる。また、上記のように配置され
た2枚の偏光板の間に、透過する光量が最も多い状態
(すなわち、最明状態)から±10度の範囲内の角度
(回転角度)を形成するように、好ましくは最明状態に
なるように二枚の偏光板の間に配置することができる。
【0146】本発明の液晶素子は、たとえば図1に示す
ように、上記のような液晶物質15をセル13の間隙1
4に充填して、この液晶物質15を初期配向させること
により製造することができる。
【0147】液晶物質15は、通常、溶融状態になるま
で加熱され、この状態で内部が減圧にされているセルの
間隙14に充填(注入)される。このように液晶物質を
充填した後、セル13に設けられている液晶物質の注入
口は密封される。
【0148】次いで、このように注入口が密封されたセ
ル13をセル内に充填された液晶物質15が等方相を示
す温度以上の温度に加熱し、その後、この液晶物質15
が液晶を示す温度にまで冷却する。
【0149】そして、本発明においては、この冷却の際
の降温速度を2℃/分以下にすることが好ましい。特に
降温速度を0.1〜2.0℃/分の範囲内にすることが
好ましく、さらに0.1〜0.5℃/分の範囲内にする
ことが特に好ましい。このような冷却速度でセル13を
冷却することにより、液晶物質15の初期配合状態が改
善され、配向欠陥の少ないモノドメインからなる液晶相
を有する液晶素子を容易に形成することができる。ここ
で初期配向性とは、液晶素子に電圧の印加などを行って
液晶物質の配向ベクトルを変える前の液晶物質の配列状
態をいう。
【0150】このようにして形成される本発明の液晶素
子は、従来の液晶素子と比較して、コントラストなどの
特性が著しく優れ、たとえば表面安定化強誘電性液晶素
子、ヘリカル変調素子、過度散乱型素子、ゲストホスト
型素子、垂直配向液晶素子などとして好適に使用するこ
とができる。
【0151】たとえば、本発明の液晶素子に、電界を印
加することによりこの液晶素子を駆動させる場合には、
周波数が通常は1Hz〜100KHz、好ましくは10
Hz〜10KHz、電界が通常は0.01〜60Vp-p
/μmt (厚さ1μm当たりの電圧)、好ましくは0.
05〜30Vp-p /μmt に制御された電界をかけるこ
とにより駆動させることができる。
【0152】そして、前記液晶組成物を使用した本発明
の液晶素子は、電界を印加して駆動する際に印加する電
界の波形(駆動波)の幅を変えることにより、この液晶
素子を透過する光量が2種類のヒステリシス曲線を描く
ようになる。このうち一方は、いわゆる双安定型を利用
する駆動方法であり、もう一方は、いわゆる三安定型を
利用する駆動方法である。
【0153】上記のような光学活性を有する液晶材料が
充填された液晶セルを、偏光面が直交するように配置さ
れた二枚の偏光板の間に、電界を印加しない状態で最暗
状態になるように配置した本発明の液晶素子に、たとえ
ば周波数50Hz〜100KHz、好ましくは70Hz
〜10KHzの矩形波(あるいはパルス波)、三角波、
正弦波およびこれらを組み合わせた波形の内のいずれか
の波形の電界を印加することによりこの液晶素子を駆動
させることができる。たとえば、矩形波(あるいはパル
スまたは両者の組み合わせ波)を印加する場合には、電
界の幅を10ミリ秒以下、好ましくは0.01〜10ミ
リ秒の範囲内にすることにより、液晶素子の駆動速度を
高くすることができ、この領域では本発明の液晶素子を
双安定型液晶素子として使用することができる。また、
この電界の幅を10ミリ秒より大きくすることにより、
好ましくは33〜1000ミリ秒の範囲内にすることに
より、それほど高速で駆動することが必要でない領域
で、本発明の液晶素子を三安定型液晶素子として使用す
ることができる。ここで、電界の幅とは、たとえば矩形
波では、所定の電圧に維持される電界の長さ(すなわち
時間)を意味する。
【0154】本発明の液晶素子を用いて各種の液晶表示
装置および電気光学表示装置を製造することができる。
また、本発明の液晶素子の内、スメクチック相を呈する
液晶物質が充填された液晶素子は、熱書き込み型液晶表
示素子、レーザー書き込み型液晶表示素子などの記憶型
液晶表示装置のような液晶表示装置あるいは電気光学表
示装置を製造することができる。さらに、強誘電性を示
し、かつ鎖状部に光学活性炭素を有する液晶材料を用い
ることにより、上記のような用途の他、光シャッターあ
るいは液晶プリンターなどの光スイッチング素子、圧電
素子および焦電素子のような液晶表示装置(あるいは電
気光学表示装置)を製造することができる。
【0155】すなわち、本発明で使用される液晶物質
は、三安定または双安定性を示すため、双安定状態を達
成するように電界を反転することにより、本発明の液晶
素子に光スイッチング機能あるいは表示機能をもたせる
ことができる。
【0156】また、上記の液晶物質が双安定を示す場
合、この液晶物質は自発分極を有するから、本発明の液
晶素子は一度電圧を印加すると電界消去後もメモリー効
果を有する。そして、このメモリーを維持するために液
晶素子に電界を印加し続ける必要がなく、本発明の液晶
素子を用いた表示装置では消費電力の低減を図ることが
できる。また、三安定を示す場合もメモリー性を維持す
ることができる。しかもこの表示装置は、安定したコン
トラストを有しているので非常に鮮明である。
【0157】さらに、前記液晶組成物を用いた本発明の
スイッチング素子では、分子の配向方向を変えるだけで
スイッチング操作が可能になり、この場合、電界強度の
一次項がこのスイッチング素子の駆動に作用するため、
スイッチング素子では低電圧駆動が可能になる。
【0158】そして、このスイッチング素子を用いるこ
とにより、数十μ秒以下の高速応答性を実現することが
できるので、素子の操作時間は大幅に短縮される。従っ
て、本発明の液晶素子を用いることにより走査線の多い
大画面のディスプレイ(液晶表示装置)を容易に製造す
ることができる。しかも、このディスプレイは、室温あ
るいはそれ以下の温度で駆動させることができるので、
駆動温度をコントロールするための補助手段を用いるこ
となくこのディスプレイを駆動させることができる。
【0159】さらに、本発明の液晶組成物は、一般には
双安定性を示さないとされているスメクチックA相にお
いても、電界が印加されると誘起的に分子が傾くので、
この性質を利用して光スイッチングを行うことできる。
すなわち、従来強誘電性液晶化合物を用いる場合には実
用的な応答速度を達成できないため、通常は使用されて
いなかったスメクチックA相においても、本発明者が既
に特開昭64−3634号公報および特開平2−918
号公報で提案した駆動法および装置を利用することによ
り、本発明の液晶素子を用いた表示装置を駆動させるこ
とが可能である。さらに、本発明の液晶組成物は、スメ
クチックC相よりもさらに高い秩序を有するスメクチッ
クF相などにおいても、二つ以上の安定状態を示すの
で、これらの相における複数の安定状態を利用して上記
と同様にして光スイッチングを行うことができる。
【0160】本発明の液晶素子を用いた表示装置は、種
々の方法で駆動させることができるが、この駆動方法の
具体的な例としては以下に記載する方法を挙げることが
できる。
【0161】第1の方法は、本発明の液晶素子を二枚の
偏光板の間に介在させ、この液晶素子に外部電圧を印加
し、液晶物質の配向ベクトルを変えることにより、二枚
の偏光板と液晶物質の複屈折とを利用して表示を行う方
法である。
【0162】第2の方法は、二色性色素が配合された液
晶物質を用いて色素の二色性を利用する方法である。こ
の方法は液晶化合物の配向方向を変えることにより色素
による光の吸収波長を変えて表示を行う方法である。こ
の場合に使用される色素は、通常は二色性色素であり、
このような二色性色素の例としては、アゾ色素、ナフト
キノン色素、シアニン系色素およびアントラキノン系色
素などを挙げることができる。
【0163】本発明の液晶素子を用いて製造される表示
デバイスは、スタチィック駆動、単純マトリックス駆動
および複合マトリックス駆動などの電気アドレス表示方
式、光アドレス表示方式、熱アドレス表示方式並びに光
ビーム表示方式により駆動させることができる。
【0164】また、本発明の表示装置を電界駆動する際
には各絵素を駆動させるための素子として、非線形素子
あるいは能動素子を用いることができる。より具体的に
は、2端子素子の非線形素子としては、たとえば図6
(a)に示すように一方の透明基板上にバリスタ、MI
M(Metal Insulator Metal)、ダイオードなどを配置し
て、これらの非線形性を利用した素子を挙げることがで
きる。また、3端子素子の能動素子としては、たとえば
図6(b)に示すように、TFT(薄膜トランジス
タ)、Si-MOS(Si-metal oxide semi conductor f
ield-effect transistor)およびSOS(Sillicon on
Sapphire)などが絵素に配置された素子を挙げることが
できる。
【0165】
【発明の効果】本発明の液晶組成物は、特に低電圧駆動
時にスイッチング速度が高速である。このような液晶組
成物を用いることにより、低電圧駆動時にスイッチング
速度が高速で、動作温度範囲が広く、消費電力がきわめ
て少なく、しかも安定したコントラストが得られるなど
の優れた特性を有する各種デバイスを得ることができ
る。
【0166】本発明の液晶素子を用いて製造した液晶デ
ィスプレイでは、低電圧駆動時にスイッチング速度が高
速であり、操作時間を大幅に短縮することができる。こ
のようなディスプレイでは、消費電力の低減を図ること
ができると共に、高いコントラスト、安定したコントラ
ストが得られる。
【0167】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。
【0168】
【実施例1】次式で表される含フッ素カルボン酸エステ
ル化合物(a)と、含フッ素カルボン酸エステル化合物
(b)とを90:10のモル比で混合して液晶組成物を
調製した。
【0169】
【化24】
【0170】この液晶組成物は、25℃において反強誘
電相に特有な3安定状態を示した。この液晶組成物の2
5℃、30V/2μm印加時および15V/2μm印加
時のスイッチング時間とチルト角を測定した。結果を表
10に示す。
【0171】なお、スイッチング時間は下記の方法で測
定した値である。スイッチング時間の測定 反強誘電状態から強誘電状態へのスイッチング(Swichi
ng from the AF-stateto the F-state)に要する時間を
スイッチング時間とした。図7に示すパルス波を試験セ
ルに印加し、その時の透過係数をモニターする。得られ
たチャートから下式によりスイッチング時間を求めるこ
とができる。なお、上記のスイッチング時間を求めた際
の条件は、電圧15V/2μmまたは30V/2μm、
パルス幅10m秒、パルス間隔90m秒である。
【0172】スイッチング時間=tr90−tr0 また、チルト角は下記の方法で測定した値である。チルト角の測定 DC電圧を試験セルに印加し、プラス電圧、マイナス電
圧印加時のそれぞれの最暗位置の角度を求め、それぞれ
θ1、θ2とする。この時チルト角θは下式により求め
られる。
【0173】
【数1】
【0174】なお、上記のチルト角を求めた際の条件は
電圧±30V/2μmである。
【0175】
【参考例1】特開平5−65486号公報に記載された
次式で表される含フッ素カルボン酸エステル化合物
(a)と、含フッ素カルボン酸エステル化合物(c)と
からなる液晶組成物の25℃、30V/2μm印加時の
スイッチング時間とチルト角を測定した。なお、この液
晶化合物は25℃、15V/2μm印加時にはスイッチ
ングしなかった。結果を表10に示す。
【0176】
【化25】
【0177】
【参考例2】前記含フッ素カルボン酸エステル化合物
(a)の、25℃、30V/2μm印加時および15V
/2μm印加時のスイッチング時間とチルト角を測定し
た。結果を表10に示す。
【0178】
【実施例2】次式で表される含フッ素カルボン酸エステ
ル化合物(d)と、前記含フッ素カルボン酸エステル化
合物(b)とを90:10のモル比で混合して液晶組成
物を調製した。
【0179】
【化26】
【0180】この液晶組成物は、25℃において反強誘
電相に特有な3安定状態を示した。この液晶組成物の2
5℃、30V/2μm印加時および15V/2μm印加
時のスイッチング時間とチルト角を測定した。結果を表
10に示す。なお、前記含フッ素カルボン酸エステル化
合物(d)は、25℃において結晶であった。
【0181】
【実施例3】前記含フッ素カルボン酸エステル化合物
(d)と、次式で表される含フッ素カルボン酸エステル
化合物(e)とを90:10のモル比で混合して液晶組
成物を調製した。
【0182】
【化27】
【0183】この液晶組成物は、25℃において反強誘
電相に特有な3安定状態を示した。この液晶組成物の2
5℃、30V/2μm印加時および15V/2μm印加
時のスイッチング時間とチルト角を測定した。結果を表
10に示す。
【0184】
【表40】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶素子の断面形状を模式的に示す図
である。
【図2】同心円形状のスペーサーを有する液晶素子およ
びそのA−A断面図である。
【図3】クシ型スペーサを有する液晶素子およびそのA
−A断面図である。
【図4】スペーサとしてファイバーを用いた本発明の液
晶素子の断面構造を示す図である。
【図5】二枚の偏光板のセルを配置した本発明の液晶素
子の断面構造を示す図である。
【図6】非線形素子および3端子素子の例を示す図であ
る。
【図7】本発明においてスイッチング速度を測定する方
法の説明図である。
【符号の説明】
11a,11b,27a,27b,37,47,57 … 透明基板 12,23,33,43,53 … 液晶物質 13,58 … セル 14 … 間隙 15a,15b,25a,25b,35,45,55 … 透明電極 26 … 同心円形状のスペーサ 36 … クシ型スペーサ 46 … ファイバー 56 … 偏光板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02F 1/141 (72)発明者 西 山 伸 一 千葉県袖ヶ浦市長浦字拓二号580番32 三 井石油化学工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次式(I)で表される含フッ素カルボン酸
    エステル化合物(I)と、次式(II)で表される含フッ
    素カルボン酸エステル化合物(II)とからなることを特
    徴とする液晶組成物; 【化1】 (式中、R1 は、炭素原子数6〜16のアルキル基、炭
    素原子数6〜16のハロゲン化アルキル基であり、これ
    らの基を構成する−CH2−基、−CHL−基または−
    CL2−基(ただし、Lはハロゲン原子である)であっ
    て、X1 と直接結合していない基のうち、互いに隣接し
    ない基の一部は−O−基で置換されていてもよく、また
    前記アルキル基またはハロゲン化アルキル基は光学活性
    を有していてもよく、 R2 は、炭素原子数1〜12のアルキル基であり、 mは、2〜5の整数であり、 X1 は、−O−基または単結合である) 【化2】 (式中、R3 は、炭素原子数6〜14のアルキル基、炭
    素原子数6〜14のハロゲン化アルキル基であり、これ
    らの基を構成する−CH2−基、−CHL−基または−
    CL2−基(ただし、Lはハロゲン原子である)であっ
    て、X2 と直接結合していない基のうち、互いに隣接し
    ない基の一部は−O−基で置換されていてもよく、また
    前記アルキル基またはハロゲン化アルキル基は光学活性
    を有していてもよく、 R4 は、炭素原子数1〜12のアルキル基であり、 nは、1〜5の整数であり、 X2 は、−O−基または単結合であり、 YおよびZは、nが1〜4でありかつ前記式(I)のm
    が2〜5であるとき、あるいは、nが5でありかつ前記
    式(I)のmが2〜4であるときそれぞれ独立して水素
    原子またはフッ素原子(ただし、いずれもフッ素原子の
    場合を除く)であり、nが5でありかつ前記式(I)の
    mが5であるときYは水素原子であり、Zはフッ素原子
    である)。
  2. 【請求項2】 前記含フッ素カルボン酸エステル化合物
    (I)が前記式(I)においてmが2または3である含
    フッ素カルボン酸エステル化合物であり、前記含フッ素
    カルボン酸エステル化合物(II)が前記式(II)におい
    てnが2または3である含フッ素カルボン酸エステル化
    合物である請求項1に記載の液晶組成物。
  3. 【請求項3】 互いに対向する二枚の基板と、該基板に
    よって構成される間隙とからなるセル、および該セルの
    間隙に充填された液晶材料より構成される液晶素子であ
    って、 該液晶材料が請求項1または2に記載の液晶組成物を含
    有することを特徴とする液晶素子。
JP13468894A 1994-06-16 1994-06-16 液晶組成物および液晶素子 Expired - Fee Related JP3570745B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13468894A JP3570745B2 (ja) 1994-06-16 1994-06-16 液晶組成物および液晶素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13468894A JP3570745B2 (ja) 1994-06-16 1994-06-16 液晶組成物および液晶素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH083561A true JPH083561A (ja) 1996-01-09
JP3570745B2 JP3570745B2 (ja) 2004-09-29

Family

ID=15134261

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13468894A Expired - Fee Related JP3570745B2 (ja) 1994-06-16 1994-06-16 液晶組成物および液晶素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3570745B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5074139A (en) * 1991-03-04 1991-12-24 Motorola, Inc. Roll forming of semiconductor component leadframes
EP0737733A1 (en) * 1995-04-14 1996-10-16 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Liquid crystal compound having ferrielectric phase and liquid crystal composition
EP0795777A2 (en) * 1996-03-15 1997-09-17 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Liquid crystal display device
US8212475B2 (en) 2009-04-02 2012-07-03 Hamamatsu Photonics K.K. Photocathode, electron tube, and photomultiplier tube

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5074139A (en) * 1991-03-04 1991-12-24 Motorola, Inc. Roll forming of semiconductor component leadframes
EP0737733A1 (en) * 1995-04-14 1996-10-16 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Liquid crystal compound having ferrielectric phase and liquid crystal composition
EP0795777A2 (en) * 1996-03-15 1997-09-17 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Liquid crystal display device
EP0795777A3 (en) * 1996-03-15 1999-05-06 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Liquid crystal display device
US8212475B2 (en) 2009-04-02 2012-07-03 Hamamatsu Photonics K.K. Photocathode, electron tube, and photomultiplier tube

Also Published As

Publication number Publication date
JP3570745B2 (ja) 2004-09-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2952141B2 (ja) 液晶性化合物、それを含む液晶組成物、及びこれを用いた液晶素子
EP0467662B1 (en) Liquid crystal racemic mixture, liquid crystal composition and liquid crystal element, process for manufacturing and uses thereof
EP0566380B1 (en) Carboxylic acid ester compound, liquid crystal material, liquid crystal compositions and liquid crystal element
EP0566379B1 (en) Tetralin compound, liquid crystal material, liquid crystal composition and liquid crystal element
EP0431929B1 (en) Carboxylate compounds, liquid crystal compositions and liquid crystal elements containing said compounds and method of optical modulation using said elements
JP3570745B2 (ja) 液晶組成物および液晶素子
JP4272733B2 (ja) 液晶組成物
JP3779339B2 (ja) 含フッ素カルボン酸エステル化合物、液晶材料、液晶組成物および液晶素子
JPH02255635A (ja) 液晶性化合物およびこれを含む液晶組成物、液晶素子
JP3597556B2 (ja) 液晶組成物および液晶素子
US6007739A (en) Liquid crystal compound, liquid crystal composition, and liquid crystal display device using the same
JP3636522B2 (ja) エーテル基を有するフェニルピリミジン化合物、液晶材料、液晶組成物および液晶素子
JPH04272989A (ja) 液晶組成物、それを有する液晶素子、それ等を用いた表示方法及び表示装置
JP3832904B2 (ja) ナフタレン化合物、液晶組成物および液晶素子
JPH0782256A (ja) 液晶性化合物、それを含有する液晶組成物、それを有する液晶素子及びそれらを用いた表示方法、表示装置
JPS63246346A (ja) 液晶性化合物およびそれを含む液晶組成物
JPS63291980A (ja) 強誘電性液晶素子
JP4297462B2 (ja) 光学活性化合物、液晶組成物および液晶素子
JPH0269427A (ja) 光学活性液晶性化合物、それを含む液晶組成物および液晶素子
JPH0789903A (ja) テトラリン化合物、液晶材料、液晶組成物及び液晶素子
JP2739373B2 (ja) 液晶性化合物、それを含有する液晶組成物およびそれを使用した液晶素子
JPH0859629A (ja) テトラヒドロキナゾリン化合物、それを含有する液晶組成物、それを有する液晶素子及びそれらを用いた表示方法、表示装置
JPH09157224A (ja) 含フッ素カルボン酸エステル化合物、液晶材料、液晶組成物および液晶素子
JPH07316555A (ja) 液晶材料、液晶組成物および液晶素子
JPH0625098A (ja) カルボン酸エステル化合物、液晶材料、液晶組成物及び液晶素子

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20040526

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20040622

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees