JPH083549A - ユーロピウム付活蛍光体 - Google Patents

ユーロピウム付活蛍光体

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JPH083549A
JPH083549A JP16294994A JP16294994A JPH083549A JP H083549 A JPH083549 A JP H083549A JP 16294994 A JP16294994 A JP 16294994A JP 16294994 A JP16294994 A JP 16294994A JP H083549 A JPH083549 A JP H083549A
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composition ratio
phosphor
europium
general formula
emission
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JP16294994A
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Inventor
Bunzo Moriyama
文三 森山
Hirofumi Moriyama
浩文 森山
Tomofumi Moriyama
智文 森山
Teruo Goto
輝夫 後藤
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Tokyo Kagaku Kenkyusho KK
Original Assignee
Tokyo Kagaku Kenkyusho KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 赤色源となる新たなユーロピウム付活蛍光体
を得る。 【構成】 一般式、 Rea-i・Eui.Kb.Mc.Aln.Ox (但し、Reはイットリウム元素(Y)単体又はイットリ
ウム元素(Y)とガドリニウム元素(Gd)との混合、M
は2価の金属元素を示し、各々の元素の組成割合が、4
≦a<8,0.1 ≦i≦2.0 ,0<b<8.0 ,0<c<3.
0 ,1≦n≦12)の組成で示されてなるもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は例えば三波長蛍光ランプ
やカラーテレビ等の赤色源として用いるアルミン酸塩系
蛍光体を母体とするユーロピウム付活蛍光体に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】3価のユーロピウム付活のイットリウム
・ユーロピウム蛍光体は、その赤色発光の効率の高い発
輝スペクトルを有する。従って、有力な赤色源としてカ
ラーテレビ,三波長蛍光ランプ,その他発光デバイス等
で多く使用されている。
【0003】しかし、3価のユーロピウム付活のイット
リウム・ユーロピウム蛍光体の色調は蛍光ランプとして
用いる場合に、赤色源としては、やや赤味にかけるた
め、規格的に演色性(Ra)を重視するニーズに応え難
い問題があった。
【0004】従って、B(青),G(緑),R(赤)の
3原色を組み合わせた場合には、比較的鋭い半値幅を持
つ蛍光体の組み合わせにより、高いランプ特性を得るこ
とができるが、水銀線の問題もあって高い演色性を保持
するには各波長間を、例えば490nm(青緑色)、6
50nm(深赤色)の波長を持つ蛍光物を補填してラン
プ効率を維持しつつ自然に近い発光を得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、各波長
間に他の蛍光物を補填する面倒な作業は、自然にランプ
コストの問題を抱えることになる。従って、現状では、
イットリウム・ユーロピウム蛍光体YOX(Y2O3;Eu
3+ )(以下、YOX蛍光体と記す)のように特に価格
の高い蛍光体の赤色成分の向上を図ることで、ランプ作
成作業工程の簡素化を達成しようとしている。
【0006】例えば、既存のYOX蛍光体の発光の向上
については付活剤であるEu3+の組成割合のアップやその
焼成方法など様々な検討がなされているが、例えばEu3+
の高濃度化でもランプ効率のうえで、適合しないことが
多い。例えば、YOXの発光強度を改良する場合でも、
付活剤の高濃度化を計っても必ずしも蛍光体そのものの
強度は改善されない。
【0007】本発明は、従来の赤色蛍光体の演色性を向
上させるため、赤色源となる新たなユーロピウム付活蛍
光体を得ることを目的とする。更に、従来のYOX蛍光
体(Y2O3;Eu3+ )と同様の蛍光体として用いることので
きる蛍光体を得ること、発光効率が向上し、結晶的に安
定な新たなユーロピウムで付活されたアルミン酸塩系蛍
光体及びこのアルミン酸塩系蛍光体のアルミニウム元素
の代りにガリウム元素を含むユーロピウム付活蛍光体を
得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本請求項1に記載の発明
に係るユーロピウム付活蛍光体では、一般式、 Rea-i・Eui.Kb.Mc.Aln.Ox (但し、Reはイットリウム元素(Y)単体又はイットリ
ウム元素(Y)とガドリニウム元素(Gd)との混合、M
は2価の金属元素を示し、各々の元素の組成割合が、4
≦a<8,0.1 ≦i≦2.0 ,0<b<8.0 ,0<c<3.
0 ,1≦n≦12)の組成で示されてなるものである。
【0009】本請求項2に記載の発明に係るユーロピウ
ム付活蛍光体では、請求項1に記載のユーロピウム付活
蛍光体において、前記アルミニウム元素(Al)の組成割
合nが、6以下であるものである。
【0010】本請求項3に記載の発明に係るユーロピウ
ム付活蛍光体では、請求項1に記載のユーロピウム付活
蛍光体において、前記Reが、イットリウム元素(Y)単
体の場合に、イットリウム元素(Y)とユーロピウム元
素(Eu)との合計の組成割合(a)が、4であるもので
ある。
【0011】本請求項4に記載の発明に係るユーロピウ
ム付活蛍光体では、請求項1に記載のユーロピウム付活
蛍光体において、前記2価の金属(M)が、マグネシウ
ム元素(Mg)であるものである。
【0012】本請求項5に記載の発明に係るユーロピウ
ム付活蛍光体では、請求項4に記載のユーロピウム付活
蛍光体において、前記マグネシウム元素(Mg)の組成割
合cとアルミニウム元素(Al)の組成割合nとの関係
が、c:n=1:4の比であるものである。
【0013】本請求項6に記載の発明に係るユーロピウ
ム付活蛍光体では、請求項1に記載のユーロピウム付活
蛍光体において、前記アルミニウム元素(Al)の一部を
ガリウム元素(Ga)で置換したものである。
【0014】本請求項7に記載の発明に係るユーロピウ
ム付活蛍光体では、請求項2〜6の何れかに記載のユー
ロピウム付活蛍光体において、前記カリウム元素(K)
の組成割合bが、4.8以上であるものである。
【0015】本請求項8に記載の発明に係るユーロピウ
ム付活蛍光体では、一般式、 Ya-i・Eui.Kb.Mgc.Aln.Ox (但し、a=4, 0.3≦i≦0.7 , 4.8≦b≦7.8 ,
0.9≦c≦1.7 ,1≦n≦6)の組成で示されてなるも
のである。
【0016】本請求項9に記載の発明に係るユーロピウ
ム付活蛍光体では、一般式、 Y3.2・Gd1.0・Eu0.3.K7.6.Mg1.0.Al4.O17.55 の組成で示されてなるものである。
【0017】本請求項10に記載の発明に係るユーロピ
ウム付活蛍光体では、一般式、 Ya-i・Eui.Kb.Mgc.(Al.Ga)n・Ox (但し、a=4, 0.3≦i≦0.7 , 4.8≦b≦7.8 ,
0.9≦c≦1.7 ,n=5)の組成で示されてなるもので
ある。
【0018】本請求項11に記載の発明に係るユーロピ
ウム付活蛍光体では、一般式、 Ya-i・Eui.Kb.Mgc.Ga1.0・Ox (但し、a=4, 0.3≦i≦0.7 , 4.8≦b≦7.8 ,
0.9≦c≦1.7 )の組成で示されてなるものである。
【0019】
【作用】本発明においては、一般式、 Rea-i・Eui.Kb.Mc.Aln.Ox (但し、Reはイットリウム元素(Y)単体又はイットリ
ウム元素(Y)とガドリニウム元素(Gd)との混合、M
は2価の金属元素を示し、各々の元素の組成割合が、4
≦a<8,0.1 ≦i≦2.0 ,0<b<8.0 ,0<c<3.
0 ,1≦n≦12)の組成で示されてなるものであるた
め、赤色源となる新たなユーロピウム付活蛍光体が得ら
れ、従来の赤色蛍光体の演色性を向上させることができ
る。
【0020】前記一般式で示されるユーロピウム付活蛍
光体は、アルミニウム元素(Al)の組成割合nに応じ
て、大きく分けて2つの発光スペクトルパターンがあ
る。即ち、6<n≦12の場合には、 Y2O3-MO-nAl2O3;
Eu3+のAlの組成割合n=1〜5の発光スペクトルの形
と同じ分布になる。
【0021】一方、アルミニウム元素(Al)の組成割合
nが、6以下であるもの、即ち、1≦n≦6であるもの
では、その発光の形は、YOX蛍光体(Y2O3;Eu3+ )の
発光スペクトルと同一又は類似の発光を示すことが新た
に認識された。これによって、従来のYOX蛍光体と同
様の蛍光体として用いることができる。
【0022】更に本発明では、前記一般式のユーロピウ
ム付活蛍光体において、Reが、イットリウム元素(Y)
単体の場合に、イットリウム元素(Y)とユーロピウム
元素(Eu)との合計の組成割合(a)が、4である。即
ち、Reの組成割合(a-i) に関しては、a=4の形が発光
効率が最も高く、好ましいが、Reとして全体の組成割合
が4を越えても発光効率がやや劣るという程度である。
特に、イットリウム(Y)とガドリニウム(Gd)とを併
用する場合には、各々の合計の組成割合(a-i)が4を越
えても構わない。
【0023】また、前記一般式のユーロピウム付活蛍光
体において、2価の金属Mは、バリウム(Ba),マグネ
シウム(Mg),ストロンチウム(Sr),カルシウム(C
a),亜鉛(Zn)等の2価の金属とすることができる
が、マグネシウム(Mg)が良好である。この2価の金属
Mは、1価の金属であるカリウム(K)を加えることに
より、生じる結晶的な歪みを防止する。即ち、アルミン
酸塩の電価保障的な働きを持つ。
【0024】具体的には、前記一般式のユーロピウム付
活蛍光体において、K2O の組成割合とAlの組成割合と
によって組成的に不満足な場合には、得られる蛍光体の
焼成物の体色が茶褐色になり、発光が低下する。この場
合、2価の金属(MgO)の量を変えることにより、解
決する。
【0025】即ち、2価の金属(M)として、好ましく
は、マグネシウム元素(Mg)を用いる。他の2価の金属
であるストロンチウム元素(Sr),バリウム元素(Ba)
であっても、発光は可能であるが、マグネシウム元素
(Mg)は、アルミニウム元素(Al)のイオン半径が最も
近く、カリウム元素が添加された母体の安定性のうえで
効果的にスピネル構造(Mg.Al2O4)を作り得るという効
果がある。
【0026】このようにアルミン酸塩蛍光体の場合、結
晶母体の安定化に必要であり、マグネシウム元素(Mg)
の組成割合cとアルミニウム元素(Al)の組成割合nと
の関係としては、発光強度や発光の明るさから、c:n
=1:4の比が望ましい。
【0027】また、前記一般式のユーロピウム付活蛍光
体において、アルミニウム元素(Al)の原料について
は、Alは水酸化アルミ乃至α(アルファ)−Al2O3
ちらでも良いが、粒子(度)の上からは、水酸化アルミ
が有効である。また、アルミニウム元素(Al)の一部を
ガリウム元素(Ga)で置換して複合酸化物としても発光
強度の向上が得られる。
【0028】原料については、構成上の酸化物で使用は
可能であるが、カリウム(K)に関しては、炭酸カリウ
ム、フッ化カリウムが効果的であるが、フッ化カリウム
の場合は分解してもK2O とはならないが、炭酸塩のMgCO
3 の併用があるため酸素については問題ないと考える。
【0029】さて、本発明においては、前記一般式のユ
ーロピウム付活蛍光体において、アルミニウム元素(A
l)の組成割合nが、1≦n≦6であるものでは、その
発光の形は、YOX蛍光体(Y2O3;Eu3+ )の発光スペク
トルと同一又は類似の発光を示すことは前述の通りであ
る。特に、前記一般式において、カリウム元素(K)の
組成割合bが、4.8以上である場合には、YOX蛍光
体(Y2O3;Eu3+ )の発光よりも効率のよい発光が得られ
る。
【0030】これによって、従来のYOX蛍光体(Y
2O3;Eu3+ )と同一又は類似の発光スペクトルを持ち、
しかも、発光効率を向上させた蛍光体を得ることをがで
きる。
【0031】以上のように、本発明においては、一般
式、 Ya-i・Eui.Kb.Mgc.Aln.Ox (但し、a=4, 0.3≦i≦0.7 , 4.8≦b≦7.8 ,
0.9≦c≦1.7 ,1≦n≦6)の組成で示されてなるも
のでは、YOX蛍光体(Y2O3;Eu3+ )の発光スペクトル
と同一又は類似の発光を示し、しかも、発光強度が蛍光
体YOXよりも向上された蛍光体が得られ、安定した結
晶構造の蛍光体が得られる。
【0032】更に、本発明では、一般式、 Y3.2・Gd1.0・Eu0.3.K7.6.Mg1.0.Al4.O17.55 の組成で示されてなるものでは、3価の金属YにGdを加
え、M3+=4.5 とした場合の発光は、組成Y3.7・Eu0.3・
(BaMg)0.4Al4・O12.4 と比較して、1.43倍の発光強
度を示した。
【0033】また、一般式、 Ya-i・Eui.Kb.Mgc.(Al.Ga)n・Ox (但し、a=4, 0.3≦i≦0.7 , 4.8≦b≦7.8 ,
0.9≦c≦1.7 ,n=5)の組成で示されてなるもので
は、発光スペクトルがYOX蛍光体(Y2O3;Eu3+ )と類
似の発光スペクトルを有し、結晶的に安定で、しかも発
光強度がこのYOX蛍光体(Y2O3;Eu3+ )よりも高い蛍
光体が得られる。
【0034】更に、本発明では、一般式、 Ya-i・Eui.Kb.Mgc.Ga1.0・Ox (但し、a=4, 0.3≦i≦0.7 , 4.8≦b≦7.8 ,
0.9≦c≦1.7 )の組成で示されてなるものでは、アル
ミニウム元素(Al)を含有しなくても、発光スペクトル
がYOX蛍光体(Y2O3;Eu3+ )と類似の発光スペクトル
を有する蛍光体が得られる。
【0035】
【実施例】
実施例A(K割合変化,Y3.7.Eu0.3.Kb.Mg0.1.Al4.
Ox) a'Re2O3・[M]O・b'Al2O3;Eu3+ x系のアルミン酸塩系蛍光体
のうち、図1はアルミニウム元素の組成割合nが1≦n
≦5の場合の一般式 (Y3.7.Eu0.3).(Ba0.3.Mg0.1).A
ln.Ox の分光スペクトルの傾向を示す説明図を示す。図
2はアルミニウム元素の組成割合nが6≦n≦12の場
合の一般式 (Y3.7.Eu0.3).(Ba0.3.Mg0.1).Aln.Ox の分
光スペクトルの傾向を示す説明図を示す。尚、各図にお
いて、縦軸は発光強度,横軸は波長を示す。
【0036】図に示す通り、例えば、アルミニウム元素
(Al)の組成割合n=5以下の分光波形の場合、 615n
mがピークウエーブとなっており、他のサブウエーブ 5
90nm及び 690nm等の発光もかなり高い。また、2価
の金属[M]の組成割合(例えば、Ba0.9.Mg0.1 は1.0
,Ba0.3.Mg0.1 は0.4 )については、0.4 〜1.0 が好
ましい。そして、この蛍光体はイットリウム中にガドリ
ウムを置換することにより発光を向上させることができ
る。しかし、この場合でも主発光の 615nmのみの向上
ではなく、同時に副発光も相対的に高くなる。
【0037】これらEu3+付活のアルミン酸塩の蛍光体の
場合、 593nm, 612nm, 615nm, 630nm, 650
nm, 680nm, 695nm, 710nm等の多くの波長を
有する発光スペクトルになるが、このことが三波長ラン
プの場合には、これら副発光群の広がりを利用して、赤
成分の補償や、 690nm付近の波長の強さにおいては植
物育成用蛍光ランプとしてそれなりの効果をもたらす。
【0038】本発明においては、先ず第1にこのa'Re2O
3・[M]O・b'Al2O3;Eu3+ x系のアルミン酸塩系蛍光体を母体
として、これに酸化カリウム(K2O )を添加した場合に
ついて種々の検討を行った。より具体的には、一般式Y
3.7.Eu0.3.Kb.Mg0.1.Al4.Oxについて、カリウム元素
(K)の組成割合bを種々に変化させてその分光スペク
トルパターンを比較検討した。
【0039】即ち、K2O の組成割合と発光特性との変化
をみるために、イットリウム元素(Y)の組成割合 a-i
=3.7 ,ユーロピウム元素(Eu)の組成割合i=0.3 ,
マグネシウム元素(Mg)の組成割合c=0.1 ,アルミニ
ウム元素の組成割合n=4に固定し、カリウム元素
(K)の組成割合bの変化と発光の変化を調べた。
【0040】結果を次の表1に示す。尚、図3は一般式
3.7.Eu0.3.(Ba0.3・Mg0.1).Al4.O1 2.4 (試料1)及び
3.7.Eu0.3.Kb.Mg0.1.Al4.Ox(試料2,3)で示され
る蛍光体の分光スペクトル図である。図4は一般式Y
3.7.Eu0.3.(Ba0.3・Mg0.1).Al4.O12.4 (試料1)及びY
3.7.Eu0.3.Kb.Mg0.1.Al4.Ox(試料4,5,6)で示さ
れる蛍光体の分光スペクトル図である。図において、縦
軸は発光強度,横軸は波長を示す。
【0041】
【表1】
【0042】尚、表1及び図3,図4において、発光強
度(Ip)及び各スペクトルの分布は、カリウム元素を
添加しない蛍光体、一般式Y3.7.Eu0.3.(Ba0.3・Mg0.1).
Al4.O12.4 で示される蛍光体のメインピークの発光強度
(Ip)をスタンダードとしてその比率で表わした。ま
た、表1の備考の欄には、YOX蛍光体(Y2O3;Eu3+)の
メインピークの発光強度(Ip)に対する比率を記載し
た。更に、Y3.7.Eu0. 3.K7.6.Mg0.1.Al4.Oxの試料7の
データも添付した。
【0043】また、次の表2に試料1〜6の各波長に置
けるエネルギー値を示した。表において括弧の中は、各
々の試料におけるメインピークの発光強度(Ip)に対
する比率(100%)を示す。
【0044】
【表2】
【0045】表1,表2及び図3,図4に示す通り、一
般式Y3.7.Eu0.3.Kb.Mg0.1.Al4.Oxの組成で示される蛍
光体では、Eu3+付活のa'Re2O3・[M]O・b'Al2O3;Eu3+ x系の
アルミン酸塩系蛍光体の発光と異なり、カリウム元素
(K)の加わった組成の場合には、カリウム元素(K)
の増加に伴ってメインピークの位置が短波側にシフトす
ることが判る。また、他の副発光はカリウム元素(K)
の増加によって減少することが判る。
【0046】これを詳しく検討する。図5は一般式Y
3.7.Eu0.3.Kb.Mg0.1.Al4.Oxで示される蛍光体のカリウ
ム元素(K)の組成割合bを変化させた場合の各波長の
発光エネルギー強度の変化を示す線図である。図におい
て、縦軸は発光エネルギー強度(UW/cm2),横軸はカリ
ウム元素(K)の組成割合b,実線は波長 612nm,破
線は波長 613nm,丸印は波長 614nm,黒四角印は波
長 615nmの各々の波長での発光エネルギー強度の変移
を示す。
【0047】また、図6は一般式Y3.7・Eu0.3.Kb.Mg
0.1.Al 4 .Oxで示される蛍光体のカリウム元素(K)の組
成割合bを変化させた場合の副発光( 593nm及び 695
nm)のエネルギー強度の変化を示す線図である。図に
おいて、縦軸は発光エネルギー強度(UW/cm2),横軸は
カリウム元素(K)の組成割合bを示す。
【0048】図5からも判るように、カリウム元素
(K)の組成割合bの増加に伴い波長 612nmの発光エ
ネルギー強度が増加し、他の波長では減少していること
が判る。特に組成割合bの増加により 612nmのエネル
ギーの強さが組成割合bがゼロの組成に比べて約4倍強
となる。即ち、 612nmの場合、カリウム(K)の組成
割合が0の時のエネルギー値 0.239UW/cm2に対し、カリ
ウム(K)の組成割合が 3.6の時は、 0.968 UW/cm2
なる。
【0049】一方、カリウム元素が添加されていない蛍
光体のメインピークである 615nmの場合はK2O の影響
は殆どないことが判る。特に、カリウム元素が添加の効
果として、副発光を示すx値がYOXのxよりつねに高
いことがYOXの色調よりやや赤味の強いものにしてい
る。
【0050】従って、カリウム元素の添加の有無に関係
なく、 615nm(K=0のピーク波長)の場合には、そ
のエネルギー値が変化しないことがYOXのx値より高
い要因であると推測される。
【0051】一方、図6に示されるように、副波長はカ
リウム元素(K)の組成割合bの増加に伴い急激に減少
することが判る。即ち、カリウム元素(K)の組成割合
bの増加に伴いY3.7.Eu0.3.Kb.Mg0.1.Al4.Oxはイット
リウム・ユーロピウム蛍光体YOX(Y2O3;Eu3+ )の発
光スペクトルに移行していくことが理解される。
【0052】即ち、カリウム元素の組成割合が大きくな
るに従って、副波のうち、 695nmが最も強い影響を受
け、1次曲線の形で衰退を示す。 593nmにしてもその
主波に対して10%に下降する。これはYOXの副発光
も 593nmとほぼ同じ値である。
【0053】また、図4に示すように、カリウム元素
(K)の組成割合bが、4.8を越えるときには、YO
X蛍光体(Y2O3;Eu3+ )の発光スペクトルとほぼ同じス
ペクトル分布が得られることが理解される。また、その
特性値IpはYOX蛍光体と比較して、実に110%を
越える発光が得られることも示された。
【0054】実施例B(Mg割合変化,Y3.7.Eu0.3.K
7.8.Mgc.Al4.Ox) 次の表3は、マグネシウム元素(Mg)の組成割合cを変
化させた場合の発光の変化を示すものである。
【0055】
【表3】
【0056】即ち、前記実施例Aに引続き、イットリウ
ム元素の組成割合 a-i=3.7 ,ユーロピウム元素(Eu)
の組成割合i=0.3 ,マグネシウム元素(Mg)の組成割
合c=0.1 ,アルミニウム元素(Al)の組成割合n=4
をそのままにして、カリウム元素(K)の組成割合の限
界を求めた。カリウム元素(K)の組成割合b=7.8(K
2O=3.9 )で焼成物の表面に薄い色が発生した(試料
8)。
【0057】次のこの組成の割合のままでMgOの組成割
合cを0.9 及び1.0 に増加したところ、色は元の正常な
状態に戻った(試料9,10)。また、マグネシウム元
素(Mg)の組成割合cを変化させることによっては、メ
インピークの波長、及びx値,y値には、何の変化はな
く、その強度もあまり変化はなかった。
【0058】このように、マグネシウムを効果的に使用
することによって、母体格子の安定化を得ることが理解
される。即ち、マグネシウムの働きは電価保障の意味合
いがある。アルミニウム元素に対してマグネシウム元素
が不足した場合には、得られた蛍光体の焼成物は茶褐色
になり、発光が下降する。つまり、電価を保障しないと
蛍光体として成立しないことが判った。
【0059】尚、電価の保障には、マグネシウム元素以
外にも2価の金属として、バリウム(Ba),ストロンチ
ウム(Sr),カルシウム(Ca),亜鉛(Zn)等の2価の
金属とすることができるが、イオン半径からマグネシウ
ムが最適である。次の表4及び表5に2価の金属による
発光測定の比較を示す。
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】 アルミニウムの組成割合nに対して、マグネシウムの組
成割合が低い場合には、Ip(発光強度)、Ry(発光
の明るさ)も低い。
【0062】表4に示すように、バリウム(Ba),スト
ロンチウム(Sr)でも、発光は可能であるが、Ya-i・Eu
i.(Ba.Mg)c.Aln.Ox で示される蛍光体の発光にカリウム
(K)のような1価の金属を加えた場合の分光スペクト
ルパターンを比較検討したものであるため、表4に示す
ように、2価の金属としては、カリウムの加わった母体
(おそらく混晶と考えられる)の安定性の上で効果的に
スピネル構造を作り得るマグネシウム(Mg)元素が、発
光効率が最も高い。
【0063】実施例C(Eu割合変化,Ya-i.Eui.K7.6.
Mgc.Al4.Ox) 付活剤であるユーロピウム元素(Eu)の組成割合a-i が
変化した場合に、発光がどのように変化するのかを実際
に試料を調整して検討した。次の図7〜図9は代表的な
調整された試料の分光スペクトル図である。
【0064】図7は一般式 Y2O3;Eu3+及びY3.6・Eu0.4.
7.6.Mg0.9.Al 4 .Ox(試料11)で示される蛍光体の分
光スペクトル図である。図8は一般式 Y2O3;Eu3+及びY
3.5・Eu0.5.K7.6.Mg1.0.Al 4 .Ox(試料12)で示される
蛍光体の分光スペクトル図である。図9は一般式 Y2O3;
Eu3+及びY3.5・Eu0.7.K7.6.Mg1.0.Al4.Ox(試料13)
で示される蛍光体の分光スペクトル図である。各図にお
いて、縦軸は発光強度,横軸は波長を示し、一般式 Y2O
3;Eu3+のメインピークを 100として示す。また、図7〜
図9の結果を表6に示す。
【0065】
【表6】
【0066】各図及び表6から判るように、各試料11
〜13はYOX蛍光体と同一の発光スペクトル分布を有
することが判る。また、ユーロピウム(Eu)の組成割合
a-iを挙げることによりIpの向上が可能となることが
判る。しかしながら、イットリウム元素(Y)とユーロ
ピウム元素(Eu)との合計の組成割合(a)が、4であ
るものが最も好ましいことも判る。
【0067】即ち、Reの組成割合(a-i) に関しては、a
=4の形が発光効率が最も高く好ましいが、Reとして全
体の組成割合が4を越えても発光効率がやや劣るという
程度である。
【0068】図10は一般式Y4-i・Eui.K7.6.Mgc.Al 4 .
Oxで示される蛍光体(但し、c=0.9,1.0 )の付活剤で
あるユーロピウム元素(Eu)の組成割合iを変化させた
場合の発光強度の変化を示す線図である。図において、
縦軸はYOXを 100とした場合の発光強度(Ip)、横
軸はユーロピウム元素(Eu)の組成割合iである。
【0069】図10に示す通り、ユーロピウム元素(E
u)の組成割合i= 0.3、イットリウム元素(Y)の組
成割合a=4、マグネシウム元素(Mg)の組成割合c=
0.1〜1.0 、アルミニウム元素(Al)の組成割合n=4
〜5としたときのカリウム(K)の組成割合b=7.2 〜
7.6 の条件を与えるならばYOXの特性値IpをEuを
0.3で111%(試料7)、Euを0.4で119%
(試料11)、Euを0.5で132%(試料12)の向
上を示した。
【0070】YOX蛍光体の場合には、付活剤としての
Euの高濃度による発光の改善を試みても、重量%で10
%以上を添加すると所謂濃度消光を生じ、期待する程の
発光向上には繋らないが、本蛍光体ではEuの濃度の上昇
によるその特性値(Ip)の向上ができる。この場合の
基準となるYOXはEu=5.4 wt% を 100とした。
【0071】実施例D(Al割合変化,Y3.7.Eu0.3.K
6.0.Mg0.1.Aln.Ox) アルミニウム元素(Al)の組成割合nと、マグネシウム
元素(Mg)の組成割合cとを変化させて発光の変化を実
際に試料を調整して検討した。その結果、アルミニウム
元素(Al)の組成割合nが6を越えると、分光的にYO
X蛍光体の発光パターンではなく、 Y2O3-MO-nAl2O3;Eu
3+のAlの組成割合n=1〜6の発光スペクトルの形に
なることが判った。
【0072】以上のように、一般式、Ya-i.Eui.Kb.Mg
c.Aln.Oxで示される蛍光体の組成のうちアルミニウム元
素(Al)の組成割合の範囲はn=1〜12であり、その
うちのアルミニウム元素(Al)の組成割合n=1〜6の
間の発光スペクトルはYOXの波形と類似すること、ま
た、アルミニウム元素(Al)の組成割合n7〜12の波
形はYBE系の蛍光体Y4-iEui(Ba.Mg)0.3.Al5.O の発光
スペクトルパターンを示すようになることが確認され
た。
【0073】図11は一般式 (Y3.7.Eu0.3).(Ba0.3.Mg
0.1).Al4.Ox 及びY3.6.Eu0.4.K7. 6.Mg3.0.Al12.O30.8
で示される蛍光体の分光スペクトル図である。図におい
て、縦軸は発光強度,横軸は波長を示し、一般式 (Y
3.7.Eu0.3).(Ba0.3.Mg0.1).Al 3 .Ox のメインピークを 1
00として示す。
【0074】図11に示す通り、一般式Y3.6.Eu0.4.K
7.6.Mg3.0.Al12.O30.8で示される蛍光体は、 (Y3.7.Eu
0.3).(Ba0.3.Mg0.1).Al5.Ox と同じスペクトルパターン
となっている。
【0075】ところで、アルミニウム元素(Al)の組成
割合n=12の発光は、提示したアルミニウム元素(Al)
の組成割合n=7の発光パターンと同じであるが、この
場合の発光は、Kの量の少ない状態の発光と同じ形に戻
る。これはY.nAl23(ヘロフスカイト型構造=Y
a-iEui(Ba.Mg)b.Aln.Oxと同様の発光を示すが発光は低
い)及びMg.Al2O3或いはKの加わった形の複合酸化物が
混晶として派生し、それらの酸化物がある比率により発
光スペクトルを造るものと推測される。
【0076】一方、次の表7は、アルミニウム元素(A
l)の組成割合nが6以下の場合の発光の変化を示すも
のである。即ち、イットリウム元素の組成割合 a-i=3.
7 ,ユーロピウム元素(Eu)の組成割合i=0.3 ,カリ
ウム元素(K)の組成割合b=6.0 ,マグネシウム元素
(Mg)の組成割合c=0.1 ,アルミニウム元素(Al)の
組成割合n=1.0,3.0 とした。更に、表1の試料5と比
較した。
【0077】
【表7】
【0078】実施例E(Al割合変化,Ya-i.Eui.K7.6.
Mgc.Aln.Ox) 前述の表7に示すように、アルミニウム元素(Al)の組
成割合nが4の場合が、最も発光強度が向上し、アルミ
ニウムの濃度に応じるものではないことが予想された。
そこで、アルミニウム元素(Al)の組成割合nと、マグ
ネシウム元素(Mg)の組成割合cとを変化させて発光の
変化を実際に試料を調整して検討した。その結果、アル
ミニウム元素(Al)の組成割合nが6以下の場合には、
アルミニウム元素(Al)とマグネシウム元素(Mg)との
組成割合の比が、一定のものであれば安定な結晶が得ら
れることが判った。
【0079】即ち、図12は一般式 Y2O3;Eu3+及びY
3.6.Eu0.4.K7.6.Mgc.Aln.Oxで示される蛍光体の分光ス
ペクトル図である。但し、マグネシウム元素(Mg)の組
成割合c=1.2,1.3,1.7 ,アルミニウム元素(Al)の組
成割合n=5,6である。図において、縦軸は発光強
度,横軸は波長を示し、一般式 Y2O3;Eu3+のメインピー
クを 100として示す。また、表8は図12の結果を示し
たものである。
【0080】
【表8】
【0081】以上のように、マグネシウム元素(Mg)は
発光には直接的な影響はなく、3価や1価の金属を使用
するときに生じる結晶の歪みを是正(電価保障)する働
きを持つことは前述の実施例Bで示されたが、アルミニ
ウム元素の組成割合nとマグネシウム元素の組成割合c
とは、n:c=4:1に保てば、Kの組成割合bが他7.
8 と高くても、不安定なものとはならないことが理解で
き、アルミニウムの組成割合に応じてマグネシウムの組
成割合も増加させることにより、不安定なものとはなら
なくなる。
【0082】実施例F(他の添加物の添加,Rea-i.Eui.
7.6.Mgc.Aln・Ox) イットリウム元素(Y)以外の希土類元素としてガドリ
ウム元素(Gd)を用いて発光の変化を実際に試料を調整
して検討した。その結果、イットリウム元素(Y)の組
成割合を3.2 ,ガドリウム元素(Gd)の組成割合を1.0
とした場合に、(Y3.7.Eu0.3).(Ba0.3.Mg0.1).Al4.Ox
と比べて、メインピークの短波側へのシフトと、副波長
( 593nm及び 695nm)の減少がみられた。
【0083】図13は一般式 (Y3.7.Eu0.3).(Ba0.3.Mg
0.1).Al4.Ox 及びY3.2.Gd1.0・Eu0. 3.K7.6.Mg0.9.Al4.
Oxで示される蛍光体の分光スペクトル図である。図にお
いて、縦軸は発光強度,横軸は波長を示し、一般式 (Y
3.7.Eu0.3).(Ba0.3.Mg0.1).Al 3 .Ox のメインピークを 1
00として示す。尚、次の表9は図13の結果を示すもの
である。
【0084】
【表9】
【0085】実施例G(他の添加物の添加,Ya-i.Eui.
b.Mgc.(Al.Ga)n・Ox ) アルミニウム元素(Al)の代わりにガリウム元素(Ga)
を用いた蛍光体を作成し、YOX蛍光体の分光スペクト
ル分布と比較検討した。図14は一般式(a) Y3.7.Eu
0.3.Mg1.0.Ga4.0・O13.0 、(b) Y3.7.Eu0.3.K6.0.Mg
1.0.Ga1.0・O11.5 、(c) Y3.7.Eu0.3.K6.0.Mg1.0.Ga
4.0・O19.5 で示される蛍光体の分光スペクトル図であ
る。図15は一般式Y3.7.Eu0.3.K6.0.Mg3.0.Ga12.0・O
x で示される蛍光体の分光スペクトル図である。各図に
おいて、縦軸は発光強度,横軸は波長を示し、一般式 Y
2O3;Eu3+のメインピークを 100として示す。次の表10
は、各蛍光体に配合された各元素の組成割合と発光特性
を示す。
【0086】
【表10】
【0087】また、表10に示された各蛍光体につい
て、各々の波長における発光強度を比較したものを次の
表11に示す。
【0088】
【表11】
【0089】図14,15及び表10,11に示すよう
に、カリウム元素(K)を添加しなかった蛍光体(a) で
は主波長、副波長ともに低く、カリウム元素(K)を添
加した蛍光体ではガリウム元素(Ga)の組成割合n=1.
0 の蛍光体(b) がYOX蛍光体の発光スペクトルに類似
した波形を示した。また、組成割合nが1を越えると、
708nmに主波長が移行し、組成割合nが12では、 6
11nmの波長は微小なものとなることが確認された。
【0090】これは、イットリウム・ガレイトの他に、
3・GaO3 とYとの混合固溶体が生じ(混晶)、その比
率により、変化するものと推測された。
【0091】そこで、アルミニウム元素(Al)の一部を
ガリウム元素(Ga)で置換した蛍光体を試作して、YO
X蛍光体の分光スペクトル分布と比較検討した。図16
は一般式Y3.7・Eu0.3.K6.0.Mg1.0.Al2.5.Ga2.5・Oxので
示される蛍光体の分光スペクトル図である。図17は一
般式Y3.7・Eu0.3.K7.6.Mg1.0.Al4.Ga1.0・Oxで示される
蛍光体の分光スペクトル図である。各図において、縦軸
は発光強度,横軸は波長を示し、一般式 Y2O3;Eu3+のメ
インピークを 100として示す。また、次の表11は、図
16及び図17で示した蛍光体及びその他の蛍光体につ
いて、配合された各元素の組成割合と発光特性を示す。
【0092】
【表12】
【0093】アルミニウム元素(Al)の一部をガリウム
元素(Ga)に置換した蛍光体では、YOX蛍光体と同様
の分光スペクトル分布が得られ、しかも、YOX蛍光体
よりも発光強度が向上していることが確認された。
【0094】まとめ 以上のように、一般式、Rea-i・Eui.Kb.Mc.Aln.Ox(但
し、Reはイットリウム元素(Y)単体又はイットリウム
元素(Y)とガドリニウム元素(Gd)との混合、Mは2
価の金属元素を示し、各々の元素の組成割合が、4≦a
<8,0.1 ≦i≦2.0 ,0<b<8.0 ,0<c<3.0 ,
1<n<12)で示された蛍光体では、アルミニウム元
素(Al)の組成割合nに応じて、分光スペクトルパター
ンが変化する。
【0095】特に、nが6以下である場合には、イット
リウム・ユーロピウム蛍光体YOX(Y2O3;Eu3+ )の発
光スペクトルと同一又は類似の発光を示す。また、この
蛍光体では、YOXの発光強度Ipを越えるものもあ
り、色度x,yに関しては、x値がYOXのx値より高
いため、色調に赤味が強い。
【0096】更に、従来のYOX蛍光体の場合、付活剤
Euの濃度の増加等により、発光強度の改良を試みて
も、濃度消光などの問題によって、発光強度を向上する
ことができなかった。しかしながら、本蛍光体では、Eu
量により大幅な発光強度の向上が可能となり、三波長ラ
ンプ等の赤成分として、YOX蛍光体に代わり得るもの
である。
【0097】また、一般式、Rea-i・Eui.Kb.Mc.Aln.Ox
で示される蛍光体では、カリウム(K)の組成割合bが
4.8より下ではYOX蛍光体と同一又は類似の分光ス
ペクトルパターンが得られない。更に、希土類としてイ
ットリウム元素(Y)を単独で用いる場合には、イット
リウム元素(Y)とユーロピウム(Eu)の組成割合の合
計は4となるようにすると、発光強度が最もよい。
【0098】また、本発明の蛍光体では、1価の金属で
あるカリウム元素(K)が多量に加わるため、固溶体と
しては不安定なものとなるため、2価の金属で調整する
が、特にマグネシウム(Mg)が良好である。即ち、マグ
ネシウムは3価や1価の金属を使用するときに生じる結
晶の歪みを是正(電価保障)する働きを持つ。
【0099】更に、アルミニウム元素とマグネシウム元
素との組成割合の比は=4:1に保てば、カリウム元素
(K)の組成割合が高くても、不安定なものとならな
い。
【0100】また、一般式、 Ya-i・Eui.Kb.Mgc.Aln.Ox (但し、a=4, 0.3≦i≦0.7 , 4.8≦b≦7.8 ,
0.9≦c≦1.7 ,1≦n≦6)の組成で示されてなるも
のでは、YOX蛍光体(Y2O3;Eu3+ )の発光スペクトル
と同一又は類似の発光を示し、しかも、発光強度が蛍光
体YOXよりも向上された蛍光体が得られ、安定した結
晶構造の蛍光体が得られる。
【0101】更に、一般式、 Y3.2・Gd1.0・Eu0.3.K7.6.Mg1.0.Al4.O17.55 の組成で示されてなるものでは、3価の金属YにGdを加
え、M3+=4.5 とした場合の発光は、組成Y3.7・Eu0.3・
(BaMg)0.4Al4・O12.4 (表1参照)と比較して、1.4
3倍の発光強度を示した。
【0102】また、一般式、 Ya-i・Eui.Kb.Mgc.(Al.Ga)n・Ox (但し、a=4, 0.3≦i≦0.7 , 4.8≦b≦7.8 ,
0.9≦c≦1.7 ,n=5)の組成で示されてなるもので
は、発光スペクトルがYOX蛍光体(Y2O3;Eu3+ )と類
似の発光スペクトルを有し、結晶的に安定で、しかも発
光強度がこのYOX蛍光体(Y2O3;Eu3+ )よりも高い蛍
光体が得られる。
【0103】更に、一般式、 Ya-i・Eui.Kb.Mgc.Ga1.0・Ox (但し、a=4, 0.3≦i≦0.7 , 4.8≦b≦7.8 ,
0.9≦c≦1.7 )の組成で示されてなるものでは、アル
ミニウム元素(Al)を含有しなくても、発光スペクトル
がYOX蛍光体(Y2O3;Eu3+ )と類似の発光スペクトル
を有する蛍光体が得られる。
【0104】
【発明の効果】本発明は以上説明したとおり、赤色源と
なる新たなユーロピウム付活蛍光体を得ることができ、
従来の赤色蛍光体の演色性を向上させることができる。
また、従来のイットリウム・ユーロピウム蛍光体YOX
(Y2O3;Eu3+ )と同様の蛍光体として用いることのでき
る蛍光体を得ることができ、発光効率が向上し、結晶的
に安定な新たなユーロピウム付活蛍光体を得ることがで
きるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミニウム元素の組成割合nが1≦n≦6の
場合の一般式 (Y3.7.Eu0.3).(Ba0.3.Mg0.1).Aln.Ox
分光スペクトルの傾向を示す説明図を示す。図におい
て、縦軸は発光強度,横軸は波長を示す。
【図2】アルミニウム元素の組成割合nが6<n≦12
の場合の一般式 (Y3.7.Eu0.3).(Ba0.3.Mg0.1).Aln.Ox
の分光スペクトルの傾向を示す説明図を示す。図におい
て、縦軸は発光強度,横軸は波長を示す。
【図3】一般式Y3.7.Eu0.3.(Ba0.3・Mg0.1).Al4.O12.4
及びY3.7.Eu0.3.Kb.Mg0.1.Al4.Oxで示される蛍光体の
分光スペクトル図である。但し、カリウム元素(K)の
組成割合b=3.6,4.0 である。図において、縦軸は発光
強度,横軸は波長を示し、一般式Y3.7.Eu0.3.(Ba0.3・M
g0.1).Al4.O12.4 のメインピークを100 として示す。
【図4】一般式Y3.7.Eu0.3.(Ba0.3・Mg0.1).Al4.O12.4
及びY3.7.Eu0.3.Kb.Mg0.1.Al4.Oxで示される蛍光体の
分光スペクトル図である。但し、カリウム元素(K)の
組成割合b=4.8,6.0,7.2 である。図において、縦軸は
発光強度,横軸は波長を示し、一般式Y3.7.Eu0.3.(Ba
0.3・Mg0.1).Al4.O12.4 のメインピークを100 として示
す。
【図5】一般式Y3.7.Eu0.3.Kb.Mg0.1.Al4.Oxで示され
る蛍光体のカリウム元素(K)の組成割合bを変化させ
た場合の各波長の発光エネルギー強度の変化を示す線図
である。図において、縦軸は発光エネルギー強度(UW/c
m2),横軸はカリウム元素(K)の組成割合b,実線は
波長 612nm,破線は波長 613nm,丸印は波長614n
m,黒四角印は波長 615nmを示す。
【図6】一般式Y3.7・Eu0.3.Kb.Mg0.1.Al4.Oxで示され
る蛍光体のカリウム元素(K)の組成割合bを変化させ
た場合の副発光( 593nm及び 695nm)のエネルギー
強度の変化を示す線図である。図において、縦軸は発光
エネルギー強度(UW/cm2),横軸はカリウム元素(K)
の組成割合bを示す。
【図7】一般式 Y2O3;Eu3+及びY3.6・Eu0.4.K7.6.Mg
0.9.Al4.Oxで示される蛍光体の分光スペクトル図であ
る。図において、縦軸は発光強度,横軸は波長を示し、
一般式 Y2O3;Eu3+のメインピークを100 として示す。
【図8】一般式 Y2O3;Eu3+及びY3.5・Eu0.5.K7.6.Mg
1.0.Al4.Oxで示される蛍光体の分光スペクトル図であ
る。図において、縦軸は発光強度,横軸は波長を示し、
一般式 Y2O3;Eu3+のメインピークを100 として示す。
【図9】一般式 Y2O3;Eu3+及びY3.5・Eu0.7.K7.6.Mg
1.0.Al4.Oxで示される蛍光体の分光スペクトル図であ
る。図において、縦軸は発光強度,横軸は波長を示し、
一般式 Y2O3;Eu3+のメインピークを100 として示す。
【図10】一般式Y4-i・Eui.K7.6.Mgc.Al4.Oxで示され
る蛍光体(但し、c=0.9,1.0 )の付活剤であるユーロ
ピウム元素(Eu)の組成割合iを変化させた場合の発光
強度の変化を示す線図である。図において、縦軸はYO
Xを100 とした場合の発光強度(Ip)、横軸はユーロ
ピウム元素(Eu)の組成割合iである。
【図11】一般式 (Y3.7.Eu0.3).(Ba0.3.Mg0.1).Al5.O
x 及びY3.6.Eu0.4.K7.6.Mg3.0.Al12.O30.8で示される
蛍光体の分光スペクトル図である。図において、縦軸は
発光強度,横軸は波長を示し、一般式 (Y3.7.Eu0.3).
(Ba0.3.Mg0.1).Al5.Ox のメインピークを100 として示
す。
【図12】一般式 Y2O3;Eu3+及びY3.6.Eu0.4.K7.6.Mg
c.Aln.Oxで示される蛍光体の分光スペクトル図である。
但し、マグネシウム元素(Mg)の組成割合c=1.2,1.3,
1.7 ,アルミニウム元素(Al)の組成割合n=5,6で
ある。図において、縦軸は発光強度,横軸は波長を示
し、一般式 Y2O3;Eu3+のメインピークを100 として示
す。
【図13】一般式 (Y3.7.Eu0.3).(Ba0.3.Mg0.1).Al4.O
x 及びY3.2.Gd1.0・Eu0.3.K7.6.Mg0.9.Al4.Oxで示され
る蛍光体の分光スペクトル図である。図において、縦軸
は発光強度,横軸は波長を示し、一般式 (Y3.7.E
u0.3).(Ba0.3.Mg0.1).Al 3 .Ox のメインピークを100 と
して示す。
【図14】一般式(a) Y3.7.Eu0.3.Mg1.0.Ga4.0・O
13.0 、(b) Y3.7.Eu0.3.K6.0.Mg1.0.Ga1.0・O11.5
(c) Y3.7.Eu0.3.K6.0.Mg1.0.Ga4.0・O19.5 で示される
蛍光体の分光スペクトル図である。図において、縦軸は
発光強度,横軸は波長を示し、一般式 Y2O3;Eu3+のメイ
ンピークを100 として示す。
【図15】一般式Y3.7.Eu0.3.K6.0.Mg3.0.Ga12.0・Ox
で示される蛍光体の分光スペクトル図である。図におい
て、縦軸は発光強度,横軸は波長を示し、一般式 Y2O3;
Eu3+のメインピークを 100として示す。
【図16】一般式Y3.7・Eu0.3.K6.0.Mg1.0.Al2.5.Ga
2.5・Oxので示される蛍光体の分光スペクトル図である。
図において、縦軸は発光強度,横軸は波長を示し、一般
式 Y2O3;Eu3+のメインピークを 100として示す。
【図17】一般式 Y2O3;Eu3+及びY3.7・Eu0.3.K7.6.Mg
1.0.Al4.Ga1.0・Oxで示される蛍光体の分光スペクトル図
である。図において、縦軸は発光強度,横軸は波長を示
し、一般式 Y2O3;Eu3+のメインピークを100 として示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 輝夫 神奈川県大和市下鶴間2丁目2番1号 株 式会社東京化学研究所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式、 Rea-i・Eui.Kb.Mc.Aln.Ox (但し、Reはイットリウム元素(Y)単体又はイットリ
    ウム元素(Y)とガドリニウム元素(Gd)との混合、M
    は2価の金属元素を示し、各々の元素の組成割合が、4
    ≦a<8,0.1 ≦i≦2.0 ,0<b<8.0 ,0<c<3.
    0 ,1≦n≦12)の組成で示されてなることを特徴と
    するユーロピウム付活蛍光体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のユーロピウム付活蛍光
    体において、 前記アルミニウム元素(Al)の組成割合nが、6以下で
    あることを特徴とするユーロピウム付活蛍光体。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のユーロピウム付活蛍光
    体において、 前記Reが、イットリウム元素(Y)単体の場合に、イッ
    トリウム元素(Y)とユーロピウム元素(Eu)との合計
    の組成割合(a)が、4であることを特徴とするユーロ
    ピウム付活蛍光体。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のユーロピウム付活蛍光
    体において、 前記2価の金属(M)が、マグネシウム元素(Mg)であ
    ることを特徴とするユーロピウム付活蛍光体。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のユーロピウム付活蛍光
    体において、 前記マグネシウム元素(Mg)の組成割合cとアルミニウ
    ム元素(Al)の組成割合nとの関係が、c:n=1:4
    の比であることを特徴とするユーロピウム付活蛍光体。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載のユーロピウム付活蛍光
    体において、 前記アルミニウム元素(Al)の一部をガリウム元素(G
    a)で置換したことを特徴とするユーロピウム付活蛍光
    体。
  7. 【請求項7】 請求項2〜6の何れかに記載のユーロピ
    ウム付活蛍光体において、 前記カリウム元素(K)の組成割合bが、4.8以上で
    あることを特徴とするユーロピウム付活蛍光体。
  8. 【請求項8】 一般式、 Ya-i・Eui.Kb.Mgc.Aln.Ox (但し、a=4, 0.3≦i≦0.7 , 4.8≦b≦7.8 ,
    0.9≦c≦1.7 ,1≦n≦6)の組成で示されてなるこ
    とを特徴とするユーロピウム付活蛍光体。
  9. 【請求項9】 一般式、 Y3.2・Gd1.0・Eu0.3.K7.6.Mg1.0.Al4.O17.55 の組成で示されてなることを特徴とするユーロピウム付
    活蛍光体。
  10. 【請求項10】 一般式、 Ya-i・Eui.Kb.Mgc.(Al.Ga)n・Ox (但し、a=4, 0.3≦i≦0.7 , 4.8≦b≦7.8 ,
    0.9≦c≦1.7 ,n=5)の組成で示されてなることを
    特徴とするユーロピウム付活蛍光体。
  11. 【請求項11】 一般式、 Ya-i・Eui.Kb.Mgc.Ga1.0・Ox (但し、a=4, 0.3≦i≦0.7 , 4.8≦b≦7.8 ,
    0.9≦c≦1.7 )の組成で示されてなることを特徴とす
    るユーロピウム付活蛍光体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001220582A (ja) * 1999-11-30 2001-08-14 Sumitomo Chem Co Ltd アルミン酸塩蛍光体の製造方法

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