JP3608395B2 - 蛍光ランプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は蛍光ランプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、一般照明用の蛍光ランプとしては、蛍光体に青色、緑色、赤色に発光ピークを有する蛍光体を用いた蛍光体層を有する相関色温度2800K〜7500Kの三波長域発光形蛍光ランプが多く用いられている。この三波長域発光形蛍光ランプには、発光中心が希土類元素のイオンであり高効率な希土類蛍光体が主に用いられている。
【0003】
一般的によく用いられる蛍光体としては、ユーロピウム付活アルミン酸バリウムマグネシウム青色蛍光体、ユーロピウム付活ストロンチウムクロロアパタイト青色蛍光体、セリウム・テルビウム付活燐酸ランタン緑色蛍光体、ユーロピウム付活酸化イットリウム赤色蛍光体等が挙げられる。この三波長域発光形蛍光ランプは、単独で白色発光するカルシウムハロフォスフェート蛍光体Ca10(POFCl:Sb,Mnを蛍光体層として用いた蛍光ランプに比べ高光束・高演色であるため、高価であるにも関わらず広く普及している。
【0004】
この三波長域発光形蛍光ランプにおいて、青色、緑色、赤色の3つの発光に、ある特定の波長域の発光をさらに加えることにより照明された物体の色の見えがより鮮やかに改善されることが多数報告されている。620nm以上の深赤色の波長域、もしくは500〜535nmの緑色の波長域等が、青色、緑色、赤色の3つの発光に加えた場合に物体の色の見えをより鮮やかにする代表的な波長域として知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、照明された物体の色の鮮やかさの改善という目的を達成するためには、三波長域発光形蛍光ランプで使用される一般的な青色、緑色、赤色に発光する合計3種類以上の蛍光体材料に加え、少なくとも一種類以上の物体の色の見えの鮮やかさを改善させる、ある特定の波長域に発光を有する蛍光体材料を使用する必要がある。
【0006】
このような蛍光ランプを製造する際には、蛍光体材料の種類の増加により工程がより煩雑になることや、製造コストの増大は避けられない問題である。
【0007】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、使用する蛍光体材料の種類を増加させないで、照明された物体の色の見えの鮮やかさが改善される蛍光ランプを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の蛍光ランプは、発光ピークが540〜570nmにある緑色蛍光体と、発光ピークが600〜670nmにある赤色蛍光体と、2価のユーロピウムと2価のマンガンで付活された青緑色蛍光体であり、かつ2価のユーロピウムによる発光のピーク高さIEuと2価のマンガンによる発光のピーク高さIMnとの比率IMn/IEuが、蛍光ランプの相関色温度の逆数(Mr)を用いて、(IMn/IEu)≧0.3×10Mr+0.13を満足する青緑色蛍光体とを主成分とした混合蛍光体からなる蛍光体層をガラス管内面に形成し、相関色温度2800K〜7500Kであることを特徴とする蛍光ランプである。
【0009】
これにより、使用する蛍光体材料の種類を増加させないで、照明された物体の色の見えの鮮やかさを改善することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の蛍光ランプにおいて、前記比率IMn/IEuが、蛍光ランプの相関色温度の逆数(Mr)を用いて、(IMn/IEu)≧0.3×10Mr+0.13かつ(IMn/IEu)≦2.02×10Mr−1.56を満足する構成を有する。
【0011】
これにより、照明された物体の色の見えの鮮やかさが改善され、色の見え方が特に好ましくすることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の蛍光ランプにおいて、前記緑色蛍光体が3価テルビウム付活もしくは3価テルビウム、3価セリウム付活もしくは2価マンガン、3価テルビウム付活緑色蛍光体の少なくとも一種類からなり、前記赤色蛍光体が3価ユーロピウム付活もしくは2価マンガン付活もしくは4価マンガン付活赤色蛍光体の少なくとも一種類からなる構成を有する。
【0013】
これらの蛍光体材料を使用することにより、使用する蛍光体材料の種類を増加させないで、照明された物体の色の見えの鮮やかさを改善することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の蛍光ランプにおいて、前記2価のユーロピウムと2価のマンガンで付活された青緑色蛍光体が、2価ユーロピウム、2価マンガン付活アルミン酸塩蛍光体であり、一般式(Ba1−a−bEu)O・x(Mg1−cMn)O・yAl(ただし、0.8≦x≦2.0,4≦y≦8,0≦a≦0.95,0.05≦b≦0.4,0<a+b≦1,0.025≦c≦0.4、MはCa,Srから選ばれる少なくとも一種の元素)で表される構成を有する。
【0015】
これによって2価のユーロピウムと2価のマンガンで付活された青緑色蛍光体が得られ、使用する蛍光体材料の種類を増加させないで、照明された物体の色の見えの鮮やかさを改善することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
まず、照明された物体の色の見えの鮮やかさを定量的に示す指標について説明する。
【0017】
よく知られている鮮やかさを示す指標として、JIS Z 8726−1990に記載の色域面積比(記号:Ga)が挙げられる。これは、平均演色評価数Raを算出する際に使用する番号1〜8の8つの試験色をある試料光源によって照明した時に、見える色をCIE1964U均等色空間上にプロットし、座標上にできる8角形の面積を比較するものである。図1はCIE1964U均等色空間上において、8つの試験色をある試料光源によって照明したときの色度点をプロットした図である。
【0018】
CIE1964U均等色空間上の8つの点をそれぞれ結んで出来た8角形の面積は、試料光源(図1中実線で示す)と同じ相関色温度の基準光源(図1中破線で示す)と比較され、Ga=(試料光源がつくる8角形の面積)/(基準光源がつくる8角形の面積)×100で算出される。なお、ここで述べた基準光源とは、試料光源と同じ相関色温度の黒体放射、もしくはCIE合成昼光である。このGaを算出するのに用いられる番号1〜8の試験色は、いろいろな色相を持ち、そのマンセル明度はすべて6である、中程度の鮮やかさをもつ色サンプルである。そのため、Gaはすべての色に対する平均的な鮮やかさの指標として用いられ、Gaが100以上であれば基準光源よりも平均的に彩度が増しており、すなわち鮮やかさが増していることを意味する。
【0019】
そのため本発明では、照明された物体の色の鮮やかさと蛍光ランプの分光スペクトルの関係について多数の解析をおこなったが、このGaを鮮やかさを示す指標として、実際の目で見た視感評価とともに用いた。
【0020】
本発明の蛍光ランプは、発光ピークが540〜570nmにある緑色蛍光体と、発光ピークが600〜670nmにある赤色蛍光体と、2価のユーロピウムと2価のマンガンで付活された青緑色蛍光体であり、かつ2価のユーロピウムによる発光のピーク高さIEuと2価のマンガンによる発光のピーク高さIMnとの比率IMn/IEuが、蛍光ランプの相関色温度の逆数(Mr)を用いて、(IMn/IEu)≧0.3×10Mr+0.13を満足する青緑色蛍光体とを主成分とした混合蛍光体からなる蛍光体層をガラス管内面に形成した相関色温度2800K〜7500Kの蛍光ランプであり、これにより三波長域発光形蛍光ランプで一般的な450〜460nm付近の青色発光、540〜570nm付近の緑色発光、600〜670nm付近の赤色発光の3つの発光に加え、青緑色蛍光体の2価のマンガンにより500〜535nm付近の発光が適切量追加されることにより、使用する蛍光体材料の種類を増加させないで、照明された物体の色の見えの鮮やかさを改善することのできる蛍光ランプが得られる。
【0021】
図2は本発明の一実施形態として、セリウム・テルビウム付活燐酸ランタン緑色蛍光体を26重量%、ユーロピウム付活酸化イットリウム赤色蛍光体を41重量%、IMn/IEuが1.3であるユーロピウム・マンガン付活アルミン酸バリウムマグネシウム青緑色蛍光体33重量%使用して作成した、相関色温度5000K,CIE1960uv色度図上における黒体軌跡からの色度偏差0の蛍光ランプ(以下、本発明品という)の分光スペクトル(図2中実線で示す)である。併せて、セリウム・テルビウム付活燐酸ランタン緑色蛍光体を46重量%、ユーロピウム付活酸化イットリウム赤色蛍光体を33重量%、ユーロピウム付活アルミン酸バリウムマグネシウム青色蛍光体を21重量%使用して同じ光色に作成した従来の一般的な三波長域発光形蛍光ランプ(以下、比較品という)の分光スペクトルを破線で示した。
【0022】
本発明のランプで照明したいろいろな色彩の物体が存在する空間を視感評価したところ、いろいろな色彩をより鮮やかに照明することができた。また、色域面積比Gaは111.4であり、比較品のGa=102.2を大きく上回った。
【0023】
本発明品では、540〜570nm付近の緑色発光にセリウム・テルビウム付活燐酸ランタン緑色蛍光体(LaPO:Ce,Tb)、600〜670nm付近の赤色発光にユーロピウム付活酸化イットリウム赤色蛍光体(Y:Eu)、青緑色蛍光体として組成を変化させて2価のユーロピウムによる発光のピーク高さIEuと2価のマンガンによる発光のピーク高さIMnとの比率IMn/IEuを様々に変化させたユーロピウム・マンガン付活アルミン酸バリウムマグネシウム青緑色蛍光体を使用して、いろいろな光色の蛍光ランプを作成した。
【0024】
図3、図4および図5は、相関色温度が3500K、5000K、6700Kの蛍光ランプにおいて、使用した青緑色蛍光体の2価のユーロピウムによる発光のピーク高さIEuと2価のマンガンによる発光のピーク高さIMnとの比率IMn/IEuと、比較の蛍光ランプに対するGaの増加数ΔGaの関係を示した図である。
【0025】
図3〜図5から明らかなように、いずれの相関色温度の蛍光ランプにおいても、緑色蛍光体、赤色蛍光体と共に使用される青緑色蛍光体のIMn/IEuが増加するに従い、ΔGaも増加することがわかる。これらの蛍光ランプで照明したいろいろな色彩の物体が存在する空間を視感評価したところ、ΔGa=+2.5以上ではいろいろな色彩をより鮮やかに照明することができた。図3〜図5には、ΔGa=+2.5となるIMn/IEuの値を示してある。これを蛍光ランプの相関色温度の逆数Mrの関数として表し、(IMn/IEu)≧0.3×10Mr+0.13を得た。
【0026】
緑色蛍光体、赤色蛍光体と共に使用される青緑色蛍光体のIMn/IEuが、上式を満たすとき本発明の効果が得られ、使用する蛍光体材料の種類を増加させないで、照明された物体の色の見えの鮮やかさが改善される蛍光ランプが得られる。
【0027】
またさらなる解析の結果、IMn/IEuが増加するに従いΔGaも増加し照明された物体の色の鮮やかさが増すが、Gaの増加は2.5≦ΔGa≦15の範囲が特に好ましいことを見出した。ΔGa=15を越えても鮮やかさは増し本発明の効果は得られるが、照明される対象物によっては鮮やかさが強すぎ、不自然に見える場合もある。そこで色の鮮やかさが改善され、色の見え方が特に好ましい範囲は2.5≦ΔGa≦15の範囲であると決定した。図3〜図5には、ΔGa=+15となるIMn/IEuの値も併せて示してある。これを蛍光ランプの相関色温度の逆数Mrの関数として表し、(IMn/IEu)≧0.3×10Mr+0.13かつ(IMn/IEu)≦2.02×10Mr−1.56を得た。
【0028】
緑色蛍光体、赤色蛍光体と共に使用される青緑色蛍光体のIMn/IEuが、上式を満たすとき本発明の効果が得られ、使用する蛍光体材料の種類を増加させないで、照明された物体の色の見えの鮮やかさが改善され、色の見え方が特に好ましい蛍光ランプが得られる。図4に本発明における、色の鮮やかさが改善され、色の見え方が特に好ましいIMn/IEuの範囲、すなわち(IMn/IEu)≧0.3×10Mr+0.13かつ(IMn/IEu)≦2.02×10Mr−1.56(Mrは蛍光ランプの相関色温度の逆数)を斜線部で示した。
【0029】
なお、本発明は発光ピークが540〜570nmにある緑色蛍光体と、発光ピークが600〜670nmにある赤色蛍光体と、2価のユーロピウムと2価のマンガンで付活された青緑色蛍光体であり2価のユーロピウムによる発光のピーク高さIEuと2価のマンガンによる発光のピーク高さIMnとの比率IMn/IEuが所定の範囲内である青緑色蛍光体の組み合わせを蛍光体層中に有する蛍光ランプであるが、一般的な蛍光ランプにおいては演色性等、色の見え方のさらなる改善を狙って、ある特定の波長域に発光を追加することがある。例えば、490nm付近にピークを有する蛍光体を青色、緑色、赤色蛍光体と共に蛍光体層として適量添加することによって、平均演色評価数(Ra)を上昇できる場合があることはよく知られている。本発明においても上記の手段は有効であって、かつ本発明の効果は失われないことは言うまでもない。
【0030】
本発明の蛍光ランプを実現するための発光ピークが540〜570nmである緑色蛍光体は、3価テルビウム付活もしくは3価テルビウム、3価セリウム付活もしくは2価マンガン、3価テルビウム付活緑色蛍光体の少なくとも一種類からなるものを用いればよい。代表的な蛍光体としては、セリウム・テルビウム付活燐酸ランタン蛍光体(LAP蛍光体)やテルビウム付活アルミン酸セリウムマグネシウム蛍光体(CAT蛍光体)等がよく知られている。
【0031】
また、本発明の蛍光ランプを実現するための発光ピークが600〜670nmである赤色蛍光体は、3価ユーロピウム付活もしくは2価マンガン付活もしくは4価マンガン付活赤色蛍光体の少なくとも一種類からなるものを用いればよい。代表的な蛍光体としては、ユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体(YOX蛍光体)等がよく知られている。また、必要に応じてユーロピウム付活酸硫化イットリウム蛍光体(YOS蛍光体)、マンガン付活ホウ酸セリウムガドリニウム蛍光体(CBM蛍光体)、マンガン付活ゲルマン酸フルオロマグネシウム蛍光体(MFG蛍光体)等を併せて使用することもできる。
【0032】
また、本発明の蛍光ランプを実現するための青緑色蛍光体としては、2価ユーロピウム、2価マンガン付活アルミン酸塩蛍光体がある。具体的には一般式(Ba1−a−bEu)O・x(Mg1−cMn)O・yAl(ただし、0.8≦x≦2.0,4≦y≦8,0≦a≦0.95,0.05≦b≦0.4,0<a+b≦1,0.025≦c≦0.4、MはCa,Srから選ばれる少なくとも一種の元素)で表されることを特徴とする、2価ユーロピウム、2価マンガン付活アルミン酸塩蛍光体を用いればよい。
【0033】
一般式中の記号a,b,c,x,yは、アルミン酸塩蛍光体を構成する化合物の含有量を示しており、それぞれ範囲を指定した。これについて詳しく述べる。
【0034】
一般式において記号aはMO(MはCa,Srから選ばれる少なくとも一種の元素)の含有量を示している。2価ユーロピウム、2価マンガン付活アルミン酸塩蛍光体において、バリウムの一部または全てをカルシウム、ストロンチウムで置換することによって、2価のユーロピウムによる青色発光のスペクトルのピークの位置がシフトしたり、半値幅が変化することがよく知られている。本発明の蛍光ランプに用いられる青緑色蛍光体においても同様の現象が見られ、かつ本発明の効果も得ることができる。
【0035】
一般式において記号bはEuの含有量を示しており、含有量が0.05未満では充分な発光が得られず、0.4を越えると濃度消光により発光が著しく減少するため、0.05≦b≦0.4とした。
【0036】
一般式において記号cはMnOの含有量であり、0.025≦c≦0.4とした。この範囲内のMnOの含有により、適切量のMnによる発光を有する青緑色蛍光体が得られ、この青緑色蛍光体を緑色、赤色蛍光体と共に使用することで本発明の蛍光ランプを得ることができる。なお、cが0.4を越えるとユーロピウムの場合と同様に濃度消光をおこし、発光が減少するため実用に適さない。
【0037】
一般式において記号xはMgOの含有量を、記号yはAlの含有量をそれぞれ示している。そして、記号xが0.8≦x≦2.0を、記号yが4≦y≦8を満足する場合、適切な発光特性を有する蛍光体が得られる。一方、記号xが0.8≦x≦2.0を、記号yが4≦y≦8を満足しない場合、発光ピーク高さ、輝度とも著しく低下し、実用に適したアルミン酸塩蛍光体を得ることはできない。
【0038】
一般式(Ba1−a−bEu)O・x(Mg1−cMn)O・yAl(ただし、0.8≦x≦2.0,4≦y≦8,0≦a≦0.95,0.05≦b≦0.4,0<a+b≦1,0.025≦c≦0.4、MはCa,Srから選ばれる少なくとも一種の元素)で表されることを特徴とする、2価ユーロピウム、2価マンガン付活アルミン酸塩蛍光体は、以下のようにして合成することができる。まず、蛍光体の原料としては、
(1)酸化バリウム、炭酸バリウム、ハロゲン化バリウム等のバリウム化合物。
(2)酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム化合物。
(3)酸化ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、ハロゲン化ストロンチウム等のストロンチウム化合物。
(4)酸化ユーロピウム、ハロゲン化ユーロピウム等のユーロピウム化合物。
(5)酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等のマグネシウム化合物。
(6)酸化マンガン、炭酸マンガン、ハロゲン化マンガン等のマンガン化合物。(7)酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム等のアルミニウム化合物。
が用いられる。
【0039】
上記原料を秤量し、その混合物を充分に粉砕・混合する。これをアルミナ製の坩堝等の耐熱性容器に入れ、還元性雰囲気において1100〜1600℃の温度で数時間焼成する。これにより、一般式(Ba1−a−bEu)O・x(Mg1−cMn)O・yAl(ただし、0.8≦x≦2.0,4≦y≦8,0≦a≦0.95,0.05≦b≦0.4,0<a+b≦1,0.025≦c≦0.4、MはCa,Srから選ばれる少なくとも一種の元素)で表されることを特徴とする、2価ユーロピウム、2価マンガン付活アルミン酸塩蛍光体を合成することができる。
【0040】
次に、本発明の一実施形態について説明する。
セリウム・テルビウム付活燐酸ランタン緑色蛍光体(LAP蛍光体)、ユーロピウム付活酸化イットリウム赤色蛍光体(YOX蛍光体)、そしてこれまでに述べた方法で合成された、いろいろなIMn/IEuの2価ユーロピウム、2価マンガン付活アルミン酸塩蛍光体を用いて相関色温度がおよそ6700K、5000K、3500K、3000Kの本発明にかかる蛍光ランプを作成した。なお、蛍光体の種類が増加しないので、ランプ作成の手間は従来の三波長域発光形蛍光ランプの作成と全く同じであった。
【0041】
また、比較品としてそれぞれ同じ相関色温度で、セリウム・テルビウム付活燐酸ランタン緑色蛍光体とユーロピウム付活酸化イットリウム赤色蛍光体とユーロピウム付活アルミン酸バリウムマグネシウム青色蛍光体(BAM蛍光体)を使用した、一般的な三波長域発光形蛍光ランプを作成し、実際の観測評価をおこなった。その結果を図7に示す。
【0042】
図7では左から順に、作成ランプ記号、蛍光体の種類とその重量比、本発明の蛍光ランプに用いられる青緑色蛍光体のIMn/IEu、作成ランプのCIE1931xy色度座標、作成ランプの相関色温度、作成ランプの相関色温度の逆数、作成ランプのCIE1960uv色度図上における黒体軌跡からの色度偏差Δuv(ただし、プラスはCIE1960uv色度図上において黒体軌跡から左上側への色度偏差、マイナスは黒体軌跡から右下側への色度偏差を示す。)、鮮やかさの指標である色域面積比Ga、最後に作成したランプの視感評価の結果である。
【0043】
なお作成したランプの視感評価は、ほぼ同じ色温度の従来の一般的な三波長域発光形蛍光ランプ(比較品1〜4)と比較をおこない、いろいろな色彩の物体が存在する空間を視感評価した時に、◎印(比較品よりも鮮やかであり、特に色が好ましく見える)、○印(比較品よりも鮮やかである)、×印(比較品との相違が感じられない)の3段階評価で示した。
【0044】
また、図7において、作成した蛍光ランプに用いられた青緑色蛍光体のIMn/IEuと、作成した蛍光ランプの相関色温度の逆数との関係を、図6で示した本発明の効果を有する範囲上にマッピングしたものを図8に示す。なお、図中の◎印、○印、×印は図7の視感評価の結果であり、図中のアルファベットは図7の作成ランプの記号を示している。
【0045】
以上より本発明の効果が得られる、作成した蛍光ランプに用いられた青緑色蛍光体のIMn/IEuの範囲を確認することができた。
【0046】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、使用する蛍光体材料の種類を増加させないで、照明された物体の色の見えの鮮やかさを改善することのできる蛍光ランプを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】色域面積比Gaを説明するCIE1964U均等色空間の図
【図2】本発明の一実施形態の蛍光ランプの分光分布図
【図3】相関色温度3500Kの本発明の蛍光ランプにおける比率IMn/IEuと、比較品に対するGaの増加数ΔGaとの関係を示した図
【図4】相関色温度5000Kの本発明の蛍光ランプにおける比率IMn/IEuと、比較品に対するGaの増加数ΔGaとの関係を示した図
【図5】相関色温度6700Kの本発明の蛍光ランプにおける比率IMn/IEuと、比較品に対するGaの増加数ΔGaとの関係を示した図
【図6】色の鮮やかさが改善され、色の見え方が特に好ましい本発明の蛍光ランプが得られるときの、比率IMn/IEuと蛍光ランプの相関色温度の逆数との関係を示した図
【図7】本発明の一実施形態である蛍光ランプと、比較品との観測評価を示す図
【図8】本発明の一実施形態である蛍光ランプにおける比率IMn/IEuと蛍光ランプの相関色温度の逆数との関係を、視感評価の結果とともに示した図

Claims (4)

  1. 発光ピークが540〜570nmにある緑色蛍光体と、発光ピークが600〜670nmにある赤色蛍光体と、2価のユーロピウムと2価のマンガンで付活された青緑色蛍光体であり、かつ2価のユーロピウムによる発光のピーク高さIEuと2価のマンガンによる発光のピーク高さIMnとの比率IMn/IEuが、蛍光ランプの相関色温度の逆数(Mr)を用いて、(IMn/IEu)≧0.3×10Mr+0.13を満足する青緑色蛍光体とを主成分とした混合蛍光体からなる蛍光体層をガラス管内面に形成し、相関色温度が2800K〜7500Kであることを特徴とする蛍光ランプ。
  2. 前記比率IMn/IEuが、蛍光ランプの相関色温度の逆数(Mr)を用いて、(IMn/IEu)≧0.3×10Mr+0.13かつ(IMn/IEu)≦2.02×10Mr−1.56を満足することを特徴とする請求項1に記載の蛍光ランプ。
  3. 前記緑色蛍光体が3価テルビウム付活もしくは3価テルビウム、3価セリウム付活もしくは2価マンガン、3価テルビウム付活緑色蛍光体の少なくとも一種類からなり、前記赤色蛍光体が3価ユーロピウム付活もしくは2価マンガン付活もしくは4価マンガン付活赤色蛍光体の少なくとも一種類からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蛍光ランプ。
  4. 前記2価のユーロピウムと2価のマンガンで付活された青緑色蛍光体が、2価ユーロピウム、2価マンガン付活アルミン酸塩蛍光体であり、一般式(Ba1−a−bEu)O・x(Mg1−cMn)O・yAl(ただし、0.8≦x≦2.0,4≦y≦8,0≦a≦0.95,0.05≦b≦0.4,0<a+b≦1,0.025≦c≦0.4、MはCa,Srから選ばれる少なくとも一種の元素)で表されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の蛍光ランプ。
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