JPH07197022A - ホウ酸塩系蛍光体 - Google Patents

ホウ酸塩系蛍光体

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JPH07197022A
JPH07197022A JP35371193A JP35371193A JPH07197022A JP H07197022 A JPH07197022 A JP H07197022A JP 35371193 A JP35371193 A JP 35371193A JP 35371193 A JP35371193 A JP 35371193A JP H07197022 A JPH07197022 A JP H07197022A
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JP
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borate
phosphor
emission
red
spectrum
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JP35371193A
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English (en)
Inventor
Bunzo Moriyama
文三 森山
Hirofumi Moriyama
浩文 森山
Tomofumi Moriyama
智文 森山
Teruo Goto
輝夫 後藤
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Tokyo Kagaku Kenkyusho KK
Original Assignee
Tokyo Kagaku Kenkyusho KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 演色性の改善を目的として、新たな波長領域
パターンを有する赤色又は赤橙色の発光蛍光体を得る。 【構成】 ホウ酸塩に希土類を添加したものを母体組成
として、3価のユーロピウム(Eu3+)を付活剤とした
もの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は赤色又は赤橙色発光を生
じる3価のユーロピウムを付活剤としたホウ酸塩系蛍光
体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】赤色又は赤橙色発光蛍光体としては、従
来から例えばイットリウム・ユーロピウム・オキサイド
(Y−Eu)が知られている。この蛍光体は、ピーク波
長領域が 612nmにあり、非常に鋭い発光スペクトルを
有し、優れた赤色成分として三波長蛍光ランプやカラー
テレビ等の広い分野で使用されている。
【0003】例えば、蛍光ランプの場合、現在のように
演色性(Ra)が重要視されるようになってから、青色
(450nm)、緑色(543nm)、赤色(612n
m)に中間色として490nm付近の補色を入れる等し
て、水銀輝線の透過をカットするか、最近は深赤部分
(660nm)に発光するものを加えたり(四波長)し
て演色性の改善を行うようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来よ
り用いられている蛍光体では、3色の狭い波長領域のみ
の発光を得ることは稀であり、例えば赤色であれば、メ
インとなる波長領域(612nm)以外にも、種々のサ
ブ・ピークが存在している。
【0005】このため、例えば三波長蛍光ランプを作成
する場合には、青色,緑色,赤色の少くとも3種類の蛍
光体を組み合わせて目的の演色性を有する発光スペクト
ルを得ていたが、蛍光体の組み合わせによっては、Y2
3 −Euの波長のみでは赤色成分に問題が有り、従来
の蛍光体だけの組み合わせでは演色性に限界があった。
【0006】ところで、Eu3+の発光は、フィリップス
社のG.Blosseらによると、580〜 700nmの橙
色−赤色−近赤外の発光(D−F遷移)は 507
1 (580nm)以下、順に− 72 ( 612nm)− 74
( 700nm)によるものであり、多数のサブ・ウエー
ブを持つことが報告されている。
【0007】これらのサブ・ウエーブが母体組成の陰イ
オンを変えたりRe(希土類元素,以下「Re」と記
す)の種類によって、どのような変化を示すかについ
て、それぞれの蛍光体のピーク・エネルギー(nm)及
び色度(x,y)などの確認は未だ行われてはいない。
【0008】本発明は、演色性の改善を目的として、E
3+の発光がその結晶母体特にアルミネイト、ホウ酸、
ケイ酸、及びリン酸等の陰イオンを用いた場合、どのよ
うな発光スペクトルを有するかについての確認実験を行
なった上に、新たな波長領域パターンを有する赤色又は
赤橙色の発光蛍光体を得ることを目的とし、更に、メイ
ンピークをシフトさせることのできる赤色又は赤橙色発
光蛍光体を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本請求項1に記載の発明
に係るホウ酸塩系蛍光体では、ホウ酸塩に希土類を添加
したものを母体組成として、3価のユーロピウム(Eu
3+)を付活剤としたものである。
【0010】また、本請求項2に記載の発明に係るホウ
酸塩系蛍光体では、ホウ酸塩にイットリウム(Y)を添
加したものを母材組成として、3価のユーロピウム(E
3+)を付活剤としたものである。
【0011】更に、本請求項3に記載の発明に係るホウ
酸塩系蛍光体では、請求項2に記載のホウ酸塩系蛍光体
において、前記母体組成に2価のアルカリ土類金属を添
加又は置換したものである。
【0012】また、本請求項4に記載の発明に係るホウ
酸塩系蛍光体では、請求項3に記載のホウ酸塩系蛍光体
において、一般式、 aRe23 ・bEu23 ・c[M]O・nB23 (但し、Reは希土類元素、[M]は2価のアルカリ土
類金属、0.5 ≦a<1.0,0.05≦b<0.5 ,0.05≦c<
1.0 ,1≦n<14)で示されるものである。
【0013】更に、本請求項5に記載の発明に係るホウ
酸塩系蛍光体では、[M]が、バリウム(Ba)又はス
トロンチウム(Sr)である。
【0014】また、本請求項6に記載の発明に係るホウ
酸塩系蛍光体では、[M]が、ストロンチウム(Sr)
である
【0015】更に、本請求項7に記載の発明に係るホウ
酸塩系蛍光体では、ホウ酸塩にランタン(La)を添加
したものを母体組成として、3価のユーロピウム(Eu
3+)を付活剤としたものである。
【0016】また、本請求項8に記載の発明に係るホウ
酸塩系蛍光体では、請求項7に記載のホウ酸塩系蛍光体
において、一般式、 dLa23 ・eEu23 ・mB23 (但し、0.5 ≦d<1.0 ,0.05≦e<0.5 ,1≦m<1
4)で示されるものである。
【0017】更に、本請求項9に記載の発明に係るホウ
酸塩系蛍光体では、請求項8に記載のホウ酸塩系蛍光体
において、m=6である。
【0018】
【作用】本発明においては、ホウ酸塩に希土類を添加し
たものを母体組成として、3価のユーロピウム(E
3+)を付活剤としたものである。このため、新たな波
長領域パターンを有する赤色又は赤橙色の発光蛍光体が
得られ、演色性が改善される。
【0019】具体的には、本発明においては、ホウ酸塩
にイットリウム(Y)を添加したものを母材組成とし
て、3価のユーロピウム(Eu3+)を付活剤としたもの
である。このイットリウム・ホウ酸塩の母体組成に3価
のユーロピウムの付活剤の組み合わせは、従来にはな
く、新たな赤色系蛍光体としての使用が期待されるもの
である。更に具体的には、希土類をイットリウム(Y)
としたものでは、波長領域590nm, 612nm, 614n
mに強い波形を有する。
【0020】また、本発明では、ホウ酸塩と希土類とに
2価のアルカリ土類金属を添加又は置換したものを母体
組成として、3価のユーロピウム(Eu3+)を付活剤と
したホウ酸塩系蛍光体であるため、ホウ酸塩のメインピ
ークの波長領域をシフトさせることができる。従って、
新たな波長領域パターンを有する赤色又は赤橙色の発光
蛍光体が得られ、これを青,緑等の他の色の発光蛍光体
と組み合わせることにより、演色性が改善される。
【0021】具体的には、一般式:aRe23 ・bE
23 ・c[M]O・nB23(但し、Reは希土
類元素、[M]は2価のアルカリ土類金属、0.5 ≦a<
1.0,0.05≦b<0.5 ,0.05≦c<1.0 ,1≦n<1
4)で示されるホウ酸塩系蛍光体では、従来のホウ酸塩
系蛍光体では、得られない波長領域パターンを得ること
ができる。更に具体的には、2価のアルカリ土類金属を
添加又は置換したものでは、イットリウム・ホウ酸塩を
母材組成とする蛍光体が有する波長領域 590nm, 612
nm, 614nmに強い波形を有するパターンが、波長領
域 612nmにメインピークを移動させることができる。
【0022】具体的な2価のアルカリ土類金属として
は、バリウム(Ba)又はストロンチウム(Sr)があ
るが、更には、ストロンチウム(Sr)が 612nmのメ
インピークを増大させ、且つ、他のサブ・ピークを低下
させるためにより好ましい。
【0023】また、別の本発明では、ホウ酸塩にランタ
ン(La)を添加したものを母体組成として、3価のユ
ーロピウム(Eu3+)を付活剤としたものである。この
ランタン・ホウ酸塩の母体組成に3価のユーロピウムの
付活剤の組み合わせは、従来にはなく、新たな赤色系蛍
光体としての使用が期待されるものである。
【0024】この蛍光体は具体的には、一般式:dLa
23 ・eEu23 ・mB23(但し、0.5 ≦d<
1.0 ,0.05≦e<0.5 ,1≦m<14)で示され、その
具体的な波長領域パターンは、波長領域 694nmにピー
クを有し、近赤外の発光に、やや強い波長領域 585nm
のサブ・ウエーブ及び波長領域 616nmの真赤部が纏っ
ているが発光としてはメインに対して20%程度である
( 585nm=48%)。従って、この蛍光体は、波長領域
694nmの割合発光が高い蛍光体である。
【0025】尚、dLa23 ・eEu23 ・mB2
3 で示される蛍光体のホウ酸塩とランタンとの割合
は、ホウ酸量はB=12molくらいが適量であり、5m
ol以下は好ましくない。また、Laの場合、他の添加
物はあまり効果は見出せていない。従って、 La23 ・ 1/2Eu23 ・6B23 ということになる。
【0026】
【実施例】実施例1.各陰イオンを使用した場合のEu3+の発光 Reと種々の陰イオン元素による母体組成に、Eu3+
付活した場合の、発光スペクトル分布を表1及び図1〜
4に示す。
【0027】尚、図1はY23 ・2.5B23 :E
3+の分光スペクトル図である。図2はLa23 ・3
23 :Eu3+の分光スペクトル図である。図3は比
較としてのY23 ・PO4 :Eu3+の分光スペクトル
図である。図4は同じく比較としてのY23 ・2Si
4 :Eu3+の分光スペクトル図である。次の表1は、
各蛍光体の組成の分光スペクトルの発光の強さとサブ・
ウエーブの数を示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1及び図1〜4に示す通り、3価のEu
3+の付活による赤色の発光が、各陰イオンとReの種類
により、様々なバリエーションをとることわかる。
【0030】特に、ホウ酸塩系蛍光体では、陰イオンの
濃度よりもReの種類によって発光のスペクトルに変化
が生じることがわかる。つまり、Y23 の場合には、
波長領域 590nm, 612nmにピークをもつ。これに対
し、La23 との組み合わせでは、波長領域 694nm
にピーク・ウエーブが移り、Al量の多いアルミン酸塩
と似た分光スペクトルパターンを有する。
【0031】一方、シリケイト(SiO2 )の場合は、
リン塩のように小波形が各々重なる形で太くなり、波長
領域 612nmのピーク・ウエーブが2つに割れた形にな
る。サブ・ウエーブに波長領域 700nmがかなりの強さ
で存在する。
【0032】このように、Eu3+の付活では、母材組成
中の陰イオンとReの種類により、波形やピーク位置が
各々異なるが、共通して波長領域 585-590nmの副発光
が必ず存在することが確認された。
【0033】実施例2.Eu3+付活ホウ酸塩の発光 実施例2-1.ホウ酸塩の添加物 また、Eu3+付活によるRe・ホウ酸塩を母材組成とす
る蛍光体については、Reの種類及び2価の金属の添加
又は置換による効果について更に実験を行った。
【0034】即ち、イットリウム・ボレイト(Y23
SrO・nB23 )およびランタン・ボレイト(La
23・nB23 )を母材組成としたものにEu3+を付
活した場合の発光については、表1及び分光スペクトル
図に示したが、YとBとの量、LaとBとの量及びアル
カリ土類金属の添加又は置換による効果等について更に
実験を行った。
【0035】Re=Y23 の場合、実例として次の3
つを挙げる。 (1) Y23 ・2.5B23 :Eu3+(YB−2) (2) Y23 ・0.3BaO・2.5B23 :Eu3+
(YB−4) (3) Y23 ・0.3SrO・2.5B23 :Eu3+
(YS−1)
【0036】図5はY23 ・0.3BaO・2.5B
23 :Eu3+の分光スペクトル図である。図6はY2
3 ・0.3SrO・2.5B23 :Eu3+の分光ス
ペクトル図である。
【0037】図1に示したY23 ・2.5B23
Eu3+(YB−2)の場合の分光スペクトルは、ホウ酸
量の相違によって波形に変化はなく、ピーク位置が波長
領域590nmにあり、赤橙色の発光を有する。この波長
領域 590nmについで波長領域 612nm, 614nmのサ
ブ・ウエーブの順に発光の高さが並び 700nm付近の発
光は低い。
【0038】一方、図5及び図6に示す通り、Y23
・2.5B23 中に2価のアルカリ土類金属を添加し
た場合には、ピークがYOXとほぼ同じ 613nmにシフ
トし、サブ・ウエーブ 590-614の発光が減少し、 700n
mがやや上昇することが確認された。そこで、次の表2
にY23 ・2.5B23 中にBa及びSrを添加し
た場合の各サブ・ウエーブの高さ%を示す。
【0039】
【表2】
【0040】更に、図7はY23 ・2.5B23
Eu3+にSrO及びBaOを添加した場合の波形の変化
を示す線図である。図において、 (1) Y23 ・2.5B23 :Eu3+ (2) Y23 ・0.3BaO・2.5B23 :Eu3+ (3) Y23 ・0.3SrO・2.5B23 :Eu3+ を示す。
【0041】図7に示す通り、(1) の組成の分光スペク
トルは 616nmより短波長側に発光エネルギーが集ま
り、 590nmがメインピークとなり、短波長側から 590
nm(100%)− 612nm(96%)− 614nm(94%)
とピーク・サブ・ウエーブ共に高く、長波長(近赤外)
のウエーブは低い。更に、この(1) の組成に2価のM、
即ちBa及びSrのアルカリ土類金属を添加すると、 6
12nmにピークが移動し、 590nmが下降することが判
る。
【0042】以上のように、Y23 ・nB23 :E
3+の場合の分光スペクトル中の波長領域 612nmの赤
色成分を強くするために、Ba,Sr等の2価の金属を
加えた場合、ピークがYOXとほぼ同じ 613nmにシフ
トし、サブ・ウエーブ 590-614の発光が減少し、 700n
mがやや上昇する。特に、 590nm( 5072
の発光が増大することが確認された。
【0043】添加する2価の金属の種類は、BaO及び
SrOである。図5及び図6のスペクトル図より、Y2
3 ・2.5B23 :Eu3+の組成にBaO,SrO
を添加した場合の発光特性の結果は次の表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】以上のように、図1を含めて上記3種の組
成の各スペクトル図から判るように、イットリウム・ホ
ウ酸塩を母材組成とする蛍光体が有する波長領域 590n
m,612nm, 614nmに強い波形を有するパターン
が、2価のアルカリ土類金属を添加又は置換することに
より、波長領域 612nmにメインピークを移動させるこ
とができることが確認された。
【0046】そして図6に示す通り、波長領域 612nm
に更に強い発光を得るためには、ストロンチウム(S
r)の方がよりよいものであることを見出した。ストロ
ンチウム(Sr)が 612nmのメインピークを増大さ
せ、且つ、他のサブ・ピークを低下させるためにより好
ましい。この場合、SrO濃度は0.4mol程度が望
ましい。
【0047】実施例2-2.SrO濃度と発光特性 イットリウム・ホウ酸塩を母材組成のEu3+付活蛍光体
の母材組成中にSrを添加又は置換した場合に、波長領
域 612nmに更に強い発光を得ることが確認されたが、
Srの濃度と発光特性との関係を更に求めた。次の表4
はY23 ・2.5B23 :Eu3+中のSrOの量と
発光データを示すものである。このデータから見て、S
rO濃度は0.4mol程度が望ましいことが確認され
た。
【0048】
【表4】
【0049】更に、イットリウム・ホウ酸塩を母材組成
のEu3+付活蛍光体において、Y23 をSrOに置換
した蛍光体がその割合に応じてどのように発光特性が変
化するかを確認した。即ち、Sr+Y+Euを1に固定
した組成でSrの濃度の変化にもとなう発光特性を調べ
た。結果を次の表5に示す。
【0050】
【表5】
【0051】表5に示す通り、Srの入った組成では、
メインピークは 613nmにシフトすることが確認され
た。また、Y=0.4,Sr=0.4 の場合の発光強度Ipが
最も高いことが確認された。
【0052】以上のように、Eu3+付活によるSr0.8
59.95の発光のメイン・ピークは 613nmにあり、
特徴として紫外部( 357nm)にかなり高い副発光を有
することが確認された。この 357nmのサブ・ウエーブ
の場合、大気中の焼成ではあるが、ホウ酸塩のできる間
にホウ酸の強い還元性のため、一部、2価のEuができ
るのではないかと考えられた。
【0053】そこで、2価のEuについて、発光スペク
トルを測定した。図8は蛍光体 0.8SrO・ 0.1Eu2
3 ・ 2.5B23(SrB5,表5の1) の分光スペクトル
図である。図9は蛍光体Zn0.7 Eu0.2 ・B5
8.6(Z-B5) の分光スペクトル図である。
【0054】図8に示す通り、ホウ酸塩を母材組成と
し、2価のEuを含む蛍光体では、図6と同様に波長領
域 612nm, 590nm, 614nmにピークを有すること
が確認された。しかしながら、図8の蛍光体では、波長
領域 357nmに比較的高いピークがあることが確認され
た。
【0055】そこで、図8に示した蛍光体にYを置換し
た蛍光体の発光スペクトルを求めた。図10は図8の蛍
光体(SrB5)とこれにYを0.2mol置換した蛍光体の比較分
光スペクトル図である。図11は図8の蛍光体(SrB5,
0.8SrO・0.1Eu2O3・2.5B2O3,表5の1) と蛍光体(SrB4,
0.2Y2O3・0.4SrO・2.5B2O3 ,表5の3)との比較分光ス
ペクトル図である。
【0056】図に示すように、図8の蛍光体に、Yを少
しずつ置換すると、発光強度も増大するが、同時に 357
nmの発光が消滅することが確認された。特に、図11
に示す通り、蛍光体(SrB5)と蛍光体(SrB4)を比較すると
Sr単独の場合の 357nmの副発光がSr0.4,Y
0.4の割合で消滅した分、赤色部の各波を圧し挙げて
いる。このように、Sr・borateにEuの3価を
付活した場合でもYOXに類似するピーク・ウエーブ 6
13nmの非常に鋭い波形を有することがわかる。
【0057】以上のように、表3に示される通り、Ba
の無添加ではx値が高い。これは 529〜 614nm間での
波形がそれぞれに高いためであり、赤成分の強いことを
示している。しかし、例えばランプ用であれば、むしろ
YOXのように 612nmくらいが、他のウエーブより抜
きんでて高い方の波形が好ましい。従ってSrの添加に
よる波形がよい。また、Srを加えた組成であれば、 5
90nm付近の波長が無添加に比べて60%程下降し、発光
エネルギーがその分 612nmに集中することになる。こ
のように結晶母体により、Eu3+の発光ピークのシフト
等の波形に変化が与えられることが確認された。
【0058】実施例3.Reの種類と発光 前述の実施例2でホウ酸イットリウムにバリウム,スト
ロンチウム等を加えるとピークがシフトすることを実験
により見出したが、今度はReをランタニウム(La2
3 =酸化ランタン)にした場合の波形の変化について
記述する。次の表6はLa23 ・nB23 :Eu3+
中のB23 濃度と発光特性を示すものである。
【0059】
【表6】
【0060】表6に示す通り、La23 ・nB2
3 :Eu3+の発光は、波長領域 694nmにピークを有
し、近赤外の発光に、やや強い波長領域 585nmのサブ
・ウエーブ及び波長領域 616nmの真赤部が纏っている
が発光としてはメインに対して20%程度である( 585n
m=48%)。従って、波長領域 694nmの割合発光が高
い。
【0061】図12は化合物La0.94・Eu0.2 ・Bn
x 中のB量を10〜14mol に変化させた場合の分光スペ
クトル図である。図13はLa23 ・nB23 :E
3+のB量と発光特性(発光強度)との関係を示す説明
図である。図14はLa23 ・nB23 :Eu3+
B量と色度(x,y)との関係を示す説明図である。
【0062】図に示す通り、ホウ酸量はB=12molく
らいが適量であり、5mol以下は好ましくない。ま
た、Laの場合、添加物はあまり効果は見出せていな
い。従って、 La23 ・6B23 :Eu3+ ということになる。
【0063】以上のように、La.borateの発光
の場合 694nmの発光はそのエネルギーが割合に強いこ
とから植物育成用として、もしnmの位置が合えば有効
であろうと考えられる。
【0064】図15は試作した植物育成ランプ用蛍光体
の分光スペクトル図である。具体的に試作したホウ酸ラ
ンタン蛍光体は、La1.17・B1016.76 ;Eu3+であ
る。尚、比較として他社製品のリチウム・アルミネイト
蛍光体(商品名NP870)の分光スペクトルも記載し
た。
【0065】図に示す通り、他社製品の蛍光体が 740n
mに主発光を持ち、近赤部の長波側に位置するのに対
し、試作された蛍光体は、 694nmに主発光をもち、可
視発光も強い。元々、植物育成用に有効な波長は 670〜
710nmの間に発光を持つものが行こうとした報告もあ
り、本試作品の方がより効果が高いと考えられる。
【0066】まとめ 次の表7は前述のEu3+付活蛍光体の母体条件と分光ス
ペクトルの関係をまとめたものである。
【0067】
【表7】
【0068】
【発明の効果】本発明は以上説明したとおり、ホウ酸塩
に希土類を添加したものを母体組成として、3価のユー
ロピウム(Eu3+)を付活剤としたものである。このた
め、新たな波長領域パターンを有する赤色又は赤橙色の
発光蛍光体が得られ、演色性が改善される。
【0069】具体的には、本発明においては、ホウ酸塩
にイットリウム(Y)を添加したものを母材組成とし
て、3価のユーロピウム(Eu3+)を付活剤としたもの
及びホウ酸塩にランタン(La)を添加したものを母体
組成として、3価のユーロピウム(Eu3+)を付活剤と
したものである。これらの蛍光体は従来にはなく、新た
な赤色系蛍光体としての使用が期待されるものである。
【0070】また、本発明では、ホウ酸塩と希土類とに
2価のアルカリ土類金属を添加又は置換したものを母体
組成として、3価のユーロピウム(Eu3+)を付活剤と
したホウ酸塩系蛍光体であるため、ホウ酸塩のメインピ
ークの波長領域をシフトさせることができる。従って、
新たな波長領域パターンを有する赤色又は赤橙色の発光
蛍光体が得られ、これを青,緑等の他の色の発光蛍光体
と組み合わせることにより、演色性が改善される。
【0071】具体的な2価のアルカリ土類金属として
は、バリウム(Ba)又はストロンチウム(Sr)があ
るが、更には、ストロンチウム(Sr)が 612nmのメ
インピークを増大させ、且つ、他のサブ・ピークを低下
させるためにより好ましい等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】Y23 ・2.5B23 :Eu3+の分光スペ
クトル図である。
【図2】La23 ・3B23 :Eu3+の分光スペク
トル図である。
【図3】Y23 ・PO4 :Eu3+の分光スペクトル図
である。
【図4】Y23 ・2SiO4 :Eu3+の分光スペクト
ル図である。
【図5】Y23 ・0.3BaO・2.5B23 :E
3+の分光スペクトル図である。
【図6】Y23 ・0.3SrO・2.5B23 :E
3+の分光スペクトル図である。
【図7】Y23 ・2.5B23 :Eu3+にSrO及
びBaOを添加した場合の波形の変化を示す線図であ
る。
【図8】蛍光体 0.8SrO・ 0.1Eu23 ・ 2.5B2
3(SrB5) の分光スペクトル図である。
【図9】蛍光体Zn0.7 Eu0.2 ・B58.6(Z-B5) の
分光スペクトル図である。
【図10】図8の蛍光体(SrB5)とこれにYを0.2mol置換
した蛍光体の比較分光スペクトル図である。
【図11】図8の蛍光体(SrB5)と蛍光体(SrB-4)との比
較分光スペクトル図である。
【図12】化合物La0.94・Eu0.2 ・Bnx 中のB
量を10〜14mol に変化させた場合の分光スペクトル図で
ある。
【図13】La23 ・nB23 :Eu3+のB量と発
光特性(発光強度)との関係を示す説明図である。
【図14】La23 ・nB23 :Eu3+のB量と色
度(x,y)との関係を示す説明図である。
【図15】試作した植物育成ランプ用蛍光体の分光スペ
クトル図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 輝夫 神奈川県大和市下鶴間2丁目2番1号 株 式会社東京化学研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホウ酸塩に希土類を添加したものを母体
    組成として、3価のユーロピウム(Eu3+)を付活剤と
    したホウ酸塩系蛍光体。
  2. 【請求項2】 ホウ酸塩にイットリウム(Y)を添加し
    たものを母材組成として、3価のユーロピウム(E
    3+)を付活剤としたことを特徴とするホウ酸塩系蛍光
    体。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のホウ酸塩系蛍光体にお
    いて、 前記母体組成に2価のアルカリ土類金属を添加又は置換
    したことを特徴とするホウ酸塩系蛍光体。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のホウ酸塩系蛍光体にお
    いて、 一般式、 aRe23 ・bEu23 ・c[M]O・nB23 (但し、Reは希土類元素、[M]は2価のアルカリ土
    類金属、0.5 ≦a<1.0,0.05≦b<0.5 ,0.05≦c<
    1.0 ,1≦n<14)で示されることを特徴とするホウ
    酸塩系蛍光体。
  5. 【請求項5】 [M]が、バリウム(Ba)又はストロ
    ンチウム(Sr)であることを特徴とする請求項4に記
    載のホウ酸塩系蛍光体。
  6. 【請求項6】 [M]が、ストロンチウム(Sr)であ
    ることを特徴とする請求項4に記載のホウ酸塩系蛍光
    体。
  7. 【請求項7】 ホウ酸塩にランタン(La)を添加した
    ものを母体組成として、3価のユーロピウム(Eu3+
    を付活剤としたことを特徴とするホウ酸塩系蛍光体。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載のホウ酸塩系蛍光体にお
    いて、 一般式、 dLa23 ・eEu23 ・mB23 (但し、0.5 ≦d<1.0 ,0.05≦e<0.5 ,1≦m<1
    4)で示されることを特徴とするホウ酸塩系蛍光体。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載のホウ酸塩系蛍光体にお
    いて、 m=6であることを特徴とするホウ酸塩系蛍光体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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