JPH08339655A - テープカートリッジ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気テープを高精度な状態で安定走行させる
とともに衝撃等に対しても信頼性の高いテープガイド手
段を備えた廉価なテープカセットを提供する。 【構成】 一方のテープリール６Ａから繰り出された磁
気テープ７が掛け合わされて他方のテープリール６Ｂに
安定した状態で導くテープガイド手段１０を備える。テ
ープガイド手段１０は、スクリューシャフト３０とガイ
ドスリーブ３６とからなる分割型として構成される。ス
クリューシャフト３０には、一端部に磁気テープの一側
縁を規制する外れ止めフランジ部３２が一体に突設され
るとともに、基部３１の外周部に凸部３４とこの凸部３
４に沿った凹溝３５とが形成されている。スクリューシ
ャフト３０は、凸部３４の先端部が潰されながらガイド
スリーブ３６の軸穴３８に圧入されて一体化される。凸
部３４は、圧入時に、潰れた先端部が凹溝３５中に充填
される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、テープカートリッジに
関し、特にカートリッジ本体の内部に回転自在に収納し
た一方のテープリールから繰り出された磁気テープが掛
け合わされて他方のテープリールに導かれるテープガイ
ド手段を備えるテープカートリッジに関する。

【０００２】

【従来の技術】テープカートリッジは、例えば記録再生
装置或いはパーソナルコンピュータ、オフィスコンピュ
ータ等の本体機器に接続されたデータバックアップ装置
に装填されて、前記本体機器側のメモリー等に蓄積され
たデータ信号を吸い上げて磁気テープに記録し、或いは
この磁気テープに記録されたデータ信号を本体機器のメ
モリー等に供給するデータ信号のバックアップ用として
も使用されている。

【０００３】かかるデータバックアップ用のテープカー
トリッジは、金属板からなるベースプレートと合成樹脂
製のカバーとからなる上下一対のハーフを組み合わせて
カートリッジ本体を構成し、このカートリッジ本体の内
部に磁気テープが巻回された一対のテープリールが回転
自在に収納されている。テープカートリッジは、供給側
テープリールから繰り出された磁気テープを一対のテー
プガイド手段間に掛け合わせて巻取側テープリールに巻
き取るようにして、カートリッジ本体の内部に磁気テー
プの走行系を構成している。

【０００４】また、テープカートリッジは、磁気テープ
を走行駆動させるテープ駆動機構が備えられている。こ
のテープ駆動機構は、無端駆動ベルトと、この無端駆動
ベルトが掛け渡されるベルト駆動ローラ及び一対のベル
トガイドローラとから構成されている。ベルト駆動ロー
ラは、耐磨耗性を有する弾性材料によって形成され、上
部にはこのテープカートリッジが装填されるバックアッ
プ装置側の駆動ローラところがり接触して回転伝達を受
けるための駆動フランジ部が周回りに一体に突出形成さ
れている。また、このベルト駆動ローラは、カートリッ
ジ本体を構成するベースプレートの前方側の略中央部に
立設した支持軸上に回転自在に軸装されている。

【０００５】ベルトガイドローラは、ベースプレートの
後方側の両コーナ部に立設された一対の支持軸にそれぞ
れ回転自在に軸装されている。無端駆動ベルトは、ベル
トガイドローラから供給側テープリール及び巻取側テー
プリールの外周面で折り返されてこれら両リールの中央
空間部を経由してベルト駆動ローラへと掛け渡されるこ
とによって、カートリッジ本体内において略々凸字状の
走行路を以って走行する。無端駆動ベルトは、供給側テ
ープリール及び巻取側テープリールの外周面で折り返さ
れる際に、これら両リールに巻回された磁気テープに対
して所定のテンションを以って圧接する。

【０００６】供給側テープリールから繰り出された磁気
テープは、ベースプレート上に立設したガイド軸に掛け
合わされるとともにベースプレートの前方側の両コーナ
部にそれぞれ配設した一対のテープガイド手段に掛け合
わされて巻取側テープリール側に巻き取られる。磁気テ
ープは、一対のテープガイド手段によって、カートリッ
ジ本体の前面部に沿って走行される。

【０００７】従来のテープガイド手段は、図１１に示す
ように、全体略軸状を呈して形成されたテープガイド部
材１００によって構成されている。テープガイド部材１
００は、円柱状の基部１０１と、この基部１０１の上端
部と下端部とに周回りにそれぞれ突出形成された上フラ
ンジ部１０２及び下フランジ部１０３と、下フランジ部
１０３の側面部に基部１０１と軸線を一致させて一体に
突設された嵌合凸部１０４とから構成されている。ま
た、テープガイド部材１００は、基部１０１の外周部に
磁気テープの走行面を構成するラップテープ１０５が貼
着されている。

【０００８】テープガイド部材１００は、嵌合凸部１０
４をベースプレートに設けた取付け穴に嵌合することに
よって立設されるとともに、外周部に磁気テープが略９
０°の抱き角度を以って高速で摺擦走行する。テープガ
イド部材１００は、上フランジ部１０２と下フランジ部
１０３とにより、掛け合わされて走行する磁気テープの
上端縁と下端縁とを規制している。したがって、磁気テ
ープは、テープガイド部材１００によって高さ位置が規
定されてカートリッジ本体の内部を安定した状態で走行
される。

【０００９】このように、テープガイド部材１００は、
磁気テープを上フランジ部１０２と下フランジ部１０３
とによって高さ位置を規制しながら外周部に略９０°の
抱き角度を以って高速走行させることから、所定の硬度
を有する材料によって各部が高精度に形成されなければ
ならない。このため、テープガイド部材１００は、例え
ば上下フランジ部１０２、１０３の外径よりもやや大径
とされたＳＵＳ等の高硬度鋼丸棒を素材として、図１１
の製造工程説明図に示すように切削加工を施して高精度
に一体に形成される。

【００１０】すなわち、テープガイド部材１００は、同
図（Ａ）に示すように、丸鋼素材１１０に旋盤等による
切削加工が施される。丸鋼素材１１０は、外周部に沿っ
て軸方向に移動動作されるバイト１２０によって上フラ
ンジ部１０２、基部１０１、下フランジ部１０３及び嵌
合凸部１０４にそれぞれ対応する部位の外形の削り出し
が行われる。この場合、丸鋼素材１１０には、上フラン
ジ部１０２と基部１０１及び基部１０１と下フランジ部
１０３との連続部分に円弧状の倣い曲面１０６Ａ、１０
６Ｂが形成されることになる。

【００１１】上述したように、上フランジ部１０２と下
フランジ部１０３とは、基部１０１の外周面を摺擦走行
される磁気テープの上端縁と下端縁とを規制する作用を
奏する部位であり、これら上端縁及び下端縁を確実に係
止しなければならない。かかる一次切削加工によって製
造したテープガイド部材１００は、そのまま用いられた
場合には、上下フランジ部１０２、１０３と基部１０１
との間に構成された倣い曲面１０６Ａ、１０６Ｂが、基
部１０１の外周面を摺擦走行する磁気テープの上端縁又
は下端縁を上下フランジ部１０２、１０３の外周面に乗
り上げさせてしまう。

【００１２】このため、一次切削加工が施されたされた
丸鋼素材１１０には、同図（Ｂ）に示すように、幅広の
バイト１２１を用いて二次切削加工が施される。バイト
１２１は、基部１０１の軸方向の長さ寸法、換言すれば
上フランジ部１０２と下フランジ部１０３との対向間隔
とほぼ等しい幅寸法を有する突切りバイトによって構成
されており、両端部に座ぐり刃部１２２Ａ、１２２Ｂが
突出形成されている。バイト１２１は、同図に示すよう
に回転する丸鋼素材１１０の基部１０１に突き当てられ
ることによって、上下フランジ部１０２、１０３の対向
間隔の寸法が精密に仕上げるとともに基部１０１と上下
フランジ部１０２、１０３との間に構成された倣い曲面
１０６Ａ、１０６Ｂを切削除去する。

【００１３】したがって、丸鋼素材１１０には、基部１
０１と上下フランジ部１０２、１０３との間に座ぐり状
の凹部が全周に亘って形成され、これら基部１０１と上
下フランジ部１０２、１０３との間に垂直面が構成され
る。しかる後、丸鋼素材１１０には、同図（Ｃ）に示す
ように、基部１０１の外周部を所定の面粗度とするため
に耐磨耗性を有するラッピングテープ１０５が精密に接
合されて上述したテープガイド部材１００が完成され
る。

【００１４】

【発明が解決しようとする課題】上述したテープガイド
部材１００を備える従来のテープカートリッジは、上述
したように丸鋼素材１１０に対して２回の精密な切削加
工とラッピングテープ１０５の貼着工程との多工程を経
て高精度の一体型テープガイド部材１００が形成される
ため、生産性が悪くかつ全体としてコストアップとなる
といった問題点があった。また、ラッピングテープ１０
５の接合工程は、極めて面倒でありかつ皺寄りによって
磁気テープを傷付けることが無いように熟練者の充分な
注意が必要とされていた。

【００１５】かかる一体型テープガイド部材の問題点を
解決するため、他のテープガイド部材としては、例え
ば、磁気テープが摺擦走行する円筒部材と、この円筒部
材の上下端部に嵌め込まれるフランジ部材とかなり、こ
れら円筒部材とフランジ部材とを組み合わせて構成した
分割型も提供されている。かかるテープガイド部材は、
高精度のテープ走行面となる円筒部材の外周面をバレル
研磨処理等の大量処理方法によって加工することが可能
となり、加工能率が大幅に向上されてコストダウンが図
られる。

【００１６】しかしながら、この従来の分割型テープガ
イド部材は、円筒部材とフランジ部材との組立強度を得
ることが困難であり、テープカートリッジが落下されて
衝撃等が加えられた場合に組立寸法の精度がくるってし
まうことがあった。上述したように、テープガイド部材
は、比較的高速で走行される磁気テープをガイドすると
ともに、上端縁と下端縁とを規制してカートリッジ本体
の内部で安定走行させる作用を奏している。したがっ
て、従来の分割型テープガイド部材は、各部の寸法精度
がくるうことによってかかる作用が充分に奏せられない
といった問題点を有していた。

【００１７】したがって、本発明は、磁気テープの走行
状態を高精度に保持するとともに衝撃等に対しても充分
な信頼性を有するテープガイド手段を備えた廉価なテー
プカートリッジを提供することを目的に提案されたもの
である。

【００１８】

【課題を解決するための手段】この目的を達成した本発
明に係るテープカートリッジは、上下一対のハーフを組
み合わせて構成したカートリッジ本体の内部に一対のテ
ープリールが回転自在に収納され、一方のテープリール
から繰り出された磁気テープが一対のテープガイド部材
にそれぞれ掛け合わされて他方のテープリールに導かれ
る。テープガイド部材は、外周部に磁気テープが掛け合
わされて摺擦するガイドスリーブと、このガイドスリー
ブの軸穴に一端部を突出露呈させた状態で圧入されるこ
とにより一体的に組み合わされるとともに突出された一
端部が一方のハーフに設けた取付け穴に嵌合支持される
スクリューシャフトとからなる分割型に構成される。ス
クリューシャフトには、他端部側に磁気テープの外れ止
めフランジ部が周回りに一体に突設されるとともに外周
部にガイドスリーブへの圧入時に先端部が潰されて軸穴
との圧入しろを保持する凸部とこの潰れた先端部の逃げ
部となる凹溝とが軸方向に隣り合って複数条形成され
る。

【００１９】

【作用】以上のように構成された本発明に係るテープカ
ートリッジによれば、外周部に凸部と凹溝とが軸方向に
隣り合って複数条形成されたスクリューシャフトがガイ
ドスリーブの軸穴中に圧入されてテープガイド手段が構
成される。ガイドスリーブは、大量処理が可能なバレル
研磨処理等の表面処理が施されて所定の面粗度を以って
精密に形成される。スクリューシャフトは、このガイド
スリーブに対して圧入される際に、外周部に形成された
凸部が変形して凹部内へと潰れ、所定の圧入しろを以っ
てガイドスリーブと強固に結合される。

【００２０】スクリューシャフトには、ガイドスリーブ
の他端部に突出露呈された端部に下側のフランジ部を構
成するフランジ板が嵌合されて取り付けられてテープガ
イド手段が完成される。テープガイド手段は、下端部が
取付け穴に嵌合されることによってベースプレート上に
立設され、ガイドスリーブの外周面に一方のテープリー
ルから繰り出されて他方のテープリールへと巻き取られ
る磁気テープが掛け合わされる。テープガイド手段は、
上側の外れ止めフランジ部と下側の外れ止めフランジ板
とによって、スリーブガイドの外周面を摺擦走行する磁
気テープの上端縁と下端縁とを規制してカートリッジ本
体の内部で安定走行させる。

【００２１】

【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について図面
を参照して詳細に説明する。実施例テープカートリッジ
１は、例えば記録再生装置或いはパーソナルコンピュー
タやオフィスコンピュータ等の本体機器に接続されたデ
ータバックアップ装置に装填されて、本体機器側のメモ
リー等に蓄積されたデータ信号等を吸い上げて磁気テー
プに記録し、或いはこの磁気テープに記録されたデータ
信号を本体機器のメモリー等に供給するデータ信号等の
バックアップ用に使用される。

【００２２】このテープカートリッジ１は、図１に示す
ように、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂材料によっ
て略角浅皿状に形成された上ハーフ部材３と、この上ハ
ーフ部材３の開放された下方部に組み合わされるアルミ
板、アルミ合金板等の金属板によって形成され下ハーフ
部材を構成するベースプレート４とを備える。テープカ
ートリッジ１は、これら上ハーフ部材３とベースプレー
ト４とを止めねじ或いは図示しない上ハーフ部材３の内
面に一体に突設した取付けスタッドを介して一体に組み
合わせ結合することによって、カートリッジ本体２が構
成される。

【００２３】ベースプレート４には、略中央部に、長手
方向に離間して一対のリール支持軸５Ａ、５Ｂが立設さ
れている。これらリール支持軸５Ａ、５Ｂは、上端部が
それぞれ上ハーフ部材３の内面に形成した軸受部に嵌合
支持されるとともに、周面に磁気テープ７を巻回した供
給側テープリール６Ａ及び巻取側テープリール６Ｂとが
それぞれ回転自在に支持されている。

【００２４】これら供給側テープリール６Ａ及び巻取側
テープリール６Ｂは、詳細を省略するが、それぞれハブ
が一体に形成された下リール部材と、この下リール部材
に組み合わされた上フランジ部材とから構成されてい
る。供給側テープリール６Ａ及び巻取側テープリール６
Ｂは、磁気テープ７の始端部及び終端部とがそれぞれ図
示しないクランパーによってハブに固定されている。

【００２５】テープカートリッジ１には、ベースプレー
ト４の供給側テープリール６Ａが配設された領域の側方
に位置してガイド軸８Ａが立設されるとともに、この領
域の前方端に位置して供給側のテープガイド装置１０Ａ
が配設されている。ベースプレート４には、巻取側テー
プリール６Ｂが配設された領域の側方に位置して、ガイ
ド軸８Ｂが立設されるとともに、この領域の前方端に位
置して巻取側のテープガイド装置１０Ｂが配設されてい
る。

【００２６】ベースプレート４には、テープガイド装置
１０Ａとテープガイド装置１０Ｂとの間に位置して、後
述するように上ハーフ部材３の凹部２０と協動してデー
タバックアップ装置側の磁気ヘッドが進入するヘッド進
入部を構成する切欠き部９が形成されている。また、ベ
ースプレート４には、この切欠き部９を挟んでテープガ
イド装置１０Ａと対向してガイド軸８Ｃが配設されてい
る。

【００２７】テープカートリッジ１は、これらガイド軸
８及びテープガイド装置１０とによって、カートリッジ
本体２の内部に磁気テープ７の走行ガイド系が構成され
る。磁気テープ７は、供給側テープリール６Ａから繰り
出されてガイド軸８Ａを介してテープガイド装置１０Ａ
に掛け合わされてカートリッジ本体２の前面部に沿って
走行される。磁気テープ７は、さらにガイド軸８Ｃを介
してテープガイド装置１０Ｂに掛け合わされてガイド軸
８Ｂを経由して巻取側テープリール６Ｂへと導かれ、こ
の巻取側テープリール６Ｂに巻回される。磁気テープ７
は、テープガイド装置１０Ａとガイド軸８Ｃとの間にお
いて、切欠き部９を横断される。

【００２８】テープカートリッジ１には、上述した走行
系に沿って、供給側テープリール６Ａから繰り出された
磁気テープ７を巻取側テープリール６Ｂへと走行駆動さ
せるテープ駆動機構が備えられている。このテープ駆動
機構は、無端駆動ベルト１１と、ベースプレート４に立
設された支軸１４に回動自在に支持された無端駆動ベル
ト１１が掛け渡されるベルト駆動ローラ１２及び一対の
ベルトガイドローラ１３Ａ、１３Ｂとから構成されてい
る。

【００２９】ベルト駆動ローラ１２は、耐磨耗性を有す
る弾性材によって形成され、基部１５と、この基部１５
の上端部に周回りに突出形成された外周フランジ部１６
とから構成され、ベースプレート４の前方側の略中央部
に立設した支持軸１２上に回転自在に軸装されている。
基部１５は、磁気テープ７の幅寸法とほぼ等しい高さ寸
法を有しており、後述するように外周面を磁気テープ７
が摺擦走行する。また、外周フランジ部１６は、テープ
カートリッジ１が装填されるデータバックアップ装置側
の駆動ローラところがり接触して回転伝達を受ける。

【００３０】ベルトガイドローラ１３Ａ、１３Ｂも、耐
磨耗性を有する弾性材によって形成され、ベースプレー
ト４の後方側の両コーナ部に立設された一対の支持軸１
７Ａ、１７Ｂにそれぞれ回転自在に軸装されている。無
端駆動ベルト１１は、ベルトガイドローラ１３Ａ、１３
Ｂから供給側テープリール６Ａ及び巻取側テープリール
６Ｂの外周面に圧接されてこれら両リール６Ａ、６Ｂ間
の中央空間部を経由してベルト駆動ローラ１２へと掛け
渡されることによって、カートリッジ本体２内において
略々凸字状の走行路を以って走行する。したがって、無
端駆動ベルト１１は、供給側テープリール６Ａ及び巻取
側テープリール６Ｂの外周面で折り返される際に、これ
ら供給側テープリール６Ａ及び巻取側テープリール６Ｂ
に巻回された磁気テープ７に所定のテンションを以って
圧接する。

【００３１】ベースプレート４には、テープガイド装置
１０Ａの近傍に位置して支持軸１８が立設されている。
この支持軸１６には、通常外周壁の一部を構成して上述
した切欠き部９を閉塞する図示しない蓋部材が一端部を
回動自在に支持されている。また、この蓋部材は、支持
軸１８に組み付けた図示しないトーションスプリングに
よって切欠き部９を閉塞する方向に付勢されており、テ
ープカートリッジ１がデータバックアップ装置に装填さ
れると、装置側の駆動手段が側面部に形成されたカム部
と衝合して切欠き部９を開放動作する。

【００３２】上ハーフ部材３は、外周部に立上り周壁１
９が一体に形成されており、上述したように止めねじ或
いは内面に一体に突設された図示しない取付けスタッド
を介してベースプレート４と一体に組み合わせ結合され
てカートリッジ本体２を構成する。また、上ハーフ部材
３には、ベースプレート４と組み合わせた状態におい
て、このベースプレート４側の切欠き部９と協動してデ
ータバックアップ装置側の磁気ヘッドが進入するヘッド
進入部を構成する凹部２０が前面側の立上り周壁１９Ａ
に凹設されている。この凹部２０の両側壁には、テープ
ガイド装置１０Ａとガイド軸８Ｃとの間に掛け渡されて
切欠き部９を横断する磁気テープ７が通過する高さ方向
のスリットが形成されている。

【００３３】上ハーフ部材３には、前面側の立上り周壁
１９Ａの略中央部に位置して、ベルト駆動ローラ１２の
周面の一部を外方へと臨ませる矩形の駆動開口部２１が
設けられている。この駆動開口部２１には、テープカー
トリッジ１がデータバックアップ装置に装填されると、
このデータバックアップ装置側の駆動ローラが進入す
る。この駆動ローラは、ベルト駆動ローラ１２の外周フ
ランジ部１６の外周面ところがり接触することによって
このベルト駆動ローラ１２を回転駆動する。

【００３４】上ハーフ部材３には、主面の前方側に位置
して検出穴２２が設けられるとともに、この検出穴２２
に対応する前面側の立上り周壁１９Ａの部位がやや薄肉
に形成されている。一方、ベースプレート４には、検出
穴２２に対向する一方のテープガイド装置１０Ｂに近接
した位置に図示しない取付け穴が設けられるとともに、
この取付け穴に反射部材２３が組み付けられている。反
射部材２３は、略直角三角形状のブロック体として構成
され、詳細を省略するが磁気テープ７の走行路と対向す
る斜辺部にはミラーが接合されている。これら検出穴２
２と反射部材２３とは、テープカートリッジ１の仕様識
別部を構成している。

【００３５】テープカートリッジ１は、データバックア
ップ装置に装填されると、この装置側の仕様識別センサ
の発光素子が検出穴２２に対向位置される。磁気テープ
７には、始端部に、記録開始位置、記録終了位置或いは
テープ長さ、磁気保持力、記録時の密度の違い等の仕様
情報を識別するためにパターン配列された複数の識別穴
が設けられている。

【００３６】したがって、テープカートリッジ１は、デ
ータバックアップ装置に装填されると、仕様識別センサ
の発光素子から発せられた検出光が検出穴２２から内部
へと入射されて、反射部材２３のミラーによってカート
リッジ本体２の前方側へと屈折反射される。検出光は、
カートリッジ本体２の立上り周壁１９Ａの内面に沿って
走行する磁気テープ７に照射され、上述した各識別穴を
透過して識別穴情報として立上り周壁１９Ａの薄肉部に
投影する。投影された識別穴情報は、立上り周壁１９Ａ
の薄肉部と対向位置されたデータバックアップ装置側の
受光素子によって検出されてテープカートリッジ１の仕
様識別が行われる。

【００３７】テープカートリッジ１は、上述したよう
に、データバックアップ装置に装填されると、蓋部材が
回動動作してヘッド進入部が開放され、磁気テープ７に
対してヘッド進入部から進入する磁気ヘッドが突き当て
られる。テープカートリッジ１は、記録操作或いは再生
操作等が行われると、駆動開口部２１から進入する駆動
ローラが外周フランジ部１６に突き当てられてベルト駆
動ローラ１２が回転駆動される。テープカートリッジ１
は、これによって無端駆動ベルト１１が無端走行され
る。

【００３８】したがって、テープカートリッジ１は、こ
の無端駆動ベルト１１が所定のテンションを以って圧接
する供給側テープリール６Ａ及び巻取側テープリール６
Ｂが回転駆動されて、供給側テープリール６Ａから磁気
テープ７が繰り出されるとともに、巻取側テープリール
６Ｂによって繰り出された磁気テープ７の巻取りが行わ
れるられる。磁気テープ７は、カートリツジ本体２の前
方側の立上り周壁１９Ａの内面に沿って走行する途中
で、磁気ヘッドによってデータ信号の記録或いは読み出
しが行われる。

【００３９】テープガイド装置１０Ａ、１０Ｂには、供
給側テープリール６Ａから繰り出されて巻取側テープリ
ール６Ｂに巻き取られる磁気テープ７が、略９０°前後
の抱き角で外周面に掛け合わされて高速で摺擦走行す
る。また、これらテープガイド装置１０Ａ、１０Ｂは、
データ信号の精密な記録、再生を行うために、磁気ヘッ
ドに対して磁気テープ７の幅方向の変動量を数十μｍ以
内となるように規制して走行させる。

【００４０】かかる作用を奏するテープガイド装置１０
は、図２及び図３に示すように、基軸を構成するスクリ
ューシャフト３０と、ガイドスリーブ３６及び下外れ止
めフランジ板３９を構成部材とし、下端部をベースプレ
ート４に設けた取付け部４３の取付け穴４２に嵌合され
てしっかりと立設支持されている。スクリューシャフト
３０は、ＳＵＳ等の高硬度鋼丸棒材に切削加工を施し
て、所定の長さ寸法を有する基部３１と、この基部の３
１の上端部の周回りに一体に突出形成された上外れ止め
フランジ部３２と、基部３１の下端部に一体に突出形成
された嵌合部３３とから構成されている。

【００４１】基部３１には、外周面の軸方向の全域を螺
旋状に周回して凸部３４が突設されるとともに、この凸
部３４の上方側に沿って螺旋状に周回する凹溝３５が形
成されている。凸部３４は、図５（Ａ）に示すように、
頂点角度が約６０°とされた断面三角形状を呈してお
り、上側斜面が基部３１の外周面から内方へと連続して
切り込まれることによって、断面三角形状を呈する凹部
３５に連続されている。

【００４２】上外れ止めフランジ部３２は、上述した基
部３１に逃げ凹部を介して上端部に円板状を呈して一体
に形成されている。スクリューシャフト３０は、基部３
１の下端部から上外れ止めフランジ部３２の側面までの
長さ寸法が磁気テープ７の幅寸法とほぼ等しく形成され
ている。したがって、この上外れ止めフランジ部３２
は、基部３１側の側面によって、掛け合わされた磁気テ
ープ７の上端縁に当接して高さ方向の位置を規制する。

【００４３】嵌合部３３は、基部３１よりも小径とされ
るとともにベースプレート４の取付け穴４２とほぼ同径
とされて基部３１の下端部に軸線を一致させて一体に突
出形成されている。嵌合部３３は、後述するように下外
れ止めフランジ板３９を組み付けた状態において、先端
部が取付け穴４２を貫通して取付け部４３に露呈される
長さ寸法を有している。

【００４４】ガイドスリーブ３６も、ＳＵＳ等の高硬度
鋼を素材としており、磁気テープ７の幅寸法とほぼ等し
い長さ寸法を有している。このガイドスリーブ３６は、
大量処理が可能なバレル研磨による表面加工処理を施こ
した後、表面に例えばＮｉ、Ｃｒメッキ等が施こされる
ことによって、テープ走行面となる外周面３７が所定の
面粗度を以って構成されている。また、ガイドスリーブ
３６は、図５（Ａ）に示すように、軸穴３８の内径Ｒ２
がスクリューシャフト３０の凸部３４の頂点部外径Ｒ１
よりもやや小径とされるとともに凹溝３５の底部の外径
Ｒ３よりもやや大径とされている。

【００４５】下外れ止めフランジ板３９は、ＳＵＳ等の
高硬度鋼を素材とし、中心部に嵌合穴４１が設けられた
リング状に形成されている。下外れ止めフランジ板３９
は、上面部４０が後述するように掛け合わされた磁気テ
ープ７の下端縁を支持して高さ方向の位置を規制する。
また、下外れ止めフランジ板３９は、外径がスクリュー
シャフト３０の基部３１よりも大径とされるとともに、
嵌合穴４１の内径がスクリューシャフト３０の嵌合部３
３とほぼ同径とされている。

【００４６】上述したスクリューシャフト３０、ガイド
スリーブ３６及び下外れ止めフランジ板３９とは、いず
れも単純な形状を呈する部材であることから、素材に対
して比較的簡単な機械加工を施すことによって、精密な
寸法精度を有するものを大量に製作することが可能とさ
れる。スクリューシャフト３０には、基部３１の外周部
にガイドスリーブ３６が圧入されて一体的に組み合わさ
れるとともに、このガイドスリーブ３６から突出露呈さ
れた嵌合部３３に下外れ止めフランジ板３９が嵌合され
てテープガイド装置１０が構成される。

【００４７】次に図４を参照して、テープガイド装置１
０の組立工程並びにこのテープガイド装置１０のベース
プレート４への組付工程について説明する。スクリュー
シャフト３０とガイドスリーブ３６とは、同図（Ａ）に
示すように、互いに軸線を一致させた状態で、スクリュ
ーシャフト３０が嵌合部３３側からガイドスリーブ３６
の軸穴３８中に圧入される。この場合、スクリューシャ
フト３０は、例えばプレス装置のポンチ側に取り付けら
れて、同図（Ｂ）に示すように、ダイ側の治具に直立状
態に固定保持したガイドスリーブ３６に対して軸線に沿
って圧入される。勿論、スクリューシャフト３０は、ガ
イドスリーブ３６に対して回転させながらねじ込んで圧
入してもよい。

【００４８】スクリューシャフト３０は、同図（Ｃ）に
示すように、外れ止めフランジ部３２がガイドスリーブ
３６の上端縁に突き当たるまで圧入されることにより、
下端部側の嵌合部３３がガイドスリーブ３６の下方部に
突出露呈した状態で一体的に組み合わされる。

【００４９】スクリューシャフト３０は、上述したよう
に基部３１の外周部に、ガイドスリーブ３６の軸穴３８
の内径に対して頂点部の外径をやや大径とされた凸部３
４が螺旋状に一体に突出形成されている。したがって、
これらスクリューシャフト３０とガイドスリーブ３６と
は、図５（Ａ）に示す凸部３４の外径Ｒ１と軸穴３８の
内径Ｒ２との寸法差異（Ｒ１−Ｒ２）が圧入しろとな
る。凸部３４は、スクリューシャフト３０がガイドスリ
ーブ３６の軸穴３８に押し込まれるにしたがって、同図
（Ｂ）に示すように、次第に潰れる先端部が凹溝３５中
へと充填されていく。換言すれば、凹溝３５は、凸部３
４の潰れた先端部の逃げ部を構成する。

【００５０】スクリューシャフト３０は、ガイドスリー
ブ３６に対して充分な圧入しろ（Ｒ１−Ｒ２）が保持さ
れて軸穴３８に圧入されることから強固に組み合わされ
る。また、スクリューシャフト３０とガイドスリーブ３
６とは、圧入時に凸部３４の潰れた先端部が凹溝３５中
に逃げるため、組合せ寸法にくるいが生じること無く、
互いに高精度に組み合わされる。

【００５１】以上のようにしてガイドスリーブ３６が一
体に組み合わされたスクリューシャフト３０には、図４
（Ｄ）に示すように、嵌合部３３に下外れ止めフランジ
板３９が圧入される。下外れ止めフランジ板３９は、同
図（Ｅ）に示すように、スクリューシャフト３０に対し
て軸線が一致された状態で、上面部４０がガイドスリー
ブ３６の下端部に突き当たるまで嵌合部３３に圧入され
る。スクリューシャフト３０、ガイドスリーブ３６及び
下外れ止めフランジ板３９とは、このようにして一体に
組み合わされてテープガイド装置１０を完成する。

【００５２】テープガイド装置１０は、スクリューシャ
フト３０の上外れ止めフランジ部３２と下外れ止めフラ
ンジ板３９の上面部４０との間が磁気テープ７の幅寸法
とほぼ等しい間隔とされるとともに、ガイドスリーブ３
６の外周面が所定の面粗度を以って構成される。テープ
ガイド装置１０は、図４（Ｆ）に示すように、嵌合部３
３がベースプレート４の取付け穴４２に嵌合された後、
この嵌合部３３の底面側に露呈された部分にかしめ処理
が施されることによって、ベースプレート４上にしっか
りと立設支持されて、テープガイド部を構成する。

【００５３】上述したテープガイド装置１０において
は、スクリューシャフト３０の基部３１の外周部に、頂
点角度を約６０°として断面三角形状を呈する凸部３４
を螺旋状に突設したが、この凸部についてはかかる構成
に限定されるものでは無く図６乃至図１０に示したよう
に種々展開される。なお、これら図６乃至図１０に示し
たガイド軸については、それぞれ上述したスクリューシ
ャフト３０に対して凸部と凹溝との構成のみを異にする
ため、その他の部位については省略する。

【００５４】図６に示したスクリューシャフト５０は、
基部５１の外周面に軸方向の全域に亘って凸部５２が右
下がりの螺旋状に一体に突出形成されるとともに、この
凸部５２の上側に沿って凹溝５３が設けられて構成され
ている。凸部５２は、断面三角形を呈しているが、圧入
方向である下側斜面の角度が上側斜面の角度よりもやや
急峻に形成されている。

【００５５】また、図７に示したスクリューシャフト５
５は、基部５６の外周面に軸方向の全域に亘って凸部５
７が左下がりの螺旋状に一体に突出形成されるととも
に、この凸部５７の上側に沿って凹溝５８が設けられて
構成されている。凸部５７は、断面が矩形を呈して形成
されている。

【００５６】図８に示したスクリューシャフト６０は、
基部６１の外周面に軸方向の全域に亘って多数条の凸部
６２がリング状に一体に突出形成されるとともに、この
凸部６２の上側に沿ってそれぞれ凹溝６３がリング状に
設けられて構成されている。凸部６２は、断面三角形を
呈しているが、圧入方向である下側斜面の角度が上側斜
面の角度よりもやや急峻に形成されている。

【００５７】図９に示したスクリューシャフト６５も、
基部６６の外周面に軸方向の全域に亘って多数条の凸部
６７がリング状に一体に突出形成されるとともに、この
凸部６７の上側に沿ってそれぞれ凹溝６８がリング状に
設けられて構成されている。凸部６７は、断面が矩形を
呈して形成されている。

【００５８】図１０に示したスクリューシャフト７０
も、基部７１の外周面に軸方向の全域に亘って多数条の
凸部７２がリング状に一体に突出形成されるとともに、
この凸部７２の上側に沿ってそれぞれ多数条の凹溝７３
がリング状に設けられて構成されている。凸部７２は、
断面が半円弧状を呈して形成されている。

【００５９】なお、各図では、スクリューシャフトの外
周部に突出形成された凸部とその上側に位置して凹設さ
れた凹溝とが、それぞれほぼ同じ断面形状を以って図示
されているが、凹部が凸部の潰れた先端部を充填するに
足る容積を有していればよくかかる形状の組み合わせに
限定されるものでは無いことは勿論である。

【００６０】また、上述した実施例テープカートリッジ
においては、テープガイド装置を、スクリューシャフト
と、ガイドスリーブ及び下外れ止めフランジ板とによっ
て構成したが、下外れ止めフランジ板については、例え
ばベースフレーム３に一体に膨出形成してもよいことは
勿論である。

【００６１】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
るテープカートリッジによれば、簡易な工程によって廉
価に製作されるスクリューシャフトとガイドスリーブと
からなる分割型であり、基部の外周部に凸部と凹溝とが
設けられたスクリューシャフトをガイドスリーブの軸穴
に圧入することによって強固に組み合わされて構成され
たテープガイド装置を備えることにより、このテープガ
イド装置に掛け合わされて高速で走行される磁気テープ
が上端縁と下端縁とを規制されてカートリッジ本体の内
部を安定走行される。テープカートリッジは、テープガ
イド装置により、磁気テープと磁気ヘッドとが安定した
状態で接触して情報信号の正確な記録或いは再生が行わ
れるとともに、落下等の衝撃に対しても磁気テープの走
行幅や走行高さが変化するといった不都合が生じること
は無く、信頼性が高くかつ廉価に構成される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るテープカートリッジの分解斜視図
である。

【図２】同テープカートリッジにおいて、走行する磁気
テープを支持するテープガイド部の構成を説明する要部
縦断面図である。

【図３】同テープガイド部を構成する構成各部材を説明
する分解断面図である。

【図４】同テープガイド部を構成するテープガイド装置
の組立工程とこのテープガイド装置をベースプレートに
組み立てる組立工程とを説明するテープガイド部の組立
工程説明図である。

【図５】同テープガイド装置を構成するスクリューシャ
フトとガイドスリーブとの圧入操作の説明図である。

【図６】同テープガイド装置を構成するスクリューシャ
フトの他の実施例を示す要部正面図である。

【図７】同テープガイド装置を構成するスクリューシャ
フトの他の実施例を示す要部正面図である。

【図８】同テープガイド装置を構成するスクリューシャ
フトの他の実施例を示す要部正面図である。

【図９】同テープガイド装置を構成するスクリューシャ
フトの他の実施例を示す要部正面図である。

【図１０】同テープガイド装置を構成するスクリューシ
ャフトの他の実施例を示す要部正面図である。

【図１１】従来のテープカートリッジに備えられるテー
プガイドの製造工程の説明図である。

【符号の説明】

１ テープカートリッジ ２ カートリッジ本体 ３ 上ハーフ部材 ４ ベースプレート（下ハーフ） ６ テープリール ７ 磁気テープ １０ テープガイド装置（テープガイド手段） ３０ テープガイド装置を構成するスクリューシャフト ３１ スクリューシャフトの基部 ３２ 同上外れ止めフランジ部 ３３ 同嵌合部 ３４ 同凸部 ３５ 同凹溝 ３６ テープガイド装置を構成するガイドスリーブ ３７ ガイドスリーブの外周面 ３８ 同軸穴 ３９ 下外れ止めフランジ板 ４２ ベースプレートに設けた取付け穴

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上下一対のハーフを組み合わせて構成し
   たカートリッジ本体の内部に一対のテープリールを回転
   自在に収納し、一方のテープリールから繰り出された磁
   気テープをテープガイド手段に掛け合せて他方のテープ
   リールに導くようにしたテープカートリッジにおいて、 テープガイド手段は、外周部に磁気テープが掛け合わさ
   れて摺擦するガイドスリーブと、このガイドスリーブの
   軸穴に一端部を突出露呈させた状態で圧入されることに
   より一体的に組み合わされるとともに突出された一端部
   が一方のハーフに設けた取付け穴に嵌合支持されるスク
   リューシャフトとからなる分割型として構成され、 テープガイド手段のスクリューシャフトには、他端部側
   に磁気テープの外れ止めフランジ部が周回りに一体に突
   設されるとともに外周部にガイドスリーブへの圧入時に
   先端部が潰されて軸穴との圧入しろを保持する凸部とこ
   の潰れた先端部の逃げ部となる凹溝とが軸方向に隣り合
   って複数条形成されたことを特徴とするテープカートリ
   ッジ。
2. 【請求項２】 スクリューシャフトには、ガイドスリー
   ブから突出露呈された一端部に、外れ止めフランジ部と
   軸方向に対向されてこの外れ止めフランジ部とによって
   磁気テープの両側縁部を規制する外れ止めフランジ板が
   嵌合されることを特徴とする請求項１に記載のテープカ
   ートリッジ。