JPH08338523A - 車両用直結クラッチ付流体伝動装置のスリップ制御装置 - Google Patents

車両用直結クラッチ付流体伝動装置のスリップ制御装置

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JPH08338523A
JPH08338523A JP14454095A JP14454095A JPH08338523A JP H08338523 A JPH08338523 A JP H08338523A JP 14454095 A JP14454095 A JP 14454095A JP 14454095 A JP14454095 A JP 14454095A JP H08338523 A JPH08338523 A JP H08338523A
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slip
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Tsutomu Tashiro
田代  勉
Tetsuji Ozaki
哲司 小崎
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NipponDenso Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 トルクコンバータの入出力軸間のスリップ量
を直結クラッチの係合力にて制御する装置において、制
御開始後、スリップ量を一定の収束時間で目標スリップ
量に収束させると共に、スリップ量がハンチングするの
を防止する。 【構成】 スリップ制御実行時には、基本制御量演算部
70にてスリップ量NSLP を目標スリップ量TSLP に制
御するための基本制御量DTYを演算するだけでなく、学
習補正量演算部80にて、制御開始後にスリップ量NSL
P が目標スリップ量TSLP に基づき設定したしきい値N
SLPSに達するまでの収束時間CSPINを計時し、その計時
した収束時間CSPINと目標収束時間KSPINとに基づき、
基本制御量DTYに対する学習補正量DL を更新する。そ
して次回の制御からは、制御量補正部90にて、その更
新した学習補正量DL にて基本制御量DTYを補正し、補
正後の補正制御量DTYR にてロックアップクラッチの係
合力を調節する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両用直結クラッチ付
流体伝動装置における直結クラッチの係合力を調節する
ことにより、その入出力軸間のスリップ量を制御するス
リップ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動変速機搭載車両(A/T
車)において、車両の動力源であるエンジンの燃費と、
車両走行時(特に低速走行時)の走行安定性,操縦性等
のフィーリングとを共に良好な状態に制御するために、
自動変速機を構成するトルクコンバータ等の流体伝動装
置の入出力軸のスリップ量を制御するスリップ制御装置
が知られている。
【0003】このスリップ制御装置は、流体伝動装置の
入出力軸間のスリップ量が所定の目標スリップ量となる
ように、流体伝動装置に並列に設置された直結クラッチ
(所謂ロックアップクラッチ)の係合力を制御するもの
であり、例えば、車両の走行開始後、車速が所定速度以
上となって、スリップ制御の実行条件が成立すると、直
結クラッチが開放している状態から半クラッチの状態に
移行するために、流体伝動装置の入出力軸間のスリップ
量と目標スリップ量との偏差に応じて、直結クラッチの
係合力を上げることにより、流体伝動装置の入出力軸間
のスリップ量を目標スリップ量に制御する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、自動変速機
において、直結クラッチの係合力は、通常、油圧によっ
て制御できるように構成されており、その係合力の制御
には、ソレノイドを備えた電磁式の油圧制御弁が使用さ
れるが、この油圧制御弁により制御される油圧は、ソレ
ノイドの個体差や経時変化,或は油温の変化等によって
変化する。このため、上記のようにスリップ制御の実行
条件成立後にスリップ量と目標スリップ量との偏差に応
じて直結クラッチの係合力を上昇させようとしても、ス
リップ量が目標スリップ量に収束するまでの収束時間
が、ソレノイド自体の特性や油温等によってばらついて
しまうといった問題があった。
【0005】そして、この収束時間のばらつきは、収束
時間が長くなる方向に作用すると、その間エンジン回転
数が高い状態に保たれることになるので、良好な燃費向
上効果を得ることができず、逆に収束時間が短くなる方
向に作用すると、エンジン回転数が急に下がることにな
るので、車両乗員に急激な減速感(減速ショック)を与
えてしまいフィーリングが悪くなる、といった問題を引
き起こす。
【0006】一方、こうした減速ショックを防止するた
めに、従来より、例えば特開平4−331868号公報
に開示されているように、スリップ制御開始当初のスリ
ップ量を初期値として、目標スリップ量を、実際の目標
スリップ量まで穏やかに減少させ、スリップ量がその目
標スリップ量に追従するように、直結クラッチの係合力
を制御することが提案されている。
【0007】そして、この提案の装置によれば、スリッ
プ量を、制御開始当初のスリップ量から実際の目標スリ
ップ量に向って穏やかに変化する目標スリップ量に追従
させることができるので、制御開始後、スリップ量が最
終的な目標スリップ量になるまでの収束時間が規制さ
れ、収束時間のばらつきを抑えることができる。
【0008】しかし、この提案の装置においても、スリ
ップ制御開始後は、流体伝動装置の入出力軸間のスリッ
プ量と目標スリップ量との偏差に応じて油圧制御弁が駆
動されるため、油圧制御弁を構成するソレノイド等にば
らつきがあると、目標スリップ量に対して直結クラッチ
の係合力が高くなりすぎることがある。そして、このよ
うに直結クラッチの係合力が高くなりすぎ、スリップ量
が設定した目標スリップ量よりも大きく下がった場合に
は、フィードバック制御により直結クラッチの係合力を
低下させるための制御量が出力されることになるので、
スリップ量が最終的な目標スリップ量に達するまでの間
に、スリップ量がハンチングするようになり、フィーリ
ングが却って悪化することがある。
【0009】本発明は、こうした問題に鑑みなされたも
ので、制御開始後、スリップ量のハンチングを発生させ
ることなく、しかも一定の収束時間で、スリップ量を目
標スリップ量に収束させることのできる車両用直結クラ
ッチ付流体伝動装置のスリップ制御装置を提供すること
を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めになされた請求項1に記載の発明は、図6に例示する
如く、車両用流体伝動装置の入出力軸間のスリップ量を
演算するスリップ量演算手段と、前記流体伝動装置に設
けられた直結クラッチの係合力を調節する係合力調節手
段と、前記スリップ量演算手段にて演算されたスリップ
量と予め設定された目標スリップ量とに基づき、該スリ
ップ量を目標スリップ量に制御するための前記係合力調
節手段の制御量を演算する制御量演算手段と、を備え、
車両の所定の運転条件下で、前記制御量演算手段にて求
められた制御量に応じて前記係合力調節手段を駆動し
て、前記スリップ量を前記目標スリップ量に収束させる
スリップ制御を実行する、車両用直結クラッチ付流体伝
動装置のスリップ制御装置において、前記制御量演算手
段にて演算された制御量を補正し、該補正後の補正制御
量を前記係合力調節手段の駆動に用いる制御量として設
定する制御量補正手段と、前記スリップ制御を開始する
度に、前記スリップ量が目標スリップ量に収束するまで
の収束時間を計時する収束時間計時手段と、該収束時間
計時手段にて計時された収束時間と予め設定された目標
収束時間とに基づき、以降のスリップ制御において収束
時間が目標収束時間となるように、前記制御量補正手段
による制御量の補正量を更新する補正量更新手段と、を
設けたことを特徴とする。
【0011】そして、請求項2に記載の発明は、請求項
1に記載のスリップ制御装置において、前記収束時間計
時手段は、前記スリップ制御の開始後、前記スリップ量
が前記目標スリップ量に所定値を加えたしきい値に達す
るまでの時間を収束時間として計時することを特徴と
し、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に
記載のスリップ制御装置において、車両の運転状態に応
じて前記目標収束時間を設定する目標収束時間設定手段
を備えたことを特徴とする。
【0012】また請求項4に記載の発明は、請求項1〜
請求項3いずれか記載のスリップ制御装置において、前
記補正量更新手段は、前記収束時間と前記目標収束時間
との偏差に補正ゲインを乗じた補正値にて前記補正量を
補正することにより該補正量を更新するよう構成され、
更に、車両の運転状態に応じて前記補正ゲインを設定す
る補正ゲイン設定手段を設けたことを特徴とし、請求項
5に記載の発明は、請求項1〜請求項3いずれか記載の
スリップ制御装置において、前記補正量更新手段は、前
記収束時間と前記目標収束時間との偏差に補正ゲインを
乗じた補正値にて前記補正量を補正することにより該補
正量を更新するよう構成され、更に、前記補正量更新手
段による前記補正量の更新回数が増加するに従い前記補
正ゲインを減少させる補正ゲイン更新手段を設けたこと
を特徴とする。
【0013】
【作用及び発明の効果】請求項1に記載のスリップ制御
装置においては、スリップ量演算手段が、流体伝動装置
の入出力軸間のスリップ量を演算し、制御量演算手段
が、その求められたスリップ量と予め設定された目標ス
リップ量とに基づき、スリップ量を目標スリップ量に制
御するための係合力調節手段の制御量を演算し、この演
算された制御量に基づき係合力調節手段を駆動すること
により、スリップ量を目標スリップ量に収束させる。
【0014】また本発明では、制御量演算手段にて求め
られた制御量をそのまま用いて係合力調節手段を駆動す
るのではなく、制御量補正手段にて制御量を補正し、そ
の補正後の補正制御量を用いて係合力調節手段を駆動す
る。そして、この制御量補正手段において使用される制
御量の補正量は、補正量更新手段において、収束時間計
時手段にて計時された収束時間と予め設定された目標収
束時間とに基づき、以降のスリップ制御において収束時
間が目標収束時間となるように更新される。
【0015】つまり、スリップ制御は、例えば、図5に
示す如く、流体伝動装置の入力軸の回転数(一般にエン
ジン回転数)Neと、出力軸の回転数(一般に流体伝動
装置のタービン回転数)Ntとの偏差から、入出力軸間
のスリップ量を演算し、そのスリップ量が目標スリップ
量となるように、係合力調節手段を制御するものである
ため、スリップ制御開始後は、入力軸の回転数Neが、
出力軸の回転数Ntと目標スリップ量とから決定される
所定回転数Nt′となるように制御されることになる
が、スリップ制御の開始後、入力軸の回転数Neが所定
回転数Nt′に収束するまでの時間は、制御量に対応し
て直結クラッチの係合力を調節する係合力調節手段のば
らつき等によって、長くなったり、短くなったりする。
そこで本発明では、スリップ制御を実行する度に、制御
開始後(例えば図5に示す時点t0後)、スリップ量が
目標スリップ量に収束するまで(例えば図5に示す時点
t1,t2 ,t3 まで)の収束時間を計時し、その収束
時間と予め設定された目標収束時間(例えば図5に示す
時間△T)とに基づき、以降のスリップ制御において収
束時間が目標収束時間となるように、制御量の補正量を
更新する、所謂学習制御を実行することによって、係合
力調節手段のばらつき等によって生じる収束時間のばら
つきを抑制するようにしているのである。
【0016】従って、本発明によれば、スリップ制御を
1回以上実施することにより、その後のスリップ制御に
おけるスリップ量の目標スリップ量への収束時間を目標
収束時間に制御することができるようになり、延いて
は、直結クラッチの係合力を、スリップ量を目標スリッ
プ量に制御するのに最適な値に制御することが可能にな
る。またこのように直結クラッチの係合力を、係合力調
節手段のばらつき等に影響されることなく、最適に制御
できるため、スリップ量を、速やかに、且つハンチング
等を発生させることなく安定して、目標スリップ量に収
束させることができ、収束時間が長すぎたり短すぎるこ
とによる燃費改善効果の低下やフィーリングの悪化を防
止することができる。
【0017】次に、請求項2に記載のスリップ制御装置
においては、収束時間計時手段が、スリップ制御の開始
後、スリップ量が目標スリップ量に所定値を加えたしき
い値に達するまでの時間を、収束時間として計時する。
これは、収束時間を計時する際、係合力調節手段のばら
つき等によって制御量に対する直結クラッチの係合力が
大きくなりすぎ、図5に点線で示すように、スリップ量
が目標スリップ量に達してから目標スリップ量を中心に
ハンチングするような場合には、その収束時間を正確に
計時できないことが考えられるためである。
【0018】つまり、本発明では、スリップ制御の開始
後、スリップ量が目標スリップ量に所定値を加えたしき
い値に達するまでの時間を、収束時間として計時するこ
とにより、図5に点線で示すように、スリップ量が目標
スリップ量に達した後にハンチングする場合であって
も、図5に実線又は一点鎖線で示すようにスリップ量が
目標スリップ量に達した後は目標スリップ量に制御され
る場合であっても、収束時間を正確に計時して、係合力
調節手段のばらつき等によって生じる収束時間の目標収
束時間からのずれを正確に検出できるようにしているの
である。この結果、本発明によれば、収束時間の計時結
果から補正量を常に正確に更新することができるように
なり、制御精度をより向上することが可能になる。
【0019】また次に、請求項3に記載のスリップ制御
装置においては、目標収束時間設定手段が、車両の運転
状態に応じて目標収束時間を設定する。これは、本発明
では、収束時間計時手段にて計時した収束時間と目標収
束時間とから制御量に対する補正量を更新するため、そ
の更新時に使用される目標収束時間を常に一定にしてい
ると、スリップ量が目標スリップ量に収束しやすい運転
条件下で更新された補正量では、スリップ量が目標スリ
ップ量に収束し難い運転条件下で収束時間が長くなりす
ぎ、逆にスリップ量が目標スリップ量に収束し難い運転
条件下で更新された補正量では、スリップ量が目標スリ
ップ量に収束し易い運転条件下で収束時間が短くなりす
ぎる、というように、補正量を車両の全運転条件下で最
適な値に設定することができず、良好な学習効果を得る
ことができなくなる虞があるためである。
【0020】つまり、例えば、車両の加速運転時には、
図5において、出力軸の回転数Ntは連続的に増加(右
上がりに傾斜)するため、スリップ量は、車両の定速運
転時に比べて短時間で目標スリップ量に収束することに
なるが、この場合、そのときの収束時間が一定の目標収
束時間となるように補正量を更新すると、その後、車両
の定速運転時にスリップ制御を実行した場合には、収束
時間が短くなりすぎ、今度は収束時間が長くなるように
補正量を更新してしまうことになる。そこで本発明で
は、こうした車両の運転状態の違いによって生じる収束
時間のばらつきに影響されることなく補正量を常に最適
な値に更新できるようにするために、目標収束時間を、
車両の運転状態に応じて設定するようにしているのであ
る。このため、本発明によれば、車両の全運転条件下で
最適なスリップ制御を実行することが可能になる。
【0021】次に、請求項4に記載のスリップ制御装置
においては、補正量更新手段が、収束時間と目標収束時
間との偏差に補正ゲインを乗じた補正値にて補正量を補
正することにより、制御量に対する補正量を更新するよ
う構成されており、補正ゲイン設定手段が、その補正ゲ
インを、車両の運転状態に応じて設定する。
【0022】これは、例えば、車両の動力源となるエン
ジン等の定速から加速等への過渡運転時や、車両の登坂
又は降坂運転時等、車両の走行環境が変化しているとき
にも、通常通り補正量の更新動作を実行すると、補正量
を誤って補正してしまうことが考えられるためであり、
本発明では、車両の運転状態に応じて補正ゲインを設定
することにより、こうした車両の走行環境の変化時に
は、例えば、補正ゲインを通常より小さくして補正量の
更新割合を抑制したり、或は補正ゲインを零にして補正
量の更新動作を禁止できるようにしているのである。こ
の結果、本発明によれば、補正量を車両の走行環境に影
響されることなく更新することができ、スリップ制御を
良好に実行することが可能になる。
【0023】一方、請求項5に記載のスリップ制御装置
においては、補正量更新手段が、請求項4に記載の装置
と同様、収束時間と目標収束時間との偏差に補正ゲイン
を乗じた補正値にて補正量を補正することにより、制御
量に対する補正量を更新するよう構成されており、補正
ゲイン更新手段が、その補正ゲインを、補正量更新手段
による補正量の更新回数が増加するに従い減少させる。
【0024】つまり、本発明において補正量を更新する
のは、係合力調節手段のばらつき等によって生じる制御
量に対する直結クラッチの係合力のばらつきを補償する
ためであり、補正量の更新をある程度実行すれば、補正
量は係合力調節手段の特性にほぼ適合した値となる。そ
こで、本発明では、補正量更新時の補正値を決定する補
正ゲインを、補正量の更新回数が増加するにつれて減少
させることにより、係合力調節手段のばらつきをまだ充
分に補償できていない時期には、収束時間と目標収束時
間との偏差に応じて補正量を大きく補正し、補正量が係
合力調整手段のばらつきを補償できるようになるにつれ
て、補正量の補正値を小さくして、補正量の更新時に車
両の走行環境の変化による影響を受け難くしているので
ある。従って、本発明によれば、補正量が係合力調節手
段の特性に適合していない状態では、補正量を最適値に
速やかに更新でき、しかもその後は、車両の走行環境に
影響されることなく補正量を更新できる。
【0025】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。まず、図2により、本発明が適用された車両用自
動変速機(AT)を構成するトルクコンバータ10の構
造及び制御用の油圧回路30について説明する。
【0026】図2に示す如く、トルクコンバータ10
は、エンジン出力軸12に結合されたケース14内の一
側部に固定されてエンジン出力軸12と一体回転するポ
ンプ16と、このポンプ16と対向するようにケース1
4内の他側部に回転自在に備えられてポンプ16の回転
により作動油を介して回転駆動される変速機への出力部
材たるタービン18と、ポンプ16とタービン18との
間に介設されて、ポンプ回転数に対するタービン回転数
の減速比が所定値以下のときにトルク増大作用を行うス
テータ20と、ステータ20と中空固定軸22との間に
配設されてステータ20とポンプ16とが同一方向へ回
転するのを許容し、その逆方向への回転を禁止する一方
向クラッチ24と、タービン18とケース14との間に
介設されたロックアップクラッチ(直結クラッチ)26
とを有する。そして、タービン18の回転がタービンシ
ャフト28に連結されて、タービン18がケース14に
締結されたときに、このケース14を介して、トルクコ
ンバータ10における入力軸となるエンジン出力軸12
と、出力軸となるタービンシャフト28とが直結され
る。
【0027】トルクコンバータ10には、図示しないオ
イルポンプから導かれたメインライン32により、ロッ
クアップバルブ34のコンバータインライン36を介し
て作動油が導入されるようになっており、この作動油の
圧力によってロックアップクラッチ26が常時締結方向
に付勢されている。そして、ロックアップクラッチ26
とケース14との間の空間38には、ロックアップバル
ブ34から導かれたロックアップ開放ライン40が接続
され、このロックアップ開放ライン40から空間38内
に油圧(開放圧)が導入されたときに、ロックアップク
ラッチ26が開放される。またトルクコンバータ10に
は、保圧弁42を介してオイルクーラ44に作動油を送
り出すコンバータアウトライン45が接続されている。
【0028】一方、ロックアップバルブ34は、スプー
ル34aと、これを図面上、右方向へ付勢するスプリン
グ34bとを有すると共に、ロックアップ開放ライン4
0が接続されたポート34cの両側に、メインライン3
2が接続された調圧ポート34dとドレンポート34e
とが設けられている。また、ロックアップバルブ34の
図面上、右側の端部には、スプール34aにパイロット
圧を作用させる制御ライン46が接続されると共に、こ
の制御ライン46から分岐されたドレンライン48に
は、公知の油圧調整器50,例えばデューティソレノイ
ドバルブが設置されている。この油圧調整器50は、制
御回路60からの制御信号に応じたデューティ率でオン
・オフを繰り返して、ドレンライン48を極く短い周期
で開閉することにより、制御ライン46内のパイロット
圧をデューティ率に対応する値に調整する。
【0029】そして、ロックアップバルブ34のスプー
ル34aには、そのパイロット圧がスプリング34bの
付勢力と逆方向に作用し、スプリング34bの付勢力と
同方向にロックアップ開放ライン40内の開放圧が作用
するようになっており、これらの油圧ないし付勢力の力
関係によってスプール34aが移動して、ロックアップ
開放ライン40がメインライン(調圧ポート34d)又
はドレンポート34eに連通されることにより、ロック
アップ開放圧が、パイロット圧、即ち油圧調整器50の
デューティ率に対応する値に制御されるようになってい
る。
【0030】ここで、デューティ率が最大値のときに制
御ライン46からのドレン量が最大となって、パイロッ
ト圧ないし開放圧が最小となることにより、ロックアッ
プクラッチ26が完全に締結され、またデューティ率が
最小値のときに上記ドレン量が最小となって、パイロッ
ト圧ないし開放圧が最大となることにより、ロックアッ
プクラッチ26が完全に開放される。そして、最大値と
最小値の中間のデューティ率では、ロックアップクラッ
チ26がスリップ状態とされ、この状態で開放圧がデュ
ーティ率に応じて調整されることにより、ロックアップ
クラッチ26の係合力が制御される。即ち、本実施例で
は、ロックアップバルブ34,油圧調整器50,及び上
記各油圧ラインからなる油圧回路30が、ロックアップ
クラッチ26の係合力、延いてはトルクコンバータ10
の入出力軸間のスリップ量を調節する、係合力調節手段
として働く。
【0031】次に、制御回路60は、油圧調整器50に
出力する制御信号のデューティ率を制御することによ
り、ロックアップクラッチ26の入出力軸間のスリップ
量を制御するためのものであり、CPU,ROM,RA
M,I/O等からなる周知のマイクロコンピュータによ
り構成されている。そして、この制御回路60には、車
速センサ、スロットル開度センサ、エンジン回転数セン
サ、タービン回転数センサ等からの各種検出信号が入力
される。
【0032】以下、制御回路60における制御系の構成
を図1に基づき説明する。なお図1はスリップ制御のた
めの制御系の構成を表わすブロック図であり、以下に説
明する各部は、後述の図3に示すフローチャートに沿っ
てCPUにおいて実行される制御処理により実現され
る。
【0033】図1に示す如く、制御回路60において
は、スリップ制御の実行条件が成立すると、目標スリッ
プ量設定部64にて、目標スリップ量TSLP を設定する
と共に、スリップ量演算部62にて、エンジン回転数セ
ンサにより検出されたエンジン回転数(換言すればトル
クコンバータ10の入力軸回転数)Neと、タービン回
転数センサにより検出されたタービン回転数(換言すれ
ばトルクコンバータ10の出力軸回転数)Ntとに基づ
き、トルクコンバータ10の入出力軸間の実際のスリッ
プ量NSLP を演算する。なお、目標スリップ量設定部6
4にて設定された目標スリップ量TSLPは、偏差スリッ
プ量演算部66及び学習補正量演算部80に夫々入力さ
れ、スリップ量演算部62にて演算されたスリップ量N
SLP は、偏差スリップ量演算部66,スリップ量時間変
化演算部68,基本制御量演算部70,及び学習補正量
演算部80に夫々入力される。
【0034】次に、スリップ量時間変化演算部68で
は、スリップ量演算部62から入力されるスリップ量N
SLP の単位時間当たりの変化量(スリップ量時間変化
量)NSLPDを演算し、その演算結果を、基本制御量演算
部70に出力する。また、偏差スリップ量演算部66で
は、スリップ量NSLP と目標スリップ量TSLP との偏差
(偏差スリップ量)DSLP を演算し、その演算結果を、
基本制御量演算部70に出力する。
【0035】一方、基本制御量演算部70は、スリップ
量NSLP ,スリップ量時間変化量NSLPD,及び偏差スリ
ップ量DSLP から、油圧調整器50に出力する制御信号
を生成するためのデューティ率(基本制御量)DTYを演
算する部分であり、目標追従部72と制御系安定化部7
4と制御量算出部76とから構成されている。
【0036】即ち、基本制御量演算部70においては、
目標追従部72にて、偏差スリップ量DSLP に基づきス
リップ量NSLP を目標スリップ量TSLP に追従させるた
めの目標追従制御量DT1を演算すると共に、制御系安定
化部74にて、スリップ量時間変化量NSLPDとスリップ
量NSLP とに基づき、スリップ量NSLP が急変するのを
抑えるための安定化制御量DT2を演算し、制御量算出部
76にて、これら目標追従制御量DT1及び安定化制御量
DT2から、基本制御量DTYを算出する。
【0037】また、学習補正量演算部80は、スリップ
量NSLP と目標スリップ量TSLP とから、スリップ制御
開始後、スリップ量NSLP が目標スリップ量TSLP に収
束するまでの収束時間を計時し、その収束時間に応じ
て、上記基本制御量DTYに対する補正量(学習補正量)
DL を演算するためのものであり、スリップ量しきい値
算出部82と収束時間計測部84と目標収束時間設定部
86と補正量算出部88とから構成されている。
【0038】即ち、学習補正量演算部80においては、
スリップ量しきい値算出部82にて、目標スリップ量T
SLP から、スリップ量NSLP が目標スリップ量TSLP に
到達したことを判定するためのしきい値NSLPSを設定
し、収束時間計測部84にて、スリップ制御開始後、ス
リップ量NSLP が減少してしきい値NSLPSに達するまで
の時間を収束時間CSPINとして計時し、目標収束時間設
定部86にて、目標収束時間KSPINを設定する。そし
て、収束時間計測部84にて収束時間CSPINが計時され
ると、補正量算出部88にて、その計測された収束時間
CSPINと目標収束時間KSPINとに基づき、現在設定され
ている学習補正量DL を補正することにより、学習補正
量DL を更新する。
【0039】次に、学習補正量演算部80にて更新され
た学習補正量DL は、基本制御量演算部70にて演算さ
れた基本制御量DTYと共に、制御量補正部90に入力さ
れる。そして制御量補正部90では、この入力された基
本制御量DTYを学習補正量DL にて補正することによ
り、補正制御量DTYR を算出し、この補正制御量DTYR
を制御信号生成用の制御量として出力する。
【0040】このように本実施例では、制御回路60に
おいて、トルクコンバータ10の入出力軸間のスリップ
量を制御する際には、基本制御量演算部70にてスリッ
プ量NSLP を目標スリップ量TSLP に制御するための基
本制御量DTYを演算するだけでなく、学習補正量演算部
80にて、その制御開始後にスリップ量NSLP が目標ス
リップ量TSLP に基づき設定したしきい値NSLPSに達す
るまでの収束時間CSPINを計時して、その収束時間CSP
INと目標収束時間KSPINとに基づき、基本制御量DTYに
対する学習補正量DL を更新し、更に、制御量補正部9
0にて、基本制御量DTYをその更新された学習補正量D
L にて補正して補正制御量DTYR を算出し、この補正制
御量DTYR を実際にスリップ制御に用いる制御量として
設定するようにされている。
【0041】次に、上記各部の動作を、制御回路60の
CPUにおいて実際に実行される制御処理を表わす図3
のフローチャートに沿って詳しく説明する。図3に示す
如く、制御回路60においては、まずS100(S:ス
テップを表わす)にて、車速センサ,スロットル開度セ
ンサ,エンジン回転数センサ,及びタービン回転数セン
サからの検出信号に基づき、車速No,スロットル開度
TVO,エンジン回転数Ne,及びタービン回転数Ntを
算出する。そして、続くS110では、その算出したス
ロットル開度TVOと車速Noとに基づき、現在車両はス
リップ制御を実行すべき運転領域(スリップロックアッ
プ制御領域)であるかどうかを判定し、スリップロック
アップ制御領域であれば、S120に移行し、逆にスリ
ップロックアップ制御領域でなければ、S300に移行
する。
【0042】なお、このスリップロックアップ制御領域
の判定のために、制御回路60のROM内には、予め、
例えば図4に示すようにスロットル開度TVOと車速No
とをパラメータとする制御領域判定用のマップが格納さ
れており、S110では、このマップを用いてスリップ
ロックアップ制御領域の判定を行う。また図示しない
が、このスリップロックアップ制御領域に比べて車速N
oが高い領域には、周知のロックアップ制御領域が設定
されており、車両の運転状態がこのロックアップ制御領
域に入った場合には、制御回路60は、油圧調整器50
にデューティ率最大(例えば100%)の制御信号を出
力して、ロックアップクラッチ26を完全に締結させ
る。
【0043】次にS120では、上記算出したエンジン
回転数Neとタービン回転数Ntとに基づき、トルクコ
ンバータ10の入出力軸間のスリップ量NSLP (=Ne
−Nt)を算出する、スリップ量演算部62としての処
理を実行する。そして、続くS130では、目標スリッ
プ量TSLP として予め設定された所定値を設定する目標
スリップ量設定部64としての処理を実行し、更に続く
S140にて、この設定した目標スリップ量TSLP に、
例えば所定回転数(例えば30[r.p.m.])を加えること
により、目標スリップ量TSLP に極く近い値をしきい値
NSLPSとして設定する、スリップ量しきい値算出部82
としての処理を実行する。
【0044】次にS150では、上記算出したスリップ
量NSLP がしきい値NSLPSより小さくなったか否かを判
定することにより、スリップ量NSLP がしきい値NSLPS
に達したか否かを判定し、NSLP ≧NSLPSであり、スリ
ップ量NSLP がしきい値NSLPSに達していなければ、S
160にて、収束時間計時用のカウンタCSPINをインク
リメントした後、S170に移行し、逆にNSLP <NSL
PSであり、スリップ量NSLP がしきい値NSLPSに達して
いれば、そのままS170に移行する。
【0045】なお、S150及びS160の処理は、ス
リップ量NSLP がしきい値NSLPSに達するまでの時間を
計時する収束時間計測部84を実現しており、S160
にてインクリメントされるカウンタCSPINの値がそのま
ま計算上の収束時間となる。次にS170では、S12
0にて今回算出したスリップ量NSLP(n)と、前回算出し
たスリップ量NSLP(n-1)とに基づき、スリップ量時間変
化量NSLPD(=NSLP(n)−NSLP(n-1))を算出する、ス
リップ量時間変化演算部68としての処理を実行する。
なお、スリップ量時間変化量NSLPDの算出には、必ずし
もS120にて前回算出したスリップ量NSLP(n-1)を使
用する必要はなく、例えば、S120にて2回以上前に
算出したスリップ量を用いるようにしてもよい。
【0046】そして続くS180では、S130にて設
定した目標スリップ量TSLP と、S120にて算出した
スリップ量NSLP とに基づき偏差スリップ量DSLP (=
TSLP −NSLP )を算出する、偏差スリップ量演算部6
6としての処理を実行し、続くS190にて、この算出
した偏差スリップ量DSLP と、偏差スリップ量DSLPの
積算値ΣDSLP と、予め設定された比例ゲインKp2と、
積分ゲインKiとに基づき、所定の演算式「DT1=Ki
×ΣDSLP+Kp2×DSLP」を用いて目標追従制御量DT1
を算出する、目標追従部72としての処理を実行する。
【0047】なお、比例ゲインKp2及び積分ゲインKi
は、制御開始後、スリップ量NSLPが所定時間(例えば
2sec.)以内に目標スリップ量TSLP 付近の領域(30
〜80[r.p.m.]の領域)となるように予め設定されてい
る。こうして目標追従制御量DT1が算出されると、S2
00に移行し、S120にて算出したスリップ量NSLP
と、S170にて算出したスリップ量時間変化量NSLPD
と、予め設定された比例ゲインKpと、微分ゲインKd
とに基づき、所定の演算式「DT2=Kp×NSLP +Kd
×NSLPD」を用いて、安定化制御量DT2を算出する、制
御系安定化部74としての処理を実行する。そして、続
くS210では、S190にて算出された目標追従制御
量DT1と、S200にて算出された安定化制御量DT2
と、予め設定されたオフセット量DF とに基づき、基本
制御量DTY(=DT1+DT2+DF )を算出する、制御量
算出部76としての処理を実行する。
【0048】なお、S200にて安定化制御量DT2を算
出するのに使用される比例ゲインKp及び微分ゲインK
dは、制御の結果、スリップ量NSLP が振動的にならな
いように設定されている。また、S200にて安定化制
御量DT2を算出するに当たって、本実施例では、スリッ
プ量NSLP をそのままフィードバックするようにしてい
るが、スリップ量NSLP に一定のオフセット量を加えた
値をフィードバックするようにしてもよい。また、S2
10にて基本制御量DTYを算出する際には、目標追従制
御量DT1と安定化制御量DT2とオフセット量DF とをそ
のまま加算するようにしているが、目標追従制御量DT1
と安定化制御量DT2とのいずれかに重み付けを行うこと
により、スリップ制御の収束性と安定性とのいずれかを
重視した制御を行うことができる。
【0049】次に、上記のように基本制御量DTYが算出
されると、S220に移行して、その算出された基本制
御量DTYと、後述のS320にて算出された学習補正量
DLとから、補正制御量DTYR (=DTY+DL )を算出
する、制御量補正部90としての処理を実行する。そし
て、続くS230にて、この補正制御量DTYR に対応し
たデューティ率にて制御信号を生成して、油圧調整器5
0に出力し、再度S100に移行する。
【0050】一方、S110にて、現在、スリップロッ
クアップ制御領域ではないと判断された場合に実行され
るS300では、前回S110にてスリップロックアッ
プ制御領域であると判断されてS120〜S230が実
行された直後であるか否か、換言すれば、現在、スリッ
プ制御が終了した直後であるか否か、を判定する。そし
て、現在、スリップ制御が終了した直後ではないと判断
された場合には、再度S100に移行し、S100→S
110→S300の処理を繰返し実行することにより、
スリップ制御の実行条件が成立するのを待つ。
【0051】次に、前回S110にてスリップロックア
ップ制御領域である旨が判定されており、S300に
て、現在、スリップ制御が終了した直後であると判断さ
れた場合には、S310に移行する。そして、S310
では、目標収束時間KSPINとして予め設定された所定値
を設定する、目標収束時間設定部86としての処理を実
行し、続くS320にて、この設定された目標収束時間
KSPINと、前回のスリップ制御実行時にS160にてカ
ウントアップされた収束時間計時用のカウンタCSPINの
値(つまり収束時間CSPIN)と、現在設定されている学
習補正量DL と、予め設定された補正ゲインKtとに基
づき、学習補正量更新用の演算式「DL =DL +Kt×
(CSPIN−KSPIN)」を用いて、収束時間CSPINが目標
収束時間KSPINとなるように、学習補正量DL を更新す
る、補正量算出部88としての処理を実行し、S100
に移行する。
【0052】なお、目標収束時間KSPINには、燃費とフ
ィーリングとを両立できる時間として、例えば2sec.に
対応した値が設定される。また、補正ゲインKtは予め
実験で求められており、学習補正量DL は、この補正ゲ
インKtを用いた上記演算式により、収束時間CSPINが
目標収束時間KSPINよりも大きいときはロックアップク
ラッチ26が締結側に動き、収束時間CSPINが目標収束
時間KSPINよりも小さいときはロックアップクラッチ2
6が開放側へ動くように更新される。以上説明したよう
に、本実施例では、車両の運転状態がスリップ制御を実
行すべきスリップロックアップ制御領域に入ってスリッ
プ制御を開始すると、その後、スリップ量NSLP がしき
い値NSLPSに達するまでの時間を、カウンタを用いて収
束時間CSPINとして計時し、スリップ制御終了直後に、
その計時した収束時間CSPINと目標収束時間KSPINとの
偏差(CSPIN−KSPIN)に所定の補正ゲインKtを乗じ
た補正値にて学習補正量DL を補正することにより、学
習補正量DL を収束時間CSPINが目標収束時間KSPINと
なるように更新するようにされている。
【0053】このため、本実施例によれば、油圧回路3
0を構成するロックアップバルブ34や油圧調整器50
の特性のばらつき、或は油温の変化等によって、S21
0で求めた基本制御量DTYでは、ロックアップクラッチ
26の係合力を所望の値に制御できず、スリップ量NSL
P が目標スリップ量TSLP に収束するまでの収束時間C
SPINが目標収束時間KSPINから大きくずれるような場合
であっても、その収束時間CSPINのばらつきに応じて更
新される学習補正量DL によって、最終的には、制御に
用いる補正制御量DTYR を油圧回路30の特性に応じた
最適値に設定することができるようになり、収束時間の
ばらつき及びスリップ量のハンチングを防止して、常に
良好なスリップ制御を実現できる。
【0054】また本実施例では、スリップ量NSLP が目
標スリップ量TSLP に所定回転数を加えたしきい値NSL
PSに達するまでの時間を収束時間CSPINとして計時する
ようにしているため、油圧回路30側のばらつきにより
スリップ量NSLP が目標スリップ量TSLP に達した後に
ハンチングするような場合であっても、そのハンチング
に影響されることなく収束時間CSPINを正確に計時する
ことができ、学習補正量DL を常に正確に更新すること
ができる。
【0055】ここで、本実施例では、目標収束時間KSP
INとして予め設定された所定値を設定するものとして説
明したが、目標収束時間KSPINは、スロットル開度TVO
や車速No等に基づき、車両の運転状態に応じて設定す
るようにしてもよい。例えば、スロットル開度TVOが大
きい場合には、目標収束時間KSPINが小さいと車両乗員
に減速感を与えるようになるため、S310において目
標収束時間KSPINを設定する際には、スロットル開度T
VOが大きい場合には目標収束時間KSPINが長く、逆にス
ロットル開度TVOが小さい場合には目標収束時間KSPIN
が短くなるように、目標収束時間KSPINを設定するよう
にしてもよい。また、例えば車両の加速走行時には、タ
ービン回転数Ntが連続的に増加するため、車両の定速
走行時に比べてスリップ量NSLP が目標スリップ量TSL
P に収束し易く、収束時間CSPINも比較的短くなること
から、S310において目標収束時間KSPINを設定する
際には、車速Noが略一定の定速走行時には目標収束時
間KSPINが長く、車速Noが増加している加速走行時に
は目標収束時間KSPINが短くなるように、目標収束時間
KSPINを設定するようにしてもよい。
【0056】そしてこのように車両の運転状態に応じて
目標収束時間KSPINを設定するようにすれば、車両の運
転状況の変化によって生じる学習補正量DL の誤学習を
防止して、燃費やフィーリングをより向上することがで
きる。また本実施例では、S320にて学習補正量DL
を更新するに当たって、S160にてカウンタを用いて
計測した収束時間CSPINをそのまま使用するように構成
したが、例えば、過去複数回のスリップ制御実行時に計
測した収束時間CSPINを記憶しておき、S320にて学
習補正量DL を更新する際には、その記憶した過去複数
回分の収束時間CSPINの平均値と、目標収束時間KSPIN
とに基づき、学習補正量DL を更新するようにしてもよ
い。そして、この場合には、S160にて何等かの原因
で収束時間CSPINを正確に計測できなかったとしても、
その誤った収束時間CSPINを用いて学習補正量DL を大
きく補正してしまうことを防止でき、学習補正量DL を
良好に更新することができる。
【0057】また更に、本実施例では、学習補正量DL
を更新するのに使用される補正ゲインKtは、予め実験
により求めた一定値として説明したが、この補正ゲイン
Ktを、学習補正量DL の更新回数(つまり学習回数)
が増えるにつれて小さくするようにしてもよい。そし
て、このようにすれば、学習補正量DL によって収束時
間CSPINのばらつきを充分に補償できない時期には、収
束時間CSPINを目標収束時間KSPINに近付けるために学
習補正量DL を大きく補正して、学習補正量DLを油圧
回路30側の特性に応じた最適値に速やかに近付け、学
習補正量DL により収束時間CSPINのばらつきを補償で
きるようになると、学習補正量DL が車両の運転方法や
走行環境の変化による影響を受けないようにすることが
できる。
【0058】また、スロットル開度TVOが変化するエン
ジンの過渡運転時や車両の登坂・降坂走行時等、車両の
走行環境が変化した場合には、補正ゲインKtを通常よ
り小さくしたり、或は補正ゲインKtを零にして学習補
正量DL の更新を禁止するようにしてもよい。そして、
このようにすれば、学習補正量DL を、車両の運転方法
や走行環境の変化による影響を受けることなく更新する
ことができ、スリップ制御をより良好に実行することが
可能になる。
【0059】なお、本実施例では、車両用自動変速機
(AT)に設けられたトルクコンバータ10のスリップ
制御を行う装置について説明したが、本発明は、車両用
流体伝動装置の入出力軸間のスリップ量を制御する装置
であれば適用でき、例えば、車両の動力伝達系に設けら
れた流体継手の入出力軸間のスリップ量を制御する装置
であっても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例においてスリップ制御を行う制御系の
構成を表わすブロック図である。
【図2】 実施例のトルクコンバータ及び油圧回路の構
成を表わす構成図である。
【図3】 実施例の制御回路においてスリップ制御のた
めに実行される制御処理を表わすフローチャートであ
る。
【図4】 スリップ制御実行条件判定用のマップを表わ
す説明図である。
【図5】 収束時間のばらつき及び本発明の動作を説明
する説明図である。
【図6】 本発明の構成を例示するブロック図である。
【符号の説明】
10…トルクコンバータ 12…エンジン出力軸
16…ポンプ 18…タービン 20…ステータ 26…ロックア
ップクラッチ 28…タービンシャフト 30…油圧回路 34…
ロックアップバルブ 50…油圧調整器 60…制御回路 62…スリッ
プ量演算部 64…目標スリップ量設定部 66…偏差スリップ量
演算部 68…スリップ量時間変化演算部 70…基本制御量
演算部 72…目標追従部 74…制御系安定化部 76…
制御量算出部 80…学習補正量演算部 82…スリップ量しきい値
算出部 84…収束時間計測部 86…目標収束時間設定部
88…補正量算出部 90…制御量補正部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両用流体伝動装置の入出力軸間のスリ
    ップ量を演算するスリップ量演算手段と、 前記流体伝動装置に設けられた直結クラッチの係合力を
    調節する係合力調節手段と、 前記スリップ量演算手段にて演算されたスリップ量と予
    め設定された目標スリップ量とに基づき、該スリップ量
    を目標スリップ量に制御するための前記係合力調節手段
    の制御量を演算する制御量演算手段と、 を備え、車両の所定の運転条件下で、前記制御量演算手
    段にて求められた制御量に応じて前記係合力調節手段を
    駆動して、前記スリップ量を前記目標スリップ量に収束
    させるスリップ制御を実行する、車両用直結クラッチ付
    流体伝動装置のスリップ制御装置において、 前記制御量演算手段にて演算された制御量を補正し、該
    補正後の補正制御量を前記係合力調節手段の駆動に用い
    る制御量として設定する制御量補正手段と、 前記スリップ制御を開始する度に、前記スリップ量が目
    標スリップ量に収束するまでの収束時間を計時する収束
    時間計時手段と、 該収束時間計時手段にて計時された収束時間と予め設定
    された目標収束時間とに基づき、以降のスリップ制御に
    おいて収束時間が目標収束時間となるように、前記制御
    量補正手段による制御量の補正量を更新する補正量更新
    手段と、 を設けたことを特徴とする車両用直結クラッチ付流体伝
    動装置のスリップ制御装置。
  2. 【請求項2】 前記収束時間計時手段は、前記スリップ
    制御の開始後、前記スリップ量が前記目標スリップ量に
    所定値を加えたしきい値に達するまでの時間を収束時間
    として計時することを特徴とする請求項1に記載の車両
    用直結クラッチ付流体伝動装置のスリップ制御装置。
  3. 【請求項3】 車両の運転状態に応じて前記目標収束時
    間を設定する目標収束時間設定手段を備えたことを特徴
    とする請求項1又は請求項2に記載の車両用直結クラッ
    チ付流体伝動装置のスリップ制御装置。
  4. 【請求項4】 前記補正量更新手段は、前記収束時間と
    前記目標収束時間との偏差に補正ゲインを乗じた補正値
    にて前記補正量を補正することにより該補正量を更新す
    るよう構成され、更に、車両の運転状態に応じて前記補
    正ゲインを設定する補正ゲイン設定手段を設けたことを
    特徴とする請求項1〜請求項3いずれか記載の車両用直
    結クラッチ付流体伝動装置のスリップ制御装置。
  5. 【請求項5】 前記補正量更新手段は、前記収束時間と
    前記目標収束時間との偏差に補正ゲインを乗じた補正値
    にて前記補正量を補正することにより該補正量を更新す
    るよう構成され、更に、前記補正量更新手段による前記
    補正量の更新回数が増加するに従い前記補正ゲインを減
    少させる補正ゲイン更新手段を設けたことを特徴とする
    請求項1〜請求項3いずれか記載の車両用直結クラッチ
    付流体伝動装置のスリップ制御装置。
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