JPH08338434A - 転がり軸受用保持器 - Google Patents

転がり軸受用保持器

Info

Publication number
JPH08338434A
JPH08338434A JP27104795A JP27104795A JPH08338434A JP H08338434 A JPH08338434 A JP H08338434A JP 27104795 A JP27104795 A JP 27104795A JP 27104795 A JP27104795 A JP 27104795A JP H08338434 A JPH08338434 A JP H08338434A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cage
rolling
pocket
ball
pockets
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP27104795A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuyuki Muto
泰之 武藤
Hidekazu Takahashi
英一 高橋
Tatsunobu Momono
達信 桃野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP27104795A priority Critical patent/JPH08338434A/ja
Priority to US08/728,078 priority patent/US6068408A/en
Priority to GB9621167A priority patent/GB2306582B/en
Publication of JPH08338434A publication Critical patent/JPH08338434A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 保持器音の発生を抑制し、玉軸受の振動及び
騒音を低減する。 【構成】 保持器25は、円環状で、円周方向複数個所
にポケット8を備える。ポケット8の内面を玉5に向け
て突出する凸曲面とする。これにより、玉5の転動面と
ポケット8の内面との間に潤滑剤が送り込まれ易くし
て、これら両面間の滑り接触部分の潤滑状態を良好にす
る。そして、保持器音の発生を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明の転がり軸受用保持器は、
各種回転機械装置に使用される転がり軸受を構成する保
持器の改良に関し、この保持器と転動体との滑り接触部
分の潤滑を十分に確保して転がり軸受の振動と騒音とを
低減する。
【0002】
【従来の技術】各種回転機械装置の軸受部等、各種回転
部分を支持する為の転がり軸受として、例えば図11に
示す様な玉軸受が広く使用されている。この玉軸受は、
外周面に内輪軌道1を有する内輪2と内周面に外輪軌道
3を有する外輪4とを同心に配置し、上記内輪軌道1と
外輪軌道3との間に複数個の玉5、5を転動自在に設け
て成る。図示の例の場合、上記内輪軌道1と外輪軌道3
とは、共に深溝型としている。又、上記複数個の玉5、
5は、保持器6に設けたポケット8、8内に、転動自在
に保持されている。
【0003】上記図11に示した玉軸受を構成する保持
器6は波形プレス保持器と呼ばれるもので、それぞれが
金属板材をプレス成形する事により得られる、波形で円
環状に形成された1対の素子9、9を組み合わせて成
る。これら両素子9、9は、それぞれの円周方向複数箇
所に、ポケット8、8を構成する為の凹部8a、8aを
形成している。そして、この1対の素子9、9同士を上
記凹部8a、8aから外れた部分で突き合わせ、これら
各部分を複数のリベット10により結合固定して、円環
状で円周方向複数箇所にポケット8、8を有する保持器
6としている。上記各凹部8a、8aの内面中間部は、
上記各玉5、5の外面の曲率半径よりも僅かに大きな曲
率半径を有する、断面円弧状の球状凹面としている。こ
の為、1対の素子9、9を突き合わせると、上記凹部8
a、8aが組み合わされてポケット8、8を構成する。
そして、これら各ポケット8、8の内面中間部には保持
面として、上記玉5、5の転動面の曲率半径よりも僅か
に大きな曲率半径の保持凹面11を設けている。
【0004】又、図12に示した、冠型保持器と呼ばれ
る保持器6aは、合成樹脂等により造られた円環状の主
部7の円周方向複数箇所に、玉5、5(図11)を転動
自在に保持するポケット8、8を設けている。この様な
冠型の保持器6aの場合、上記各ポケット8、8は、上
記主部7に互いに間隔をあけて配置された1対の弾性片
12、12の片側面と、上記主部7の軸方向(図12の
上下方向)片面(図12の上面)でこの1対の弾性片1
2、12の間部分に設けられた球面状の凹面部20、2
0とから構成される。この凹面部20、20の曲率半径
は、上記玉5の外面の曲率半径よりも僅かに大きい。こ
れら弾性片12、12の片側面と凹面部20、20とが
保持凹面をなす。
【0005】玉軸受を組み立てる場合には上記各玉5、
5を、各ポケット8、8を構成する1対ずつの弾性片1
2、12の先端縁同士の間隔を弾性的に押し広げつつ、
これら1対の弾性片12、12の間に押し込む。上記保
持器6aは、この様にして上記各ポケット8、8内に玉
5、5を抱き込む事により、これら各玉5、5を、前記
内輪軌道1と外輪軌道3(図11)との間に、転動自在
に保持する。
【0006】前述した保持器6或は上述した保持器6a
を備えた玉軸受の使用時には、上記複数個の玉5、5の
転動に伴って、上記内輪2と外輪4との相対回転を自在
とする。この際上記複数の玉5、5は、自転しつつ上記
内輪2の周囲を公転する。又、上記保持器6、6aは、
上記玉5、5の公転速度と同じ速度で、上記内輪2の周
囲を回転する。
【0007】上記内輪2の外周面と外輪4の内周面との
間部分には、グリースその他の潤滑油等の潤滑剤を充填
若しくは連続的に供給して、上記相対回転が円滑に行な
われる様にする。そして、玉軸受に振動や騒音が生じな
い様にすると共に、焼き付き等の故障を防止する。尚、
一部の玉軸受では、シール板やシールド板等の密封部材
により、内輪2外周面と外輪4内周面との間の空間の両
端開口を塞ぎ、この空間から潤滑剤が漏洩したり、或は
この空間内に塵芥等の異物が進入するのを防止する場合
もある。但し、前記図11にはこの様な密封部材を持た
ない玉軸受を示している。
【0008】上述した様な保持器6、6aを組み込んだ
玉軸受の場合、必要量の潤滑剤を充填若しくは供給して
も、この保持器6、6aに振動が誘発され、当該保持器
6、6aを組み込んだ玉軸受に、保持器音と呼ばれる騒
音や振動が発生する場合がある。この様な保持器6、6
aの振動は、保持器6、6aの玉5、5に対する動き量
が大きい事に起因して、転動体である玉5、5と保持器
6、6aとの間の滑り摩擦に基づいて発生する。この様
な保持器音の発生を抑える為に従来から、ポケット8、
8の内面と玉5、5の転動面との間の隙間を小さくし
て、玉5、5に対する保持器6、6aの動き量を小さく
し、保持器音の発生を抑える事が行なわれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、単に玉
5、5に対する保持器6、6aの動き量を小さくしただ
けでは、上記保持器6、6aのポケット8、8の内周面
形状に起因して保持器音が発生する。この理由に就い
て、図13〜14及び図8(B)により説明する。尚、
図8は本発明構造と従来構造との差異を示しており、こ
のうちの(B)は従来構造を記載している。保持器6、
6aのポケット8の開口周縁部17、19には、図13
〜14及び図8(B)に示す様に、鋭い(曲率が大き
い)角部13、13が存在し、この角部13、13部分
が潤滑剤の流れに対する抵抗となる。従って、保持器音
を抑制すべくポケット8の内面と玉5の転動面との間の
隙間を小さくすると、玉5の転動面と保持凹面11(図
13及び図8(B)に記載した保持器6の場合。図14
に示した保持器6aに於いては保持面としての凹面部2
0部分。)との間の隙間14に潤滑剤が流入しにくくな
る。又、図8(B)に一点鎖線で囲って示す保持凹面1
1の周縁部にも、やはり角部15、15が存在する。こ
の為、せっかく上記角部13、13を越えてポケット8
内に入り込もうとした潤滑剤も、この角部15、15部
分で掻き取られて、上記ポケット8の奥にまでは達しに
くくなる。これらにより、上記保持凹面11と玉5の転
動面との間の隙間14に十分な量の潤滑剤が取り込まれ
なくなって、保持器6、6aと玉5、5との滑り接触部
分の摩擦振動を十分に抑制できなくなり、振動や騒音を
誘発する。本発明の転がり軸受用保持器は、この様な不
都合を解消すべく考えたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の転がり軸受用保
持器のうち、請求項1に記載した転がり軸受用保持器
は、前述した従来の転がり軸受用保持器と同様に、複数
の転動体を転動自在に保持すべく、全体を円環状に形成
され、円周方向複数個所にポケットが設けられている。
特に、上記請求項1に記載した転がり軸受用保持器に於
いては、少なくとも上記各ポケットの内面の一部が断面
円弧状の凸面である。尚、ここで各ポケットの内面の一
部が断面円弧状の凸面であるとは、転がり軸受用保持器
の直径方向に亙る面を切断面と考えた場合に、上記各ポ
ケットの断面形状の少なくとも一部が、当該ポケットに
保持された転動体の転動面側が凸となる方向に湾曲して
いる状態を言う。
【0011】又、請求項2に記載した転がり軸受用保持
器は、やはり前述した従来の転がり軸受用保持器と同様
に、複数の転動体を転動自在に保持すべく、全体を円環
状に形成され、円周方向複数個所にポケットが設けられ
ている。これら各ポケットの内面中間部は、保持面とさ
れている。特に請求項2に記載した転がり軸受用保持器
に於いては、少なくとも上記各ポケットの一部で上記転
動体の転動面との接触頻度の高い部分が、次のの少
なくとも一方を満たす。 上記各ポケットの開口周縁部が、上記転動体の外径
の1%以上の曲率半径を有する、断面円弧状の凸面であ
る。 上記各ポケットの開口周縁部と上記保持面との間に
保持面周縁部が存在し、この保持面周縁部が、上記転動
体の外径の10%以上の曲率半径を有する、断面円弧状
の凸面である。 尚、上記に記載した曲率半径の方向に関しても、転
がり軸受用保持器の直径方向の面を切断面と考えた場合
の断面形状の曲率半径を言う。
【0012】
【作用】上述の様に構成される本発明の転がり軸受用保
持器が、複数の転動体を転動自在に保持する際の作用自
体は、前述した従来の転がり軸受用保持器の場合と同様
である。特に、本発明の転がり軸受用保持器の場合に
は、潤滑剤がポケットの内面と転動体の転動面との間の
隙間に取り込まれ易くなり、滑り接触部分の潤滑状態が
良好になる。先ず、請求項1に記載した転がり軸受用保
持器の場合には、各ポケットの内面の一部を断面円弧状
の凸面とした事により、ポケットの開口周縁部と転動体
の転動面との距離が十分に確保される。この結果、転動
体の転動に伴って、周囲に存在する潤滑剤がポケットの
内面と転動面との間に入り込み易くなる。又、請求項1
に記載した転がり軸受用保持器の場合には、各ポケット
の内面と転動面との接触状態が、面接触よりも線接触若
しくは点接触に近い状態となり、これら内面と転動面と
の間の滑り摩擦が軽減される。これらにより、保持器音
と呼ばれる振動・騒音が発生しにくくなる。
【0013】又、請求項2に記載した転がり軸受用保持
器に於いては、各ポケットの開口周縁部を、所定の曲率
半径を有する断面円弧状の凸面とした場合には、エッジ
状の角部が存在しなくなる為、ポケット内部に潤滑剤が
流入するのが妨げられず、上記潤滑剤がポケット内部に
流入し易くなる。又、保持面周縁部を、上述した様な曲
率半径を有する断面円弧状の凸面とした場合には、この
保持面周縁部に角部が存在しなくなる為、潤滑剤が掻き
取られる事がなくなり、上記潤滑剤がポケット内部にま
で入り込み易くなる。これらにより、やはり保持器音と
呼ばれる振動・騒音が発生しにくくなる。
【0014】
【実施例】図1は、請求項1に対応する、本発明の第一
実施例を示している。本実施例は、請求項1に記載した
発明を、玉軸受を構成する波形プレス保持器に適用した
ものである。この保持器25は、前述した従来の波形プ
レス保持器と同様に、転動体である複数の玉5を転動自
在に保持すべく、それぞれが波形に形成された素子2
6、26を組み合わせて全体を円環状として成り、円周
方向複数個所にポケット8を設けている。
【0015】上記各素子26、26のうち、少なくとも
各ポケット8を構成する部分の断面形状は、ビヤ樽型若
しくはラグビーボール状としている。従って、上記各ポ
ケット8の内面は、これら各ポケット8に保持された玉
5の転動面側が(転がり軸受用保持器の直径方向に亙る
面を切断面と考えた場合の断面形状に関して)凸となる
方向に湾曲した曲面となっている。更に、本実施例の場
合には、上記各ポケット8の内径を、保持器25の外周
側(図1の上側)で小さく、内周側(図1の下側)で大
きくしている。そして、上記各ポケット8の外周側開口
部の内径RO を玉5の外径D5 よりも小さく、内周側開
口部の内径RI を上記外径D5 よりも大きく(RO <D
5 <RI )している。従って上記各ポケット8内に玉5
を保持する際には、これら各玉5を各ポケット8の内周
側開口から挿入する。この様なポケット8を有する保持
器25は、内輪2及び外輪4(図11)と共に玉軸受を
構成した状態で、玉5との係合により直径方向に亙る位
置を規制される。即ち、上記保持器25は、所謂玉案内
で回転する。
【0016】上述の様に構成される本実施例の保持器2
5の場合には、上記各ポケット8の内面を断面円弧状の
凸面とした事により、これら各ポケット8の両端開口周
縁部と玉5の転動面との距離が十分に確保される。この
結果、玉軸受の運転時に、玉5の転動に伴って、ポケッ
ト8の周囲に存在するグリース等の潤滑剤がポケット8
の内面と玉5の転動面との間に入り込み易くなって、上
記各ポケット8の内面と玉5の転動面との間の滑り摩擦
が軽減される。又、これら両面間の滑り摩擦は、これら
両面同士の接触面積の減少によっても軽減される。即
ち、図11、13に示した従来構造の場合には、これら
両面同士の接触状態が面接触に近い状態となり、これら
両面同士の間に比較的大きな滑り摩擦が作用する。これ
に対して本実施例の場合には、上記両面同士の接触状態
が線接触若しくは点接触に近い状態となり、これら内面
と転動面との間の滑り摩擦が軽減される。これらによ
り、保持器音と呼ばれる振動・騒音が発生しにくくな
る。
【0017】次に、図2は、やはり請求項1に対応す
る、本発明の第二実施例を示している。本実施例の場合
には、各ポケット8の外周側(図2の上側)開口部の内
径と内周側(図2の下側)開口部の内径とをほぼ等しく
している。又、本実施例の場合も、保持器25aを構成
する1対の素子26a、26aのうち、少なくとも各ポ
ケット8の内面を、これら各ポケット8に保持された玉
5の転動面側が凸となる方向に湾曲した曲面としてい
る。従って本実施例の場合には、上記各ポケット8の内
径は、その中間部で最も小さくなっている。この様な保
持器25aは、内輪2及び外輪4(図11)と共に玉軸
受を構成した状態で、保持器25aの外周面と外輪4の
内周面との係合、或は保持器25aの内周面と内輪2の
外周面との係合により直径方向に亙る位置を規制され
る。即ち、上記保持器25aは、所謂軌道輪案内で回転
する。この様に構成される本実施例の場合も、上述した
第一実施例とほぼ同様の作用により、保持器音と呼ばれ
る振動・騒音が発生しにくくなる。
【0018】次に、図3〜5は、やはり請求項1に対応
する、本発明の第三〜第五実施例を示している。但しこ
れら各実施例の場合には、前述した第一実施例及び上述
した第二実施例とは異なり、上記請求項1に記載した発
明を、玉軸受を構成する冠型保持器に適用したものであ
る。本実施例の場合には、前記図12に示した様な全体
形状を有する冠型の保持器のポケットの断面形状を、前
記図14に示したものから図3〜5に示したものに変え
る事により、保持器音の低減を図っている。
【0019】先ず、図3に示した第三実施例の場合に
は、各ポケット8の内面を、これら各ポケット8に保持
された玉5の転動面側が凸となる方向に湾曲した曲面と
している。本実施例の場合、上記各ポケット8の内径
は、その中間部で最も小さくなっている。従ってこの第
三実施例の保持器27は、内輪2及び外輪4(図11)
と共に玉軸受を構成した状態で、軌道輪案内で回転す
る。次に、図4に示した第四実施例の場合には、各ポケ
ット8の外周側(図4の上側)開口部の内径を玉5の外
径よりも小さく、内周側(図4の下側)開口部の内径を
上記外径よりも大きくしている。従ってこの第四実施例
の保持器27aは、内輪2及び外輪4(図11)と共に
玉軸受を構成した状態で、所謂玉案内で回転する。更
に、図5に示した第五実施例の場合には、ポケット8の
内周側、外周側両端(図5の上下両端)開口部のみを、
玉5の転動面に向けて凸となる方向に湾曲した曲面とし
ている。各ポケット8の内面中間部は、玉5の転動面の
曲率半径よりも小さな曲率半径を有する凹曲面としてい
る。本実施例の場合に保持器27bは、玉案内で回転す
る。
【0020】これら第三〜第五、各実施例の場合も前述
した第一〜第二実施例とほぼ同様の作用により、保持器
音と呼ばれる振動・騒音が発生しにくくなる。特に、図
5に示した第五実施例の場合には、ポケット8の内面中
間部と玉5の転動面との間にグリース等の潤滑剤が保持
される(溜る)ので、これら内面と転動面との間の潤滑
が良好に行なわれ、保持器音の発生をより確実に防止で
きる。
【0021】次に、図6〜8は、請求項2に対応する、
本発明の第六実施例を示している。本実施例は、上記請
求項2に記載した発明を、玉軸受を構成する波形プレス
保持器に適用したものである。この保持器16は、前述
した従来の波形プレス保持器と同様に、転動体である複
数の玉5を転動自在に保持すべく、全体を円環状に形成
され、円周方向複数個所にポケット8を設けている。こ
れら各ポケット8の内面中間部には、保持面として断面
円弧状の保持凹面11を設けている。この保持凹面11
は、上記玉5の転動面の曲率半径rよりも僅かに大きな
曲率半径R11を有する。この様な保持器16は、上記ポ
ケット8を構成する凹部8a、8aを形成した1対の素
子9、9を、各凹部8a、8a同士を整合させた状態で
突き合わせ、上記凹部8a、8aから外れた部分を複数
のリベットによって結合固定する事により構成する。こ
れら1対の素子9、9は、例えば鋼板等の金属板材を波
形にプレス成形して成る。上記凹部8a、8aの内周面
形状は、上記曲率半径R11を有する球状凹面とする。こ
れにより、これら凹面8a、8aにより構成されるポケ
ット8の内面中間部を、上記曲率半径R11を有する保持
凹面11としている。
【0022】特に、本発明の転がり軸受用保持器に於い
ては、上記各ポケット8の開口周縁部17、17と、上
記保持凹面11の周縁部18、18、即ち保持面周縁部
とを、それぞれ断面円弧状の凸面21、22としてい
る。尚、図6で上記開口周縁部17、17を示す一点鎖
線で囲った部分の一部には、上記周縁部18、18が存
在するが、この図6はこの周縁部18、18を省略して
描いている。上記周縁部17、17を上記凸面21、2
1とする場合、この凸面21、21の曲率半径R21は、
上記玉5の転動面の外径2rの1%以上(R21≧0.0
2r)とする。又、保持凹面11の周縁部18、18を
上記凸面22、22とする場合、この凸面22、22の
曲率半径R22は、上記玉5の転動面の外径2rの10%
以上(R22≧0.2r)とする。これら各凸面21、2
2を形成する作業は、バレル加工、ショットブラスト等
の従来知られた加工方法により容易に行なえる。
【0023】上述の様に構成される保持器16が、複数
の玉5を転動自在に保持する際の作用自体は、前述した
従来の保持器6(図11)と同様である。特に、本実施
例の保持器16の場合には、上記開口周縁部17、1
7、及び上記周縁部18、18を、それぞれ曲率半径R
21、曲率半径R22の断面円弧状の凸面21、22として
いる。この為、玉5に対する保持器16の変位量を僅小
にすべく、玉5の転動面と保持凹面11との間の隙間1
4を僅小にしても、潤滑剤がこの隙間14に流入し易
く、更に、ポケット8内部にまでもこの潤滑剤が入り込
み易くなる。
【0024】即ち、上記開口周縁部17、17を上記凸
面21、21とする事により、前記図8(B)に示す様
なエッジ状の角部13、13が存在しなくなる。この
為、ポケット8の内部に潤滑剤が流入し易くなる。又、
上記周縁部18、18を上記凸面22、22とする事に
より、上記図8(B)に示す様な角部15、15が存在
しなくなる。この為、この角部15、15によって潤滑
剤が掻き取られる事がなくなり、上記潤滑剤がポケット
8の内部から外部へ、逆流する状態で流失し難くなっ
て、上記潤滑剤がポケット8の奥にまで入り込み易くな
る。これらの結果、玉5の転動面と保持器16の保持凹
面11との滑り接触部分の潤滑状態が良好になる。又、
各凸面21、22の存在によるくさび効果により、上記
隙間14内に強固な潤滑油の膜が形成されて、この隙間
14の厚さが変化しにくくなり、玉5と保持器16とが
変位しにくくなる。
【0025】この様に、保持器16と玉5との滑り接触
部分の潤滑特性が向上する事により、本実施例の保持器
16を用いて構成した玉軸受に、振動や騒音が発生し難
くなる。本発明者は、本発明の効果を確認すべく、前述
した従来の保持器6を用いた玉軸受と、本発明に係る保
持器16を用いた玉軸受とがそれぞれ発生する、騒音の
周波数スペクトルを測定する比較試験を行なった。実験
に使用した玉軸受は、外輪の外径が35mm、同幅が11
mm、内輪の内径が15mm、玉径が6mm、玉数が8個であ
る。又、R21は本発明品の場合に0.1mm、従来品の場
合に0.05mmとした。更に、R22は本発明品の場合に
0.6mm、従来品の場合に0.1mmとした。
【0026】この様な条件で行なった実験の結果を、そ
れぞれの玉軸受の周波数スペクトルとして図9に示す。
この図9に於いて、横軸は周波数を、縦軸は騒音レベル
を、それぞれ表している。又、測定結果を表す2本の線
のうち、実線aは、本発明に係る保持器16を用いて構
成された玉軸受が発生する騒音の周波数スペクトルを、
二点鎖線bは従来の保持器6を用いて構成された玉軸受
が発生する騒音の周波数スペクトルを、それぞれ表して
いる。尚、これら各玉軸受を構成する構成各部品のう
ち、保持器以外の構成各部品に就いては、互いに同一
(同等)の部品を使用した。この図9から分かる様に、
本発明に係る保持器16を用いた玉軸受の場合、周波数
スペクトルのピークが小さい。更に、本発明に係る保持
器16を用いた玉軸受の場合、耳障りな高周波成分が激
減している。即ち、音響特性が向上している。又、実験
結果は図示しないが、前記図1〜5に示した第一〜第五
実施例に就いても同様の試験を行ない、これら各実施例
の転がり軸受用保持器により保持器音の低減を図れる事
を確認した。
【0027】尚、前記各凸面21、22の各曲率半径R
21、R22を、それぞれ玉5の転動面の直径の1%以上、
及び10%以上とする理由は、次の通りである。即ち、
上記曲率半径R21を、玉5の転動面の外径の1%未満と
した場合、ポケット8の開口周縁部17、17の曲率が
大きく、この部分が潤滑剤の流れに対する抵抗となっ
て、ポケット8の内部に潤滑剤が流入しにくくなる。こ
の為、上記曲率半径R21を、玉5の外径の1%以上とし
た。又、上記曲率半径R22を、玉5の外径の10%未満
とした場合、凸面22、22部分の曲率が大き過ぎて、
上記開口周縁部17、17を越えてポケット8内に入り
込もうとした潤滑剤も、上記凸面22、22部分で掻き
取られ、上記ポケット8の奥にまでは達しにくくなる。
そこで、上記曲率半径R22を、玉5の外径の10%以上
とした。
【0028】本実施例の保持器16は、上述の様に構成
される為、潤滑剤がポケット8内部に流入し易く、且つ
一度ポケット8内に入り込んだ潤滑剤が外部へ流失しに
くい。この為、上記潤滑剤がこのポケット8の奥にまで
入り込み易くなる。従って、玉5と保持器16内周面と
の滑り接触部分の潤滑状態が良好になる。この結果、こ
の保持器16を用いて構成された玉軸受は、保持器音の
発生が抑制され、低振動、低騒音を達成できる。
【0029】尚、本実施例に於いては、上記開口周縁部
17、17と保持凹面11の周縁部18、18との何れ
をも、それぞれ凸面21、22としているが、これら各
部17、18のうちの何れか一方のみを凸面としても、
従来に比べて潤滑性能が向上する。又、上記各部17、
18の両方をそれぞれ凸面21、22とした場合でも、
或は上記周縁部18、18のみを凸面22とした場合で
も、上記各角部15、15が存在しない事により、これ
ら角部15、15と玉5の転動面とが接触する事がなく
なる。この為、転動面と曲率の大きな部分とが接触する
事を防止できる。転動面と曲率の大きな部分とが接触し
た場合には、接触部に十分な油膜が形成されにくく、当
該部分で振動が発生し易くなるが、本実施例の場合には
この様な原因による振動及び騒音の抑制も図れる。又、
凸面21、22は、必ずしもポケット8の全周に亙って
形成しなくても、特に潤滑油を取り込み易い部分に形成
する事もできる。例えば、玉5との接触頻度が高い、図
7の鎖線丸印を付した端部24、24にのみ、上記曲率
半径R21、R22の断面円弧状の凸面21、22を形成す
る事もできる。この場合、この凸面21、22を、バフ
研磨等の機械的な研磨方法によって加工する事が可能で
ある。この点は、前述した第一〜第五実施例の場合も同
様である。
【0030】次に、図10は、請求項2に対応する、本
発明の第七実施例を示している。本実施例は、上記請求
項2に記載した発明を前記図12に示す冠型保持器に適
用したものである。この保持器16aは、前述した従来
の保持器6a(図12)と同様に、合成樹脂製で円環状
の主部7と、この主部7の円周方向複数個所に設けら
れ、その内側に転動体である玉5を1個ずつ転動自在に
保持する複数個のポケット8とを備えている。各ポケッ
ト8は、上記主部7に互いに間隔をあけて配置された1
対の弾性片12と、上記主部7の軸方向片面(図10の
上面)でこの1対の弾性片12の間部分に設けられた凹
面部20とから構成されている。上記凹面部20は、当
該保持器16aが保持すべき玉5の転動面の曲率半径r
よりも僅かに大きい曲率半径R20を有する球状凹面とし
ている。この凹面部20及び1対の弾性片12の片側面
が保持面(上述した第六実施例に於ける保持凹面11に
相当する。)である。
【0031】図10に一点鎖線で囲んで示した、各ポケ
ット8の開口周縁部19、19は、断面円弧状の凸面2
3、23としている。そして、この凸面23、23の曲
率半径R23を、上記玉5の外径(=2r)の1%以上
(R23≧0.02r)としている。この理由は、前記第
六実施例で述べた通りである。尚、本実施例に於いて
は、上記開口周縁部19、19のみ断面円弧状の凸面2
3、23としている。その他の構成、並びに作用は、上
述の第六実施例と同様である。
【0032】尚、上述の各実施例は、本発明を玉軸受を
構成する保持器に適用した例に就いて説明した。但し、
本発明は、上記玉軸受に限らず、転がり軸受用の保持器
であれば、ころ軸受等にも適用する事ができる。又、本
発明は、転動体に対する保持器の変位量を僅小にする
為、転動面とポケット内面との間の隙間を僅小にした構
造は勿論、この隙間が通常の寸法を有する構造でも効果
を得られる。
【0033】
【発明の効果】本発明の転がり軸受用保持器は、以上に
述べた通り構成され作用する為、転動体の転動面と保持
器内周面との滑り接触部分の潤滑状態が良好になる。こ
の結果、本発明の転がり軸受用保持器を用いて構成した
転がり軸受は、保持器音の発生が抑制され、低振動、低
騒音の転がり軸受を得られる。更に、本発明の転がり軸
受用保持器の場合、転動体の転動面と保持器の内周面と
の滑り接触部分の摩擦が低減する為、保持器の耐摩耗性
の向上も図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例を示す、保持器の一部を玉
を保持した状態で示す拡大断面図。
【図2】同第二実施例を示す、図1と同様の図。
【図3】同第三実施例を示す、図1と同様の図。
【図4】同第四実施例を示す、図1と同様の図。
【図5】同第五実施例を示す、図1と同様の図。
【図6】同第六実施例を示す、図7のA−A断面図。
【図7】同じく図6のB−B断面図。
【図8】本実施例と従来例とに於ける、それぞれ図6の
C部に相当する部分を拡大して示す断面図。
【図9】本発明の効果を確認する為に行なった試験の結
果を示す線図。
【図10】本発明の第七実施例を示す、図12のD−D
断面に相当する図。
【図11】従来から知られている玉軸受の1例を示す部
分切断斜視図。
【図12】従来から知られている保持器の別例を示す斜
視図。
【図13】図11に示した保持器に玉を保持した状態を
示す拡大断面図。
【図14】図12に示した保持器に玉を保持した状態を
示す拡大断面図。
【符号の説明】
1 内輪軌道 2 内輪 3 外輪軌道 4 外輪 5 玉 6、6a 保持器 7 主部 8 ポケット 8a 凹部 9 素子 10 リベット 11 保持凹面 12 弾性片 13 角部 14 隙間 15 角部 16、16a 保持器 17 開口周縁部 18 周縁部 19 開口周縁部 20 凹面部 21、22、23 凸面 24 端部 25、25a 保持器 26、26a 素子 27、27a、27b 保持器

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の転動体を転動自在に保持すべく、
    全体を円環状に形成され、円周方向複数個所にポケット
    が設けられている転がり軸受用保持器に於いて、少なく
    とも上記各ポケットの内面の一部が断面円弧状の凸面で
    ある事を特徴とする転がり軸受用保持器。
  2. 【請求項2】 複数の転動体を転動自在に保持すべく、
    全体を円環状に形成され、円周方向複数個所にポケット
    が設けられており、各ポケットの内面中間部が保持面と
    されている転がり軸受用保持器に於いて、少なくとも上
    記各ポケットの一部で上記転動体の転動面との接触頻度
    の高い部分が、次のの少なくとも一方を満たす事を
    特徴とする転がり軸受用保持器。 上記各ポケットの開口周縁部が、上記転動体の外径
    の1%以上の曲率半径を有する、断面円弧状の凸面であ
    る。 上記各ポケットの開口周縁部と上記保持面との間に
    保持面周縁部が存在し、この保持面周縁部が、上記転動
    体の外径の10%以上の曲率半径を有する、断面円弧状
    の凸面である。
JP27104795A 1995-04-10 1995-10-19 転がり軸受用保持器 Pending JPH08338434A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27104795A JPH08338434A (ja) 1995-04-10 1995-10-19 転がり軸受用保持器
US08/728,078 US6068408A (en) 1995-10-19 1996-10-09 Cage for a rolling bearing
GB9621167A GB2306582B (en) 1995-10-19 1996-10-10 Cage for a rolling bearing

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8430795 1995-04-10
JP7-84307 1995-04-10
JP27104795A JPH08338434A (ja) 1995-04-10 1995-10-19 転がり軸受用保持器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08338434A true JPH08338434A (ja) 1996-12-24

Family

ID=26425359

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27104795A Pending JPH08338434A (ja) 1995-04-10 1995-10-19 転がり軸受用保持器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08338434A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6719459B1 (en) * 1999-10-18 2004-04-13 Nsk Ltd. Ball bearing
JP2007016899A (ja) * 2005-07-07 2007-01-25 Ntn Corp 固定型等速自在継手
JP2012052615A (ja) * 2010-09-02 2012-03-15 Ntn Corp 密封型転がり軸受
US8147342B2 (en) 2005-03-22 2012-04-03 Ntn Corporation Fixed-type constant-velocity universal joint

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6719459B1 (en) * 1999-10-18 2004-04-13 Nsk Ltd. Ball bearing
US7070334B2 (en) 1999-10-18 2006-07-04 Nsk Ltd Ball Bearing
US7404675B2 (en) 1999-10-18 2008-07-29 Nsk Ltd. Ball bearing
US8147342B2 (en) 2005-03-22 2012-04-03 Ntn Corporation Fixed-type constant-velocity universal joint
JP2007016899A (ja) * 2005-07-07 2007-01-25 Ntn Corp 固定型等速自在継手
JP2012052615A (ja) * 2010-09-02 2012-03-15 Ntn Corp 密封型転がり軸受

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6068408A (en) Cage for a rolling bearing
JP4006836B2 (ja) 玉軸受
JP3744663B2 (ja) ラジアル玉軸受用保持器及びラジアル玉軸受
JP6841067B2 (ja) 玉軸受
JPH05157116A (ja) 保持器付自動調心ころ軸受
JP2009063118A (ja) 転がり軸受
JP3684642B2 (ja) 転がり軸受用保持器
JP4661424B2 (ja) 回転支持部
JP2001116051A (ja) 玉軸受用保持器及び玉軸受
JPH08338434A (ja) 転がり軸受用保持器
JP2006242199A (ja) スラストころ軸受
JPH074439A (ja) 高速アンギュラ玉軸受
JPH09303402A (ja) 玉軸受用保持器
JP2000039024A (ja) 転がり軸受用保持器
WO2019151456A1 (ja) 玉軸受及び軸受ユニット
JPH11166540A (ja) 転がり軸受用保持器
JPH11325080A (ja) ラジアル玉軸受用保持器
JP2002303326A (ja) 転がり軸受用保持器及び転がり軸受
JP2006214533A (ja) スラスト円筒ころ軸受
JP2004162921A (ja) 転がり軸受
JP2008190630A (ja) ラジアル玉軸受用保持器及びラジアル玉軸受
US11221044B2 (en) Rolling bearing
JP2008169999A (ja) ラジアル玉軸受用保持器及びラジアル玉軸受
JP2000346080A (ja) 転がり軸受
JP2004084705A (ja) 合成樹脂製保持器付円筒ころ軸受