JPH08337974A - 透湿防水性コーティング布帛 - Google Patents

透湿防水性コーティング布帛

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JPH08337974A
JPH08337974A JP14028495A JP14028495A JPH08337974A JP H08337974 A JPH08337974 A JP H08337974A JP 14028495 A JP14028495 A JP 14028495A JP 14028495 A JP14028495 A JP 14028495A JP H08337974 A JPH08337974 A JP H08337974A
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JP
Japan
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fabric
fine particles
moisture
coating
resin
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JP14028495A
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English (en)
Inventor
Kenichi Kamemaru
賢一 亀丸
Hideyuki Tsujimura
英之 辻村
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ドライタッチな触感を有し,かつ保温性に優
れた透湿防水性コーティング布帛の製造方法を提供す
る。 【構成】 繊維布帛上にポリウレタン樹脂主体の合成重
合体よりなるコーティング樹脂層を有する透湿防水性コ
ーティング布帛であって,その樹脂層中に樹脂膜厚の2
〜4倍の粒径の微粒子を10〜30重量%含有してい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,布帛のコーティング面
に肌とのベトツキ感のないドライな感触を有する透湿防
水性コーティング布帛に関するものである。
【0002】
【従来の技術】透湿性能と防水性能を併せもつ透湿防水
性布帛は,身体からの発汗による水蒸気を衣服外に放出
し,雨が衣服内に入るのを防ぐ機能を有しており,これ
らの機能を付与するために,ポリアミノ酸ウレタン樹
脂,ポリウレタン樹脂,ポリテトラフルオロエチレン樹
脂等を布帛にコーティングまたはラミネートしたものが
よく知られている。
【0003】このような透湿防水性布帛は,スポーツ衣
料や防寒衣料等に使用され,その中でも,特に激しい運
動に伴う発汗量の比較的多いスポーツ用の衣料分野に多
く用いられているが,裏地なしのウィンドブレーカーと
して着用した場合,布帛のコーティング面やラミネート
膜が直接肌に接するとき,布帛と肌との滑りが悪く,発
汗によるベトツキ感もあって,着用時の不快感が高まり
やすかった。
【0004】このような不快感を解消する対策として,
ウィンドブレーカーのコーティング面が肌と直接接触す
ることのないように,そのコーティング面側に裏地とし
てメッシュ等を用いている場合が多いが,これらの裏地
を使用すると,縫製が煩雑になり,しかも裏地を使用す
る分だけコストアップとなっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,このような
現状に鑑みて行われたもので,着用時に直接肌とコーテ
ィング面が接触しても違和感のないドライな感触を有す
る透湿防水性コーティング布帛を得ることを目的とする
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は,上記目的を達
成するもので,次の構成よりなるものである。すなわ
ち,本発明は,「繊維布帛上にポリウレタン樹脂主体の
合成重合体よりなるコーティング樹脂層を有する透湿防
水性コーティング布帛であって,該樹脂層中に樹脂膜厚
の2〜4倍の粒径を有する微粒子を10〜30重量%含
有していることを特徴とする透湿防水性コーティング布
帛」を要旨とするものである。以下,本発明の透湿防水
性コーティング布帛の製造方法について詳細に説明を行
う。
【0007】本発明のコーティング布帛は,繊維布帛上
に形成されたポリウレタン樹脂主体の合成重合体樹脂層
中に樹脂膜厚の2〜4倍の粒径の微粒子を含有せしめて
いる点に特色を有している。本発明で用いられる繊維布
帛としては,ナイロン6やナイロン66で代表されるポ
リアミド系合成繊維,ポリエチレンテレフタレートで代
表されるポリエステル系合成繊維,ポリアクリロニトリ
ル系合成繊維,ポリビニルアルコール系合成繊維,トリ
アセテート等の半合成繊維あるいはナイロン6/木綿,
ポリエチレンテレフタレート/木綿等の混合繊維からな
る織物,編物,不織布等を挙げることができる。
【0008】本発明では,上記の繊維布帛に撥水剤処理
を施したものを用いてもよい。これは,製造時に樹脂溶
液の布帛内部への浸透を防ぐための一手段である。この
場合の撥水剤としては,パラフィン系撥水剤やポリシロ
キサン系撥水剤,フッ素系撥水剤等の公知のものでよ
く,その処理も一般に行われているパディング法,スプ
レー法等の公知の方法で行えばよい。特に良好な撥水性
を必要とする場合にはフッ素系撥水剤を使用し,例え
ば,アサヒガード730(旭硝子株式会社製,フッ素系
撥水剤エマルジョン)を5%の水分散液でパディング
(絞り率35%)した後,160℃で1分間の熱処理を
行う方法等によって行えばよい。
【0009】本発明で用いられるポリウレタン樹脂主体
の合成重合体とは,ポリウレタン成分を50〜100重
量%含むものをいい,その他の合成重合体として,例え
ば,ポリアクリル酸,ポリ塩化ビニル,ポリスチレン,
ポリブタジエン,ポリアミノ酸等やこれらの共重合体等
を50重量%未満の範囲で含んでいてもよく,勿論,フ
ッ素やシリコン等で変性した化合物も本発明で使用でき
る。
【0010】ポリウレタン樹脂自体は,ポリイソシアネ
ートとポリオールを反応せしめて得られる共重合体であ
り,イソシアネート成分として芳香族ジイソシアネー
ト,脂肪族ジイソシアネートおよび脂環族ジイソシアネ
ートの単独またはこれらの混合物を用い,例えば,トリ
レン2,4−ジイソシアネート,4,4'−ジフェニルメタ
ンジイソシアネート,1,6−ヘキサンジイソシアネー
ト,1,4−シクロヘキサンジイソシアネート等を用い,
また,ポリオール成分としては,ポリエーテルポリオー
ル,ポリエステルポリオールを用い,ポリエーテルポリ
オールは,ポリエチレングリコール,ポリプロピレング
リコール,ポリテトラメチレングリコール等を用い,ポ
リエステルポリオールは,エチレングリコール,プロピ
レングリコール等のジオールとアジピン酸,セバチン酸
等の2塩基酸との反応生成物やカプロラクトン等の開環
重合物を用いる。
【0011】上述のポリウレタン樹脂主体の合成重合体
に,本発明では目的とするコーティング膜に凹凸を形成
するための微粒子を併用する。ここで用いる微粒子は,
その平均粒径が形成されるコーティング樹脂層の膜厚の
2〜4倍程度の大きさのものであることが必要である。
また,ポリウレタン樹脂主体の合成重合体を溶解する有
機溶媒溶液に溶解するものであってはならないことは言
うまでもない。微粒子の粒形は,球状であれば本発明の
効果の点でより一層好ましい。
【0012】平均粒径がコーティング樹脂膜の膜厚より
も小さいものを用いると,微粒子がコーティング樹脂膜
中に埋没して表面に出てこないので凹凸が形成されず,
不適当である。逆に,平均粒径が大きすぎて,膜厚の4
倍を超えるものを用いると,表面の凹凸が激しくなりす
ぎて樹脂膜から微粒子が脱落したり,微粒子を包む樹脂
膜が薄くなりすぎたりするため,適当な耐水圧が得られ
ず,耐漏水性の点で性能低下し,不適当である。
【0013】微粒子の含有量は,樹脂膜中に10〜30
重量%含有せしめるために,樹脂液の固形分中に10〜
30重量%含有するように添加する。含有量が10重量
%未満であれば,コーティング樹脂膜表面の凹凸が少な
くなって,本発明の効果を発揮することができなくなる
ので不適であり,また,含有量が30重量%を超える
と,凹凸を形成する粒子間の距離が狭くなるため,ベト
ツキ感を生じて本発明の作用が減少するばかりでなく,
膜強度が低下して耐漏水性不良の原因となるため不適当
である。
【0014】本発明で使用する微粒子の成分は,例え
ば,アルミナのようなセラミックスであってもよく,そ
の他タンパク質微粒子等,特に限定はしない。本発明で
使用するセラミックス微粒子としては,通常の湿式粉砕
法やボールミル粉砕法等で微粉化された無機微粉末や金
属酸化物微粉末を挙げることができ,さらに,表面を疎
水化したものを用いれば,漏水性の面から見て好まし
い。
【0015】また,タンパク質微粒子とは,羊毛微粉末
や絹微粉末等,一般に存在するタンパク質の微粉末ある
いは合成タンパク質等の微粉末を用いる。羊毛微粉末ま
たは絹微粉末とは,羊毛繊維または絹繊維を微粒子状に
粉砕したものである。羊毛繊維や絹繊維の微粒子化の方
法としては,例えば,繊維を構成しているフィブロイン
またはケラチンに酵素処理等を施すことにより分子を切
断した後,粉砕,微粒子化する方法で得ることができ
る。
【0016】羊毛繊維や絹繊維は元来吸水性が大きい
が,羊毛繊維においては20重量%,絹繊維においては
30重量%の水分を含んでいても湿っぽさを感じさせ
ず,乾燥状態に見えるという特徴を有しており,微粉末
化後も上記特徴を有している。さらに,この特徴を強く
もたせる方法として,例えば,酵素分解率を低く抑えた
後粉末化する方法がある。また,タンパク質の側鎖末端
を架橋せしめたものを用いてもよい。
【0017】本発明では,上述の微粒子を含有するポリ
ウレタン樹脂主体の合成重合体の有機溶剤溶液を繊維布
帛に塗布するが,塗布するに際しては,通常のコーティ
ング法,例えば,ナイフコータ,コンマコータ,リバー
スコータ等を用いて適宜コーティングを行えばよいが,
ある程度の耐水圧を得るためには,繊維布帛のコーティ
ング面の平滑性や通気度(JIS L−1096法)に
より異なるが,一般的には,樹脂皮膜重量が5g/m2
以上,好ましくは10g/m2 以上になるように塗布量
を調節してコーティングを行うとよい。
【0018】コーティングは,湿式法または乾式法で行
うが,乾式法の場合,ポリウレタン樹脂を用いた透湿防
水性布帛は,通常,透湿性向上のため,ポリウレタン樹
脂主体のエマルジョン溶液を使用する場合が多い。ポリ
ウレタン樹脂主体のエマルジョン溶液は,前述のイソシ
アネートとポリオールの反応生成物であるプレポリマー
を乳化剤,鎖伸長剤等により乳化,ウレタン化の工程を
経て得られるポリマーを主成分とするエマルジョン溶液
である。
【0019】また,ポリウレタン樹脂主体の合成重合体
溶液のコーティングに際して,微粒子径よりも大きなク
リアランスで塗布せしめるために,固形分濃度を減少さ
せて行うのが好ましい。固形分濃度が高すぎると,クリ
アランスを狭くしなければならず,微粒子が塗布できな
くなることがあり,好ましくない。一般的に,固形分濃
度10〜25%でコーティングを行うと,樹脂の固化後
も微粒子を被覆する状態で仕上げることができるので,
耐水圧,漏水性の面で良好な性能が得られる。
【0020】本発明では,樹脂層と繊維布帛間の耐剥離
性を向上させる目的で,樹脂や繊維布帛との親和性の高
い化合物を併用してもよく,その化合物としてイソシア
ネート化合物を併用するとよい。
【0021】イソシアネート化合物としては,2,4−ト
リレンジイソシアネート,ジフェニルメタンジイソシア
ネート,イソフォロンジイソシアネート,ヘキサメチレ
ンジイソシアネートまたはこれらのジイソシアネート類
3モルと活性水素を含有する化合物(例えば,トリメチ
ロールプロパン,グリセリン等)1モルとの付加反応に
よって得られるトリイソシアネート類が使用できる。上
記のイソシアネート類は,イソシアネート基が遊離した
形のものであっても,あるいはフェノール,メチルエチ
ルケトオキシム等を付加させることにより安定させ,そ
の後の熱処理によりブロックを解離させる形のものであ
ってもよく,作業性や用途等により適宜使い分ければよ
い。
【0022】イソシアネート化合物を使用する際の使用
量としては,ポリウレタン樹脂主体の合成重合体に対し
て0.1〜10重量%の割合で使用することが望ましい。
使用量が0.1重量%未満であれば,布帛に対する樹脂層
の接着力が低く,また,10重量%を超えると,風合が
硬化する傾向が認められるようになるので好ましくな
い。
【0023】ポリウレタン樹脂主体の合成重合体の樹脂
分の固化方法としては,水中に浸漬して樹脂分を凝固せ
しめる湿式コーティング法あるいはポリウレタン樹脂を
主体とする溶液を乾燥させて溶媒を蒸発し,樹脂膜を形
成する乾式コーティング法のいずれかの方法により製膜
を行う。上述のごときポリウレタン樹脂主体の合成重合
体からなる樹脂液を繊維布帛に塗布した後,湿式法の場
合,0〜30℃の水中に0.5〜10分間浸漬して樹脂分
の湿式凝固を行い,しかる後,40〜60℃の温水中で
5〜10分間の洗浄後,通常の方法で乾燥する。また,
乾式法の場合には,80℃の温風中で溶媒を除去して,
樹脂分を乾式固化する。
【0024】本発明において,防水性をさらに向上させ
る目的で,コーティング後にコーティング布帛に撥水処
理を行ってもよい。撥水処理に際しては,前述のような
一般に実施されている公知の撥水処理方法を採用すれば
よい。また,さらに防水性能を向上させたいときは,本
発明のコーティング層の上に乾燥膜厚が0.5〜2μm程
度の無孔のポリウレタン樹脂層等を形成すればよい。
【0025】
【作用】平均粒径がコーティング樹脂膜厚の2〜4倍の
微粒子を均一に分散させたポリウレタン樹脂主体の合成
重合体溶液を布帛にコーティングして樹脂を固化させる
と,ポリウレタン樹脂主体の合成重合体樹脂皮膜に微粒
子が飛び出た形で膜が形成されるので,表面に凹凸感の
あるコーティング表面が形成され,このようなコーティ
ング表面が着用時に直接肌と接触するとき,その接触面
積が小さくなるため,肌との滑りがよくなり,発汗によ
るベトツキ感が低減し,サラッとしたドライタッチな風
合の透湿防水性コーティング布帛となる。しかも,この
ようなコーティング表面の凹凸は,肌と布帛との間に空
気層を形成するので,熱伝導率が低くなり,体温を外部
へ放出しにくくなる。
【0026】また,微粒子として羊毛や絹等のタンパク
質を使用すると,羊毛繊維や絹繊維は,元来親水性で水
や汗等を吸着する能力があるため,形成された樹脂層中
においても同様にその性能を発揮し,凹凸感との相乗効
果もあって,より一層汗によるベトツキ感がなく,サラ
ッとしたドライタッチな風合の透湿防水性コーティング
布帛となる。さらに,微粒子としてアルミナ等の低放射
率のセラミックス微粉末を用いると,熱伝導率が低くな
るので,体温を外部へ放出しにくい透湿防水性コーティ
ング布帛となる。
【0027】
【実施例】以下,実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが,実施例におけるコーティング布帛の性能の
測定,評価は,次の方法で行った。 (1)表面粗さ 温度20℃,湿度65%の恒温恒室の室内に,表面試験
機KES−FB4(カトーテック株式会社製)を設置
し,図1にその要部を側面図で示す如く,接触子1を試
料3の上にて一定速度0.1cm/sec で水平に2cm移動さ
せた時の上下運動を,作動トランス2によって読み取
り,指定された周波数応答を持つフィルターを通した
後,積分して算出した。
【0028】(2)摩擦係数 ASTM−D1894 (3)耐水圧 JIS L−1092 (4)透湿度 JIS L−1092
【0029】(5)熱伝導率 温度20℃,湿度65%の恒温恒湿の室内に,図2に側
断面図で示すごとき精密迅速熱物性測定装置KES−F
7(カトーテック株式会社製)を設置し,温度22℃に
保ったWater Box 4上に試料5を載せ,さらに,その上
に温度32℃に保った恒温ボックス(以下B. T. Box と
いう。)6の熱板部7が試料5と接触するように載せ,
5分後に消費熱量検出器8により消費熱量を読み取り,
次式を用いて熱伝導率H(W/cm・℃)を算出した。 H=( W/S × D )/ΔT W : 消費熱量(W) S : B. T. Box の熱板部4の面積(cm2) D : 試料の厚さ(cm) ΔT : B. T. Box とWater Box との温度差(℃)
【0030】(6)コーティング面のドライ感 ハンドリングによりドライ感を次の3段階で評価した。 ○ 良 好 △ 普 通 × 不 良 (7)耐摩耗性 JIS L−0823の染色堅牢度試験用摩擦試験機を
用いて,摩耗回数500回後のコーテイング膜の状態を
5段階(級)で相対的に評価した。 (8)吸湿量 40℃×90%RH中に8hrs 放置したときの吸湿量を
測定し,絶乾膜重量に対する重量%で表した。
【0031】実施例1 経糸,緯糸の双方にナイロンハイマルチフィラメント7
0デニール/68フィラメントを用いた経糸密度120
本/インチ,緯糸密度90本/インチの平織物を製織
し,通常の方法で精練および染色(三菱化成株式会社
製,酸性染料のDiacidFast Red 3BL 2%owf)を行
った後,フッ素系撥水剤エマルジョンのアサヒガード7
10(旭硝子株式会社製)5%水溶液でパディング(絞
り率35%)して乾燥後,160℃で1分間の熱処理を
行った。次に,鏡面ロールをもつカレンダー加工機を用
いて,温度170℃,圧力30kg/cm2 ,速度20m/
分の条件でカレンダー加工を行い,コーティング用の基
布を得た。
【0032】ここで上述の基布上に,樹脂固形分濃度2
8%で酸化ケイ素を3%含有するポリウレタン樹脂10
0部に対して平均粒径75μmのAl2 3 微粉末を5
部添加せしめた下記処方1の樹脂溶液を,ナイフオーバ
ーロールコータを用いて塗布量60g/m2 にて塗布し
た後,直ちに15℃の水中に60秒間浸漬して樹脂分を
凝固させ,続いて,50℃の温水中で10分間洗浄した
後,乾燥し,基布上にAl2 3 微粉末を包含するコー
ティング樹脂層(樹脂皮膜重量20g/m2 ,膜厚25
μm)を形成した。粒径/膜厚=3(倍)であった。
【0033】処方1 ラックスキン US−17 100部 (酸化ケイ素含有エステル型ポリウレタン樹脂,セイコ
ー化成株式会社製) レザミン X 1部 (イソシアネート化合物,大日精化工業株式会社製) ジメチルホルムアミド 15部 アルミナ AC−11R 5部 (平均粒径75μmのAl2 3 微粉末,住友化学株式
会社製)
【0034】続いて,コーティング面を撥水処理すべ
く,アサヒガードLS−317(明成化学株式会社製,
フッ素系撥水剤)5%の水溶液でパディング(絞り率3
5%)後,乾燥し,150℃で1分間の熱処理を行い,
本発明の透湿防水性コーティング布帛を得た。
【0035】本発明との比較のため,本実施例において
上記処方1からアルミナAC−11Rを省くほかは,本
実施例とまったく同一の方法により比較用の透湿防水性
コーティング布帛(比較例1)を得た。また,本発明と
の比較のため,本実施例において上記処方1のアルミナ
AC−11R5部を15部に増量するほかは,本実施例
とまったく同一の方法により比較用の透湿防水性コーテ
ィング布帛(比較例2)を得た。さらに,本発明との比
較のため,本実施例において上記処方1のアルミナAC
−11R(平均粒径75μm)に代えて平均粒径が15
0μmのアルミナAC−12(住友化学株式会社製)を
5部用いるほかは,本実施例とまったく同一の方法によ
り比較用の透湿防水性コーティング布帛(比較例3)を
得た。
【0036】本発明および比較用のコーティング布帛の
性能を測定,評価し,その結果を合わせて表1に示し
た。
【0037】
【表1】
【0038】表1より明らかなように,本発明の透湿防
水性コーティング布帛は,粒径がコーティング樹脂膜厚
の3倍のアルミナ微粉末を樹脂膜中に13.5重量%適用
したことにより,コーティング表面は表面粗さに優れた
凹凸感を形成し,その凹凸が肌とコーティング表面との
接触面積を減少させるため,ドライタッチを与えるとと
もに,摩擦係数においてもコーティング面の滑りがよ
く,さらに,コーティング面と肌との空気層を形成させ
るため,熱伝導率が低く,外部への体熱の放散を低減し
ていた。一方,比較例2を見ても分かるように,アルミ
ナ微粉末の添加量を増量しすぎると耐水圧,透湿度が低
下し,比較例3のように,アルミナ微粉末の平均粒径が
大きすぎると耐水圧が低下してしまうので,不適当であ
る。
【0039】実施例2 経,緯糸の双方にカチオン可染ポリエステルフィラメン
ト75デニール/96フィラメントを用いた経糸密度1
20本/インチ,緯糸密度95本/インチの平織物を製
織し,通常の方法で精練および染色(日本化薬株式会社
製,塩基性染料のKayacryl Blue GSL−ED 1.5%
owf)を行った後,フッ素系撥水剤エマルジョンのアサヒ
ガード710(旭硝子株式会社製)5%の水分散液でパ
ディング(絞り率40%)し,乾燥後,160℃で1分
間の熱処理を行った。次に,鏡面ロールをもつカレンダ
ー加工機を用いて,温度180℃,圧力30kg/cm2
速度40m/分の条件でカレンダー加工を行い,コーテ
ィング用の基布を得た。
【0040】ここで,上述の基布のカレンダー面に,樹
脂固形分濃度17%のポリウレタン樹脂100部に対し
平均粒径45μmのタンパク質微粒子を5部添加せしめ
た下記処方2のエマルジョン樹脂溶液を,コンマコータ
を用いて塗布量50g/m2にて塗布した後,80℃で
5分間の乾燥を行い,10g/m2 の樹脂皮膜(膜厚2
0μm)を有する本発明の透湿防水性コーティング布帛
を得た。粒径/膜厚=3(倍)であった。
【0041】処方2 ハイムレン X−3038 100部 (ポリウレタン樹脂,大日精化工業株式会社製) レザミン X 1部 (イソシアネート化合物,大日精化工業株式会社製) メチルエチルケトン 20部 トルエン 20部 水 50部 FPM 5部 (平均粒径45μmのタンパク質微粒子,大塚製薬株式
会社製)
【0042】本発明との比較のため,本実施例の処方2
においてタンパク質微粒子を省くほかは,本実施例とま
ったく同一の方法により比較用の透湿防水性コーティン
グ布帛(比較例4)を得た。また本発明との比較のた
め,本実施例の処方2において平均粒径45μmのタン
パク質微粒子FPMの代わりに微粒子径5μmの同じタ
ンパク質微粒子FPM(大塚製薬株式会社製)を同部数
用いるほかは,本実施例とまったく同一の方法により比
較用の透湿防水性コーティング布帛(比較例5)を得
た。さらに,本発明との比較のため,本実施例の処方2
においてタンパク質微粒子の添加量を5部から1部に減
量するほかは,本実施例とまったく同一の方法により比
較用の透湿防水性コーティング布帛(比較例6)を得
た。
【0043】本発明および比較用のコーティング布帛の
性能を測定,評価し,その結果を合わせて表2に示し
た。
【0044】
【表2】
【0045】表2より明らかなように,本発明の透湿防
水性コーティング布帛は,粒径がコーティング樹脂膜厚
の2.5倍のタンパク質微粒子を樹脂膜中に21.7重量%
適用したことにより,コーティング表面は表面粗さに優
れた凹凸感を形成し,それによって摩擦係数が低減し,
ドライタッチな触感を有しており,また,実施例1と同
様に熱伝導率が低く,外部へ体熱を放散しにくいことが
分かる。しかも,タンパク質に固有の特性が生かされ
て,吸湿性も良好であることが分かる。
【0046】一方,比較例5を見ても分かるように,タ
ンパク質微粒子の粒径が樹脂膜厚よりも小さいものを使
用した場合には,コーティング表面に凹凸は形成されず
に表面粗さに劣り, 摩擦係数等は通常の透湿防水布と何
ら変わりなく,むしろ微粒子を混入しているために耐水
圧が低下してしまうので不適当である。また,比較例6
を見ても分かるように,タンパク質微粒子の添加量が少
ないと,コーティング表面の凹凸が少なく表面粗さに劣
るので,比較例4と同程度の性能しか得られず不適当で
ある。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば,コーティング面がサラ
サラとしたドライな感触を有する透湿防水性コーティン
グ布帛を得ることができる。また,用いる微粒子を選択
することにより,保温性の優れたあるいは吸湿性能を有
する透湿防水性コーティング布帛を得ることもできる。
本発明の透湿防水性コーティング布帛によるウィンドブ
レーカー等は,着用時に肌とコーティング面のベトツキ
感がなく,サラサラとしているので,裏地を使用しなく
ても着用感が快適である。これらの特性により,本発明
の透湿防水性コーティング布帛は,特にスポーツ衣料に
適した素材として利用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の布帛の表面粗さを測定する装置の要部
の側面図である。
【図2】本発明の布帛の熱伝導率を測定する装置の要部
の概略側断面図である。
【符号の説明】
1 接触子 2 作動トランス 3 試 料(布帛) 4 Water Box 5 試 料(布帛) 6 B. T. Box 7 熱 板 8 消費熱量検出器

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維布帛上にポリウレタン樹脂主体の合
    成重合体よりなるコーティング樹脂層を有する透湿防水
    性コーティング布帛であって,該樹脂層中に樹脂膜厚の
    2〜4倍の粒径を有する微粒子を10〜30重量%含有
    していることを特徴とする透湿防水性コーティング布
    帛。
JP14028495A 1995-06-07 1995-06-07 透湿防水性コーティング布帛 Pending JPH08337974A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100460005B1 (ko) * 1997-11-28 2005-01-24 주식회사 새 한 고투습성 및 방진성이 우수한 반도체 무진의용 코팅 포지 제조방법
JP2018501985A (ja) * 2014-12-19 2018-01-25 アビンティブ・スペシャルティ・マテリアルズ・インコーポレイテッドAVINTIV Specialty Materials Inc. モノリシックな通気性フィルムおよびそれから製造される複合物

Cited By (3)

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JP2018501985A (ja) * 2014-12-19 2018-01-25 アビンティブ・スペシャルティ・マテリアルズ・インコーポレイテッドAVINTIV Specialty Materials Inc. モノリシックな通気性フィルムおよびそれから製造される複合物
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