JPH08336554A - 発熱体及びこれを用いる貼付剤 - Google Patents

発熱体及びこれを用いる貼付剤

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JPH08336554A
JPH08336554A JP17146495A JP17146495A JPH08336554A JP H08336554 A JPH08336554 A JP H08336554A JP 17146495 A JP17146495 A JP 17146495A JP 17146495 A JP17146495 A JP 17146495A JP H08336554 A JPH08336554 A JP H08336554A
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exothermic
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exothermic reaction
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Akio Usui
昭男 臼井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、製造時の発熱組成物の発熱反応や
凝固に伴う種々の弊害を解消できる上、超薄型で、か
つ、厚みの均一性、柔軟性、伸長性ないし伸縮性、体表
面の任意の湾曲面へのなじみ性などに優れ、しかも、使
用中の発熱組成物の偏りが無く、着用時の使用感が良く
なるようにした発熱組成物及びこれを用いる貼付剤を提
供することを目的とするものである。 【構成】 本発明は、少なくとも片面が通気性を有する
フィルム又はシートからなる偏平な袋内に、発熱物質、
水、保水剤、炭素及び金属の塩化物を必須成分とする発
熱組成物を、発熱物質とその他の必須成分のうちの少な
くとも1種とが空気中の酸素との接触による発熱反応が
無視できる程度に配合された発熱反応層と、発熱反応層
の必須成分とあいまって所要の発熱温度が得られる発熱
物質以外の必須成分のうちの少なくとも1種からなる反
応助剤層とに分けて積層して封入したことを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発熱体及びこれを用い
る貼付剤に関し、特に製造時の発熱組成物の発熱反応や
この発熱反応に伴う凝固を防止し、発熱組成物の流動性
を良好にし、しかも品質の安定化を図る上、厚みの均一
性、柔軟性、伸長性ないし伸縮性、人体などの体表面の
湾曲面へのなじみ性などに優れ、又、使用中の発熱組成
物の偏りが無く、着用時の使用感が良くなるようにした
発熱組成物及びこれを用いる貼付剤に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、少なくとも片面が通気性を有する
フィルムあるいはシートからなる袋に発熱組成物を封入
した発熱体が、いわゆる使い捨てかいろとして、採暖の
手段として広く普及している。又、この使い捨てかいろ
の発熱体の片面に粘着剤層を積層して人体などに貼付で
きるようにした貼付剤が提案されており、この貼付剤の
中には粘着剤層に経皮吸収性薬物を併用して、いわゆる
経皮吸収システムに用いられるものも提案されている
(特開平2−149272号公報参照)。
【0003】従来、この発熱体は、発熱組成物を人体な
どの表面に直接に、或いは、下着などの衣類を介し貼り
付けることができるようにするため、少なくとも片面が
通気性を有する偏平な袋で空気中の酸素と反応して発熱
する発熱組成物を包装するという技術的思想に従った方
法によって製造されている。
【0004】具体的には、袋にその開放口から発熱組成
物を投入した後、その開放口を封着する方法、少なくと
も一方が通気性を有する2枚のフィルムあるいはシート
の間に発熱組成物を挟んだ後、その発熱組成物の周囲を
ヒートシールなどによって封着して袋状に形成する方
法、通気性を有するフィルムあるいはシート上に発熱組
成物を投下し、フィルムあるいはシートを折り返して発
熱組成物の周囲をヒートシールなどによって封着して袋
状に形成する方法などがある。
【0005】そして、製造後使用時までに発熱組成物が
発熱反応しないようにするために、更に、気密性の外袋
に封入して保管される。
【0006】発熱組成物としては、発熱反応に必須の金
属粉及び水の他に発熱を促進するためにカーボン、活性
炭などの炭素、金属の塩化物、べとつきを防止するため
の保水剤などを配合したものが用いられ、伝統的にこれ
らの成分をすべて配合してから袋に投入したり、フィル
ムあるいはシートの間に挟んだり、フィルムあるいはシ
ートの上に投下したりしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の製造
方法においては、発熱組成物を配合した時から空気中の
酸素と発熱組成物との反応が開始するので、以下に述べ
るような種々の弊害が伴うことが知られている。
【0008】まず、外袋に発熱体を封入するまでに無駄
になる発熱ロスが生じると共に、しだいに品質が低下
し、製品の品質が不均一になるという問題がある。
【0009】又、発熱反応の進行に伴って発熱組成物が
凝固し、発熱組成物の流動性が悪くなって充填量にバラ
ツキが生じたり、発熱組成物を配合する装置内や、発熱
組成物を袋、フィルムあるいはシートに投下する装置な
どの製造装置内において当該発熱組成物の通路をいわゆ
るブリッジ現象によってせき止めたり、製造装置内に凝
着したりする。
【0010】そこで、製造装置にブリッジブレーカなど
装置内でのブリッジ現象を防止する手段や、バイブレー
タなど凝着した発熱組成物を装置から剥落させる手段が
設けられるが、このために、製造装置が複雑で高価にな
るという問題がある。
【0011】更に、製造装置内で発熱組成物が凝着する
と以後の操業が不能になるので、装置に仕掛けられた発
熱組成物を使い切るまで操業を連続させる必要があり、
操業時間の融通性が低いという問題もある。
【0012】しかも、発熱組成物が、水分を含んだウェ
ット性であるために、発熱組成物の凝固や製造装置への
凝着が非常に起こり易いので、連続操業が不可能である
上、しばしば発熱組成物の凝固や製造装置への凝着によ
って操業が中断されるという問題がある。
【0013】その上、袋内への投下やフィルムあるいは
シート上への投下がしだいに困難になり、袋詰めされる
発熱組成物の量やその分布が不均一になり、製品の品質
が不均一になるという問題もある。
【0014】加えて、製造装置内に凝着した発熱組成物
は、後の操業を円滑にするために、装置内から除去する
必要があり、このために、多大の時間と労力が頻繁に必
要とされるうえ、この作業はへらによる掻き落としや水
洗浄などのきつい、汚い、危険な、いわゆる、3Kの作
業となるのも問題である。
【0015】しかも、製造装置内から排出された凝固物
は組成や成分が変化しているので再利用することができ
ないので歩留りが悪くなる上、いわゆる産業廃棄物とて
処理しなければならず、処理費用が高くなるという問題
もある。
【0016】又、上記の従来の製造方法においては、発
熱組成物を袋の中やフィルムあるいはシートの上に投下
する場合、発熱組成物の凝着による投下口の閉塞を防止
するために投下口を大きく開口させる必要があるので、
発熱組成物の投下量を高精度に制御することが困難にな
り、発熱組成物の厚みを薄く均一にすることは一層困難
である。
【0017】その結果、発熱組成物が分厚くなり、分厚
い発熱組成物を封入する袋のかさも分厚くなるので、体
表面の複雑な湾曲面や曲率の小さい曲面になじみ難くな
ると共に、体表面の伸縮や形状変化に追従性し難くなっ
て風合がごわごわした感じになるという問題がある。
【0018】更に、袋のかさが分厚くなることにより、
使用中や輸送中に袋内で発熱組成物が偏りやすく、発熱
組成物の偏りによって使用時の発熱温度の分布が不均一
になるうえ、体表面の複雑な湾曲部や曲率が小さい曲面
に一層なじみ難くなると共に、体表面の伸縮や形状変化
に一層追従し難くなって風合が一層ゴワゴワした感じに
なるという問題もある。
【0019】一方、発熱体の製造装置として高精度のも
のを用い、多孔質フィルムを用いて製造時に均一な厚み
の発熱体を製造し、発熱時の減圧による発熱組成物の偏
り防止を設計しても、保管中において、密封性の外袋の
中では、減圧状態にはならず特に薄型化した場合には、
輸送中に偏りが顕著になり不良品となる場合が多い。
【0020】また、使用中にも発熱体包材のピンホール
や温度が高い場合等には減圧にならず偏りが起こる。
【0021】ところで、温熱療法、経皮吸収システムな
どの温あん法の分野でこの種の発熱体を用いる場合に
は、発熱体と皮膚との密着性が高度に必要とされ、この
ため、体表面へのなじみ性ないし追従性が高いシート状
発熱体が求められている。
【0022】しかし、従来の発熱体は上述したように分
厚くできているので柔軟性や追従性に不満が感じられて
いる上、発熱組成物が表面に凹凸が感じられる程度の粒
々になっており、皮膚との密着性を高める上で不利であ
る。
【0023】又、温あん法の分野では発熱体の発熱温度
コントロールが容易で、しかも、温度分布が均一である
ことが必要とされるが、上述したように従来の発熱体は
製造時の発熱組成物の品質が発熱反応の進行に伴って不
均一になること、発熱組成物の封入量が不均一になるこ
となどの原因によって正確な発熱温度コントロールがで
きないという問題がある。
【0024】更に、上述したように袋内で発熱組成物が
偏ることによって温度分布が不均一になるのみならず、
低温火傷が発生したり、製造時に袋にできたピンホール
などによって発熱反応の進行が不均一になり、温度分布
が不均一になり、場合によっては発熱組成物の移動を伴
って温度分布が更に不均一になることがある。
【0025】特に、肌に貼り付けて使用する場合には、
発熱反応の進行に伴って発熱組成物が凝固して硬くな
り、違和感が生じて皮膚ストレスによる好ましくない副
作用を招くこともある。
【0026】本発明は、上記技術的課題を解決し、製造
時の発熱組成物の発熱反応や凝固に伴う種々の弊害を解
消できる上、超薄型で、かつ、厚みの均一性、柔軟性、
伸長性ないし伸縮性、体表面の任意の湾曲面へのなじみ
性などに優れ、しかも、使用中の発熱組成物の偏りが無
く、着用時の使用感が良くなるようにした発熱組成物及
びこれを用いる貼付剤を提供することを目的とするもの
である。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明に係る発熱体は、
上記の目的を達成するため、少なくとも片面が通気性を
有するフィルム又はシートからなる偏平な袋内に、発熱
物質、水、保水剤、炭素及び金属の塩化物を必須成分と
する発熱組成物を、発熱物質とその他の必須成分のうち
の少なくとも1種とが空気中の酸素との接触による発熱
反応が無視できる程度に配合された発熱反応層と、発熱
反応層の必須成分とあいまって所要の発熱温度が得られ
る発熱物質以外の必須成分のうちの少なくとも1種から
なる反応助剤層とに分けて積層して封入したことを特徴
とするものであり、詳細に説明すれば以下の通りであ
る。
【0028】本発明に用いられる袋は、引っ張り強さな
どの所要の機械的強度を備え、少なくとも片面が通気性
を有するフィルム又はシートからなる偏平な袋であれば
よいが、体表面や着衣の複雑な曲面、曲率の小さい曲
面、凹凸などになじみ易くするために柔軟性を備えるこ
とが好ましく、又、体表面や着衣の動きに追従できるよ
うにするために、少なくとも一方向の伸長性を有するこ
とが好ましく、特に、少なくとも一方向の伸縮性を有す
ることが更に好ましい。
【0029】本発明に用いられる袋は、袋の内部に封入
された発熱組成物を大気中の酸素に接触させるために、
少なくとも片面が通気性を有するフィルム又はシートで
構成されていることが必要であり、1枚の通気性を有す
るフィルム又はシートを二つ折り又は三つ折りに折り畳
んで形成した袋であっても、1枚の通気性を有するフィ
ルム又はシートと1枚の気密性を有するフィルム又はシ
ートとをヒートシール、ホットメルト系接着剤などを用
いて貼り合わせて形成した袋であっても、2枚の通気性
を有するフィルム又はシートをヒートシール、ホットメ
ルト系接着剤などを用いて貼り合わせて形成した袋であ
ってもよいのである。
【0030】ただし、後述するように、1枚の通気性を
有するフィルム又はシートを二つ折り又は三つ折りに折
り畳んだ袋の場合には、展開したフィルム又はシートの
上に発熱体反応層と反応助剤層とを積層した後に折り畳
む必要があり、2枚のフィルム又はシートを貼り合わせ
た袋の場合には、一方のフィルム又はシートの上に発熱
反応層と反応助剤層とを積層した後に2枚のフィルム又
はシートを貼り合わせる必要がある。
【0031】袋の少なくとも片面を構成する通気性を有
するフィルム又はシートとしては高分子材料からなる発
泡又は非発泡のフィルム又はシートの他、紙、織布、編
布、不織布などの布を用いることができる。
【0032】上記高分子材料は特に限定されず、例えば
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエス
テル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレ
タン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合けん
化物又はエチレン−酢酸ビニル共重合体などをその例と
して挙げることができる。
【0033】上記高分子材料からなる非発泡のフィルム
又はシートに通気性を与える方法としては、フィルム又
はシートに形成する時に延伸させて通気孔を形成する方
法、フィルム又はシートに形成した後に特定成分を抽出
して通気孔を形成する方法などの他に、フィルム又はシ
ートに形成した後にパンチング、ニードリングなどの穿
孔により機械的に通気孔を形成する方法がある。
【0034】又、発泡のフィルム又はシートの場合に
は、発泡により表裏両面に開かれた独立気泡又は連続気
泡を形成する方法、発泡させたフィルム又はシートを圧
迫してその内部に形成された気泡を破裂させて表裏両面
に連通させる方法、及びこれらを併用する方法などがあ
る。
【0035】織布、編布、不織布などの布は組織上、表
裏両面に連通する通気孔ないし通気路が形成されるの
で、性質上通気性を有すると言える。又、その布を構成
する繊維としては天然繊維、合成繊維、及びこれらの混
合物などを用いることができ、合成繊維の素材としては
先に例示した高分子材料を用いることができる。
【0036】又、袋の少なくとも片面を構成する通気性
を有するフィルム又はシートは単層のものに限らず、2
種以上の上記のフィルム又はシートを積層した積層体を
用いることもできる。特に袋の素材として、紙、布(織
布又は不織布等)、発泡フィルム又は発泡シートと、非
発泡の通気性を有する高分子材料からなるフィルム又は
シートを積層した2層構造のフィルム又はシートは、十
分な柔軟性、及び機械的強度を得られる上、発熱組成物
の積層が容易になるので好ましく、特に、生体の動きに
追従させるために、伸長性ないし伸縮性を有するフィル
ム又はシートを用いるのが望ましい。
【0037】更に、2種類以上のフィルム又はシートを
積層した通気性を有するフィルム又はシートとしては、
上記の2層構造のもの、更に袋の外面に織布、不織布、
発泡フィルム又は発泡シートを積層した3層構造のもの
は、十分な柔軟性及び機械的強度を得られるのであり、
又、発熱組成物の積層が容易になる上、風合を高められ
るので一層好ましく、特に、生体の動きに追従させるた
めに、伸長性ないし伸縮性を有するフィルム又はシート
を用いるのが望ましい。
【0038】なお、積層したフィルム又はシートは結果
的に積層された状態であればよいのあって、予めヒート
セットや部分接着によって互いに固定しておかないもの
でも差し支えない。
【0039】本発明の発熱体において、水分の透過によ
るロスあるいは体表面から分泌される水分の透過による
発熱組成物の成分変化及びこれによる発熱反応の過不足
を防止すると共に、袋によって被覆された肌に対する温
熱効果を高めるためには、袋の片面を気密性にすること
が好ましく、気密性のフィルム又はシート或いは粘着層
によって気密性にした不織布でも差し支えないのであ
り、この片面を体表面側にして施用することが好まし
い。
【0040】袋の片面を気密性のフィルム又はシートで
構成する場合、この気密性のフィルム又はシートとして
は、高分子材料からなる単層フィルム、高分子材料から
なるフィルム又はシートどうしを積層した積層フィルム
又は積層シート、高分子材料からなるフィルム又はシー
トと上記の通気性を有するフィルム又はシートとを積層
したフィルム又はシートを用いることができる。
【0041】気密性のフィルム又はシートを構成する高
分子材料は特に限定されるものではなく、例えばポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、
ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合けん化物又
はエチレン−酢酸ビニル共重合体などをその例として挙
げることができる。
【0042】又、本発明の発熱体を直接体表面に接して
用いる場合には、アレルギー性炎症が発生することを防
止するために、体表面に接触するフィルム又はシートが
人肌に対する無刺激性を有することが好ましく、更に、
体表面から分泌される汗などの分泌物、傷口から分泌さ
れる血液、リンパ液などの体液によって皮膚炎が誘発さ
れることを防止するために、発熱体に吸水性を与えるこ
とが好ましい。
【0043】袋を構成するフィルム又はシートの膜厚は
特に限定されないが、5μmないし0.5mm程度であ
ることが好ましい。この膜厚が5μmと薄い場合には、
均一な膜厚のものを得難くなり、又、必要な機械的強度
を得られなくなるので好ましくなく、特に通気性を有す
るフィルム又はシートの場合には、所要の機械的強度が
得難く、また通気性ないし透湿性の制御が困難になっ
て、発熱反応速度の制御が不均一になるので、低温火傷
を防止して安全性を高めるという観点からも好ましくな
い。又、この膜厚が0.5mmを超える場合には柔軟性
が低下して体表面へのなじみ性が低下し、体表面の変形
や移動に対する追従性が低下する上、ごわごわして風合
が悪くなる恐れがあるので好ましくない。袋を構成する
フィルム又はシートの膜厚を15μmないし250μm
とすれば、必要な機械的強度、柔軟性及び伸長性又は伸
縮性がうまく調和し、しかも、発熱温度コントロールの
ばらつきを小さくして安全性を高めることができるので
最適である。ところで、発泡シートに転写、使用する場
合があり、この場合、特に厚みには制限がない。
【0044】もちろん、袋における表裏両側のフィルム
又はシートの膜厚は同じにしてもよく、又、異ならせて
もよく、更に、袋における表裏両側のフィルム又はシー
トの材質は、同種のものを用いても良く、或いは異種の
ものを用いても良い。
【0045】ところで、本発明の袋の形態としては、チ
ューブ状のフィルムの両端をシールするピロー形は発熱
反応層と反応助剤層とを積層した発熱組成物を封入する
には適せず、フィルム又はシートへの発熱組成物の積層
を容易にするため、1枚のフィルム又はシートを長さ方
向又は幅方向で二つ折りにし、直角四辺形の折り返し辺
以外の3辺をシールした三方シール形、1枚のフィルム
又はシートを長さ方向又は幅方向で三つ折りにし、胴部
のシールを封筒形に重ねる封筒形、2枚のフィルムを重
ねて直角四辺形の四辺をシールする四方シール形などが
推奨され、これらの中でも、製造の高速化を図るという
観点から四方シール形を採用することが最も推奨され
る。
【0046】もっとも、本発明において、袋の形状は直
角四辺形に限定されるものではなく、例えば菱形などの
直角以外の平行四辺形、台形などの四辺形はもとより、
三角形、五角形、六角形などの多角形、円形、楕円形、
瓢箪形などの周縁に曲線を含んだ形状、足形、つま先や
踵等の足の一部の形状、十文字形、T字形、星型などの
周縁に凹凸がある形状、ドーナツ形、眼鏡形などの中抜
き部分がある形状など、人体の特定の部位になじみやす
い任意の形状に形成することができ、又、体表面へのな
じみ性を高めるために、スリットや切り込みを設けても
よい。もちろん、袋の大きさも特に限定されるものでは
ない。
【0047】又、上記袋は単室の袋であってもよいが、
複数の室を有する複室袋にして、各室に発熱組成物を封
入するようにしてもよい。複室袋にする場合には、各室
の間に適当な間隔を開けて特に柔軟な部分を形成するこ
とにより、発熱体の体表面へのなじみ性を高めることが
できるのであり、特に、袋が伸長性ないし伸縮性を有す
る場合には体表面へのなじみ性を一層高めることができ
るうえ、体表面の変形や移動に対する追従性を高めるこ
とができる。
【0048】更に、上記袋の表裏両側のフィルム又はシ
ートを同じ形状及び大きさににすることは本発明に必須
のことではなく、例えば体表面側又はその反対側のフィ
ルム又はシートを大きくして体表面あるいは着衣への貼
付けを容易にしたり、体表面側又はその反対側のフィル
ム又はシートを帯状に延長して人体などの生体に縛り付
けることができるようにしてもよいのである。
【0049】フィルム又はシートに発熱組成物を積層し
た後、一般にヒートシールによってシールされるが、予
めシール部分にホットメルト系接着剤を付着させてお
き、このホットメルト系接着剤によってシールするよう
にしてもよい。
【0050】次に、上記偏平な袋内封入される発熱組成
物について詳細に説明する。本発明に用いる発熱組成物
は空気中の酸素と反応して発熱反応を起こす組成物であ
れば、有機物、無機物あるいはこれらの混合物であって
もよいのであり、一般に公知の組成を有する発熱組成物
を用いれば良いのである。
【0051】一般に公知の発熱組成物としては、金属粉
などの発熱物質と、水分と、水によるベトツキを無くす
と共に、反応に必要な水分を徐々に放出させて金属粉の
酸化反応を持続させるための保水剤、触媒の作用をする
粉末状の炭素と、金属粉の表面に形成される酸化皮膜を
破壊して金属粉の酸化反応を持続させるための金属の塩
化物とを必須成分とするものが主流を占めている。
【0052】又、必要に応じて、ポリリン酸塩等のpH
調整剤、乾燥による皮膜形成を防止する皮膜形成防止
剤、分散性を高める界面活性剤、消泡剤などが配合され
る。
【0053】本発明では発熱物質として、有機物を用い
ることも可能であるが、反応に伴って異臭が発生しない
鉄粉、亜鉛粉、アルミニウム粉、マグネシウム粉、これ
らの2種以上の金属からなる合金、あるいはこれらのう
ちの2種以上を混合した混合粉などの金属粉が用いるこ
とが推奨され、特に、これらの金属粉の中では、安全
性、取扱性、コスト、保存性及び安定性などの観点を総
合して最も優れている鉄粉を用いることが推奨される。
【0054】炭素としてはカーボンブラック、黒鉛又は
活性炭等がその例として挙げられるのであり、また金属
の塩化物としては塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの
アルカリ金属の塩化物、塩化カルシウム、塩化マグネシ
ウムなどのアルカリ土金属の塩化物などをその例として
挙げることができる。
【0055】保水剤としては水や金属の塩化物水溶液に
溶解ないし分散して水分を保持したり、水や金属の塩化
物水溶液の粘度を高めるたりするものであれば特に限定
されるものではなく、例えばデキストリン、α化澱粉、
加工用澱粉などの澱粉系保水剤、アルギン酸ナトリウ
ム、イソプレンー無水マレイン酸共重合体、カラギーナ
ン、寒天などの多糖類系保水剤、カルボキシールメチル
セルロース(CMC)、酢酸エチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体系保水
剤、アクリル樹脂系保水剤、ボリビニルアルコール系保
水剤、ユリア樹脂系保水剤、ポリ酢酸ビニルエマルジョ
ン、ポリブタジエン系エマルジョンなどの水分散エマル
ジョン系保水剤などを用いることができる他、アクリル
酸ソーダや接着剤なども保水剤として用いることができ
る。
【0056】又、この保水剤は、溶解性ないし分散性が
良好であり、不快臭がなく、安定で腐敗し難いものが好
ましい。
【0057】更に、この保水剤は製造工程における素材
管理を行う上で、安定性、取扱性に優れ、しかも、毒性
がないことが好ましい。
【0058】採暖や経皮吸収システムを含む温あん法に
用いる発熱体では、発熱温度を温熱効果が得られる程度
以上、低温火傷が発生する恐れがない程度以下に制御す
ることが好ましく、このため、上記の鉄粉、炭素、金属
の塩化物、水及び保水剤の配合比は、フィルム又はシー
トへの積層時の取扱性、例えば鉄粉20〜80重量%、
炭素1〜15重量%、金属の塩化物0.5〜10重量
%、水10〜40重量%、保水剤1〜20重量%とする
ことが好ましい。
【0059】ところで、この発熱組成物を製造するに際
して、種々の試行を重ねたところ、必須成分である鉄
粉、水、保水剤、炭素及び金属の塩化物を全て配合する
と空気中の酸素と反応して例えば35〜45℃程度の所
要の温度で発熱するが、これらの必須成分のうちのいず
れか1種以上を欠くと、発熱しても無視できる程度であ
り、また、成分の凝固もほとんど起こらない程度に発熱
温度を低くできるということが分かった。
【0060】例えば、金属の塩化物を除いた鉄粉、水、
炭素含有物を配合した組成物は、空気中の酸素と接触し
ても殆ど反応せず、短時間では、温度は殆ど上昇しない
うえ、全く凝固しないことが分かった。又、鉄粉、炭素
含有物及び金属の塩化物を配合した組成物は空気中では
ほとんど発熱しないことが分かった。
【0061】そして、上記必須成分のうちのいずれか1
種以上を欠いた配合物とその欠けている1種以上の必須
成分とを配合すると、所要の発熱温度が得られることが
分かったのである。
【0062】このように構成した場合、空気との接触に
よって生じる発熱反応は発熱物質、例えば鉄粉と、他の
成分とのうちのどの成分を組み合わせるかによって決定
されるから、この点を配慮する必要がある。
【0063】このような知見に基づいて本発明は完成さ
れたものであり、本発明において最も重要なことは、発
熱物質とその他の必須成分のうちの少なくとも1種とが
空気中との酸素との接触による発熱温度が無視できる程
度に配合された発熱反応層と、発熱反応層の必須成分と
あいまって所要の発熱温度を得られる程度の発熱物質以
外の必須成分のうちの少なくとも1種からなる反応助剤
層とに分けて積層して袋内に封入するという点にある。
【0064】これにより、発熱組成物を袋内に封入する
前の発熱反応をほとんど無視できる程度に抑制できるの
で、製造工程における発熱ロスを大幅に減少させること
ができると共に、発熱組成物のの凝固に伴う種々の弊害
を解消できる。
【0065】本発明において、発熱反応層に発熱物質以
外の必須成分のうちの少なくとも1種が配合されると
は、水、保水剤、炭素及び金属の塩化物のうちのいずれ
か1種が配合される場合、水及び炭素、或いはこの混
合物に添加される保水剤、炭素及び金属の塩化物、或
いはこの混合物に添加される保水剤又は、水及び金属
の塩化物、或いはこの混合物に添加される保水剤の2種
或いは3種、水及び炭素、或いはこの混合物に添加さ
れる金属の塩化物が配合される場合が考えられる。
【0066】しかし、水及び金属の塩化物更に保水剤を
発熱反応層に配合する場合と、水、炭素及び金属の塩化
物を発熱反応層に配合する場合には、発熱が比較的活発
に行われて要求される発熱温度あるいはそれに近い温度
で発熱し、発熱及びこれに伴う種々の問題を惹起するお
それがあるので、発熱を抑制ないし抑止するための特別
の対策を講じない限り避ける方が好ましい。
【0067】従って、本発明においては、発熱反応層に
水と金属の塩化物とを共に配合るすことを避け、発熱を
確実に無視できる程度に低温に制限するために、水又は
金属の塩化物が選択的に配合されることが推奨されるの
である。
【0068】ここで、金属の塩化物を選択的に発熱反応
層に配合した場合、空気中の水分が発熱反応層に吸収さ
れて反応に寄与し、要求される発熱温度あるいはそれに
近い温度の発熱が生じる恐れがある。
【0069】それ故に、本発明では、発熱反応層に添加
される発熱物質以外の必須成分としては金属の塩化物以
外のもの、即ち、水及び/又は炭素或いは所望により添
加される保水剤であることが特に推奨されるのである。
【0070】発熱反応層に水を配合しない場合には、発
熱反応層は乾燥粉体層としてフィルム又はシートに積層
される。この場合には発熱反応層を構成する成分を転写
ローラに磁気吸着や静電吸着により所定の層厚に吸着さ
せた後、フィルム又はシートに転写するという転写の技
術を採用することにより発熱反応層を0.02〜1.5
mm程度、好ましくは0.05〜1mm程度、更に好ま
しくは0.1〜0.5mm程度の薄膜層にしてフィルム
又はシートあるいは先にフィルム又はシート上に積層さ
れた反応助剤層の上に積層することができる。
【0071】又、発熱反応層に水を配合する場合には、
発熱反応層が液状化され、インクやペーストと同様の流
動性及びチクソトロピー性を有する粘稠体に形成され
る。これにより、発熱反応層を0.02〜1.5mm程
度、好ましくは0.05〜1mm程度、更に好ましくは
0.1〜0.5mm程度の薄膜層にしてフィルム又はシ
ートあるいは先にフィルム又はシート上に積層された反
応助剤層の上に転写技術やスクリーン印刷、離型処理し
た版の深いグラビア印刷、吹き付けなどの印刷技術によ
って積層できる。
【0072】なお、ここで言うチクソトロピー性とは、
外力を加えると流動して変形するが外力を取り除くと流
動性が低下してその時の形状を保持できる性質のことを
意味している。
【0073】又、この場合、発熱反応層には、水による
べとつきを無くし、しかも反応に寄与する水分を徐々に
放出させて金属粉の酸化反応を持続させるための保水剤
を配合することは、発熱反応層の粘度を調整する上でも
役立つので好ましい。
【0074】このように発熱反応層を乾燥粉末層あるい
はインク状ないしペースト状の粘稠体からなる薄膜層に
してフィルム又はシートあるいは先にフィルム又はシー
トあるいは先にフィルム又はシート上に積層された反応
助剤層の上に積層することにより、発熱体全体を超薄形
に形成できるのである。
【0075】発熱反応層は発熱物質とこの他の必須成分
を含有しているので、発熱反応層を成分が異なる複数層
の組成物層で構成することができる。つまり、発熱物質
と、炭素との2層の組成物層で構成したり、発熱物質
と、炭素と、金属の塩化物との3層の組成物層で構成し
たりすることができ、これらの組成物層は乾燥粉体層と
して積層してもよく、水又は水と共に保水剤を加えて粘
稠体として積層してもよい。
【0076】なお、複数層の組成物層のうちの少なくと
も1層が乾燥粉末層であり、他の少なくとも1層が粘稠
体である場合には、乾燥粉末層の飛散を防止するため
に、乾燥粉末層と粘稠体とを交互に積層することが好ま
しい。
【0077】反応助剤層には、発熱反応層の必須成分と
あいまって所要の発熱温度を得られる程度の発熱物質以
外の必須成分のうちの少なくとも1種が配合される。即
ち、発熱反応層に配合されなかった発熱物質以外の必須
成分が配合される他、必要に応じて発熱反応層に空気中
との酸素との接触による発熱温度が無視できる程度に配
合された発熱物質以外の必須成分であって所要の発熱温
度を得るために不足しているものが配合される。
【0078】又、反応助剤層には、発熱物質が含まれて
いないので、炭素、水及び金属の塩化物とが共に配合さ
れる場合であっても反応助剤層が発熱するおそれはな
い。従って、反応助剤層としては、水、炭素、金属の塩
化物のうちの任意の1種以上のものを配合したもの、或
いは更にこれに保水剤を配合したもの等が挙げられる。
【0079】反応助剤層に水を配合しない場合には、発
熱助剤層は乾燥粉体層としてフィルム又はシートに積層
される。この場合には発熱助剤層を構成する成分を転写
ローラに静電吸着により所定の層厚に吸着させた後、フ
ィルム又はシート若しくはこの上に先に積層された発熱
反応層の上に転写するという転写技術を採用することに
より発熱助剤層を0.02〜1.5mm程度、好ましく
は0.05〜1mm程度、更に好ましくは0.1〜0.
5mm程度の薄膜層にしてフィルム又はシートあるいは
先にフィルム又はシートの上に積層された発熱反応層の
上に積層することができる。
【0080】又、反応助剤層に水を配合する場合には、
発熱反応層が液状化され、インクやペーストと同様の流
動性及びチクソトロピー性を有する粘稠体に形成され
る。これにより、発熱反応層を0.02〜1.5mm程
度、好ましくは0.05〜1mm程度、更に好ましくは
0.1〜0.5mm程度の薄膜層にしてフィルム又はシ
ートあるいは先にフィルム又はシートの上に積層された
反応助剤層の上に転写技術やスクリーン印刷、離型処理
した版の深いグラビア印刷、吹き付けなどの印刷技術に
よって積層できるようになる。
【0081】もちろん、反応助剤層にも、水によるべと
つきを無くし、しかも反応に寄与する水分を徐々に放出
させて金属粉の酸化反応を持続させるための保水剤を配
合することが反応助剤層の粘度調整に役立つので好まし
い。
【0082】このように反応助剤層を乾燥粉末層あるい
はインク状ないしペースト状の粘稠体からなる薄膜層に
してフィルム又はシートあるいは先にフィルム又はシー
トあるいは先にフィルム又はシートの上に積層された発
熱反応層の上に積層することにより、発熱体全体を超薄
形にできる。
【0083】反応助剤層に複数の必須成分が含有されて
いる場合には、反応助剤層を成分が異なる複数層の組成
物層で構成することができる。つまり、炭素と、金属の
塩化物との2種類の組成物層で構成したり、更に必須成
分以外の成分を含む組成物層を加えた3種類の組成物層
で構成したりすることができるのであり、この組成物層
は乾燥粉体層にしてもよく、又、そのうちの少なくとも
1層に水又は水と共に保水剤を配合して粘稠体にするこ
ともできる。
【0084】なお、複数の反応助剤層のうちの少なくと
も1層が乾燥粉末層であり、他の少なくとも1層が粘稠
体である場合には、乾燥粉末層の飛散を防止するため
に、乾燥粉末層と粘稠体とを交互に積層することが好ま
しい。
【0085】上述したように、発熱反応層及び反応助剤
層を積層する技術としては、転写、スクリーン印刷、離
型処理した版の深いグラビア印刷、吹き付けなどの印刷
の技術を適用することができるが、これらの技術の中で
は、パターニングの精細化、連続形成に対する適性、積
層処理の高速性などを考慮して、転写の技術を採用する
ことが推奨される。
【0086】又、発熱体反応層及び反応助剤層の層数
は、特に限定されず、それぞれ1層ずつであってもよ
く、同数の複数層ずつであってもよく、一方が偶数層、
他方がそれよりも1つ少ない奇数層であってもよい。つ
まり、偶数層の発熱反応層とこれよりも1層少ない奇数
層の反応助剤層とを交互に積層したり、奇数層の発熱反
応層とこれよりも1層多い偶数層の反応助剤層とを交互
に積層したりすることができるのである。
【0087】更に、上述したように、発熱反応層が少な
くとも1層に水を含ませた複数層の組成物層からなり、
反応助剤層が少なくとも1層に水を含ませた複数層の組
成物層からなるばあいには、これら発熱反応層の組成物
層と反応助剤層の組成物層とを、発熱反応の抑止ないし
抑制に留意した上で、任意の順に積層してもよいのであ
る。
【0088】本発明の発熱体を製造する手順としては、
例えばフィルム又はシートに発熱組成物を上記のように
して積層した後、別のフィルム又はシートを重ねて、あ
るいは、そのフィルム又はシートを折り畳んで所要の箇
所をシールすることにより、少なくとも片面が通気性有
するフィルム又はシートからなる偏平な袋内に、例えば
鉄粉、水及び炭素を必須成分とする発熱反応層と、保水
剤、炭素、水及び金属の塩化物を必須成分とする反応助
剤層とを積層した発熱組成物を封入した発熱体、即ち、
本発明の発熱体が形成される。
【0089】 本発明に係る貼付剤においては、上記目
的を達成するために、上記本発明の発熱体の片面、つま
り発熱体における袋の片面に粘着層を形成し、体表面や
着衣などに貼り付けられるようにしてもよい。
【0090】以下、本発明に係る貼付剤を詳細に説明す
るが、本発明の発熱体の詳細な説明と重複する部分は紙
幅を節約するために特に必要がない限り省略することに
する。
【0091】この粘着層としては特に限定されるもので
はなく、具体的には、一般的な粘着剤で構成することが
可能であるが、皮膚への貼付を行うものについては粘着
剤の他に、湿布剤剤層、又は経皮吸収性薬物を含有又は
担持させた粘着剤層、即ち、皮膚貼着層で構成すること
ができる。
【0092】即ち、本発明に係る貼付剤においては、特
に、上記本発明の発熱体の片面に皮膚貼着層が形成され
ているものが望ましく、この皮膚貼着層は、上記のよう
に湿布剤及び/又は経皮吸収性薬物と、この湿布剤及び
/又は経皮吸収性薬物を含有又は担持する粘着層とから
なる。
【0093】上記粘着層は直接に袋の片面に付着させて
もよいが、この場合には、粘着層の袋への結合力を高め
るために、袋の片面を粗荒化したり、袋の片面の外面を
紙、織布、編布、不織布、発泡フィルム、発泡シートな
どの表面が粗荒なフィルム又はシートで構成したりする
ことが好ましい。
【0094】又、袋の片面の外面が非発泡の高分子材料
からなるフィルム又はシートで構成されている場合に、
生産時間の短縮化を図るために、袋の片面を粗荒化せず
に粘着層の袋への結合力を高めることも可能であり、例
えば、袋の片面の外側に粘着剤あるいはホットメルト系
接着剤を用いて紙、織布、編布、不織布、発泡フィル
ム、発泡シートなどの表面が粗荒なフィルム又はシート
からなる担持フィルム又は担持シートを固定し、この担
持フィルム又は担持シートを介して粘着層を付着させる
ことができる。
【0095】そして、高分子材料からなる平滑なフィル
ム又はシートの場合、コロナ処理により濡れ指数を38
ダイン以上、好ましくは40ダイン以上とするのが望ま
しい。
【0096】本発明の貼付剤において、袋の片面に粘着
層を付着させる場合、粘着層を剥離可能にして、使用済
みの発熱体から未使用の発熱体に貼り替えて繰り返し使
用したり、使用中の発熱体の粘着層を交換したり、貼り
直して繰り返し使用したりできるようにしてもよい。
【0097】粘着層を剥離可能にする方法としては、粘
着層の発熱体側の粘着面と袋の粘着剤付着面との一方又
は両方に粘着力を低下させる粘着力調整剤を分散させる
方法、粘着層の発熱体側の粘着面と袋の粘着剤付着面と
の一方又は両方を凹凸面に形成する方法などが挙げられ
るのであり、上記粘着力調整剤としては、粘着剤と相反
する性質を有する非粘着性で好ましくはブルーム性を有
する物質、例えばシリコーン、ポリエチレンワックス、
界面活性剤、パラフィンなどをその例として挙げること
ができる。
【0098】粘着剤のみからなるフィルム状ないしシー
ト状の粘着層は、ゴムのように弾性を有するので、施用
面へのなじみ性及び追従性を高める上で好ましく、又、
気密性を有するので温熱効果を高める上でも好ましい
が、アレルギー性皮膚炎の発生を防止するために、皮膚
刺激性が無いものを用いることが一層好ましい。
【0099】なお、この明細書において、粘着剤とは、
室温、無溶剤の状態において適度の粘着性(タック)を
示し、指で軽く押さえるだけで、しっかり外皮や衣類に
接着し、適度の粘着力や保持力、更に、適度の粘着性を
持つ反面、十分な凝集力と弾性を有していて、指先で取
り扱うことができて、平滑な被着体からは粘着剤の糊残
りを生じることなしに剥離することができるものをい
う。
【0100】片面に粘着層が形成された本発明の貼付剤
においては、特に限定はされないが、この粘着層を湿布
剤及び/又は経皮吸収性薬物と、この湿布剤層及び/又
は経皮吸収性薬物を含有又は担持する粘着剤層とからな
る皮膚貼着層で構成し、これを貼付剤として用いること
が可能である。
【0101】この皮膚貼着層の粘着剤としては、剥離時
に体表面に残留しない粘着剤を用いることが好ましく、
又、体表面へのなじみ性を高めるために柔軟性を有する
ものであることが好ましく、更に、体表面の動きに対す
る追従性を高めるために、伸長性又は伸縮性を有するも
のであることが好ましく、加えて、使用時に不快感を与
えないようにするため、不快臭のないものであることが
好ましい。
【0102】本発明において、皮膚貼着層の粘着剤に含
有又は担持される湿布剤とは、伝統的に湿布剤として使
用されているものであり、水分を含むか否かは問うもの
ではなく、その有効成分を微粉末ないし顆粒に形成した
固形のものも含まれる。
【0103】又、本発明において、皮膚貼着層の粘着剤
に含有又は担持される経皮吸収性薬物とは、一般に皮膚
から体内に吸収させて施用箇所の近傍で局所治療効果を
得たり、更に血液やリンパ液などの全身を循環する体液
にのせて患部に供給することにより施用箇所から離れた
所で局所治療効果を得たり、血液やリンパ液などの全身
を循環する体液にのせて全身に供給することにより全身
治療効果を得たりする治療システム(経皮吸収システ
ム)に使用される薬物のことである。
【0104】この経皮吸収性薬物としては、一般に経皮
吸収性薬物として用いられているものであれば特に限定
されず、例えば皮膚刺激剤、鎮痛消炎剤、中枢神経作用
剤(睡眠鎮静剤、抗てんかん剤、精神神経用剤など)、
利尿剤、血圧降下剤、冠血管拡張剤、鎮咳去痰剤、抗ヒ
スタミン剤、不整脈用剤、強心剤、副腎皮質ホルモン剤
又は局所麻酔剤などがその例として挙げられる。もちろ
ん、この経皮吸収性薬物は単独で用いても、処方により
2種類以上を配合して用いても、湿布剤と共に単独又は
2種類以上を配合して用いてもよい。
【0105】上記の湿布剤や経皮吸収性薬物の使用量
は、一般的に安全性が認められている所定量以下で疾患
の程度に応じて医学的に決定すればよいが、粘着剤層に
含有させる場合には、薬理効果や経済性の他に所要の粘
着力を得ることを配慮して決定しなければならず、これ
らの観点から粘着剤(固形分)100重量部に対して
0.01〜25重量部とすることが好ましく、特に0.
5〜15重量部とすることが更に好ましい。
【0106】湿布剤や経皮吸収性薬物の配合比が粘着剤
(固形分)100重量部に対して0.01重量部未満と
少ない場合には、湿布剤や経皮吸収性薬物の効果が著し
く薄くなるので好ましくなく、一方、湿布剤や経皮吸収
性薬物の配合比が粘着剤100重量部に対して25重量
部を超えると、意味が無いだけでなく、副作用が生じる
場合もあり、しかも経済性が損なわれる恐れがある上、
皮膚貼着層の粘着力が著しく低下するので好ましくな
い。
【0107】湿布剤や経皮吸収性薬物を粘着剤層に担持
させる場合には、湿布剤や経皮吸収性薬物の効果を高め
るために、粘着剤層の施用面側、即ち、体表面側に担持
させることが好ましい。この場合、湿布剤や経皮吸収性
薬物を粘着剤層の全面にわたって担持させると体表面に
粘着させることができなくなる場合が生じるので、粘着
剤層の一部分が露出するようにすることが好ましい。具
体的には、粘着剤層の中央部に集中して担持させたり、
全面にわたって適当な間隔を置いて分散させて担持させ
たり、中央部に適当な間隔を置いて分散させて担持させ
ることが好ましいのである。
【0108】上記皮膚貼着層には、例えば吸水性ポリマ
ー等の吸水剤を配合することができ、この場合には、傷
口から滲み出した血などの体液や汗などの分泌液を吸収
して患部の浸潤を防止できると共に、保水剤に吸収され
た水分を発熱体で加熱することにより徐々に排出して、
適度の水分と熱とを体表面に与え、温シップ効果を得る
ことができるのであり、しかも、体表面と粘着層との間
の水分を吸収して適量以下にすることにより粘着剤層の
粘着力が体表面から滲出した水分によって低下すること
を長期間にわたって防止できる。
【0109】ところで、上記皮膚貼着層に用いられる粘
着剤は、基本的には凝集力を与える高分子弾性体と粘着
付与剤の2成分を骨格とし、いろいろな耐性を付与する
目的で必要に応じて粘着調整剤、接着改良剤、安定剤、
着色剤、防カビ剤、消泡剤、増粘剤、老化防止剤などが
添加される。又、上記高分子弾性体はジエン系弾性体、
エチレニック系弾性体あるいは縮合系弾性体に分類され
る。
【0110】ジエン系弾性体を用いる粘着剤はゴム系粘
着剤と呼ばれ、ゴム分と粘着付与剤(タッキファイヤ)
を1:0.5〜2の割合に混合したものが用いられる。
上記ゴム分としては天然ゴム(NR)、合成天然ゴム
(ポリイソプレン)、スチレン−ブタジエンゴム(SB
R)、ブチルゴム(BR)、スチレン−イソプレン−ス
チレン(SIS)やスチレン−ブタジエン−スチレン
(SBS)などのブロック共重合体、再生ゴム、熱可塑
性ゴムなどが主に使用される。
【0111】エチレニック系弾性体の筆頭はアクリル系
ポリマーであり、アクリル系粘着剤とも呼ばれる。アク
リル系粘着剤のベースとなるアクリルポリマーは、一般
にそれ自身で粘着を発現し、粘着付与剤を必要とせず、
ポリマーを構成するモノマーは大きく分けて粘着成分と
して働くもの、凝集成分として働くもの、改質成分とし
て働くものの3成分から成り立つ。
【0112】粘着成分はアルキル基の炭素数が4〜10
のアルキル酸アルキルエステルが適し、Tgが−20〜
−70℃程度の低いものであり、エチルアクリレート、
ブチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチ
ルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートなど
のC2以上のアルキルエステルが代表的である。
【0113】この粘着成分は主成分として用いられ、粘
着性に富んでいるが、凝集性に欠けるために凝集成分が
必要になる。凝集成分としては、例えば メチルアクリ
レート、エチルアクリレート又はメチルメタクリレート
などC1〜C2の低級アルキル基のアクリル酸エステル、
2〜C8のアルキルメタクリレートなどのメタクリル
酸アルキルエステル、 酢酸ビニル又はプロピオン酸ビ
ニルなどC1〜C3のビニルエステル、アクリルニトリ
ル、スチレン、塩化ビニリデンなどのビニルモノマーな
ど、共重合可能でTgが高くなるようなモノマーが用い
られる。この凝集成分は、凝集性を高めるだけでなく、
ときには接着性の向上、耐水性の向上、透明性の向上な
どの性能の向上に役立ち、粘着剤の特殊性を出すのに用
いられている。
【0114】改質成分は、一般に、これら粘着成分及び
凝集成分と共重合可能な官能基が挙げられるのであり、
アクリル酸、メタクリル酸又は無水マレイン酸などの不
飽和カルボン酸、 アクリルアミド又はアクリルアミド
誘導体などの不飽和カルボン酸アミド及びその変性体、
水酸基含有モノマー、アクリルニトリル、ヒドロキシエ
チルアクリレート、グリシジルアクリレートをその例と
して挙げることができる。この改質成分は、架橋を施す
のに役立つことはもちろんであるが、凝集性を高めた
り、接着性を向上させるのにも有用であり、又、重合中
の反応速度を促進させるのにも役立っている。
【0115】なお、アクリル系粘着剤は基本的には上記
の3成分を含むが、場合によっては1成分あるいは2成
分で構成されることもある。又、アクリル系粘着剤は単
一成分から成るため透明性が高く、耐久性がすぐれてお
り、主にエマルジョン型及び溶液型の粘着剤として使用
されている。
【0116】エチレニック系弾性体には、上記のアクリ
ル系ポリマーの他にビニルエーテル系弾性体が用いられ
ることがある。このビニルエーテル系弾性体を使用する
粘着剤はビニル系粘着剤と呼ばれ、C2〜C4のアルキル
ビニルエーテル重合物で構成される。ビニル系粘着剤で
は、高分子量物と低分子量物とを混合して粘着力と保持
力、タックのバランスを保つようにしているが、タック
や粘着力の増強に他の樹脂を併用する場合もある。もっ
とも、ビニルエーテル系弾性体の中でも、メチルビニル
エーテル/無水マレイン酸共重合体は水溶性であるた
め、本発明には適していない。
【0117】ゴム系粘着剤には、所望により、充填剤が
配合されるが、この充填剤としては、無機質充填剤と、
有機質充填剤とに大別されるのであり、無機質充填剤と
しては、アルミニウム、銅、鉄、鉛などの金属粉、珪酸
質、珪酸塩、珪石、珪藻土、アルミナなどの礬土質、炭
酸カルシウム、石膏などの石灰質、マイカ、クレーなど
の礬土珪酸質、タルク、アスベストなどの苦土珪酸質、
グラファイト、カーボンブラック、ホワイトカーボンな
どの炭素あるいは炭化物、その他セメント、酸化アンチ
モン、亜鉛華、炭酸マグネシウムなどがその例として挙
げられる。又、有機質充填剤としては、リンター、リネ
ン、サイザル木粉などの植物性天然物、絹なとの動物性
天然物、ビスコース、アセテート、ポリアミド、ビニロ
ン、塩化ビニルなどの人造又は合成物がその例として挙
げられる。
【0118】本発明の貼付剤においては、磁性体及び遠
赤外線放射物質のうちの少なくとも1種を袋、発熱反応
層、反応助剤層及び皮膚貼着層のうちの少なくとも1層
に含有させ、又は、袋と皮膚貼着層との一方又は両方に
担持させることができる。
【0119】ここで、磁性体とは磁石粉など自らの周囲
に磁場を形成し、体表面に施用することにより、いわゆ
る、磁気治療効果が得られる物質を言い、遠赤外線放射
物質とは室温あるいは加熱されて波長4〜16μmの遠
赤外線を放射し、体表面に施用することにより一種の温
熱効果が得られる物質のことを言う。
【0120】又、これら遠赤外線放射物質又は磁気物質
のうちの少なくとも1種以上を袋、発熱反応層、反応助
剤層及び皮膚貼着層のうちの少なくとも1層に含有さ
せ、又は、袋と皮膚貼着層との一方又は両方に担持させ
る場合には、これらの治療効果と湿布剤及び又は経皮吸
収性薬物の治療効果とが相乗的に作用してそれぞれを単
味で用いた場合よりも高い治療効果を得ることができ
る。
【0121】
【作 用】本発明においては、少なくとも片面が通気性
を有するフィルム又はシートからなる偏平な袋内に封入
される発熱組成物が発熱反応層を構成する組成物と、反
応助剤層を構成する組成物とに分けて取り扱われる。こ
の反応助剤層を構成する組成物は、発熱物質以外の必須
成分からなるので、配合の前後を問わず発熱する恐れは
ない。又、発熱反応層を構成する組成物は、発熱組成物
の発熱物質とその他の必須成分のうちの少なくとも1種
とを含んでいるが、空気中の酸素との接触による発熱温
度が無視できる程度に配合されているので、大気中で取
り扱っても発熱はするが、これによる発熱ロスや品質劣
化が無視できる程度に止められる作用を有する。
【0122】又、発熱が無視できる程度であることか
ら、発熱に伴う凝固も無視できる程度に止まり、この凝
固に伴う種々の弊害の発生を防止できる作用を有する。
【0123】本発明の発熱反応層及び反応助剤層の積層
は、転写、スクリーン印刷や凸版印刷等の印刷などによ
って行うことができるのであり、転写の場合には転写ロ
ーラへの付着量を制御することにより、スクリーン印刷
の場合にはスクリーンの厚さを、また凸版を用いる印刷
の場合は版への発熱反応層及び反応助剤層の付着量を制
御することにより、凹版を用いる印刷の場合は版の深さ
を制御することにより、孔版を用いる印刷については孔
の深さを制御することにより、スプレー印刷の場合には
吐出量を制御することにより、発熱反応層及び反応助剤
層の層厚を簡単に、高精度に、しかも、非常に薄く制御
することができる。
【0124】その結果、発熱体組成物の均質性を全面に
わたって高めることができるのであり、発熱温度分布を
均一にできると共に、発熱温度、発熱時間などの管理が
容易になるので、製品の品質及び安全性に対する信頼性
を著しく高める作用が得られるのであり、しかも、発熱
組成物内の蓄熱による過熱をきわめて少なくして低温火
傷を防止することができる結果、製品の安全性に対する
信頼を著しく高める作用が得られる。
【0125】又、発熱反応層及び反応助剤層の層厚を簡
単に、高精度に、しかも、非常に薄く制御することがで
きる結果、発熱体全体を超薄形にすることができるので
あり、柔軟で体表面へのなじみ性が高く、伸長性又は伸
縮性に富んで体表面の変動に対する追従性が高く、しか
も、風合が良く、皮膚ストレスが著しく軽微な発熱体が
得られる作用が得られる。
【0126】更に、発熱反応層及び反応助剤層の層厚を
非常に薄く制御することができる結果、袋内での発熱体
組成物の移動が袋内面との摩擦、引っ掛かり、発熱反応
層及び/又は反応助剤層の粘性、発熱反応層及び/又は
反応助剤層と袋との粘着などによって十分に防止される
ので、輸送中や使用中に発熱組成物が外力や内圧分布の
不均一によって袋内で偏ることを防止できるのであり、
この作用から発熱組成物の袋内での偏りによる温度分布
の不均一や、風合の悪化が防止される作用が得られる。
【0127】本発明の発熱体において、特にその片面に
粘着層が形成される場合には、体表面や着衣に簡単に貼
り付けることができるのであり、採暖具あるいは貼付剤
としての施用の簡便性を高める作用が得られる。
【0128】本発明の貼付剤は、上記本発明の発熱体の
片面に皮膚貼着層を形成しているので、上述した種々の
作用を備えている。
【0129】本発明の貼付剤において、皮膚貼着層がそ
の全面又は一部分にわたって湿布剤及び/又は経皮吸収
性薬物を含有させ、又は一部分にわたって湿布剤及び/
又は経皮吸収性薬物を担持させた場合には、発熱により
得られる温熱効果によって生体の代謝機能が高められる
と共に、発熱により湿布剤及び/又は経皮吸収性薬物の
放出が促されるので、湿布剤及び/又は経皮吸収性薬物
の治療効果を高める作用が得られ、しかも、発熱体の発
熱温度、発熱時間などを管理することにより、最適の治
療を施せるようになる作用が得られる。
【0130】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体
的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0131】(実施例1)この実施例に係る発熱体は、
130mm×95mmの長方形の偏平な袋1内に発熱組
成物2を封入したものであり、この発熱体組成物2が、
鉄粉、水、及び活性炭の一部を含む発熱反応層3と、吸
水性ポリマーからなる保水剤、活性炭の残部、水及び塩
化ナトリウムを含む単層の反応助剤層4との2種類の層
に分けて順に積層して袋1内に封入されている。
【0132】上記袋1は通気性を有するフィルム(通気
性フィルム)5と気密性を有するフィルム(気密性フィ
ルム)6とで構成し、袋1内の発熱体組成物2が通気性
フィルム5を介して外気と接触することにより発熱反応
を起こすように構成してある。
【0133】上記袋1は、引っ張り強さなどの所要の機
械的強度を備え、少なくとも片面が通気性を有する偏平
なフィルム或いはシートからなる袋であればよいが、体
表面や着衣の凹凸になじみ易くするために、柔軟性に富
んだ通気性フィルム5と基材フィルム6とで構成してあ
る。
【0134】又、上記袋1は、袋1の内部に封入された
発熱組成物2を大気中の酸素に接触させるたために、少
なくとも片面が通気性を有するフィルム或いはシートで
構成されることが必要であり、1枚の通気性フィルム或
いはシートを二つ折りあるは三つ折りに折り畳んで作っ
た袋であっても、2枚の通気性フィルム或いはシートを
貼り合わせて作った袋であってもよいが、この実施例で
は、温熱効果を高めるために、1枚の通気性フィルム5
と1枚の気密性フィルム6とを重ね合わせ、その四方の
周縁部をヒートシールして貼り合わせた袋1を用いてい
る。
【0135】ただし、この2枚のフィルム5・6は、後
述するように、気密性フィルム6の上に発熱組成物2を
積層した後に貼り合わせられる。
【0136】上記通気性フィルム5としては、厚さ40
μmのポリエチレンからなる通気性基材フィルム5bの
片面に坪量40g/m2のポリアミド製不織布からなる
多孔質補強用フィルム5aをパターン熱接着したものを
用いている。
【0137】なお、JIS Z 0208のカップ法に
従って、40℃、相対湿度90%の条件で測定した。そ
の結果、この通気性フィルム5の透湿度は350g/m
2・24hrである。
【0138】上記基材フィルム6としては、厚さ40μ
mのポリエチレンからなる気密性基材フィルム6bの両
面に、坪量40g/m2で、且つレーヨン繊維含有量6
0重量%のレーヨン・ポリエステル混合不織布6a・6
cをラミネートしたものを用いている。
【0139】この発熱体を製造する手順としては、(1)
上記の気密性フィルム6をレーヨン・ポリエステル混合
不織布6a上側に配置し、(2) このレーヨン・ポリエス
テル混合不織布6a上に非イオン性水溶性セルロースエ
ーテルからなる保水剤(信越化学製メトローズ60SH
4000)1重量%、カーボンブラック(三菱化学製M
A−100)3.5重量%、水13重量%、及び塩化ナ
トリウム2重量%からなるインキ状ないしペースト状の
反応助剤をスクリーン印刷で1回印刷することにより、
厚さ430μmの反応助剤層4(発熱組成物全体の1
9.5重量%)を形成した後、(3) この反応助剤層4の
上に鉄粉(同和製粉製DKP)65重量%、水10重量
%、カーボンブラック(三菱化学製 MA−100)
3.5重量%、高吸水性ポリマーからなる保水剤(日本
触媒製CS−6HS)2重量%からなるフレーク状の発
熱反応剤を転写して厚さ1330μmの発熱反応層3
(発熱組成物全体の80.5重量%)を形成し、(4) こ
の上に基材フィルム5bを下にして通気性フィルム5を
重ねた後、(5) 反応助剤層4及び発熱反応層3の周囲で
気密性フィルム6と通気性フィルム5との周縁部どうし
を全周にわたってヒートシールする、という手順が採用
された。
【0140】即ち、発熱組成物2としては、鉄粉65重
量%、水23重量%、活性炭7重量%、塩化ナトリウム
2重量%、高吸水性ポリマー2重量%、非イオン性水溶
性セルロースエーテル1重量%の組成のものが袋に封入
されることになる。
【0141】上記のように、発熱組成物2は袋1に封入
されるまで、発熱反応層3を構成する組成物と、反応助
剤層4を構成する組成物とに分けて取り扱われる。
【0142】この反応助剤層4を構成する組成物は、発
熱物質以外の必須成分、即ち、水、活性炭、塩化物及び
非イオン性水溶性セルロースエーテルからなるので、配
合の前後を問わず発熱する恐れはない。
【0143】又、発熱反応層3を構成する組成物は、発
熱組成物2の鉄粉、水及び活性炭を含んでいるが、この
組成物は空気中の酸素と接触しても発熱反応が殆ど無視
できる程度であるから、大気中で取り扱っても発熱ロス
や品質劣化が無視できる程度に止められる。
【0144】更に、製造工程における発熱が無視できる
程度であることから、発熱に伴う凝固も無視できる程度
に止まり、この凝固に伴う種々の弊害の発生を防止でき
るのである。
【0145】つまり、製造装置内での発熱組成物の凝固
による操業の中断をなくすことができるのであり、又、
製造装置内で凝固した発熱組成物を除去するための過酷
な清掃作業が不要になると共に、歩留りが良くなり、し
かも、製造装置内で凝固した発熱組成物を産業廃棄物と
して処理する必要もなくなる。
【0146】又、製造装置内に発熱反応層を構成する組
成物及び反応助剤層を構成する組成物を製造装置内に残
留させたまま任意の時点で操業を中断したり、再開した
りできるので、操業時間を設定するうえでの融通性が高
められ、勤務時間に合わせた操業ができるようになる。
【0147】次に、この発熱体によれば、発熱組成物2
において、発熱反応層3は転写方式で、また反応助剤層
4はスクリーン印刷によって、それぞれ積層されるの
で、各成分の分布領域及び分布密度が高精度に制御され
る。従って、発熱組成物2の均質性が高められ、発熱時
の温度分布が均一になる。
【0148】又、発熱組成物2を形成するにあたり、発
熱反応層3は転写方式で、また反応助剤層4はスクリー
ン印刷によって、それぞれ積層されるので、発熱体全体
を例えば0.02〜1.5mm程度の超薄形にすること
ができる。その結果、発熱体の柔軟性が高められて体表
面の複雑な凹凸や小さな曲面などに対するなじみ性が高
められると共に、伸長性ないし伸縮性が高められて体表
面の変形や移動に対する追従性が高められ、更に、これ
らなじみ性及び追従性が高められることが相まって頗る
優れた風合が得られるようになる。
【0149】更に、この発熱体によれば、発熱組成物2
において、発熱反応層3は転写方式で、また反応助剤層
4はスクリーン印刷によって、それぞれ非常に薄く積層
されるので、袋1内で発熱組成物2が移動し難くなり、
輸送中や使用時に外力や袋内の圧力分布の不均一による
袋1内での発熱組成物2の移動を防止できる。その結
果、袋1内での発熱組成物2が偏って温度分布が不均一
になったり、風合がごわごわして損なわれたりすること
を防止できる。
【0150】(実施例2)図2の断面模式図に示す本発
明の他の実施例に係る発熱体は、袋11の通気性フィル
ム15が内外2層の不織布15a・15cの間に高分子
材料からなる通気性を有するフィルム15bをサンドイ
ッチした3層の積層フィルムで構成され、気密性フィル
ム16は単層の高分子材料からなるフィルムで構成され
る。
【0151】又、発熱反応層13と反応助剤層14は実
施例1の場合と同様に形成されている。
【0152】この実施例のその他の構成、作用ないし効
果は上記の一実施例のそれらと同様であるので、重複を
避けるためこれらの説明は省略する。
【0153】(実施例3)図3の断面模式図に示す本発
明の一実施例に係る貼付剤(発熱体)は、上述した実施
例1の発熱体の気密性フィルム6の外側面に厚さ30μ
mの皮膚貼着層7を形成することにより、人肌に直接に
粘着できるようにしたものである。
【0154】この皮膚貼着層7は、市販されているアク
リル系粘着剤を用い、公知の方法で形成されたものであ
る。
【0155】この実施例のその他の構成、作用ないし効
果は上記の実施例1のそれらと同様であるので、重複を
避けるためこれらの説明は省略する。
【0156】(実施例4)実施例3の発熱体(貼付剤)
において、皮膚貼着層7上に塩酸リドカインゼリーを塗
着して、塩酸リドカイン含有貼着層を形成し、外皮に貼
着した時にこの皮膚貼着層7から塩酸リドカインを放出
して経皮吸収させるようにしたものである。この場合、
塩酸リドカイン含有貼着層全体の中の塩酸リドカイン含
有量が1.5重量%となるように調整している。
【0157】(実施例5)図4の断面模式図に示す本発
明の又他の実施例に係る貼付剤は、発熱体の周囲部に実
施例3で用いたものと同様の粘着剤で皮膚貼着層7を形
成すると共に、その内部に塩酸リドカインゼリー(塩酸
リドカイン含有量2重量%)層8を形成した。
【0158】この実施例のその他の構成、作用ないし効
果は上記の実施例4のそれらと同様であるので、重複を
避けるためこれらの説明は省略する。
【0159】(比較例1)市販の使い捨てかいろ型の発
熱体(130mm×95mmの長方形、厚さ約3mm)
の片面に実施例3と同様に厚さ30μmの皮膚貼着層を
形成して比較例1に係る貼付剤を得た。
【0160】(比較例2)比較例1の貼付剤の皮膚貼着
層に実施例4と同様にして塩酸リドカインゼリーを塗着
して、塩酸リドカイン含有貼着層全体の中の塩酸リドカ
イン含有量が1.5重量%となる塩酸リドカイン含有貼
着層を形成したものである。
【0161】(比較試験)上記実施例4・5、比較例1
及び比較例2の各貼付剤を用い、下肢痛を訴えるパネラ
ー(男性10人、女性5人、年令55〜65才)に適用
し、粘着性、皮膚へのなじみ性及び追従性、使用感、下
肢痛の症状変化についての試験を行った。
【0162】この場合、下肢痛の箇所1箇所について1
枚貼着し、毎日1度張り替えるという条件のもとで1週
間経過した後に、パネラーの報告を求めた。
【0163】その結果、粘着性については各実施例及び
各比較例共に良好であった。又、実施例4・5のものは
全員が、貼付剤が超薄型で、且つ均一な厚みを有し、柔
軟で、皮膚ストレスや突っ張り感が殆ど無く、皮膚への
なじみ性、皮膚への追従性及び使用感が良好であり、し
かも生体表面の複雑な凹凸や小さい曲面になじみも頗る
良好であると報告した。
【0164】これに対して、比較例1については15名
中1名が使用中に貼付剤の角部が剥離したことを報告し
ており、15名中4名が皮膚ストレスや突っ張り感を感
じ、使用感が悪いと報告した。又、比較例2については
15名中2名が使用中に角部が剥離したことを報告して
おり、15名中2名が皮膚ストレスや突っ張り感を感
じ、使用感が悪いと報告した。
【0165】下肢痛の症状変化については、比較例2に
比べて実施例4に顕著な薬理効果が認められた。この原
因は、恐らく、実施例4のものは超薄型であり、肌の複
雑な曲面や小さい曲面になじんだこと、皮膚ストレスや
突っ張り感がほとんど感じない程肌の動きによく追従し
たことにより、皮膚への密着性が良好になると共に、温
熱効果が高められ、その結果、塩酸リドカインの経皮吸
収性が高められたからであると解される。
【0166】ところで、実施例3を人の背部に貼着し、
この背部の固定した5本の熱電対を用いて理化工業株式
会社のSBR187−35CAによってこの背部の温度
変化を記録したところ、図5に示すように、室温21〜
23℃で38.2〜40.3℃の発熱が得られることが
認められた。
【0167】そこで、健康な成人男性15名(年令25
〜35才)をパネラーとして、各パネラーの背中に実施
例3の貼付剤と比較例1の貼付剤を貼着し、毎日1回貼
り替えるという条件で1週間続け、1週間後の貼り替え
の際に低温火傷の有無を肉眼で観察した。
【0168】この場合、実施例3の貼付剤と比較例1の
貼付剤の貼付条件を同一とし、しかも一般使用者の使用
頻度が高い時間帯とするために、実施例3の貼付剤及び
比較例1の貼付剤共に、貼付開始時を毎朝午前8時00
分とし、また貼付時間を3時間と一定にして調査を行っ
た。
【0169】このように貼付時間を一定にしたのは、発
熱体によって発熱時間に差異があり、この差異による不
公平が発生するのを防止するためである。
【0170】実施例3ではこの間全く低温火傷が観察さ
れなかったのに対して、比較例1のものでは15名中2
名に低温火傷が観られた。
【0171】なお、実施例3のものは使用後になっても
発熱組成物が袋内で偏っていないことが確認されたのに
対して、比較例1のものは使用中、特に発熱終了近くあ
るいは貼り替え近くになって発熱組成物が袋内で偏って
いることが観察された。この発熱組成物の偏った位置と
低温火傷の発生した位置との関係は、張り替え位置のず
れなどがあるために厳格には求めることができなかった
が、発熱組成物の偏った位置ないしその近傍から低温火
傷が発症しはじめる傾向が観察された。
【0172】実施例3では低温火傷が発生しなかった理
由は明確ではないが、おそらく、発熱体全体の厚みが薄
く、発熱体の蓄熱による過熱が極めて小さくなり、低温
火傷が生じるおそれがある温度(43℃)まで発熱温度
が上昇しないことが最大の理由であり、この他に、発熱
体の袋内での移動が生じ難く、袋内で発熱組成物の偏在
による過熱部分が生じる恐れが殆どないこと、発熱反応
層と皮膚との間に配置される反応助剤層が熱伝達の上で
緩衝機能を発揮したこと、あるいは、これらが相乗的に
作用したことなどがその理由であると解される。
【0173】このように、この実施例3の貼付剤は、安
全性が高い上、温熱効果を得るに必要な発熱温度を安定
して、長時間にわたって得ることができるのであり、し
かも、超薄形であるので、外皮へのなじみ性及び追従性
並びに使用感が高いだけでなく、その上に衣類を重ねる
時に邪魔になったり、外から観て目立ったりすることが
ない。
【0174】なお、以上の実施例の説明では、反応助剤
層4が体表面側に積層されるようにしているが、積層の
順序はこれに限られることはなく、先に説明したように
種々の積層形態で発熱組成物を積層することができる。
【0175】又、袋を構成するフィルム又はシートが予
め所定の長方形に裁断されているが、商業的な生産を行
う場合には、所定の幅のロールフィルムあるいはロール
シートを繰り出して、発熱組成物を積層し、更に別のロ
ールフィルムあるいはロールシートを繰り出して重ねた
後、所定の位置をシールすると共に、所定の位置で裁断
するようにすることが生産性を高める上で好ましい。も
ちろん、発熱組成物を封入し、シールされ、所定の寸法
に仕上げられた発熱体又は貼付剤は気密性の外袋に個別
に包装され、更に必要に応じて外袋に包装された発熱体
又は貼付剤はをダンボール箱等に集積包装した後、保管
したり、輸送したりされるのである。
【0176】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の発熱体
は、発熱物質とその他の必須成分のうちの少なくとも1
種とが空気中との酸素との接触による発熱温度が無視で
きる程度に配合された発熱反応層と、発熱反応層の必須
成分とあいまって所要の発熱温度を得られる程度の発熱
物質以外の必須成分のうちの少なくとも1種からなる反
応助剤層とに分けて積層して少なくとも片面が気密性を
有する偏平な袋に封入するので、この袋に封入するまで
の製造工程における発熱を無視できる程度に抑制するこ
とができる結果、製造工程における発熱ロス及び品質低
下を防止できる効果が得られる。
【0177】又、製造工程における発熱を無視できる程
度に抑制することができるので、発熱に伴う発熱組成剤
の凝固を防止することができるから、製造工程における
発熱組成剤の凝固により生じる種々の弊害を無くすこと
ができるという効果も得られる。
【0178】更に、発熱反応層及び反応助剤層を転写や
印刷によって、非常に層厚を薄くし、各層の形成領域及
び層厚を高精度に制御し、しかも、層厚を均一にして積
層できるので、発熱体全体を超薄形にすることができ
る。その結果、柔軟性を高めて体表面へのなじみ性を高
めることができると共に、体表面の変形や移動に対する
追従性を高めることができるのであり、更に、これらが
あいまって風合を高めることができるなどの効果が得ら
れる。
【0179】又更に、発熱反応層及び反応助剤層を転写
や印刷によって、非常に層厚を薄くし、各層の形成領域
及び層厚を高精度に制御し、しかも、層厚を均一にして
積層できるので、発熱組成物の配合比制御が容易にな
り、発熱温度及び発熱時間を正確に制御できるようにな
る。その結果、所要の発熱温度を正確に得られると共
に、低温火傷の発生を確実に防止できるから、安全性が
著しく高められるのであり、しかも、発熱体組成物を高
度に均質にして発熱温度の温度分布を均一にできるので
あり、又、蓄熱を少なくして過熱が生じることを防止で
きるなどの効果が得られる。
【0180】加えて、発熱反応層及び反応助剤層を転写
や印刷によって、非常に層厚を薄くして積層できるの
で、発熱反応層及び反応助剤層が袋内で移動し難くな
り、発熱反応層及び反応助剤層の袋内での移動による温
度分布の偏りや、過熱点の発生を防止できると共に、発
熱反応層及び反応助剤層の袋内での移動による体表面へ
のなじみ性の低下、体表面への追従性の低下、風合の悪
化などを防止できる効果が得られる。
【0181】更に加えて、これら製品の品質を高める諸
効果や、安全性を高める諸効果が得られることから、製
品の品質と安全性に対する信頼性が高まる効果をえるこ
とができる上、発熱反応層及び反応助剤層を転写や印刷
によって形成できるので、高速多量生産が容易になり、
大幅なコストダウンができる効果も得られる。
【0182】本発明に係る貼付剤は、本発明の発熱体の
片面に貼着層を形成しているので、上記の諸効果が得ら
れる上、発熱体を簡単に体表面に直接貼付できる効果を
有する。
【0183】又、本発明に係る貼付剤は、体表面へのな
じみ性及び体表面への追従性が優れているので、体表面
への密着性が高くなる。その結果、温熱効果が高められ
て、皮膚貼着層からの湿布剤及び/又は経皮吸収性薬剤
の放出が促進されると共に、温熱効果の向上に伴う代謝
機能の活性化により湿布剤及び/又は経皮吸収性薬剤の
経皮吸収が促進され、非常に効率よく湿布剤及び/又は
経皮吸収性薬剤を投与できる効果が得られるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例に係る発熱体の断面
模式図である。
【図2】図2は、本発明の他の実施例に係る発熱体の断
面模式図である。
【図3】図3は、本発明の一実施例に係る貼付剤の断面
模式図である。
【図4】図4は、本発明の他の実施例に係る貼付剤の断
面模式図である。
【図5】図5は、本発明の一実施例に係る貼付剤の発熱
温度特性図である。
【符号の説明】
1 袋 2 発熱体組成物 3 発熱反応層 4 反応助剤層 5 通気性フィルム 5a 多孔質補強用フィルム 5b 通気性基材フィルム 6 気密性フィルム 6a レーヨン・ポリエステル混合不織布 6b 気密性基材フィルム 6c レーヨン・ポリエステル混合不織布 7 粘着層 8 塩酸リドカゼインゼリー層

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも片面が通気性を有するフィル
    ム又はシートからなる偏平な袋内に、発熱物質、水、保
    水剤、炭素及び金属の塩化物を必須成分とする発熱組成
    物を、発熱物質とその他の必須成分のうちの少なくとも
    1種とが空気中の酸素との接触による発熱反応が無視で
    きる程度に配合された発熱反応層と、発熱反応層の必須
    成分とあいまって所要の発熱温度が得られる発熱物質以
    外の必須成分のうちの少なくとも1種からなる反応助剤
    層とに分けて積層して封入したことを特徴とする発熱
    体。
  2. 【請求項2】 発熱反応層に水又は金属の塩化物が選択
    的に配合されている請求項1に記載の発熱体。
  3. 【請求項3】 発熱反応層に配合される発熱物質以外の
    必須成分が水及び/又は炭素である請求項1又は2に記
    載の発熱体。
  4. 【請求項4】 発熱反応層が乾燥粉体層である請求項1
    に記載の発熱体。
  5. 【請求項5】 発熱反応層が水の配合によりインク状な
    いしペースト状の流動性或いはチクソトロピー性を有す
    る粘稠体に形成されている請求項1ないし3のいずれか
    1項に記載の発熱体。
  6. 【請求項6】 発熱反応層に保水剤が配合されている請
    求項1ないし5のいずれか1項に記載の発熱体。
  7. 【請求項7】 発熱反応層が成分の異なる複数層の組成
    物層からなる請求項1ないし6のいずれか1項に記載の
    発熱体。
  8. 【請求項8】 複数層のうちの少なくとも1層が水分を
    配合して、インク状ないしペースト状の流動性或いはチ
    クソトロピー性を有する粘稠体に形成され、他の少なく
    とも1層が乾燥粉体層である請求項1ないし7のいずれ
    か1項に記載の発熱体。
  9. 【請求項9】 粘稠体の組成物層に保水剤が配合されて
    いる請求項8に記載の発熱体。
  10. 【請求項10】 反応助剤層が乾燥粉体層である請求項
    1ないし9のいずれか1項に記載の発熱体。
  11. 【請求項11】 反応助剤層が水の配合によりインク状
    ないしペースト状の流動性或いはチクソトロピー性を有
    する粘稠体に形成された請求項1ないし9のいずれか1
    項に記載の発熱体。
  12. 【請求項12】 反応助剤層が成分を異ならせた複数層
    の組成物層からなる請求項1ないし11のいずれか1項
    に記載の発熱体。
  13. 【請求項13】 複数層のうちの少なくとも1層の組成
    物層が水分の配合によりインク状ないしペースト状の流
    動性或いはチクソトロピー性を有する粘稠体に形成さ
    れ、他の少なくとも1層が乾燥粉体層である請求項12
    に記載の発熱体。
  14. 【請求項14】 発熱反応層と反応助剤層とが交互に積
    層されている請求項1ないし13のいずれか1項に記載
    の発熱体。
  15. 【請求項15】 発熱反応層と反応助剤層との一方が乾
    燥粉体層であり、他方がインク状ないしペースト状の流
    動性或いはチクソトロピー性を有する粘稠体に形成され
    た請求項14に記載の発熱体。
  16. 【請求項16】 発熱反応層及び反応助剤層がそれぞれ
    成分を異ならせた複数層の組成物層からなり、これら発
    熱反応層の組成物層と反応助剤層の組成物層とを任意の
    順に積層した請求項1ないし15のいずれか1項に記載
    の発熱体。
  17. 【請求項17】 請求項1ないし16のいずれか1項に
    記載の発熱体の片面に粘着層が形成されている貼付剤。
  18. 【請求項18】 粘着層が湿布剤層、又は経皮吸収性薬
    物を含有或いは担持する粘着剤層からなる皮膚貼着層が
    形成されている請求項17に記載の貼付剤。
  19. 【請求項19】 皮膚貼着層がその全面又は一部分にわ
    たって湿布剤及び/又は経皮吸収性薬物を含有させ、又
    は一部分にわたって湿布剤及び/又は経皮吸収性薬物を
    担持させた粘着層からなる請求項18に記載の貼付剤。
  20. 【請求項20】 貼着層に吸水性ポリマーを含有させて
    いる請求項17ないし19のいずれか1項に記載の貼付
    剤。
  21. 【請求項21】 磁性体及び/又は遠赤外線放射体のう
    ちの少なくとも1種を袋、発熱反応層、反応助剤層又は
    貼着層のうちの少なくとも1層に含有させ、又は、袋と
    貼着層との一方又は両方に担持させている請求項17な
    いし20のいずれか1項に記載の貼付剤。
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