JPH08335086A - 包囲型エンジンの騒音低減装置 - Google Patents

包囲型エンジンの騒音低減装置

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JPH08335086A
JPH08335086A JP7142811A JP14281195A JPH08335086A JP H08335086 A JPH08335086 A JP H08335086A JP 7142811 A JP7142811 A JP 7142811A JP 14281195 A JP14281195 A JP 14281195A JP H08335086 A JPH08335086 A JP H08335086A
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JP
Japan
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noise
engine
system identification
canceling
residual
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Application number
JP7142811A
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English (en)
Inventor
Kozo Nishikawa
幸三 西川
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Kubota Corp
Original Assignee
Kubota Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な構成で包囲型エンジンの騒音を低減す
る。 【構成】 防音ケースによって囲まれたエンジン発電機
にアクティブノイズコントロール(ANC)による騒音
低減を行う場合において、基本波を周波数スイープする
ことにより全ての周波数成分を含む白色ノイズと等価な
周波数スイープ音を生成してシステム同定を行う。これ
により、従来のM系列ランダムノイズを発生させる方法
に比べて、プログラム容量を少なくすることができ、装
置構成を簡単化することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は騒音低減装置に関し、よ
り詳しくは、防音壁などによって囲まれたエンジンの騒
音を低減する、包囲型エンジンの騒音低減装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、エンジン、排気ダクトの騒音
を低減する技術として吸音材、制振動材を設けるという
受動的な方法が提案されている。これに対し、近年、騒
音に対して同振幅、逆位相の相殺音を放射して、音波の
干渉効果により騒音を低減する能動的騒音制御(アクテ
ィブノイズコントロール、以下、ANCと称する)が実
用化され、各方面で盛んに研究されている。ANCによ
れば、吸音材では低減しにくい約100Hz付近〜50
0Hz付近の低周波の騒音においても低減効果を有する
ので、エンジン排気音、車室のこもり音などを低減する
ことに使用されている(特公表平2−503219号、
特開平3−204354号公報等)。
【0003】例えば、図14に示すダクト70の上流側
に参照騒音マイク71を、下流のダクト口70a近くに
残留騒音マイク72を配設し、参照騒音マイク71より
下流側でダクト口70aよりも上流の所定位置にラウド
スピーカ73を配設したANC装置がある。この装置に
おいて、ANC制御を実現するためには、消音しようと
するダクト70の電気音響系Hの伝達特性を予め調べる
ために、ANC処理を行う時とほぼ同じアルゴリズムで
参照騒音マイク71とアンチノイズスピーカ73間の電
気音響特性B、残留騒音マイク72とアンチノイズスピ
ーカ73間の電気音響特性Cを正確に求めることが必要
になる。このような処理はシステム同定と呼ばれてい
る。
【0004】なお、図14において符号74はANC処
理装置であり、符号75は制御音となる逆位相波形の生
成を行う適応デジタルフィルタで、常に最大の消音量が
得られるように干渉結果に基づく残留騒音信号に従っ
て、フィルタ係数を更新するものである。LMSアルゴ
リズム部76は例えば、B.Widrowらが提案した
「Filtered−XLMSアルゴリズム」にしたがって適応
デジタルフィルタ75を制御する。フィルタ77は上記
電気音響特性Bを補償(図14において<B>は特性B
を補償することを示す)して参照騒音マイク71とラウ
ドスピーカ73間のハウリングを防止するものであり、
フィルタ78は上記電気音響特性Cを補償して残留騒音
マイク72位置での消音を可能にするものである。
【0005】上記電気音響特性B,Cの同定は具体的に
は、M系列ランダムノイズをラウドスピーカ73より出
力し、それぞれの電気音響特性を通って、参照騒音マイ
ク71および残留騒音マイク72から得られる信号に対
して、ANC制御により適応デジタルフィルタ75を適
応させることにより行われる。つまりラウドスピーカ7
3からM系列ランダムノイズを出力し、全ての周波数の
音に対して伝達関数の入出力関係を特定するのである。
【0006】一方、近年、環境に優しい製品の開発が要
望され、エンジン発電機などおいて、騒音を低減するた
めにエンジンを防音ケースに収容する形態のものが好ま
れるようになっている。上記環境問題の高まりを考慮す
ると、上記ANCを包囲型エンジンに適用して騒音を低
減することが考えられる。この場合、上記したように、
エンジンを包囲する包囲体内に配設されたラウドスピー
カと参照騒音マイク間の電気音響特性をシステム同定の
段階において、予め求めておく必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、M系列
ランダムノイズは選定するビット数によっては、計算量
が多くなり、またM系列ランダムノイズを生成するため
のプログラム容量もビット数に比例して大きくなるの
で、中央処理装置(CPU)上の負担が大きくなる問題
がある。また、包囲型エンジンにANC制御を適用する
場合にシステム同定処理に長時間要することはユーザの
エンジンの使い勝手が悪くなるので、できるだけシステ
ム同定に要する時間を短縮したいという要望がある。
【0008】さらに、包囲型エンジンにおいてシステム
同定処理を行うには、システム同定を行う回路をソフト
ウエア上で作成してから、図14に示す実際に騒音を消
す構成にソフトウエア上で作成する必要があることか
ら、システム同定処理に要するプログラム容量はできる
だけ小さくしたいという要望がある。
【0009】
【発明の目的】本発明は上記課題に鑑みてなされたもの
であり、包囲型エンジンにおいて、システム同定を低コ
ストかつ短時間で行える、包囲型エンジンの騒音低減装
置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの、請求項1の騒音低減装置は、防音壁でエンジンを
包囲し、防音壁の所定位置に外気取り入れ口と最終排出
口とを設け、外気取り入れ口から外気を取り入れて最終
排出口から排気するように構成し、換気風が流れる通風
部の所定位置に設けられた参照騒音検出手段と、通風部
の最終排出口近くに設けられた残留騒音検出手段と、通
風部内に配設された相殺音発生手段と、少なくとも参照
騒音検出手段の参照騒音信号と残留騒音検出手段の残留
騒音信号とに基づいて最終排出口における騒音を打ち消
す相殺音を発生させるように相殺音発生手段を駆動する
ANC処理手段と、周波数スイープを用いて生成した周
波数スイープ音を相殺音発生手段から発生させ、システ
ム同定を行うシステム同定手段とを備えたことを特徴と
する。請求項2の騒音低減装置は、システム同定手段が
エンジン回転周波数に対応したある基本周波数を一定時
間内に周波数スイープさせることにより、全ての周波数
成分を含む白色ノイズと等価である周波数スイープ音を
相殺音発生手段から発生させるものであることを特徴と
する。
【0011】請求項3の騒音低減装置は、防音壁でエン
ジンを包囲し、防音壁の所定位置に外気取り入れ口と最
終排出口とを設け、外気取り入れ口から外気を取り入れ
て最終排出口から排気するように構成し、換気風が流れ
る通風部の所定位置に設けられた参照騒音検出手段と、
通風部の最終排出口近くに設けられた残留騒音検出手段
と、通風部内に配設された相殺音発生手段と、少なくと
も参照騒音検出手段の参照騒音信号と残留騒音検出手段
の残留騒音信号とに基づいて最終排出口における騒音を
打ち消す相殺音を発生させるように相殺音発生手段を駆
動するANC処理手段と、エンジン始動時から高速回転
に移行する場合に通風部内で起こる騒音の周波数の時系
列的な連続変化を利用して、システム同定を行うシステ
ム同定手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】請求項4の騒音低減装置は、防音壁でエン
ジンを包囲し、防音壁の所定位置に外気取り入れ口と最
終排出口とを設け、外気取り入れ口から外気を取り入れ
て最終排出口から排気するように構成し、換気風が流れ
る通風部の所定位置に設けられた参照騒音検出手段と、
通風部の最終排出口近くに設けられた残留騒音検出手段
と、エンジンの熱気を最終排出口に向けて吸い出す換気
ファンと、通風部内に配設された相殺音発生手段と、少
なくとも参照騒音検出手段の参照騒音信号と残留騒音検
出手段の残留騒音信号とに基づいて最終排出口における
騒音を打ち消す相殺音を発生させるように相殺音発生手
段を駆動するANC処理手段と、エンジンおよび換気フ
ァンを所定回転数で運転した場合に通風部内に発生する
騒音を白色ノイズとして使用してシステム同定を行うシ
ステム同定手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
【作用】請求項1の包囲型エンジンの騒音低減装置であ
れば、ANC処理時には、参照騒音検出手段が通風部の
参照騒音を検出するとともに、残留騒音検出手段が最終
排出口周辺の残留騒音を検出する。そして、ANC処理
手段が参照騒音信号と残留騒音検出手段の残留騒音信号
とに基づいて排気口における騒音を打ち消す相殺音を発
生させるように相殺音発生手段を駆動する。したがっ
て、包囲型エンジンの最終排出口から漏れる騒音を低減
することができる。
【0014】また、前記ANC処理動作に先立って参照
騒音検出手段と相殺音発生手段間の電気音響特性B、残
留騒音検出手段と相殺音発生手段間の電気音響特性Cを
正確に求めるシステム同定処理を行うことが必要になる
が、請求項1の包囲型エンジンの騒音低減装置では、シ
ステム同定手段が一定時間内における周波数スイープを
使用して全ての周波数成分を含む白色ノイズと等価な周
波数スイープ音を発生させるので、従来のM系列ランダ
ムノイズを発生させる方法に比べて、プログラム容量を
少なくすることができるとともに、計算量も少なくする
ことができ、装置構成を簡単化することができる。
【0015】請求項2の包囲型エンジンの騒音低減装置
であれば、計算処理が簡単である、エンジン回転数に対
応した基本周波数を一定時間内に周波数スイープするこ
とにより全ての周波数成分を含む白色ノイズと等価な周
波数スイープ音を相殺音発生手段から発生させるので、
コンピュータの計算量をさらに少なくすることができ、
装置構成を簡単化することができる。
【0016】請求項3の包囲型エンジンの騒音低減装置
であれば、エンジン始動時の回転数から、高速回転(例
えば定常回転数)に上げていく過程において騒音の周波
数は、所定周波数域において時系列的に連続に変化して
周波数をスイープしたことと等価になっている。したが
って、通風部内で発生する騒音をそのままシステム同定
に使用することにより、計算によって白色ノイズ、ある
いはM系列ランダムノイズを発生させる場合に比べて白
色ノイズ発生用プログラムを省略することができる。ま
た、エンジン始動時から所定高速回転に上げる間にシス
テム同定を行うことができるので、システム同定処理時
間を短縮することができる。
【0017】請求項4の包囲型エンジンの騒音低減装置
であれば、エンジンの熱気を最終排出口に向けて吸い出
す換気ファンを設けることにより、エンジン騒音と換気
ファンの風切り音とが通風部で反射、干渉などの作用を
起こし、全体の騒音は白色ノイズに近似した騒音にな
る。したがってこの通風部内の騒音を利用してシステム
同定を行うことにより、計算によって白色ノイズ、M系
列ランダムノイズを発生させる場合に比べて、白色ノイ
ズ発生用プログラムを省略することができる。また、所
定回転数においてエンジンを運転する間にシステム同定
を行うことができるので、システム同定処理時間を短縮
することができる。
【0018】
【発明の効果】上記作用において説明したように、請求
項1の発明によれば、システム同定手段が周波数スイー
プを使用して白色ノイズと等価な周波数スイープ音を発
生させるので、従来のM系列ランダムノイズを発生させ
る方法に比べて、プログラム容量を少なくすることがで
きるとともに、計算量も少なくすることができ、装置構
成を簡単化することができるという特有の効果を奏す
る。
【0019】請求項2の発明は、請求項1の発明の効果
に加え、計算処理が簡単である基本波、即ちエンジン回
転周波数に対応したある基本周波数を選択することによ
り、コンピュータの計算量をさらに少なくすることがで
き、装置構成を簡単化することができるという特有の効
果を奏する。
【0020】請求項3の発明は、下記(イ)(ロ)の特
有の効果を奏する。 (イ)計算によって白色ノイズ、M系列ランダムノイズ
を発生させる場合に比べてノイズを生成するプログラム
を省略することができるので、システム全体のプログラ
ム容量を小さくすることができ装置を簡単化できる。 (ロ)周囲環境が変わっても、エンジンを再び始動させ
れば、その時の条件でシステム同定が行われその度毎に
最適な補償フィルタを得られるので、環境変化に対応し
た消音性を高めることができる。 (ハ)エンジン始動時から所定高速回転に上げる間にシ
ステム同定を行うことができるのでシステム同定処理時
間を短縮することができる。
【0021】請求項4の発明は、上記(イ)の効果に加
えて、下記(ニ)(ホ)の特有の効果を奏する。 (ニ)周囲環境が変わっても、エンジンを再び始動時な
どにおいて、所定回転数でエンジンおよび換気ファンを
運転させれば、その時の条件でシステム同定が行われ、
その度毎に最適な補償フィルタを得られるので、環境変
化に対応した消音性を高めることができる。 (ホ)所定回転数においてエンジンおよび換気ファンを
運転する間にシステム同定を行うことができるので、シ
ステム同定処理時間を短縮することができる。
【0022】
【実施例】以下、実施例を示す添付図面によって詳細に
説明する。図1は本発明に係る包囲型エンジンの騒音低
減装置の一実施例を示す図であり図1(A)は包囲型エ
ンジン発電機の縦断面図、図1(B)は図1(A)のB
−B線横断面図である。
【0023】この包囲型エンジン発電機1は、防音ケー
ス2のほぼ中央部にディーゼルエンジン3を配設すると
ともに、図中右側に発電機4を配設してある。ディーゼ
ルエンジン3の上側および側面には区画壁5を設け、区
画壁5の左側面にラジエータ6を取り付けることによ
り、防音ケース2内をエンジン3と発電機4が収容され
るエンジン発電室7と、排風通路8と、側面空間9とに
区画している。
【0024】排風通路8はラジエータ6に臨ませて設け
られた上昇通路8aと、防音ケース2の上壁2aに設け
られた排出口10と連通する排気通路8bとから構成さ
れている。ラジエータ6には吸い出し式のラジエータフ
ァン11が取り付けられ、ラジエータファン11はファ
ンベルトおよびプーリにより、エンジン3のクランク軸
に連動駆動される。ラジエータ6に臨む上昇通路8aに
は水平方向に延びる円筒状マフラ12が設けられ、ラジ
エータファン11の吸い出し風が円筒状マフラ12の側
面を通って排気通路8bに流れるように構成してある。
エンジンの排気ポートは側面空間9を迂回する排気管2
0aによりマフラ12に連通され、マフラ12からの排
気ガスは排気管20bにより防音ケース左壁2cを貫通
して外部に連通されている。
【0025】防音ケース2の上壁2a上には、ラジエー
タ6側に基端部を有し、反対側にダクト出口13aを有
する略長方形状のダクト13が固定され、排出口10上
方のダクト部分には、ダクト13を水平方向に2つの部
屋に区画する遮蔽壁14が設けられている。この遮蔽壁
14によって排出口10は約半分ぐらい覆われた状態に
なっている。
【0026】遮蔽壁14によって区画された上側の部屋
(上部ダクト室15と称する)にはスピーカ面をダクト
出口13aに向けて指向性のあるラウドスピーカ16が
配設されている。また、下側の部屋(下部ダクト室17
と称する)は上昇通路8a、排気通路8bを経た冷却風
がダクト出口13a方向に導く機能を有している。ラウ
ドスピーカ16は着脱自在に交換できるようにユニット
ケース18に囲まれており、上部ダクト室15と隙間な
く嵌合することにより、ラウドスピーカ16のダクト1
3への取り付けが簡単に行えるようになっている。ま
た、ダクト出口13a近くの所定位置には、ダクト出口
13a付近の残留騒音を検出する残留騒音マイク19が
配設されている。
【0027】また、マフラ12より下流側の上昇通路8
a内には参照騒音マイク22が設けられ、エンジン騒
音、ラジエータファン11の風切り音、マフラ12のシ
ャーシからの透過騒音(以下、マフラ透過騒音と称す
る)が混在した状態の参照騒音を検出し、ANCコント
ローラ23に入力するようになっている。一方、防音ケ
ース2の発電機4側の側壁2bには、防音ケース2内を
換気する外気を吸入する吸気口24が設けてあり、発電
機4の上方には区画壁5に支持された燃料タンク25が
設けてある。
【0028】なお、吸気口24から、発電室7の上部、
排風通路8、ダクト13を経てダクト口13aに至る風
路が通風部21を構成する。また、燃料タンク25の燃
料供給口26は図1において紙面手前側の防音ケース2
の上部に設けられている。エンジン発電室7の略中央部
位置にはエアクリーナ27が配設され、吸気口24から
吸入された外気を吸気管により吸気ポートに供給する。
【0029】騒音低減装置は、図2に示すように参照騒
音マイク22、指向性のあるラウドスピーカ16、残留
騒音マイク19、およびANCコントローラ23とから
構成されており、ANCコントローラ23は図1(A)
に示すように防音ケース2の下部位置にエンジンの熱の
影響を受けないように防熱部材28に囲まれて配設され
ている。
【0030】図2はシステム同定処理時においてANC
コントローラ23内にソフト的に構成されるシステム同
定部31の構成を示すブロック図である。システム同定
部31は基本波に基づいて発振周波数を時間とともに自
動的に変化させ、所定の周波数幅の範囲で周期的に発振
を繰り返すスイープ発振部32と、「修正学習同定法」
に基づいて常に最大の消音量が得られるように残留騒音
信号に従って、適応デジタルフィルタ33のフィルタ係
数を刻々更新する修正学習部34とを含んで構成してい
る。なお、適応デジタルフィルタ33からのアンチノイ
ズ信号を増幅するアンプ部、参照騒音マイク22、残留
騒音マイク19からの信号をアナログデジタル変換する
A/D変換部などは省略して示している。修正学習同定
法は、下記数1,数2に示す数式で演算されるアルゴリ
ズムである。
【0031】
【数1】
【0032】
【数2】
【0033】但し、 Wn:適応フィルタ係数(W[0],W[1],…,W
[L]) Xn:参照騒音信号(X[n],X[n−1],…,X
[n−L]) en:残留騒音信号 n:離散時間 a,μ:収束係数 L:フィルタ次数 σ2n:フィルタ入力の平方和 である。
【0034】図3はANC処理時においてANCコント
ローラ23内にソフト的に構成されるANC処理部37
の構成を示すブロック図である。ANC処理部37は、
制御音となる逆位相波形の生成を行う適応デジタルフィ
ルタ38と、LMS制御部39と、参照騒音マイク22
とラウドスピーカ16間の補償フィルタ40と、残留騒
音マイク19とラウドスピーカ16間の補償フィルタ4
1とを含んで構成されている。システム同定によって決
定した電気音響特性Bが補償フィルタ40の固定値とな
り、電気音響特性Cが補償フィルタ41の固定値とな
る。なお、LMS制御部39は適応デジタルフィルタ3
8の演算補正を行う。LMS法は、下記数3に示す数式
で演算されるアルゴリズムである。
【0035】
【数3】
【0036】上記包囲型エンジンの騒音低減装置の作用
について図1,図2および以下に示すフローチャートに
基づいて説明する。まず、図4は基本的フローチャート
であり、ステップSP1においてシステム同定部31に
よりシステム同定を行い、ステップSP2においてAN
C処理部37により実際の音を消すANC処理を行う。
【0037】図5は図4におけるシステム同定処理を説
明するためのフローチャートであり、まず、ステップS
P1aにおいてANCコントローラ23内にソフト的に
システム同定部31の初期設定を行い、ステップSP1
bにおいてスイープ発振部32が所定の基本波に基づい
て一定時間内に周波数スイープを行うことにより所定周
波数域において白色ノイズと等価な周波数スイープ音を
発生させ、ステップSP1cにおいて図2における電気
音響特性Cに対応するフィルタ値を修正学習同定法によ
り求め、ステップSP1dにおいて<C>フィルタが収
束したか否かを判別し、収束していないと判別した場合
はステップSP1bの周波数スイープ音を発生させるこ
とを続け、収束していると判別された場合はステップS
P1eへ進む。ステップSP1eではスイープ発振部3
2が白色ノイズと等価な周波数スイープ音を発生させ、
ステップSP1fにおいて図2における電気音響特性B
に対応するフィルタ値を修正学習同定法により求め、ス
テップSP1gにおいて<B>フィルタが収束したか否
かを判別し、収束していないと判別した場合はステップ
SP1eの周波数スイープ音を発生させることを続け、
収束していると判別された場合はシステム同定処理を終
了して、ANC処理へ移行する。なお、ステップSP1
cおよびステップSP1dにおいて修正学習同定法を採
用するのは、LMS法に比べて修正学習同定法が収束が
速く、システム同定処理を短時間で行えるからである。
また、図5に示すフローチャートにおいて<C>フィル
タを収束させてから、<B>フィルタを収束させる方法
を採用しているが、処理速度の速いプロセッサを使用す
れば、同じ周波数スイープ音で<C>フィルタ、<B>
フィルタをともに収束演算することも可能である。
【0038】図6は図4におけるステップSP2に示す
ANC処理の詳細を説明するためのフローチャートであ
り、まず、ステップSP2aにおいてANCコントロー
ラ23内にソフト的にANC処理部37を初期設定し、
ステップSP2bにおいて参照騒音マイク22から参照
信号Xn、残留騒音マイク19から残留騒音信号enを
入力し、ステップSP2cにおいてシステム同定処理に
より得られたフィルタ値Cを固定フィルタ値として補償
フィルタ<C>の演算を行い、ステップSP2dにおい
てシステム同定処理により得られたフィルタ値Bを固定
フィルタ値として補償フィルタ<B>の演算を行い、ス
テップSP2eにおいてLMS法に基づいて適応フィル
タ係数Wを演算し、ステップSP2fにおいてLMS法
に基づいて適応フィルタのフィルタ係数を最適値に補正
し、ステップSP2gにおいてラウドスピーカ16から
相殺音を発生させてステップSP2bに戻る。なお、ス
テップSP2eにおいてLMS法を採用するのは、修正
学習同定法に比べてLMS法が演算が簡単であり、適応
フィルタの次数を拡大でき、騒音低減性能を向上させる
ことができるからである。
【0039】さらに、本実施例の騒音低減装置の作用に
ついて具体的に説明する。まず、システム同定処理につ
いて説明する。前記したようにM系列ランダムノイズは
選定するビット数によっては計算量が多く、またプログ
ラム容量もビット数に比例して大きくなる問題がある。
そこでこの実施例では、図7に示すようにサイン波(s
inθ,cosθ)や、矩形波などの基本波foを一定
時間内に連続的な適応領域の全ての周波数において周波
数スイープを行うことにより、簡単な計算で全ての周波
数成分を含む白色ノイズと等価な周波数スイープ音を生
成する。このようにして得られた周波数スイープ音によ
り、補償フィルタ<C>,補償フィルタ<B>を得るこ
とにより、システム同定処理が終了する。なお、サイン
波において周波数スイープを行うには、sin(2π・
αθ)の係数αを連続的に変えることにより実現でき
る。
【0040】また、矩形波においては、例えば、マイク
ロプロセッサのクロック関数の周期を連続的に変えるこ
とによりスイープを行うことができるので、M系列ラン
ダムノイズ信号を生成するよりも極めて簡単に白色ノイ
ズと等価な周波数スイープ音を生成できる。なお、基本
波を一定時間内に周波数スイープすることにより得られ
た白色ノイズと等価な周波数スイープ音によってシステ
ム同定した補償フィルタ<C>,補償フィルタ<B>
と、M系列ランダムノイズによって同定した補償フィル
タ<C>,補償フィルタ<B>を比較したところ、実用
上なんら問題のないことを実験により確認した。
【0041】また、図1に示すように遮蔽壁14を設
け、指向性のラウドスピーカ16を採用し、ラウドスピ
ーカ16からの音が参照騒音マイク22に入りにくいよ
うに構成しているので、図5のステップSP1fに示す
電気音響特性Bの補償を省略しても十分な消音効果が得
られ、システム同定時間を短縮することができる。
【0042】次にANC処理について説明する。エンジ
ンが始動すると、ラジエータファン11も駆動して図1
において符号Mで示す冷却風が発生する。また参照騒音
マイク22からエンジン音、マフラ透過騒音、ファンの
風切り音などを含んだ参照騒音信号Xnを得るととも
に、残留騒音マイク19から残留騒音信号enを得る。
そして、ラウドスピーカ16と残留騒音マイク19間の
補償フィルタ<C>を演算し、ラウドスピーカ16と参
照騒音マイク19間の補償フィルタ<B>を演算して、
LMS法により適応フィルタ係数を演算して、適応デジ
タルフィルタ38のフィルタ係数を上記騒音を消音する
値に補正して、相殺音を発生させる。
【0043】また、参照騒音マイク22を円筒状マフラ
12、ラジエータファン6より冷却風の流れにおいて下
流側に位置しているので、エンジン騒音のみならず、マ
フラ透過騒音、ラジエータファン11の風切り音をも検
出でき、マフラ透過騒音、ラジエータファン11の風切
り音もラウドスピーカ16で消音することができる。さ
らに、円筒状マフラ12がラジエータファン11の下流
側で、吸い出し風放出面に対向する位置に設けられてい
るので、円筒状マフラ12の上下側面を冷却風が流れ、
マフラを冷却することができる。このマフラの冷却によ
りマフラ透過騒音の周波数変化幅が小さくなり、ANC
制御において消音しやすくなる利点がある。さらに、マ
フラ12をエンジン発電室7に設けず、上昇通路8aに
設けたことにより、エンジン発電室7の温度上昇を抑制
することができる。なお本実施例において、周波数スイ
ープする方法はソフト的な手段に限定されず、ハード的
なスイープ発振回路によって行っても良い。
【0044】
【実施例2】次に本発明の第2実施例について説明す
る。この第2実施例が前記第1実施例と異なる点は、エ
ンジンを始動させて所定回転数(通常は定常回転数)ま
でエンジン回転数を上昇させる間にシステム同定(補償
フィルタ<C>を求める)を行う点である。
【0045】図9はこの実施例における補償フィルタ<
C>の自己作成ブロック図である。このシステム同定部
43は<C>フィルタ同定部44とエンジン始動制御部
45とを有している。エンジン始動制御部45は、エン
ジン回転数を検出するエンジン回転数検出部46と、検
出された回転数に基づいてエンジンがエンストを起こさ
ない範囲で、回転数をゆるやかに変化させて定常回転数
まで上昇させるように始動時のエンジン回転数を制御す
る始動時エンジン回転数コントローラ47と、始動時エ
ンジン回転数コントローラ47の信号に基づいてエンジ
ン3の調速手段48を駆動するリニアアクチュエータ4
9とを有している。<C>フィルタ同定部44は、始動
時エンジン回転数コントローラ47の制御信号に基づい
てエンジン3が始動したことを検出するエンジン始動検
出部60と、「修正学習同定法」に基づいて常に最大の
消音量が得られるように適応デジタルフィルタ33のフ
ィルタ係数を刻々と更新する修正学習部50とを含んで
構成している。図8はこの実施例におけるシステム同定
処理を説明するためのフローチャートであり、図9にお
けるエンジン始動制御部45を予め備えたエンジン発電
機において、ステップSP1aにおいてANCコントロ
ーラ23内にソフト的に図9の<C>フィルタ同定部4
4を初期設定し、ステップSP1bにおいてエンジン始
動制御部45の制御により所定回転数(通常は定常回転
数)までエンジン回転数を上昇させ、ステップSP1c
においてエンジン3を始動したことをエンジン始動検出
部60が検出して、修正学習部50、適応デジタルフィ
ルタ33にスタート信号を入力することにより、エンジ
ン自体の騒音により電気音響特性Cを補償するフィルタ
値を修正学習同定法により求め、ステップSP1dにお
いて収束が完了して<C>フィルタのシステム同定が終
了したか否かを判別し、終了していないと判別された場
合は、ステップSP1bに戻り、システム同定が終了し
たと判別された場合は一連の処理を終了する。
【0046】図10(A)(B)はその内容を説明する
ための図であり、図10(A)はエンジン始動時のエン
ジンクランク軸の高調波成分(2f1,4f1)、冷却フ
ァンの羽根の枚数に相当する風切り音およびその高調波
成分(f2)を示しており、図10(B)はエンジンが
定常回転数の時のエンジンクランク軸の高調波成分(2
1’,4f1’)、冷却ファンの羽根の枚数に相当する
風切り音およびその高調波成分(f2’)を示してい
る。
【0047】図10から分かるように、エンジン始動時
から定常回転までの騒音はちょうど周波数スイープを行
ったように、2f1が2f1’に、4f1が4f1’に、f
2がf2’にそれぞれ連続的に変化している。したがっ
て、この始動時(0rpm)から定常回転(例えば、3
600rpm)までの騒音の変化を利用して、補償フィ
ルタ<C>を求めることを行うことにより、ラウドスピ
ーカから白色ノイズを発生させることなく、システム同
定を終えることができる。この実施例の構成であると、
特別のシステム同定時間を必要とせず、定常回転までの
エンジン回転数上昇時間をシステム同定時間とすること
ができるので、システム同定を短時間で行うことができ
る。
【0048】また、エンジンを再起動した時において、
周囲環境に変化が生じても、起動時に毎回その周囲環境
に合致したシステム同定を行うことができるので、最適
な補償フィルタ<C>を求めることができる。なお、参
照騒音マイク22を補償フィルタ<B>を必要としない
位置に配置するため、補償フィルタ<C>についてはシ
ステム同定をする必要がない。また、前記したように遮
蔽壁14および指向性のあるラウドスピーカ16の採用
により、補償フィルタ<B>についてはシステム同定を
行わなくても実用上、問題ない騒音低減効果が得られる
ことを確認した。
【0049】
【実施例3】次に本発明の第3実施例について説明す
る。この第3実施例が前記第2実施例と比べて異なる点
は、エンジンを所定回転数で所定時間運転させる間に補
償フィルタ<C>を求める点である。装置構成のブロッ
ク図は省略するが、図9におけるエンジン始動制御部4
5が所定回転数で所定時間運転させるエンジン運転制御
部に代わり、<C>フィルタ同定部内のエンジン始動検
出部60がエンジンが所定回転数になったことを検出し
てスタート信号を出力する所定回転数検出部に代わるだ
けである。図11はこの実施例におけるシステム同定処
理を説明するためのフローチャートであり、ステップS
P1aにおいてソフト的に上記<C>フィルタ同定部を
初期設定し、ステップSP1bにおいて所定回転数でエ
ンジンを所定時間運転させる。なお、エンジンを運転す
ることによりラジエータファン11も一定回転数で回転
されることになる。そして、ステップSP1cにおいて
電気音響特性Cを補償するフィルタ値を修正学習同定法
により求め、ステップSP1dにおいて<C>フィルタ
のシステム同定が終了したか否かを判別し、終了してい
ないと判別された場合は、ステップSP1bに戻り、シ
ステム同定が終了したと判別された場合は一連の処理を
終了する。
【0050】図12はその内容を説明するための図であ
り、所定回転数における包囲型エンジンの騒音の周波
数、エネルギー特性図である。図12から分かるよう
に、エンジンを防音ケース2内に収容し、排気ファンで
あるラジエータファン11を通風部21に配設した構成
の包囲型エンジンの騒音は、広い周波数領域において白
色ノイズ音になっている。つまり、包囲型エンジンの実
際の騒音が白色ノイズと極めて近似しており、実際の騒
音自体をシステム同定時の白色ノイズとして使用できる
ことになる。本発明者は、上記包囲型エンジンの騒音で
補償フィルタ<C>のシステム同定が行えることを実験
により確認した。
【0051】エンジン騒音はクランク軸の回転数の高調
波成分を含む周期性のある騒音となっており、エンジン
を単純に防音ケース2で包囲しただけでは白色ノイズと
はならない。図12に示すエンジン発電機からの騒音が
白色ノイズとなる理由は、ラジエータファン11が換気
風を撹乱し、エンジン音、ファン音が防音ケース2内お
よび排風通路8、ダクト13で反射、干渉を繰り返して
放出されることがその原因であると思われる。
【0052】
【実施例4】図13はこの発明の第4実施例を示す図で
あり、図13(A)は包囲型エンジン発電機の騒音低減
装置の構成を示す概略縦断面図、図13(B)は左側面
図、図13(C)は排風ダクトケースを取り外した状態
の右側面図である。この第4実施例が前記第1実施例と
比べて特徴的な点は、包囲型エンジンの構造を変えた点
にある。この包囲型エンジン発電機51は、直方体形状
の6つの防音壁で構成された防音ケース2の図中右側に
ディーゼルエンジン3を配設するとともに、図中左側に
エンジン発電機4を配設してある。また、右側防音壁2
bの略中央位置に排出口10を開口し、左側防音壁2c
の下部位置に吸気口24を開口している。
【0053】右側防音壁2bには排出口10を上側から
覆うように排風口52を備えた導風板53が取り付けら
れ、さらにその導風板53を収容するように排風ダクト
ケース54が右側防音壁2bに取り付けられている。排
風ダクトケース54の右側上部には、ダクト出口55が
設けられ、そのダクト出口55に所定の排気面積を有す
る金網が張設されている。導風板53内には水平方向に
延びる円筒状マフラ12が設けられており、エンジンの
吸気ポートとマフラ12とを第1排気管20aにより連
通するとともに、マフラ12を経た排気ガスは第2排気
管20bにより排風ダクトケース34側面から外部へ放
出されるようになっている。なお、吸気口24には所定
の排気面積を有する金網が張設されている。
【0054】ラジエータ6は排出口10に臨ませて配設
されており、ラジエータ6にはファンベルトによりクラ
ンク軸と連動駆動されるラジエータファン11が取り付
けられている。このラジエータファン11は防音ケース
2内の空気を吸い出す形のファンとなっている。また、
エンジン3の上方には吸気管に連通するエアクリーナ2
7を設けている。
【0055】この実施例に係る包囲型エンジン発電機5
1は、ダクト出口55からの騒音を低減する排気側騒音
低減装置を備えている。排気側騒音低減装置は、円筒状
マフラ12より下流側で、導風板53に囲まれた空間で
ある排気導風室56内に設けられた参照騒音マイク22
と、排風ダクトケース54内で防音壁2bの上部位置に
設けられたラウドスピーカ16と、ダクト出口55上側
の端部位置に設けられた残留騒音マイク19と、ANC
コントローラ(図示せず)とから構成されている。
【0056】なお、エンジン3と発電機4は防音ケース
2の底壁2dの所定箇所に配設された防振ゴム57を介
して防音ケース2内に収容されているので、エンジン3
および発電機4の振動が防音ケース2に伝わることが軽
減されている。また、防音ケース2内左上部の吸気口2
4を塞がない位置には燃料タンク25が配設され、防音
ケース上壁2aに設けられた燃料供給口26から燃料を
供給できるようになっている。
【0057】上記構成のエンジン発電機の騒音低減装置
の作用について説明する。エンジン発電機51のエンジ
ン3が運転され、発電が開始されると、エンジンのクラ
ンク軸に連動するラジエータファン11が駆動して吸気
口24から外気が吸入される。吸入された外気は防音ケ
ース2を流れ、発電機4およびエンジン3を冷却した
後、排風ダクトケース54内の排気導風室56、排気上
昇風路58を流れ、ダクト出口55から排風される(図
中矢印M参照)。この換気通路が通風部21を構成す
る。
【0058】また、前記第1実施例〜第3実施例と同様
の処理により、システム同定処理を行い、補償フィルタ
<C>を同定した後、実際のANC処理が行われる。エ
ンジン3の運転が始まると、排気ANCコントローラ2
3は参照騒音マイクより、エンジン音、ファン風切り
音、マフラ透過騒音が混在された騒音を排気導風室56
において検出し、残留騒音マイク19は残留騒音を検出
して、ANCコントローラが参照騒音信号、残留騒音信
号に基づいてダクト出口55の騒音が最小になるよう
に、ラウドスピーカ16を駆動して相殺音を発生させ
る。
【0059】上記システム同定処理、ANC処理におい
て、導風板53がラウドスピーカ16と参照騒音マイク
22とは正帰還結合が発生しない位置に配置されている
ので、システム同定時のハウリング補正、ANC処理時
の補償フィルタ<B>の演算を省略することができ、シ
ステム同定の簡素化、騒音低減効果を向上させることが
できる。また、マフラ12がラジエータファン11より
下流側でラジエータファン11と対向して設けられ、防
音ケース2内に設けられていない構成となっているの
で、ラウドスピーカ16の相殺音でマフラ透過騒音も消
音できるとともに、マフラ12の冷却、マフラ12の熱
による防音ケース2内の温度上昇を抑制することができ
る。さらに、冷却風に乗って排出口10から漏れる騒音
を消音するダクトは、防音ケース2の側壁に形成されて
いるので、エンジン発電機の高さをコンパクトにするこ
とができる。
【0060】この発明は上記実施例に限定されるもので
はなく、この発明の要旨を変更しない範囲内において種
々の設計変更を施すことが可能である。以下、そのよう
な実施例を説明する。 (1)前記第1実施例、第2実施例では、クランク軸と
連動するラジエータファン11により防音ケース2内を
換気するように構成したが、防音ケース2内の空気を吸
い出すファンを電動ファンで構成することも可能であ
る。 (2)本発明はエンジン発電機以外の包囲型エンジン装
置に広く適用ができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る包囲型エンジン発電機の騒音低減
装置の構成を示す図であり、図1(A)は縦断面図、
(B)は図1(A)のB−B線横断面図である。
【図2】第1実施例のシステム同定部の構成を示すブロ
ック図である。
【図3】ANC処理部の構成を示すブロック図である。
【図4】騒音低減装置の基本処理を示すフローチャート
である。
【図5】第1実施例のシステム同定処理を示すフローチ
ャートである。
【図6】ANC処理を示すフローチャートである。
【図7】第1実施例のスイープを説明するための図であ
る。
【図8】第2実施例のシステム同定処理を示すフローチ
ャートである。
【図9】第2実施例のシステム同定部の構成を示すブロ
ック図である。
【図10】図10(A)(B)はそれぞれ第2実施例の
スイープを説明するための図である。
【図11】第3実施例のシステム同定処理を示すフロー
チャートである。
【図12】第3実施例において通風部内に生成される白
色ノイズを示す図である。
【図13】本発明の他の実施例を示す図であり、図13
(A)は概略縦断面図、図13(B)は左側面図、図1
3(C)は排風ダクトケースを取り外した状態の右側面
図である。
【図14】従来の能動的消音装置の一例を示すブロック
図である。
【符号の説明】
2…防音ケース、3…エンジン、5…区画壁、11…ラ
ジエータファン、13…ダクト、13a…ダクト出口、
16…ラウドスピーカ、19…残留騒音マイク、21…
通風部、22…参照騒音マイク、24…吸気口、31…
システム同定部、37…ANC処理部、43…システム
同定部、53…導風板、54…排風ダクトケース、55
…ダクト出口。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 防音壁(2,5)(2,53,54)でエンジン(3)を
    包囲し、防音壁(2,5)(2,53,54)の所定位置に外気取り入
    れ口(24)と最終排出口(13a)(55)とを設け、外気取り入
    れ口(24)から外気を取り入れて最終排出口(13a)(55)か
    ら排気するように構成し、 換気風が流れる通風部(21)の所定位置に設けられた参照
    騒音検出手段(22)と、通風部(21)の最終排出口(13a)(5
    5)近くに設けられた残留騒音検出手段(19)と、通風部(2
    1)内に配設された相殺音発生手段(16)と、少なくとも参
    照騒音検出手段(22)の参照騒音信号と残留騒音検出手段
    (19)の残留騒音信号とに基づいて最終排出口(13a)(55)
    における騒音を打ち消す相殺音を発生させるように相殺
    音発生手段(16)を駆動するANC処理手段(37)と、周波
    数スイープを用いて生成した周波数スイープ音を相殺音
    発生手段(16)から発生させ、システム同定を行うシステ
    ム同定手段(31)とを備えたことを特徴とする、包囲型エ
    ンジンの騒音低減装置。
  2. 【請求項2】 システム同定手段(31)がエンジン回転周
    波数に対応したある基本周波数を一定時間内に周波数ス
    イープさせることにより、全ての周波数成分を含む白色
    ノイズと等価である周波数スイープ音を相殺音発生手段
    (16)から発生させるものである請求項1に記載の包囲型
    エンジンの騒音低減装置。
  3. 【請求項3】 防音壁(2,5)(2,53,54)でエンジン(3)を
    包囲し、防音壁(2,5)(2,53,54)の所定位置に外気取り入
    れ口(24)と最終排出口(13a)(55)とを設け、外気取り入
    れ口(24)から外気を取り入れて最終排出口(13a)(55)か
    ら排気するように構成し、 換気風が流れる通風部(21)の所定位置に設けられた参照
    騒音検出手段(22)と、通風部(21)の最終排出口(13a)(5
    5)近くに設けられた残留騒音検出手段(19)と、通風部(2
    1)内に配設された相殺音発生手段(16)と、少なくとも参
    照騒音検出手段(22)の参照騒音信号と残留騒音検出手段
    (19)の残留騒音信号とに基づいて最終排出口(13a)(55)
    における騒音を打ち消す相殺音を発生させるように相殺
    音発生手段(16)を駆動するANC処理手段(37)と、エン
    ジン始動時から高速回転に移行する場合に通風部(21)内
    で起こる騒音の周波数の時系列的な連続変化を利用し
    て、システム同定を行うシステム同定手段(43)とを備え
    たことを特徴とする、包囲型エンジンの騒音低減装置。
  4. 【請求項4】 防音壁(2,5)(2,53,54)でエンジン(3)を
    包囲し、防音壁(2,5)(2,53,54)の所定位置に外気取り入
    れ口(24)と最終排出口(13a)(55)とを設け、外気取り入
    れ口(24)から外気を取り入れて最終排出口(13a)(55)か
    ら排気するように構成し、 換気風が流れる通風部(21)の所定位置に設けられた参照
    騒音検出手段(22)と、通風部(21)の最終排出口(13a)(5
    5)近くに設けられた残留騒音検出手段(19)と、エンジン
    (3)の熱気を最終排出口(13a)(55)に向けて吸い出す換気
    ファン(11)と、通風部(21)内に配設された相殺音発生手
    段(16)と、少なくとも参照騒音検出手段(22)の参照騒音
    信号と残留騒音検出手段(19)の残留騒音信号とに基づい
    て最終排出口(13a)(55)における騒音を打ち消す相殺音
    を発生させるように相殺音発生手段(16)を駆動するAN
    C処理手段(37)と、エンジン(3)および換気ファン(11)
    を所定回転数で運転した場合に通風部(21)内に発生する
    騒音を白色ノイズとして使用してシステム同定を行うシ
    ステム同定手段とを備えたことを特徴とする、包囲型エ
    ンジンの騒音低減装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008143336A (ja) * 2006-12-08 2008-06-26 Fujitsu Ten Ltd 車両騒音制御装置および伝達特性同定方法
CN105848056A (zh) * 2016-04-01 2016-08-10 张俊斌 一种新型主动降噪方法

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