JPH0833432A - 移植用土のう及び水生植物の移植方法 - Google Patents

移植用土のう及び水生植物の移植方法

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JPH0833432A
JPH0833432A JP6192018A JP19201894A JPH0833432A JP H0833432 A JPH0833432 A JP H0833432A JP 6192018 A JP6192018 A JP 6192018A JP 19201894 A JP19201894 A JP 19201894A JP H0833432 A JPH0833432 A JP H0833432A
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Muneo Hiratani
宗夫 平谷
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 湖の岸辺や河川の川原あるいは湿原など、波
を被ったり水流の影響を受ける箇所に水生植物を確実に
移植することにある。 【構成】 織布又は不織布で形成された袋体12の中に
土壌14が装填され、且つその袋体12の片側一面16
を通して水生植物18がその中の土壌14に自生させら
れている移植用土のう10を構成した。そして、この移
植用土のう10を岸辺及び/又は水底の上に敷設して水
生植物18を移植した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は移植用土のう及び水生植
物の移植方法に関する。
【0002】
【従来の技術】琵琶湖をはじめとする湖の岸辺や河川の
川原、あるいは湿原などが改修工事などのために土砂が
掘り起こされ、それに伴い湖岸や川原などに自生してい
た水生植物が掘り起こされた土砂とともに捨てられてい
る。ところが、このように一旦、水生植物が根こそぎ掘
り起こされてしまった後は、自然の回復力によって水生
植物が自生することはほとんど稀である。
【0003】近年、自然の景観を取り戻そうとする運動
が活発になり、護岸工事などによって破壊されてしまっ
た水辺の景観を元に戻そうとする工事や、改修されてた
とえば螢が住めなくなった川原に螢を取り戻そうとする
工事などが行われるようになってきた。このような工事
は図7に示すように、予め鉢などを用いて育成していた
水生植物1を根や地下茎などを含む土壌2とともに水辺
3や水底4に穴5を掘り、その穴5に埋めて移植するも
のであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、波や水
流のある箇所に穴5を掘る作業も、その穴5に水生植物
1の根などを埋める作業も非常に困難であった。更に、
水生植物1を移植するために土が掘り返された箇所は外
力に対して弱くなっており、湖や河川などに生ずる波や
水流によってその箇所の土が洗い流されてしまう。しか
も、水生植物1はそれが有する浮力によって浮き上がろ
うとするため、移植時に被せた表面土が洗い流されてし
まうと、水生植物1は浮き上がって流される。その結
果、水生植物1の移植成功率は非常に低いものとなって
いた。
【0005】そこで、各種移植事業を長年行ってきた本
発明者は上記問題を解決し、移植率100%を目標に、
且つ移植後に自然との調和を保つために鋭意研究を重ね
た結果、本発明に至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る移植用土の
うの要旨とするところは、織布又は不織布で形成された
袋体の中に土壌が装填され、且つ前記袋体の片側一面を
通して植物が該土壌に自生させられていることにある。
【0007】また、かかる移植用土のうにおいて、前記
織布又は不織布で形成された袋体の片側一面を通して水
生植物が該土壌に自生させられている少なくとも該片側
一面が、当該袋体の中に装填された土壌が流失し得ない
ように形成されていることにある。
【0008】更に、かかる移植用土のうにおいて、前記
織布又は不織布で形成された袋体は腐食性繊維又は分解
性樹脂のいずれか一方又は双方により形成されているこ
とにある。
【0009】また、本発明に係る水生植物の移植方法の
要旨とするところは、上記水生植物が自生させられてい
る移植用土のうを岸辺及び/又は水底の上に敷設して水
生植物を移植することにある。
【0010】更に、本発明に係る水生植物の移植方法の
他の要旨とするところは、上記水生植物が自生させられ
ている移植用土のうの少なくとも一部を岸辺及び/又は
水底に埋設して水生植物を移植することにある。
【0011】
【作用】本発明に係る移植用土のうは織布又は不織布で
形成された袋体の中に土壌が装填され、且つその袋体の
片側一面を通して植物、特に水生植物がその中の土壌に
自生させられていて、水生植物は土のうの中の土壌に充
分に根を張っている。すなわち、袋体の中に装填された
土壌に、まず袋体の片側一面の一部に孔を開け、その孔
に根の付いた水生植物の根側を挿入して植え込んで、自
生し得るように充分に育成させておく。あるいは、袋体
の中に土壌を装填する際に水生植物の根部や地下茎を適
宜配設しておき、育成させて、水生植物が袋体を突き通
って茎などが出るまで生育させて自生させておくのであ
る。土のうの中の土壌に自生した水生植物は水温などの
環境が大きく異なる場所であっても、その土のうととも
に移植されることにより、枯れたり浮き上がったりする
ことはなく、ほぼ確実に根付くことになる。
【0012】また、少なくとも水生植物が伸び出す側の
土のうを構成する袋体を土壌がその袋体を通して流失し
ないように形成することにより、波が大きい場所や水流
の速い場所であっても、水生植物を確実に移植すること
ができる。更に、袋体を形成する織布あるいは不織布を
腐食性繊維又は分解性繊維で構成することにより、水生
植物の移植後、袋体は腐食しあるいは分解して土に戻
り、自然な状態になる。腐食性繊維又は分解性繊維が腐
食し又は分解するまでの期間は、少なくとも水生植物が
移植場所の地中に根を張るまでの期間であることが好ま
しく、たとえば2年程度が好ましい。腐食し又は分解す
るまでの期間が長期間になると、袋体が地表あるいは水
底に露出しているため、自然環境との調和が阻害される
ことになり好ましくない。一方、腐食し又は分解するま
での期間が短期間であると、水生植物がその土地に根付
く前に袋体の中の土壌が波や水流に曝されて流失する可
能性があり、水生植物が流されてしまうことになる。
【0013】次に、本発明に係る水生植物の移植方法に
よれば、上記移植用土のうを岸辺や水底の上に載置して
敷設し、あるいは移植用土のうの底部などの少なくとも
一部を地中に埋設して敷設することによって、水生植物
を移植することができる。すなわち、移植用土のうを地
中に完全に埋設する必要はなく、移植用土のうを岸辺や
水底の地表に載置すれば良く、土のうの自重により水生
植物が浮き上がったり波や水流で流されたりすることは
ない。また、移植用土のうを配設するのにあたり、適宜
位置に木杭や柵などを設けることにより、波が大きい場
所や水流が速い場所であっても移植用土のうが流された
りすることはない。
【0014】
【実施例】次に、本発明に係る移植用土のう及び水生植
物の移植方法の実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0015】図1に示すように、移植用土のう10は織
布又は不織布で形成された袋体12の中に土壌14が装
填され、且つその袋体12の片側一面16を通して水生
植物18がその土壌14に自生させられて構成されてい
る。
【0016】ここで、袋体12を構成する織布としては
椰子の繊維,棕櫚(しゅろ)の毛,藺(い),蒲(が
ま),藁,麻,ジュートなどの天然繊維や、ナイロン,
ビニールなどの化学繊維を用いて織って形成される。ま
た、袋体12を構成する不織布としてはパルプなどから
成る紙や、草木の葉などの天然の素材から成るものや、
合成樹脂からなるものが用いられる。これらのうち、天
然繊維や天然の素材から成る織布や不織布は腐食性を有
し、特に好ましい。一方、化学繊維から成る織布や合成
樹脂から成る不織布は通気性,透水性を有するように形
成されたものが用いられ、特にこれら化学繊維又は合成
樹脂は近年種々開発されつつある微生物分解性プラスチ
ック,光分解性プラスチックなどの分解性樹脂が用いら
れるのが好ましい。これら天然繊維及び分解性樹脂から
成る繊維の1種又は2種以上を適宜用いて織り、織布か
ら成る袋体12が形成され、あるいは天然の素材及び合
成樹脂の1種又は2種以上を適宜用いて縫合・接合し、
不織布から成る袋体12が形成される。
【0017】かかる袋体12に装填される土壌14はそ
れに植えられる水生植物18が生育させられるのに適す
るものが用いられ、より好ましくは、得られた移植用土
のう10が配設される箇所の湖沼や河川の岸辺や水底の
土壌とほぼ同質のものが用いられる。袋体12に装填さ
れる土壌14は1種に限定されるものではなく、たとえ
ば水生植物18が生育するために必要な栄養分が豊富な
富栄養層と、水生植物18が生育するのに適する生育層
と、他の環境との調和を図るための表層の3種から構成
しても良く、なんら限定されるものではない。
【0018】土壌14が装填された袋体12の片側一面
16には、袋体12を通して水生植物18が土壌14に
自生させられている。水生植物18は予め別途、大量に
生育させておき、その水生植物18を袋体12の片側一
面16に設けた穴から土壌14の中に挿入して植え込
み、水生植物18がその土壌14に根付いて自生するま
で生育させるのが好ましい。また、水生植物18の根茎
部や地下茎などを土壌14とともに袋体12に装填し、
水生植物18の茎が袋体12の片側一面16を通して外
に出てくるまで生育させるようにしても良い。
【0019】水生植物としては葦(よし・あし),藺
(い),蒲(がま),萱などの草植物の他、樹木であっ
ても良く、特に限定するものではない。本発明の趣旨に
沿う植物であれば、あらゆる植物を用いることができ
る。
【0020】以上のようにして得られた水生植物18が
自生する移植用土のう10は図2に示すように、湖沼や
河川などの岸辺や水底の上に間隔を密にあるいは粗く配
置して敷設される。移植用土のう10は図3(b) に示す
ように、岸辺や水底の地面20を若干掘って、その穴2
2に袋体12の下部を埋設して敷設するようにしても良
いが、同図(a) に示すように、岸辺や水底の地面20に
袋体12をそのまま載置して敷設しても良い。移植用土
のう10はそれ自体の自重で安定性を備えており、しか
も袋体12が腐食又は分解するまで形状安定性を備えて
いるため、袋体12部分を地中に埋設する必要性がない
からである。
【0021】したがって、移植用土のう10の敷設作業
は非常に容易なものとなり、作業者が移植用土のう10
を適宜配設するだけで良く、特に水底に敷設する場合に
は、作業者が船上から移植用土のう10を適宜落下させ
るなどによって配設することで敷設することができる。
敷設された移植用土のう10は図4に示すように、水生
植物18が成長するのにともなって、根24が袋体12
から地面20の中に伸びて移植が完了する。一方、一定
の期間の経過後、織布又は不織布から成る袋体12は次
第に腐食しあるいは分解して、中の土壌14が露出させ
られ、その土壌14は波や水流などによって上面側が流
されて、図中二点鎖線で示すように次第に平坦化され
る。露出させられた土壌14の上面側が流されることに
より、水生植物18の根24が露出することがあるが、
既に袋体12が腐食などする時には水生植物18の根2
4は地面20の中に伸びており、浮力などによって水生
植物18が浮き上がることはない。
【0022】以上、本発明に係る移植用土のう及び水生
植物の移植方法の実施例を説明したが、本発明は上述の
実施例に限定されるものではない。
【0023】たとえば、図5に示すように、移植用土の
う10と通常の土のう26を交互に敷設したり、あるい
は移植用土のう10と複数の土のう26とを繰り返して
敷設するようにしても良い。移植用土のう10と移植用
土のう10との間隔を広く取りすぎると、移植後の地面
に大きな凹凸ができてしまい、また、水生植物18の根
が露出し易くなるため、移植用土のう10と移植用土の
う10との間隔を広くする場合には、通常の土のう26
を間に配設するのが好ましい。
【0024】また、図示を省略するが、移植用土のう1
0を配設するのにあたり、地面に密にあるいは若干の隙
間を開けて粗に配設しても良い。更に、移植用土のう1
0をたとえば格子状に配設したり、あるいは千鳥状に配
設しても良く、特に限定されるものではない。また、移
植用土のうを配設するのにあたり、適宜位置に木杭や柵
などを設けることにより、波が大きい場所や水流が速い
場所であっても移植用土のうが流されたりすることはな
く、より安定する。
【0025】次に、移植用土のうは単一の網目の大きさ
から成るものであっても良いが、たとえば図6に示すよ
うに、移植用土のう28の袋体30は、水生植物の茎が
伸びだす片側一面32は波や流水に接してその中の土壌
が流失し易い状態に置かれるため、網目の細かい織布や
不織布で構成され、他の表面34は地面や隣接する袋体
30と接して波や流水に洗われることがないため、網目
の粗い織布などで構成されても良い。特に、他の表面3
4は根や地下茎が自由に成長して張り易くするために、
網目が粗い方が好ましい。
【0026】また、移植用土のうの袋体を網目が粗い織
布で形成するとともに、その袋体の内側に水草などを配
設し、その水草の内側に土壌を装填した構造としても良
い。あるいは、袋体の上面内側には長期間において分解
したり水に溶けたりしない不織布などを配設し、且つ側
面及び下面の内側には短期間で分解したり水に溶ける不
織布などを配設して構成しても良い。いずれの実施例で
あっても、袋体を通して中の土壌が波や水流によって洗
い流されることはなく、しかも、水生植物が袋体を通し
て地面に根を張るのを妨げるものではない。
【0027】以上、本発明の移植用土のうを詳述した
が、その袋体は水生植物が地面に根を張る一定期間、た
とえば約2年程度経過後に腐食,腐敗し、あるいは分解
して土の一部になるものが好ましい。その他、本発明は
その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき
種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るも
のである。
【0028】
【発明の効果】本発明に係る移植用土のうは織布又は不
織布で形成された袋体の中に土壌が装填されるととも
に、袋体の片側一面を通して水生植物がその土壌に予め
自生させられているため、水生植物の移植に伴って地質
が変化することがなく、水生植物が枯れることはない。
しかも、移植された水生植物がその土地に根付くまでの
間は、少なくとも土壌が袋体によって覆われているた
め、土壌が波や流水によって洗われて流失することがな
く、水生植物が根や地下茎ごと浮き上がってしまうこと
はない。更に、土壌が袋体で覆われていて、形状が安定
し、且つ自重によって位置的に安定しているため、波な
どによって移動させられたり、破壊されたりすることが
なく、水生植物はほぼ確実に移植される。
【0029】また、本発明に係る水生植物の移植方法は
土のうの中の土壌に予め自生させられている水生植物を
その土のうとともに所定の場所に配設するだけであり、
地面を掘り返したり穴を開けたりする必要が原則として
なく、作業性が非常に良く、しかも地面を掘ることがな
いため、水質の汚濁もない。更に、水底に水生植物を移
植する場合、移植用土のうを船上から水底に下ろして設
置するだけでも可能であり、作業性が良いだけでなく安
全であるなど、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る移植用土のうの一例を示す要部断
面斜視図である。
【図2】図1に示す移植用土のうを用いた水生植物の移
植方法を示す説明図である。
【図3】図1に示す移植用土のうを用いた水生植物の移
植方法を示す図であり、同図(a) と同図(b) はいずれも
他の移植方法を示す要部拡大説明図である。
【図4】図1に示す移植用土のうを用いた水生植物の移
植方法を示す要部拡大説明図である。
【図5】図1に示す移植用土のうを用いた水生植物の他
の移植方法を示す説明図である。
【図6】本発明に係る移植用土のうの他の一例を示す要
部断面斜視図である。
【図7】従来の水生植物の移植方法を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
10;移植用土のう 12;袋体 14;土壌 18;水生植物

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 織布又は不織布で形成された袋体の中に
    土壌が装填され、且つ前記袋体の片側一面を通して植物
    が該土壌に自生させられていることを特徴とする移植用
    土のう。
  2. 【請求項2】 前記織布又は不織布で形成された袋体の
    片側一面を通して水生植物が該土壌に自生させられてい
    る少なくとも該片側一面が、当該袋体の中に装填された
    土壌が流失し得ないように形成されていることを特徴と
    する請求項1に記載する移植用土のう。
  3. 【請求項3】 前記織布又は不織布で形成された袋体は
    腐食性繊維又は分解性樹脂のいずれか一方又は双方によ
    り形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項
    2に記載する移植用土のう。
  4. 【請求項4】 前記請求項1乃至請求項3のいずれかに
    記載する水生植物が自生させられている移植用土のうを
    岸辺及び/又は水底の上に敷設して水生植物を移植する
    ことを特徴とする水生植物の移植方法。
  5. 【請求項5】 前記請求項1乃至請求項3のいずれかに
    記載する水生植物が自生させられている移植用土のうの
    少なくとも一部を岸辺及び/又は水底に埋設して水生植
    物を移植することを特徴とする水生植物の移植方法。
JP6192018A 1994-07-23 1994-07-23 移植用土のう及び水生植物の移植方法 Withdrawn JPH0833432A (ja)

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