JPH08334156A - 無段変速機の制御装置 - Google Patents

無段変速機の制御装置

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JPH08334156A
JPH08334156A JP7141682A JP14168295A JPH08334156A JP H08334156 A JPH08334156 A JP H08334156A JP 7141682 A JP7141682 A JP 7141682A JP 14168295 A JP14168295 A JP 14168295A JP H08334156 A JPH08334156 A JP H08334156A
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variable transmission
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    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60WCONJOINT CONTROL OF VEHICLE SUB-UNITS OF DIFFERENT TYPE OR DIFFERENT FUNCTION; CONTROL SYSTEMS SPECIALLY ADAPTED FOR HYBRID VEHICLES; ROAD VEHICLE DRIVE CONTROL SYSTEMS FOR PURPOSES NOT RELATED TO THE CONTROL OF A PARTICULAR SUB-UNIT
    • B60W2552/00Input parameters relating to infrastructure
    • B60W2552/15Road slope, i.e. the inclination of a road segment in the longitudinal direction

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  • Control Of Transmission Device (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】勾配路走行中のアクセルペダルの踏込み,解放
の繰返しでもエンジン回転数の不必要な増減を抑制し、
特にダウンシフト時の不用意なエンジン回転数増加から
違和感を与えることのない無段変速機の制御装置を提供
する。 【構成】無段変速機で達成すべき目標入力回転数TNi
を設定するに当たり、車速VSPとスロットル開度TVO
とから設定される通常目標入力回転数Nimapを、傾斜角
の絶対値|θ|及び車速VSPから、登坂路でも降坂路で
も当該車速を維持するに足る最小目標入力回転数Nimin
で規制して、何れか大きい方を選出すると共に、それが
現在入力回転数Ni より大きいときにアクセルペダルが
踏込まれてスロットル開度TVOが所定値A以上で安定
しているときや、アクセルペダルが解放されてスロット
ル開度TVOが所定値B以下で且つ加速度一定でないと
きには現在入力回転数Ni を前記目標入力回転数TNi
とする構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は無段変速機の制御装置に
関するものであり、特に屈曲登坂路等でのアクセルペダ
ルの踏込み,解放の繰返しが起こる状況で、不必要なエ
ンジン回転数の増加,減少の繰返しを防止し、また降坂
路等走行時に下り勾配の度合いに応じたエンジンブレー
キが得られるようにして、良好な運転性を実現するのに
好適なものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ベルト式やトロイダル式の従来
の無段変速機では、車速とスロットル開度とを変数と
し、これらの変数から無段変速機の目標入力回転数を設
定可能な変速相関をマップ化した制御マップを用いて当
該目標入力回転数を設定し、現在の車速,即ち無段変速
機の出力回転数で、この目標入力回転数が達成される無
段変速機の変速比(減速比)となるように制御される。
そして、この目標入力回転数は、スロットル開度が小さ
いとき,即ちエンジン負荷が小さいときには小さく、ス
ロットル開度が大きいとき,即ちエンジン負荷が大きい
ときには大きくなるように設定されている。
【0003】このため、例えば屈曲登坂路等での走行中
に、登坂直線部を走行するためにアクセルペダルを大き
く踏込み、屈曲部の手前では減速のためにアクセルペダ
ルを解放してブレーキペダルを踏込み、屈曲部を抜けた
ところで再びアクセルペダルを大きく踏み込むといった
ように、アクセルペダルの踏込みと解放とが繰返される
ような走行状態では、同等の車速であっても、アクセル
ペダルを踏込んでスロットル開度が大きくなると変速比
(車両減速比)が大きくなるように目標入力回転数が大
きくなり、その結果エンジンの回転数が増加し、アクセ
ルペダルを解放してスロットル開度が小さくなると変速
比(車両減速比)が小さくなるように目標入力回転数が
小さくなり、その結果エンジンの回転数が減少する。従
って、騒音や振動(以下,これらを総じて音振とも記
す)の面で違和感があると共に、アクセルペダルを解放
している状態からアクセルペダルを踏込んだような場
合、即ち目標入力回転数が小さい状態から大きい状態に
移行する場合には、エンジンの回転数を増加させるため
にだけ当該エンジンの出力(トルク)が消費されるた
め、当該エンジンの回転数が所定の目標入力回転数を満
足する回転数まで増加しきるまでは、アクセルペダルを
踏込んでも所望する駆動力が得られないという問題もあ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような問題を解決
するために、本出願人は先に特願平5−218736号
に記載される無段変速機の制御装置(以下,第1従来例
とも記す)を提案した。この無段変速機の制御装置で
は、走行負荷が大きい場合には目標機関回転数(前述の
目標入力回転数と同等)の最小値を制限する技術が開示
されている。これによれば、前述のような登坂路走行時
には走行負荷が大きくなるため、目標機関回転数の最小
値が走行負荷に相当する回転数を下回らない回転数に制
限されるので、前記屈曲部走行等でアクセルペダルの踏
込みと解放とを繰返し行っても、エンジンの回転数が必
要以上に減少することがなく、前述のような音振の問題
やアクセルペダルの解放状態から再踏込み時に所望の駆
動力が得られないといった問題は発生しない。しかしな
がら、降坂路走行時には走行負荷が小さくなるため、特
に急な下り坂を走行する場合には目標機関回転数の最小
値が実質的に制限されなくなる、つまり無段変速機の変
速比(車両減速比)は小さくなる方向に制御されるだけ
であるから、エンジンの回転数は小さくなってエンジン
ブレーキ力が小さくなり、所望の車両減速度が得られな
いという問題が発生する。
【0005】この降坂路におけるエンジンブレーキ力の
問題を解決するには、例えば特開平1−148630号
公報に記載される無段変速機の制御装置(以下,第2従
来例とも記す)を適用することができる。この無段変速
機の制御装置では、走行路の下り勾配を検出し、その勾
配状態量の大きさに応じて変速相関(変速パターン)の
最小変速比(最小車両減速比)側に変速制限区域を設け
る技術が開示されている。従って、前述のような降坂路
走行時には、当該無段変速機の変速比の最小値が下り勾
配状態量の大きさに応じて制限されるから、目標入力回
転数(目標機関回転数)の減少が制限され、結果的にエ
ンジンの回転数が大きくなるように規制されてエンジン
ブレーキ力が大きくなり、車両減速度を下り勾配状態量
に応じて大きく得ることができる。
【0006】従って、前記第1従来例と第2従来例とを
組合わせれば、登坂路走行時の各問題と降坂路走行時の
各問題とを夫々個別に解決することができる。しかしな
がら、第1従来例では走行負荷に相当する上り勾配を判
定してその勾配状態量を検出する必要があり、第2従来
例では下り勾配を判定してその勾配状態量を検出する必
要があり、更に上り勾配と下り勾配とで個別の変速比制
御を実施する必要があるから、そのための構成や演算処
理が複雑となり、コスト面でも不利となる。
【0007】また、特に前記第1従来例では、走行負
荷,即ち上り勾配状態量の増加によって目標入力回転数
の最小値が実際の入力回転数以下からそれを上回る値に
変化した場合には、運転者によるアクセルペダルの操作
がない状態,より具体的にはアクセルペダルを踏込んで
いないような状態でも、車速の低下分以上に変速比(車
両減速比)を大きくする,所謂ダウンシフトが実行さ
れ、エンジンの回転数が勝手に増加して乗員に違和感を
与えるという問題もある。
【0008】本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発され
たものであり、構成や演算処理を簡潔化してコスト面で
も有利であり、更に種々の走行状態やアクセルペダルの
操作状態に応じてエンジンの回転数の変動を制御するこ
とにより音振の問題や乗員への違和感の問題を解決する
ことのできる無段変速機の制御装置を提供することを目
的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】而して、本発明のうち請
求項1に係る無段変速機の制御装置は、図1の基本構成
図に示すように,スロットルバルブの開度を検出するス
ロットル開度検出手段と、車速を検出する車速検出手段
と、予めスロットル開度及び車速を変数として車両に搭
載された無段変速機への目標とする入力回転数を設定可
能な変速相関を持ち、少なくとも当該変速相関に基づい
て前記スロットル開度検出手段で検出されたスロットル
開度検出値及び前記車速検出手段で検出された車速検出
値から、前記無段変速機への目標入力回転数を設定し、
設定された目標入力回転数を達成すべく当該無段変速機
の変速比を制御する変速比制御手段とを備えた無段変速
機の制御装置において、走行路の勾配状態量を検出する
勾配状態量検出手段を備え、前記変速比制御手段は、前
記無段変速機で達成すべき目標入力回転数を、前記勾配
状態量検出手段で検出された勾配状態量検出値の絶対値
に相当する走行負荷回転数或いは当該回転数よりも予め
設定した所定値分低い回転数以下とならないように制限
する目標入力回転数制限手段を備えたことを特徴とする
ものである。
【0010】また、本発明のうち請求項2に係る無段変
速機の制御装置は、図1aの基本構成図に示すように、
前記目標入力回転数制限手段が、予め車速及び走行路の
勾配状態量を変数として前記無段変速機への入力回転数
の最小制限値を設定可能な最小回転数相関を持ち、当該
最小回転数相関に基づいて前記車速検出手段で検出され
た車速検出値及び勾配状態量検出手段で検出された勾配
状態量検出値の絶対値から前記走行負荷回転数に相当す
る目標入力回転数の最小制限値を設定し、この目標入力
回転数の最小制限値と、前記変速相関から設定された目
標入力回転数とのうちの何れか小さくない方を前記無段
変速機で達成すべき目標入力回転数に設定する目標入力
回転数規制手段を備えたことを特徴とするものである。
【0011】また、本発明のうち請求項3に係る無段変
速機の制御装置は、無段変速機への入力回転数を検出す
る入力回転数検出手段を備え、前記目標入力回転数制限
手段が、前記スロットル開度検出手段で検出されたスロ
ットル開度検出値が所定値以上で、走行路の勾配状態の
変化により前記目標入力回転数規制手段で設定された目
標入力回転数が、前記入力回転数検出手段で検出された
入力回転数検出値以上となるときに、前記無段変速機で
達成すべき目標入力回転数を当該入力回転数検出値以下
となる入力回転数に制限することを特徴とするものであ
る。
【0012】また、本発明のうち請求項4に係る無段変
速機の制御装置は、前記目標入力回転数制限手段が、前
記スロットル開度検出手段で検出されたスロットル開度
検出値が閉方向に変化したとき、前記無段変速機で達成
すべき目標入力回転数を、前記入力回転数検出手段で検
出されたスロットル開度変化前の入力回転数検出値に保
持することを特徴とするものである。
【0013】また、本発明のうち請求項5に係る無段変
速機の制御装置は、前記目標入力回転数制限手段が、前
記スロットル開度検出手段で検出されたスロットル開度
検出値が開方向に変化したとき、前記無段変速機で達成
すべき目標入力回転数を、前記入力回転数検出手段で検
出された入力回転数検出値と、前記目標入力回転数規制
手段で設定された目標入力回転数とのうちの小さい方以
上となる入力回転数に制限することを特徴とするもので
ある。
【0014】また、本発明のうち請求項6に係る無段変
速機の制御装置は、車両の加速度を検出する車両加速度
検出手段と、車両の加速度の変化率を検出する加速度変
化率検出手段とを備え、前記目標入力回転数制限手段
が、前記スロットル開度検出手段で検出されたスロット
ル開度検出値が所定値以下で、走行路の勾配状態の変化
により前記目標入力回転数規制手段で設定された目標入
力回転数が、前記入力回転数検出手段で検出された入力
回転数検出値以下から当該入力回転数検出値以上となる
ときには、前記車両加速度検出手段で検出された車両加
速度検出値が所定以上で且つ前記加速度変化率検出手段
で検出された加速度変化率検出値が所定値以下となるま
で、前記無段変速機で達成すべき目標入力回転数を、前
記入力回転数検出値以下となる入力回転数に制限するこ
とを特徴とするものである。
【0015】また、本発明のうち請求項7に係る無段変
速機の制御装置は、図1bの基本構成図に示すように、
前記目標入力回転数制限手段が、前記勾配状態量検出手
段で検出された勾配状態量検出値の絶対値からスロット
ル開度の最小制限値を設定し、このスロットル開度の最
小制限値と前記スロットル開度検出手段で検出されたス
ロットル開度検出値とのうちの何れか小さくない方を、
前記変速相関から目標入力回転数を設定するスロットル
開度の変数に設定するスロットル開度規制手段を備えた
ことを特徴とするものである。
【0016】
【作用】上記構成を有する本発明のうち請求項1に係る
無段変速機の制御装置では、図1の基本構成図に示すよ
うに、変速比制御手段に備えられた目標入力回転数制限
手段が、走行路の勾配状態量検出値の絶対値に相当する
走行負荷回転数或いは当該回転数よりも予め設定した所
定値分低い回転数以下とならないように、無段変速機で
達成すべき目標入力回転数を制限する。ここで、走行路
の勾配状態量検出値の絶対値に相当する走行負荷回転数
とは、当該走行路を走破するのに必要な無段変速機の入
力回転数又はそれと等価なエンジンの回転数を示すが、
例えば登坂路の勾配状態量検出値が正値、降坂路の勾配
状態量検出値が負値であっても、登坂路を上るために必
要なエンジンの出力(トルク)を得る回転数も、降坂路
で必要なエンジンブレーキ力を得る回転数も、その勾配
状態量の絶対値と強い相関があり、より具体的には勾配
状態量の絶対値が大きいほど、出力トルクが正方向か負
方向かに係わらずエンジンの回転数は大きければよい。
従って、この走行路の勾配状態量検出値の絶対値に相当
するエンジンの回転数と等価な走行負荷回転数以下とな
らないように、無段変速機で達成すべき目標入力回転数
を制限するように当該無段変速機の変速比(車両減速
比)を制御すれば、屈曲登坂路走行時にアクセルペダル
の踏込み,解放を頻繁に繰返しても、エンジンの回転数
が必要以上に減少したり或いはその必要以上の減少状態
から大幅に増加したりすることがなく、音振上好ましい
ばかりでなく、アクセルペダルの解放状態から当該アク
セルペダルを踏込んだ場合にも、エンジンの回転数増加
のためだけに当該エンジンの出力(トルク)が大きく消
費されることがないから、所望の駆動力を容易に得るこ
とができる。また、降坂路走行時には、例えばアクセル
ペダルを解放した状態であっても、当該走行路の勾配状
態量検出値の絶対値に応じて目標入力回転数が大きく設
定される、つまり無段変速機の変速比(車両減速比)が
大きな変速比(減速比)に制御されてエンジンの回転数
も大きな回転数となり、十分なエンジンブレーキ力を得
ることができる。
【0017】なお、前記無段変速機で達成すべき目標入
力回転数を、勾配状態量検出手段で検出された勾配状態
量検出値の絶対値に相当する走行負荷回転数よりも予め
設定した所定値分低い回転数以下とならないように制御
した場合には、エンジンブレーキ力を若干抑えることに
より、運転者が当該エンジンブレーキの効き過ぎ感を抱
くのを防止できる。
【0018】また、本発明のうち請求項2に係る無段変
速機の制御装置では、前記目標入力回転数制限手段に備
えられた目標入力回転数規制手段が、予め車速及び走行
路の勾配状態量を変数として前記無段変速機への入力回
転数の最小制限値を設定可能な最小回転数相関を持って
いる。この最小回転数相関は、当該車速で当該勾配状態
量(の絶対値)の走行路を走破するのに必要なエンジン
の出力(トルク)又はエンジンブレーキ力を得るため
に、前述のようにエンジンの回転数を媒介として無段変
速機への入力回転数の最小値を設定するためのものであ
るから、この最小回転数相関に基づいて、前記車速検出
値及び勾配状態量検出値の絶対値から設定される前記走
行負荷回転数に相当する目標入力回転数の最小制限値
は、当該登坂路を当該車速で上り続けるのに足るエンジ
ンの出力を得たり、当該降坂路を当該車速で下り続ける
のに足るエンジンブレーキ力を得たりする最小の無段変
速機の入力回転数となる。従って、この目標入力回転数
の最小制限値と、前記変速相関から設定された目標入力
回転数とのうちの何れか小さくない方を前記無段変速機
で達成すべき目標入力回転数に設定することにより、無
段変速機の変速比(車両減速比),即ちエンジンの回転
数を走行路の勾配状態と車速とスロットル開度とに応じ
た好適な状態に制御することができる。
【0019】また、本発明のうち請求項3に係る無段変
速機の制御装置では、前記スロットル開度検出値が所定
値以上であるときに、走行路の勾配状態の変化に応じて
前述のように設定された目標入力回転数が前記入力回転
数検出値以上となっても、前記無段変速機で達成すべき
目標入力回転数を当該入力回転数検出値以下に制限する
ことにより、運転者がアクセルペダルを操作していない
にも係わらず、走行路の勾配状態量の変化による車速の
変化分以上に実行されるダウンシフト、即ちエンジン回
転数の増加を回避して、乗員への違和感をなくすことが
できる。
【0020】また、本発明のうち請求項4に係る無段変
速機の制御装置では、前記スロットル開度検出値が閉方
向に変化したときに、前記無段変速機で達成すべき目標
入力回転数を、当該スロットル開度変化前の入力回転数
検出値に保持することにより、運転者がアクセルペダル
を踏戻しているにも係わらずに実行されるダウンシフ
ト、即ちエンジン回転数の増加を回避して、乗員への違
和感をなくすことができる。
【0021】また、本発明のうち請求項5に係る無段変
速機の制御装置では、前記スロットル開度検出値が開方
向に変化したときに、前記無段変速機で達成すべき目標
入力回転数を、前述のように設定された目標入力回転数
及び前記入力回転数検出値の双方以上に制限することに
より、所望する駆動力が速やかに得られるようにするこ
とができる。
【0022】また、本発明のうち請求項6に係る無段変
速機の制御装置では、前記スロットル開度検出値が所定
値以下で、走行路の勾配状態の変化により前述のように
して設定された目標入力回転数が前記入力回転数検出値
以上となるときには、前記車両加速度検出値が所定以上
で且つ前記加速度変化率検出値が所定値以下となってか
ら、前記無段変速機で達成すべき目標入力回転数を前記
入力回転数検出値以上に設定することにより、運転者が
所望するタイミングでダウンシフトを実行してエンジン
回転数を増加させ、適切なエンジンブレーキ力を得るこ
とができる。
【0023】また、本発明のうち請求項7に係る無段変
速機の制御装置では、前記目標入力回転数制限手段に備
えられたスロットル開度規制手段が、前記勾配状態量検
出値の絶対値からスロットル開度の最小制限値を設定す
る。このスロットル開度の最小制限値は、当該勾配状態
量(の絶対値)の走行路を走破するのに必要なエンジン
の出力(トルク)又はエンジンブレーキ力を得るための
ものであるから、このスロットル開度の最小制限値と前
記スロットル開度検出値とのうちの何れか小さくない方
を、前記変速相関から目標入力回転数を設定するスロッ
トル開度の変数に設定することにより、当該車速で当該
走行路を走破するのに足る無段変速機の変速比(車両減
速比),即ちエンジンの回転数を好適な状態に制御する
ことができ、しかも演算処理上の情報量を節減すること
ができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の無段変速機の制御装置を実際
の車両に適用した第1実施例を図面に基づいて説明す
る。図2は、本発明の一実施例に相当する無段変速機の
動力伝達機構を示すスケルトン図である。この実施例の
無段変速機は、機関(すなわち、エンジン)の回転駆動
力によって回転駆動される駆動輪が前左右輪である、所
謂FF(フロントエンジンフロントドライブ)車両に適
用されたものである。
【0025】ちなみに、本実施例の車両に搭載される無
段変速機は、通常、前進走行用の変速シフトポジション
として、通常走行レンジと通常走行変速比制御領域より
も最小変速比の大きいエンジンブレーキレンジとを備え
ており、変速シフトポジションに通常走行レンジ(一般
にいうDレンジである)が選択されているときには、後
述するように通常走行に好適な通常走行変速比制御領域
(Dレンジ変速比領域)内で、エンジンブレーキレンジ
(一般にいう2レンジまたはDsレンジおよびLレンジ
または1レンジである)が選択されているときにはエン
ジンブレーキレンジ制御領域(2レンジ変速比領域また
はLレンジ変速比領域)内で、それぞれ車速およびスロ
ットル開度に応じて無段変速機の変速比を制御するが、
ここでは特にDレンジを選択しているときの制御態様に
ついてのみ詳述する。
【0026】この無段変速機の動力伝達機構は、図2に
明示するように,フルードカップリング12、前後進切
換機構15、トロイダル式無段変速機構40、歯車減速
機構20、差動装置22等を有しており、エンジン10
の出力軸10aの回転を、所定の変速比および回転方向
で左右のドライブシャフト66,68に伝達することが
できる。そして、前記エンジン10の出力軸10aに接
続されたフルードカップリング12の出力側は、前後進
切換機構15の回転軸13と連結されており、前後進切
換機構15は、遊星歯車機構17、前進用クラッチ1
8、および後進用ブレーキ19を有している。そして、
前進用クラッチ18や後進用ブレーキ19の締結状態を
図示されない流体圧制御装置によって変化させること
で、駆動軸14の回転方向を前進用の正方向又は後進用
の逆方向に変化させることができる。なお、前記フルー
ドカップリングには,所謂,通常のトルクコンバータを
採用することも可能である。
【0027】前記トロイダル式無段変速機40は、図2
に示すように、ハウジング41に同軸的に回転自在に保
持され且つ対抗面が協働して軸方向断面で見て円形とな
るようにトロイダル面に形成された入力ディスク42及
び出力ディスク43と、これらディスク42,43のト
ロイダル面で形成されるトロイダル空間内に量トロイダ
ル面に接触して配設された上下一対の伝動ローラ44
A,44Bと、これら伝動ローラ44A,44Bをトロ
イダル面に沿って転動するように保持し、且つ軸方向に
移動可能なトラニオン45A,45Bと、これらトラニ
オン45A,45Bを軸方向に移動させて変速動作を行
わせる流体圧シリンダ46a〜46dと、これら流体圧
シリンダ46a〜46dに対する供給流体圧を制御する
電磁方向切換弁47とを備えて構成されており、このう
ち前記入力ディスク42が前記駆動軸14に接続され、
前記出力ディスク43が従動軸28に接続されている。
従って、このトロイダル式無段変速機40により所定の
変速比で減速されたエンジン10の回転駆動力は、従動
軸28から歯車減速機構20による減速によって更に増
幅され、更に差動装置22のピニオンギヤからサイドギ
ヤを介して夫々出力軸66及び68に出力されている。
【0028】前記電磁方向切換弁47は、4ポート3位
置に構成され、ポンプポートPが流体圧ポンプ48の吐
出側に接続され、タンクポートTがリザーバ49に接続
されていると共に、一方の制御ポートAが前記流体圧シ
リンダ46a,46cに接続され、他方の制御ポートB
が前記流体圧シリンダ46b,46dに接続されてお
り、ノーマル位置でポンプポートP,タンクポートTと
制御ポートA,Bとの間が遮断され、左方電磁ソレノイ
ドSLが励磁された左側オフセット位置でポンプポート
Pが制御ポートAに、タンクポートTが制御ポートBに
接続され、右方電磁ソレノイドSRが励磁された右側オ
フセット位置でポンプポートPが制御ポートBに、タン
クポートTが制御ポートAに接続される。
【0029】そして、電磁方向切換弁47が後述するコ
ントロールユニットCUによって駆動制御されることに
より無段変速機40の変速比が制御される。一方、車両
には、ロータリ式ポテンショメータ等から構成されてエ
ンジン10のスロットル開度TVOを検出するスロット
ル開度センサ51、前記トロイダル式無段変速機40の
出力ディスク43に接続された出力軸28の回転速度か
ら車速VSPを検出する車速センサ52、無段変速機40
の変速比を示す前記トラニオン45Aの傾転角φD を検
出する例えばスリット円板53aとこれに対抗するフォ
トインタプラタ53bで構成される傾転角センサ53、
前記トラニオン45Aの軸方向変位量を当該トラニオン
45Aと一体に移動する作動子54aの変位量LD で検
出する変位量センサ54、前記前後進切換機構15の入
力側に接続されている回転軸13の回転速度から無段変
速機40への入力回転数Ni を検出する入力回転数セン
サ55、及び走行路の勾配状態量として車体前後方向へ
の傾斜角θを検出する勾配センサ56が設けられてい
る。
【0030】このうち、走行路の傾斜角θを検出する勾
配センサ56には、例えば前記特開平1−148630
号公報に記載されるものが適用される。その詳細は当該
公報を参照されるものとして、原理のみを簡潔に説明す
ると、例えば前記車速VSPを時間微分して得られる車速
変化率αV と、走行路に平行な重力加速度の分力g・si
nθ(g:重力加速度,θ:走行路の傾斜角)との和
が、実際に車両に作用している加速度αS となるから、
この運動方程式を傾斜角θについて解いた出力が得られ
るようになっている。ここでは、上り勾配での傾斜角θ
が正値,下り勾配での傾斜角θが負値として出力され
る。勿論、前述の演算処理を後述するマイクロコンピュ
ータで行うことも可能である。
【0031】また、前記スロットル開度センサ51は、
エンジンのスロットル開度を電圧信号として検出するも
のであって、アクセルペダルの踏込み量を8段階に分割
し、このアクセルペダルの踏込み量が“0”である、即
ち、それと等価なスロットル開度が全閉状態である場合
を(1/8)とし、アクセルペダルの踏込み量が最大で
ある、即ち、それと等価なスロットル開度が全開状態で
ある場合を(8/8)として、当該スロットル開度に応
じたアナログ信号が出力されるようにしてある。
【0032】そして、前記コントロールユニットCU
は、図2に示すように、後述する変速比制御及びその他
の変速機能制御のための演算処理を司るマイクロコンピ
ュータ60と、前記電磁方向切換弁47を切換え駆動す
るための駆動回路61L,61Rとを備えている。前記
マイクロコンピュータ60は、前記各センサからの信号
を読込むためのA/D変換機能等を有する入力インタフ
ェース回路60aと、マイクロプロセサユニットMPU
等から構成される演算処理装置60bと、ROM,RA
M等を備えた記憶装置60cと、D/A変換機能等を有
する出力インタフェース開度60dとを備え、夫々通信
バスを通じて接続されている。そして、このマイクロコ
ンピュータ60では、例えば後述する図3の変速比制御
のための演算処理に従って、前記スロットル開度センサ
51からのスロットル開度TVO及び車速センサ52か
らの車速VSPに基づいて通常目標入力回転数Nimapを算
出設定すると共に、前記勾配センサ56からの傾斜角θ
に基づいて最小目標入力回転数Niminを算出設定し、こ
れらに基づいて前記トロイダル式無段変速機40で達成
すべき変速比Cを算出設定し、当該変速比Cを達成する
ために必要な制御信号CSUS,CSDSを出力する。
【0033】また、前記各駆動回路61L,61Rは、
前記マイクロコンピュータ60から出力されるアップシ
フト制御信号CSUS及びダウンシフト制御信号CS
DSを、夫々前記電磁方向切換弁47のソレノイドSL,
SRへの駆動信号に変換して出力する。次に前記マイク
ロコンピュータ60の演算処理装置60bで実行される
変速比制御のための主要たる演算処理について図3のフ
ローチャートを用いながら説明する。この演算処理は、
例えば10msec程度の所定サンプリング時間ΔT毎のタ
イマ割込みによって実行される。なお、このフローチャ
ートでは、特に通信のためのステップを設けていない
が、演算処理に必要なマップやプログラム,或いは所定
の演算式等は前記記憶装置60cのROMから随時読込
まれ、また演算により得られた算出値や各情報値は随時
記憶装置60cのRAMに記憶されるものとする。
【0034】この演算処理では、まずステップS1で前
記スロットル開度センサ51からのスロットル開度TV
O及び車速センサ52からの車速VSPを読込む。次いで
ステップS2に移行して、後述する図4のマイナプログ
ラムに従って目標入力回転数TNi を算出設定する。次
いでステップS3に移行して、前記ステップS1で読込
まれた前記出力軸28の回転速度を変換してなる車速V
SPを、当該出力軸28から出力側の減速比で除して当該
出力軸28の回転速度を出力回転数No として算出す
る。
【0035】次いでステップS4に移行して、前記ステ
ップS2で設定された目標入力回転数TNi を前記ステ
ップS3で算出された出力回転数No で除して、前記無
段変速機40で達成すべき変速比Cを算出する。次いで
ステップS5に移行して、前記ステップS4で算出され
た変速比Cに応じた前記トラニオン45A及び45Bの
目標傾転角φT を算出する。
【0036】次いでステップS6に移行して、前記傾転
角センサ53で検出された前記トラニオン45A及び4
5Bの実際の現在傾転角φD を読込む。次いでステップ
S7に移行して、前記目標傾転角φT と現在傾転角φD
との傾転角偏差Δφ(=φT −φD )からトラニオン4
5A及び45Bの軸方向の目標変位量LT を算出する。
【0037】次いでステップS8に移行して、前記変位
量センサ54で検出されたトラニオン45A及び45B
の軸方向への現在変位量LD を読込む。次いでステップ
S9に移行して、前記目標変位量LT と現在変位量LD
との変位量偏差ε(=LT −LD )を算出する。次いで
ステップS10に移行して、前記ステップS9で算出さ
れた変位量偏差εが正値なのか,“0”なのか,負値な
のかを判定し、当該変位量偏差εが正値である場合には
ステップS11に移行し、変位量偏差εが“0”である
場合にはステップS12に移行し、変位量偏差εが負値
である場合にはステップS13に移行する。
【0038】前記ステップS11では、アップシフト制
御信号CSUSを論理値“1”にセットし、ダウンシフト
制御信号CSDSを論理値“0”にセットしてからステッ
プS14に移行する。また、前記ステップS12では、
アップシフト制御信号CSUS及びダウンシフト制御信号
CSDSを共に論理値“0”にセットしてから前記ステッ
プS14に移行する。
【0039】また、前記ステップS13では、アップシ
フト制御信号CSUSを論理値“0”にセットし、ダウン
シフト制御信号CSDSを論理値“1”にセットしてから
前記ステップS14に移行する。前記ステップS14で
は、セットされたアップシフト制御信号CSUSを前記駆
動回路61Lに、ダウンシフト制御信号CSDSを前記駆
動回路61Rに夫々出力してからタイマ割込処理を終了
して所定のメインプログラムに復帰する。
【0040】次に前記図3の演算処理のステップS2で
実行されるマイナプログラムについて図4のフローチャ
ートを用いながら説明する。このマイナプログラムで
は、まずステップS21で前記勾配センサ56からの傾
斜角θを読込む。次いでステップS22に移行して、前
記図3の演算処理のステップS1で読込まれたスロット
ル開度TVO及び車速VSPを夫々パラメータとして用い
て、後段に詳述する図5の制御マップから通常目標入力
回転数Nimapを検索設定する。
【0041】次いでステップS23に移行して、前記図
3の演算処理のステップS1で読込まれた車速VSP及び
前記ステップS21で読込まれた傾斜角の絶対値|θ|
を夫々パラメータとして用いて、後段に詳述する図5の
制御マップから最小目標入力回転数Niminを検索設定す
る。次いでステップS24に移行して、前記ステップS
22で設定された通常目標入力回転数Nimapが前記ステ
ップS23で設定された最小目標入力回転数Nimin以下
であるか否かを判定し、当該通常目標入力回転数Nimap
が最小目標入力回転数Nimin以下である場合にはステッ
プS25に移行し、そうでない場合にはステップS26
に移行する。
【0042】前記ステップS25では、前記最小目標入
力回転数Niminを前記無段変速機40で達成すべき目標
入力回転数TNi に設定してから前記図3の演算処理の
ステップS3に移行する。また、前記ステップS26で
は、前記通常目標入力回転数Nimapを前記無段変速機4
0で達成すべき目標入力回転数TNi に設定してから前
記図3の演算処理のステップS3に移行する。
【0043】次に前記ステップS22及びステップS2
3で検索される図5の制御マップについて説明する。ま
ず、車速VSP及びスロットル開度TVOをパラメータと
し、通常目標入力回転数Nimapを設定するためにステッ
プS22で検索される制御マップは、車速VSPを横軸、
通常目標入力回転数Nimapを縦軸、スロットル開度TV
Oをパラメータとする通常の変速パターンの総合制御マ
ップと同等であり、原点を通る傾き一定の直線は変速比
が一定であると考えればよい。そして、例えば変速パタ
ーンの全領域において最も傾きの大きい直線は、車両全
体の減速比が最も大きい即ち最大変速比CHiを表し、逆
に最も傾きの小さい直線は、車両全体の減速比が最も小
さい即ち最小変速比CLOを表している。これに対して、
同等の車速VSPであっても、アクセルペダルの踏込み量
が大きく、その結果,スロットル開度TVOが大きいこ
とは、例えば加速力を必要とするとか、登坂路や向い風
抵抗等の走行負荷によってエンジンに要求される負荷が
大きい状態であるから、当該エンジンの回転数を増加さ
せてその出力(トルク)を大きくする必要があり、その
ために前記スロットル開度センサ51で検出された(1
/8)〜(8/8)のディジタル値からなるスロットル
開度TVOをパラメータとし、当該スロットル開度TV
O1〜TVO8の数値が大きくなるほど、通常目標入力
回転数Nimapが大きく設定されるようにしてある。
【0044】なお、車速VSPが或る変速比制御開始閾値
よりも小さい領域では、各シフトポジションのレンジに
関係なく、変速比(即ち変速パターン)は前記最大変速
比C Hiに固定される。つまり、この変速比制御開始閾値
は、自動変速機搭載車両で発生するクリープ状態の制御
上限値であると考えればよい。
【0045】また、ここでは詳述しないが、前記所謂L
レンジを選択したときの変速パターンは、例えば車速V
SP及びスロットル開度TVOに関わらず前記最大変速比
Hiに固定され、前記所謂2レンジを選択したときの変
速パターンは、前記最大変速比CHiと前記最小変速比C
LOよりも大きい2レンジ最小変速比との間の領域で車速
SP及びスロットル開度TVOに応じて設定される変速
比の経時的軌跡からなる制御曲線となる。
【0046】次に、前記車速VSP及び傾斜角の絶対値|
θ|をパラメータとし、最小目標入力回転数Niminを設
定するために、前記ステップS23で検索される制御マ
ップの原理及び作成手順について説明する。まず、図6
は、車速VSPを横軸にとり、スロットル開度TVOをパ
ラメータとし、車両の駆動力を縦軸に表した、所謂駆動
力性能曲線である。これに、例えば前記勾配センサ56
で検出される登坂路の正値の傾斜角θで当該車速VSP
維持するのに必要な駆動力特性曲線を重ねてゆく。この
とき、この登坂路駆動力特性曲線が、傾き一様の直線で
なく、車速VSPの増加と共に傾きが次第に大きくなるの
は、当該登坂路の走行負荷だけでなく、空気抵抗等のそ
の他の走行負荷が付加されるためである。
【0047】このようにしてスロットル開度−出力側駆
動力特性曲線と、走行路傾斜角−必要駆動力特性曲線と
を重ね合わせたら、図7に示すように所定の傾斜角θ
(この場合は傾斜角θ2 )における必要駆動力特性曲線
と、各スロットル開度TVOにおける出力側駆動力特性
曲線との交点に相当する車速VSPを走行付加相当車速と
して求める。そして、このときの各車速VSPとスロット
ル開度TVOとを図8に示すように、前記図5の車速V
SP−スロットル開度TVO−目標入力回転数Ni制御マ
ップ上にプロットし、それらのプロットを適宜補間しな
がら連結することによって、図5に示す傾斜角θ及び車
速VSPから最小目標入力回転数Niminを設定する特性曲
線を得る。このとき、当該走行路が登坂路であって前記
重力加速度の分力が車両後方に作用している場合であっ
ても、当該走行路が降坂路であって重力加速度の分力が
車両前方に作用している場合であっても、その傾斜角の
絶対値|θ|が同等であれば、ベクトルの向きに係わら
ず重力加速度の分力の絶対値も同等であり、この作用力
に抗して車両を当該車速に維持するための入力回転数N
iminも同等となるはずであるから、前記図5の車速−走
行路傾斜角−最小目標入力回転数の制御マップは、その
パラメータを走行路傾斜角の絶対値|θ|に置換するこ
とができる。つまり、この制御マップで検索される最小
目標入力回転数Niminは、登坂路,降坂路を問わず、当
該走行路で当該車速VSPを維持するために必要な無段変
速機40への入力回転数Ni の最小値となることが分か
る。ちなみに傾斜角の絶対値|θ|が“0”の目標入力
回転数特性曲線は、前記最小変速比曲線CLOに一致す
る。勿論、前記勾配センサ56で検出される傾斜角の絶
対値|θ|が完全なアナログ値,即ち連続値である場合
には、例えば前記図5に表示される離散型のデータを適
宜補間して、対応する最小目標入力回転数Niminを検索
或いは検出できるようにすることも可能である。
【0048】次に、本実施例で実行される前記図3及び
図4の変速比制御のための演算処理の作用について説明
する。今、車両が平坦で良好な直線走行路(傾斜角θ≒
0)を、アクセルペダルを或る程度踏込んでスロットル
開度TVOが前記ディジタル値(2/8)以上の状態
で、前記変速比制御開始閾値以上の次第に車速VSPを増
速しながら走行しているものとすると、図4の演算処理
のステップS22では現在の車速VSPとスロットル開度
TVOとに応じた通常目標入力回転数Nimapが検索設定
されるが、同ステップS21で読込まれる傾斜角θが
“0”であるために、同ステップS23で検索される最
小目標入力回転数特性曲線は前記最小変速比CLO曲線に
一致し、従って当該ステップS23では少なくとも前記
通常目標入力回転数Nimap以下の最小目標入力回転数N
iminが検索設定されることになるから、同ステップS2
4からステップS26に移行して、前記通常目標入力回
転数Nimapが無段変速機40で達成すべき目標入力回転
数TNi に設定される。
【0049】このとき、例えばスロットル開度TVOに
変化がなく、車速VSPだけがリニアに増速しているもの
とすると、前記通常目標入力回転数Nimapに設定される
目標入力回転数TNi は、図5に示すように次第にその
増加率が小さくなり、一方で図3の演算処理のステップ
S3で、車速VSPから算出される出力回転数No はリニ
アに増加するから、同ステップS4で算出される目標変
速比Cは次第に小さくなり、この変速比Cに基づいて、
同ステップS5で算出されるトラニオン45A及び45
Bの目標傾転角φT 及び同ステップS7で算出される目
標変位量LT が達成される。しかしながら、スロットル
開度TVO一定でエンジンの出力(トルク)が一定であ
る場合には、その車両駆動力は,車速VSPの増加に伴っ
て増加する空気抵抗等の走行負荷で消費されるため、や
がてスロットル開度TVOを一定とした定速走行状態と
なる。
【0050】このような定速走行状態になると、前記図
3の演算処理のステップS3で、車速VSPから算出され
る出力回転数No は一定値となり、また、車速VSPやス
ロットル開度TVOが変化しない限り、前記通常目標入
力回転数Nimapに設定された目標入力回転数TNi も一
定値となるから、同ステップS4で算出される目標変速
比Cも変化せず、目標傾転角φT と現在傾転角φD が一
致することになるので、同ステップS7で算出される傾
転角偏差Δφも“0”となり、これに応じて目標変位量
T も“0”となり、トロイダル式無段変速機40が変
速動作をしていないので、変位量センサ54で検出され
る変位量検出値LD が“0”となって同ステップS9で
算出される変位量偏差εも“0”となり、従って同ステ
ップS10からステップS12に移行してアップシフト
制御信号CSUS及びダウンシフト制御信号CSDSが共に
論理値“0”に設定され、これがステップS14で駆動
回路61L,61Rに出力される。この結果、電磁方向
切換弁47の電磁ソレノイドSL及びSRの励磁電流が
遮断状態を維持することにより、この電磁方向切換弁4
7はノーマル位置を維持し、トラニオン45A及び45
Bが軸方向の中立位置に保持されて、変速動作を行うこ
となく現在の変速比を維持して定速走行状態を継続す
る。
【0051】しかしながら、この平坦で良好な走行路
で、前記定速走行状態からアクセルペダルの踏込み量を
増加させて加速状態に移行すると、これに応じてスロッ
トル開度TVOが増加することにより、前記図4の演算
処理のステップS22で前記図5の制御マップを参照し
て検索設定される通常目標入力回転数Nimapが増加方向
に変化し、一方、勾配センサ56で検出される傾斜角θ
は未だ“0”であるので、前記と同様に少なくとも前記
通常目標入力回転数Nimapより小さい最小目標入力回転
数Niminが検索設定されるから、最終的にはステップS
26で当該通常目標入力回転数Nimapが無段変速機40
で達成すべき目標入力回転数TNi に設定される。しか
し、未だ車速VSPが十分に増速する以前に前記図3の演
算処理のステップS3で算出される出力回転数No は小
さいままであるから、同ステップS4で算出される目標
変速比Cは大きくなり、これに伴って同ステップS5で
算出されるトラニオン45A及び45Bの目標傾転角φ
T がダウンシフト方向に減少することになり、同ステッ
プS7では、これと現在傾転角φD との偏差Δφが負値
の領域で減少し、これに応じて目標変位量LT が負値の
領域で減少し、そのときの現在変位量LD が“0”であ
るので、同ステップS9で算出される変位量偏差εが負
値となり、同ステップS10からステップS13に移行
して、ダウンシフト制御信号CSDSが論理値“1”に設
定され、アップシフト制御信号CSUSが論理値“0”に
維持される。このため、駆動回路61Rから所定値の励
磁電流が前記電磁方向切換弁47の右方電磁ソレノイド
SRに出力され、これによって当該電磁方向切換弁47
が右オフセット位置に切換えられる。これに応じて、流
体圧ポンプ48から出力される作動流体圧が流体圧シリ
ンダ46b及び46dに供給されることにより、トラニ
オン45A及び45Bと入出力ディスク42及び43の
回転力とによって当該トラニオン45A及び45Bが減
速側に傾転して、変速比が目標変速比Cに合致するよう
にダウンシフト変速制御される。
【0052】そして、前記傾転角センサ53で検出され
る現在傾転角φD が目標傾転角φTに一致すると、その
偏差Δφが“0”となることにより、目標変位量LT
“0”となり、これによって前記図3の演算処理ではス
テップS10からステップS12に移行して、アップシ
フト制御信号CSUS及びダウンシフト制御信号CSDS
共に論理値“0”に設定し、これに応じて駆動回路61
L及び61Rから励磁電流の出力が停止されることによ
り、前記電磁方向切換弁47がノーマル位置に復帰し、
前記流体圧シリンダ46b及び46dへの作動流体圧の
供給が停止される。しかしながら、この状態では、流体
圧シリンダ46b及び46dの内圧が高い状態に維持さ
れているため、トラニオン45A及び45Bは中立位置
から変位した状態を維持するので、当該トラニオン45
A及び45Bは更に減速側に傾転することになる。
【0053】この状態となると、目標傾転角φT に対し
て現在傾転角φD が大きな値となって、その偏差Δφが
正値となり、これに応じて目標変位量LT が正値とな
り、これによって前記図3の演算処理ではステップS1
0からステップS11に移行して、アップシフト制御信
号CSUSが論理値“1”に設定され、ダウンシフト制御
信号CSDSは論理値“0”に維持される。このため、電
磁方向切換弁47の左方電磁ソレノイドSLが励磁状態
となって、当該電磁方向切換弁47は左オフセット位置
に切換えられ、これによって流体圧シリンダ46b及び
46dの内圧が低下され、これらの代えて他の流体圧シ
リンダ46a及び46cの内圧が上昇し、これによって
トラニオン45A及び45Bが直ちに中立位置に移動
し、変位量偏差εに応じた分だけ僅かに増速側に変位
し、これによって当該トラニオン45A及び45Bが増
速側に僅かに傾転し、結局、現在傾転角φD と目標傾転
角φT とは一致したときにトラニオン45A及び45B
が中立位置に復帰されて、変速動作を終了する。
【0054】逆に、同じ平坦で良好な走行路において、
前記定速走行状態からブレーキペダルを踏込む等のため
にアクセルペダルを解放すると、これに応じてスロット
ル開度TVOが減少し、最小で前記ディジタル値(1/
8)となることにより、前記図4の演算処理のステップ
S22で前記図5の制御マップを参照して検索設定され
る通常目標入力回転数Nimapが、最小で前記最小変速比
LOを満足する値まで減少し、一方、勾配センサ56で
検出される傾斜角θは未だ“0”であるので、前記と同
様に少なくとも前記通常目標入力回転数Nimapより小さ
い最小目標入力回転数Niminが検索設定されるから、最
終的にはステップS26で当該通常目標入力回転数N
imapが無段変速機40で達成すべき目標入力回転数TN
i に設定される。しかし、未だ車速VSPが十分に減速す
る以前に前記図3の演算処理のステップS3で算出され
る出力回転数No は大きいから、同ステップS4で算出
される目標変速比Cは小さくなり、これに伴って同ステ
ップS5で算出されるトラニオン45A及び45Bの目
標傾転角φT がアップシフト方向に増加することにな
り、同ステップS7では、これと現在傾転角φD との偏
差Δφが正値の領域で増加し、これに応じて目標変位量
T が正値の領域で増加し、そのときの現在変位量LD
が“0”であるので、同ステップS9で算出される変位
量偏差εが正値となり、同ステップS10からステップ
S11に移行して、アップシフト制御信号CSUSが論理
値“1”に設定され、ダウンシフト制御信号CSDSが論
理値“0”に維持される。このため、駆動回路61Lか
ら所定値の励磁電流が前記電磁方向切換弁47の左方電
磁ソレノイドSLに出力され、これによって当該電磁方
向切換弁47が左オフセット位置に切換えられる。これ
に応じて、流体圧ポンプ48から出力される作動流体圧
が流体圧シリンダ46a及び46cに供給されることに
より、トラニオン45A及び45Bと入出力ディスク4
2及び43の回転力とによって当該トラニオン45A及
び45Bが増速側に傾転して、変速比が目標変速比Cに
合致するようにアップシフト変速制御される。
【0055】そして、ブレーキペダルを踏込む等の明確
な減速操作がない限り、アクセルペダルの解放に伴っ
て、やがて無段変速機40の変速比Cは前記最小変速比
LO一定となり、このときエンジン10の回転数は当該
車速VSPで可能な最小回転数まで減少し、同時にその出
力(トルク)も低下するから、強大な制動力を得ること
はできないが、適切なエンジンブレーキ力を伴いなが
ら、円滑で良好なコースト走行,所謂惰性走行が実現さ
れる。また、このときブレーキペダルを踏込むなどして
明確な減速操作を行うと、一旦、無段変速機40の変速
比Cは前記最小変速比CLO一定となるが、車速VSPが或
る車速以下まで減速すると、図5の制御マップに最小ス
ロットル開度TVO1曲線で示すように、目標入力回転
数TNi は一定であっても前記変速比制御開始閾値に向
けて変速比Cが次第に大きくなるため、一定のエンジン
10の出力(トルク)は、路面が駆動輪を回転しようと
するトルクに対して、バックトルクとして有効に作用
し、これによりこのような低速走行時の減速効果を高め
ることができる。
【0056】一方、前述のような平坦路から登坂直線路
に移行すると、前記図4の演算処理のステップS21で
読込まれる傾斜角θが或る正値となり、従って同ステッ
プS22では前記と同様に当該車速VSP及びスロットル
開度TVOに応じた通常目標入力回転数Nimapが検索設
定されるが、同ステップS23では当該傾斜角の絶対値
|θ|(この場合は|θ|=θ)及び車速VSPに応じた
最小変速比CLOよりも大きい最小目標入力回転数Nimin
が検索設定される。このとき、運転者は登坂直線路であ
ることを認識できるから予めアクセルペダルを多く踏込
んでスロットル開度TVOは十分に大きくなっていると
すると、凡そ通常目標入力回転数Nimapの方が最小目標
入力回転数Niminよりも大きいから、同ステップS24
からステップS26に移行して前記通常目標入力回転数
imapが無段変速機40で達成すべき目標入力回転数T
i に設定される。従って、前記図3の演算処理では前
記ダウンシフト変速制御時と同様に変速比Cが大きくな
り、結果的にエンジン10の回転数が増加してその出力
(トルク)が大きくなり、当該登坂路で車両後方に作用
する重力加速度の分力に抗して、十分な加速力で当該登
坂路を走行することが可能となる。
【0057】この登坂直線路から同じく登坂屈曲路に至
る前に、例えばブレーキペダルを踏込むなどのためにア
クセルペダルを解放すると、図4の演算処理のステップ
S22で検索設定される通常目標入力回転数Nimapは、
最小で前記最小変速比CLOを満足する値まで減少してし
まうが、同ステップS23では傾斜角θが変化していな
いから少なくとも最小変速比CLOを満足する値よりも大
きい最小目標入力回転数Niminが検索設定される。この
とき、運転者がアクセルペダルを解放してから十分な時
間が経過しているとすると、少なくとも最小目標入力回
転数Niminの方が通常目標入力回転数Nimapより大きい
から、同ステップS24からステップS25に移行して
当該最小目標入力回転数Niminが無段変速機40で達成
すべき目標入力回転数TNi に設定される。従って、前
記図3の演算処理ではアクセルペダル解放直後から、少
なくとも通常目標入力回転数Nimapが最小目標入力回転
数Nimin以下となるまでの間は、前記アップシフト変速
制御時と同様に変速比Cが小さくなるが、当該通常目標
入力回転数Nimapが最小目標入力回転数Nimin以下とな
ってからは、少なくとも最小変速比CLOよりも大きな変
速比Cが維持され、結果的にスロットルバルブは閉じて
いるがエンジン10の回転数は高い状態となり、不必要
なエンジン回転数の減少が抑制されると共に、大きなエ
ンジンブレーキ力が作用して当該屈曲路手前での減速効
果が高まる。
【0058】更にこの登坂屈曲路を抜けて再び登坂直線
路に移行するために、再びアクセルペダルを大きく踏込
み、その結果、図4の演算処理のステップS22で検索
設定される通常目標入力回転数Nimapが、同ステップS
23で検索設定される最小目標入力回転数Niminより大
きくなると、同ステップS24からステップS26に移
行し、前記通常目標入力回転数Nimapが無段変速機40
で達成すべき目標入力回転数TNi に設定され、前記図
3の演算処理では前記ダウンシフト変速制御時と同様に
変速比Cが大きくなってゆく。このとき、アクセルペダ
ル踏込み直後から通常目標入力回転数Nimapが最小目標
入力回転数Niminを上回るまでの間は、エンジン10の
回転数は変化しないことになるが、このときもエンジン
10の回転数は、当該登坂路で加速力を維持するに足る
十分な出力を得られる回転数に維持されているから、ス
ロットルバルブが開かれることによる正の出力が当該エ
ンジンの回転数を増加させるために消費されることがな
く、通常目標入力回転数N imapが最小目標入力回転数N
iminを上回った以後は、当該エンジン10の回転数が速
やかに増加してその出力(トルク)が大きくなり、当該
登坂路で車両後方に作用する重力加速度の分力に抗し
て、十分な加速力で再び当該登坂路を走行することが可
能となると共に、この間のエンジン回転数の不必要な増
減を抑制して音振的にも有利となる。
【0059】また、前記平坦直線路から降坂直線路に移
行して、例えばブレーキペダルを踏込むなどのためや手
動変速機搭載車両の運転に習熟した運転者が当該変速比
でのエンジンブレーキ力を要求するなどのために、アク
セルペダルを解放すると、前記登坂屈曲路時と同様に、
図4の演算処理のステップS22で検索設定される通常
目標入力回転数Nimapは、最小で前記最小変速比CLO
満足する値まで減少してしまうが、同ステップS23で
は傾斜角の絶対値|θ|が或る正値となるから少なくと
も最小変速比CLOを満足する値よりも大きい最小目標入
力回転数Niminが検索設定される。このとき、運転者が
アクセルペダルを解放してから十分な時間が経過してい
るとすると、少なくとも最小目標入力回転数Niminの方
が通常目標入力回転数Nimapより大きいから、同ステッ
プS24からステップS25に移行して当該最小目標入
力回転数Niminが無段変速機40で達成すべき目標入力
回転数TNi に設定され、前記図3の演算処理ではアク
セルペダル解放直後から、少なくとも通常目標入力回転
数Nimapが最小目標入力回転数Nimin以下となるまでの
間は、前記アップシフト変速制御時と同様に変速比Cが
小さくなってエンジン10の回転数も減少するが、当該
通常目標入力回転数Nimapが最小目標入力回転数Nimin
以下となってからは、少なくとも最小変速比CLOよりも
大きな変速比Cが維持され、結果的にスロットルバルブ
は閉じているがエンジン10の回転数は高い状態とな
る。このときのエンジン10の回転数は、前述のように
当該降坂路の下り勾配で当該車速を満足するのに十分な
バックトルクを発生するために、大きなエンジンブレー
キ力が作用して当該屈曲路手前での減速効果が高まる。
【0060】以上より、本実施例は本発明のうち請求項
1又は2に係る無段変速機の制御装置を実施化したもの
であり、前記スロットル開度センサ51及び図3の演算
処理のステップS1が本発明の無段変速機の制御装置の
スロットル開度検出手段を構成し、以下同様に、前記車
速センサ52及び図3の演算処理のステップS1が車速
検出手段を構成し、前記勾配センサ56及び図4の演算
処理のステップS21が勾配状態量検出手段を構成し、
前記図4の演算処理のステップS23〜ステップS26
が目標入力回転数規制手段を構成し、前記図4の演算処
理全体が目標入力回転数制限手段を構成し、前記図4の
演算処理を含む図3の演算処理及び図2に示すコントロ
ールユニットCUが変速比制御手段を構成する。
【0061】次に、本発明の無段変速機の制御装置の第
2実施例を説明する。本実施例の基本的な車両構成は前
記図2に示す第1実施例のものと同様又はほぼ同様であ
るから、その詳細な説明を省略する。また、車両及び無
段変速機に設けられた各センサの構成及びその作用につ
いても前記第1実施例のそれと同様又はほぼ同様である
ために、その詳細な説明を省略する。また、無段変速機
の変速比制御を司るコントロールユニットの構成も、後
述する演算処理の一部を除いて、前記第1実施例のそれ
と同様又はほぼ同様であるために、その詳細な説明を省
略する。また、前記コントロールユニット内のマイクロ
コンピュータの演算処理装置で実行される変速比制御の
ための主要たる演算処理についても、前記図3のフロー
チャートに示す第1実施例のものと同様又はほぼ同様で
あるために、その詳細な説明を省略する。
【0062】次に前記図3の演算処理のステップS2で
実行される本実施例のマイナプログラムについて図9の
フローチャートを用いながら説明する。このマイナプロ
グラムでは、まずステップS121で前記勾配センサ5
6からの傾斜角θを読込む。次いでステップS122に
移行して、前記ステップS21で読込まれた傾斜角の絶
対値|θ|に応じた最小スロットル開度TVOmin を下
記1式に従って算出する。
【0063】 TVOmin =k・ sin|θ| ……… (1) 但し、kは予め設定された比例係数である。次いでステ
ップS123に移行して、前記ステップS122で算出
設定された最小スロットル開度TVOmin が、前記図3
の演算処理のステップS1で読込まれたスロットル開度
TVO以下であるか否かを判定し、当該最小スロットル
開度TVOmin がスロットル開度TVO以下である場合
にはステップS124に移行し、そうでない場合にはス
テップS125に移行する。
【0064】前記ステップS124では、前記読込まれ
たスロットル開度TVOをマップ検索用スロットル開度
TVOmap に設定してからステップS126に移行す
る。また、前記ステップS125では、前記算出設定さ
れた最小スロットル開度TVOmin をマップ検索用スロ
ットル開度TVOmap に設定してから前記ステップS1
26に移行する。
【0065】前記ステップS126では、前記マップ検
索用スロットル開度TVOmap 及び図3のステップS1
で読込まれた車速VSPを夫々パラメータとして用いて、
前記図5の制御マップから目標入力回転数TNi を検索
設定してから前記図3の演算処理のステップS3に移行
する。次に前記ステップS126で検索される図5の制
御マップについてであるが、基本的には前記第1実施例
での説明と同様であり、パラメータであるスロットル開
度TVOが前記マップ検索用スロットル開度TVOmap
に変更されており、検索設定される通常目標入力回転数
imapが無段変速機40で達成すべき目標入力回転数T
i に変更されているだけであるから、その詳細な説明
を割愛する。従って、図3の演算処理では、この制御マ
ップ検索で設定された目標入力回転数TNi に対して、
直接的に変速比制御を行うことになる。
【0066】次に前記ステップS122で算出される最
小スロットル開度TVOmin の算出原理及びその比例係
数kの設定手順等について説明する。前述のように或る
走行路の傾斜角の絶対値|θ|において、当該車速VSP
を維持するために必要な車両の駆動力,即ちエンジンの
出力(トルク)は、図7に示すように車速VSPの増加と
共に右上がりの曲線で表される。また、正の車両駆動
力,即ちエンジン出力(トルク)は、図6に示すように
スロットル開度TVOの増加と共に、ほぼ右下がりの曲
線で表される。そこで、前記図5の車速−スロットル開
度−目標入力回転数の制御マップで、無段変速機で達成
すべき目標入力回転数を検索設定する際に、前記図7に
示す駆動力特性曲線と登坂路駆動力特性曲線との交点の
スロットル開度となるように、パラメータとなるスロッ
トル開度を規制すれば、そのスロットル開度で検索設定
された駆動力を達成する目標入力回転数,即ち無段変速
機の変速比は、当該登坂路で車速VSPを維持するに足る
目標入力回転数であり且つ変速比であることになり、前
述のように降坂路でもこの原理が適用されることから、
前記スロットル開度の規制値を降坂路の傾斜角の絶対値
|θ|に応じて設定すれば、当該降坂路で車速VSPを維
持するのに足る目標入力回転数となり且つ変速比となる
ことになる。
【0067】そこで、車両に加減速力として作用するの
は前述のように走行路と平行な重力加速度の分力,即ち
sin|θ|であるから、前記図7に示す登坂路駆動力曲
線を直線近似できるように前記比例係数kを設定し、前
記1式に基づいて算出される最小スロットル開度TVO
min でスロットル開度TVOを規制すれば、前記図5の
車速−スロットル開度−目標入力回転数の制御マップで
検索設定される目標入力回転数TNi が、直接的に当該
登坂路或いは降坂路で車速VSPを維持する目標入力回転
数の最小値となることになる。ここで、実際の登坂路駆
動力特性曲線は、前述のように車速VSPの増加と共に大
きくなる空気抵抗等の影響から、車速V SPが増加するほ
ど傾きが大きくなり、これを直線近似することは当該空
気抵抗等の影響を無視することになるが、そのようにし
てもさほどの影響のないことが分かっている。但し、本
実施例では、前述のようにスロットル開度TVOを(1
/8)〜(8/8)のディジタル値で検出しているの
で、これと前記1式で算出される最小スロットル開度T
VOmin との整合がとれるように、前記比例係数kを設
定しなければならないことは言うまでもない。
【0068】次に、本実施例で実行される前記図3及び
図9の変速比制御のための演算処理の作用について説明
する。ここで、車両が平坦な良路(傾斜角θ≒0)を走
行しているときには、前記図9の演算処理のステップS
122で算出される最小スロットル開度TVOmin
“0”となり、如何なる場合も同同ステップS123か
らステップS124に移行して、検出されたスロットル
開度TVOがマップ検索用スロットル開度TVO map
設定されるから、実質的に同ステップS126で検索設
定される無段変速機40で達成すべき目標入力回転数T
i は、前記第1実施例の平坦路走行時に設定される通
常目標入力回転数Nimapと同様であるから、駆動回路や
無段変速機の変速動作を含めて、その詳細な説明を省略
する。
【0069】一方、前述のような平坦路から登坂直線路
に移行し、更に同じく登坂屈曲路に至る前にアクセルペ
ダルを解放すると、図9の演算処理のステップS122
で算出設定される最小スロットル開度TVOmin が、当
該登坂路の傾斜角の絶対値|θ|の正弦値に応じた或る
正値となるから、検出されているスロットル開度TVO
が前記最小スロットル開度TVOmin より小さくなる
と、同ステップS123からステップS125に移行し
てこの最小スロットル開度TVOmin がマップ検索用ス
ロットル開度TVOmap に設定され、同ステップS12
6ではこのマップ検索用スロットル開度TVOmap を用
いて、少なくとも前記最小変速比CLOを満足する値より
も大きい目標入力回転数が無段変速機40で達成すべき
目標入力回転数TNi に設定される。従って、前記図3
の演算処理ではアクセルペダル解放直後から、少なくと
も検出されるスロットル開度TVOが前記最小スロット
ル開度TVOmin より小さくなるまでの間は、前記アッ
プシフト変速制御時と同様に変速比Cが小さくなるが、
当該検出されるスロットル開度TVOが前記最小スロッ
トル開度TVOmin より小さくなってからは、少なくと
も最小変速比CLOよりも大きな変速比Cが維持され、結
果的にスロットルバルブは閉じているがエンジン10の
回転数は高い状態となり不必要なエンジン回転数の減少
が抑制されると共に、大きなエンジンブレーキ力が作用
して当該屈曲路手前での減速効果が高まる。
【0070】ここで若し前記スロットル開度TVOの最
小値規制がないとすると、前記図9の演算処理のステッ
プS126で検索設定される目標入力回転数TNi は、
最小で前記最小変速比CLOを満足する値まで減少してし
まい、結果的に無段変速機40では最小変速比CLOが達
成されてエンジン10の回転数が大幅に減少し、同時に
エンジンブレーキ力が小さくなって当該屈曲路手前での
減速効果が小さくなってしまう。
【0071】一方、この登坂屈曲路を抜けて再びアクセ
ルペダルを大きく踏込むと、図9の演算処理のステップ
S122で算出設定される最小スロットル開度TVO
min が検出されるスロットル開度TVOより小さくなる
から、同ステップS126では前記第1実施例の通常目
標入力回転数Nimapと等価な目標入力回転数が無段変速
機40で達成すべき目標入力回転数TNi に設定され、
前記図3の演算処理では前記ダウンシフト変速制御時と
同様に変速比Cが大きくなってゆく。このとき、アクセ
ルペダル踏込み直後からスロットル開度TVOが最小ス
ロットル開度TVOmin を上回るまでの間は、エンジン
10の回転数は変化しないことになるが、このときもエ
ンジン10の回転数は、当該登坂路で加速力を維持する
に足る十分な出力を得られる回転数に維持されているか
ら、スロットルバルブが開かれることによる正の出力が
当該エンジンの回転数を増加させるために消費されるこ
となく、その後は、当該エンジン10の回転数が速やか
に増加してその出力(トルク)が大きくなり、当該登坂
路で車両後方に作用する重力加速度の分力に抗して、十
分な加速力で再び当該登坂路を走行することが可能とな
る。
【0072】また、降坂直線路でアクセルペダルを解放
すると、図4の演算処理のステップS122では傾斜角
の絶対値|θ|から算出される最小スロットル開度TV
mi n が或る正値となるから、この最小スロットル開度
TVOmin は少なくとも最小変速比CLOを満足する検出
スロットル開度TVOよりも大きくなり、同ステップS
123からステップS125に移行して当該最小スロッ
トル開度TVOmin がマップ検索用スロットル開度TV
maP に設定され、同ステップS126では、このマッ
プ検索用スロットル開度TVOmaP に従って無段変速機
40で達成すべき目標入力回転数TNi が算出設定され
る。従って、前記図3の演算処理ではアクセルペダル解
放直後から、少なくとも検出されるスロットル開度TV
Oが最小スロットル開度TVOmin より大きくなるまで
の間は、前記アップシフト変速制御時と同様に変速比C
が小さくなってエンジン10の回転数も減少するが、検
出されるスロットル開度TVOが最小スロットル開度T
VOmin より大きくなってからは、少なくとも最小変速
比CLOよりも大きな変速比Cが維持され、結果的にスロ
ットルバルブは閉じているがエンジン10の回転数は高
い状態となる。このときのエンジン10の回転数は、前
述のように当該降坂路の下り勾配で当該車速を満足する
のに十分なバックトルクを発生するために、大きなエン
ジンブレーキ力が作用して当該屈曲路手前での減速効果
が高まる。
【0073】このように本実施例の無段変速機の制御装
置では、走行路の傾斜角,即ち走行路に平行に作用する
重力加速度の分力に抗して車速を維持するために必要な
スロットル開度に近似された最小スロットル開度で、無
段変速機で達成すべき目標入力回転数を検索或いは設定
するためのスロットル開度を規制することにより、前記
第1実施例と同様の効果を得ることができるだけでな
く、このようにすることで例えば前記走行路駆動力特性
曲線からなる制御マップを持たなくてよいことなどか
ら、演算処理におけるデータの備蓄量を小さくすること
ができ、同時に演算負荷を軽減することができるという
利点がある。
【0074】以上より、本実施例は本発明のうち請求項
1又は7に係る無段変速機の制御装置を実施化したもの
であり、前記スロットル開度センサ51及び図3の演算
処理のステップS1が本発明の無段変速機の制御装置の
スロットル開度検出手段を構成し、以下同様に、前記車
速センサ52及び図3の演算処理のステップS1が車速
検出手段を構成し、前記勾配センサ56及び図9の演算
処理のステップS121が勾配状態量検出手段を構成
し、前記図9の演算処理のステップS122〜ステップ
S125がスロットル開度規制手段を構成し、前記図9
の演算処理全体が目標入力回転数制限手段を構成し、前
記図9の演算処理を含む図3の演算処理及び図2に示す
コントロールユニットCUが変速比制御手段を構成す
る。
【0075】次に、本発明の無段変速機の制御装置の第
3実施例を説明する。本実施例の基本的な車両構成は前
記図2に示す第1実施例のものと同様又はほぼ同様であ
るから、その詳細な説明を省略する。また、車両及び無
段変速機に設けられた各センサの構成及びその作用につ
いても前記第1実施例のそれと同様又はほぼ同様である
ために、その詳細な説明を省略する。また、無段変速機
の変速比制御を司るコントロールユニットの構成も、後
述する演算処理の一部を除いて、前記第1実施例のそれ
と同様又はほぼ同様であるために、その詳細な説明を省
略する。また、前記コントロールユニット内のマイクロ
コンピュータの演算処理装置で実行される変速比制御の
ための主要たる演算処理についても、前記図3のフロー
チャートに示す第1実施例のものと同様又はほぼ同様で
あるために、その詳細な説明を省略する。
【0076】次に前記図3の演算処理のステップS2で
実行される本実施例のマイナプログラムについて図10
のフローチャートを用いながら説明する。但し、このマ
イナプログラムのステップS22からステップS26ま
では前記第1実施例の図4に示すマイナプログラムの各
ステップと全く同様であり、同ステップS21がステッ
プS21’に置換され、更に前記ステップS26以後
に、ステップS27〜ステップS31が付加されている
だけであるから、ここでは異なるステップについてのみ
説明する。
【0077】このマイナプログラムでは、まずステップ
S21’で前記勾配センサ56からの傾斜角θ及び入力
回転数センサ55からの現在入力回転数Ni を読込む。
また、前記ステップS25又はステップS26からは直
接メインプログラムに復帰せずにステップS27に移行
して、前記ステップS25又はステップS26で設定さ
れた目標入力回転数TNi が前記ステップS21’で読
込まれた現在入力回転数Ni より大きいか否かを判定
し、堂外目標入力回転数TNi が現在入力回転数Ni
り大きい場合にはステップS28に移行し、そうでない
場合には図3の演算処理のステップS3に移行する。
【0078】前記ステップS28では、前記スロットル
開度TVOが予め設定された比較的大きな所定値Aより
も大きいか否かを判定し、当該スロットル開度TVOが
所定値Aより大きい場合にはステップS29に移行し、
そうでない場合にはステップS30に移行する。前記ス
テップS30では、前記スロットル開度TVOが予め設
定された比較的小さな所定値Bよりも小さいか否かを判
定し、当該スロットル開度TVOが初手値Bより小さい
場合にはステップS31に移行し、そうでない場合には
図3の演算処理のステップS3に移行する。
【0079】前記ステップS31では、前記車速の微分
値,即ち車両加速度V' SPが“0”より大きく且つその
微分値である車両加速度変化率V" SPが“0”であるか
否か、即ち加速度が一定であるか否かを判定し、加速度
が一定である場合には図3の演算処理のステップS3に
移行し、そうでない場合には前記ステップS29に移行
する。
【0080】前記ステップS29では、前記ステップS
21’で読込まれた入力回転数Niを無段変速機40で
達成すべき目標入力回転数TNi に設定してから図3の
演算処理のステップS3に移行する。次に、本実施例で
実行される前記図3及び図9の変速比制御のための演算
処理の作用について説明する。
【0081】ここで、車両が平坦な良路(傾斜角θ≒
0)を走行しているときは、前記第1実施例と全く同様
の処理がなされるために、その詳細な説明を省略する。
また、登坂路や降坂路で前記ステップS26までで設定
される目標入力回転数TNi が現在入力回転数Ni 以下
である場合の基本的な作用も、前記第1実施例と全く同
様の処理がなされるために、その詳細な説明を省略し
て、異なる状況下での作用についてのみ詳述する。
【0082】一方、例えば前述のような登坂路走行中
に、当該登坂路の正値の傾斜角θが大きくなり、その結
果、前記ステップS25で規制される目標入力回転数T
i が現在の入力回転数Ni より大きくなり、運転者が
それに応じて、スロットル開度TVOが前記比較的大き
な所定値Aを上回る程度まで予めアクセルペダルを大き
く踏込んでいるときに、更にダウンシフト方向への変速
比制御が実行されると、エンジンの回転数が非常に増加
して違和感が生じる。そこで、前記図10の演算処理で
はステップS27からステップS28を経てステップS
29に移行し、目標入力回転数TNi を現在入力回転数
i に設定してしまう。従って、前記図3の演算処理で
は現在の変速比Cと現在入力回転数Ni が維持され、エ
ンジン回転数の大幅な増加が防止される。また、このよ
うなアクセルペダルの踏込み状態から更に加速力を得る
ために、運転者がダウンシフトを期待して一旦アクセル
ペダルを踏戻し、然る後、速やかにアクセルペダルを踏
込み、そのときのスロットル開度TVOが前記所定値A
以下であるときには、それまで維持されていた現在入力
回転数Ni でエンジンの回転数が未だ十分な出力(トル
ク)を発揮しているから、その後のダウンシフト方向へ
の変速比制御によってエンジンの回転数は速やかに増加
してその出力が増し、車両の加速度が増加する。
【0083】また、降坂路走行中にアクセルペダルを解
放して、スロットル開度TVOが前記比較的小さな所定
値Bより小さいときに、当該降坂路の負値の傾斜角の絶
対値|θ|が大きくなり、その結果、前記ステップS2
5で規制される目標入力回転数TNi が現在の入力回転
数Ni より大きくなると、そのままではダウンシフト方
向への変速比制御が実行されて、運転者がアクセルペダ
ルを踏込んでいないのに、入力回転数Ni ,即ちエンジ
ンの回転数が増加して乗員に違和感を与えてしまう。そ
こで、前記図10の演算処理では、このような場合にス
テップS27からステップS28を経て、更にステップ
S30からステップS31に移行し、ここで下り勾配に
よる加速度が一定でない場合にはステップS29に移行
して、目標入力回転数TNi を現在入力回転数Ni に設
定してしまう。従って、前記図3の演算処理では現在の
変速比Cと現在入力回転数Ni が維持され、運転者がア
クセルペダルを踏込んでいないのにエンジン回転数が増
加するという違和感が回避される。
【0084】一方、前記ステップS31で下り勾配によ
る加速度が一定である場合には、現在入力回転数Ni
り大きい目標入力回転数TNi がそのまま設定されるか
ら、図3の演算処理ではダウンシフト方向への変速比制
御が実行される。運転者は、例えば降坂路に差しかか
り、アクセルペダルを解放して一旦車速が低下し、それ
から下り勾配によって再び車速が加速してゆくときのよ
うな下り勾配による加速度一定条件下で、ダウンシフト
によるエンジンブレーキ力の増加を期待するから、前記
図10及び図3の演算処理では、運転者の所望するタイ
ミングでダウンシフトを実行して、所望するエンジンブ
レーキ力を得ることができる。
【0085】このように本実施例の無段変速機の制御装
置では、前記第1実施例の作用効果に加えて、ダウンシ
フトのタイミング,即ちエンジン回転数の増加タイミン
グを、車両走行状態やアクセルペダルの踏込み状態に応
じて適切に制御することができるから、不必要なエンジ
ン回転数の増減を抑制すると共に、乗員への違和感を回
避或いは抑制することができる。
【0086】以上より、本実施例は本発明のうち請求項
1乃至6に係る無段変速機の制御装置を実施化したもの
であり、前記スロットル開度センサ51及び図3の演算
処理のステップS1が本発明の無段変速機の制御装置の
スロットル開度検出手段を構成し、以下同様に、前記車
速センサ52及び図3の演算処理のステップS1が車速
検出手段を構成し、前記勾配センサ56及び図10の演
算処理のステップS21’が勾配状態量検出手段を構成
し、前記図10の演算処理のステップS23〜ステップ
S26が目標入力回転数規制手段を構成し、前記図10
の演算処理全体が目標入力回転数制限手段を構成し、前
記図10の演算処理を含む図3の演算処理及び図2に示
すコントロールユニットCUが変速比制御手段を構成す
る。
【0087】以上、上記各実施例は、無段変速機で達成
すべき目標回転数を勾配状態量検出値の絶対値に相当す
る走行負荷回転数以下とならないように制限するもので
あるが、前述のように当該走行負荷回転数よりも予め設
定した所定の小さな値分だけ低い回転数以下にならない
ように制限してもよい。また、上記各実施例はトロイダ
ル式無段変速機を基体としたものであるが、本発明はこ
れ以外のベルト式無段変速機などにも広く展開可能であ
ることは言うまでもない。
【0088】また、前記各実施例では、変速比制御コン
トローラをマイクロコンピュータで構築したものについ
てのみ詳述したが、これに限定されるものではなく、演
算回路等の電子回路を組み合わせて構成してもよいこと
は言うまでもない。
【0089】
【発明の効果】以上説明したように本発明の無段変速機
の制御装置によれば、走行路の勾配状態量検出値の絶対
値を用いることで、登坂路でも降坂路でも有効な走行負
荷回転数を設定し、この走行負荷回転数以下とならない
ように、無段変速機で達成すべき目標入力回転数を制限
し、この目標入力回転数が達成されるように当該無段変
速機の変速比(車両減速比)を制御することにより、屈
曲登坂路走行時の頻繁なアクセルペダルの踏込み,解放
の繰返しでも、エンジンの回転数が必要以上に増減しな
いから音振上好ましいばかりでなく、アクセルペダルの
解放状態から当該アクセルペダルを踏込んだ場合にも、
エンジンの回転数増加のためだけに当該エンジンの出力
(トルク)が大きく消費されることがないから、所望の
駆動力を容易に得ることができ、降坂路走行時には、当
該走行路の勾配状態量検出値の絶対値に応じて目標入力
回転数が大きく設定され、無段変速機の変速比(車両減
速比)が大きな変速比(減速比)に制御されてエンジン
の回転数も大きな回転数となり、十分なエンジンブレー
キ力を得ることができる。また、前記無段変速で達成す
べき目標入力回転数を、前記走行負荷回転数よりも予め
設定された小さな値分だけ低い回転数以下とならないよ
うに制限することにより、前述のようなエンジンブレー
キ力の効き過ぎ感を抑制することも可能となる。
【0090】また、登坂路を当該車速で上り続けるのに
足るエンジンの出力を得たり、降坂路を当該車速で下り
続けるのに足るエンジンブレーキ力を得たりする最小の
無段変速機の入力回転数を、予め設定された最小回転数
相関に基づいて、前記車速検出値及び勾配状態量検出値
の絶対値から目標入力回転数の最小制限値とし、この目
標入力回転数の最小制限値で無段変速機で達成すべき目
標入力回転数に規制することにより、無段変速機の変速
比(車両減速比),即ちエンジンの回転数を走行路の勾
配状態と車速とスロットル開度とに応じた好適な状態に
制御することができる。
【0091】また、スロットル開度検出値が所定値以上
であるときに、走行路の勾配状態の変化に応じて設定さ
れた目標入力回転数が入力回転数検出値以上となって
も、無段変速機で達成すべき目標入力回転数を当該入力
回転数検出値以下に制限することにより、運転者がアク
セルペダルを操作していないにも係わらず、走行路の勾
配状態量の変化による車速の変化分以上に実行されるダ
ウンシフト、即ちエンジン回転数の増加を回避して、乗
員への違和感をなくすことができる。
【0092】また、スロットル開度検出値が閉方向に変
化したときに、無段変速機で達成すべき目標入力回転数
を、当該スロットル開度変化前の入力回転数検出値に保
持することにより、運転者がアクセルペダルを踏戻して
いるにも係わらずに実行されるダウンシフト、即ちエン
ジン回転数の増加を回避して、乗員への違和感をなくす
ことができる。
【0093】また、スロットル開度検出値が開方向に変
化したときに、前記無段変速機で達成すべき目標入力回
転数を、設定された目標入力回転数及び前記入力回転数
検出値の双方以上に制限することにより、所望する駆動
力が速やかに得られるようにすることができる。また、
スロットル開度検出値が所定値以下で、走行路の勾配状
態の変化に応じて設定された目標入力回転数が入力回転
数検出値以上となるときには、車両加速度検出値が所定
以上で且つ加速度変化率検出値が所定値以下の加速度一
定状態となってから、無段変速機で達成すべき目標入力
回転数を、入力回転数検出値以上に設定することによ
り、運転者が所望するタイミングでダウンシフトを実行
してエンジン回転数を増加させ、適切なエンジンブレー
キ力を得ることができる。
【0094】また、或る勾配状態量(の絶対値)の走行
路を走破するのに必要なエンジンの出力(トルク)又は
エンジンブレーキ力を得ることのできるスロットル開度
の最小制限値で、変速相関を検索するためのパラメータ
であるスロットル開度を規制することにより、当該車速
で当該走行路を走破するのに足る無段変速機の変速比
(車両減速比),即ちエンジンの回転数を好適な状態に
制御することができ、しかも演算処理上の情報量を節減
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無段変速機の制御装置の基本構成図で
ある。
【図2】無段変速機の一例を示す構成図である。
【図3】図2のコントロールユニットで実行される無段
変速機の変速比制御の演算処理の一例を示すフローチャ
ートである。
【図4】図3の演算処理で目標入力回転数を得るために
実行されるマイナプログラムの第1実施例を示すフロー
チャートである。
【図5】図4の演算処理で検索される制御マップの一例
を示す説明図である。
【図6】駆動力特性の一例を示す説明図である。
【図7】勾配路で必要な駆動力特性の一例を示す説明図
である。
【図8】図5の制御マップの原理及び作成のための説明
図である。
【図9】図3の演算処理で目標入力回転数を得るために
実行されるマイナプログラムの第2実施例を示すフロー
チャートである。
【図10】図3の演算処理で目標入力回転数を得るため
に実行されるマイナプログラムの第3実施例を示すフロ
ーチャートである。
【符号の説明】
10はエンジン 12はフルードカップリング 13は回転軸 14は駆動軸 15は前後進切換機構 20は歯車減速機構 22は差動装置 42は入力ディスク 43は出力ディスク 44A,44Bは伝動ローラ 45A,45Bはトラニオン 46a〜46dは流体圧シリンダ 47は電磁方向切換弁 51はスロットル開度センサ 52は車速センサ 53は傾転角センサ 54は変位量センサ 55は入力回転数センサ 56は勾配センサ 60はマイクロコンピュータ 61L,61Rは駆動回路 CUはコントロールユニット
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16H 59:48 59:66

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スロットルバルブの開度を検出するスロ
    ットル開度検出手段と、車速を検出する車速検出手段
    と、予めスロットル開度及び車速を変数として車両に搭
    載された無段変速機への目標とする入力回転数を設定可
    能な変速相関を持ち、少なくとも当該変速相関に基づい
    て前記スロットル開度検出手段で検出されたスロットル
    開度検出値及び前記車速検出手段で検出された車速検出
    値から、前記無段変速機への目標入力回転数を設定し、
    設定された目標入力回転数を達成すべく当該無段変速機
    の変速比を制御する変速比制御手段とを備えた無段変速
    機の制御装置において、走行路の勾配状態量を検出する
    勾配状態量検出手段を備え、前記変速比制御手段は、前
    記無段変速機で達成すべき目標入力回転数を、前記勾配
    状態量検出手段で検出された勾配状態量検出値の絶対値
    に相当する走行負荷回転数或いは当該回転数よりも予め
    設定した所定値分低い回転数以下とならないように制限
    する目標入力回転数制限手段を備えたことを特徴とする
    無段変速機の制御装置。
  2. 【請求項2】 前記目標入力回転数制限手段は、予め車
    速及び走行路の勾配状態量を変数として前記無段変速機
    への入力回転数の最小制限値を設定可能な最小回転数相
    関を持ち、当該最小回転数相関に基づいて前記車速検出
    手段で検出された車速検出値及び勾配状態量検出手段で
    検出された勾配状態量検出値の絶対値から前記走行負荷
    回転数に相当する目標入力回転数の最小制限値を設定
    し、この目標入力回転数の最小制限値と、前記変速相関
    から設定された目標入力回転数とのうちの何れか小さく
    ない方を前記無段変速機で達成すべき目標入力回転数に
    設定する目標入力回転数規制手段を備えたことを特徴と
    する請求項1に記載の無段変速機の制御装置。
  3. 【請求項3】 無段変速機への入力回転数を検出する入
    力回転数検出手段を備え、前記目標入力回転数制限手段
    は、前記スロットル開度検出手段で検出されたスロット
    ル開度検出値が所定値以上で、走行路の勾配状態の変化
    により前記目標入力回転数規制手段で設定された目標入
    力回転数が、前記入力回転数検出手段で検出された入力
    回転数検出値以上となるときに、前記無段変速機で達成
    すべき目標入力回転数を当該入力回転数検出値以下とな
    る入力回転数に制限することを特徴とする請求項2に記
    載の無段変速機の制御装置。
  4. 【請求項4】 前記目標入力回転数制限手段は、前記ス
    ロットル開度検出手段で検出されたスロットル開度検出
    値が閉方向に変化したとき、前記無段変速機で達成すべ
    き目標入力回転数を、前記入力回転数検出手段で検出さ
    れたスロットル開度変化前の入力回転数検出値に保持す
    ることを特徴とする請求項3に記載の無段変速機の制御
    装置。
  5. 【請求項5】 前記目標入力回転数制限手段は、前記ス
    ロットル開度検出手段で検出されたスロットル開度検出
    値が開方向に変化したとき、前記無段変速機で達成すべ
    き目標入力回転数を、前記入力回転数検出手段で検出さ
    れた入力回転数検出値と、前記目標入力回転数規制手段
    で設定された目標入力回転数とのうちの小さい方以上と
    なる入力回転数に制限することを特徴とする請求項4に
    記載の無段変速機の制御装置。
  6. 【請求項6】 車両の加速度を検出する車両加速度検出
    手段と、車両の加速度の変化率を検出する加速度変化率
    検出手段とを備え、前記目標入力回転数制限手段は、前
    記スロットル開度検出手段で検出されたスロットル開度
    検出値が所定値以下で、走行路の勾配状態の変化により
    前記目標入力回転数規制手段で設定された目標入力回転
    数が、前記入力回転数検出手段で検出された入力回転数
    検出値以下から当該入力回転数検出値以上となるときに
    は、前記車両加速度検出手段で検出された車両加速度検
    出値が所定以上で且つ前記加速度変化率検出手段で検出
    された加速度変化率検出値が所定値以下となるまで、前
    記無段変速機で達成すべき目標入力回転数を、前記入力
    回転数検出値を以下となる入力回転数に制限することを
    特徴とする請求項2乃至5の何れかに記載の無段変速機
    の制御装置。
  7. 【請求項7】 前記目標入力回転数制限手段は、前記勾
    配状態量検出手段で検出された勾配状態量検出値の絶対
    値からスロットル開度の最小制限値を設定し、このスロ
    ットル開度の最小制限値と前記スロットル開度検出手段
    で検出されたスロットル開度検出値とのうちの何れか小
    さくない方を、前記変速相関から目標入力回転数を設定
    するスロットル開度の変数に設定するスロットル開度規
    制手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の無段
    変速機の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102906468A (zh) * 2009-12-02 2013-01-30 托罗特拉克(开发)有限公司 用于车辆传动系的控制系统
CN114183258A (zh) * 2021-12-07 2022-03-15 潍柴动力股份有限公司 一种采用闭式行走系统的车辆下坡制动方法及车辆

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CN114183258A (zh) * 2021-12-07 2022-03-15 潍柴动力股份有限公司 一种采用闭式行走系统的车辆下坡制动方法及车辆
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