JPH0832784B2 - ポリサルファイドポリマー、その製造方法、及びその硬化型組成物 - Google Patents

ポリサルファイドポリマー、その製造方法、及びその硬化型組成物

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JPH0832784B2
JPH0832784B2 JP10946190A JP10946190A JPH0832784B2 JP H0832784 B2 JPH0832784 B2 JP H0832784B2 JP 10946190 A JP10946190 A JP 10946190A JP 10946190 A JP10946190 A JP 10946190A JP H0832784 B2 JPH0832784 B2 JP H0832784B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はポリサルファイドポリマー及びその製造方法
に関し、特に可塑剤との相溶性に優れ、かつ低分子量成
分が少ないポリサルファイドポリマー及びその製造方法
に関する。また本発明は、可塑剤の使用量が少ない配合
が可能であり、硬化物に塗料を塗った場合、塗膜への可
塑剤の移行が少ないため、塗膜が軟化せず、シーリング
材に好適な硬化型組成物に関する。さらに本発明は、エ
ポキシ樹脂の硬化剤として、硬化速度が速く耐水性の良
好な硬化物が得られるポリサルファイドポリマー及びそ
れを用いた硬化型組成物に関する。
〔従来の技術〕
1分子中に2個以上のチオール基を含むポリマーは、
酸化剤と混合すれば容易に硬化し、またチオール基はエ
ポキシ基、イソシアネート基等とも容易に反応して高分
子量化することから、シーリング材、塗料、接着剤等に
広く用いられている。
これらのチオール基含有ポリマーの中で、米国特許第
2,466,963号に記載されているポリサルファイドポリマ
ーは、優れた耐油性、耐薬品性、可とう性等をもつこと
から、シーリング材の原料として長年使用されている。
また、上記ポリサルファイドポリマーは、1分子中に2
個以上のエポキシ基を含むエポキシ樹脂とともに使用す
ることにより、エポキシ樹脂に可とう性を付与すること
ができる。
また特公昭56-15751号は、ポリサルファイドポリマー
と、メルカプトカルボン酸とポリ(オキシアルキレン)
ポリオールとのエステルポリマーからなる組成物を開示
している。
さらに本出願人らは先にポリサルファイドポリマーと
チオール基含有ポリエーテルポリマーからなる汎用の安
価な可塑剤との相溶性に優れ、シーリング材に好適な重
合体組成物を出願した(特願平1−271265号)。
〔発明が解決しようとする課題〕
ポリサルファイドポリマーは、分子中にポリサルファ
イド結合‐Sx‐(x=1〜5)の構造を含むため、極性
が高く、限られた可塑剤しか使用できない。即ち、汎用
の安価な可塑剤が使用できないため、シーリング材等の
配合物にする際、コストが高くなる。また、ポリマーの
分子量に比べ、粘度が高いため、配合物の作業性を良く
するためには可塑剤を多量に添加する必要がある。この
ため、ポリサルファイドポリマーによるシーリング材の
硬化物に塗料を塗布した場合、可塑剤のにじみだしによ
り塗膜を軟化させるという問題があった。
また特公昭56-15751号に記載されているポリマー組成
物においては、エステルポリマー中にジスルフィド結合
が含まれていないため、ポリサルファイドポリマーとの
相溶性が良好でない。このため、従来のポリサルファイ
ドポリマーに相溶する可塑剤しか使用できないという問
題があった。
一方、特願平1−271265号に記載されているポリサル
ファイドポリマーとチオール基含有ポリエーテルポリマ
ーからなる重合体組成物は、汎用の安価な可塑剤との相
溶性に優れており、かつ可塑剤の添加量を少なくでき
る。しかし、低分子量成分が多いため、酸化剤等で硬化
させた場合、硬化物の伸びが必ずしも十分ではない。
したがって本発明の目的は、可塑剤との相溶性を良く
するとともに、低分子量成分の少ないポリサルファイド
ポリマー及びそのポリサルファイドポリマーを製造する
方法を提供することである。
また、本発明のもう一つの目的は、このポリサルファ
イドポリマーに対する可塑剤の使用量を少なくすること
で、硬化物に塗料を塗っても塗膜が軟化しない硬化型組
成物を提供することである。
さらに本発明のもう一つの目的は、エポキシ樹脂とと
もに用いた場合、接着性、耐水性が良く、硬化速度の速
い硬化型組成物を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、ポリ
サルファイドポリマーの主鎖にポリエーテル鎖を導入し
たポリサルファイドポリマーは、ポリマーの極性が小さ
く、従来のポリサルファイドポリマーのみの場合に相溶
しなかった可塑剤と相溶するようになり、粘度も低下
し、可塑剤使用量を少なくすることができ、またその硬
化物に塗料を塗った場合に、塗膜への可塑剤の移行が減
少しており、汚染性が改良されることを見出した。ま
た、このポリサルファイドポリマーは分子量500以下の
低分子量成分が少く、このため、その硬化物の伸度が良
好であることを見出した。さらにこのポリサルファイド
ポリマーを、エポキシ樹脂とともに使用すると、低温で
迅速に硬化し、かつ、十分な接着強度と耐水性とを有す
ることを見出した。以上に基づき本発明に想到した。
すなわち本発明のポリサルファイドポリマーは、主鎖
中に、(i)−(R1O)n−(但し、R1は炭素数2〜4のア
ルキレン基、nは6〜200の整数を示す。)で表される
ポリエーテル部分と、 (ii)−(C2H4OCH2OC2H4-Sx)−及び −(CH2CH(OH)CH2-Sx)− (但し、xは1〜5の整数である。)で示される構造単
位とを含有し、 かつ末端に、 (iii)−C2H4OCH2OC2H4−SH及び/又は −CH2CH(OH)CH2−SH で示されるチオール基を有するポリサルファイドポリマ
ーであって、前記(i)のポリエーテル部分及び前記
(ii)の構造単位は任意の配列で結合しており、かつ前
記−(R1O)n−成分が2〜95重量%、前記(C2H4OCH2OC2H
4)成分が3〜70重量%、及び前記(CH2CH(OH)CH2)成
分が1〜50重量%であり、さらに600〜200,000の数平均
分子量を有することを特徴とする。
また本発明のこのポリサルファイドポリマーの製造方
法は、 (a)HS(C2H4OCH2OC2H4Sx)mC2H4OCH2OC2H4SH (但し、xは1〜5の整数であり、mは1〜50の整数
である。)で示されるポリサルファイドポリマーと、 (b)主鎖中に−(R1O)n−(但し、R1は炭素数2〜4の
アルキレン基、nは6〜200の整数を示す。)で表され
るポリエーテル部分と、 CH2CH(OH)CH2-Sx)− (但し、xは1〜5の整数である。)で示される構造
単位とを含有し、かつ末端に、 ‐CH2CH(OH)CH2‐SH で示されるチオール基を有するチオール基含有ポリエー
テルポリマーとを、 (a)/(b)=95/5〜5/95の重量比で、反応させるこ
とを特徴とする。
本発明のこのポリサルファイドポリマーのもう一つの
製造方法は、 (a)HS(C2H4OCH2OC2H4Sx)mC2H4OCH2OC2H4SH (但し、xは1〜5の整数であり、mは1〜50の整数
である。)で示されるポリサルファイドポリマーと、 (b)主鎖中に−(R1O)n−(但し、R1は炭素数2〜4の
アルキレン基、nは6〜200の整数を示す。)で表され
るポリエーテル部分と、2個以上の水酸基を有するポリ
オールにエピハロヒドリンを反応させて得られるハロゲ
ン末端プレポリマーと、 (c)MSH及び/又はM2Sx(但し、Mはアルカリ金属原
子であり、xは1〜5の整数を示す。)とを (a)/(b)=95/5〜5/95の重量比および、(a)+
(b)100重量部に対して(c)1〜50重量部として、
反応させることを特徴とする。
さらに本発明の硬化型組成物は、 (A)上記ポリサルファイドポリマーと、 (B)酸化剤と を含有することを特徴とする。
また本発明のもう一つの硬化型組成物は、 (A)上記ポリサルファイドポリマーと、 (C)分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキ
シ樹脂と、 (D)アミン類と を含有することを特徴とする。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明のポリサルファイドポリマーは、 (i)主鎖中に−(R1O)n−(但し、R1は炭素数2〜4の
アルキレン基、nは6〜200の整数を示す。)で表され
るポリエーテル部分と、 (ii)C2H4OCH2OC2H4-Sx 及びCH2CH(OH)CH2-Sx)− (但し、xは1〜5の整数である。)で示される構造単
位とを含有し、かつ末端に、 (iii)‐C2H4OCH2OC2H4‐SH 及び/又は‐CH2CH(OH)CH2‐SH で示されるチオール基を有するものである。
このポリサルファイドポリマー中において、(i)の
ポリエーテル部分と、(ii)で示される構造単位は、任
意の配列で結合しており、またその割合は、−(R1O)n
成分が2〜95重量%、(C2H4OCH2OC2H4)成分が3〜70
重量%、(CH2CH(OH)CH2)成分が1〜50重量%となる。
前記−(R1O)n−成分が2重量%未満では、可塑剤との
相溶性を改良する効果が乏しい。一方95重量%を超える
と、ポリマー硬化物の耐候性が悪くなる。
(C2H4OCH2OC2H4)成分が3重量%未満では、可塑剤
との相溶性を改良する効果が乏しく、一方70重量%を超
えると、ポリマーの硬化物の耐候性が悪くなる。
また、(CH2CH(OH)CH2)成分が1重量%未満では、可
塑剤との相溶性を改良する効果が乏しく、一方50重量%
を超えると、硬化物の耐水性が低下する。
またこのポリサルファイドポリマーの数平均分子量
(n)は、通常600〜200000であり、好ましくは800〜
50000である。
このような本発明のポリサルファイドポリマーは、 (a)HS(C2H4OCH2OC2H4Sx)mC2H4OCH2OC2H4SH (但し、xは1〜5の整数であり、mは1〜50の整数
である)で表されるポリサルファイドポリマー出発物質
と、 (b)主鎖中に−(R1O)n−で表されるポリエーテル部分
と、 CH2CH(OH)CH2-Sx)− で示される構造単位とを含有し、 かつ末端に、 ‐CH2CH(OH)CH2‐SH で示されるチオール基を有するチオール基含有ポリエー
テルポリマーとを、 (A)/(B)=95/5〜5/95の重量比で、反応させるこ
とにより得ることができる。
(a)上記ポリサルファイドポリマー出発物質は、下記
一般式(1): HS(C2H4OCH2OC2H4Sx)mC2H4OCH2OC2H4SH …(1) で表されるものである。
上記一般式中において、xは1〜5の整数である。m
は1〜50の整数である。
上記(a)ポリサルファイドポリマー出発物質は、室
温で流動性を有し、分子量が100〜200,000、好ましくは
400〜50,000である。
このようなポリサルファイドポリマー出発物質の好ま
しい例は米国特許第2,466,963号に記載されている。
また(b)のチオール基含有ポリエーテルポリマー
は、主鎖中に−(R1O)n−で示されるポリエーテル部分を
含有する。ここで、R1は炭素数2〜4のアルキレン基で
あり、nは6〜200の整数を示す。このようなポリエー
テル部分の分子量は400〜10000が好ましい。分子量が40
0未満では(a)のポリサルファイドポリマーと反応さ
せた場合に可塑剤との相溶性を改良する効果が少なく、
一方10000を超えるとポリマーの粘度が高くなるため好
ましくない。
また、この(b)チオール基含有ポリエーテルポリマ
ーは、その主鎖中に、 CH2CH(OH)CH2-Sx)− (上記一般式中において、xは1〜5の整数であり、好
ましくは約2である) で示される構造単位を含有し、かつ末端に、 ‐CH2CH(OH)CH2‐SH で示されるチオール基を有する。
(b)チオール基含有ポリエーテルポリマー中のポリ
サルファイド結合Sxの硫黄含量/チオール基含量の重量
比は、1.06以上であるのが好ましい。Sxの硫黄含量/チ
オール基含量の比が1.06未満ではポリサルファィド結合
の割合が少なく、(b)チオール基含有ポリエーテルポ
リマーは(a)ポリサルファイドポリマー出発物質との
相溶性が十分でなくなり、好ましくない。
このようなチオール基含有ポリエーテルポリマーの好
ましい例としては、特公昭47−48279号に記載されてい
る公知の方法で合成されるものを挙げることができる。
すなわちポリプロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール等のポリアルキレングリコールにエピクロロヒド
リン、エピブロモヒドリン等のエピハロヒドリンを付加
した後に、MSH(但し、MはNa、K等のアルカリ金属原
子を示す。)で表される水硫化ナトリウム、水硫化カリ
ウム等の水硫化アルカリ、及び/又はM2Sx(但し、Mは
Na、K等のアルカリ金属原子であり、xは1〜5の整数
を示す。)で表される多硫化ナトリウム、多硫化カリウ
ム等の多硫化アルカリと反応させることにより、下記一
般式(2)で表される官能基を有するポリエーテルポリ
マーが得られる。
このようにして得られるポリマーの主鎖には一部ポリ
スルフィド結合(但し、Sの重合数は1〜5である)が
含まれており、本発明の(b)チオール基含有ポリエー
テルポリマーとして好適である。
本発明の方法において、(a)ポリサルファイドポリ
マー出発物質と(b)チオール基含有ポリエーテルポリ
マーとの混合比は、重量比で、95/5〜5/95、好ましくは
90/10〜10/90である。ポリサルファイドポリマー出発物
質が全体の5重量%未満では、硬化物の耐候性が悪くな
る。また、チオール基含有ポリエーテルポリマーが5重
量%未満では、可塑剤との相溶性を改良する効果が少な
い。
また(a)ポリサルファイドポリマー出発物質と、
(b)チオール基含有ポリエーテルポリマーとの反応条
件は30〜150℃、好ましくは50〜120℃で、2〜48時間、
好ましくは4〜10時間攪拌すればよい。
(a)ポリサルファイドポリマー出発物質と、(b)チ
オール基含有ポリエーテルポリマーの反応は例えば下記
反応式(3): で示されるようなポリスルフィド結合の交換反応によ
り、(a)のポリサルファイドポリマー出発物質の主鎖
にポリエーテル鎖が導入されていくものである。その
際、上記副生物は例えば下記一般式(4): (式中、rは0〜2の整数を示す) で示される低分子量成分である。そこで、30〜150℃、
好ましくは50〜120℃で加熱すると、分子量分布が平均
化され、(4)式で示される低分子量成分(数平均分子
量500以下)を10重量%以下にすることができる。
また本発明のポリサルファイドポリマーは、前述の方
法においてチオール基含有ポリエーテルポリマーを合成
する際に、(a)のポリサルファイドポリマー出発物質
をあらかじめ添加しておくことにより、一段の反応で製
造することもできる。
すなわち、前述と同様の方法により、主鎖が‐(R1O)n
‐(但し、R1は炭素数2〜4のアルキレン基、nは6〜
200の整数を示す。)で表され、末端に2個以上の水酸
基を有するポリプロピレングリコール、ポリエチレング
リコール等のポリアルキレングリコールに、エピクロロ
ヒドリン、エポブロモヒドリン等のエピハロヒドリンを
付加して、ハロゲン末端プレポリマーを得、この末端を
水硫化アルカリ又は多硫化アルカリによりチオール化す
るが、その際に一般式(1): HS-(C2H4OCH2OC2H4-Sx)mC2H4OCH2OC2H4-SH …(1) (但し、xは1〜5の整数で、好ましくは約2であり、
mは1〜50の整数である。)で示されるポリサルファイ
ドポリマーを加えて同時に反応させる。
このような方法において、ハロゲン末端プレポリマー
と、ポリサルファイドポリマーとの重量比は、95/5〜5/
95、好ましくは90/10〜10/90である。ポリサルファイド
ポリマーが全体の5重量%未満では、硬化物の耐候性が
悪くなる。また、ハロゲン末端プレポリマーが5重量%
未満では、可塑剤との相溶性を改良する効果が少ない。
また上述の水硫化アルカリは、工業的に生産されている
フレーク状水硫化ナトリウムが好ましい。この水硫化ナ
トリウムは、純度約70%で微量の多硫化ナトリウム成分
を含有するものである。
上記(c)MSH及び/又はM2Sxの添加量は、通常
(a)+(b)100重量部に対して(c)1〜50重量
部、好ましくは、2〜35重量部である。(c)成分の添
加量が1重量部未満では、ハロゲン末端プレポリマーの
チオール化が十分でなく、また50重量部を超えると、ポ
リマーが合成中に著しく増粘するため好ましくない。
このポリサルファイドポリマーの製造方法による反応
は、ハロゲン末端プレポリマーをチオール化する際に、
ポリサルファイドポリマーも同時に加えることにより、
前述の製造方法の場合と同様に上述の(3)式の反応が
行われ、さらに(4)式のような低分子量成分の再分布
をも行わせることが可能となる。
また本発明においては、このようにして得られる新規
なポリサルファイドポリマーに、(B)酸化剤を添加す
ることにより常温で容易に硬化し、シーリング材、接着
剤等に好適な硬化型組成物とすることができる。
本発明において、(B)酸化剤としては、従来チオー
ル基含有ポリマーの硬化剤として用いられてきた物質が
使用できる。これらの酸化剤の具体例としては、ZnO2
FeO2、PbO2、MgO2、CaO2、BaO2、MnO2、TeO2、SeO2、Pb
3O4、SrO2、LiO2等の無機過酸化物、ZnO、FeO、PbO、Fe
2O3、Sb2O3、MgO、CoO、CaO、CuO、BaO等の無機酸化
物、Na2CrO4、K2CrO4、Na2Cr2O7、K2Cr2O7、NaClO4、Na
BO2・H2O2、K2C2O6、KMnO4、過炭酸ソーダ(2Na2CO3+3
H2O2)等の無機酸化剤、ベンゾイルパーオキサイド、ジ
クミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイ
ド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、t-ブチルパーベ
ンゾエート、過酢酸ソーダ、過酸化尿素等の有機過酸化
物、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、パラキノンジ
オキシム等の有機酸化剤等が挙げられるが、PbO2が最も
広く利用されている。本発明の硬化型組成物において、
これらの酸化剤の配合量は、酸化剤の種類によって異な
るが、一般的には、(A)の新規なポリサルファイドポ
リマー100重量部に対して、1〜50重量部であるのが好
ましい。
本発明の硬化型組成物には、さらに経済性、組成物を
施工する際の作業性及び硬化後の物性を改良する目的
で、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化チタン、シ
リカ等の充填材を添加することができる。また、本発明
の硬化型組成物は、ポリサルファイドポリマーのみの場
合には使用することができなかったジオクチルフタレー
ト(DOP)、ジヘプチルフタレート(DHP)等の安価なフ
タル酸エステルが相溶するため、これらを添加すること
が可能である。塩素化パラフィン、水添ターフェニル等
の可塑剤も添加することができる。なお、本発明による
ポリサルファイドポリマーとチオール基含有ポリエーテ
ルポリマーからなる重合体組成物は、ポリサルファイド
ポリマーのみの場合に比べて粘度が低いため、可塑剤の
添加量はポリマー100重量部に対して40重量部以下で
も、十分な作業性が得られる。
また、本発明による新規な(A)ポリサルファイドポ
リマーに、(C)1分子中に2個以上のエポキシ基を含
むエポキシ樹脂と、(D)アミン類とを配合することに
より、従来のポリサルファイドポリマーに比べて低温で
の硬化が速く、チオール基含有ポリエーテルポリマーの
みの場合に比べて可とう性を有し、十分な耐水接着性を
持った硬化物が得られる。
本発明で使用される(C)エポキシ樹脂としては、ビ
スフェノールA、ハロゲン化ビスフェノールA、ビスフ
ェノールF、ハロゲン化ビスフェノールF、レゾルシノ
ール、ハイドロキノン、ピロカテコール、4,4′‐ジヒ
ドロキシビフェニル、1,5-ヒドロキシナフタリンなどの
多価フェノールにエピクロロヒドリンを付加させて得ら
れるエポキシ樹脂、エチレングリコール、プロピレング
リコール、グリセリンなどの多価アルコールにエピクロ
ロヒドリンを付加させて得られるエポキシ樹脂、及びオ
キシ安息香酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸にエ
ポクロロヒドリンを付加させて得られるエポキシ樹脂な
どが挙げられる。
本発明で用いられる(D)アミン類は、エポキシ樹脂
にチオール基含有ポリマーを硬化剤として使用する際に
硬化促進剤として使われるものが好ましい。具体的に
は、N,N-ジメチルプロピルアミン、N,N,N′,N′‐テト
ラメチルヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族3級アミ
ン類、N-メチルピペリジン、N,N′‐ジメチルピペラジ
ンなどの脂環族3級アミン類、ベンジルジメチルアミ
ン、ジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6-トリス
(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの芳香族3級
アミン類などが挙げられる。
このような硬化型組成物において、(C)エポキシ樹
脂100重量部に対して、(A)新規なポリサルファイド
ポリマーが5〜100重量部、(D)アミン類が2〜30重
量部である。
〔実施例〕
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。
合成例1 プロピレングリコールにプロピレンオキサイドを付加
して得られる二官能性ポリプロピレングリコール(OH価
162)1000gと、278.3gのエピクロロヒドリンと、2.0gの
塩化第二錫五水塩とを2lの反応容器に仕込み、100℃で
3時間攪拌した。さらに、240.7gの水硫化ソーダ(純度
70%)を加え、1.5時間攪拌した。その後、塩を除去し
て淡黄色透明な液状ポリマーを得た。得られたポリマー
の硫黄含量は6.0重量%、チオール基含量は、4.3重量%
であった。得られたポリマーを13C−NMRで分析したとこ
ろ、ジスルフィド結合が存在することが確認された。
合成例2 グリセリンにプロピレンオキサイドを付加して得られ
る三官能性ポリプロピレングリコール(OH価394)1000g
と、715.9gのエピクロロヒドリンと、2.0gの塩化第二錫
五塩水とを2lの反応容器に仕込み、100℃で3時間攪拌
した。さらに、619.1gの水硫化ソーダ(純度70%)を加
え、1.5時間攪拌した。その後、塩を除去して淡黄色透
明な液状ポリマーを得た。得られたポリマーの硫黄含量
は12.0重量%、チオール基含量は9.6重量%であった。
得られたポリマーを13C−NMRで分析したところ、ジスル
フィド結合が存在することが確認された。
合成例3 プロピレングリコールにプロピレンオキサイドを付加
して得られる二官能性ポリプロピレングリコール(OH価
57.0)1000gと、98.9gのエピクロロヒドリンと、1.3gの
塩化第二錫五塩水とを2lの反応容器に仕込み、100℃で
3時間攪拌した。さらに、123mlの多硫化ソーダ(純度
2.2mol/l)と、41.6gの水硫化ソーダ(純度70%)を加
え、2時間攪拌した。その後、塩を除去して淡黄色透明
な液状ポリマーを得た。得られたポリマーのチオール基
含量は0.8重量%で、粘度は142ポイズ(25℃)であっ
た。
実施例1 合成例1で得たポリマー300gと、ポリサルファイドポ
リマー(東レチオコール(株)製、商品名“チオコール
LP55")300gを1の反応容器に仕込み、90℃で4時間
加熱攪拌したところ、チオール基含量3.2重量%、粘度6
0ポイズ(25℃)の褐色透明なポリマーが得られた。こ
のポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフィー
で分析したところ、数平均分子量が500以下の成分は6.5
重量%であった。
次に得られたポリマー20gに第1表に示す配合の硬化
剤3.5gを混合して、厚さ2mmの型に流し込み、20℃で20
時間養生してシート状硬化物を得た。このシート状硬化
物について、ASTM D 638−84TYPEIVの規格に従って、引
張り試験(引張り速度500mm/min)を行い、100%モジュ
ラス、破断強度及び伸びを測定した。また、JIS K 6301
に従ってA硬度を測定した。
結果を第2表に示す。
実施例2 合成例3で得たポリマー300gと、ポリサルファイドポ
リマー(東レチオコール(株)製、商品名“チオコール
LP55")300gを1の反応容器に仕込み、90℃で4時間
加熱攪拌したところ、チオール基含量1.07重量%、粘度
84ポイズ(25℃)の褐色透明なポリマーが得られた。こ
のポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフィー
で分析したところ、数平均分子量が500以下の成分は6.5
重量%であった。
また、このポリマーを用いて、実施例1と同様な方法
でシート状硬化物を作成し、100%モジュラス、破断強
度及び伸びを測定した。また、JIS K 6301に従ってA硬
度を測定した。
比較例1 合成例1で得られたポリマーとポリサルファイドポリ
マー(東レチオコール(株)製、商品名“チオコールLP
55")とを常温で重量比1/1に混合して得たポリマーにつ
いて、実施例1と同様にしてゲルパーミエーションクロ
マトグラフィーで分析したところ、数平均分子量が500
以下の成分は35.0重量%であった。
また、このポリマーを用いて、実施例1と同様な方法
でシート状硬化物を作成し、100%モジュラス、破断強
度、伸び及びA硬度を測定した。結果を第2表にあわせ
て示す。
実施例3 プロピレングリコールにプロピレンオキサイドを付加
して得られる二官能性ポリプロピレングリコール(OH価
162)1000gと、278.3gのエピクロロヒドリンと、2.0gの
塩化第二錫五水塩とを2lの反応容器に仕込み、100℃で
3時間攪拌した。さらに、240.7gの水硫化ソーダ(純度
70%)と、1278gのポリサルファイドポリマー(東レチ
オコール(株)製、商品名“チオコールLP55")を加
え、4時間攪拌した。その後、塩を除去して淡黄色透明
な液状ポリマーを得た。得られたポリマーをゲルパーミ
エーションクロマトグラフィーで分析したところ、数平
均分子量が500以下の成分は7.5重量%であった。
また、このポリマーを用いて、実施例1と同様な方法
でシート状硬化物を作成し、100%モジュラス、破断強
度、伸び及びA硬度を測定した。結果を第2表にあわせ
て示す。
実施例4 実施例1で得られたポリマーと、第3表に示す各種可
塑剤とを重量比10/5(ポリマー/可塑剤)で混合し、相
溶性を調べた。結果を第3表に示す。
実施例5 実施例2で得られたポリマーと、第3表に示す各種可
塑剤とを重量比10/5(ポリマー/可塑剤)で混合し、相
溶性を調べた。結果を第3表に示す。
実施例6 実施例3で得られたポリマーと、第3表に示す各種可
塑剤とを重量比10/5(ポリマー/可塑剤)で混合し、相
溶性を調べた。結果を第3表にあわせて示す。
比較例2 ポリサルファイドポリマー(東レチオコール(株)
製、商品名“チオコールLP55")と第3表に示す各種可
塑剤とを重量比10/5(ポリマー/可塑剤)で混合し、相
溶性を調べた。結果を第3表にあわせて示す。
実施例7 実施例1で得られたポリマーに可塑剤、充填剤を第4
表の割合で配合して主剤を得た。一方、PbO2(酸化剤)
と可塑剤、加硫助剤とを第5表に示す割合で配合して硬
化剤を得た。
この主剤、硬化剤を混合し、厚さ5mmの型に流し込
み、シート状硬化物を得た。このシート状硬化物を、20
℃で7日間養生後、表面に塩化ビニル樹脂を主成分とす
る塗料(関西ペイント(株)製“ビニボン”)、ポリア
クリル酸エステルを主成分とする塗料(関西ペイント
(株)製“ビニデラックス”、大同塗料(株)製、“ヘ
キダイン”)を塗布し、20℃で14日経過した後の各塗膜
の状態を観察した。
結果を第6表に示す。
実施例8 実施例2で得られたポリマーを用いて、実施例7と同
様にして硬化剤を作成し、塗料を塗布して、各塗膜の状
態を観察した。結果を第6表に示す。
実施例9 実施例3で得られたポリマーを用いて、実施例7と同
様にして硬化物を作成し、塗料を塗布して、各塗膜の状
態を観察した。
結果を第6表にあわせて示す。
比較例3 ポリマーとしてポリサルファイドポリマー(東レチオ
コール(株)製、商品名“チオコールLP55")を用い、
可塑剤としてブチルベンジルフタレートを使用し、酸化
剤を7.5重量部として、主剤硬化剤を混合し、厚さ5mmの
型に流し込み、シート状硬化物を得た。このシート状硬
化物に対して、実施例7と同様にして塗料を塗布して、
各塗膜の状態を観察した。
結果を第6表にあわせて示す。
実施例10及び比較例4、5 合成例2で得たポリマー600gと、ポリサルファイドポ
リマー(東レチオコール(株)製、商品名“チオコール
LP3")200gとを1の反応容器に仕込み、90℃で4時間
加熱攪拌したところ、チオール基含量8.4重量%、粘度1
28ポイズ(25℃)の褐色透明なポリマーが得られた。こ
のポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフィー
で分析したところ、数平均分子量が500以下の成分は9.6
重量%であった。
得られたポリマー80gに、ビスフェノールAタイプの
エポキシ樹脂(旭電化(株)製 商品名“EP-4100")10
0gと2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール
10gを混合し、冷間圧延鋼板(1.6×25×100mm)の間に
この混合物を挟み、20℃で14日間養生したもの、及び20
℃で7日後、水浸(20℃)で7日間養生したものについ
て、その引張りせん断接着強さを測定した。また、この
配合物を20gスケールで混合して20℃での硬化速度を測
定した。硬化の目安として流動性のなくなった時間をゲ
ルタイム、タックのなくなった時間をタックフリータイ
ムとして記録した。
結果を第7表に示す。
また、実施例7のポリマーの代わりにポリサルファイ
ドポリマー(東レチオコール(株)製、商品名“チオコ
ールLP3")を用いたものを比較例4とし、市販のチオー
ル基含有ポリエーテルポリマー(油化シェルエポキシ
(株)製 商品名“カップキュアー3-800LC")を用いた
ものを比較例5として、同じ配合で引張りせん断接着強
さと硬化速度を測定した結果を第7表にあわせて示す。
〔発明の効果〕 本発明の新規なポリサルファイドポリマーは、従来の
ポリサルファイドポリマーのみの場合では相溶し得なか
ったジオクチルフタレート(DOP)、ジヘプチルフタレ
ート(DHP)等の安価なフタル酸エステルが相溶するよ
うになり、しかもポリマーの粘度が低いため、可塑剤の
使用量を減らすことができる。さらに、酸化剤により硬
化させた硬化物の表面に塗料を塗布した際、可塑剤の移
行による塗膜の軟化が少なくなる。また、従来のポリサ
ルファイドポリマーとチオール基含有ポリエーテルを混
合したものに比べ本発明の製造方法によるポリマーは、
低分子量成分が少なく、酸化剤により硬化させた場合に
硬化物の伸度が良好となる。
さらに、エポキシ樹脂とアミン類とともに用いた場
合、低温での硬化が速く、かつ、十分な耐水接着性を有
する硬化物を与える。このような本発明の硬化型組成物
は、シーリング材、ポッティング材、接着剤等に使用す
るのに好適である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主鎖中に、(i)−(R1O)n−(但し、R1
    炭素数2〜4のアルキレン基、nは6〜200の整数を示
    す。)で表されるポリエーテル部分と、 (ii)−(C2H4OCH2OC2H4-Sx)−及び −(CH2CH(OH)CH2-Sx)− (但し、xは1〜5の整数である。)で示される構造単
    位とを含有し、 かつ末端に、 (iii)−C2H4OCH2OC2H4−SH及び/又は −CH2CH(OH)CH2−SH で示されるチオール基を有するポリサルファイドポリマ
    ーであって、前記(i)のポリエーテル部分及び前記
    (ii)の構造単位は任意の配列で結合しており、かつ前
    記−(R1O)n−成分が2〜95重量%、前記(C2H4OCH2OC2H
    4)成分が3〜70重量%、及び前記(CH2CH(OH)CH2)成
    分が1〜50重量%であり、さらに600〜200,000の数平均
    分子量を有することを特徴とするポリサルファイドポリ
    マー。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のポリサルファイドポリマ
    ーにおいて、前記ポリサルファイド結合Sxがジスルフィ
    ド結合であることを特徴とするポリサルファイドポリマ
    ー。
  3. 【請求項3】請求項1に記載のポリサルファイドポリマ
    ーの製造方法であって、 (a)HS(C2H4OCH2OC2H4Sx)mC2H4OCH2OC2H4SH(但し、
    xは1〜5の整数で、mは1〜50の整数である。)で示
    されるポリサルファイドポリマーと、 (b)主鎖中に−(R1O)n−(但し、R1は炭素数2〜4の
    アルキレン基、nは6〜200の整数を示す。)で表され
    るポリエーテル部分と、 −(CH2CH(OH)CH2-Sx)− (但し、xは1〜5の整数である。)で示される構造単
    位とを含有し、 かつ末端に、 −CH2CH(OH)CH2−SH で示されるチオール基を有するチオール基含有ポリエー
    テルポリマーとを、 (a)/(b)=95/5〜5/95の重量比で、反応させるこ
    とを特徴とする製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1に記載のポリサルファイドポリマ
    ーの製造方法であって、 (a)HS(C2H4OCH2OC2H4Sx)mC2H4OCH2OC2H4SH(但し、
    xは1〜5の整数で、mは1〜50の整数である。)で示
    されるポリサルファイドポリマーと、 (b)主鎖中に−(R1O)n−(但し、R1は炭素数2〜4の
    アルキレン基、nは6〜200の整数を示す。)で表され
    るポリエーテル部分と、2個以上の水酸基を有するポリ
    オールにエピハロヒドリンを反応させて得られるハロゲ
    ン末端プレポリマーと、 (c)MSH及び/又はM2Sx(但し、Mはアルカリ金属原
    子であり、xは1〜5の整数を示す。)とを (a)/(b)=95/5〜5/95の重量比および、(a)+
    (b)100重量部に対して(c)1〜50重量部として、
    反応させることを特徴とする製造方法。
  5. 【請求項5】(A)請求項1に記載のポリサルファイド
    ポリマーと、 (B)酸化剤と を含有することを特徴とする硬化型組成物。
  6. 【請求項6】請求項1に記載のポリサルファイドポリマ
    ーと、 (C)分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキ
    シ樹脂と、 (D)アミン類と を含有することを特徴とする硬化型組成物。
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