JPH08326630A - 燃料噴射式内燃機関 - Google Patents

燃料噴射式内燃機関

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JPH08326630A
JPH08326630A JP15716095A JP15716095A JPH08326630A JP H08326630 A JPH08326630 A JP H08326630A JP 15716095 A JP15716095 A JP 15716095A JP 15716095 A JP15716095 A JP 15716095A JP H08326630 A JPH08326630 A JP H08326630A
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JP
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fuel
injection
injector
piston
cylinder
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JP15716095A
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Takeo Yoshida
武雄 吉田
Takahiro Suzuki
隆広 鈴木
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Yamaha Motor Co Ltd
Original Assignee
Yamaha Motor Co Ltd
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    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B61/00Adaptations of engines for driving vehicles or for driving propellers; Combinations of engines with gearing
    • F02B61/02Adaptations of engines for driving vehicles or for driving propellers; Combinations of engines with gearing for driving cycles
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
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  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】噴射流のいわゆる貫徹力を燃料の拡散に必要と
される範囲で低く設定し、また燃料圧力を低く設定し、
小型軽量で、且つ安価である燃料噴射式内燃機関を提供
する。 【構成】シリンダヘッド23、シリンダボディ22及び
ピストン26により燃焼室29を形成し、シリンダ側壁
22aに掃気ポート及び排気ポート44を形成すると共
に、シリンダ側壁22aにインジェクタ61を取り付
け、このインジェクタ61から燃焼室29内に燃料を噴
射する燃料噴射式内燃機関において、インジェクタ61
から燃焼室29内に燃料を噴射する噴射速度を、10m
/s〜30m/sとしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、燃料噴射式内燃機関
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】燃料噴射式内燃機関では、例えばシリン
ダヘッド、シリンダボディ及びピストンにより燃焼室を
形成し、シリンダ側壁に掃気ポート及び排気ポートを形
成すると共に、シリンダ側壁にインジェクタを取り付
け、このインジェクタから燃焼室内に燃料を噴射するも
のがある。
【0003】例えば、特表平6−508670号公報に
開示される2サイクル点火式エンジンには、排気ポート
と対向する位置にインジェクタを配置し、噴射流が排気
ポート方向を指向し、噴射時期については排気ポートが
部分的に開く時から始めて、排気ポートが完全に閉じる
時に終了する開示、あるいは、低速時、排気ポー卜がほ
とんど閉じられるとともに噴射を開始する開示もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特表平6−5
08670号公報等には、燃料噴射の噴射流速度につい
て何ら記載がなく、特に、噴射期間中のインジェクタ内
の燃料圧力と燃焼室内圧力との差圧により噴射流速度が
定まる。
【0005】この噴射速度が遅いと、噴射流が燃焼室内
に広く拡散することが不可能となる。一方、噴射速度が
速くするためには、インジェクタ内の燃料圧力を高くす
る必要がある。このためには、燃料ポンプの昇圧能力を
高める必要があるが、その分燃料ポンプの重量が重くな
ったり、大きさが大きくなる。また、燃料ポンプからイ
ンジェクタまでの燃料供給路の耐圧性を高める必要があ
り、その分費用が嵩む等の課題がある。
【0006】この発明は、かかる点に鑑みなされたもの
で、噴射流のいわゆる貫徹力を燃料の拡散に必要とされ
る範囲で低く設定し、また燃料圧力を低く設定し、小型
軽量で、且つ安価である燃料噴射式内燃機関を提供する
ことを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決し、かつ
目的を達成するために、請求項1記載の発明は、シリン
ダヘッド、シリンダボディ及びピストンにより燃焼室を
形成し、シリンダ側壁に掃気ポート及び排気ポートを形
成すると共に、シリンダ側壁にインジェクタを取り付
け、このインジェクタから前記燃焼室内に燃料を噴射す
る燃料噴射式内燃機関において、前記インジェクタから
前記燃焼室内に燃料を噴射する噴射速度を、10m/s
〜30m/sとしたことを特徴としている。
【0008】請求項2記載の発明は、シリンダヘッド、
シリンダボディ及びピストンにより燃焼室を形成し、シ
リンダ側壁に掃気ポート及び排気ポートを形成すると共
に、シリンダ側壁にインジェクタを取り付け、このイン
ジェクタから前記燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射式
内燃機関において、前記インジェクタから前記燃焼室内
に燃料を噴射する燃料噴射時の噴射孔の上流部の圧力
を、300KPa〜1000KPaとしたことを特徴と
している。
【0009】
【作用】請求項1記載の発明では、インジェクタから燃
焼室内に燃料を噴射する噴射速度を、10m/s〜30
m/sとすることで、燃料噴射後、ピストン頂部に到達
するまでに十分な時間が確保でき、噴射燃料の気化が促
進できる。また、早くから燃料を噴射しても、燃料が排
気ポートへ侵入することが防止される。
【0010】さらに、ピストン頂部を指向させる噴射流
が掃気流により気筒内に発生するタンデム流により乱さ
れる程、遅くはないため、ピストン頂部での熱交換が可
能で、噴射燃料の気化がより促進できる。
【0011】請求項2記載の発明では、インジェクタか
ら前記燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射時の噴射孔の
上流部の圧力を、300KPa〜1000KPaとし、
この圧力により噴射速度を、10m/s〜30m/sと
することが可能である。
【0012】
【実施例】以下、この発明の燃料噴射式内燃機関につい
て説明する。図1乃至図6は燃料噴射式内燃機関を船外
機に搭載した実施例を示し、図1は燃料噴射式内燃機関
を船外機に搭載した実施例の1気筒分を主体とした概略
構成図、図2はシリンダ側壁噴射の燃料及び空気のフロ
ーチャート、図3は燃料噴射式内燃機関の1つの気筒上
部の縦断面図、図4は燃料噴射式内燃機関の横断面図、
図5は排気系を示す断面図、図6は燃料噴射式内燃機関
の平面図である。
【0013】図1において、符号1は乗り物である船舶
で、矢印Frは船舶1の進行方向前方を示している。な
お、後記する左右とは、前記前方に向っての方向をいう
ものとする。船舶1は船体2を有し、この船体2の船尾
には船外機3が着脱自在に取り付けられている。この船
外機3は、船尾に取り付けられるブラケット4と、この
ブラケット4に対し枢支軸5(Fr方向に直角水平に配
置される)により枢支される船外機本体6とで構成され
ている。船外機本体6は動力伝達装置8を備え、この動
力伝達装置8はその外殻を構成する伝動ケース9と、こ
の伝動ケース9内に収容される伝動機構とで構成され、
ブラケット4に対し枢支軸5により枢支されている船外
機本体6を構成するスイベルブラケット6aに対し、略
鉛直方向に配置される不図示の枢支軸により左右方向に
揺動可能な伝動ケ−ス9が枢支されている。また、船外
機本体6は燃料噴射式内燃機関である2サイクルのエン
ジン10を有し、このエンジン10は伝動ケース9の上
端に着脱自在に取り付けられて、下方はカバー11a
で、上方はカバー11bで開閉自在に覆われている。伝
動ケース9は、水中に向って下方に延び、この伝動ケー
ス9の下端に後方に伸びる不図示のシャフトが支承さ
れ、このシャフトにプロペラ14が取り付けられてい
る。エンジン10の出力部に、動力伝達装置8の伝動機
構を介してプロペラ14が連動するよう連結されてい
る。なお、13はプロペラに排気を導く、排気通路であ
る。
【0014】エンジン10は、第1気筒16、第2気筒
17および第3気筒18の複数(3つ)の気筒を備え、
これらは上下に積み重ねられている。エンジン10は、
各気筒16〜18に共通のクランクケース19及びシリ
ンダボディ22を有し、このクランクケース19とシリ
ンダボディ22の合わせ部には軸心がほぼ垂直の縦向き
のクランク軸20が収容され、このクランク軸20はク
ランクケース19及びシリンダボディ22に対しその軸
心回りに回転自在に支承されている。クランクケース1
9の後部に、各気筒16〜18のそれぞれのシリンダボ
ディ22が一体的に取り付けられている。また、これら
各シリンダボディ22の突出端にはシリンダヘッド23
が着脱自在に取り付けられている。シリンダボディ22
同士は互いに一体化されてシリンダブロック24を構成
し、シリンダヘッド23同士も互いに一体化されてい
る。
【0015】各シリンダボディ22は、その内部にそれ
ぞれ軸心が互いに平行に前後に延びるシリンダ孔25を
有し、これら各シリンダ孔25にピストン26が前後に
摺動自在に嵌入されている。これら各ピストン26は、
それぞれクランク軸20にコンロッド27により連結さ
れている。シリンダ孔25内でシリンダヘッド23とピ
ストン26とで囲まれた空間が「気筒内」に相当し、ピ
ストン26がシリンダヘッド23にある程度接近した状
態の「気筒内」が燃焼室29となる。シリンダヘッド2
3には、各燃焼室29に対応して各1つの点火プラグ3
0が取り付けられ、これら各点火プラグ30の放電部3
1が燃焼室29に臨んでいる。シリンダブロック24と
クランクケース19とで各気筒ごとにクランク室19a
が形成される。
【0016】クランクケース19の前面には各クランク
室19aとそれぞれ連通する吸気ポート33が3つ形成
され、これら各吸気ポート33にそれぞれリード弁34
が取り付けられている。また、これらリード弁34の前
面には、吸気マニホールド35、スロットル弁36aを
収容するスロットルボディ36および吸気サイレンサ3
7が順次連設されている。また、吸気サイレンサ37の
上端には後方に向って開口する入口管38が取り付けら
れ、カウリング開口510からの外気が吸入される。入
口管38、吸気サイレンサ37、スロットルボディ3
6、吸気マニホールド35およびリード弁34は、これ
らの各内部にそれぞれ設けられた吸気通路39によって
互いに連通させられ、かつ、これら各吸気通路39は吸
気ポート33に連通している。各スロットルボディ36
に設けられたスロットルレバー36bは連動手段40に
より互いに連結され、オペレータが操作部を操作すれ
ば、連動手段40を介し各スロットルレバー36bさら
にスロットル弁36aが互いに同期して、同じ開閉弁動
作を行うようになっている。
【0017】各シリンダ孔25の周りのシリンダボディ
22には、各シリンダ孔25についてそれぞれ掃気通路
41が形成されている。掃気通路41は、シリンダ孔2
5に開口する掃気ポート41a1を有する2個の主掃気
通路41aと、掃気ポート41b1を有する1個の副掃
気通路41bから構成され、主掃気通路41aの掃気ポ
ート41a1は対向する位置に形成され、副掃気通路4
1bの掃気ポート41b1は排気ポート44と対向する
位置に形成されている。これら各掃気通路41は、クラ
ンクケース19内を燃焼室29に連通させている。
【0018】シリンダブロック24の左側には排気マニ
ホールド42が取り付けられ、この排気マニホールド4
2内の第1排気通路43の一端側は複数(3つ)に分岐
し、各シリンダボディ22に形成された排気ポート44
を介し各燃焼室29内に開口している。一方、シリンダ
ブロック24と伝動ケース9との間には排気ガイド46
が介設され、この排気ガイド46内の第2排気通路47
と、第1排気通路43の他端側とが互いに連通させられ
ている。伝動ケース9内に第3排気通路48が形成さ
れ、この第3排気通路48の一端が第2排気通路47に
連通し、他端が円筒状の排気通路13であり、プロペラ
14内の排気通路に連通し、この排気通路の端部が排出
口506として水中に開口している。
【0019】エンジン10には、水冷式の冷却装置50
が設けられている。この冷却装置50は、シリンダヘッ
ド23とシリンダブロック24に形成される第1冷却水
ジャケット51と、排気マニホールド42に形成される
第2冷却水ジャケット52と、第2排気通路47を囲む
ように排気ガイド46に形成される第3冷却水ジャケッ
ト53と、第3排気通路48を囲むように伝動ケース9
に形成される第4冷却水ジャケット54とを備え、これ
ら各冷却水ジャケット51〜54は、直接に、もしくは
複数の冷却水連通路55を介して互いに連通している。
また、第4冷却水ジャケット54の下端は第3排気通路
48の下流側に連通している。
【0020】第1冷却水ジャケット51に対し海水など
の冷却水56を供給する水ポンプが設けられ、冷却水5
6は第1冷却水ジャケット51の内の排気マニホールド
外周部51a、第2冷却水ジャケット52、第1冷却水
ジャケット51の内のシリンダ上部外周部51b、同シ
リンダヘッド部51c、さらに53、54の各冷却水ジ
ャケットを順次通り抜け、かつ、第3排気通路48の下
流端を通って水中に排水され、この流れの途中で、第1
〜第3気筒16〜18を冷却する。
【0021】エンジン10には、燃料59を供給する燃
料供給装置60が設けられている。燃料供給装置60は
第1〜第3気筒16〜18に各1個づつ対応する複数
(3つ)のインジェクタ61を有し、これら各インジェ
クタ61はシリンダボディ22のシリンダ側壁22aに
着脱自在に取り付けられている。これらインジェクタ6
1は、シリンダ側壁22aから燃焼室29内に向って、
適宜燃料59を噴射する。各インジェクタ61に船体2
に配置される燃料タンク63内に溜められた燃料59を
吸引して船外機3内の燃料溜り(小タンク)であるベー
パーセパレータ67へ供給するクランク室19a内の圧
力変動により稼動する第1燃料ポンプ64と、このベー
パーセパレータ67の燃料59を加圧して供給する第2
燃料ポンプ65とが直列に設けられている。
【0022】燃料タンク63と第1燃料ポンプ64との
間にプライマリポンプ600が配置され、プライマリポ
ンプ600と第1燃料ポンプ64はホース側コネクタ6
01とカウリング側コネクタ602により接続される。
プライマリポンプ600は始動前に手動で燃料を送るた
めのものである。
【0023】また、第1燃料ポンプ64と第2燃料ポン
プ65の間には燃料フィルタ66とベーパーセパレータ
67とが直列に介設されている。ベーパーセパレータ6
7内にはニードル弁603とフロート604が設けら
れ、ベーパーセパレータ67内の燃料59が少なくなり
フロート604が所定レベル以下になるとニードル弁6
03が開き、燃料59が燃料タンク63側から供給され
る。第2燃料ポンプ65により燃料配送管605を介し
て各インジェクタ61に燃料59が供給される。燃料配
送管605にはインジェクタ61に供給される燃料59
の圧力を所定圧に調整する調圧器69が設けられ、噴射
されない燃料は燃料通路70により第2燃料ポンプ65
上流のベーパーセパレータ67に戻される。ベーパーセ
パレータ67で、燃料中の細かい気泡状の燃料蒸気ある
いは混入した空気が分離される。
【0024】各インジェクタ61は電磁式で、これを電
気的にオン(もしくはオフ)すれば、その期間だけ、燃
料59が燃焼室29内に噴射されるようになっている。
この燃料供給装置60のうち燃料タンク63からホース
側コネクタ601だけが船体2内に配置されており、他
のものは船外機3を構成している。
【0025】図1において、エンジン10を制御するた
めのエンジン制御装置73が設けられている。エンジン
制御装置73は電子的な制御装置本体74を備え、アク
チュエータとして機能する各点火プラグ30、インジェ
クタ61、第2燃料ポンプ65が、制御装置本体74に
電気的に接続されている。また、クランク軸20の上端
にはフライホイールマグネト75が取り付けられてい
る。フライホイールマグネト75は、直接もしくはバッ
テリを介して制御装置本体74に電力を供給するように
なっている。
【0026】エンジン10の駆動状態を検出する各種セ
ンサが設けられ、これらはいずれも制御装置本体74に
電気的に接続されている。即ち、センサとして、クラン
ク軸20の基準クランク角及び回転角を検出するクラン
ク角センサ76、クランクケース19内の圧力を検出す
るクランクケース内圧センサ77、各気筒16〜18の
いずれかの気筒の圧力を検出する筒内圧センサ78、気
筒16〜18内の状態を検出するノックセンサ79、吸
気通路39内の温度を検出する吸気温センサ80、スロ
ットルボディ36の開度を検出するスロットル開度セン
サ81が設けられている。なお、吸気通路39の圧力を
検出する吸気圧センサを設けても良い。
【0027】また、1つのシリンダボディ22の温度を
検出するシリンダ温度センサ82、第3排気通路48内
の上流側の圧力を検出する背圧センサ83、大気圧を検
出する大気圧センサ84、冷却水56の温度を検出する
冷却水温度センサ85、動力伝達装置8の前進、中立、
後退の間のシフト動作あるいは変速状態を検出するシフ
トセンサ86、枢支軸5回りの船外機3の上下回動位置
を検出するトリム角センサ87が設けられている。
【0028】また、各気筒16〜18には、O2センサ
90が設けられ、このO2センサ90はセンサ収客室9
1に配置され、ピストン26が下降しシリンダ側壁22
aのリリーフ弁孔92を通過すると燃焼ガス圧によりリ
リーフ弁93が開き、燃焼ガスがセンサ収客室91に入
る。O2センサ90が排気ガス中のO2濃度を検知し、こ
れに基づき燃焼室29での空燃比を算出する。センサ収
容室91の排気ガスは逆止弁94を通過して第1排気通
路43へ出る。エンジン10には、その他、スタータ9
5及びオイルタンク96が備えられている。
【0029】エンジン10の駆動時に、第1〜第3気筒
16〜18のそれぞれにおいて順次、ピストン26がク
ランク軸20側の下死点位置から燃焼室29側に移動す
ると、ピストン26によって掃気通路41の掃気ポート
41a1,41b1と第1排気通路43の排気ポート4
4とが順次閉じられる。また、このように、ピストン2
6が燃焼室29側に移動すると、クランクケース19内
のクランク室19aが負圧になる。すると、リード弁3
4、吸気ポート33内の吸気通路39、吸気マニホール
ド35、スロットルボディ36及び吸気サイレンサ37
が順次負圧になって、空気である外気97が吸気ポート
33から吸気通路39に吸入され、クランクケース19
内のクランク室19aに吸入される。これが「吸入過
程」である。
【0030】一方、掃気通路41の掃気ポート41a
1,41b1と第1排気通路43の排気ポート44とが
閉じられた後、更に、ピストン26が燃焼室29側へ移
動すれば、この燃焼室29に既に吸入されていた混合気
が圧縮される。これが「圧縮過程」である。
【0031】ピストン26が上死点に達する直前で、エ
ンジン制御装置73により制御された点火プラグ30の
放電部31の放電により、混合気が着火、燃焼させられ
て気体が膨張し、これにより、ピストン26が上死点を
越えた後クランク軸20側に押し戻される。これが「爆
発過程」である。
【0032】ピストン26のクランク軸20側への移動
により、クランクケース19内のクランク室19aに吸
入されていた空気が予圧縮される。なお、このときの圧
力でリード弁34は閉弁させられている。ピストン26
がクランク軸20側へ移動する途中で、まず、排気ポー
ト44が開かれる。すると、排気ポート44を通し、混
合気の既燃ガスである排気100が、排気ポート44を
通って排出される。これが「排気過程」である。
【0033】そして、排気100は第1排気通路43、
第2排気通路47、第3排気通路48、および排気通路
13内を順次通って水中に排出される。この場合、各気
筒16〜18を冷却した後の冷却水56が第4冷却水ジ
ャケット54と冷却水連通路55を通り、排気100と
共に上記水中に排出される。
【0034】ピストン26がクランク軸20側に移動し
て排気ポート44が開かれると、これに続いて掃気通路
41が開かれる。すると、前記したようにクランクケー
ス19内で予圧縮されていた吸気が掃気通路41を通っ
て燃焼室29に流入させられ、この吸気が燃焼室29に
残留している既燃ガスの一部を第1排気通路43に押し
出すと共に、空気が燃焼室29に充満する。これが「掃
気過程」である。排気過程の途中から掃気過程が始ま
り、掃気過程の途中で排気過程が終了するので、この2
つの過程を合わせて掃排気過程ともいう。そして、この
後、ピストン26は下死点位置に戻る。そして、掃気過
程の途中から圧縮過程の初期にかけての期間に燃料がイ
ンジェクタ61から噴射される。
【0035】この場合、掃気通路41を通って燃焼室2
9に流入した空気のいくらかは、第1排気通路43側に
吹き抜け、これは既燃ガスと混ざって排気100として
排出される。一方排出されず残留した既燃ガスが新気と
混ざり、この状態から、ピストン26が再び燃焼室29
側に移動し、以下、上記した各過程が繰り返されて、ク
ランク軸20が回転させられる。なお、燃料噴射は、下
記するように燃料の排気ポート44への侵入がないタイ
ミングで実施される。そして、このクランク軸20を通
しエンジン10が動力を出力し、この動力は動力伝達装
置8を介してプロペラ14を回転させ、被駆動体である
船1を航走可能とさせる。第1気筒16、第2気筒17
および第3気筒18は、この順序で、クランク角が12
0゜の位相差で駆動する。
【0036】図3において、ピストン26はスリーブ5
20に摺動可能に設けられ、このピストン26には第1
のリング溝26a及び第2のリング溝26bが上下に形
成され、第1のリング溝26aに第1のピストンリング
521が、第2のリング溝26bに第2のピストンリン
グ522が係合されている。シリンダ側壁22aにはイ
ンジェクタ61がキャップ523を介して設けられ、キ
ャップ523の前側と後側はそれぞれシール体524,
525でシールされている。インジェクタ61の先端部
61aはスリーブ520に形成されて開口部520aに
臨むように配置され、このインジェクタ61の取付位置
は次のように設定される。
【0037】シリンダ側壁22aのシリンダ周方向の
内、排気ポート44に対向する半分の領域、且つシリン
ダ長手方向で排気ポート44よりシリンダヘッド23寄
りにインジェクタ61を配置している。シリンダ上端2
2bより取付位置までの距離をAとし、下死点にピスト
ン26が位置する時のピストン頂部外周部までのシリン
ダ上端22bよりの距離をLとする時、ピストン外周に
少なくとも1つのピストンリングを嵌合させるリング溝
を設け、ピストン26が上死点にある時のシリンダ上端
22bよりリング溝の下端位置までの距離をRSとする
時、この実施例では、ピストン26が上死点にある時の
シリンダ上端22bより第1のピストンリング521が
嵌合する第1のリング溝26aの下端位置までの距離を
RSとする時、 RS<A<0.3L としている。
【0038】また、シリンダ上端22bより排気ポート
44までの距離をESとする時、 0.35ES<A<0.65ES としている。
【0039】このように、所定の位置にインジェクタ6
1を取り付けることで、爆発行程の初期においてピスト
ン26によりインジェクタヘの熱負荷を低下させつつ、
且つ、従来のものより、長い噴射可能域を確保可能であ
る。
【0040】また、インジェクタ61から上下2つの燃
料噴射が行なわれ、下向噴射流Xは、主にピストン26
の下死点から上死点ヘの上昇中のピストン頂部26c目
掛けて燃料が噴射され、上向噴射流Yは点火プラグ30
を指向して燃料噴射が行なわれる。このインジェクタ6
1からの噴射流Xがピストン頂部26cに衝突後反射飛
散し、ピストン頂部26cを冷却し、且つピストン頂部
26cで熱交換し気化が促進される。また、上向噴射流
Yは燃焼室29全体をできる限り均一混合気とする作用
があり、円滑な燃焼が可能である。
【0041】特に、始動時及び低負荷域においては、ピ
ストン温度が低く、スロットルバルブが絞られており掃
気流に起因する筒内流動も小さいので、X,Yの噴射流
のうち一方のみでは燃焼室29全体を均一混合気とする
ことは可能である。しかし、両噴射流X,Yにより均一
混合気を形成するので、より円滑な燃焼が可能である。
【0042】また、上向噴射流Yにより、始動時シリン
ダ上方部に配置される点火プラグ30まわりに確実に可
燃混合気を形成するので始動性が向上する。
【0043】インジェクタ61から燃焼室29内に燃料
を噴射する噴射速度を、10m/s〜30m/sとして
いる。即ち、噴射流X,Yの流速は、10m/s〜30
m/sとされる。噴射流X,Yのいわゆる貫徹力を燃料
の拡散に必要とされる範囲で低く設定し、また燃料圧力
を低く設定している。
【0044】また、インジェクタ61から燃焼室29内
に燃料を噴射する燃料噴射時の噴射孔の上流部の圧力
を、300KPa(キロパスカル)〜1000KPa
(キロパスカル)としている。
【0045】このように、インジェクタ61から燃焼室
29内に燃料を噴射する噴射速度を、10m/s〜30
m/sとすることで、燃料噴射後、ピストン頂部26c
に到達するまでに十分な時間が確保でき、噴射燃料の気
化が促進できる。また、早くから燃料を噴射しても、燃
料が排気ポート44へ侵入することが防止される。
【0046】さらに、ピストン頂部26cを指向させる
噴射流Xが掃気流により気筒内に発生するタンデム流に
より乱される程、遅くはないため、ピストン頂部26c
での熱交換が可能で、噴射燃料の気化がより促進でき
る。
【0047】また、インジェクタ61から燃焼室29内
に燃料を噴射する燃料噴射時の噴射孔の上流部の圧力
を、300KPa〜1000KPaとし、この圧力によ
り噴射速度を、10m/s〜30m/sとすることが可
能である。
【0048】インジェクタ61は副掃気ポート41b1
よりシリンダヘッド23寄りに配置され、反射前の下向
噴射流Xは排気ポート44方向、ピストン頂部26cを
指向しており、排気ポート44がピストン26で閉じら
れた後は確実にピストン頂部26cに当たり、ピストン
頂部26cで熱交換される。
【0049】下向噴射流Xの先端が排気ポート44に到
達する前に排気ポート44が閉じるように噴射開始タイ
ミングを設定している。下向噴射流Xの先端面をX1で
示す。下向噴射流Xの全てをピストン26が排気ポート
44を閉じる前にピストン頂部26cにぶつけるもので
は、跳ね返り後の噴射流の先端が排気ポート44に到達
する前に排気ポート44が閉じ、このように噴射開始の
タイミングは設定される。
【0050】このように、インジェクタ61の配置は、
噴射位置が従来技術よりシリンダヘッド23寄りであ
り、噴射はより長い距離を飛翔する。この間に、燃料は
燃焼室29内の熱的雰囲気と熱交換し、ピストン頂部2
6c等に衝突する前にも熱交換させることができる。
【0051】また、図4において、複数のシリンダ気筒
の中心軸を結ぶ平面に対し、インジェクタ61への燃料
分配管530を平行とし、かつ3つの気筒16〜18と
も同じ位置にインジェクタ61を配置している。
【0052】あるいは下気筒ほどインジェクタ61の配
置位置を下(クランク室寄り)としても良い。下気筒1
8ほどインジェクタ61の熱的負荷が大きくなり、よっ
て燃焼行程において長い時間ピストン26で覆うように
する。一方、少なくとも一番上気筒16は、インジェク
タ61の配置位置がRS<A<0.3Lとし、また0.
35ES<A<0.65ESとする。
【0053】また、副掃気ポート41b1と排気ポート
44を結ぶ方向を傾け、且つインジェクタ61も傾けて
おり、隣接する気筒の主掃気ポート41a1の干渉を避
けつつシリンダピッチPを狭くできる。
【0054】図7乃至図10は燃料噴射式内燃機関を自
動二輪車に搭載した実施例を示し、図7は燃料噴射式内
燃機関を自動二輪車に搭載した実施例の概略構成図、図
8は燃料噴射式内燃機関の縦断面図、図9は燃料噴射式
内燃機関を後方から見た図、図10はシリンダ側壁噴射
の燃料及び空気のフローチャートである。
【0055】図中符号201は、乗物の一例であって鞍
乗型車両たる自動二輪車であり、矢印Frはその進行方
向の前方を示している。また、後記する左右とは、前記
前方に向っての方向をいうものとする。また、202は
上記自動二輪車1が走行可能な路面である。自動二輪車
20lは乗物本体である車体203を有している。ま
た、車体203は車体静止側である車体フレーム204
を有している。車体フレーム204は、その前端にヘッ
ドパイプ205を有し、このヘッドパイプ205から後
下方に向って左右一対の主フレーム206が延出し、こ
れら各主フレーム206の各延出端から更に後下方に向
ってそれぞれシートピラーチューブ207が延出してい
る。一方、上記各主フレーム206の前部下面からそれ
ぞれ後下方に向ってダウンチューブ208が延出し、こ
れらダウンチューブ208の延出端とシートピラーチュ
ーブ207の延出端とが互いに結合させられている。
【0056】各主フレーム206の後部から後上方に向
ってそれぞれシートレール210が延出し、このシート
レール210は左右一対のバックステー211によって
シートピラーチューブ207に支持されている。各バッ
クステー211とシートピラーチューブ207とが結合
した部分はリヤアームブラケット212とされている。
ヘッドパイプ205にはフロントフォーク214が操向
自在に支承されている。フロントフォーク214の下端
に前輪215が支承され、かつ、この前輪215を上方
から覆うフロントフェンダ216が設けられ、このフロ
ントフェンダ216は同上フロントフォーク214の上
下方向の中途部に固着されている。一方、フロントフォ
ーク214の上端にはハンドル217が取り付けられて
いる。
【0057】リヤアームブラケット212にピボット軸
218によりリヤアーム219が上下揺動自在に枢支さ
れている。リヤアーム219の揺動端に後輪220が支
承され、シートレール210とリヤアーム219との間
に緩衝器221が架設されている。主フレーム206、
シートピラーチューブ207およびダウンチューブ20
8で囲まれた空間に、つまり、車体フレーム204の枠
内に燃料噴射式内燃機関であるエンジン223が設けら
れている。エンジン223は2サイクルエンジンであっ
て、クランクケース224と、このクランクケース22
4から前上方に突出するシリンダ225を有し、車体フ
レーム204に締結具により着脱自在に支持されてい
る。クランクケース224の後面に動力伝達装置226
が連設され、この動力伝達装置226の出力側に、後輪
220がチェーン伝動機構227により連結されてい
る。
【0058】シリンダ225の後面にはリード弁22
8、吸気マニホールド229および吸気サイレンサ23
1がこの順序で連設されている。吸気マニホールド22
9には吸気量を制御するスロットル弁271が配置され
ている。スロットル弁271の軸部271aに設けたス
ロットルプーリ272はスロットルワイヤ273を介し
てスロットルグリップ274に連結され、スロットルグ
リップ274の操作でスロットル弁271が開閉され
る。スロットルグリップ274はハンドル217に設け
られ、またスロットルグリップ274の操作量を検出す
るアクセル位置センサ275が設けられている。
【0059】シリンダ225の前面には排気管233の
一端が連結され、この排気管233の他端側はダウンチ
ューブ208の下側近傍を通って後方に延び、その後端
に排気マフラ234が連結され、排出口234aから排
気される。
【0060】主フレーム206には燃料タンク235が
支持されている。一方、シートレール210には、シー
ト236が支持されている。また、車体203の後部を
その各側方から覆うサイドカバー237が設けられてい
る。エンジン223の駆動により、その動力が動力伝達
装置226とチェーン伝動機構227等を介し、後輪2
20に伝達されれば、自動二輪車201が路面202上
を前方に向って走行可能とされる。
【0061】エンジン223は、第1〜第3気筒261
〜263を有し、エンジン223のクランクケース22
4内のクランク室240にはクランク軸241が収容さ
れ、このクランク軸241はクランクケース224にそ
の軸心回りに回転自在に支承されている。エンジン22
3のシリンダ225は、軸心がほぼ縦向きのシリンダ孔
242を有するシリンダボディ243と、このシリンダ
ボディ243の突出端に取り付けられるシリンダヘッド
244とを有している。シリンダ孔242にピストン2
45が軸方向に摺動自在に嵌入され、このピストン24
5はクランク軸241にコンロッド246により連結さ
れている。
【0062】ピストン245がシリンダヘッド244に
ある程度接近したとき、シリンダ孔242内でシリンダ
ヘッド244とピストン245で囲まれた空間が燃焼室
248となる。シリンダヘッド244には、点火プラグ
249が取り付けられ、この点火プラグ249の放電部
が燃焼室248に臨んでいる。クランクケース224の
後上部には吸気ポート251が形成され、この吸気ポー
ト251にリード弁228が連通している。シリンダ孔
242周りのシリンダボディ243にはクランク室24
0を燃焼室248に連通させる掃気通路252が形成さ
れ、この掃気通路252の内、燃焼室248に向って開
口する部分が掃気ポート252aとなっている。また、
燃焼室248を排気管233の前端である上流端内の排
気通路253に連通させる排気ポート254がシリンダ
ボディ243の前部に形成されている。
【0063】エンジン223は第1〜第3気筒261〜
263に各1個づつ対応する複数(3つ)のインジェク
タ264を有し、これら各インジェクタ264はシリン
ダボディ243のシリンダ側壁243aに着脱自在に取
り付けられている。これらインジェクタ264は、シリ
ンダ側壁243aから燃焼室248内に向って、燃料タ
ンク235から供給される燃料を噴射する。インジェク
タ264の構造、取付位置や噴射方向および噴射タイミ
ングは前記実施例と同様であるから説明を省略する。
【0064】燃料タンク235の下部には燃料コック2
90が設けられ、燃料コック290に燃料フィルタ29
1、燃料供給ポンプ292、燃料配送管293が順に接
続され、燃料配送管293から燃料分配管296を介し
て燃料が各インジェクタ264に供給される。燃料配送
管293にはインジェクタ264に供給される燃料の圧
力を所定圧に調整する調圧器294が設けられ、調圧器
294、戻し燃料通路295により余分の燃料は燃料タ
ンク235に戻る。シリンダボディ243の後方で、吸
気マニホールド229上方と、燃料タンク235の下方
の間の空間Zに、この空間Zを利用して燃料分配管29
6およびインジェクタ264が配置され、小型化でき、
しかも他部材と干渉することが防止され、インジェクタ
264、燃料分配管296の保護が可能である。
【0065】点火プラグ249は電子的な点火回路25
6に電気的に接続され、この点火回路256は電子的な
エンジン制御御装置257に接続されている。また、ク
ランク軸241のクランク角を検出するクランク角検出
センサ258が設けられ、このクランク角検出センサ2
58もエンジン制御装置257に接続されている。
【0066】エンジン223の駆動時に、ピストン24
5がクランク軸241側の下死点位置(図8中二点鎖線
図示)から燃焼室248側に移動すると、ピストン24
5によって掃気ポート252aと排気ポート254とが
この順序で閉じられる。また、ピストン245が燃焼室
248側に移動すると、クランク室240内が負圧にさ
れる。すると、吸気サイレンサ231を通って、空気で
ある外気259が吸入され、これが吸気260とされ
る。
【0067】次に、吸気260が吸気マニホールド22
9とリード弁228とを通ってクランク室240内に吸
入される。これが「吸入過程」である。
【0068】一方、掃気ポート252aと排気ポート2
54とが閉じられた後、更に、ピストン245が燃焼室
248側へ移動すれば、この燃焼室248に既にインジ
ェクタ264で噴射されていたあるいは及び本過程中に
噴射される燃料が気化し空気と混合して形成される混合
気が圧縮される。これが「圧縮過程」である。
【0069】ピストン245が上死点に達する直前で、
クランク角検出センサ258により検出される所望のク
ランク角のときに、つまり、所望の点火時期に、エンジ
ン制御装置257により制御された点火回路256から
の出力信号で、点火プラグ249の放電部が放電する。
すると、混合気が着火、燃焼させられて気体が膨張し、
これにより、ピストン245が上記上死点を越えた後、
クランク室240側に押し戻される。これが「爆発過
程」である。
【0070】ピストン245のクランク室240側への
移動により、クランク室240内に吸入されていた空気
が予圧縮される。リード弁228はこのときのクランク
室240内の圧力で閉弁させられている。
【0071】ピストン245がクランク室240側へ移
動する途中で、まず、排気ポート254が開かれる。す
ると、排気ポート254を通し、混合気の既燃ガスが排
気として排気ポート254を通って燃焼室248から排
出される。これが「排気過程」である。そして、排気は
排気管233内の排気通路253を通って外部に排出さ
れる。
【0072】ピストン245がクランク室240側に移
動して排気ポート254が開かれると、これに続いて掃
気ポート252aが開かれる。すると、クランク室24
0内で予圧縮されていた空気が掃気通路252を通って
燃焼室248に流入させられ、この空気が燃焼室248
に残留している既燃ガスの一部を排気ポート254に押
し出すと共に、空気が燃焼室248に充満する。これが
「掃気過程」である。この「掃気過程」は、ピストン2
45が下死点位置に戻った後、再び上死点位置へ移動
し、掃気ポ−ト252aを閉じる直前まで続く。この
「掃気過程」の途中から「圧縮過程」の初期、ピストン
245がインジェクタ264を閉じるまでの期間にイン
ジェクタ264から燃料が噴射される。
【0073】上記状態から、ピストン245が再び燃焼
室248側に移動し、以下、各過程が繰り返されて、ク
ランク軸241が回転させられる。このクランク軸24
1を通しエンジン223が動力を出力し、この動力は、
動力伝達装置226やチェーン伝動機構227等を介し
て後輪220に伝えられる。
【0074】燃焼室248から排気ポート254へ排気
を排出させるときの排気タイミングを調整して、エンジ
ン性能を向上させる排気タイミング調整装置279が設
けられている。排気タイミング調整装置279は、排気
ポート254の上部側に設けられる排気タイミング調整
弁390を有している。この排気タイミング調整弁39
0で、排気ポート254の上部開口が開閉され、排気ポ
ート254の上部開口縁の位置が上下方向で可変とされ
る。排気タイミング調整弁390を作動させるのはサー
ボモータ等のアクチュエータ265であって、このアク
チュエータ265はエンジン制御装置257に接続され
ている。
【0075】エンジン223の回転数、つまり、クラン
ク軸241の回転数を検出するエンジン回転数センサ2
67が設けられ、このエンジン回転数センサ267はエ
ンジン制御装置257に接続されている。
【0076】エンジン回転数センサ267の検出信号に
より、エンジン223が高速域であると判断されたとき
には、エンジン制御装置257により制御されたアクチ
ュエータ265の作動により排気タイミング調整弁39
0が開動作させられて、排気ポート254の上部開口縁
が上方に位置させられる。すると、排気タイミングが早
くなり、これによって高速域でのエンジン性能が向上す
る。
【0077】一方、エンジン223が中、低速域である
と判断されたときには、アクチュエータ265が閉動作
させられて、排気ポート254の上部開口縁が下方に位
置させられる。すると、排気タイミングが遅くなり、こ
れによって中、低速域でのエンジン性能が向上する。こ
の低速時、排気タイミングを遅くするが、その分噴射開
始のタイミングを早めることが可能であり、この場合
は、より確実に予混合燃焼を可能とする。即ち、低速時
ピストン速度が遅くなるのに合わせて、燃料が排気ポー
ト254より流出しないように、噴射開始タイミングを
遅らせると、噴射流がピストン頂部に衝突する時、噴流
の拡がりは狭い。しかし、排気ポート254の上部開口
端が下方に移動させられる分、噴射開始のタイミングを
早めても燃料の流出がない、且つ早めることにより、ピ
ストン頂部の広い範囲に噴射燃料が衝突可能であり、ピ
ストン245との熱交換性を向上できる。
【0078】エンジン223には排気弁開度調整装置2
80が備えられ、排気通路253の開度を調整し、低負
荷あるいは及び低速時これを流れる排気の流量を抑制す
る排気弁281を有している。この排気弁281を作動
させるのはサーボモータ等のアクチュエータ282であ
って、このアクチュエータ282は制御装置391と接
続されている。
【0079】また、エンジン223には燃焼室圧力セン
サ300およびノックセンサ301が備えられ、燃焼室
圧力センサ300により燃焼室圧力が所定以上になる
と、点火タイミングを遅らせる。また、ノックセンサ3
01でノッキングが発生すると、振動を検知して点火タ
イミングを遅らせてノッキングの発生を防止し、ノッキ
ングの発生しなくなると元の点火タイミングに戻すよう
に制御する。
【0080】また、エンジン223にはクランク室圧力
センサ302、吸気管圧力センサ303、吸気管温度セ
ンサ304、排気管圧力センサ306、排気管温度セン
サ307が備えられ、これらのセンサからの情報に基づ
きエンジン制御装置257が点火タイミング、噴射タイ
ミング、噴射期間やオイル供給装置308等の制御を行
なう。
【0081】次に、前記図1〜図10の各実施例に用い
られるインジェクタの構造を説明する。図11はインジ
ェクタの断面図、図12はインジェクタの先端部の断面
図である。
【0082】インジェクタ61,264はインジェクタ
ハウジング350を有し、このインジェクタハウジング
350の後端部には蓋体351が嵌合され、さらにイン
ジェクタハウジング350内にはコイル352を備えた
コア353が配置されている。蓋体351は樹脂性のキ
ャップ354で覆われ、キャップ354のコネクタ35
4aにコア353に接続したリード線355が設けら
れ、このリード線355がコネクタ354aで駆動電源
側と接続される。蓋体351にはパイプ356が挿入さ
れ、蓋体351の燃料入口351aから供給された燃料
は、パイプ356を介してインジェクタハウジング35
0内の燃料室357に導かれる。
【0083】インジェクタハウジング350の先端部に
ニードルハウジング358がニードルストッパ359を
介して嵌合され、シール体360でシールされている。
ニードルハウジング358の先端部にはノズル361が
嵌合され、このノズル361には噴射通路361aが形
成され、さらに噴射通路361aに連通して上向き噴射
孔361bと下向き噴射孔361cが形成されている。
上向き噴射孔361bの直径D1より下向き噴射孔36
1cの直径D2が大きく形成され、上向き噴射孔361
bより下向き噴射孔361cからの燃料噴射量が多く設
定される。
【0084】ニードルハウジング358内にはニードル
362が移動可能に配置され、ニードル362には可動
体363が固定されている。ニードル362には切欠に
より燃料通路362aが形成され、ニードルストッパ3
59には切欠により燃料通路359aが形成され、可動
体363にも燃料通路363aが形成されている。蓋体
351と可動体363との間に圧縮スプリング364が
配置され、この圧縮スプリング364で可動体363を
介してニードル362がニードルハウジング358の弁
座358aを常に閉じる方向へ付勢され、噴射通路36
1aを閉じ燃料噴射できない状態になっている。コア3
53に配置されたコイル352に電源を与えると、コイ
ル352による電磁力で可動体363が圧縮スプリング
364に抗して吸引されて弁座を開く方向へ移動し、噴
射通路361aを開き、燃料噴射が行なわれる。このと
きニードル362に形成したストッパフランジ362b
がニードルストッパ359に当接して位置規制される。
【0085】インジェクタ61,264は、調圧弁にて
圧力調整され、調圧圧力P0が600〜650KPa
(キロパスカル)に調圧されるので、ニ−ドル362が
弁座358aを押圧する時、ニ−ドルハウジング358
内の燃料溜まり358bの燃料圧力P1も同じ600〜
650KPa(キロパスカル)となる。ニ−ドル362
が弁座358aから離れる程、インジェクタ61,26
4内を流れる流速が増し、圧力降下により燃料溜まり3
58bの圧力が低下する。燃料溜まり358bの圧力
は、ニ−ドル362と弁座358aとの間を通過する時
さらに圧力降下するので、噴射通路361aの燃料圧力
P2は、燃料溜まり358bの圧力P1の約1/2程度
となる。
【0086】この噴射通路361aの燃料圧力P2は、
インジェクタ61,264から燃焼室29内に燃料を噴
射する燃料噴射時の噴射孔361b,361cの上流部
の圧力であり、ニ−ドル362が最大開度位置にて圧力
P2を、300KPa〜1000KPaとし、この圧力
P2により噴射速度を、10m/s〜30m/sとする
ことが可能である。
【0087】即ち、噴射通路361aの圧力P2と燃焼
室29,248内圧との差圧に、300KPa〜100
0KPaに基づく流速で燃料が燃焼室29、248へ噴
射される。この時の流速が、10m/s〜30m/s、
望ましくは20m/s程度になるように各部の圧力降下
あるいは調圧弁が設定される。
【0088】次に、インジェクタの燃料噴射タイミング
について説明する。図13は燃料噴射タイミングチャー
トである。
【0089】この燃料噴射タイミングチャートでは、横
軸がクランク角度であり、排気ポートの開閉位置、掃気
ポートの開閉位置及びインジェクタの取付位置を示し、
また縦軸がエンジン回転数であり、低エンジン回転数
域、中エンジン回転数域及び高エンジン回転数域を示し
ている。
【0090】インジェクタ駆動信号を実線で示し、上段
が低負荷時、下段が高負荷時である。また、インジェク
タの実際の燃料噴射を二重線で示し、上段が低負荷時、
下段が高負荷時である。さらに、噴射された燃料の先端
がインジェクタから排気ポートに到達するまでを二点鎖
線で示している。インジェクタ駆動信号とインジェクタ
の実際の燃料噴射との間にはインジェクタの動作遅れが
ある。
【0091】インジェクタの燃料噴射タイミングは、エ
ンジン回転数域において異なり、実噴射始め限界を曲線
Sで示し、実噴射限界を直線Eで示し、この噴射始め限
界曲線Sと実噴射限界直線Eにより実噴射可能範囲が設
定される。
【0092】図中2点鎖線の長さは、各エンジン回転域
において燃料が噴射された瞬間から燃焼室内を飛翔して
排気ポート部までに到達するまでの期間(クランク角で
の期間)を示している。排気ポート閉を基準にして飛翔
期間だけ逆上ったタイミングに噴射を開始すれば吹き抜
けを防止することができる。この時の飛翔期間が図中の
2点鎖線である。この吹き抜け防止が可能な噴射開始時
期を結んだものが実質噴射始め限界Sである。ピストン
がインジェクタ取付位置に到達すると、ピストンでイン
ジェクタが覆われる。このタイミングが実噴射限界Eで
あり、これ以上遅れて噴射を続けても燃焼室内に燃料を
供給することができない。なお、飛翔時間は噴射速度が
遅い程長くなり、ピストン位置が上下方向排気ポートの
位置に近づく程短くなる。なお、同じ飛翔時間であって
もクランク角での飛翔期間で言えば、エンジン速度が低
速程相対的に期間が短くなる。飛翔時間が長い程、実質
噴射始め限界から実噴射限界の間の時間は長くなり、そ
の分この時間中に噴射可能な燃料量を増加することがで
きる。この実施例では、噴射速度を10〜30m/sに
設定しており、高負荷においても十分な燃料を供給可能
としている。
【0093】この実施例では、全負荷域、全エンジン回
転域とも実質噴射始め限界Sに実質噴射が開始されるよ
うにし、要求燃料が噴射し終えた時点で実質噴射を終了
するようにしている。この分、上死点TDC近傍でなさ
れる点火より先行して噴射されることになり、均一な混
合気が形成可能となる。なお、高負荷時、要求燃料量が
多くなるので、排気ポート閉後も噴射が継続するように
している。また、低負荷低速時あるいは及び始動時、実
質噴射開始時期を遅らせ且つ実噴射限界Eまでには実質
噴射を終了するようにしても良い。実質噴射開始時期を
遅らせる程、点火時点火プラグまわりに拡散仕切れない
濃混合気が残留するようになる。ピストン頂部との熱交
換により点火時予め燃焼室内に十分混合された混合気が
存在する予混合燃焼であっても、成層燃焼に近い燃焼が
可能となり、低速安定性を向上させることができ、同様
始動性が向上する。図中2重破線がこれを示す。
【0094】このように、インジェクタは、高速時、ピ
ストンが下降し排気ポートを開いてから噴射を開始し、
ピストンが上昇し排気ポートを閉じた後、所定クランク
角回転分前記ピストンが移動した時噴射を終了するよう
にするとともに、低速時、ピストンが下死点から上昇す
るようになってから且つ排気ポートを閉じる前に噴射を
開始し、ピストンがさらに上昇し排気ポートを閉じて
後、所定クランク角回転分ピストンが移動した時噴射を
終了するように構成し、少ないインジェクタにより、高
速時及び低速時に必要な量の燃料を噴射する。所定クラ
ンク角として、ピストンが排気ポートを閉じた時からイ
ンジェクタを閉じ終わる前までの中間のクランク角かあ
るいはインジェクタを閉じ終わる時までのクランク角と
しており、簡単かつ確実に噴射終了の基準とすることが
できる。
【0095】次に、図14乃至図16に基づいて図1乃
至図6の実施例のインジェクタの燃料噴射について説明
するが、図7乃至図10の実施例のインジェクタの燃料
噴射も同様である。図14はインジェクタの燃料噴射を
示す概略断面図、図15はインジェクタの燃料噴射を示
す概略平面図、図16はインジェクタの噴射孔の位置と
大きさを示す図である。
【0096】インジェクタ61の取付条件は図1乃至図
6の実施例に示し、インジェクタ61の構造は図11及
び図12に示したものであるが、これに限定されない。
【0097】図14において、インジェクタ61の下向
噴射流Xの角度は、図中水平面L2(図1乃至図6の実
施例では、シリンダボディ22のシリンダ孔25は、水
平に配置されるので図中水平面L2は、実質鉛直面とな
る一方、図7乃至図10の実施例ではシリンダボディ2
43のシリンダ孔は略鉛直方向になるので、図中水平面
L2は、実質略水平面となる。)に対してしてαl、α
2で示し、この角度αl、α2は、インジェクタ61の
噴射孔と排気ポートの上端とを結ぶ線と水平面L2との
角度αxより大きく設定されている。上向噴射流Yの角
度は水平面L2に対してβ1、β2で示し、下向噴射流
Xの先端面をX1、上向噴射流Yの先端面をY1として
示す。
【0098】図14(a)において、高速時に、ピスト
ン26が上死点から下死点に向けて下降中に、インジェ
クタ61から燃料噴射が開始される。図14(b)で
は、下死点に到達し運動方向を変え、上昇中のピストン
頂部26cに噴射流Xの先端面X1が到達しP11点で
衝突する。これ以降、順次α2角度より小さい角度の噴
射流Xが、上昇するピストン頂部26cに到達・衝突
し、方向を変えていく。
【0099】図14(c)において、ピストン26が上
死点に向かって上昇中に噴射流Xの内一番上の境界のα
1のものが、ピストン頂部26cに衝突する。噴射流X
の内一番上の境界のα1のものが点P21から反射方向
のシリンダ側壁22aまでには距離kがある。図14
(d)において、ピストン頂部26cに衝突後反射した
ものの内一番早くシリンダ側壁22a、あるいは排気ポ
ート44に到達する前に排気ポート44は閉じる。
【0100】また、ピストン速度(クランク半径、エン
ジン回転数)、シリンダ上端22bより取付位置までの
距離A、噴射流速度に合わせ、燃料噴射開始タイミング
および燃料噴射角度α1、α2を設定し、常に噴射流X
が反対側のシリンダ側壁22aに到達する時、ピストン
26により排気ポート44は閉じられているようにす
る。
【0101】高速時、ピストン26が下降中は、排気ポ
ート44が開いているうちから燃料噴射を開始する。低
速になる程、燃料噴射開始を遅らせるので、噴射流Xの
先端が排気ポート44内に吹き抜けることはない。
【0102】噴射流速度を遅くする程、噴射開始を早め
ることができる。この実施例では、10m/s〜30m
/sに噴射流Xを設定している。噴射流の速度は遅く、
直接噴射流が排気ポート44を指向する場合でも、ピス
トン頂部26cに衝突させるようにした場合でも、噴射
流が排気ポート44に到達する前にピストン26が排気
ポート44が閉じてしまうので燃料が排気ポート44に
進入する吹き抜けがない。
【0103】また、燃料噴射開始のタイミングを遅らせ
るか、噴射流速度を遅くするか、あるいはシリンダボア
を大きくすれば、燃料噴射角度α1をさらに小さくで
き、例えば燃料噴射角度α1を0゜、即ち水平にしても
良い。
【0104】また、上向噴射流Yは点火プラグ30の放
電部31を指向させたことにより低速時、燃料噴射開始
時期を遅らせれば、ピストン26まわりとピストン頂部
26cの2箇所に形成される濃混合気が拡散する前に点
火させることになる。その中間は希薄混合気であり、成
層燃焼に近い火炎面の進行がゆっくりとした燃焼が可能
となる。ピストン26まわりでなく上向きにするのみで
も十分燃焼室29の上下に濃混合気を形成させることが
可能となり、中、高速時掃気後の残留スワールによる濃
混合気の拡散を経て予混合を確実にすることができる。
【0105】さらに、ピストン26に衝突した噴射流X
は反射し方向を変え、シリンダ上方を指向させられる。
なお、図14(b)中、F3は排気流であり、F1は両
側の図15に示す主掃気ポート41a1からの掃気流で
あり、反転して排気ポート44へ向かう。F2は、副掃
気ポート41b1からの掃気流である。これら主掃気流
F1や副掃気流F2により噴射流X,Yが乱されるとし
ても、排気ポート44へ到達する時間が早まることはな
く、吹き抜けを防止することができる。図14(c)、
図14(d)中のF4は、燃焼室29内に残留するタン
デム流であり、均一混合気形成に寄与する。
【0106】インジェクタ61は、図15に示すよう
に、排気ポート44に対向する反対側半分のシリンダ側
壁22aに配置され、即ち、インジェクタ61は中心面
L3より副掃気ポート41b1側に配置される。また、
インジェクタ61は図16に示すように噴射通路361
aを挟んで、図中上下の位置に上向き噴射孔361bと
下向き噴射孔361cが形成されている。噴射孔361
bと下向き噴射孔361cはいずれも真円であり、噴射
孔361bより下向き噴射孔361cが大径に形成さ
れ、これによりピストン頂部26cを指向する噴射流X
の燃料量が、インジェクタ61より上方を指向する噴射
流Yの燃料量より多く、燃焼時の熱が滞留しホットスポ
ットとなっているため、ピストン頂部を指向する噴射流
の燃料の気化がより確実に促進される。
【0107】下向き噴射孔361cが真円であり、図1
5に示す平面において、噴射流Xの角度γは|α2−α
1|で設定され、ピストン頂部26cにおける噴射流X
の衝突部はWで示すことができ、ピストン頂部26cを
指向する噴射流Xの全てがピストン頂部26cと衝突
し、ピストン頂部26cを指向する噴射流Xの燃料の気
化がより確実に促進される。なお、衝突部Wの前端R
1、後端R2は、ピストン26の上昇にともない、イン
ジェクタ61の方に移動する。なお、噴射流361b,
361cは、真円でなくともよい。
【0108】次に、インジェクタの噴射タイミングにつ
いて説明する。図17はインジェクタの印加電圧、ニー
ドルリフト量及び圧力を示すタイミングチャートであ
る。
【0109】図17(a)はインジェクタの印加電圧を
示し、図17(b)はインジェクタのニードルリフト量
を示し、図17(c)はインジェクタの圧力を示す。図
17(a)において、インジェクタ61のコイル352
に印加電圧が与えられ、噴射のために時間Tの最大印加
電圧期間を有するパルスPLが出力される。パルスPL
には、コイル352のインダクタンスによる立ち上がり
m1、立ち下がりn1が生じるが、時間Tは、コイル3
52のインダクタンスによる立ち上がりm1、立ち下が
りn1を無視する。
【0110】図17(b)において、インジェクタ61
のニードル362は、パルスPLに基づき開閉し、ニー
ドルの全開時間t4で燃料の噴射を行なう。この時のニ
ードルの全開時間t4が、ニ−ドル362が最大開度位
置にて圧力P2を、300KPa〜1000KPaと
し、この圧力P2により噴射速度を、10m/s〜30
m/sとする時間である。
【0111】実噴射時間tは、ニードルリフトの立ち上
がりm2から立ち下がりn2までの時間である。実噴射
の開始タイミングをS1で示し、終了タイミングをS2
で示す。印加後、実際にニードル362がリフトを開始
するまで所定時間t0の応答遅れがあり、この応答遅れ
は主に慣性力による。実噴射の開始タイミングS1でニ
ードル362がリフト開き方向の動作を開始し、所定時
間t1経過後にニードル362が全開になる。そして、
印加停止後所定時間t2経過後、ニードル362がリフ
ト閉じ方向の動作を開始し、この応答遅れは主に慣性力
による。ニードル362がリフト閉じ方向の動作を開始
してから所定時間t3経過後に実噴射が終了する。
【0112】この実施例では、パルスPLの立ち上がり
m1より、ニードルリフトの立ち上がりm2が大きく、
同様にパルスTの立ち下がりn1より、ニードルリフト
の立ち下がりn2が大きく設定されている。このニード
ルリフトの立ち上がりm2、立ち下がりn2は、インジ
ェクタ61内の圧縮スプリング364の弾性抵抗等によ
り変位がゆっくりとなる。
【0113】ニードルの開閉動作によって、インジェク
タ61で圧力変化が生じる。図17(c)において、調
圧弁の調圧圧力がP0であり、ニ−ドル362が弁座3
58aを押圧する時、ニ−ドルハウジング358内の燃
料溜まり358bの燃料圧力P1が600KPa(キロ
パスカル)となり、この調圧圧力P0と燃料圧力P1と
の差がインジェクタ61内の圧力降下である。噴射通路
361aの燃料圧力P2は、ニードル362が全開とさ
れる時、調圧圧力P0の約1/2程度となるように設定
されている。この噴射通路361aの燃料圧力P2は、
インジェクタ61,264から燃焼室29内に燃料を噴
射する燃料噴射時の噴射孔361b,361cの上流部
の圧力であり、ニ−ドル362が最大開度位置にて圧力
P2を、300KPa〜1000KPaとしており、燃
料圧力P1と最大開度位置の圧力P2との差がニ−ドル
362と弁座358aとの間の隙間における圧力降下で
ある。
【0114】この噴射通路361aの圧力P2と燃焼室
29,248内圧との差圧に、300KPa〜1000
KPaに基づく流速で燃料が燃焼室29、248へ噴射
され、時の流速が、10m/s〜30m/s、望ましく
は22m/s以下、例えば20m/s程度になるように
各部の圧力降下あるいは調圧弁が設定される。
【0115】図18はインジェクタの他の実施例の断面
図である。この実施例では、ニードルハウジング358
内にニードル362が配置され、このニードル362の
中心に軸方向に燃料通路362dが形成されている。ニ
ードル362の先端部362eには燃料通路362dか
ら燃料溜まり358bに連通する燃料供給孔362fが
複数形成されている。また、ニードルハウジング358
には、一体にノズル部358cが形成され、ノズル部3
58cの内側に形成される噴射通路361aに連通して
上向き噴射孔361b及び下向き噴射孔361cが形成
され、インジェクタ61が簡単な構造で、かつ円滑な燃
料噴射が可能になっている。なお、シリンダ長手方向の
両端の噴射孔壁361b,361cの間の角度μが45
度以上であり、広範囲燃料の噴射が行なわれる。
【0116】
【発明の効果】前記したように、請求項1記載の発明
は、インジェクタから燃焼室内に燃料を噴射する噴射速
度を、10m/s〜30m/sとするから、燃料噴射
後、ピストン頂部に到達するまでに十分な時間が確保で
き、噴射燃料の気化が促進でき、また、早くから燃料を
噴射しても、燃料が排気ポートへ侵入することが防止さ
れる。さらに、ピストン頂部を指向させる噴射流が掃気
流により気筒内に発生するタンデム流により乱される
程、遅くはないため、ピストン頂部での熱交換が可能
で、噴射燃料の気化がより促進できる。
【0117】請求項2記載の発明は、インジェクタから
燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射時の噴射孔の上流部
の圧力を、300KPa〜1000KPaとしたから、
圧力設定による簡単な構造で、かつ確実に噴射速度を、
10m/s〜30m/sとすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料噴射式内燃機関を船外機に搭載した1気筒
分を主体とした実施例の概略構成図である。
【図2】シリンダ側壁噴射の燃料及び空気のフローチャ
ートである。
【図3】燃料噴射式内燃機関の1つの気筒上部の縦断面
図である。
【図4】燃料噴射式内燃機関の横断面図である。
【図5】排気系を示す断面図である。
【図6】燃料噴射式内燃機関の平面図である。
【図7】燃料噴射式内燃機関を自動二輪車に搭載した実
施例の概略構成図である。
【図8】燃料噴射式内燃機関の縦断面図である。
【図9】燃料噴射式内燃機関を後方から見た図である。
【図10】シリンダ側壁噴射の燃料及び空気のフローチ
ャートである。
【図11】インジェクタの断面図である。
【図12】インジェクタの先端部の断面図である。
【図13】燃料噴射タイミングチャートである
【図14】インジェクタの燃料噴射を示す概略断面図で
ある。
【図15】インジェクタの燃料噴射を示す概略平面図で
ある。
【図16】インジェクタの噴射孔の位置と大きさを示す
図である。
【図17】インジェクタの印加電圧、ニードルリフト量
及び圧力を示すタイミングチャートである。
【図18】インジェクタの他の実施例の燃料噴射を示す
概略断面図である。
【符号の説明】
22 シリンダボディ 22a シリンダ側壁 23 シリンダヘッド 26 ピストン 26c ピストン頂部 29 燃焼室 44 排気ポート 61 インジェクタ X,Y 噴射流
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年2月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
【図12】
【図1】
【図3】
【図4】
【図15】
【図2】
【図16】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図18】
【図10】
【図13】
【図14】
【図17】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02M 69/10 F02M 69/10

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリンダヘッド、シリンダボディ及びピス
    トンにより燃焼室を形成し、シリンダ側壁に掃気ポート
    及び排気ポートを形成すると共に、シリンダ側壁にイン
    ジェクタを取り付け、このインジェクタから前記燃焼室
    内に燃料を噴射する燃料噴射式内燃機関において、前記
    インジェクタから前記燃焼室内に燃料を噴射する噴射速
    度を、10m/s〜30m/sとしたことを特徴とする
    燃料噴射式内燃機関。
  2. 【請求項2】シリンダヘッド、シリンダボディ及びピス
    トンにより燃焼室を形成し、シリンダ側壁に掃気ポート
    及び排気ポートを形成すると共に、シリンダ側壁にイン
    ジェクタを取り付け、このインジェクタから前記燃焼室
    内に燃料を噴射する燃料噴射式内燃機関において、前記
    インジェクタから前記燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴
    射時の噴射孔の上流部の圧力を、300KPa〜100
    0KPaとしたことを特徴とする燃料噴射式内燃機関。
JP15716095A 1995-05-12 1995-05-31 燃料噴射式内燃機関 Pending JPH08326630A (ja)

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EP96107610A EP0742354A1 (en) 1995-05-12 1996-05-13 Internal combustion engine
US08/650,430 US5720254A (en) 1995-05-19 1996-05-20 Fuel injection system for engine

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11117746A (ja) * 1997-10-20 1999-04-27 Agency Of Ind Science & Technol エンジンの低圧筒内噴射による希薄燃焼方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11117746A (ja) * 1997-10-20 1999-04-27 Agency Of Ind Science & Technol エンジンの低圧筒内噴射による希薄燃焼方法

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