JPH08324213A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 フルラジアルタイヤの良好な乗心地性を維持
しながら、質量増加等を招くことなくサイド剛性向上に
よる高性能化を可能にした空気入りラジアルタイヤを提
供することにある。 【構成】 一対のビードコア４０の間にラジアル方向に
配置したカーカス１０の両端部を、それぞれ前記ビード
コア４０の周りに折り返すように構成した空気入りラジ
アルタイヤにおいて、前記カーカス１０の折り返し部３
０をラジアル方向に対して傾斜させると共に、該折り返
し部３０の外側にラジアル方向を挟んで該折り返し部３
０と反対方向に傾斜する補強コード７１を有する補強層
７０を配置した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は空気入りラジアルタイヤ
に関し、さらに詳しくはフルラジアルタイヤの良好な乗
心地性を維持しながら高性能化を可能にした空気入りラ
ジアルタイヤに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般的な乗用車用の空気入りラジアルタ
イヤは、図４に示すように、タイヤのクラウン部Ｃから
サイドウォール部Ｓにかけて配置されるカーカス１の方
向をラジアル方向（タイヤ周方向に対して９０°）に配
置し、このカーカス１の両端部を一対のビードコア４の
周りにビードフィラー５を挟んでターンアップさせるこ
とにより折り返し部３を形成し、かつクラウン部Ｃに位
置するカーカス１の外周にベルト層５を配置した構成に
なっている。

【０００３】また、特に高速用途のラジアルタイヤで
は、図５に示すように、図４におけるカーカス１の外側
に、さらに第２のカーカス２を配置して２プライにする
と共に、その第２のカーカス２の両端部をビードコア４
の下方にターンダウンするようにしたものもある。しか
し、カーカスをタイヤ周方向に対して９０°にした所謂
フルラジアルタイヤでは、さらに高速性能をアップする
にはサイド剛性が不足するため、そのサイド剛性を確保
するためビードフィラー５の容積アップ（大型化）と
か、または図示していない補強層（チェーファー）の大
型化が必要であり、そのためタイヤの質量が増加する一
方、コストアップを招くという問題があった。

【０００４】このような対策として、カーカスをタイヤ
周方向に対して９０°よりも小さい７０°〜８０°など
にする所謂ハーフラジアルタイヤにすれば、補強層の追
加なしでもサイド剛性のアップが図れるが、タイヤ踏面
の剛性も上がってしまうため、フルラジアルタイヤ並み
の乗心地性が維持できなくなる欠点があった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、フル
ラジアルタイヤの良好な乗心地性を維持しながら、質量
増加等を招くことなくサイド剛性向上による高性能化を
可能にした空気入りラジアルタイヤを提供することにあ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の空気入りラジアルタイヤは、一対のビードコアの間
にラジアル方向に配置したカーカスの両端部を、それぞ
れ前記ビードコアの周りに折り返すように構成した空気
入りラジアルタイヤにおいて、前記カーカスの折り返し
部をラジアル方向に対して傾斜させると共に、該折り返
し部の外側にラジアル方向を挟んで該折り返し部と反対
方向に傾斜する補強コードを有する補強層を配置したこ
とを特徴とするものである。

【０００７】上記のように一対のビードコア間のカーカ
スはラジアル方向に配列されているため、フルラジアル
タイヤの良好な乗心地性を維持することができる。ま
た、ビードコアからの折り返し部をラジアル方向に対し
て傾斜させると共に、その外側に、ラジアル方向を挟ん
で反対側に交差する補強層を配置したたため、カーカス
の折り返し部と補強層とで剪段剛性を発生させることが
できる。すなわち、ビードフィラーの容積アップ等をす
ることなくサイド剛性を向上することができ。

【０００８】以下、本発明を図に示す実施例により具体
的に説明する。図１は本発明の実施例からなる空気入り
タイヤを一部を切欠して示す斜視図であり、図２は同タ
イヤのビード部の平面視による展開説明図である。図１
において、タイヤのクラウン部Ｃからサイドウォール部
Ｓにかけての全体に、１プライのカーカス１０がラジア
ル方向（タイヤ周方向にたいし９０°）に配置され、そ
の両端部が左右に一対配置されたビードコア４０の周り
にそれぞれビードフィラー５０を包み込むようにターン
アップすることにより折り返し部３０を形成している。
さらに、この折り返し部３０の外側に補強層７０が配置
されている。また、クラウン部Ｃに位置するカーカス１
０の外周に複数層のベルト層６０が配置されている。

【０００９】カーカス１０の折り返し部３０は、そのカ
ーカスコード３１の方向がラジアル方向に対して傾斜
し、タイヤ周方向に対して角度αをなしている。さら
に、その外側に配置した補強層７０の補強コード７１
は、折り返し部３０のカーカスコード３１とはラジアル
方向を挟んで反対側に角度βで交差している。（図２参
照） 上記構成の空気入りラジアルタイヤは、成形ドラム上に
軸方向に平行にカーカス１０を貼り付け、ビードコア４
０を打ち込んだ後、成形ドラムを回転させながら、カー
カス１０の両端部は回転させずに、徐々に折り返し部３
０を巻き上げ圧着させることにより、折り返し部３０の
カーカスコード３１を所定角度に傾斜させ、次いで補強
層７０を補強コード７１が折り返し部３０のカーカスコ
ード３１と所定の角度で交差するように貼り付けること
により容易に製造することができる。

【００１０】図３は、カーカスを２プライ構造にした本
発明の他の実施例を示す。この実施例のラジアルタイヤ
では、図１のラジアルタイヤにおけるカーカス１０の外
側に第２のカーカス２０を配置し、そのカーカス２０の
両端部を第１のカーカス１０の外側の補強層７０を越え
てターンダウンさせ、ビードコア４０の下方で終端させ
るようにしたものである。

【００１１】上述した各実施例のラジアルタイヤは、い
ずれも一対のビードコア間のカーカス１０をラジアル方
向に配列させてフルラジアルタイヤと同一構成にしてい
るので、フルラジアルタイヤ本来の良好な乗心地性を発
揮することができる。また、ビードコア４０からの折り
返し部３０をラジアル方向に対して傾斜させ、その外側
に配置した補強層７０をラジアル方向を挟んで反対側に
交差させたため、この折り返し部３０と補強層７０とに
より剪段剛性を発生させ、特別にビードフィラーをボリ
ウムアップしたり、別の補強層を追加しなくてもサイド
剛性を向上することができる。

【００１２】本発明のラジアルタイヤに設けられるビー
ドフィラー５０は、従来のフルラジアルタイヤで使用さ
れるものに比較して高さを低く設定することができ、２
０〜３５％程度減量することが可能である。また、本発
明において、折り返し部３０のカーカスコード３１のタ
イヤ周方向に対する角度αは４５°〜８０°とすること
が好ましく、特に４５°〜６０°の範囲が好ましい。角
度αが４５°未満であったり、８０°を越えたりすると
補強効果が十分に得られなくなる。

【００１３】また、折り返し部３０のカーカスコード３
１と補強層７０の補強コード７１とがラジアル方向を挟
んだ方向の交差角βは５０°〜６０°が好ましく、さら
に好ましくは５２°〜５８°がよい。交差角度βが５０
°未満であったり、６０°を越えると補強効果が弱くな
る。

【００１４】

【実施例】タイヤサイズ１９５／７０Ｒ１３で、図１，
２の構造を有し、カーカス折り返し部のタイヤ周方向に
対する角度α及びこの折り返し部と外側の補強層とのコ
ード交差角度βとを、それぞれ表１に示すように異なら
せた１１種類のラジアルタイヤ（実施例１〜５、比較例
１〜６）を製造した。

【００１５】一方、比較のために、同一のタイヤサイズ
にし、カーカス折り返し部の傾斜角度αを９０°（ラジ
アル方向）とし、かつこの折り返し部に対する交差角度
を２０°にした従来タイヤを製造した。これら１２種類
のラジアルタイヤについて、リムサイズ１３×５．５０
Ｂのリムに装着し、空気圧２００ｋＰａを充填して、そ
れぞれ下記の測定方法によるサイド剛性、乗心地性およ
び質量の評価を行った。その表１に示す。

【００１６】〔サイド剛性〕試験タイヤをサイド剛性試
験機に装着し、荷重４２５ｋｇをかけてタイヤ軸方向に
変形させたときの横力（Ｎ／ｍｍ）の変化を測定した。
評価結果は従来タイヤを１００とする指数で表示した。 〔乗心地性〕試験タイヤを排気量１６００ｃｃの乗用車
に装着し、テストコートを一定の走行パターンで走行し
たときの５人のテストドライバーによる官能評価の平均
値で評価した。評価結果は従来タイヤを１００とする指
数で表示した。

【００１７】〔質量〕市販の質量計により試験タイヤ単
体で測定した。従来タイヤの質量を１００とする指数で
表示した。なお、サイド剛性および乗心地は指数が大き
いほど良好であり、９８％以上が合格ライン、９８未満
が不合格ラインとした。また、質量は指数が小さいほど
良好であることを示す。

【００１８】

【表１】 表１の結果から明らかなように、本発明タイヤは、従来
タイヤに比べて軽量化し、乗心地性を維持しつつサイド
剛性を良好にしていることがわかる。

【００１９】

【発明の効果】上述したように、本発明の空気入りラジ
アルタイヤよれば、一対のビードコア間のカーカスはラ
ジアル方向に配列されているため、フルラジアルタイヤ
の良好な乗心地性を維持することができる。また、ビー
ドコアからの折り返し部をラジアル方向に対して傾斜さ
せると共に、その外側にラジアル方向を挟んで反対側に
交差する補強層を配置したたため、折り返し部と補強層
とで剪段剛性を発生させ、ビードフィラーの容積アップ
等をすることなくサイド剛性を向上し、タイヤの高性能
化を図ることができ。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例からなる空気入りラジアルタイ
ヤを一部切欠して示す斜視図である。

【図２】同ラジアルタイヤのビード部の展開説明図であ
る。

【図３】本発明の他の実施例からなる空気入りラジアル
タイヤのビード部を示す展開説明図である。

【図４】（ａ）及び（ｂ）は従来の空気入りタイヤの一
例を示す断面図及び平面視展開図である。

【図５】（ａ）及び（ｂ）は従来の空気入りタイヤの他
の例を示す断面図及び平面視展開図である。

【符号の説明】

１０ カーカス １１ カーカスコード ２０ カーカス ３０ 折り返し部 ３１ （折り返し部の）カーカスコード ４０ ビードコア ５０ ビードフィラー ６０ ベルト層 ７０ 補強層 ７１ 補強コード

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対のビードコアの間にラジアル方向に
   配置したカーカスの両端部を、それぞれ前記ビードコア
   の周りに折り返すように構成した空気入りラジアルタイ
   ヤにおいて、前記カーカスの折り返し部をラジアル方向
   に対して傾斜させると共に、該折り返し部の外側にラジ
   アル方向を挟んで該折り返し部と反対方向に傾斜する補
   強コードを有する補強層を配置した空気入りラジアルタ
   イヤ。
2. 【請求項２】 前記折り返し部のタイヤ周方向に対する
   傾斜角度が４５°〜８０°であり、該折り返し部と前記
   補強層とのラジアル方向を挟む間の交差角度が５０°〜
   ６０°である請求項１に記載の空気入りラジアルタイ
   ヤ。