JPH08323729A

JPH08323729A - プレキャストコンクリート板とその製造方法およびそのプレキャストコンクリート板を用いた建物

Info

Publication number: JPH08323729A
Application number: JP16144095A
Authority: JP
Inventors: Shunji Karasaki; 俊二唐崎
Original assignee: TAISEI PREFAB CONSTR; TAISEI PREFAB KK
Current assignee: TAISEI PREFAB CONSTR; TAISEI PREFAB KK
Priority date: 1995-06-05
Filing date: 1995-06-05
Publication date: 1996-12-10

Abstract

(57)【要約】【目的】成型硬化後のプレキャストコンクリート板に化
粧面を容易にかつ設計プランに応じて自由に形成する。【構成】コンクリート構造躯体１１Ａ〜１１Ｃ、３１Ａ
〜３１Ｃを構成するプレキャストコンクリート板１１、
３１は、型枠１４にセメントＣと粗骨材（砂利）Ｇと細
骨材（砂）Ｓと水Ｗと混和材料Ａｄｄを混練したコンク
リート１２Ａを投入して形成されるコンクリート層１２
と粗骨材Ｇに代えて被研磨材２０を混練した化粧用コン
クリート２１Ａを投入して形成される化粧用コンクリー
ト層２１とからなり、成型硬化後、この化粧用コンクリ
ート層２１表面を研磨し、研ぎ出し仕上げされた化粧面
２５、３５を形成している。被研磨材２０は陶器片２０
Ａ、ガラス片２０Ｂ、天然石２０Ｃのうちから適宜選択
されて所望の割合で混練される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建物の構造耐力を負担
するコンクリート構造躯体を構成するプレキャストコン
クリート板とその製造方法およびそのプレキャストコン
クリート板を用いた建物に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】プレキャストコンクリート板の組立てに
より築造された建物では、組立て直後、構造物表面はコ
ンクリートが剥き出しの状態にあるため、コンクリート
表面に化粧板またはタイルを多数貼り付けたり、吹きつ
け材を吹きつけて外装を施すようにしている。また、内
部はビニールクロス張りまたは板張りにより内装を施す
ようにしている。しかしながら、かかる方法では、化粧
面の施工作業に時間がかかるという問題がある。このた
め、最近では、プレキャストコンクリート板の組立てに
よる構造物の築造にあたり、予め化粧材を埋め込んだプ
レキャストコンクリート板が用いられるようになってき
ている。このようなプレキャストコンクリート板５は、
図８に示すように、成型時に、型枠２に予め化粧材３を
多数並べて目地割りを行い、その後、コンクリート４を
投入してこれら化粧材３を埋め込み成型している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来のプレキャス
トコンクリート板５では、コンクリート構造躯体として
用いられるプレキャストコンクリート板５ごとに、設計
プランに基づいてどの部分に配置されるものか特定し、
化粧材３を露出させる部分を予め決めて成型作業を行う
必要があり、さらに、成型時、化粧材３の目地割りに手
間がかかるという問題がある。しかも、一担プレキャス
トコンクリート板５を成型硬化させた後は、化粧材３の
配置を変更することは不可能で、汎用性の確保が難しい
という問題がある。

【０００４】本発明は上記欠点を除くためになされたも
ので、コンクリート構造躯体として用いられる成型硬化
後のプレキャストコンクリート板そのものに化粧面を容
易にかつ短時間で形成し、築造作業を簡素化し工期の短
縮化を図るとともに、設計プランに応じて所望の部分に
自由に化粧面を形成して汎用性を向上させ、かつ意匠上
変化に富んだ化粧面を形成することができるプレキャス
トコンクリート板とその製造方法およびそのプレキャス
トコンクリート板を用いた建物を提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明に係るプレキャス
トコンクリート板は、型枠にセメントと粗骨材と細骨材
と水と混和材料とを混練したコンクリートを投入して成
型され、建物の構造耐力を負担するコンクリート構造躯
体を構成するプレキャストコンクリート板において、こ
のプレキャストコンクリート板の両面の少なくともいず
れかには、上記粗骨材に代えて被研磨材を混練した化粧
用コンクリートを成型した化粧層が形成されるととも
に、この化粧層表面が研磨され研ぎ出し仕上げされた化
粧面として形成されるものである。

【０００６】また、本発明に係るプレキャストコンクリ
ート板の製造方法は、型枠にセメントと粗骨材と細骨材
と水と混和材料とを混練したコンクリートを投入し養生
硬化させて成型され、建物の構造耐力を負担するコンク
リート構造躯体を構成するプレキャストコンクリート板
の製造方法において、上記型枠に上記粗骨材に代えて被
研磨材を混練した化粧用コンクリートを投入して化粧層
を形成した後、この化粧層の硬化前に上記コンクリート
を投入してコンクリート層を形成するとともに、成型硬
化後、上記化粧層表面を研磨し研ぎ出し仕上げされた化
粧面として形成したものである。

【０００７】さらに、本発明に係るプレキャストコンク
リート板の製造方法は、型枠にセメントと粗骨材と細骨
材と水と混和材料とを混練したコンクリートを投入し養
生硬化させて成型され、建物の構造耐力を負担するコン
クリート構造躯体を構成するプレキャストコンクリート
板の製造方法において、上記型枠に上記コンクリートを
投入してコンクリート層を形成した後、このコンクリー
ト層の硬化前に上記粗骨材に代えて被研磨材を混練した
化粧用コンクリートを投入して化粧層を形成するととも
に、成型硬化後、上記化粧層表面を研磨し研ぎ出し仕上
げの化粧面として形成したものである。

【０００８】また、本発明に係るプレキャストコンクリ
ート板を用いた建物は、型枠にセメントと粗骨材と細骨
材と水と混和材料とを混練したコンクリートを投入して
成型され、建物の構造耐力を負担するコンクリート構造
躯体を構成するプレキャストコンクリート板を、多数組
み立てて築造される建物において、成型硬化されたプレ
キャストコンクリート板の両面の少なくともいずれか
に、上記粗骨材に代えて被研磨材を混練した化粧用コン
クリートを成型した化粧層を設け、この化粧層表面を研
磨され研ぎ出し仕上げされた化粧面として形成し、これ
らプレキャストコンクリート板を床板、屋根板および壁
板のうち少なくともいずれか１つとして用いるようにし
たものである。

【０００９】

【作用】本発明に係るプレキャストコンクリート板は、
プレキャストコンクリート板の両面の少なくともいずれ
かに、粗骨材に代えて被研磨材を混練した化粧用コンク
リートを成型して化粧層を形成したことにより、プレキ
ャストコンクリート板に化粧層が一体に形成され、この
化粧層表面を研磨して研ぎ出し仕上げされた化粧面とし
て形成しているので、化粧面の形成作業が短縮化され
る。しかも、研磨により化粧面を形成しているので、化
粧面を所望の形状に自由に形成することができ、汎用性
が向上する。

【００１０】本発明に係るプレキャストコンクリート板
の製造方法は、型枠に粗骨材に代えて被研磨材を混練し
た化粧用コンクリートを投入して化粧層を形成した後、
この化粧層の硬化前に上記コンクリートを投入してコン
クリート層を形成したことにより、プレキャストコンク
リート板の一面に化粧層が一体に形成され、しかも、成
型硬化後、上記化粧層表面を研ぎ出し仕上げし、化粧面
として形成したことにより、化粧面の形成作業が短縮化
されされる。しかも、研磨により化粧面を形成している
ので、化粧面を所望の形状に自由に形成することがで
き、汎用性が向上する。

【００１１】また、本発明に係るプレキャストコンクリ
ート板の製造方法は、型枠に下方から順に化粧層とコン
クリート層とを形成した後、このコンクリート層の硬化
前にさらに化粧コンクリートを投入し、コンクリート層
の両面に化粧層を形成したことにより、プレキャストコ
ンクリート板の両面に化粧層が一体に形成されるので、
プレキャストコンクリート板の両面に化粧面を形成する
ことができる。

【００１２】本発明に係るプレキャストコンクリート板
を用いた建物は、成型硬化されたプレキャストコンクリ
ート板の両面の少なくともいずれかに、上記粗骨材に代
えて被研磨材を混練した化粧用コンクリートを成型した
化粧層を設け、この化粧層表面を研磨され研ぎ出し仕上
げされた化粧面として形成し、これらプレキャストコン
クリート板を床板、屋根板および壁板のうち少なくとも
いずれか１つとして用いるようにしたことにより、組立
と同時に所望部分に化粧面が現れるので、現場での化粧
面の形成作業が必要なくなり、工期が短縮される。

【００１３】

【実施例】以下図面に示す実施例により本発明を説明す
る。図１は本発明の一実施例に係るプレキャストコンク
リート板を型枠により成型する際の説明図、図２は図１
のプレキャストコンクリート板を示す斜視図で、一部研
磨された状態のプレキャストコンクリート板を示す。ま
た、図３は図２のプレキャストコンクリート板の化粧面
の一部を拡大して示す平面図、図６はプレキャストコン
クリート板の組み立て状態を示す説明図、図７はコンク
リート構造躯体を構成するプレキャストコンクリート板
を多数組み立てて築造された建物を示す説明図である。
まず、本発明に係るプレキャストコンクリート板１１
は、図２に示すように、コンクリート層１２と、このコ
ンクリート層１２の一面に所定の厚さで成型された化粧
用コンクリート層（化粧層）２１とから構成される。

【００１４】コンクリート層１２は、セメントＣと粗骨
材（砂利）Ｇと細骨材（砂）Ｓと水Ｗと混和材料Ａｄｄ
とがそれぞれ所定の割合で均質に混練されたコンクリー
ト１２Ａを成型硬化させて形成される。化粧用コンクリ
ート層２１は、上記コンクリート１２Ａの成分（Ｃ：
Ｇ：Ｓ：Ｗ：Ａｄｄ）のうち、上記粗骨材Ｇの代りに被
研磨材２０を用いたもの、すなわち、セメントＣと被研
磨材２０と細骨材Ｓと水Ｗと混和材料Ａｄｄとが所定の
割合で均質に混練された化粧用コンクリート２１Ａによ
り成型される。コンクリート層１２の内部には、図２に
示すように、鉄筋１３が埋設され、この鉄筋１３の端部
はコンクリート層１２の側面から外方に突出している。
被研磨材２０は、陶磁器片２０Ａ、ガラス片２０Ｂ、天
然石２０Ｃのうちから選択された少なくとも１以上の材
料から構成される。化粧用コンクリート２１Ａは、化粧
面の意匠プランに応じて選択された材料２０Ａ〜２０Ｃ
が所望の割合で混練される。

【００１５】コンクリート層１２と化粧用コンクリート
層２１との２層から構成されるプレキャストコンクリー
ト板１１は、図１に示すように、まず最初に、予め鉄筋
１３が配置された型枠１４に化粧用コンクリート２１Ａ
を投入して所定の厚さ（およそ２０ mm から５０ mm 程
度）に布設し、その後化粧用コンクリート２１Ａが硬化
しないうちに、コンクリート１２Ａをこの化粧用コンク
リート２１Ａ上に投入し、養生硬化させて成型される。
このプレキャストコンクリート板１１は、建物の構造耐
力を負担するコンクリート構造躯体を、すなわち、図６
ないし図７に示すように、床板１１Ａ、屋根板１１Ｂ、
あるいは壁板１１Ｃを構成する。養生硬化後、型枠１４
を取り外したプレキャストコンクリート板１１は、表面
がコンクリート打放し仕上げとなっている。

【００１６】ところで、化粧用コンクリート層２１のコ
ンクリート打放し仕上げの表面２４は、図２に示すよう
に、図示しないカッター、砥石等により、あるいは研磨
機（例えば、手動式テラゾー床研磨機等、図示せず）に
より、組立時の配置場所に応じて所望の部分が研磨され
て研ぎ出し仕上げされ、化粧面２５として形成される。
この研ぎ出し仕上げされた化粧面２５は、図３に示すよ
うに、化粧用コンクリート層２１に含まれる被研磨材２
０およびセメントＣ、細骨材Ｓの成分が平滑に研磨され
て露出し、意匠面が形成される。

【００１７】上記実施例では、２層から構成されるプレ
キャストコンクリート板１１の成型にあたり、まず初め
に、型枠１４に化粧用コンクリート２１Ａを投入して化
粧用コンクリート層２１を形成し、その後、コンクリー
ト１２Ａをこの化粧用コンクリート層２１上に投入して
成型するようにしているが、最初に型枠１４にコンクリ
ート１２Ａを投入してコンクリート層１２を形成し、そ
の後、化粧用コンクリート２１Ａを投入して化粧用コン
クリート層２１を形成することもできる。

【００１８】次に、上記実施例に係るプレキャストコン
クリート板１１の作用について説明する。コンクリート
構造躯体としてのプレキャストコンクリート板１１は、
成型硬化後、化粧コンクリート層２１のコンクリート打
放し仕上げの表面２４が研磨され、研ぎ出し仕上された
化粧面２５として形成されるので、化粧面２５の形成作
業が容易になり作業時間が短縮化される。また、プレキ
ャストコンクリート板１１には組立前に化粧面２５が形
成されるので、プレキャストコンクリート板１１を多数
組み立てて建物が築造されると、組立後に化粧面を形成
する必要がなく、築造作業を短縮することができる。し
かも、成型硬化後に研磨により化粧面２５を形成するこ
とができるので、建物の設計プランに応じて所望の形状
に自由に形成することができ、汎用性が向上する。

【００１９】次に、本発明の他の実施例に係るプレキャ
ストコンクリート板３１について図４ないし図５に基づ
いて説明する。プレキャストコンクリート板３１は、図
５に示すように、コンクリート層１２の両面側に所定の
厚さの化粧用コンクリート層２１が形成されて構成され
る。このプレキャストコンクリート板３１は、図４に示
すように、予め鉄筋１３が配置された型枠１４に化粧用
コンクリート２１Ａ、コンクリート１２Ａ、化粧用コン
クリート２１Ａの順に、それぞれ硬化する前に所定の厚
さで投入し、養生硬化させて成型される。

【００２０】このプレキャストコンクリート板３１は、
上記実施例と同様に、建物の構造耐力を負担するコンク
リート構造躯体を、すなわち、図６ないし図７に示すよ
うに、床板３１Ａ、屋根板３１Ｂ、あるいは壁板３１Ｃ
を構成する（図６では、床板１１Ａまたは屋根板１１Ａ
を上記一実施例に基づいて、壁板３１Ｃを他の実施例に
基づいて示す）。養生硬化後、型枠１４を取り外したプ
レキャストコンクリート板３１は、化粧用コンクリート
層２１の外面全体がコンクリート打放し仕上げとなって
おり（図５の表面部分３４参照）、この化粧用コンクリ
ート層２１のコンクリート打放し仕上げの表面３４を、
図示しないカッター、砥石等により、あるいは研磨機
（例えば、手動式テラゾー床研磨機等、図示せず）によ
り、組立時の配置場所に応じて研磨し、研ぎ出し仕上げ
された化粧面３５として形成している。このため、図７
に示すように、建物の所要部分には、組み立てと同時に
化粧面３５が施されたプレキャストコンクリート板３１
が配置される。このプレキャストコンクリート板３１で
は、両面に化粧面３５を施すことができ、しかも、各化
粧コンクリート層２１、２１ごとに化粧コンクリート２
１Ａの被研磨材２０の材料比の割合を変え、各面ごとに
意匠上の変化をつけることができる。

【００２１】次に、本発明に係るプレキャストコンクリ
ート板の製造方法について上記一実施例に基づいて説明
する。まず最初に、図１に示すように、予め鉄筋１３
（図２参照）が配置された型枠１４に化粧用コンクリー
ト２１Ａを投入して所定の厚さ（およそ２０ mm から５
０ mm 程度）に布設し、その後この化粧用コンクリート
２１Ａが硬化しないうちに、コンクリート１２Ａをこの
化粧用コンクリート２１Ａ上に投入し、養生硬化させて
プレキャストコンクリート板１１を成型する。成型され
たプレキャストコンクリート板１１は、コンクリート層
１２と化粧用コンクリート層２１との２層からなり、コ
ンクリート層１２および化粧用コンクリート層２１の外
面全体がコンクリート打放し仕上げ（図２の表面部分２
４参照）となっている。次に、化粧コンクリート層２１
のコンクリート打放し仕上げ表面２４を、設計プランに
応じて所望の部分を研磨し、研ぎ出し仕上げされた化粧
面２５として形成している。このため、組立前に化粧面
２５を容易にかつ短時間で形成することができる。しか
も、設計プランに応じて所望の部分に自由に化粧面２５
を形成することができる。このように、本発明に係るプ
レキャストコンクリート板の製造方法では、組立前にプ
レキャストコンクリート板１１に予め化粧面２５が施さ
れているので、プレキャストコンクリート板１１を多数
組み立てて建物が築造されると、建物の所要部分には、
プレキャストコンクリート板１１に予め化粧面２５が形
成されているので、組立後に化粧面を設ける必要がな
い。

【００２２】上記プレキャストコンクリート板の製造方
法では、プレキャストコンクリート板１１の成型にあた
り、まず初めに、型枠１４に化粧用コンクリート２１Ａ
を投入して化粧用コンクリート層２１を形成し、その
後、この化粧用コンクリート層２１の硬化前に、コンク
リート１２Ａを投入して成型するようにしているが、最
初に、型枠１４にコンクリート１２Ａを投入してコンク
リート層１２を形成し、その後、コンクリート層１２の
硬化前に化粧用コンクリート２１Ａを投入して化粧用コ
ンクリート層２１を形成し、２層１２、２１とすること
もできる。

【００２３】また、上記プレキャストコンクリート板の
製造方法では、コンクリート層１２の一面に化粧用コン
クリート層２１を設け、化粧面２５を形成しているのに
対し、他のプレキャストコンクリート板の製造方法で
は、図４に示すように、各コンクリート２１Ａ、１２Ａ
を型枠１４に化粧用コンクリート２１Ａ、コンクリート
１２Ａ、化粧用コンクリート２１Ａの順に、それぞれ硬
化する前に所定の厚さで投入して養生硬化させ、コンク
リート層１２の両面に化粧用コンクリート層２１、２１
を設け、化粧面３５、３５を形成している。この製造方
法によるプレキャストコンクリート板３１では、両面に
化粧面３５を施すことができ、しかも、各化粧コンクリ
ート層２１、２１ごとに、被研磨材２０が単一の材料の
場合、他の材料に変えたり、複数の材料の場合、材料比
の割合を変えたりすることができ、各面ごとに意匠上の
変化をつけることができる。

【００２４】本発明に係るプレキャストコンクリート板
を用いた建物は、建物の構造耐力を負担するコンクリー
ト構造躯体を、すなわち、図６ないし図７に示すよう
に、床板１１Ａ、３１Ａ、屋根板１１Ｂ、３１Ｂあるい
は壁板１１Ｃ、３１Ｃを、プレキャストコンクリート板
１１、３１により構成し、これらプレキャストコンクリ
ート板１１、３１を多数組み立てて築造するようにして
いる。プレキャストコンクリート板１１、３１は、両面
の少なくともいずれかに、粗骨材Ｇに代えて被研磨材２
０を混練した化粧用コンクリートを成型した化粧層２１
を設け、この化粧層２１表面を研磨され研ぎ出し仕上げ
された化粧面２５、３５として形成している。このよう
に、本発明に係るプレキャストコンクリート板を用いた
建物は、プレキャストコンクリート板１１、３１を床板
１１Ａ、３１Ａ、屋根板１１Ｂ、３１Ｂあるいは壁板１
１Ｃ、３１Ｃとして用いるようにしたことにより、組立
と同時に所望部分に化粧面２５、３５が現れるので、現
場での化粧面の形成作業が必要なくなり、工期を大幅に
短縮することができる。

【００２５】なお、上記実施例では、被研磨材２０を陶
磁器片２０Ａ、ガラス片２０Ｂ、天然石２０Ｃのうち単
独の材料を選択するか、あるいは複数の材料を所望の割
合で選択するようにしているがこれに限られるものでは
なく、硬質の鉱物、金属、樹脂等、意匠プランに応じて
材料を適宜選択できることは言うまでもない。また、美
観を保持し化粧面を保護するため、化粧面をフッ素系ア
クリル系等の透明性樹脂材料によりコーティング材で被
覆するようにしてもよい。さらに、化粧面に意匠的に溝
または凹凸を形成してもよい。また、上記建物では、プ
レキャストコンクリート板１１、３１を床板１１Ａ、３
１Ａ、屋根板１１Ｂ、３１Ｂあるいは壁板１１Ｃ、３１
Ｃとして用いるようにしているが、これに限られるもの
ではなく、床板１１Ａ、３１Ａ、屋根板１１Ｂ、３１Ｂ
あるいは壁板１１Ｃ、３１Ｃのうち少なくともいずれか
１つとして用いるようにしてもよいことは言うまでもな
い。

【００２６】

【発明の効果】以上述べたように本発明に係るプレキャ
ストコンクリート板によれば、プレキャストコンクリー
ト板の両面の少なくともいずれかには、粗骨材に代えて
被研磨材を混練した化粧用コンクリートを成型した化粧
層が形成されるとともに、この化粧層表面が研磨され研
ぎ出し仕上げされた化粧面として形成されることによ
り、コンクリート構造躯体として用いられる成型硬化後
のプレキャストコンクリート板そのものに化粧面を容易
にかつ短時間で形成し、しかも設計プランに応じて所望
の部分に自由に化粧面を形成することができるので汎用
性を向上させ、築造作業を簡素化し工期の短縮化を図る
ことができる。

【００２７】また、本発明に係るプレキャストコンクリ
ート板の製造方法によれば、型枠に粗骨材に代えて被研
磨材を混練した化粧用コンクリートを投入して化粧層を
形成した後、この化粧層の硬化前にコンクリートを投入
してコンクリート層を形成するとともに、成型硬化後、
上記化粧層表面を研磨し研ぎ出し仕上げされた化粧面と
して形成したことにより、コンクリート構造躯体として
用いられる成型硬化後のプレキャストコンクリート板そ
のものに化粧面を容易にかつ短時間で形成し、しかも設
計プランに応じて所望の部分に自由に化粧面を形成する
ことができので汎用性を向上させ、築造作業を簡素化し
工期の短縮化を図ることができる。

【００２８】さらに、本発明に係るプレキャストコンク
リート板の製造方法によれば、型枠に下方から順に化粧
層とコンクリート層とを形成した後、このコンクリート
層の硬化前にさらに化粧コンクリートを投入し、コンク
リート層の両面に化粧層を形成したことにより、プレキ
ャストコンクリート板の両面に化粧層が一体に形成され
るので、プレキャストコンクリート板の両面に化粧面を
形成することができる。

【００２９】また、本発明に係るプレキャストコンクリ
ート板を用いた建物によれば、成型硬化されたプレキャ
ストコンクリート板の両面の少なくともいずれかに、上
記粗骨材に代えて被研磨材を混練した化粧用コンクリー
トを成型した化粧層を設け、この化粧層表面を研磨され
研ぎ出し仕上げされた化粧面として形成し、これらプレ
キャストコンクリート板を床板、屋根板および壁板のう
ち少なくともいずれか１つとして用いるようにしたこと
により、組立と同時に所望部分に化粧面が現れるので、
現場での化粧面の形成作業が必要なくなり、築造作業を
簡素化し工期の短縮化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るプレキャストコンクリ
ート板を型枠により成型する際の説明図である。

【図２】図１のプレキャストコンクリート板を示す斜視
図で、一部研磨された状態のプレキャストコンクリート
板を示す。

【図３】図２のプレキャストコンクリート板の化粧面の
一部を拡大して示す平面図である。

【図４】本発明の他の実施例に係るプレキャストコンク
リート板を型枠により成型する際の説明図である。

【図５】図４のプレキャストコンクリート板を示す斜視
図で、一部研磨された状態のプレキャストコンクリート
板を示す。

【図６】プレキャストコンクリート板の組み立て状態を
示す説明図である。

【図７】コンクリート構造躯体を構成するプレキャスト
コンクリート板を多数組み立てて築造された建物を示す
説明図である。

【図８】従来のプレキャストコンクリート板を型枠によ
り成型する際の説明図である。

【符号の説明】

１１、３１プレキャストコンクリート板１１Ａ、３１Ａ床板（コンクリート構造躯体）１１Ｂ、３１Ｂ屋根板（コンクリート構造躯体）１１Ｃ、３１Ｃ壁板（コンクリート構造躯体）１２Ａコンクリート１２コンクリート層１４型枠２０被研磨材２１Ａ化粧用コンクリート２１化粧用コンクリート層（化粧層）２５、３５化粧面

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】型枠にセメントと粗骨材と細骨材と水と
混和材料とを混練したコンクリートを投入して成型さ
れ、建物の構造耐力を負担するコンクリート構造躯体を
構成するプレキャストコンクリート板において、このプ
レキャストコンクリート板の両面の少なくともいずれか
には、上記粗骨材に代えて被研磨材を混練した化粧用コ
ンクリートを成型した化粧層が形成されるとともに、こ
の化粧層表面が研磨され研ぎ出し仕上げされた化粧面と
して形成されることを特徴とするプレキャストコンクリ
ート板。
【請求項２】被研磨材は、陶磁器片、ガラス片、天然
石のうち選択された少なくとも１以上の材料から構成さ
れ、化粧用コンクリートにはこれら材料が所望の割合で
混練されることを特徴とする請求項１に記載のプレキャ
ストコンクリート板。
【請求項３】化粧面は組立て前に予め化粧層表面のう
ち所望の部分が研磨されることを特徴とする請求項１に
記載のプレキャストコンクリート板。
【請求項４】化粧面はコーティング材により被覆され
ることを特徴とする請求項１または３に記載のプレキャ
ストコンクリート板。
【請求項５】型枠にセメントと粗骨材と細骨材と水と
混和材料とを混練したコンクリートを投入し養生硬化さ
せて成型され、建物の構造耐力を負担するコンクリート
構造躯体を構成するプレキャストコンクリート板の製造
方法において、上記型枠に上記粗骨材に代えて被研磨材
を混練した化粧用コンクリートを投入して化粧層を形成
した後、この化粧層の硬化前に上記コンクリートを投入
してコンクリート層を形成するとともに、成型硬化後、
上記化粧層表面を研磨し研ぎ出し仕上げされた化粧面と
して形成したことを特徴とするプレキャストコンクリー
ト板の製造方法。
【請求項６】型枠に下方から順に化粧層とコンクリー
ト層とを形成した後、このコンクリート層の硬化前にさ
らに化粧コンクリートを投入し、コンクリート層の両面
に化粧層を形成したことを特徴とする請求項５に記載の
プレキャストコンクリート板の製造方法。
【請求項７】型枠にセメントと粗骨材と細骨材と水と
混和材料とを混練したコンクリートを投入し養生硬化さ
せて成型され、建物の構造耐力を負担するコンクリート
構造躯体を構成するプレキャストコンクリート板の製造
方法において、上記型枠に上記コンクリートを投入して
コンクリート層を形成した後、このコンクリート層の硬
化前に上記粗骨材に代えて被研磨材を混練した化粧用コ
ンクリートを投入して化粧層を形成するとともに、成型
硬化後、上記化粧層表面を研磨し研ぎ出し仕上げの化粧
面として形成したことを特徴とするプレキャストコンク
リート板の製造方法。
【請求項８】型枠にセメントと粗骨材と細骨材と水と
混和材料とを混練したコンクリートを投入して成型さ
れ、建物の構造耐力を負担するコンクリート構造躯体を
構成するプレキャストコンクリート板を、多数組み立て
て築造される建物において、成型硬化されたプレキャス
トコンクリート板の両面の少なくともいずれかに、上記
粗骨材に代えて被研磨材を混練した化粧用コンクリート
を成型した化粧層を設け、この化粧層表面を研磨され研
ぎ出し仕上げされた化粧面として形成し、これらプレキ
ャストコンクリート板を床板、屋根板および壁板のうち
少なくともいずれか１つとして用いることを特徴とする
プレキャストコンクリート板を用いた建物。