JPH08323549A - ワイヤカット放電加工機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 加工液貯溜部内において被加工物をワイヤカ
ット放電加工するようにしたワイヤカット放電加工機に
おいて、加工タンクの寸法と加工可能な被加工物の最大
寸法との差を小さくすること。 【構成】 ベッド（Ｂ）上に保持されている被加工物を
第１及び第２のワイヤガイド装置（８、１４）により張
架されたワイヤ電極（Ｗ）を用いて放電加工するワイヤ
カット放電加工機（ＷＣ、ＷＣ１）において、第１のワ
イヤガイド装置を被加工物に対して相対移動させるため
の第１移動装置（Ｍ）と、第１のワイヤガイド装置を支
持するための囲み枠部材（１）と、囲み枠部材内に収納
され第２ワイヤガイド装置を所定平面内で移動させるた
めの第２移動装置（Ｎ）と、第２移動装置を加工液の浸
入から遮断するためのシール部材（１６）とを備え、制
御ユニット（Ｕ）により第１及び第２のワイヤガイド装
置に加工のために必要な移動を与え、被加工物を放電加
工する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はワイヤカット放電加工機
に関し、さらに詳細に述べると、加工タンク内の加工液
中に被加工物を浸漬した状態で及び又は加工間隙に加工
液をフラッシングしながら被加工物をワイヤカット放電
加工することができるようにしたワイヤカット放電加工
機に関する。

【０００２】

【従来の技術】加工間隙部に加工液の存在の下で放電エ
ネルギを供給しひ加工物を放電加工するワイヤカット放
電加工機、例えば、加工タンク内の加工液中に被加工物
を浸漬した状態で被加工物をワイヤカット放電加工する
ことができるようにした従来のワイヤカット放電加工機
では、ワイヤ電極を張架するための上下一対のワイヤガ
イドのうち、下部ワイヤガイドが被加工物より下のレベ
ルに配置されることになる。したがって、被加工物を加
工タンク内で加工液中に浸漬して放電加工する場合には
下部ワイヤガイドを支える下部アームもまた加工タンク
内の加工液中に浸漬した状態となるので、下部アームの
運動が加工タンクの側壁により制限されてしまう。この
結果、下部ワイヤガイドの運動範囲が非常に狭められる
こととなり、加工可能な被加工物の寸法が加工タンクの
寸法に比べて極めて小さくなってしまい、加工可能な被
加工物の大きさの割に大型の加工タンクが必要とされ
る。このことがワイヤカット放電加工機の小型化を阻害
する主たる要因となっている。被加工物を加工液中に浸
漬しながら又は浸漬せずに加工液を加工間隙にフラッシ
ングしながら被加工物をワイヤカット放電加工する場合
にも同様の問題が生じる。

【０００３】上述の問題を解決するため、特開昭６０−
５２２２３号公報には、下部アームが加工タンク側壁に
貫通した状態で加工タンクの側壁の長手方向に沿って移
動可能とする機構を設けると共に、両者の間から加工液
が漏れるのを防止するためのシーリング機構を備え、こ
れにより小型化を可能としたワイヤカット放電加工機が
提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、下部アームを
加工タンク側壁に貫通させる上述の構成のワイヤカット
放電加工機によると、加工タンクの寸法と加工可能な被
加工物の最大寸法との差を小さくすることができる。し
かし、下部アームと加工タンク側壁との間に設けられる
加工液の漏洩防止のためのシーリング機構によって下部
アームの円滑な運動が阻害され、この結果、下部アーム
に対し相対移動による横向きの力が作用することとな
り、加工精度が低下するという問題を生じる。また、こ
の種のシーリング機構のシール部材は下部アームの運動
に伴う摺動作用により劣化しやすいので、こまめに保
守、点検が必要であり、所要の性能を維持するための保
守、点検に伴う新たなコストが発生するという別の問題
をも生じる。

【０００５】本発明の目的は、したがって、この種のワ
イヤカット放電加工機において、加工精度の低下及び保
守、点検のための大きなコストを生じさせることなし
に、加工タンクの寸法と加工可能な被加工物の最大寸法
との差を小さくすることができ、さらには広角度のテー
パの加工ができるようにした、改良されたワイヤカット
放電加工機を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の特徴は、被加工物を第１及び第２のワイヤガ
イド装置により張架されたワイヤ電極を用いて加工間隙
部に加工液の存在の下で放電エネルギを供給し放電加工
するワイヤカット放電加工機において、前記第１のワイ
ヤガイド装置を前記被加工物に対して所定平面内で相対
移動させるための第１移動装置と、前記被加工物を保持
するための保持部材が設けられているベッドと、前記第
１のワイヤガイド装置を支持するため前記ベッドに設け
られた囲み枠部材と、該囲み枠部材内に収納され前記第
２ワイヤガイド装置を前記所定平面と平行な平面内で移
動させるための第２移動装置と、該第２移動装置を前記
加工液の浸入から遮断するためのシール部材と、所与の
加工指令情報に応答し前記第１及び第２のワイヤガイド
装置に加工のために必要な移動を与えるよう前記第１及
び第２移動装置を制御するための制御ユニットとを備え
て成る点にある。

【０００７】

【作用】第２移動装置により、第２のワイヤガイド装置
は囲み枠部材内の平面内で移動せしめられ、第２ワイヤ
ガイド装置を囲み枠部材内略全域に亙って任意の位置に
移動させることができる。第２移動装置は、シール部材
により加工液より護られる。

【０００８】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の一実施例につ
き詳細に説明する。

【０００９】図１は本発明によるワイヤカット放電加工
装置ＷＣの一実施例を一部断面して示す斜視図である。
図１においてＢはベッド、ＣはベッドＢの上面Ｂ１に固
定されたワークスタンドであり、ワークスタンドＣには
被加工物（図示せず）が公知の適宜の手段で取り付けら
れる。

【００１０】ワークスタンドＣに取り付けられる図示し
ない被加工物を加工液中に浸漬した状態でワイヤカット
放電加工するため、ベッドＢの上面Ｂ１の囲縁に沿って
囲み枠部材１が配設されていると共に前記囲み枠部材の
前面側には、被加工物の搬入、搬出をするための開口部
を有しており、その開口部を閉塞可能に設けられた扉Ｂ
２が設けられている。囲み枠部材１と上面Ｂ１との間、
及び前記扉との前記囲み枠部材とが当接する部分には図
示しないシール部材が介装されており、これにより両者
間の液密状態が保持され、囲み枠部材１内に加工液を貯
溜することができる構成である。図１から判るように、
囲み枠部材１内に加工液を貯溜することにより、ワーク
スタンドＣに取り付けられる被加工物を加工液中に浸漬
することができる。すなわち、被加工物を加工液中に浸
漬しておくことが可能な適宜の加工液貯溜部内において
被加工物をワイヤカット放電加工することができるよう
に構成されている。

【００１１】なお、加工液の供給及び排出の構成につい
ては、前記囲み枠部材内へ通じる流通口１ｃ及び排出口
１ｂを設けると共に、流通口１ｃ及び排出口１ｂと図示
していない公知の加工液供給装置とをそれぞれ接続する
ことで、加工液の循環回路が形成され、加工液を供給及
び排出することができるような構成となっいる。また、
図示していないが、加工液の液面を調節する装置も設け
られている。

【００１２】このようにして加工液中に浸漬される被加
工物をワイヤカット放電加工するため、第１ワイヤガイ
ド装置８及び第２ワイヤガイド装置１４が設けられてい
る。第１ワイヤガイド装置８は総体的に符号Ｍで示され
る第１移動装置に取り付けられており、これにより第１
ワイヤガイド装置８を被加工物の上方の所定の水平面内
で被加工物に対して相対移動させることができる。一
方、第２ワイヤガイド装置１４は総体的に符号Ｎで示さ
れる第２移動装置に取り付けられており、これにより第
２ワイヤガイド装置１４を被加工物の下方の所定の水平
面内で被加工物に対して相対移動させることができる。
第１ワイヤガイド装置８と第２ワイヤガイド装置１４と
の間にはワイヤ電極Ｗが張架される。

【００１３】第１移動装置Ｍは、囲み枠部材１の上端面
１ａに配設された一対の第１案内レール２、２によって
案内されＸ方向に移動する梁部材３を備えている。囲み
枠部材１に固定されたブラケットＤにはモータ４が設け
られており、梁部材３と螺合している送りねじ４ａがモ
ータ４の回転軸（図示せず）に連結されている。したが
って、モータ４の回転を制御することにより、梁部材３
を第１案内レール２、２に沿って移動させ、所望のＸ方
向位置に位置決めすることができる。

【００１４】梁部材３の垂直面３ａにはＹ方向に沿う一
対の第２案内レール５、５が互いに平行となるように配
設されており、この一対の第２案内レール５、５によっ
て加工ヘッド６が案内される構成となっている。加工ヘ
ッド６は、一対の第２案内レール５、５と平行に配置さ
れ梁部材３に設けられたモータ７により回転駆動される
送りねじ７ａと螺合しており、モータ７の回転を制御す
ることにより加工ヘッド６を第２案内レール５、５に沿
って移動させ、所望のＹ方向位置に位置決めすることが
できる。

【００１５】なお、加工ヘッド６には、第１ワイヤガイ
ド装置８にワイヤ電極Ｗを供給するためのワイヤ電極供
給機構９が設けられているが、このワイヤ電極供給機構
９の構成それ自体は公知であるから、その詳細説明は省
略する。

【００１６】以上説明したところから理解されるよう
に、モータ４、７の回転を制御することにより、梁部材
３をＸ方向に移動させると共に梁部材３に設けられた加
工ヘッド６をＹ方向に移動させることができ、これによ
り、加工ヘッド６の下端部に固定されている第１ワイヤ
ガイド装置８を、被加工物の上方の所定の水平面内の所
望の位置に位置決めすることができる。また、加工ヘッ
ドには前記第１のワイヤガイド装置８をＺ方向に移動さ
せることができるよう駆動機構が内蔵されている（図で
はモータだけが示されている）。

【００１７】第２移動装置Ｎは、ベッドＢの上面Ｂ１と
略平行になるようＹ方向に沿って配置されている一対の
案内部１１、１１を有している。本実施例では、これら
の案内部１１、１１はベッドＢの上面Ｂ１に固定された
一組の支柱１３ａ、１３ｂと、別のもう一組の支柱１３
ｃ、１３ｄによって互いに平行となるよう上面Ｂ１から
スペースをあけて支持されている。図１では、支柱１３
ａ、１３ｂ、１３ｃのみが見えている。

【００１８】一方の案内部１１について説明すると、支
柱１３ａ、１３ｂの間に、一対の第３案内レール１０
１、１０１と、送りねじ１０２とがＹ方向に沿って互い
に平行に配設されて成っている。それらの各端部は支柱
１３ａ，１３ｂにしっかりと固定されている。他方の案
内部１１の構成は、送りねじ１０２に相当する部材が設
けられていない点を除いて、上述した一方の案内部１１
と同じである。

【００１９】後で詳しく述べる可動案内部１２をＹ方向
に移動させるため、一対の案内部１１、１１の一方にワ
イヤガイド移動装置１５が取り付けられている。

【００２０】ワイヤガイド移動装置１５は、図２に示さ
れるように、Ｙ方向に移動自在なように第３案内レール
１０１、１０１に取り付けられるケーシング１５Ａと、
このケーシング１５Ａ内に収納され回動自在であるがケ
ーシング１５Ａに対してＹ方向に相対移動しないように
図示しないベアリングが内挿されると共に支持部材によ
って保持されている送りナット１５Ｂとを備えている。
送りナット１５Ｂは送りねじ１０２に螺合されており、
送りナット１５Ｂには送りねじ１０２と、遊嵌状態にな
っているプーリ１５Ｃが固着されている。ケーシング１
５Ａに固定されているモータ１５Ｄの出力軸１５Ｅには
プーリ１５Ｆが固着されており、プーリ１５Ｆは歯溝付
ベルト１５Ｇによってプーリ１５Ｃと作動可能に連結さ
れている。

【００２１】このため、モータ１５Ｄの出力軸１５Ｅの
回転により送りナット１５Ｂを回転駆動することがで
き、これによりケーシング１５Ａを第３案内レール１０
１、１０１に沿ってＹ方向に移動させ、所望の位置に位
置決めすることができる。

【００２２】なお、上述した案内部１１を加工液からシ
ーリングするため、支柱１３ａとワイヤガイド移動装置
１５との間及び支柱１３ｂとワイヤガイド移動装置１５
との間には、適宜の防水性材料から成るベローズ１６、
１６がそれぞれ設けられている。このため、ワイヤガイ
ド移動装置１５の所要の運動を妨げることなしに第３案
内レール１０１、１０１、送りねじ１０２、及びワイヤ
ガイド移動装置１５の内部機構を加工液からシーリング
することができる。

【００２３】もう一方の案内部１１には、上述したワイ
ヤガイド移動装置１５に対応して可動部材１７が設けら
れている。可動部材１７は、図２に示したケーシング１
５Ａと同様に構成され、対応する第３案内レール１０
１、１０１に案内されてその軸方向、すなわちＹ方向に
移動可能なように、第３案内レール１０１、１０１にケ
ーシング１５Ａの場合と同様にして取り付けられてい
る。可動部材１７と支柱１３ｃ、１３ｄとの各間には適
宜の防水性材料から成るベローズ１６、１６が設けられ
ており、これによりこの案内部１１が加工液からシーリ
ングされている。したがって、この場合も、可動部材１
７は、一対の第３案内レール１０１、１０１によりＹ方
向へ移動自在に案内され、可動部材１７の運動を妨げる
ことなしに案内部１１の内部を加工液からシーリングす
ることができる。

【００２４】ワイヤガイド移動装置１５と可動部材１７
との間には、可動案内部１２がその軸線がＸ方向に沿う
ようにして連結されており、ワイヤガイド移動装置１５
内のモータ１５Ｄの回転によりワイヤガイド移動装置１
５が対応する案内部１１に沿ってＹ方向に移動すること
により、可動案内部１２がＹ方向に移動せしめられる。

【００２５】可動案内部１２は、既に説明した案内部１
１と同様に、一対の第４案内レール２０１、２０１と、
これに平行に配置された送りねじ２０２とを備えてい
る。そして、第４案内レール２０１、２０１と送りねじ
２０２とにはワイヤガイド移動装置３０が作動可能に取
り付けられている。

【００２６】図３に示されるように、ワイヤガイド移動
装置３０はワイヤガイド移動装置１５と同様に構成され
ており、第４案内レール２０１、２０１及び送りねじ２
０２に対し、図２に示したのと同様にして、作動可能に
取り付けられており、ベローズ１６、１６により加工液
からのシーリングが施されている。ここで、第２図中の
各部に対応する部分には３０番台の対応する符号を付し
て説明を省略する。

【００２７】第２ワイヤガイド装置１４はワイヤガイド
移動装置３０に取り付けられており、ワイヤガイド移動
装置３０が可動案内部１２に沿って、すなわちＸ方向に
移動するので、これにより第２ワイヤガイド装置１４を
Ｘ方向に移動させ、位置決めすることができる。このよ
うに、複数のベローズ１６によって第２移動装置Ｎの内
部機構は水密に保たれている。

【００２８】囲み枠部材１内に加工液を注入した場合に
これらのベローズ１６内に加工液が侵入するのを確実に
防止するため、ワイヤカット放電加工機ＷＣとは別体に
設けられた加圧流体供給源からの加圧流体が加圧流体供
給管Ａ１、Ａ２を介してベローズ１６の内部に供給され
ている。

【００２９】図６には、図１において採用されている加
圧流体供給系統の構成が示されている。図６において、
２０１は加圧流体供給源であり本実施例では乾燥させた
エアを加圧して送給するようになっている。加圧流体供
給源２０１からの加圧エアは管２０２を介して流体圧調
整器２０３に送られ、ここで、エアの圧力が囲み部材１
内の加工液の液圧と略同等かあるいはやや高い圧力に調
整される。

【００３０】圧力調整されたエアは加圧流体供給管Ａ１
を介して支柱１３ａ内に供給される。支柱１３ａはそれ
に対応して取り付けられているベローズ１６の内部と連
通しているので、これによりベローズ１６の内圧が送給
されたエアによりそこでの加工液の液圧と同等かやや高
めの値とされる。圧力調整されたエアはまた加圧流体供
給管Ａ２を介して支柱１３ｃ内にも供給されており、こ
れにより対応して設けられたベローズ１６の内圧をもそ
こでの加工液の液圧と同等か又はやや高目の値にするこ
とができる。なお加圧流体供給管Ａ１、Ａ２と支柱１３
ａ、１３ｃとの間の接続は、エア漏れがないよう、適宜
の手段で気密シール接続されている。

【００３１】このように、ベローズ１６内に加圧流体を
供給しておくと、ベローズ１６に孔があいた場合、加圧
流体がそこから加工液中に漏れ出ることにより、加工液
がベローズ１６中に侵入することを確実に防止できる。
そのシール状態が悪化した場合も同様である。また、こ
れらの場合、ベローズ１６又はその接続部から気泡が出
るので、作業者はベローズ１６又はシール部に損傷が生
じたことを迅速に発見することができ、保守上好都合で
ある。またベローズ１６内を加圧することにより、ベロ
ーズ１６が加工液の液圧で変形するのを有効に防止する
ことができ、ベローズ１６が第２移動装置Ｎの動作を妨
害するのを有効に防止できる。

【００３２】加圧流体としては、乾燥したエアのほか、
例えば摺動用オイルを使用することができる。摺動用オ
イルを使用した場合は、上記のようなベローズ１６によ
るシーリングに不具合があった場合ただちに発見できる
と共に、エアを使用した場合に加工液により受ける浮力
も軽減できる。

【００３３】なお、ベローズ１６にかかる液圧は加工液
の液面高さによって微小ながら変化するので、この液圧
をベローズ１６に設けたセンサ２０４で検知し、その検
知信号２０５に応答して流体圧調整器２０３での圧力調
整を制御し、常に最適な圧力の加圧流体をベローズ１６
内に供給できる構成となっている。

【００３４】以上の説明から理解されるように、第２移
動装置Ｎによって、第２ワイヤガイド装置１４を、囲み
枠部材１内の所定の水平面内で移動させ、所望の位置に
位置決めすることができる。なお、当然のことながら、
第２ワイヤガイド装置１４が移動する水平面は、被加工
物の下側になる。

【００３５】次に、図１に示したワイヤカット放電加工
機ＷＣの作動について説明する。

【００３６】第１移動装置Ｍ及び第２移動装置Ｎの各モ
ータ４、７、１５Ｄ、３０Ｄは位置決め制御ユニットＵ
に接続されており、所与の加工データに従って回転制御
され、第１ワイヤガイド装置８及び第２ワイヤガイド装
置１４が従来装置の場合と同様にして被加工物と相対運
動し、被加工物がワイヤカット放電加工される。すなわ
ち、通常の直線加工であれば、第１ワイヤガイド装置８
と第２ワイヤガイド装置１４とは同一の座標位置を保っ
て所定の加工軌跡をたどり、被加工物を加工する。ま
た、テーパ加工であれば、第１ワイヤガイド装置８と第
２ワイヤガイド装置１４とに別の運動が与えられ、これ
により被加工物がテーパ加工される。いずれにしても、
第１移動装置Ｍと第２移動装置Ｎとにより、第１ワイヤ
ガイド装置８と第２ワイヤガイド装置１４とを相互に関
連させて運動させ、これにより被加工物を所望の形状に
加工するとができる。

【００３７】図１の実施例では、第１移動装置Ｍを、囲
み枠部材１によって支持するようにした構成を示した。
しかし、図４に示されるように、適宜の基台Ｋ上でＸ方
向に移動自在となるように設けられた梁部材３に相当す
る第１移動ブロック４０と、該第１移動ブロック４０上
にＹ方向に移動自在に設けられた第２移動ブロック４１
とを有し、図示しないモータにより第１及び第２移動ブ
ロック４０、４１を移動させるようにした移動装置Ｍ１
を構成し、これにより第２移動ブロック４１に固定され
た加工ヘッド６を移動させ、加工ヘッド６に取り付けら
れた第１ワイヤガイド装置８を、被加工物の上方の所定
の平面内で位置決めするようにした構成であってもよ
い。

【００３８】図５は、図１に示した第１移動装置Ｍの更
に別の変形例を示すものである。図５に示した移動装置
Ｍ２は、基台Ｋ上でＸ方向に移動自在となるように設け
られた第１ブロック５０上に第２ブロック５１をＹ方向
に移動自在に設けることにより構成されたものである。

【００３９】以上説明した各実施例においては、第１ワ
イヤガイド装置８と第２ワイヤガイド装置１４とが、そ
れぞれ対応する移動装置によって別個に広範囲に移動可
能であるから、被加工物を挟むＸ−Ｙ平面内で広角度な
テーパ加工を行うための移動ができる。

【００４０】図７には、本発明の別の実施例が示されて
いる。図７に示されるワイヤカット放電加工機ＷＣ１
は、第２移動装置Ｎ１の構成が図１に示すワイヤカット
放電加工機ＷＣの第２移動装置Ｎと異なっている点を除
いて、図１において説明した各構成がそのまま採用され
ている。したがって、図７の各部のうち図１の各部に対
応する部分にはそれと同一の符号を付して説明を省略す
る。

【００４１】ワイヤカット放電加工機ＷＣ１の第２移動
装置Ｎ１は、支柱１３ｃにより一端部が支持されている
案内部５００を有しており、案内部５００の一対の案内
レール５０１、５０１と送りねじ５０２とはベローズ５
０３で液密にシールされている。案内レール５０１には
可動部材６０が作動可能に連結されており、この可動部
材６０には、第２ワイヤガイド装置１４が取り付けられ
ているワイヤガイド移動装置３０を案内するための可動
案内部１２の一端部が固定されている。なお、符号５０
４にて示されるのは、案内部５００内に設けられている
送りねじ５０２を囲み枠部材１の外側から回転駆動させ
るためのモータである。

【００４２】次に、図８を参照して案内部５００の構成
について説明する。送りねじ５０２は、その一端が支柱
１３ｃ内のベアリング５０５によって回動自在に支持さ
れ、その他端はモータ５０４の回転軸（図示せず）に連
結されている。可動部材６０は、送りねじ５０２に螺合
されている送りナット６１と、送りナット６１をベアリ
ング６２を介して回動自在に支持する支持部材６３と、
これらの各部材を収納するケーシング６４とから成って
いる。支持部材６３は案内レール５０１、５０１によっ
て案内されており、この結果、モータ５０４によって送
りねじ５０２が回転すると、可動部材６０は案内レール
５０１に沿って移動する。なお、可動部材６０の移動に
より可動案内部１２がＹ方向に移動するのは図１の実施
例の場合と同様である。

【００４３】図８では、支柱１３ｃと加圧流体供給管Ａ
２によって連結されている加圧流体供給系統が示されて
いないが、図７に示す実施例の場合も、図６で説明した
のと同様の加圧流体供給系統が同様の目的で設けられて
いる。

【００４４】図９には、図８の構成において、モータ５
０４の取付台５０６を介してベローズ５０３内に加圧流
体を供給する構成の一例が示されている。この構成で
は、加圧流体供給管Ａ２が取り付け台５０６及び囲み枠
部材１に設けられた連通孔を介してベローズ１６の内部
を連通する構成となっている。

【００４５】図１０には、この部分の詳細構成が断面し
て示されている。加圧流体供給管Ａ２には、図６の場合
と同様に、加圧流体供給源２０１からの加圧エアが流体
圧調整器２０３を介して供給されている。一方、取り付
け台５０５には連通孔５０５Ａが形成され、囲み枠部材
１には連通孔１Ａが形成されている。これらの連通孔５
０６Ａ、１Ａは適宜のシール部材を用いて加圧流体の漏
れがないように連結され、連通孔５０５Ａに加圧流体供
給管Ａ２が気密に連結されている。

【００４６】したがって、所要の圧力に調整されたエア
が加圧流体供給管Ａ２によって導かれ、連通孔５０６
Ａ、１Ａを介してベローズ５０３内に供給される。な
お、加圧流体をベローズ１６内に供給した場合のその圧
力の調整の方法及びその効果は既述した実施例について
説明したのと同様である。

【００４７】上記実施例では、被加工物を加工液中に浸
漬した状態で放電加工するようにしたワイヤカット放電
加工機について説明したが、本発明の構成はこの実施例
の構成のみに限定されるものではない。すなわち、本発
明は、加工間隙部に加工液の存在の下で放電エネルギを
供給し放電加工するワイヤカット放電加工機を対象とし
ているので、被加工物を加工液中に浸漬した状態で放電
加工するようにしたワイヤカット放電加工機が此れに含
まれるのは勿論のこと、被加工物を加工液中に浸漬する
ことなく加工間隙に加工液をフラッシングしつつ放電加
工を行うようにしたワイヤカット放電加工機、さらに
は、被加工物を加工液中に浸漬した状態で加工間隙に加
工液をフラッシングしつつ放電加工を行うようにしたワ
イヤカット放電加工機もまた、加工間隙部に加工液の存
在の下で放電エネルギを供給し放電加工するワイヤカッ
ト放電加工機に含まれる。

【００４８】

【発明の効果】本発明によれば、以下の効果が得られ
る。 （１）加工液を貯溜するためのタンク手段から下部アー
ムシールを除去することができるので構造が簡単にな
り、加工液の液もれの心配が全くない。 （２）下部のワイヤガイドの所要の運動を確保するため
のスペースが従来に比べて小さくて済み、装置の小型化
に役立つ。 （３）広角度のテーパー加工が行える。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を一部断面して示す斜視図。

【図２】図１に示したワイヤガイド移動装置を一部断面
して示す斜視図。

【図３】図１に示したもう一方のワイヤガイド移動装置
を一部断面して示す斜視図。

【図４】図１に示した実施例の変形例を示す斜視図。

【図５】図１に示した実施例の別の変形例を示す斜視
図。

【図６】図１に示したワイヤカット放電加工機の加圧流
体供給系統の構成図。

【図７】本発明の他の実施例を一部断面して示す斜視
図。

【図８】図７に示した案内部の構成を一部断面して示す
斜視図。

【図９】図８に示す案内部の変形例を示す斜視図。

【図１０】図９に示す案内部の要部及びそれに連結され
る加圧流体供給系統を示す図。

【符号の説明】

１ 囲み枠部材 ６ 加工ヘッド ８ 第１ワイヤガイド装置 １４ 第２ワイヤガイド装置 １６ ベローズ Ｂ ベッド Ｃ ワークスタンド Ｍ 第１移動装置 Ｎ 第２移動装置 Ｕ 位置決め制御ユニット Ｗ ワイヤ電極 ＷＣ、ＷＣ１ ワイヤカット放電加工機

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被加工物を第１及び第２のワイヤガイド
   装置により張架されたワイヤ電極を用いて加工間隙部に
   加工液の存在の下で放電エネルギを供給し放電加工する
   ワイヤカット放電加工機において、 前記第１のワイヤガイド装置を前記被加工物に対して所
   定平面内で相対移動させるための第１移動装置と、 前記被加工物を保持するための保持部材が設けられてい
   るベッドと、 前記第１のワイヤガイド装置を支持するため前記ベッド
   に設けられた囲み枠部材と、 該囲み枠部材内に収納され前記第２ワイヤガイド装置を
   前記所定平面と平行な平面内で移動させるための第２移
   動装置と、 該第２移動装置を前記加工液の浸入から遮断するための
   シール部材と、 所与の加工指令情報に応答し前記第１及び第２のワイヤ
   ガイド装置に加工のために必要な移動を与えるよう前記
   第１及び第２移動装置を制御するための制御ユニットと
   とを備えて成ることを特徴とするワイヤカット放電加工
   機。
2. 【請求項２】前記第２移動装置の内の１軸側のモータが
   前記囲み枠部材の外側に突出することを特徴とする請求
   項１に記載のワイヤカット放電加工機。
3. 【請求項３】前記第１移動装置を前記囲み枠部材の少な
   くとも１つ以上の側壁が支持することを特徴とする請求
   項１又は２に記載のワイヤカット放電加工機。
4. 【請求項４】前記被加工物を浸漬するための前記加工液
   を前記囲み枠部材により貯留することを特徴とする請求
   項１、２又は３に記載のワイヤカット放電加工機。
5. 【請求項５】前記シール部材内部に加圧流体を供給する
   ための手段を設けたことを特徴とする請求項１、２、３
   又は４に記載のワイヤカット放電加工機。