JPH08319540A - レジスト性の優れたFe−Ni合金薄板およびその製造方法 - Google Patents

レジスト性の優れたFe−Ni合金薄板およびその製造方法

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JPH08319540A
JPH08319540A JP12197395A JP12197395A JPH08319540A JP H08319540 A JPH08319540 A JP H08319540A JP 12197395 A JP12197395 A JP 12197395A JP 12197395 A JP12197395 A JP 12197395A JP H08319540 A JPH08319540 A JP H08319540A
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JP
Japan
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shadow mask
roughness
alloy sheet
less
oxygen concentration
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JP12197395A
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Tomio Satsunoki
富美夫 札軒
Masamichi Ogawa
政道 小川
Toshihiko Uchida
俊彦 内田
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 スジムラやレジスト不良の発生を抑制し、製
品歩留が良好であるシャドウマスク用Fe−Ni合金薄
板。 【構成】 表面粗さがRaで0.50〜1.00μmか
つ最大粗さがRyで3.5〜9.5μmであり、表面酸
化被膜中の酸素濃度面積が2.5×103 %Å以下であ
る、重量%にて、Ni:30〜52を含有し、以下いず
れも、C:0.02、Si:0.30、Al:0.0
2、O:0.02であり、板厚が0.3mm以下の、レ
ジスト性の優れたFe−Ni合金薄板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カラーブラウン管内等
で使用されるシャドウマスク用Fe−Ni合金薄板、特
にシャドウマスクの製造工程においてスジムラやレジス
ト不良の発生を抑制し、製品歩留が良好であるシャドウ
マスク用Fe−Ni合金薄板およびその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】カラーブラウン管シャドウマスク用素材
としては、一般に低炭素鋼が使用されている。カラーブ
ラウン管は真空管を形成するガラスバルブのフェースプ
レート部(パネル)に赤、緑、青の3原色を発する蛍光
膜が塗布されており、反対側のネック部には蛍光膜を刺
激発光させるための電子ビームを発射する電子銃を備え
ている。シャドウマスクは、蛍光面と電子銃の間の蛍光
面に近い位置に設けられており、電子銃から発する3原
色に対応する3本の電子ビームを、スロットと呼ばれる
孔に通過させて各々対応する蛍光面のみに当てるような
色選別の機能を果たしているものである。従って、シャ
ドウマスク上のスロットと蛍光体の位置関係が正確に合
っている必要がある。しかしながら、カラーブラウン管
を連続使用する場合、電子ビームのエネルギーのうち約
80%がシャドウマスク上で熱エネルギーとして消費さ
れるため、シャドウマスクの温度が局部的に90℃程度
まで上昇して熱膨張により電子ビームと蛍光体の一致が
得られなくなり、画像が不鮮明になる。このため、カラ
ーブラウン管の構造を工夫してシャドウマスクの熱膨張
を補償することが行われているが十分ではない。
【0003】そこで、シャドウマスク用素材として低炭
素鋼に比べて熱膨張係数が極めて小さい、Niを30〜
52%含有する低熱膨張Fe−Ni合金薄板が使用され
てきている。しかしながら、シヤドウマスクの製造工程
においてこのようなFe−Ni合金薄板はエッチング穿
孔性が従来の低炭素鋼に比べて著しく劣り、またレジス
ト剥離に起因する孔形状ムラやスジムラというエッチン
グ不良が多発する問題がある。従って、カラーブラウン
管内で使用されるシャドウマスク用Fe−Ni合金薄
板、特にシャドウマスクの製造工程においてスジムラや
レジスト不良の発生がなく、製造歩留が良好なシャドウ
マスク用Fe−Ni合金薄板およびこれを製造する方法
が強く要望されている。
【0004】低熱膨張型シャドウマスク用素材として
は、例えばFe−Ni合金のC、S、O等の成分を限定
して、炭化物、硫化物、酸化物を制御することによりエ
ッチング穿孔性に優れたシャドウマスク用素材が特開昭
61−113746号公報に開示されている。これによ
れば、介在物に起因するエッチング穿孔ムラ等の欠陥は
防止できるが、介在物以外の原因によるエッチング不良
に対しては十分に考慮されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、シャドウマ
スクの製造工程においてスジムラやレジスト不良の発生
を抑制し、製品歩留が良好であるシャドウマスク用Fe
−Ni合金薄板およびその製造方法を提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、成分、材
質および製造工程を種々検討した結果、微量成分を限定
し、薄板での強度および表面仕上げを適切に組み合わせ
ること、さらに最終焼鈍前の板厚、焼鈍条件および調質
圧延条件を限定することにより、上記課題を解決できる
ことを見出した。
【0007】すなわち、本発明の要旨とするところは下
記のとおりである。 (1)重量%にて、Ni:30〜52%、C:≦0.0
2%、Si:≦0.30%、Al:≦0.02%、O:
≦0.02%を含有し、板厚が0.3mm以下のFe−
Ni合金薄板であって、表面粗さがRaで0.50〜
1.00μmかつ最大粗さがRyで3.5〜9.5μm
であり、表面酸化被膜中の酸素濃度面積が2.5×10
3 %Å以下であることを特徴とするレジスト性の優れた
Fe−Ni合金薄板。
【0008】(2)重量%にて、Ni:30〜52%、
C:≦0.02%、Si:≦0.30%、Al:≦0.
02%、O:≦0.02%を含有するFe−Ni合金帯
板を、冷間圧延により0.3mm以下の板厚にし、続い
てN2 を5〜90vol.%含有する無酸化あるいは還
元性雰囲気中において700〜900℃で焼鈍し、続い
て表面粗さがRaで0.75〜1.50μmかつ最大粗
さがRyで5.5〜17.0μmのワークロールを用い
て調質圧延し、アルカリ電解洗浄を1パス以上行うこと
を特徴とするレジスト性の優れたFe−Ni合金薄板の
製造方法。
【0009】
【作用】以下、本発明の限定理由について説明する。ま
ず、本発明合金薄板の成分の限定理由について述べる。
Niはその含有量が30%より少ないと熱膨張係数が極
めて高くなり、カラーブラウン管の鮮映性が劣化し、ま
た52%を超えて含有しても熱膨張係数が高くなる。従
って、Niの成分範囲を30〜52%とした。望ましい
範囲は、34〜38%である。
【0010】Cはその含有量が0.02%を超えると鉄
炭化物の生成が著しく、これがエッチング穿孔性を阻害
して穿孔欠陥の原因となる。従って、Cの成分範囲を
0.02%以下とした。望ましい範囲は、0.01%以
下である。Siはその含有量が0.30%を超えるとS
iO2 の生成が著しく、これが熱間圧延やその後の冷間
圧延の加工により高延性のため直鎖状に残留してエッチ
ング時に筋状の穿孔ムラの原因となる。従って、Siの
成分範囲を0.30%以下とした。望ましい範囲は、
0.10%以下である。
【0011】Alは脱酸剤として有効であるが、その含
有量が0.02%を超えるとAl23 の生成が著し
く、これが熱間圧延やその後の冷間圧延後の加工により
低延性のため分断されて線状に残留してエッチング時に
筋状の穿孔ムラの原因となる。従って、Alの成分範囲
を0.02%以下とした。望ましい範囲は、0.01%
以下である。
【0012】Oはその含有量が0.02%を超えると酸
化物系介在物の生成が著しく、これがエッチング穿孔性
を阻害して穿孔欠陥や穿孔ムラの原因となる。従って、
Oの成分範囲を0.02%以下とした。望ましい範囲
は、0.01%以下である。本発明者らは、シャドウマ
スクの製造工程においてスジムラやレジスト不良の発生
を防止し、製造歩留が良好であるシャドウマスク用Fe
−Ni合金薄板を得るためには、エッチング素材の状態
で表面粗さがRaで0.50〜1.00μmかつ最大粗
さがRyで3.5〜9.5μm以下であり、表面酸化被
膜中の酸素濃度面積が2.5×103 %Å以下であるこ
とが有効であることを見出した。
【0013】板厚が0.20mmであるFe−36%N
i合金薄板を用いて、エッチング素材の状態での表面酸
化被膜中の酸素濃度面積によるシャドウマスクの製造工
程でのスジムラ起因の歩留落ちへの影響を調査した結果
を図1に示す。ここで、表面酸化被膜中の酸素濃度面積
は、オージェ電子分光分析装置を用いて表面から深さ方
向の酸素濃度分布を測定し、酸素濃度曲線と縦軸、横軸
に囲まれた面積をプラニメーターにて算出した。
【0014】図1から明らかなように、エッチング素材
の状態での表面酸化被膜中の酸素濃度面積が2.5×1
3 %Åを超えると、スジムラが発生しやすくなるため
歩留落ちが高いことがわかる。従って、シャドウマスク
の製造工程でのスジムラ起因の歩留落ちを3%以下とす
るためには、エッチング素材の状態での表面酸化被膜中
の酸素濃度面積の範囲を2.5×103 %Å以下とする
必要がある。
【0015】板厚が0.20mmであるFe−36%N
i合金薄板を用いて、エッチング素材の状態での表面の
平均粗さRaと最大粗さRyによるシャドウマスクの製
造工程でのレジスト不良起因の歩留落ちへの影響を調査
した結果を図2に示す。ここで、平均粗さRaおよび最
大粗さRyは、JIS B 0601に基づいて測定し
た。
【0016】図2から明らかなように、エッチング素材
の状態での表面の平均粗さRaが0.50μm未満でか
つ最大粗さがRyで3.5μm未満では、レジスト膜の
密着力が弱く、後工程のエッチング時に孔形状が不揃い
となるので歩留落ちが高くなることがわかる。また、R
aが1.00μmを超えかつRyが9.5μmを超える
と、逆にレジスト膜の密着力が大きくなりすぎるためレ
ジスト膜剥離に時間がかかり生産性が低下する。従っ
て、シャドウマスクの製造工程でのレジスト不良起因の
歩留落ちを3%以下とするためには、エッチング素材の
状態での表面の平均粗さRaの範囲を0.50〜1.0
0μmかつ最大粗さRyの範囲を3.5〜9.5μmと
する必要がある。
【0017】本発明者らは、シャドウマスクの製造工程
においてスジムラやレジスト不良の発生が少なく、製造
歩留が良好であるシャドウマスク用Fe−Ni合金薄板
を得るための製造方法としては、1回または2回以上の
冷間圧延を行い、続いてN2を5〜90vol.%含有
する無酸化あるいは還元性雰囲気中において700〜9
00℃で焼鈍した後、表面粗さがRaで0.75〜1.
50μmかつRyで5.5〜17.0μmであるワーク
ロールを用いて調質圧延を行い、続いてアルカリ電解洗
浄を1パス以上行うことを見出した。
【0018】板厚が0.20mmであるFe−36%N
i合金帯板を用いて、N2 :25vol.%、H2 :7
5vol.%である焼鈍雰囲気における焼鈍温度と調質
圧延後の洗浄条件による表面酸化被膜中の酸素濃度面積
への影響を調査した結果を図3に示す。図3から明らか
なように、焼鈍温度が900℃以下では調質圧延後に洗
浄しない場合やアルカリ洗浄を行った場合に酸素濃度面
積が2.5×103 Å%を超えるが、電解によるアルカ
リ洗浄を1パス以上行った場合には酸素濃度面積が2.
5×103 Å以下になることがわかる。
【0019】焼鈍温度が700℃未満では未再結晶のま
まであり、材質が硬化したままであるので、後工程の調
質圧延において所定の表面粗さが得られない。従って、
焼鈍温度の範囲を700〜900℃とし、焼鈍後のアル
カリ電解洗浄を1パス以上行うこととした。最終焼鈍の
雰囲気中のN2 濃度については、90vol.%を超え
るとFe−Ni合金特有の粒界への選択酸化が発生し、
表面状態が劣化する。一方、5vol.%未満では表層
に水素が残留し、エッチング時にエッチング面性状が過
度に浸食されることがある。従って、雰囲気中のN2
度の範囲を5〜90vol.%とした。
【0020】調質圧延ロールの表面については、平均粗
さRaが0.75μm未満かつ最大粗さRyが5.5μ
m未満ではシャドマスク素材の表面として要求されるダ
ル目がロール表面に十分に加工できない。また、平均粗
さRaが1.50μmを超えかつ最大粗さRyが17.
0μmを超えるとダル目加工の時間が極めて長時間かか
り、そのために多数の予備ロールを準備する必要がある
ためにコスト増に繋がる。従って、調質圧延ロールの表
面をRaの範囲で0.75〜1.50μmかつRyの範
囲で5.5〜17.0μmとした。
【0021】
【実施例】表1、表2(表1のつづき−1)、表3(表
1のつづき−2)、表4(表1のつづき−3)、表5
(表1のつづき−4)、表6(表1のつづき−5)に本
発明例および比較例、従来例を示す。対象材はFe−3
6%Ni合金で、仕上板厚として0.20mmの材料を
用いて行った。表1〜表6には、成分、冷延回数および
板厚、最終焼鈍条件、調質圧延条件とエッチング素材の
状態の特性を示している。また、シャドウマスクの製造
工程においてスジムラ起因の歩留落ちとレジスト不良起
因の歩留落ちも示している。
【0022】本発明例は、比較例、従来例に比較して、
シャドウマスクの製造工程においてエッチング穿孔性が
良好でスジムラの発生やレジスト不良を防止するため、
エッチング時での歩留落ちが大幅に低減していることが
わかる。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
【表5】
【0028】
【表6】
【0029】
【発明の効果】以上のことから明らかな如く、本発明の
Fe−Ni合金薄板を用いれば、シャドウマスクの製造
工程においてエッチング穿孔性が良好でスジムラおよび
レジスト不良の発生が抑制でき、製造歩留が大幅に改善
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】仕上板厚が0.20mmであるFe−36%N
i合金薄板を用いて、エッチング素材の状態での表面酸
化被膜中の酸素濃度面積によるシャドウマスクの製造工
程でのスジムラ起因の歩留落ちへの影響を調査した結果
を示す図である。
【図2】仕上板厚が0.20mmであるFe−36%N
i合金薄板を用いて、エッチング素材の材料での表面の
平均粗さRaと最大粗さRyによるシャドウマスクの製
造工程でのレジスト不良起因の歩留落ちへの影響を調査
した結果を示す図である。
【図3】仕上板厚が0.20mmであるFe−36%N
i合金薄板を用いて、N2 :25vol.%、H2 :7
5vol.%である焼鈍雰囲気における焼鈍条件と調質
圧延後のアルカリ電解洗浄条件による表面酸化被膜中の
酸素濃度面積への影響を調査した結果を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%にて、Ni:30〜52%、C:
    ≦0.02%、Si:≦0.30%、Al:≦0.02
    %、O:≦0.02%を含有し、板厚が0.3mm以下
    のFe−Ni合金薄板であって、表面粗さがRaで0.
    50〜1.00μmかつ最大粗さがRyで3.5〜9.
    5μmであり、表面酸化被膜中の酸素濃度面積が2.5
    ×103 %Å以下であることを特徴とするレジスト性の
    優れたFe−Ni合金薄板。
  2. 【請求項2】 重量%にて、Ni:30〜52%、C:
    ≦0.02%、Si:≦0.30%、Al:≦0.02
    %、O:≦0.02%を含有するFe−Ni合金帯板
    を、冷間圧延により0.3mm以下の板厚にし、続いて
    2 を5〜90vol.%含有する無酸化あるいは還元
    性雰囲気中において700〜900℃で焼鈍し、続いて
    表面粗さがRaで0.75〜1.50μmかつ最大粗さ
    がRyで5.5〜17.0μmのワークロールを用いて
    調質圧延し、アルカリ電解洗浄を1パス以上行うことを
    特徴とするレジスト性の優れたFe−Ni合金薄板の製
    造方法。
JP12197395A 1995-05-19 1995-05-19 レジスト性の優れたFe−Ni合金薄板およびその製造方法 Withdrawn JPH08319540A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003239047A (ja) * 2002-02-15 2003-08-27 Nippon Mining & Metals Co Ltd ブリッジ付きテンションマスク用軟鋼素材及びシャドウマスク
EP2441532A4 (en) * 2009-06-09 2017-02-01 Toyo Kohan Co., Ltd. Nickel-plated steel sheet and process for producing battery can using the nickel-plated steel sheet
CN114586121A (zh) * 2019-10-24 2022-06-03 日进材料股份有限公司 薄膜电容器制造用镍箔及其制造方法

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