JPH08317736A - 植物成長促進用被覆材料 - Google Patents

植物成長促進用被覆材料

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JPH08317736A
JPH08317736A JP8054883A JP5488396A JPH08317736A JP H08317736 A JPH08317736 A JP H08317736A JP 8054883 A JP8054883 A JP 8054883A JP 5488396 A JP5488396 A JP 5488396A JP H08317736 A JPH08317736 A JP H08317736A
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JP
Japan
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group
atom
coating material
plant growth
phthalocyanine compound
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JP8054883A
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English (en)
Inventor
Tatsu Oi
龍 大井
Kazuhiro Kiyono
和浩 清野
Shuhei Imon
修平 井門
Hirosuke Takuma
啓輔 詫摩
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 フタロシアニン化合物を含有し、光を透
過させたときの光合成有効光量子束(PPF)透過率が
50%以上で、かつ、下記式で表されるA値が0.9以
下であることを特徴とする植物成長促進用被覆材料。 A=R/Fr (式中、Rは600〜700nmの赤色光の光量子束で
あり、Frは700〜800nmの遠赤色光の光量子束
である) 【効果】 簡便に植物の成長を抑制できる被覆材料を提
供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物の成長を促進
する新規な被覆材料に関するものであり、施設園芸ある
いは家庭園芸において極めて価値のあるものである。
【0002】
【従来の技術】施設園芸や家庭園芸に用いられる被覆材
の第1目的は、外気と温室の間の対流伝熱による熱損失
を抑える(換気率を小さくする)ことにより、温度環境
の適切な調節、栽培時期の調節、栽培必要日数の短縮、
栽培回数の増大などを図ることである。その他、降雨を
遮断して農薬、肥料などが温室外へ移動するのを抑制す
る等の効果もあり、またCO2 施肥なども可能とするも
のである。一次被覆材は、外気や太陽光に直接さらされ
るため、耐用年数が長いことが望ましく、また、光線透
過率が高いことが必要である。この目的には、ガラス、
プラスチック板またはフィルムが用いられている。特に
フィルムの場合、安価で、取りつけ、取り外しが簡便と
いう利点を持つ。また、二次被覆材は、保温目的、遮光
用を主たる用途とし、分光透過率、透過光全量中の拡散
光の割合を増加させる目的もあり、ポリエチレン、アル
ミ蒸着フィルムが多く用いられる。このように、現在実
用化されている被覆材の機能は、温度環境の保持調節を
主体とするものである。その他の被覆材料の機能につい
ての検討は、1950年代に光形態形成に関する研究が
急速に発展したのに対応して、わが国でも農林水酸省が
主体となり、光形態形成制御を含む光質利用研究が19
83年までの20年以上にわたり、活発に行われてき
た。しかしなお、実用的な成果を得るに到っていない
(農業および園芸、第69巻第9号、986頁、199
4年)。
【0003】ところで、今日、種苗生産施設では植物の
成長促進手法の確立による早収、初期収量の増加等への
期待が大きい。また、鉢ものの場合は矮化した大輪の花
が望まれる反面、花卉栽培においては軸の長い花が切り
花として珍重されるなどの傾向もみられる。このよう
に、植物の伸長成長は商品価値を左右するが、現在、こ
れらの調節は薬品のホルモン剤による化学的調節や、力
学的抑制(整枝剪定)によって行われており、より安全
かつ簡便な方法が望まれている。従来、人工光源を用い
た実験より、遠赤色光が多い光環境では、植物の伸長成
長を促進することが知られている。この理由は遠赤色光
の増加によりr/fr(rは660nmの光量子束、f
rは730nmの光量子束)比が低下し、その比がフィ
トクロム光平衡を変化させ、その結果が植物に信号とし
て作用し、伸長を促進すると推測されている。逆に赤色
光が多い光環境では伸長が抑制されることが知られてい
る。しかし、被覆材料を使ってそれを実証した例はな
い。例えば、紫外線と可視光線を制御するフィルムに関
しては、特開昭52−117738、特開平1−132
648、特開平2−283212、特開昭61−170
322等に報告があるが、遠赤色光の影響、r/frと
の関係、伸長促進作用等に関する記載はない。また、遠
赤色光を制御するフィルムに関しては、具体的な植物へ
の効果を示したものはない。
【0004】村上らは、植物栽培用人工光源の評価法、
設計選択手法として、光合成有効光量(PPF発光効
率)とともに、赤色領域の光と遠赤色領域の光の比率が
光形態形成の観点から重要であることを明らかにし、P
PF発光効率が高く、赤色光/遠赤色光の比率を調節で
きる光源が植物にとって望ましいとし、また、植物栽培
人工光環境における形態制御指標として赤色光/遠赤色
光の比率を用いる場合に、波長帯(幅)を600〜70
0/700〜800nm(R/Fr)とすることが最も
適切であることを示した。さらに、PPF発光効率が高
く、R/Frを3段階もった4波長域発光形螢光ランプ
を試作し、伸長成長の制御効果を実証している(村上
ら、生物環境調節,30巻4号,135〜141ペー
ジ,1992年)。しかしながら、これらの人工光源を
用いるには多大の設備費及び電力費等の運転費用が必要
であるために、より安価な手法が要求されているのが現
状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、自然
光(太陽光)を利用でき、しかも安価かつ取り扱いが容
易で、実用的な高耐候性の植物成長促進用の被覆材料を
提供しようとするものである。
【0006】
〔式中、Rは600〜700nmの赤色光の光量子束であり、Frは700〜800nmの遠赤色光の光量子束である〕
また、フタロシアニン化合物が下記一般式(1)(化
2)で表される化合物である前記の植物成長促進用の被
覆材料に関するものである。
【0007】
【化2】 〔式中、A1 〜A8 は各々独立に、水素原子、ハロゲン
原子、炭素数1〜20のアルキル基、或いは炭素数1〜
20のアリール基を表し、B1 〜B8 は各々独立に、水
素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ヒドロキシ
スルホニル基、アミノスルホニル基、或いは炭素数1〜
20の窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ハロゲン原子を
含んでもよい置換基を表し、Mは2価の金属原子、3価
又は4価の置換金属原子、又はオキシ金属を表す。〕
【0008】
【発明の実施の形態】本願発明の植物成長促進用被覆材
料は、600〜700nmに極大吸収波長(λmax )を
有する少なくとも1種のフタロシアニン化合物を含有す
る被覆材料である。本発明でいう植物成長促進とは、草
丈、茎長、節間等の伸長の促進、側枝の成長の促進、開
花の促進、栄養成長の促進による早収、初期収量の増加
等をいう。植物の成長促進を行うためには、植物にあた
る光の中でも特定の波長の光を制御する必要があるが、
植物がその植物体内で充分な光合成を行い健康的に成長
するためには、植物にあたる400〜700nmに分布
する光合成有効光量子束密度(PPFD)ができるだけ
多いほうが良く、更に植物の成長促進を行うためには、
その上で、なおかつ、植物にあたる特定の波長の光をコ
ントロールする必要がある。即ち、光を効率良く利用し
て高い植物成長促進効果を得るためには、植物を被覆す
ることによるPPFD低下量を極力抑え、かつA値がで
きるだけ小さくなる被覆材料を開発する必要がある。そ
のためには、600〜700nmに選択的な吸収をも
ち、それ以外の波長領域(可視および700〜800n
m)に吸収の少ない波長高選択性の色素が必要である。
さらに施設園芸用等、屋外で使用する場合には該被覆材
料には実用的な耐候性が要求される。
【0009】本願発明の光とは、自然光、あるいは、水
銀ランプ、白熱電球等の人工光源をさす。即ち、自然光
を用いる点で、本願発明はコスト的に有利であるが、当
然、人工光源を用いる場合にも応用できる。植物成長促
進用被覆材料として、充分な効果を得るためには、該材
料を通して光を透過させた時のPPF透過率は少なくと
も50%以上(該被覆材を通して植物体にあたる自然光
のPPFD低下率が50%以下)で、かつ、A値が0.
9以下であることが必要である。PPF透過率が50%
以下の場合は、植物体の光合成が不十分であり、ひ弱で
栄養不足の植物に育ち、また、A値が0.9以上の場合
は植物成長促進効果が見られない傾向がある。更に高い
効果を得るためには、PPF透過率が65%以上で、か
つ、A値が0.3以上、0.9以下である。なお、本願
発明のPPF透過率およびA値は標準光源D65を基準
に算出したものである。
【0010】上記式(1)で表されるフタロシアニン化
合物において、A1 〜A8 、B1 〜B8 で表される置換
基及びMで表される金属の具体例を以下に記載する。置
換基A1 〜A8 において、ハロゲン原子としては、フッ
素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。
炭素数1〜20のアルキル基、或いは炭素数1〜20の
アリール基の例としては、メチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso
−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペ
ンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘ
プチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、等
の直鎖又は分岐のアルキル基、メトキシメチル基、フェ
ノキシメチル基、ジエチルアミノメチル基、フェニルチ
オメチル基、ベンジル基、p−クロロベンジル基、p−
メトキシベンジル基、等のヘテロ原子や芳香環を含むア
ルキル基、フェニル基、p−メトキシフェニル基、p−
t−ブチルフェニル基、p−クロロフェニル基、等のア
リール基が挙げられる。特に好ましいA1 〜A8 の置換
基としては、水素原子あるいはハロゲン原子である。
【0011】B1 〜B8 の置換基は、フタロシアニン化
合物の吸収波長(A値の変化)に与える影響が小さいた
め、特に制限を受けないが、好ましい置換基としては、
水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、或いは窒
素原子、硫黄原子、酸素原子またはハロゲン原子を含ん
でいてもよい炭素数1〜20の置換基である。置換基B
1 〜B8 において、ハロゲン原子としては、フッ素原
子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。窒素
原子、硫黄原子、酸素原子またはハロゲン原子を含んで
いてもよい炭素数1〜20の置換基としては、上記A1
〜A8 で示されたアルキル基、アリール基以外に、メト
キシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−
プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、iso−ブチ
ルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、t−ブチルオキ
シ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、
シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−
オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、メト
キシエトキシ基、フェノキシエトキシ基、ヒドロキシエ
トキシ基、ベンジルオキシ基、p−クロロベンジルオキ
シ基、p−メトキシベンジルオキシ基、フェノキシ基、
p−メトキシフェノキシ基、p−t−ブチルフェノキシ
基、p−クロロフェノキシ基、o−アミノフェノキシ
基、p−ジエチルアミノフェノキシ基等のアルコキシ基
或いはアリールオキシ基、
【0012】メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボ
ニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、is
o−プロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニ
ルオキシ基、iso−ブチルカルボニルオキシ基、se
c−ブチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニル
オキシ基、n−ペンチルカルボニルオキシ基、n−ヘキ
シルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオ
キシ基、n−ヘプチルカルボニルオキシ基、3−ヘプチ
ルカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ
基、ベンゾイルオキシ基、p−クロロベンゾイルオキシ
基、p−メトキシベンゾイルオキシ基、p−メトキシベ
ンゾイルオキシ基、p−t−ブチルベンゾイルオキシ
基、p−クロロベンゾイルオキシ基、p−トリフロロメ
チルベンゾイルオキシ基、m−トリフロロメチルベンゾ
イルオキシ基、o−アミノベンゾイルオキシ基、p−ジ
エチルアミノベンゾイルオキシ基等のアルキルカルボニ
ルオキシ基或いはアリールカルボニルオキシ基、メチル
チオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、iso−
プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、iso−ブチルチ
オ基、sec−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、n−
ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、シクロヘキシル
チオ基、n−ヘプチルチオ基、n−オクチルチオ基、2
−エチルヘキシルチオ基、ベンジルチオ基、p−クロロ
ベンジルチオ基、p−メトキシベンジルチオ基、フェニ
ルチオ基、p−メトキシフェニルチオ基、p−t−ブチ
ルフェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、o−ア
ミノフェニルチオ基、p−ジエチルアミノフェニルチオ
基、ナフチルチオ基等のアルキルチオ基或いはアリール
チオ基、
【0013】メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プ
ロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、sec−ブチル
アミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ
基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、2
−エチルヘキシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチ
ルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジ−n−ブチ
ルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−n−ペ
ンチルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−
ヘプチルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、フェニ
ルアミノ基、p−メチルフェニルアミノ基、p−t−ブ
チルフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジ−p−
メチルフェニルアミノ基、ジ−p−t−ブチルフェニル
アミノ基、アセチルアミノ基、エチルカルボニルアミノ
基、 n−プロピルカルボニルアミノ基、iso−プロ
ピルカルボニルアミノ基、n−ブチルカルボニルアミノ
基、iso−ブチルカルボニルアミノ基、sec−ブチ
ルカルボニルアミノ基、t−ブチルカルボニルアミノ
基、n−ペンチルカルボニルアミノ基、n−ヘキシルカ
ルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ
基、n−ヘプチルカルボニルアミノ基、3−ヘプチルカ
ルボニルアミノ基、n−オクチルカルボニルアミノ基、
ベンゾイルアミノ基、p−クロロベンゾイルアミノ基、
p−メトキシベンゾイルアミノ基、p−メトキシベンゾ
イルアミノ基、p−t−ブチルベンゾイルアミノ基、p
−クロロベンゾイルアミノ基、p−トリフロロメチルベ
ンゾイルアミノ基、m−トリフロロメチルベンゾイルア
ミノ基等のアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アル
キルカルボニルアミノ基或いはアリールカルボニルアミ
ノ基、
【0014】ヒドロキシカルボニル基、アミノカルボニ
ル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、
n−プロピルオキシカルボニル基、iso−プロピルオ
キシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、i
so−ブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキ
シカルボニル基、t−ブチルオキシカルボニル基、n−
ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカル
ボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘ
プチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボ
ニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、メト
キシエトキシカルボニル基、フェノキシエトキシカルボ
ニル基、ヒドロキシエトキシカルボニル基、ベンジルオ
キシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、p−メト
キシフェノキシカルボニル基、p−t−ブチルフェノキ
シカルボニル基、p−クロロフェノキシカルボニル基、
o−アミノフェノキシカルボニル基、p−ジエチルアミ
ノフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基
或いはアリールオキシカルボニル基、
【0015】メチルアミノカルボニル基、エチルアミノ
カルボニル基、n−プロピルアミノカルボニル基、n−
ブチルアミノカルボニル基、n−ペンチルアミノカルボ
ニル基、n−ヘキシルアミノカルボニル基、n−ヘプチ
ルアミノカルボニル基、n−オクチルアミノカルボニル
基、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカル
ボニル基、ジ−n−プロピルアミノカルボニル基、ジ−
n−ブチルアミノカルボニル基、ジ−n−ペンチルアミ
ノカルボニル基、ジ−n−ヘキシルアミノカルボニル
基、ジ−n−ヘプチルアミノカルボニル基、ジ−n−オ
クチルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル
基、p−メチルフェニルアミノカルボニル基、p−t−
ブチルフェニルアミノカルボニル基、ジフェニルアミノ
カルボニル基、ジ−p−メチルフェニルアミノカルボニ
ル基、ジ−p−t−ブチルフェニルアミノカルボニル基
等のアルキルアミノカルボニル基或いはアリールアミノ
カルボニル基
【0016】メチルアミノスルホニル基、エチルアミノ
スルホニル基、n−プロピルアミノスルホニル基、n−
ブチルアミノスルホニル基、sec−ブチルアミノスル
ホニル基、n−ペンチルアミノスルホニル基、n−ヘキ
シルアミノスルホニル基、n−ヘプチルアミノスルホニ
ル基、n−オクチルアミノスルホニル基、2−エチルヘ
キシルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル
基、ジエチルアミノスルホニル基、ジ−n−プロピルア
ミノスルホニル基、ジ−n−ブチルアミノスルホニル
基、ジ−sec−ブチルアミノスルホニル基、ジ−n−
ペンチルアミノスルホニル基、ジ−n−ヘキシルアミノ
スルホニル基、ジ−n−ヘプチルアミノスルホニル基、
ジ−n−オクチルアミノスルホニル基、フェニルアミノ
スルホニル基、p−メチルフェニルアミノスルホニル
基、p−t−ブチルフェニルアミノスルホニル基、ジフ
ェニルアミノスルホニル基、ジ−p−メチルフェニルア
ミノスルホニル基、ジ−p−t−ブチルフェニルアミノ
スルホニル基等のアルキルアミノスルホニル基或いはア
リールアミノスルホニル基等が挙げられる。また隣り合
う二つの置換基が炭素原子や、イオウ原子、酸素原子、
窒素原子等のヘテロ原子を介して、5員環、6員環、7
員環を形成してもよい。
【0017】Mで表される2価の金属の例としては、C
u(II)、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)、Ni
(II)、Ru(II)、Rh(II)、Pd(II)、Pt
(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ti(II)、Be
(II)、Ca(II)、Ba(II)、1d(II)、Hg
(II)、Pb(II)、Sn(II)などが挙げられる。1
置換の3価金属の例としては、Al−Cl、Al−B
r、Al−F、Al−I、Ga−Cl、Ga−F、Ga
−I、Ga−Br、In−Cl、In−Br、In−
I、In−F、Tl−Cl、Tl−Br、Tl−I、T
l−F、Al−C6 5 、Al−C6 4 (CH3 )、
In−C6 5 、In−C6 4 (CH3 )、In−C
6 5 、Mn(OH)、Mn(OC6 5)、Mn〔O
Si(CH3 3 〕、Fe−Cl、Ru−Cl等が挙げ
られる。
【0018】2置換の4価金属の例としては、CrCl
2 、SiCl2 、SiBr2 、SiF2 、SiI2 、Z
rCl2 、GeCl2 、GeBr2 、GeI2 、GeF
2 、SnCl2 、SnBr2 、SnF2 、TiCl2
TiBr2 、TiF2 、Si(OH)2 、Ge(OH)
2 、Zr(OH)2 、Mn(OH)2、Sn(O
H)2 、TiR2 、CrR2 、SiR2 、SnR2 、G
eR2 〔Rはアルキル基、フェニル基、ナフチル基、お
よびその誘導体を表す〕、Si(OR’)2 、Sn(O
R’)2 、Ge(OR’)2 、Ti(OR’)2 、Cr
(OR’)2 〔R’はアルキル基、フェニル基、ナフチ
ル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシ
リル基およびその誘導体を表す〕、Sn(SR”)2
Ge(SR”)2 (R”はアルキル基、フェニル基、ナ
フチル基、およびその誘導体を表す〕などが挙げられ
る。オキシ金属の例としては、VO、MnO、TiOな
どが挙げられる。これらの中で特に好ましいフタロシア
ニン化合物としては、中心金属MがCu、Ni、Fe、
Mn、Mg、PdまたはAlClの場合である。
【0019】本願発明の被覆材料は、樹脂板、フィル
ム、ガラス等の形で作製され、必要に応じて加工され
る。本願発明の被覆とは、被覆材料により成長を促進さ
せる植物体の周囲全面、或いは光が入射してくる少なく
とも一面を覆うことをいい、これにより、植物にあたる
光の波長をコントロールする。上記フタロシアニン化合
物を用いて植物成長促進用被覆材料を作る方法は、特に
限定されるものではないが、例えば、以下の3つの方法
が利用できる。即ち、(1)樹脂にフタロシアニン化合
物を混練し、加熱成形して樹脂板或いはフィルムを作製
する方法、(2)フタロシアニン化合物を含有する塗料
を作製し、透明樹脂板、透明フィルム、或いは透明ガラ
ス板上にコーティングする方法、(3)フタロシアニン
化合物を接着剤に含有させて、合わせ樹脂板、合わせ樹
脂フィルム、合わせガラス等を作製する方法、である。
【0020】樹脂にフタロシアニン化合物を混練し、加
熱成形する(1)の方法において、樹脂材料としては、
樹脂板または樹脂フィルムにした場合にできるだけ透明
性の高いものが好ましい。具体例として、ポリエチレ
ン、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エ
ステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ
塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等ビニル化合物及びビニ
ル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタク
リル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニ
リデン、ポリシアン化ビニリデン、フッ化ビニリデン/
トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/テ
トラフルオロエチレン共重合体、酢酸ビニル/エチレン
の共重合体(EVA)、シアン化ビニリデン/酢酸ビニ
ル共重合体等のビニル化合物又はフッ素系化合物の共重
合体、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロ
エチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素を
含む化合物、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミ
ド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリペプチド、ポリエ
チレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネ
ート、ポリオキシメチレン、ポリエチレンオキシド、ポ
リプロピレンオキシド等のポリエーテル、エポキシ樹
脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を
挙げることが出来る。これらの樹脂に限定されるもので
はないが、特に好ましい樹脂としては、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリ
レート等の汎用の硬質樹脂、あるいは、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、酢酸ビニル/エチ
レンの共重合体(EVA)等の農業用軟質樹脂である。
【0021】作製方法としては、用いるベース樹脂によ
って、加工温度、フィルム化条件等が多少異なるが、通
常、フタロシアニン化合物を、ベース樹脂の粉体或いは
ペレットに添加し、150〜350℃に加熱、溶解させ
た後、成形して樹脂板を作製するか、或いは、押し出し
機によりフィルム化するか、或いは押し出し機により原
反を作製し、30〜120℃で2〜5倍に、1軸乃至は
2軸に延伸して10〜200μm厚のフィルムにする方
法である。また、溶融キャスト法、カレンダー法等を用
いることもできる。なお、混練する際に紫外線吸収剤、
可塑剤等の通常の樹脂成型に用いる添加剤を加えてもよ
い。フタロシアニン化合物の添加量は、作製する樹脂の
厚み、目的の吸収強度、目的のPPF透過率等によって
異なるが、通常、1ppm〜1%である。
【0022】塗料化し、コーティングする(2)の方法
としては、本願発明のフタロシアニン化合物をバインダ
ー樹脂及び有機系溶媒に溶解させて塗料化して行う方法
と、フタロシアニン化合物を数μm以下に微粒化し、ア
クリルエマルジョン中に分散して水系塗料として行う方
法がある。前者の方法では、通常、脂肪族エステル系樹
脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、芳
香族エステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポ
リオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビ
ニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系
変成樹脂(PVB、EVA等)或いはそれらの共重合樹
脂をバインダーとして用いる。溶媒としては、ハロゲン
系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化
水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、あるいは
それらの混合物系等を用いる。フタロシアニン化合物の
濃度は、コーティングの厚み、目的の吸収強度、目的の
PPF透過率等によって異なるが、バインダー樹脂の重
量に対して、通常、0.1〜30%である。また、バイ
ンダー樹脂濃度は、塗料全体に対して、通常、1〜50
%である。アクリルエマルジョン系水系塗料の場合も同
様に、未着色のアクリルエマルジョン塗料にフタロシア
ニン化合物を微粉砕(50〜500nm)したものを分
散させて得られる。塗料中には、紫外線吸収剤、酸化防
止剤等の通常塗料に用いるような添加物を加えてもよ
い。上記の方法で作製した塗料は、透明樹脂フィルム、
透明樹脂、透明ガラス等の上に、バーコーダー、ブレー
ドコーター、スピンコーター、リバースコーター、ダイ
コーター、或いはスプレー等でコーティングされ、植物
成長促進用被覆材料を形成する。コーティング面を保護
するために、保護層を設けたり、透明樹脂板、透明樹脂
フィルム等をコーティング面に貼り合わせることもでき
る。またキャストフィルムも本方法に含まれる。
【0023】フタロシアニン化合物を接着剤に含有させ
て、合わせ樹脂板、合わせ樹脂フィルム、合わせガラス
等を作製する(3)の方法においては、接着剤として、
一般的なシリコン系、ウレタン系、アクリル系等の樹脂
用、或いは合わせガラス用のポリビニルブチラール接着
剤(PVB)、エチレン−酢酸ビニル系接着剤(EV
A)等の合わせガラス用の公知の透明接着剤が使用でき
る。フタロシアニン化合物を0.1〜30%添加した接
着剤を用いて、樹脂板同士、樹脂板と樹脂フィルム、樹
脂板とガラス、樹脂フィルム同士、樹脂フィルムとガラ
ス、ガラス同士を接着して植物成長促進用被覆材料を作
製する。また、熱圧着する方法もある。
【0024】本願発明の被覆材料で覆う植物としては、
特に限定されるものではないが、例えば、ウリ科、ナス
科、マメ科、バラ科、アブラナ科、キク科、セリ科、ア
カザ科、イネ科、アオイ科、ウコギ科、シソ科、ショウ
ガ科、スイレン科またはサトイモ科の野菜、キク科、バ
ラ科、サトイモ科、ナデシコ科、アブラナ科、イソマツ
科、リンドウ科、ゴマノハグサ科、マメ科、ボタン科、
アヤメ科、ナス科、ヒガンバナ科、サトイモ科、ラン
科、リュウゼツラン科、ミズキ科、アカネ科、ヤナギ
科、ツツジ科、モクセイ科、モクレン科、サクラソウ
科、シュウカイドウ科、シソ科、フウロソウ科、ベンケ
イソウ科、キンポウゲ科、イワタバコ科、サボテン科、
シダ類、ウコギ科、クワ科、ツユクサ科、パイナップル
科、クズウコン科、トウダイクサ科、コショウ科、タカ
トウダイ科、ユキノシタ科、アカバナ科、アオイ科、フ
トモモ科、ツバキ科またはオシロイバナ科の切り花類あ
るいは鉢物類の花卉、もしくはバラ科、ブドウ科、クワ
科、カキノキ科、ツツジ科、アケビ科、マタタビ科、ト
ケイソウ科、ミカン科、ウルシ科、パイナップル科また
はフトモモ科の果樹である。これらの中でさらに効果の
ある具体的な植物としては、ヒマワリ、キュウリ、レタ
ス、キャベツ、ゴマ、ピーマン、ナス、コマツナ、ミツ
バ、ホウレンソウ、カボチャ、スイカ、メロン、インゲ
ン、ブロッコリー、イチゴ、ミカン、ナシ、ブドウ、キ
ク、タマネギ、トマト、金魚草、カーネーション、カス
ミソウ、バラ、ストック、トルコギギョウ、洋ラン、シ
クラメン、インパチュエンス、マリーゴールド、サルビ
ア、リモニウム、デルフィニウム、ラクスパー、ブルー
レース、ホワイトレース、ユリ、フリージア、アイリ
ス、サクラソウ、ベゴニア、シュンギク、フキ、ニラ、
ネギ、アスパラガス、セルリー、ダイコン、エンドウま
たはビワ等が挙げられる。
【0025】本願発明の被覆材料を園芸施設に適用する
方法としては、該被覆材料で植物体の周囲全面、或いは
光が入射してくる少なくとも一面を覆うことができる方
法であれば特に限定されるものではない。例えば、上記
の方法で作製した植物成長促進機能を有する樹脂板或い
はガラスを用いて、ガラス室、プラスチック室を作製す
る方法、樹脂フィルムをパイプハウス、ビニルハウスの
外張りおよび/または内張りに用いる方法、トンネルハ
ウスに用いる方法、マルチングフィルムに用いる方法等
がある。また、果樹の場合には、果樹全体を被覆する以
外に、枝の一本づつを被覆することも出来る。家庭園芸
用には、園芸施設に用いる方法に準ずる方法、樹脂板で
小型のボックスを作って植木鉢にかぶせる方法等、適宜
用いることが出来る。本願発明の被覆材料を用いて各種
苗の成長試験を行ったところ、自然光の場合と比較して
顕著に成長の促進された苗が得られた。
【0026】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。 実施例1 式(2)(化3)で示されるフタロシアニン色素4.2
部およびポリメタクリル酸メチル100000部を、2
80℃で溶融混練して、押し出し成形機を用いて、厚み
2.5mm、幅1mの着色樹脂板を得た。本樹脂板を島
津製作所製分光光度計(UV3100)にて、光合成有
効光量子束(PPF)透過率およびA値を測定したとこ
ろ、光合成有効光量子束(PPF)透過率は73.3%
であり、A値は0.58であった。本樹脂板を用いて、
高さ650mm、幅1750mm、奥行き850mmの
グロースキャビネットを作製した。なお、以下の栽培に
おいてはグロースキャビネットは屋外に置き、換気扇を
用い15.2m3 /分で通気を行ない、外気温と同じに
なるようにした。本グロースキャビネット中に、高さ約
8cmのヒマワリの苗7サンプルを入れ、10日間栽培
した結果、平均で、植物高が26.3±0.7cm、茎
長が22.1±0.7cm、第1節間長が18.7±
0.5cmの背の高い植物体となった。
【0027】
【化3】 比較のために同時に、色素を含まない樹脂板に寒冷紗を
かけて、光合成有効光量子束(PPF)透過率を73.
0%(A値は1.05)にしたものを用いた以外は、全
く同じ条件で栽培したところ、平均で、植物高が17.
6±0.7cm、茎長が14.4±0.8cm、第1節
間長が10.6±0.6cmであった。このことより、
A値が0.58である上記の被覆材料を用いた場合の成
長促進効果は、PPF透過率がほぼ同等の比較樹脂板の
場合に比べ、約1.5倍であることが確認された。ま
た、本樹脂板を63℃の条件で、カーボンアーク灯で3
00時間照射して耐光試験を行ったところ、PPF透過
率は74.0%であり、A値は0.59と耐光試験前に
比較して劣化は少なかった。
【0028】実施例2 実施例1の色素の代わりに式(3)(化4)で示される
色素4.0部を用いて、実施例1と同様にして着色樹脂
板を得た。光合成有効光量子束(PPF)透過率は7
3.2%であり、A値は0.65であった。また、本樹
脂板を用いて実施例1と全く同様にして、ヒマワリの栽
培を行ったところ、平均で、植物高が25.1±0.7
cm、茎長が21.5±0.6cm、第1節間長が1
7.8±0.6cmの背の高い植物体となった。このこ
とより、A値が0.65である上記の被覆材料を用いた
場合の成長促進効果は、実施例1の比較樹脂板の場合に
比べ、約1.4倍であることが確認された。
【0029】
【化4】
【0030】実施例3 式(4)(化5)で示される色素2.0部を、ポリビニ
ルブチラール樹脂1000部に、180℃にて溶解し
て、フィルム作製機にて、幅3m、厚み0.2mmの着
色フィルムを作製した。引き続き、該フィルムを3mm
厚のフロートガラスで挟み込み、140℃、13気圧で
20分間処理し、合わせガラスをを作製した。本合わせ
ガラスの光合成有効光量子束(PPF)透過率は73.
1%であり、A値は0.60であった。これを用いて高
さ650mm、幅650mm、奥行き650mmのグロ
ースキャビネットを作製した。実施例1と同様にして、
ヒマワリ(3サンプル)の栽培を行ったところ、平均
で、植物高が25.7±0.4cm、茎長が22.2±
0.3cm、第1節間長が17.9±0.2cmであっ
た。このことより、A値が0.60である上記の被覆材
料を用いた成長促進効果は、実施例1の樹脂板の場合に
比べ、1.5倍であることが確認できた。
【0031】
【化5】
【0032】実施例4 実施例1のフタロシアニン色素1.0部および農業用塩
化ビニル1000部を、180℃でカレンダー成型し
て、厚み100μmの着色樹脂フィルムを得た。本樹脂
フィルムの光合成有効光量子束(PPF)透過率は7
2.8%であり、A値は0.67であった。本樹脂フィ
ルムを用いて、高さ650mm、幅1750mm、奥行
き850mmのグロースキャビネットを作製した。ま
た、実施例1と同様にして、ヒマワリの栽培を行ったと
ころ、平均で、植物高が24.2±0.5cm、茎長が
20.8±0.4cm、第1節間長が17.5±0.3
cmの背の高い植物体となった。このことより、A値が
0.67である上記の被覆材料を用いた成長促進効果
は、実施例1の比較樹脂板の場合に比べ、1.4倍であ
ることが確認できた。
【0033】実施例5 三井東圧化学(株)社製ユーバンSE−60と、同社製
アルマテクス748−5Mを3:7で混合させた液体
と、実施例2のフタロシアニン色素を1%溶解させたト
ルエンを、2:1の割合で混合させ、厚み75μmのポ
リエチレンテレフタレートフィルムにコーティングし、
130℃で15分間乾燥させた。本フィルムの光合成有
効光量子束(PPF)透過率は73.2%であり、A値
は0.55であった。実施例1と同様にして、ヒマワリ
の栽培を行ったところ、平均で、植物高が26.9±
0.8cm、茎長が22.0±0.6cm、第1節間長
が19.4±0.5cmの背の高い植物体となった。こ
のことより、A値が0.55である上記の被覆材料を用
いた成長促進効果は、実施例1の比較樹脂板の場合に比
べ、1.5倍であることが確認できた。
【0034】実施例6 フタロシアニングリーンを0.2μm以下の粒径に微粒
化し、このフタロシアニンを1重量%含有するアクリル
エマルジョン塗料を調製した。本塗料を農業用塩化ビニ
ルフィルムにコーティングして、着色樹脂フィルムを得
た。本樹脂フィルムの光合成有効光量子束(PPF)透
過率は69.3%であり、A値は0.66であった。実
施例1と同様にして、ヒマワリの栽培を行ったところ、
平均で、植物高が24.8±0.7cm、茎長が19.
7±0.5cm、第1節間長が16.9±0.3cmの
背の高い植物体となった。
【0035】実施例7 フタロシアニンブルーを0.2μm以下の粒径に微粒化
し、このフタロシアニンを1重量%含有するアクリルエ
マルジョン塗料を調製した。本塗料を農業用塩化ビニル
フィルムにコーティングして、着色樹脂フィルムを得
た。本樹脂フィルムの光合成有効光量子束(PPF)透
過率は70.5%であり、A値は0.69であった。実
施例1と同様にして、ヒマワリの栽培を行ったところ、
平均で、植物高が23.8±0.6cm、茎長が18.
7±0.6cm、第1節間長が16.7±0.4cmの
背の高い植物体となった。
【0036】実施例8 実施例1で用いた着色樹脂板製グロースキャビネット中
に、高さ約6cmのキュウリの苗7サンプルを入れ、9
日間栽培したところ、平均で、植物高が29.4±1.
0cm、茎長が19.5±0.5cm、第1節間長が
6.1±0.5cmであった。比較のために、同時に、
色素を含まない樹脂板を用いて、他は全く同じ条件で栽
培したところ、平均で、植物高が22.1±1.4c
m、茎長が11.5±1.2cm、第1節間長が2.9
±0.2cmであった。このことより、A値が0.58
の被覆材料を用いた場合のキュウリの成長促進効果は、
色素を含まない樹脂板の場合に比べ、約1.3倍である
ことが確認された。
【0037】比較例1 実施例1で用いた色素を含まない樹脂板製グロースキャ
ビネットに寒冷紗をかけて、光合成有効光量子束(PP
F)透過率を20.0%(A値は1.05)にしたもの
を用いて、実施例1と全く同じ条件で栽培したところ、
葉緑素の少ない未成熟な植物体となった。
【0038】実施例9 ポリ塩化ビニル(日本ビニル製4000M3)100重
量部、ジオクチルフタレート45部、トリクレジルフォ
スフェート5部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2
部、ステアリン酸亜鉛0.5部、ステアリン酸バリウム
0.5部、界面活性剤(ソルビタンエステル、丸菱油化
製MTN−A−403)2部、及びフタロシアニングリ
ーン0.1部を添加し、高速ミキサーで110℃にて5
分間撹拌混合した後、180℃に加熱したロール上で5
分間混練し、カレンダー成型機によって、厚さ0.10
mmの軟質フィルムを製造した。本樹脂フィルムの光合
成有効光量子束(PPF)透過率は70.0%であり、
A値は0.69であった。実施例8と同様にして、キュ
ウリの栽培を行ったところ、平均で、植物高が27.2
±1.1cm、茎長が17.3±0.6cm、第1節間
長が5.5±0.6cmであった。このことより、A値
が0.69の被覆材料を用いた場合のキュウリの成長促
進効果は、色素を含まない実施例8の樹脂板の場合に比
べ、約1.2倍であることが確認された。
【0039】実施例10〜15、比較例2〜3 実施例5において、色素を表−1(表1、2)に示した
色素に代えた以外は、実施例5と全く同様にして、コー
ティングフィルムを作製した。これらのフィルムを用い
て、実施例5と同様に、ヒマワリの栽培を行い、その結
果を表−1に示した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】近年、農業の合理化の観点から、栽培は
種子からではなく健康な幼苗から栽培する場合が増加し
ている。種苗生産においては、適切に苗を伸長させるよ
う制御することが商品価値を高めるので、本発明は種苗
生産工場における伸長制御上、きわめて重要かつ価値の
あるものである。また、日本ではハウス(一般にはビニ
ールハウス)が多く、植物伸長調節の目的のためには、
本発明の樹脂フィルムは、安価で手間のかからない優れ
た材料である。特に従来のビニールハウスに、本発明の
高分子被覆材料を可動式に重ね合わせてセットできるよ
うにすれば、成長が遅すぎた場合に、目的に合致した成
長度合いに制御することが非常に簡単である。葉菜、果
菜、根菜、種々の観賞植物および果樹の施設栽培等にお
いて高品質化、省力化の観点より本発明は非常に価値の
高いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 詫摩 啓輔 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 600〜700nmに極大吸収波長(λ
    max )を有するフタロシアニン化合物の少なくとも1種
    を含有し、光を透過させたときの光合成有効光量子束
    (PPF)透過率が50%以上で、かつ、下式で表され
    るA値が0.9以下である植物成長促進用被覆材料。 A=R/Fr 〔式中のRは600〜700nmの赤色光の光量子束で
    あり、Frは700〜800nmの遠赤色光の光量子束
    である。〕
  2. 【請求項2】 フタロシアニン化合物が下記一般式
    (1)(化1)で表される化合物である請求項1記載の
    植物成長促進用被覆材料。 【化1】 〔式中、A1 〜A8 は各々独立に、水素原子、ハロゲン
    原子、炭素数1〜20のアルキル基、或いは炭素数1〜
    20のアリール基を表し、B1 〜B8 は各々独立に、水
    素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ヒドロキシ
    スルホニル基、アミノスルホニル基、或いは、窒素原
    子、硫黄原子、酸素原子またはハロゲン原子を含んでも
    よい炭素数1〜20の置換基を表し、Mは2価の金属原
    子、3価又は4価の置換金属原子またはオキシ金属を表
    す。〕
  3. 【請求項3】 一般式(1)で表されるフタロシアニン
    化合物のMがCu、Ni、Fe、Mn、Mg、Pdまた
    はAlClである請求項1または2記載の植物成長促進
    用被覆材料。
  4. 【請求項4】 PPF透過率が65%以上で、かつ、A
    値が0.9以下である請求項1〜3のいずれかに記載の
    植物成長促進用被覆材料。
JP8054883A 1995-03-17 1996-03-12 植物成長促進用被覆材料 Pending JPH08317736A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2343186A (en) * 1998-10-29 2000-05-03 Nycomed Imaging As Tetrasulphamoyl- phthalocyanine & naphthalocyanine dye derivatives for use in tissue demarcation, imaging, & diagnosis of tumour cells & diseased lymph nodes

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2343186A (en) * 1998-10-29 2000-05-03 Nycomed Imaging As Tetrasulphamoyl- phthalocyanine & naphthalocyanine dye derivatives for use in tissue demarcation, imaging, & diagnosis of tumour cells & diseased lymph nodes

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