JP2001258403A - 通気性を有する光選択透過性被覆材料およびそれを用いる植物の栽培方法 - Google Patents

通気性を有する光選択透過性被覆材料およびそれを用いる植物の栽培方法

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JP2001258403A JP2000077982A JP2000077982A JP2001258403A JP 2001258403 A JP2001258403 A JP 2001258403A JP 2000077982 A JP2000077982 A JP 2000077982A JP 2000077982 A JP2000077982 A JP 2000077982A JP 2001258403 A JP2001258403 A JP 2001258403A
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修 高後
Yoriaki Matsuzaki
▲頼▼明 松▲崎▼
Yukari Sakai
由香里 酒井
Tatsu Oi
龍 大井
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 下記式で表される透過光のA値が0.9
以下である通気性を有する光選択透過性被覆材料、およ
び該被覆材料を用いる植物の栽培方法。 A=R/FR (式中、Rは標準光源D65を基準とする600〜70
0nmの赤色光の光量子束透過量であり、FRは標準光
源D65を基準とする700〜800nmの遠赤色光の
光量子束透過量である。) 【効果】 光選択透過性かつ通気性を有する被覆材料を
用いることで、自然光(太陽光)を利用して、簡便に植
物の成長制御を行い、目的に応じて商品価値を高めるこ
とが出来る、極めて重要かつ価値のある実用的な植物成
長制御法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物の成長を制御
する新規な被覆材料に関するものであり、施設園芸だけ
でなく、農業のあらゆる場面で利用可能な極めて価値の
あるものである。
【0002】
【従来の技術】農業用の被覆材料としては、ハウス、雨
よけ施設あるいはトンネルといった作物を外界から遮断
して保護、育成する外張り被覆資材や、あるいは外張り
を行った構造物の内側に展張して、保温性の向上や遮光
などを目的とする内張り資材がある。また、地面に直接
展張し、地湿・土壌水分の調節、病害虫駆除、雑草発生
防止、果実の着色促進などを目的とするマルチ資材があ
る。これらの被覆材料は、従来、温湿度環境の保持調節
を主目的とするものである。
【0003】ところで、遠赤色光が多い光環境では植物
の伸長成長を促進し、赤色光が多い光環境では伸長成長
を抑制することが従来から知られており、近年、人工光
環境においてR/Fr(Rは600〜700nmの赤色
光の光量子束、Frは700〜800nmの遠赤色光の
光量子束)比を制御することにより、植物の伸長成長の
制御が実証されている(村上ら、生物環境調節,30巻
4号,135〜141ページ,1992年)。しかし、
人工光源を用いるこれらの方法は、多大の設備費及び電
力費等の運転費用が必要であり、実用的ではない。この
課題を解決する方法として、特開平5−233362
号、7−79649号、8−317735号、8−31
7737号、および9−74928号公報等には、波長
選択性色素を含有した光選択透過性被覆材料を用いて、
上記R/Fr比を変えることで、植物の成長を制御する
方法が開示されている。特に、R/Fr比を0.9以下
にすることで植物の成長を促進することが知られてい
る。
【0004】しかしながら、該被覆材料は、プラスチッ
クフィルムあるいはプラスチック板の形態であり、通気
性を有していないため、天候、季節、作物種あるいは地
域によっては栽培域内の温度および湿度が必要以上に上
昇することがあり、そのため、成長制御効果が十分に発
揮できなかったり、内張り、ベタガケなどでの利用方法
が制限される場合がある。特に、高温多湿を嫌う植物で
は、該被覆材で被覆した場合、温度または湿度の上昇に
より植物の健全な成長が阻害される場合がある。また、
ベタガケした場合は特に栽培系内の湿度が上がりやす
く、水滴も発生しやすいため、徒長したり病害虫の被害
も受けやすい。
【0005】過度の高温多湿を避ける目的で被覆材の一
部を解放すれば、風通しが良くなり温度および湿度の低
下が期待できるが、手間がかかる上、解放領域が広すぎ
たり解放時間が長すぎたりするとR/Fr比を制御して
いない光の入射が多くなるため、十分な成長制御効果が
望めない場合がある。また、空調により温度および湿度
の低下を行えば上記の問題はある程度解決できるが、そ
の場合コスト高になる。一方、光波長選択透過性を持た
ない通常の寒冷紗等の不織布やネットでは、通気性と遮
光性を備えているため温度や湿度の上昇はある程度抑え
られるが、波長選択性がないため成長制御は行うことが
出来ない。加えて光量不足のために作物の健全な成長を
阻害する場合もある。近年、農作物生産現場では、植物
の成長制御手法の確立による早収や初期収量の増加、或
いは、植物の高付加価値化などへの期待が大きい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、通気
性を有する光波長選択透過性被覆材料を提供し、さらに
該被覆材料を使った実用的な植物の成長制御法を提供す
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成する
に到った。すなわち、本発明は、下記式で表される透
過光のA値が0.9以下である通気性を有する光選択透
過性被覆材料、 A=R/FR (式中、Rは標準光源D65を基準とする600〜70
0nmの赤色光の光量子束透過量であり、FRは標準光
源D65を基準とする700〜800nmの遠赤色光の
光量子束透過量である) 透過光の光合成有効光量子束(PPF)透過率が20
%以上である前記記載の被覆材料、 通気性を有する光選択透過性被覆材料が不織布または
ネットであることを特徴とする前記または記載の被
覆材料、および 基材中に、600〜700nmの間に極大吸収波長
(λmax )を持つ赤色光吸収色素を含有することを特徴
とする前記〜のいずれかに記載の被覆材料、および 前記〜のいずれかに記載の通気性を有する光選択
透過性被覆材料で植物を被覆する植物の栽培方法に関す
るものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の被覆材料は、光を透過さ
せたとき下記式で表されるA値が0.9以下で、かつ、
通気性を有する光選択透過性の植物成長制御用被覆材料
である。 A=R/FR (式中、Rは標準光源D65を基準とする600〜70
0nmの赤色光の光量子束透過量であり、FRは標準光
源D65を基準とする700〜800nmの遠赤色光の
光量子束透過量である。) なお、より好ましい範囲としては、A値が0.3以上
0.9以下であり、0.3以上0.8以下は更に好まし
い。また、本被覆材料の透過光の光合成有効光量子束
(PPF)透過率は、対象とする目的植物種あるいは栽
培時期、場所等に応じて自由に変えられるが、通常20
%以上が好ましく、より好ましくは40%以上である。
光要求性の高い植物の栽培あるいは太陽光の弱い時期、
場所における栽培には、PPF透過率を40%以上ある
いは60%以上に設定することが好ましい。本発明でい
う植物成長制御とは、草丈、茎長、節間等の伸長の制
御、側枝の成長の制御、開花の制御、栄養成長の制御な
どをいう。
【0009】本発明の被覆材料において、「通気性を有
する」とは、被覆材料が何らかの方法で空気が通ること
のできる隙間を有することを指す。通気性を付与するこ
とにより、植物の栽培域内部と外部との空気の出入りを
発生させ、密閉系にすると上昇しがちな栽培域内部の温
度および湿度を、効率よく抑えることができる。本発明
の被覆材料に通気性を持たせるためには、織布、編布、
不織布、ネット、多数の小孔のあるフィルム、多数の小
孔のある板などの形態をとらせることが挙げられるが、
これらに限定されるものではない。特に好ましい形態と
しては、ポリプロピレンやポリエステル等の不織布、あ
るいは、ポリエチレンやポリエステル等のネットであ
る。
【0010】不織布を作製する方法としては、光選択性
材料を樹脂に混合した後、乾式法、湿式法、直接法(ス
パンボンド法、メルトブロー法、あるいフラッシュ紡糸
法等)等の方法が挙げられる。また、ネットを作製する
場合は、光選択性材料を樹脂に混合した後、一旦独立し
たノズルで糸状あるいは平らなひも状に溶融押し出し
し、その材料を接着させてネットにする方法や、溶融押
し出し時に特殊なノズルを用いてノズルを合致させた
り、分離したりして網目を形成する方法等で行うことが
できる。もちろん、樹脂を一旦不織布やネットに成形加
工した後、光選択性材料をコーティングしてもよい。
【0011】本発明の通気性を有する光選択透過性被覆
材料において、前記A値を0.9以下にするためには、
被覆材料が600〜700nmに吸収あるいは反射を持
つ必要があり、本発明の被覆材料では、その基材中に、
600〜700nmに極大吸収波長、あるいは、極大反
射波長を有する光選択性材料を含有させる。好ましく
は、600〜700nmに極大吸収波長(λmax )を有
する赤色光吸収色素を含有させる。本発明で用いる60
0〜700nmにλmax を有する赤色光吸収色素として
は、アントラキノン、ナフトキノン、フタロシアニン等
の青色、あるいはシアン色素が使用できる。
【0012】本発明の被覆材料において、基材として
は、特に限定されないが、通常の農業用被覆材料として
用いられているポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメ
タクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニ
ル、酢酸ビニル/エチレンの共重合体(EVA)、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミ
ド等が好ましい。光選択性材料を基材に練り込んだり、
あるいは基材表面にコートすることで光選択性を持たせ
ることができる。光選択性材料の添加量としては、基材
の種類、形態、厚み、目的とする吸収強度、吸収あるい
は反射材料の種類等によって異なるが、上記赤色光吸収
色素であれば1ppm〜5%が好ましい。
【0013】本発明の通気性を有する光選択透過性被覆
材料は、目的に応じて、どんな時期にでも使用できる
が、特に遮光を必要とする春から秋、更に好ましくは夏
に使用する。本被覆材料で被覆して植物を育てた場合、
同じ遮光率を有する光波長選択性のない通気性の材料の
場合と比較して、背が高くエレガントな植物体となる。
すなわち、単位面積あたりの葉緑素の量が増え、花卉類
であれば、より美しく高品質になり、野菜類や果物であ
れば、収量の増加、抽苔抑制、味の向上等がみられる。
また、植物によっては開花時期を遅らせたり、花芽分化
を制御する等の光形態形成の変化に伴う興味ある現象が
みられる。
【0014】なお、被覆とは、植物体の周囲全面または
光が入射してくる少なくとも一面以上を覆うことによ
り、光を遮ることを指す。植物を栽培する上で常時被覆
することもできるし、ある一定期間のみを被覆したり、
あるいは一日の内でもある一定の時間のみを被覆するこ
ともできる。また、本発明で光とは、自然光あるいは人
工光源をさす。即ち、自然光を用いる点で、本願方法は
コスト的に有利であるが、人工光源を用いる場合にも当
然応用できる。
【0015】本願発明の被覆材料で覆う植物としては、
特に限定されるものではないが、例えば、ウリ科、ナス
科、マメ科、バラ科、アブラナ科、キク科、セリ科、ア
カザ科、イネ科、アオイ科、ウコギ科、シソ科、ショウ
ガ科、スイレン科、サトイモ科の野菜、キク科、バラ
科、サトイモ科、ナデシコ科、アブラナ科、イソマツ
科、リンドウ科、ゴマノハグサ科、マメ科、アヤメ科、
ナス科、ヒガンバナ科、ラン科、ミズキ科、アカネ科、
ヤナギ科、ツツジ科、モクセイ科、モクレン科、サクラ
ソウ科、シュウカイドウ科、シソ科、フウロソウ科、ベ
ンケイソウ科、キンポウゲ科、イワタバコ科、サボテン
科、シダ類、ウコギ科、クワ科、ツユクサ科、パイナッ
プル科、クズウコン科、トウダイクサ科、コショウ科、
ユキノシタ科、アカバナ科、アオイ科、フトモモ科、ツ
バキ科、オシロイバナ科の切り花類あるいは鉢物類の花
卉、バラ科、ブドウ科、クワ科、カキノキ科、ツツジ
科、アケビ科、マタタビ科、トケイソウ科、ミカン科、
ウルシ科、パイナップル科、フトモモ科の果樹、藻類で
ある。
【0016】具体的には、ヒマワリ、キュウリ、レタ
ス、キャベツ、ゴマ、ピーマン、ナス、コマツナ、ミツ
バ、ホウレンソウ、カボチャ、スイカ、メロン、インゲ
ン、ブロッコリー、イチゴ、ミカン、ナシ、ブドウ、キ
ク、タマネギ、トマト、キンギョソウ、ポインセチア、
カーネーション、カスミソウ、バラ、スターチス、スト
ック、トルコギギョウ、洋ラン、シクラメン、インパチ
ュエンス、マリーゴールド、サルビア、リモニウム、デ
ルフィニウム、ラクスパー、ブルーレース、ホワイトレ
ース、ユリ、フリージア、アイリス、サクラソウ、ベゴ
ニア、シュンギク、フキ、ニラ、ネギ、アスパラガス、
セルリー、ダイコン、エンドウ、ビワ、茶等が挙げられ
る。
【0017】本願発明の被覆材料を園芸施設に適用する
方法としては、該被覆材料で植物体の周囲全面、或いは
光が入射してくる少なくとも一面を覆うことができる方
法であれば特に限定されるものではないが、例えば、上
記の方法で作製した通気性を有する光選択透過性被覆材
料を用いてハウスを作製する方法、ハウスの外張りおよ
び/または内張りに用いる方法、トンネルハウスに用い
る方法、マルチングフィルムに用いる方法等がある。ま
た、果樹の場合には、果樹全体を被覆する以外に枝の一
本づつを被覆することも出来る。また、ベタガケ、内張
りのカーテン、寒冷紗等の代替材料とすることもでき
る。特に、カーテンとして使用した場合は、必要に応じ
て簡便に開閉できる利点がある。
【0018】家庭園芸用には、園芸施設に用いる方法に
準ずる方法、該被覆材で小型のボックスを作って植木鉢
にかぶせる方法等、適宜用いることが出来る。本願発明
の被覆材料を用いて各種苗の成長試験を行ったところ、
自然光の場合と比較して顕著に成長が促進された苗およ
び作物が得られた。
【0019】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。なお、実施例中の「部」は重量部を示す。また、実
施例中の光合成有効光量子束(PPF)透過率およびA
値は、島津製作所製分光光度計(UV−3100)を用
いて測定した透過光の分光透過率より計算して得た。一
方、実施例中の成長促進効果とは、その実施例の植物高
と、比較試験の植物高との比である。
【0020】実施例1 式(1)(化1)で示されるフタロシアニン色素0.5
6部とポリプロピレン100部を230℃で溶融混練し
た後、スパンボンド成形機を用いて目付19.6g/m
2、厚さ0.3mm、繊度3.5dの着色不織布を得
た。本不織布のPPF透過率は75%、A値は0.70
であった。
【0021】
【化1】
【0022】本不織布を、直径12mmのステンレス製
パイプを用いて作製した高さ650mm、幅1750m
m、奥行き850mmのフレームに展張してグロースキ
ャビネットを作製した。本グロースキャビネット中に、
高さ約3.8cmのヒマワリの苗7サンプルを入れ、1
1日間栽培したところ、平均で、植物高は23.4±
0.7cm、茎長は19.3±0.5cmおよび第一節
間長が16.0±0.4cmの背の高い植物体が得られ
た。また、グロースキャビネット中における栽培期間中
の各日最高気温の平均値は28.7℃、最高地表温度の
平均値は27.0℃、最高湿度の平均値は73%であっ
た。
【0023】比較のため、PPF透過率が75%、A値
が1.10の寒冷紗を用いて作製した上と同サイズのグ
ロースキャビネット中で、他は上の実施例と同一の条件
下で同時にヒマワリを栽培した(比較試験−1)。さら
に、被覆資材を用いずに同一の条件下で同時にヒマワリ
を栽培した(比較試験−2)。その結果、比較試験−1
では、平均で、植物高は16.1±0.9cm、茎長は
13.3±0.5cmおよび第一節間長が8.3±0.
4cmである若干葉の色の薄い植物体が得られた。ま
た、栽培区の各日最高気温の平均値は28.2℃、最高
地表温度の平均値は26.1℃、最高湿度の平均値は6
9%であった。比較試験−2では、平均で、植物高は1
6.7±1.1cm、茎長は13.9±0.7cmおよ
び第一節間長が8.7±0.6cmの植物体が得られ、
栽培区の各日最高気温の平均値は25.5℃、最高地表
温度の平均値は33.6℃、最高湿度の平均値は61%
であった。
【0024】加えて、比較のために、ポリエチレン10
0部に上記着色不織布に用いた色素と同様の色素0.1
2部を添加し、220℃で溶融混練したのち一軸スクリ
ュー押し出し機にてTダイより押し出し、厚さ0.1m
mの着色フィルムを成形した(PPF透過率は76%、
A値は0.69)。この着色フィルムを用いて作製した
上と同サイズのグロースキャビネット中で、他は全く同
じ条件でヒマワリの栽培を行った(比較試験−3)。そ
の結果、平均で、植物高は21.2±0.9cm、茎長
は17.5±0.7cmおよび第一節間長が14.7±
0.6cmの背の高い植物体が得られた。また、グロー
スキャビネット中における栽培期間中の各日最高気温の
平均値は41.1℃、最高地表温度の平均値は36.3
℃、最高湿度の平均値は85%であった。
【0025】このことより、PPF透過率が75%、A
値が0.70の通気性を有する光選択透過性被覆材料を
用いた場合、同等のPPF透過率を有する寒冷紗を用い
た比較試験−1と比べ、成長促進効果は約1.45倍と
なった。また、無被覆での比較試験−2に比べ、成長促
進効果は約1.40倍となった。一方、A値およびPP
F透過率が同等の通気性のない着色フィルムでの比較試
験−3との比較では、最高気温は12.4℃、最高地表
温度は9.3℃、最高湿度は12%それぞれ低下し、成
長促進効果は約1.10倍となった。
【0026】実施例2 実施例1で使用した色素0.67部とポリプロピレン1
00部を230℃で溶融混練した後、スパンボンド成形
機を用いて目付19.7g/m2、厚さ0.3mm、繊
度3.5dの着色不織布を得た。本不織布のPPF透過
率は65%、A値は0.64であった。実施例1の着色
不織布の代わりに本不織布を用い、実施例1と同様の方
法でグロースキャビネットを作製した。
【0027】本グロースキャビネット中で、他は実施例
1と同一の条件下で同時にヒマワリを栽培したところ、
平均で、植物高は24.1±0.9cm、茎長は20.
0±0.7cmおよび第一節間長が17.1±0.6c
mの背の高い植物体が得られた。また、グロースキャビ
ネット中における栽培期間中の各日最高気温の平均値は
28.0℃、最高地表温度の平均値は26.4℃、最高
湿度の平均値は73%であった。
【0028】比較のため、PPF透過率が65%、A値
が1.10の寒冷紗を用いて作製した同サイズのグロー
スキャビネット中で、他は上の実施例と同一の条件下で
同時にヒマワリを栽培した(比較試験−4)。その結
果、比較試験−4では、平均で、植物高は16.0±
0.9cm、茎長は13.1±0.5cmおよび第一節
間長が8.3±0.4cmである若干葉の色の薄い植物
体が得られた。また、栽培区の各日最高気温の平均値は
26.8℃、最高地表温度の平均値は25.9℃、最高
湿度の平均値は68%であった。
【0029】加えて、比較のために、ポリエチレン10
0部に実施例1で用いた色素0.14部を添加し、22
0℃で溶融混練したのち一軸スクリュー押し出し機にて
Tダイより押し出し、厚さ0.1mmの着色フィルムを
成形した(PPF透過率は66%、A値は0.63)。
この着色フィルムを用いて作製した上と同サイズのグロ
ースキャビネット中で、他は全く同じ条件でヒマワリの
栽培を行った(比較試験−5)。その結果、平均で、植
物高は22.1±1.0cm、茎長は17.9±0.9
cmおよび第一節間長が15.2±0.6cmの背の高
い植物体が得られた。また、グロースキャビネット中に
おける栽培期間中の各日最高気温の平均値は40.2
℃、最高地表温度の平均値は35.9℃、最高湿度の平
均値は83%であった。
【0030】このことより、PPF透過率が65%、A
値が0.64の通気性を有する光選択透過性被覆材料を
用いた場合、同等のPPF透過率を有する寒冷紗を用い
た比較試験−4と比べ、成長促進効果は約1.51倍と
なった。また、実施例1の無被覆での比較試験−2に比
べ、成長促進効果は約1.44倍となった。一方、A値
およびPPF透過率が同等の通気性のない着色フィルム
での比較試験−5との比較では、最高気温は12.2
℃、最高地表温度は9.5℃、最高湿度は10%それぞ
れ低下し、成長促進効果は約1.1倍となった。
【0031】実施例3 実施例1で使用した色素0.75部とポリプロピレン1
00部を230℃で溶融混練した後、スパンボンド成形
機を用いて目付19.7g/m2、厚さ0.3mm、繊
度3.5dの着色不織布を得た。本不織布のPPF透過
率は55%、A値は0.58であった。実施例1の着色
不織布の代わりに本不織布を用い、実施例1と同様の方
法でグロースキャビネットを作製した。
【0032】本グロースキャビネット中で、他は実施例
1と同一の条件下で同時にヒマワリを栽培したところ、
平均で、植物高は24.5±1.1cm、茎長は20.
4±0.9cmおよび第一節間長が17.2±0.8c
mの背の高い植物体が得られた。また、グロースキャビ
ネット中における栽培期間中の各日最高気温の平均値は
27.4℃、最高地表温度の平均値は26.1℃、最高
湿度の平均値は71%であった。
【0033】比較のため、PPF透過率が55%、A値
が1.10の寒冷紗を用いて作製した同サイズのグロー
スキャビネット中で、他は上の実施例と同一の条件下で
同時にヒマワリを栽培した(比較試験−6)。その結
果、比較試験−6では、平均で、植物高は15.6±
0.9cm、茎長は12.5±0.5cmおよび第一節
間長が7.9±0.4cmである葉が小さく色の薄い徒
長気味の植物体が得られた。また、栽培区の各日最高気
温の平均値は26.3℃、最高地表温度の平均値は2
5.6℃、最高湿度の平均値は67%であった。加え
て、比較のために、ポリエチレン100部に実施例1で
用いた色素0.16部を添加し、220℃で溶融混練し
たのち一軸スクリュー押し出し機にてTダイより押し出
し、厚さ0.1mmの着色フィルムを成形した(PPF
透過率は56%、A値は0.57)。この着色フィルム
を用いて作製した上と同サイズのグロースキャビネット
中で、他は全く同じ条件でヒマワリの栽培を行った(比
較試験−7)。その結果、平均で、植物高は22.3±
1.1cm、茎長は18.1±1.0cmおよび第一節
間長が15.6±0.8cmの背の高い植物体が得られ
た。また、グロースキャビネット中における栽培期間中
の各日最高気温の平均値は39.5℃、最高地表温度の
平均値は35.6℃、最高湿度の平均値は82%であっ
た。
【0034】このことより、PPF透過率が55%、A
値が0.58の通気性を有する光選択透過性被覆材料を
用いた場合、同等のPPF透過率を有する寒冷紗を用い
た比較試験−6と比べ、成長促進効果は約1.57倍と
なった。また、実施例1の無被覆での比較試験−2に比
べ、成長促進効果は約1.47倍となった。一方、A値
およびPPF透過率が同等の通気性のない着色フィルム
での比較試験−7との比較では、最高気温は12.1
℃、最高地表温度は9.5℃、最高湿度は11%それぞ
れ低下し、成長促進効果は約1.10倍となった。
【0035】実施例4 実施例1で使用した色素0.48部とポリプロピレン1
00部を230℃で溶融混練した後、スパンボンド成形
機を用いて目付19.7g/m2、厚さ0.3mm、繊
度3.5dの着色不織布を得た。本不織布のPPF透過
率は85%、A値は0.80であった。実施例1の着色
不織布の代わりに本不織布を用い、実施例1と同様の方
法でグロースキャビネットを作製した。
【0036】本グロースキャビネット中で、他は実施例
1と同一の条件下で同時にヒマワリを栽培したところ、
平均で、植物高は21.8±0.8cm、茎長は18.
7±0.6cmおよび第一節間長が16.6±0.4c
mの背の高い植物体が得られた。また、グロースキャビ
ネット中における栽培期間中の各日最高気温の平均値は
29.6℃、最高地表温度の平均値は27.5℃、最高
湿度の平均値は75%であった。
【0037】比較のため、PPF透過率が85%、A値
が1.10の寒冷紗を用いて作製した同サイズのグロー
スキャビネット中で、他は上の実施例と同一の条件下で
同時にヒマワリを栽培した(比較試験−8)。その結
果、比較試験−8では、平均で、植物高は16.3±
1.0cm、茎長は13.5±0.6cmおよび第一節
間長が8.4±0.4cmである植物体が得られた。ま
た、栽培区の各日最高気温の平均値は29.0℃、最高
地表温度の平均値は26.6℃、最高湿度の平均値は7
2%であった。
【0038】加えて、比較のために、ポリエチレン10
0部に実施例1で用いた色素0.10部を添加し、22
0℃で溶融混練したのち一軸スクリュー押し出し機にて
Tダイより押し出し、厚さ0.1mmの着色フィルムを
成形した(PPF透過率は86%、A値は0.79)。
この着色フィルムを用いて作製した上と同サイズのグロ
ースキャビネット中で、他は全く同じ条件でヒマワリの
栽培を行った(比較試験−9)。その結果、平均で、植
物高は20.6±1.0cm、茎長は17.1±0.8
cmおよび第一節間長が14.2±0.7cmの背の高
い植物体が得られた。また、グロースキャビネット中に
おける栽培期間中の各日最高気温の平均値は42.4
℃、最高地表温度の平均値は37.0℃、最高湿度の平
均値は86%であった。
【0039】このことより、PPF透過率が85%、A
値が0.80の通気性を有する光選択透過性被覆材料を
用いた場合、同等のPPF透過率を有する寒冷紗を用い
た比較試験−8と比べ、成長促進効果は約1.33倍と
なった。また、実施例1の無被覆での比較試験−2に比
べ、成長促進効果は約1.31倍となった。一方、A値
およびPPF透過率が同等の通気性のない着色フィルム
での比較試験−9との比較では、最高気温は12.8
℃、最高地表温度は9.5℃、最高湿度は11%それぞ
れ低下し、成長促進効果は約1.06倍となった。
【0040】実施例5 フタロシアニングリーンを0.2μm以下の粒径に微粒
化した後、このフタロシアニン0.51部とポリプロピ
レン100部を230℃で溶融混練した後、スパンボン
ド成形機を用いて目付19.6g/m2、厚さ0.3m
m、繊度3.5dの着色不織布を得た。本不織布のPP
F透過率は75%、A値は0.81であった。実施例1
の着色不織布の代わりに本不織布を用い、実施例1と同
様の方法でグロースキャビネットを作製した。
【0041】本グロースキャビネット中で、他は実施例
1と同一の条件下で同時にヒマワリを栽培したところ、
平均で、植物高は21.7±0.9cm、茎長は18.
6±0.6cmおよび第一節間長が15.1±0.4c
mの背の高い植物体が得られた。また、グロースキャビ
ネット中における栽培期間中の各日最高気温の平均値は
28.4℃、最高地表温度の平均値は26.2℃、最高
湿度の平均値は70%であった。
【0042】比較のために、農業用塩化ビニル100部
にこの色素0.10部を添加し、180℃で溶融混練し
たのち一軸スクリュー押し出し機にてTダイより押し出
し、厚さ0.1mmの着色フィルムを成形した(PPF
透過率は75%、A値は0.80)。この着色フィルム
を用いて作製した上と同サイズのグロースキャビネット
中で、他は全く同じ条件で同時にヒマワリの栽培を行っ
た(比較試験−10)。その結果、平均で、植物高は2
0.0±0.9cm、茎長は17.3±0.7cmおよ
び第一節間長が14.4±0.6cmの背の高い植物体
が得られた。また、グロースキャビネット中における栽
培期間中の各日最高気温の平均値は40.7℃、最高地
表温度の平均値は36.0℃、最高湿度の平均値は81
%であった。
【0043】このことより、PPF透過率が75%、A
値が0.81の通気性を有する光選択透過性被覆材料を
用いた場合、同等のPPF透過率およびA値を有する着
色フィルムを用いた比較試験−10と比べ、最高気温は
12.3℃、最高地表温度は9.8℃、最高湿度は11
%それぞれ低下し、成長促進効果は約1.09倍となっ
た。また、同等PPF透過率の寒冷紗での栽培試験であ
る、実施例1の比較試験−1に比べ、成長促進効果は約
1.35倍となった。一方、無被覆での栽培試験であ
る、実施例1の比較試験−2に比べ、成長制御効果は約
1.30倍となった。
【0044】実施例6 式(2)(化2)で示されるナフトキノン色素0.51
部とポリプロピレン100部を230℃で溶融混練した
後、スパンボンド成形機を用いて目付19.6g/m
2、厚さ0.3mm、繊度3.5dの着色不織布を得
た。本不織布のPPF透過率は75%、A値は0.75
であった。実施例1の着色不織布の代わりに本不織布を
用い、実施例1と同様の方法でグロースキャビネットを
作製した。
【0045】
【化2】
【0046】本グロースキャビネット中で、他は実施例
1と同一の条件下で同時にヒマワリを栽培したところ、
平均で、植物高は22.6±0.8cm、茎長は18.
6±0.7cmおよび第一節間長が15.3±0.5c
mの背の高い植物体が得られた。また、グロースキャビ
ネット中における栽培期間中の各日最高気温の平均値は
28.8℃、最高地表温度の平均値は26.8℃、最高
湿度の平均値は73%であった。
【0047】比較のために、ポリエチレン100部にこ
の色素0.11部を添加し、220℃で溶融混練したの
ち一軸スクリュー押し出し機にてTダイより押し出し、
厚さ0.1mmの着色フィルムを成形した(PPF透過
率は75%、A値は0.74)。この着色フィルムを用
いて作製した上と同サイズのグロースキャビネット中
で、他は全く同じ条件で同時にヒマワリの栽培を行った
(比較試験−11)。その結果、平均で、植物高は2
0.3±1.1cm、茎長は16.7±0.9cmおよ
び第一節間長が14.1±0.6cmの背の高い植物体
が得られた。また、グロースキャビネット中における栽
培期間中の各日最高気温の平均値は41.6℃、最高地
表温度の平均値は36.5℃、最高湿度の平均値は85
%であった。
【0048】このことより、PPF透過率が75%、A
値が0.75の通気性を有する光選択透過性被覆材料を
用いた場合、同等のPPF透過率およびA値を有する着
色フィルムを用いた比較試験−11と比べ、最高気温は
12.8℃、最高地表温度は9.7℃、最高湿度は12
%それぞれ低下し、成長促進効果は約1.11倍となっ
た。また、同等PPF透過率の寒冷紗での栽培試験であ
る、実施例1の比較試験−1に比べ、成長促進効果は約
1.40倍となった。一方、無被覆での栽培試験であ
る、実施例1の比較試験−2に比べ、成長促進効果は約
1.35倍となった。
【0049】実施例7 式(3)(化3)で示されるアントラキノン色素0.4
7部とポリプロピレン100部を230℃で溶融混練し
た後、スパンボンド成形機を用いて目付19.6g/m
2、厚さ0.3mm、繊度3.5dの着色不織布を得
た。本不織布のPPF透過率は75%、A値は0.72
であった。実施例1の着色不織布の代わりに本不織布を
用い、実施例1と同様の方法でグロースキャビネットを
作製した。
【0050】
【化3】
【0051】本グロースキャビネット中で、他は実施例
1と同一の条件下で同時にヒマワリを栽培したところ、
平均で、植物高は23.2±0.8cm、茎長は19.
0±0.5cmおよび第一節間長が16.0±0.4c
mの背の高い植物体が得られた。また、グロースキャビ
ネット中における栽培期間中の各日最高気温の平均値は
28.9℃、最高地表温度の平均値は27.1℃、最高
湿度の平均値は73%であった。
【0052】比較のために、ポリエチレン100部にこ
の色素0.095部を添加し、220℃で溶融混練した
のち一軸スクリュー押し出し機にてTダイより押し出
し、厚さ0.1mmの着色フィルムを成形した(PPF
透過率は76%、A値は0.72)。この着色フィルム
を用いて作製した上と同サイズのグロースキャビネット
中で、他は全く同じ条件で同時にヒマワリの栽培を行っ
た(比較試験−12)。その結果、平均で、植物高は2
0.9±0.9cm、茎長は17.2±0.6cmおよ
び第一節間長が14.6±0.4cmの背の高い植物体
が得られた。また、グロースキャビネット中における栽
培期間中の各日最高気温の平均値は41.4℃、最高地
表温度の平均値は36.5℃、最高湿度の平均値は86
%であった。
【0053】このことより、PPF透過率が75%、A
値が0.72の通気性を有する光選択透過性被覆材料を
用いた場合、同等のPPF透過率およびA値を有する着
色フィルムを用いた比較試験−12と比べ、最高気温は
12.5℃、最高地表温度は9.4℃、最高湿度は13
%それぞれ低下し、成長促進効果は約1.11倍となっ
た。また、同等PPF透過率の寒冷紗での栽培試験であ
る、実施例1の比較試験−1に比べ、成長促進効果は約
1.44倍となった。一方、無被覆での栽培試験であ
る、実施例1の比較試験−2に比べ、成長促進効果は約
1.39倍となった。
【0054】実施例8 実施例1で用いた着色不織布製グロースキャビネット中
に、高さ約6cmのキュウリの苗7サンプルを入れ、9
日間栽培した結果、平均で、植物高は30.6±2.0
cm、茎長は18.1±1.3cm、および第一節間長
が4.0±0.6cmの背の高い植物体が得られた。ま
た、グロースキャビネット中における栽培期間中の各日
最高気温の平均値は28.6℃、最高地表温度の平均値
は27.1℃、最高湿度の平均値は73%であった。
【0055】比較のために、実施例1の比較試験−1で
使用した寒冷紗製のグロースキャビネット中でのキュウ
リの栽培試験(比較試験−13)、無被覆でのキュウリ
の栽培試験(比較試験−14)、および、実施例1の比
較試験−3で使用した着色フィルム製のグロースキャビ
ネット中でのキュウリの栽培試験(比較試験−15)
を、他は同一の条件下で同時にそれぞれ実施した。その
結果、比較試験−13では、平均で、植物高は21.4
±1.4cm、茎長は11.0±1.1cm、および第
一節間長が2.7±0.4cmである若干葉の色の薄い
徒長気味の植物体が得られた。また、栽培区の各日最高
気温の平均値は28.6℃、最高地表温度の平均値は2
6.5℃、最高湿度の平均値は69%であった。比較試
験−14では、平均で、植物高は23.1±1.6c
m、茎長は12.2±1.1cm、および第一節間長が
3.0±0.6cmの植物体が得られ、栽培区の各日最
高気温の平均値は25.9℃、最高地表温度の平均値は
33.8℃、最高湿度の平均値は62%であった。ま
た、比較試験−15では、平均で、植物高は25.4±
1.7cm、茎長は14.8±1.2cm、および第一
節間長が3.3±0.5cmの背の高い植物体が得ら
れ、栽培区の各日最高気温の平均値は41.0℃、最高
地表温度の平均値は36.1℃、最高湿度の平均値は8
4%であった。
【0056】このことより、PPF透過率が75%、A
値が0.70の通気性を有する光選択透過性被覆材料を
用いた場合、同等のPPF透過率を有する寒冷紗を用い
た比較試験−13と比べ、成長促進効果は約1.43倍
となった。また、無被覆での比較試験−14に比べ、成
長促進効果は約1.32倍となった。一方、A値および
PPF透過率が同等の通気性のない着色フィルムでの比
較試験−15との比較では、最高気温は12.4℃、最
高地表温度は9.0℃、最高湿度は11%それぞれ低下
し、成長促進効果は約1.20倍となった。
【0057】実施例9 実施例1で用いた着色不織布製グロースキャビネット中
に、高さ約5cmのトマトの苗7サンプルを入れ、9日
間栽培した結果、平均で、植物高は31.4±2.5c
m、茎長は20.3±1.6cm、および第一節間長が
10.4±1.0cmの背の高い植物体が得られた。ま
た、グロースキャビネット中における栽培期間中の各日
最高気温の平均値は28.8℃、最高地表温度の平均値
は27.1℃、最高湿度の平均値は74%であった。
【0058】比較のために、実施例1の比較試験−1で
使用した寒冷紗製のグロースキャビネット中でのトマト
の栽培試験(比較試験−16)、無被覆でのトマトの栽
培試験(比較試験−17)、および、実施例1の比較試
験−3で使用した着色フィルム製のグロースキャビネッ
ト中でのトマトの栽培試験(比較試験−18)を、他は
同一の条件下で同時にそれぞれ実施した。その結果、比
較試験−16では、平均で、植物高は22.0±1.9
cm、茎長は14.4±1.4cm、および第一節間長
が7.6±0.9cmである若干葉の色の薄い徒長気味
の植物体が得られた。また、栽培区の各日最高気温の平
均値は28.3℃、最高地表温度の平均値は26.5
℃、最高湿度の平均値は70%であった。比較試験−1
7では、平均で、植物高は24.1±2.2cm、茎長
は15.8±1.6cm、および第一節間長が8.1±
1.0cmの植物体が得られ、栽培区の各日最高気温の
平均値は25.7℃、最高地表温度の平均値は33.8
℃、最高湿度の平均値は61%であった。また、比較試
験−18では、平均で、植物高は26.1±2.4c
m、茎長は18.0±1.8cm、および第一節間長が
9.2±1.0cmの背の高い植物体が得られ、栽培区
の各日最高気温の平均値は40.8℃、最高地表温度の
平均値は36.0℃、最高湿度の平均値は84%であっ
た。
【0059】このことより、PPF透過率が75%、A
値が0.70の通気性を有する光選択透過性被覆材料を
用いた場合、同等のPPF透過率を有する寒冷紗を用い
た比較試験−16と比べ、成長促進効果は約1.43倍
となった。また、無被覆での比較試験−17に比べ、成
長促進効果は約1.30倍となった。一方、A値および
PPF透過率が同等の通気性のない着色フィルムでの比
較試験−18との比較では、最高気温は12.0℃、最
高地表温度は8.9℃、最高湿度は10%それぞれ低下
し、成長促進効果は約1.20倍となった。
【0060】実施例10 実施例1で用いた着色不織布製グロースキャビネット中
で、約1ヶ月間ホウレンソウの栽培を行った結果、平均
で、植物高は27.3±1.2cm、葉柄長は14.4
±0.9cm、最大葉長は14.1±0.7cm、最大
葉幅は7.3±0.5cm、新鮮重量が12.2±0.
5gの背の高い植物体が得られた。また、グロースキャ
ビネット中における栽培期間中の各日最高気温の平均値
は28.9℃、最高地表温度の平均値は27.3℃、最
高湿度の平均値は73%であった。
【0061】比較のために、実施例1の比較試験−1で
使用した寒冷紗製のグロースキャビネット中でのホウレ
ンソウの栽培試験(比較試験−19)、無被覆でのホウ
レンソウの栽培試験(比較試験−20)、および、実施
例1の比較試験−3で使用した着色フィルム製のグロー
スキャビネット中でのホウレンソウの栽培試験(比較試
験−21)を、他は同一の条件下で同時にそれぞれ実施
した。その結果、比較試験−19では、平均で、植物高
は22.1±0.9cm、葉柄長は11.2±0.5c
m、最大葉長は11.1±0.5cm、最大葉幅は7.
1±0.4cm、新鮮重量が11.5±0.6gである
若干葉の色が薄く、徒長気味の植物体となった。また、
栽培区の各日最高気温の平均値は28.6℃、最高地表
温度の平均値は26.4℃、最高湿度の平均値は70%
であった。比較試験−20では、平均で、植物高は2
1.2±0.9cm、葉柄長は11.0±0.7cm、
最大葉長は11.3±0.6cm、最大葉幅は7.2±
0.4cm、新鮮重量が10.6±0.6gの葉焼けに
よる高温障害が現れた植物体となった。また、栽培区の
各日最高気温の平均値は25.7℃、最高地表温度の平
均値は33.9℃、最高湿度の平均値は62%であっ
た。また、比較試験−21では、平均で、植物高は2
3.0±1.0cm、葉柄長は11.5±0.7cm、
最大葉長は11.5±0.7cm、最大葉幅は7.0±
0.6cm、新鮮重量が11.5±0.6gの植物体と
なった。また、栽培区の各日最高気温の平均値は40.
6℃、最高地表温度の平均値は35.8℃、最高湿度の
平均値は83%であった。
【0062】このことより、PPF透過率が75%、A
値が0.70の通気性を有する光選択透過性被覆材料を
用いた場合、同等のPPF透過率を有する寒冷紗を用い
た比較試験−19と比べ、成長促進効果は約1.24倍
となり、また、無被覆での比較試験−20に比べ、成長
促進効果は約1.29倍となった。一方、A値およびP
PF透過率が同等の通気性のない着色フィルムでの比較
試験−21との比較では、最高気温は11.7℃、最高
地表温度は8.5℃、最高湿度は10%それぞれ低下
し、成長促進効果は約1.19倍となった。
【0063】実施例11〜43 その他の植物について、実施例1のグロースキャビネッ
トを用いて、実施例1と同様の栽培試験をそれぞれ行
い、表−1(表1)の結果を得た。なお、表における効
果の欄の評価は、その他の条件は同一で、同時に行っ
た、実施例1の比較試験−1で使用した寒冷紗製のグロ
ースキャビネットを用いた栽培試験の結果と比較した場
合の評価である。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】近年、農作物の生産現場では、栽培作物
の高品質化、高付加価値化を図るため、植物の成長を制
御する方法が求められている。本発明は、新しい光選択
性被覆材料を提供するとともに、それらの被覆材料を用
いることで栽培環境の適正化を行うことにより、簡便に
植物の成長制御をし、かつ、目的に応じて商品価値を高
めることができる極めて重要かつ価値のあるものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大井 龍 千葉県袖ヶ浦市長浦580番地32 三井化学 株式会社内 Fターム(参考) 2B024 DA04 DB03 2B029 EB08 EC02 EC03 EC13 LA03 4F071 AA01 AE09 AF30Y AH01 BC01 4J002 BB021 BB111 BD031 BF021 BF031 BG051 CF071 CG001 CL001 EE056 EY006 FD096 GA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式で表される透過光のA値が0.9
    以下である通気性を有する光選択透過性被覆材料。 A=R/FR (式中、Rは標準光源D65を基準とする600〜70
    0nmの赤色光の光量子束透過量であり、FRは標準光
    源D65を基準とする700〜800nmの遠赤色光の
    光量子束透過量である。)
  2. 【請求項2】 透過光の光合成有効光量子束(PPF)
    透過率が20%以上である請求項1記載の被覆材料。
  3. 【請求項3】 通気性を有する光選択透過性被覆材料が
    不織布またはネットであることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の被覆材料。
  4. 【請求項4】 600〜700nmの間に極大吸収波長
    (λmax )を持つ赤色光吸収色素を含有することを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載の被覆材料。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の通気性
    を有する光選択透過性被覆材料で植物を被覆する植物の
    栽培方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101339007B1 (ko) 2013-08-02 2013-12-10 남양부직포 주식회사 부직포를 이용한 과수 보호용 덮개 및 그 설치 방법
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