JP2000041506A - 植物の成長制御方法 - Google Patents
植物の成長制御方法Info
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Abstract
倍以下、あるいは、1.1倍以上の光選択性被覆材料で
植物を被覆して育てることを特徴とする植物の制御方
法。 P=σr/σfr 〔式中、σrは植物細胞内に存在する光形態形成ホルモ
ン(フィトクロム)の赤色光吸収型(Pr)スペクトル
の各々の波長における吸収強度と、その波長に対応する
該被覆材料の透過スペクトル(標準の光D65を基準)
の透過率を乗じて積算した値であり、σfrはフィトク
ロムの遠赤色光吸収型(Pfr)スペクトルの各々の波
長における吸収強度と、その波長に対応する該被覆材料
の透過スペクトル(標準の光D65を基準)の透過率を
乗じて積算した値である〕 【効果】 特定の被覆材料を用いることにより、植物の
成長制御が簡便に行えることを可能にする。
Description
する被覆材料の評価方法に関するものであり、施設園芸
だけでなく、農業のあらゆる場面で利用可能な極めて価
値のあるものである。
から遮断して保護、育成するハウス、雨よけ施設あるい
はトンネル等の外張り被覆資材や、外張りを行った構造
物の内側に展張して、保温性の向上や遮光などを目的と
した内張り資材がある。また、地面に直接展張し、地湿
・土壌水分の調節、病害虫駆除、雑草発生防止、果実の
着色促進などを目的とするマルチ資材がある。これらの
被覆材料は、温湿度環境の保持調節を主目的とするもの
であり、光選択性被覆材料については、これまであまり
知られていない。
光(太陽光)を利用する光選択性被覆材料の評価方法と
それに基づく実用的な植物成長制御方法を提供するもの
である。
を解決するために鋭意検討した結果、特定の方法で評価
することにより、光選択性被覆材料の性能を明確にでき
ることを見出し、本発明を完成するに到った。すなわ
ち、本発明は、下記式で表されるP値が基準値の0.
9倍以下である光選択性被覆材料で被覆して植物の成長
を促進させることを特徴とする植物の成長制御方法、 下記式で表されるP値が基準値の1.1倍以上である
光選択性被覆材料で被覆して植物の成長を抑制させるこ
とを特徴とする植物の成長制御方法、および、 P値が、ムギについて測定されたフィトクロムの赤色
光吸収型スペクトルおよび遠赤色光吸収型スペクトルを
基準として算出されることを特徴とする前記または
記載の植物の成長制御方法、に関するものである。
ン(フィトクロム)の赤色光吸収型(Pr)スペクトル
の各々の波長における吸収強度と、その波長に対応する
該被覆材料の透過スペクトル(標準の光D65を基準)
の透過率を乗じて積算した値であり、σfrはフィトク
ロムの遠赤色光吸収型(Pfr)スペクトルの各々の波
長における吸収強度と、その波長に対応する該被覆材料
の透過スペクトル(標準の光D65を基準)の透過率を
乗じて積算した値である〕
(フィトクロム)には赤色光吸収型(Pr型)と遠赤色
光吸収型(Pfr型)の二種類が存在し、その光平衡の
バランスにより植物の形態形成が制御されることが知ら
れている。本発明の方法は、それらの吸収スペクトル
を、被覆材料の透過スペクトルと関連付けることによ
り、該被覆材料の植物成長制御性能が評価できること、
また、本発明の方法で用いるP値が基準値の0.9倍以
下、あるいは、1.1倍以上である被覆材料を用いた結
果、植物の成長制御に顕著な効果のあること、を見出し
たことを基になされたものである。なお、本発明におい
て、基準値とは、光選択性を有しない通常の被覆材料に
ついてのP値である。
r型およびPfr型の正確なフィトクロムのスペクトル
を用いて算出することが好ましい。しかし、実際に各植
物について測定することは極めて困難なため、本発明の
方法で用いるP値は、ムギについてのスペクトルを利用
する。ムギのフィトクロムの赤色光吸収型スペクトルお
よび遠赤色光吸収型スペクトルは、 Photomorphogenesi
s in Plants, 2nd Edition. ( Ed. By R. E. Kendricka
nd G. H. M. Kronenberg) p.268, Kluwer Academic Pub
lishers. に記載されている。この文献に記載された数
値を用いて算出されるP値の基準値は2.11である。
したがって、この場合、P値が基準値の0.9倍以下と
はP値が1.9以下のことであり、また、P値が基準値
の1.1倍以上とはP値が2.3以上のことである。
算出したP値が基準値の0.9倍以下、あるいは、1.
1倍以上である被覆材料を用いて、対象植物を被覆して
育てることを特徴とする。P値が基準値より小さい材料
で被覆して植物を育てた場合、通常の光選択性をもたな
い被覆材料の場合と比較して、草丈、茎長、節間等の伸
長の促進、伸長促進に伴う単位体積あたりの葉緑素、ビ
タミン、蛋白質等の栄養素量の減少、開花の時期の促
進、等の現象がみられる。逆に、P値が基準値より大き
い材料で被覆して植物を育てた場合、草丈、茎長、節間
等の伸長の抑制による植物体の矮化、矮化に伴う単位体
積あたりの葉緑素、ビタミン、蛋白質等の栄養素量の増
加、抽だい抑制、開花時期の遅れ等の現象が見られる。
これらの効果は、P値が基準値の0.9倍以下、あるい
は、1.1倍以上の場合において、顕著に現れる。
たは光が入射してくる少なくとも一面以上を覆うことに
より、光を遮ることを指す。植物を栽培する上で常時被
覆することもできるし、ある一定期間のみを被覆した
り、あるいは一日の中でもある一定の時間のみを被覆す
ることもできる。本発明で光とは、自然光あるいは人工
光源をさす。すなわち、自然光を用いる点で、本願方法
はコスト的に有利であるが、人工光源を用いる場合にも
当然応用できる。更に反射光を利用することもできる。
すなわち、反射体を被覆材料の内あるいは外に置き、被
覆材料によって波長制御された反射光が植物体に当たる
ようにすることで成長制御を行うこともできる。
するためには、フィトクロムのPr型の吸収極大である
666nm付近に選択的に吸収あるいは反射を有する材
料を用いることが有効である。また、P値を大きくする
ためには、フィトクロムのPfr型の吸収極大である7
30nm付近に選択的に吸収あるいは反射を有する材料
を用いることが有効である。実用的には、それぞれの波
長に吸収を有する色素を被覆材料に含有させることが好
ましい。
しては、アントラキノン、ナフトキノン、フタロシアニ
ン等の青色、あるいはシアン色素が使用できる。また、
730nm付近に選択的に吸収を持つ色素としては、ア
ントラキノン、フタロシアニン、ナフタロシアニン、ス
クワリウム、アミニウム塩、ニッケルジチオール錯体等
の近赤外線吸収色素が使用できる。
特に限定されないが、通常の農業用被覆材料として用い
られているポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタク
リル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、酢
酸ビニル/エチレンの共重合体(EVA)、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリカーボネート等が好ましい。目
的に沿った選択吸収波長を有する色素をコーティングあ
るいは、練り込み等で含有させることで光選択性被覆材
料ができる。加工方法によって、板、フィルム、不織
布、ネット等の形態をとることができる。本発明で用い
る被覆材料に含有される色素量は、色素の種類、目的の
P値によって異なるが、通常、被覆材料1m2 当たり
0.01〜1gである。
樹脂によって、加工温度、フィルム化条件が多少異なる
が、通常、色素を基材樹脂の粉体またはペレットに添加
し、150〜350℃に加熱、溶解させた後、成形して
樹脂板が作製される。また、アクリルであれば、アクリ
ルモノマーに色素を添加し、熱重合によりキャスト成形
することができる。また、押出機によりフィルム化する
か、押出機により原反を作製し、30〜120℃で2〜
5倍に、1軸乃至2軸に延伸して10〜200μm厚の
フィルムにする。さらに、溶融キャスト法、カレンダー
法、インフレ法等を用いることもできる。なお、混練す
る際に紫外線吸収剤、可塑剤等の通常の樹脂成形に用い
る添加剤を加えてもよい。また、作製したフィルムを1
〜5mm程度の幅に細かく切断し、縦横に編み込んだ
り、そのまま熱溶着することで通気性をもつネットがで
きる。不織布は、色素を練り込んだ樹脂の粉体あるいは
ペレットを、通常のスパンボンド法、メルトブロー法等
の方法で作製できる。また、コーティングする場合は、
通常の方法で色素を塗料化して、色素を含有しない、透
明の板、フィルム、不織布、ネット等の表面に塗ること
ができる。
を示す植物としては、特に限定されるものではないが、
例えば、ウリ科、ナス科、マメ科、バラ科、アブラナ
科、キク科、セリ科、アカザ科、イネ科、アオイ科、ウ
コギ科、シソ科、ショウガ科、スイレン科、サトイモ科
の野菜、キク科、バラ科、サトイモ科、ナデシコ科、ア
ブラナ科、イソマツ科、リンドウ科、ゴマノハグサ科、
マメ科、アヤメ科、ナス科、ヒガンバナ科、ラン科、ミ
ズキ科、アカネ科、ヤナギ科、ツツジ科、モクセイ科、
モクレン科、サクラソウ科、シュウカイドウ科、シソ
科、フウロソウ科、ベンケイソウ科、キンポウゲ科、イ
ワタバコ科、サボテン科、シダ類、ウコギ科、クワ科、
ツユクサ科、パイナップル科、クズウコン科、トウダイ
クサ科、コショウ科、ユキノシタ科、アカバナ科、アオ
イ科、フトモモ科、ツバキ科、オシロイバナ科の切り花
類あるいは鉢物類の花卉、バラ科、ブドウ科、クワ科、
カキノキ科、ツツジ科、アケビ科、マタタビ科、トケイ
ソウ科、ミカン科、ウルシ科、パイナップル科、フトモ
モ科の果樹、藻類、茶類である。
ス、キャベツ、ゴマ、ピーマン、ナス、コマツナ、ミツ
バ、ホウレンソウ、カボチャ、スイカ、メロン、インゲ
ン、ブロッコリー、イチゴ、ミカン、ナシ、ブドウ、キ
ク、タマネギ、トマト、キンギョソウ、ポインセチア、
カーネーション、カスミソウ、バラ、スターチス、スト
ック、トルコギギョウ、洋ラン、シクラメン、インパチ
ュエンス、マリーゴールド、サルビア、リモニウム、デ
ルフィニウム、ラクスパー、ブルーレース、ホワイトレ
ース、ユリ、フリージア、アイリス、サクラソウ、ベゴ
ニア、シュンギク、フキ、ニラ、ネギ、アスパラガス、
セルリー、ダイコン、エンドウ、ビワ、茶等が挙げられ
る。
方法としては、該被覆材料で植物体の周囲全面、或いは
光が入射してくる少なくとも一面を覆うことができる方
法であれば特に限定されるものではないが、例えば、上
記の方法で作製した植物成長制御機能を有する樹脂板或
いはガラスを用いて、ガラス室、プラスチック室を作製
する方法、樹脂フィルムをパイプハウス、ビニルハウス
の外張りおよび/または内張りに用いる方法、トンネル
ハウスに用いる方法、マルチングフィルムに用いる方法
等がある。また、果樹の場合には果樹全体を被覆する以
外に枝の一本づつを被覆することも出来る。また、不織
布やネットとすることでベタガケ、内張りのカーテン、
寒冷紗等の代替材料とすることもできる。家庭園芸用に
は、園芸施設に用いる方法に準ずる方法、樹脂板で小型
のボックスを作って植木鉢にかぶせる方法等、適宜用い
ることが出来る。本願発明のP値が基準値の0.9倍以
下、あるいは、1.1倍以上の被覆材料を用いて、各種
苗の成長試験を行ったところ、自然光の場合と比較して
顕著に成長が制御された苗が得られた。
るが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。 実施例1 吸収波長の異なる下記の色素を含有するアクリル板−
A、B、D〜Fを、キャスト重合法により、それぞれ作
製した。また、比較材料として、色素を添加しない透明
板Cを作製した。なお、各々のアクリル板の光合成有効
光量子束(PPF)透過率は75%に調節した。光合成
有効光量子束(PPF)透過率は、島津製作所製分光光
度計(UV−3100にて測定した(標準の光D65基
準)。 A:MIR−348〔三井化学(株)製〕 B:MIR−350〔三井化学(株)製〕 D:HR−180〔三井化学(株)製〕 E:HR−181〔三井化学(株)製〕 F:HR−175〔三井化学(株)製〕 アクリル板のP値は、各々の板の光線透過率を測定し、
表−1(表1、2)に示すP値の計算ファクターを用
い、下記式(数1)で計算した。
る吸収強度 FR(λ):フィトクロムPfr型の各波長(λ)におけ
る吸収強度 T(λ) :光選択性被覆材料の各波長(λ)における
透過率〔島津製作所製分光光度計(UV−3100)に
て測定(標準の光D65基準〕
幅1750mm、奥行き850mmのグロースキャビネ
ットを6種類作製した(A−F)。なお、以下の栽培に
おいてはグロースキャビネットは屋外に置き、換気扇を
用い15.2m3 /分で通気を行ない、外気温と同じに
なるようにした。各々のグロースキャビネット中に、高
さ約3.8cmのヒマワリの苗7サンプルを入れ、11
日間栽培した。その後、それぞれのキャビネットの中の
ヒマワリの背丈を測定して、その平均値を求めた。その
結果を表−2(表3)に示した。また、背丈の経時変化
を(図1)に示した。P値が比較材料の2.1(C)よ
り大きな材料(D,F,E)で被覆した場合は、Cで被
覆した場合と比較して、葉の色も濃く、背丈が低くがっ
ちりした植物体となった。また、P値が2.1より小さ
い材料(A,B)で被覆した場合は、Cで被覆した場合
と比較して、葉の色が薄く、背が高いエレガントな植物
体となった。各々のアクリル板のP値と、その中で11
日間栽培したヒマワリの背丈の関係を(図2)に示した
ように、P値とヒマワリの背丈には良い相関関係がみら
れた。
により、P値が2.8(基準値の1.33)であるポリ
エチレンフィルムを作製した。これを用いて、実施例1
と同様のグロースキャビネットを作製し、同様にヒマワ
リの苗を育てたところ、11日後にはヒマワリの背丈は
15.8cmであり、Cの結果と比較して、葉の色も濃
く、がっちりした植物体となり、伸長抑制効果が認めら
れた。
リ以外の植物について、同様の試験を行い、表−3(表
4)の結果を得た。
リ以外の植物について同様の試験を行い、表−4(表
5)の結果を得た。
施例1と同様にして、P値が2.2(基準値の1.05
倍)を示すアクリル板を作製し、実施例1と同様の実験
を行ったところ、ヒマワリの背丈は色素を添加しないC
の場合と差は見られなかった。
施例1と同様にして、P値が2.0(基準値の0.95
倍)を示すアクリル板を作製し、実施例1と同様の実験
を行ったところ、ヒマワリの背丈は色素を添加しないC
の場合と差は見られなかった。
種子からではなく、健康な幼苗から栽培する場合が増加
しており、種苗生産においては、商品価値を高めるた
め、適切に苗を伸長させるよう制御することが求められ
ている。本発明は、前記のP値を用いて選択した特定の
被覆材料を用いることで、簡便に植物の成長制御を行
い、目的に応じて商品価値を高めることができる、極め
て重要かつ価値のある方法である。
たヒマワリの背丈の変化を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 下記式で表されるP値が基準値の0.9
倍以下である光選択性被覆材料で被覆して植物の成長を
促進させることを特徴とする植物の成長制御方法。 P=σr/σfr 〔式中、σrは植物細胞内に存在する光形態形成ホルモ
ン(フィトクロム)の赤色光吸収型(Pr)スペクトル
の各々の波長における吸収強度と、その波長に対応する
該被覆材料の透過スペクトル(標準の光D65を基準)
の透過率を乗じて積算した値であり、σfrはフィトク
ロムの遠赤色光吸収型(Pfr)スペクトルの各々の波
長における吸収強度と、その波長に対応する該被覆材料
の透過スペクトル(標準の光D65を基準)の透過率を
乗じて積算した値である〕 - 【請求項2】 下記式で表されるP値が基準値の1.1
倍以上である光選択性被覆材料で被覆して植物の成長を
抑制させることを特徴とする植物の成長制御方法。 P=σr/σfr 〔式中、σr、σfrは前記と同じ意味を表す〕 - 【請求項3】 P値が、ムギについて測定されたフィト
クロムの赤色光吸収型スペクトルおよび遠赤色光吸収型
スペクトルを基準として算出されることを特徴とする請
求項1または2記載の植物の成長制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21368798A JP2000041506A (ja) | 1998-07-29 | 1998-07-29 | 植物の成長制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21368798A JP2000041506A (ja) | 1998-07-29 | 1998-07-29 | 植物の成長制御方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000041506A true JP2000041506A (ja) | 2000-02-15 |
Family
ID=16643330
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21368798A Pending JP2000041506A (ja) | 1998-07-29 | 1998-07-29 | 植物の成長制御方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000041506A (ja) |
-
1998
- 1998-07-29 JP JP21368798A patent/JP2000041506A/ja active Pending
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