JPH09149735A - 分解性植物成長制御用被覆材料 - Google Patents

分解性植物成長制御用被覆材料

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JPH09149735A
JPH09149735A JP31192295A JP31192295A JPH09149735A JP H09149735 A JPH09149735 A JP H09149735A JP 31192295 A JP31192295 A JP 31192295A JP 31192295 A JP31192295 A JP 31192295A JP H09149735 A JPH09149735 A JP H09149735A
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JP
Japan
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degradable
photon flux
coating material
plant growth
growth
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Application number
JP31192295A
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English (en)
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Kazuhiro Kiyono
和浩 清野
Tatsu Oi
龍 大井
Hiroko Ishihara
裕子 石原
Hiroshi Minazu
宏 水津
Shuhei Imon
修平 井門
Hirosuke Takuma
啓輔 詫摩
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 光を透過させたときの光合成有効光量子
束(PPF)透過率が50%以上で、かつ、下記式で表
されるA値が0.9以下である、分解性を有することを
特徴とする植物成長促進用被覆材料。 A=R/Fr (式中、Rは600〜700nmの赤色光の光量子束で
あり、Frは700〜800nmの遠赤色光の光量子束
である。) 【効果】 簡便に植物の成長を制御でき、かつ、廃棄後
は速やかに分解し、回収、焼却等の労力を必要としない
被覆材料を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物の成長を促進
または抑制することができ、廃棄後は土中で速やかに分
解し、かつ無害となる分解性のある被覆材料に関するも
のであり、施設園芸において極めて価値のあるものであ
る。
【0002】
【従来の技術】施設園芸に用いられる被覆材の第1目的
は、外気と温室の間の放射と対流による熱損失を抑える
ことにより、温度環境や栽培時期を調節し、栽培期間の
短縮、栽培回数の増大、生産の促進などを図ることであ
る。また、降雨の遮断による農薬、肥料などの温室外へ
の移動の抑制、CO2 施肥等も目的の一つである。今
日、種苗生産施設で生産された苗は一般に徒長ぎみであ
り、矮化した頑丈な苗が望まれている。またその反面、
植物の成長促進による早収、初期収量の増加等の期待も
大きい。花卉栽培においては軸の長い花が切り花として
珍重され、一方、鉢ものの場合は矮化した大輪の花が望
まれるなどの傾向もみられる。また、果樹栽培では、植
物体の矮化は作業性の向上のための大きな課題であり、
接ぎ木苗の場合、ロボットによる切断では節間の均一化
が問題となっている。このように、植物の成長制御は商
品価値を左右するが、現在、これらの調節は、力学的抑
制(整枝剪定)や、ホルモン剤等の薬品による化学的調
節によって行われている。しかし、整枝剪定には多大な
労力を要するし、ホルモン剤等の薬品を用いた場合で
は、安全性への危惧および今日の自然食指向の点から
も、より適切な方法が望まれている。
【0003】ところで、遠赤色光が多い光環境では、植
物の伸長成長を促進することは従来から知られており、
近年、人工光環境においてR/Fr(Rは600〜70
0nmの赤色光の光量子束、Frは700〜800nm
の遠赤色光の光量子束)比を制御することにより、植物
の伸長成長の制御が実証されている(村上ら、生物環境
調節,30巻4号,135〜141ページ,1992
年)。しかし、人工光源を用いるこれらの方法は、多大
の設備費及び電力費等の運転費用が必要であり、実用的
ではない。また、特開平5−233362号では、特定
波長を吸収する色素を用いた被覆材料により、太陽光等
の光の赤色光と遠赤色光の光量子束の比率をコントロー
ルすることにより、植物の光形態形成を制御し、植物の
成長を制御する被覆材料が提案されている。しかし、こ
れらの被覆材料は、安価、かつ、取扱いが容易ではある
が、数年間使用した後に通常廃棄される際、全くといっ
てよい程、分解性を有していないため、その処理に問題
がある。現在では、ゴミ問題、環境保護運動の高まり等
を考慮し、廃棄後は自然界で速やかに分解し、かつ無害
となる植物成長制御用の被覆材料が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、自然光(太
陽光)を利用した取り扱いが容易で、廃棄後は自然界に
おいて分解し、かつ、無害となる植物成長制御用の被覆
材料を提供しようとするものである。
【0005】
〔式中、Rは600〜700nmの赤色光の光量子束であり、Frは700〜800nmの遠赤色光の光量子束である。〕
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の被覆材料は、植物の成長
を制御し、かつ、使用後は自然界において速やかに分解
することを特徴とする植物成長制御用被覆材料である。
本発明の被覆材料とは、色素を分解性高分子樹脂中に分
散あるいは溶解した分解性樹脂フィルムまたは樹脂板、
或いは色素をインク化し塗布した分解性フィルムまたは
樹脂板、或いは色素を含有またはコーティングした分解
性樹脂フィルムを別の分解性樹脂フィルムまたは樹脂板
に貼り合わせたもの、或いは色素を含有した接着剤で分
解性樹脂フィルムまたは樹脂板を別の分解性樹脂フィル
ムまたは樹脂板に貼り合わせたもののいずれかであっ
て、光を透過させた時の光合成有効光量子束(PPF)
透過率が50%以上で、かつ、A値が0.9以下もしく
は1.3以上を示すものであればよい。
【0007】A値が0.9以下を示すように調節した場
合、植物の成長を促進させることができ、A値が1.3
以上を示すように調節した場合、植物の成長を抑制させ
ることができる。本発明において、A値を0.9以下に
調節するためには、600〜700nmの間に吸収極大
を有する色素を使用し、A値を1.3以上に調節するた
めには、700〜900nmの間に吸収極大を有する色
素を使用する。
【0008】植物成長促進用の被覆材料の更に好ましい
A値は0.7以下であり、植物成長抑制用の場合の好ま
しいA値は1.5以上である。また、いずれの場合も、
コントロール波長以外の光の透過率はできるだけ高いも
のが好ましく、400〜700nmの光合成有効光量子
束(PPF)透過率は、50%以上が好ましく、さらに
好ましくは65%以上である。50%以下では、植物の
光合成が阻害され、葉緑素が少ない未成熟な植物体とな
る。
【0009】本発明における分解性とは、樹脂類が、自
然界において微生物の関与により、環境に悪影響を与え
ない低分子化合物に分解されることを意味する。また、
植物の成長促進とは、草丈、茎長、節間等の伸長の促
進、側枝の成長の促進等を意味し、植物の成長抑制と
は、草丈、茎長、節間等の伸長の抑制による植物体の矮
化、側枝の成長の抑制等を意味する。さらに、矮化と
は、植物の茎や枝が太く頑丈になり、雨、風等の悪条件
に対して強くなるとともに葉の葉緑素が増し、単位面積
当たりの葉緑素、ビタミン等の栄養素量が増加すること
をいう。さらに、被覆とは、植物体の周囲全面、または
光が入射してくる少なくとも一面以上で光を遮ることを
いう。光とは、自然光、或いは人工光源を指す。即ち、
自然光を用いる点で、本願方法はコスト的に有利である
が、当然人工光源を用いる場合にも応用できる。
【0010】本発明で用いる分解性高分子樹脂として
は、樹脂フィルムまたは樹脂板にした場合に、できるだ
け透明性の高く、かつ、廃棄後は自然界において速やか
に環境を汚染することなく分解するものが好ましい。こ
れらの分解性樹脂の重量平均分子量は、用いる樹脂によ
り異なるが、実用的な強度を持たせるためには、好まし
くは5万以上、より好ましくは10万以上である。ま
た、100万を超えると成形が難しくなるため、それ以
下が望ましい。具体例としては、ポリ乳酸、ポリグリコ
リド、ポリラクチド、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネ
ート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−4−ヒ
ドロキシブチレート、ポリエチレンサクシネート、ポリ
ブチレンサクシネート、ポリ−3−ヒドロキシオクタネ
ート、ポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステル、エ
チレングリコール、1、4−ブタンジオール、トリメチ
ロールプロパン、グリセリン等の多価アルコールと、コ
ハク酸、アジピン酸、セバシン酸、プロパントリカルボ
ン酸等の多価カルボン酸からなる脂肪族ポリエステル、
およびそれらの共重合体、または、セルロース、ヘミセ
ルロース、リグノセルロース、バクテリアセルロース、
アセチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース
繊維を含む分解性樹脂等、さらにはそれらを含有するこ
とにより分解性を有する樹脂を挙げることが出来るが、
これらの樹脂に限定されるものではない。
【0011】A値を0.9以下に調節するために添加剤
として用いる600〜700nmの間に吸収極大を有す
る代表的な色素としては、下記(化1)の色素を例とし
て挙げられるが、これらの色素に限定されるものではな
い。
【0012】
【化1】
【0013】一方、A値を1.3以上に調節するために
添加剤として用いる700〜900nmの間の波長に吸
収極大を有する代表的な色素としては、下記(化2)の
色素を例として挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。
【0014】
【化2】
【0015】本願発明の分解性被覆材料の作製方法とし
ては、用いる分解性樹脂によって、加工温度、フィルム
化条件等が多少異なるが、通常、色素を、ベース樹脂の
粉体或いはペレットに添加し、150〜350℃に加
熱、溶解させた後、成形して樹脂板を作製するか、或い
は、押し出し機によりフィルム化するか、或いは押し出
し機により原反を作製し、30〜120℃で2〜5倍
に、1軸乃至は2軸に延伸して10〜200μm厚のフ
ィルムにする方法で得られる。なお、混練する際に、紫
外線吸収剤、可塑剤等の通常の樹脂成形に用いる添加剤
を加えてもよい。色素の添加量は、作製する樹脂の厚
み、色素の種類、目的の吸収強度、目的のPPF透過率
等によって異なるが、通常、1ppm〜1%である。
【0016】また、前記色素を分解性バインダー樹脂及
び有機系溶媒に溶解させることにより得られる塗料を、
分解性樹脂板、または分解性樹脂フィルム等の上にバー
コーダー、ブレードコーター、スピンコーター、リバー
スコーター、ダイコーター、或いはスプレー等でコーテ
ィング、或いは、キャスティングすることにより作製す
ることもできる。これらのコーティング面を保護するた
めに保護層を設けたり、透明樹脂板、透明樹脂フィルム
等をコーティング面に貼り合わせることもできる。これ
らの塗料の色素濃度は、コーティングの厚み、目的の吸
収強度、目的のPF透過率等によって異なるが、分解性
バインダー樹脂の重量に対して、通常、0.1〜30%
である。また、バインダー樹脂濃度は、塗料全体に対し
て、通常、1〜50%である。塗料中には、紫外線吸収
剤、酸化防止剤等の通常塗料に用いるような添加物を加
えてもよい。
【0017】さらには、色素を接着剤に含有させて、分
解性樹脂を用いた合わせ樹脂板、合わせ樹脂フィルム等
を作製することもできる。この場合、接着剤として、一
般的なシリコン系、ウレタン系、アクリル系等の樹脂
用、或いはポリビニルブチラール接着剤(PVB)、エ
チレン−酢酸ビニル系接着剤(EVA)等の公知の透明
接着剤が使用できる。色素を0.1〜30%添加した接
着剤を用いて分解性の樹脂板同士、樹脂板と樹脂フィル
ム、樹脂フィルム同士を接着して分解性植物成長促進用
被覆材料を作製することもできる。
【0018】本願発明の対象植物としては、ウリ科、ナ
ス科、マメ科、バラ科、アブラナ科、キク科、セリ科、
アカザ科、イネ科、アオイ科、ウコギ科、シソ科、ショ
ウガ科、スイレン科、サトイモ科の野菜、キク科、バラ
科、サトイモ科、ナデシコ科、アブラナ科、イソマツ
科、リンドウ科、ゴマノハグサ科、マメ科、ボタン科、
アヤメ科、ナス科、ヒガンバナ科、ラン科、リュウゼツ
ラン科、ミズキ科、アカネ科、ヤナギ科、ツツジ科、モ
クセイ科、モクレン科、サクラソウ科、シュウカイドウ
科、シソ科、フウロソウ科、ベンケイソウ科、キンポウ
ゲ科、イワタバコ科、サボテン科、シダ類、ウコギ科、
クワ科、ツユクサ科、パイナップル科、クズウコン科、
トウダイクサ科、コショウ科、タカトウダイ科、ユキノ
シタ科、アカバナ科、アオイ科、フトモモ科、ツバキ
科、オシロイバナ科の切り花類あるいは鉢物類の花卉、
バラ科、ブドウ科、クワ科、カキノキ科、ツツジ科、ア
ケビ科、マタタビ科、トケイソウ科、ミカン科、ウルシ
科、パイナップル科、フトモモ科の果樹、藻類が挙げら
れる。
【0019】さらに詳しく例示するならば、キュウリ、
メロン、カボチャ、ニガウリ、ズッキーニ、スイカ、シ
ロウリ、トウガン、ヘチマ、キンシウリ、トマト、ピー
マン、トウガラシ、ナス、ペピーノ、シシトウ、エンド
ウ、インゲンマメ、ササゲ、エダマメ、ソラマメ、シカ
クマメ、サヤエンドウ、サヤインゲン、フジマメ、イチ
ゴ、トウモロコシ、オクラ、ブロッコリー、カイワレダ
イコン、クレソン、コマツナ、ツケナ、レタス、フキ、
シュンギク、食用ギク、セルリー、パセリー、ミツバ、
セリ、ネギ、ワケギ、ニラ、アスパラガス、ホウレンソ
ウ、オカヒジキ、ウド、シソ、ショウガ、ダイコン、カ
ブ、ワサビ、ラディシュ、ルタバカ、コカブ、ニンニ
ク、ラッキョウ、レンコン、サトイモ等の野菜、アスタ
ー、ローダンセ、アザミ、ナデシコ、ストック、ハナ
ナ、スターチス、トルコキキョウ、キンギョソウ、スィ
ートピー、ハナショウブ、キク、リアトリス、ガーベ
ラ、マーガレット、ミヤコワスレ、シャスターデージ
ー、カーネーション、シュツコンカスミソウ、リンド
ウ、シャクヤク、ホウズキ、リオン、ダリア、カラー、
グラジオラス、アイリス、フリージア、チューリップ、
スイセン、アマリリス、シンビジューム、ドラセナ、バ
ラ、ボケ、サクラ、モモ、ウメ、コデマリ、キイチゴ、
ナナカマド、ミズキ、サンシュ、サンダンカ、ブルバデ
ィア、ヤナギ、ツツジ類、レンギョウ、モクレン、シラ
ネリア、ディモルホセカ、プリムラ、ペチュニア、ベゴ
ニア、リンドウ、コリウス、ゼラニュウム、ペラルゴニ
ューム、
【0020】ロケヤ、アンスリューム、クレマチス、ス
ズラン、セントポーリア、シクラメン、ラナンキュラ
ス、グロキシニア、デンドロビューム、カトレア、ファ
レノプシス、バンダ、エビデンドラム、オンシジウム、
シャコバサボテン、カニバサボテン、クジャクサボテ
ン、カランコエ、ネフロレピス、アジアンタム、タニワ
タリ、ポトス、ディフェンバキヤ、スパティフラム、シ
ンゴニューム、オリヅルラン、シエフレラ、ヘデラ、ゴ
ムノキ、ドラセナ、コルジリネ、ブライダルベール、ア
ナナス類、カラテヤ、クロトン、ペペロミヤ、ポインセ
チア、ハイドランジア、フクシア、ハイビスカス、ガー
デニア、ギョリュウバイ、ツバキ、ブーゲンビレア、ボ
タン等の花卉、ニホンナシ、モモ、オウトウ、スモモ、
リンゴ、プルーン、ネクタリン、アンズ、ラズベリー、
ウメ、ブドウ、イチジク、カキ、ブルーベリー、アケ
ビ、キウィフルーツ、パッションフルーツ、ビワ、ウン
シュウミカン、マーコレット、レモン、ユズ、仏手柑、
ハッサク、ブンタン、花ユズ、キンカン、セミノール、
イヨカン、ネーブルオレンジ、アンコール、ノバ、日向
夏、ライム、スダチ、カボス、晩白柚、タンカン、マン
ゴー、パインアップル、グアバ等の果樹、或いは藻類で
ある。
【0021】本発明における被覆成形物としては、特に
制限されないが、例えば、本発明の分解性樹脂フィルム
あるいは樹脂板を使ったハウス型、鉢物や水槽を入れる
小型のボックス型、或いは、上から被せる傘のようなも
の等が挙げられる。本発明の分解性植物成長制御用被覆
材料を園芸施設に用いる方法としては、色素を含有、或
いはコーティングした分解性樹脂フィルムを、パイプハ
ウス、ビニルハウスの外張りに用いる方法、ガラス室、
パイプハウス、ビニルハウスの内張りに用いる方法、園
芸用ベッドの上に被せる方法、トンネルハウスに用いる
方法、マルチングフィルムに用いる方法、果樹の少なく
とも一本以上を被覆する方法、果樹の枝を一本ずつ被覆
する方法等、適宜用いることが出来る。家庭用園芸施設
に用いる方法としては、前記の園芸施設に用いる方法に
準ずる方法、植木鉢またはプランターを少なくとも一つ
以上被覆する方法等、適宜用いることが出来る。観賞魚
類の水槽用に用いる方法としては、水槽全体を被覆する
方法、水槽の構成材料として本被覆材料を用いる方法
等、適宜用いることが出来る。
【0022】光を透過させたときの光合成有効光量子束
(PPF)透過率が50%以上で、かつ、A値が0.9
以下の被覆材料を用いた場合について、ヒマワリなどの
苗を用いて茎伸長成長試験を行ったところ、自然光に比
較して成長速度が促進され、一方、光を透過させたとき
の光合成有効光量子束(PPF)透過率が50%以上
で、かつ、A値が1.3以上の被覆材料を用いた場合に
は、顕著に矮化した頑丈な苗が得られた。
【0023】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。実施例中の「部」は重量部を示す。なお、本発明の
被覆材料における、600〜700nm、700〜80
0nmの透過率、RおよびFrは、定法に従い(株)島
津製作所製分光光度計UVー3100にて、積分球を用
いて、透過率を測定後、各波長における標準光源D65
の光量子パラメーターをかけて算出した。また、この樹
脂の分解性試験の評価は、フィルム、或いは樹脂板を農
地から採取した土中に埋め、十分な湿度の下、6ヶ月間
放置した後、その形状および、引っ張り試験で判断し
た。
【0024】実施例1 下記式(3)(化3)で示されるフタロシアニン色素
7.5部およびポリ乳酸とポリブチレンサクシネートの
重量組成比90/10の平均分子量12万の分解性コポ
リマー5000部をクロロホルム40000部に溶解さ
せ、キャストし、厚み70ミクロンの分解性着色樹脂フ
ィルムを作製した。本分解性樹脂フィルムの光合成有効
光量子束(PPF)透過率は81.4%であり、A値は
2.31であった。
【0025】
【化3】 このフィルムを用いてハウスを作製し、換気扇を用い通
気を行ない、外気温と同じになるようにした。本ハウス
中に高さ約5cmのヒマワリの苗10サンプルを入れ、
14日間栽培したところ、植物高は14.1±0.6c
m、茎長は11.3±0.5cmおよび第1節間長が
7.2±0.6cmと矮化して頑丈な植物体となった。
また、このフィルムの分解性試験を行った結果、元の形
状を残さないほど分解し、引っ張り強度は著しく低下
し、測定できなかった。
【0026】比較のため、同時に、色素を含まない分解
性樹脂フィルムに寒冷紗をかけて、光合成有効光量子束
(PPF)透過率を80.2%(A値は1.09)にし
たものを用いた以外他は全く同じ条件で栽培したとこ
ろ、植物高は18.2±0.7cm、茎長は15.2±
0.9cmおよび第1節間長が11.2±0.8cmで
あり、本願被覆材料を用いた場合の成長抑制効果が認め
られた。さらに、比較のため、同じ色素を練り込んだ農
ビフィルムを同様に土中で分解性試験を行ったところ、
フィルム形状を保ったままで、全く分解していなかっ
た。 実施例2 実施例1の色素の代わりに下記式(4)(化4)で示さ
れるアントラキノン色素10.9部を用いて、実施例1
と同様にして分解性着色樹脂フィルムを得た。本樹脂フ
ィルムの光合成有効光量子束(PPF)透過率は78.
2%であり、A値は0.82であった。
【0027】
【化4】 本樹脂フィルムを用いて実施例1と全く同様にしてヒマ
ワリの栽培を行ったところ、植物高は24.4±0.8
cm、茎長は21.8±0.8cmおよび第1節間長が
15.1±0.6cmとなった。このことより、A値が
0.82の被覆材料を用いた場合の成長促進効果が見ら
れた。また、このフィルムの分解性試験を行った結果、
元の形状を残さないほど分解し、引っ張り強度は著しく
低下し、測定できなかった。比較のため、同じ色素を練
り込んだ農ビフィルムを同様に土中で分解性試験を行っ
たところ、フィルム形状を保ったままで、全く分解して
いなかった。
【0028】実施例3 式(5)(化5)で示される色素15部を平均分子量1
5万のポリ乳酸コポリマー5000部に240℃で溶解
押し出し、キャストした後、120℃で延伸し、厚さ1
00ミクロンの分解性着色樹脂フィルムを作製した。本
樹脂フィルムの光合成有効光量子束(PPF)透過率は
75.6%であり、A値は1.45であった。
【0029】
【化5】 これを用いて実施例1と同様にして、ヒマワリの栽培を
行ったところ、植物高は13.8±1.3cm、茎長は
10.9±0.9cmおよび第1節間長が7.0±0.
7cmであった。また、このフィルムの分解性試験を行
った結果、元の形状を残さないほど分解し、引っ張り強
度は著しく低下し、測定できなかった。
【0030】比較のため、色素を含まないフィルムに寒
冷紗をかけて、光合成有効光量子束(PPF)透過率を
75.0%(A値は1.10)にしたものを用いて全く
同じ条件で栽培したところ、植物高は17.9±0.9
cm、茎長は15.0±0.8cmおよび第1節間長が
10.7±0.9cmであった。このことより、A値が
1.45の被覆材料を用いた場合の成長抑制効果認めら
れた。さらに、比較のため、同じ色素を練り込んだ農ビ
フィルムを同様に土中で分解性試験を行ったところ、フ
ィルム形状を保ったままで、全く分解していなかった。
【0031】実施例4 実施例3の樹脂の代わりに平均分子量14万のポリブチ
レンサクシネート5000部を用いて実施例3と同様に
して分解性着色樹脂フィルムを得た。本樹脂フィルムの
光合成有効光量子束(PPF)透過率は67.2%であ
り、A値は1.66であった。これを用いて実施例1と
同様にして、ヒマワリの栽培を行ったところ、植物高は
15.2±1.2cm、茎長は12.4±0.8cmお
よび第1節間長が7.6±0.7cmであった。また、
このフィルムの分解性試験を行った結果、元の形状を残
さないほど分解し、引っ張り強度は著しく低下し、測定
できなかった。
【0032】比較のため、色素を含まないフィルムに寒
冷紗をかけて、光合成有効光量子束(PPF)透過率を
66.0%(A値は1.10)にしたものを用いて全く
同じ条件で栽培したところ、植物高は19.3±0.9
cm、茎長は16.1±0.7cmおよび第1節間長が
12.5±0.8cmであった。さらに、比較のために
同じ色素を練り込んだ農ビフィルムを同様に土中で分解
性試験を行ったところ、フィルム形状を保ったままで、
全く分解していなかった。 実施例5 式(3)(化3)で示されるフタロシアニン色素4.7
部および平均分子量10万のポリ乳酸100000部を
250℃で溶融混練して厚み3mm、幅1mになる押し
出し成形機を用いて分解性着色樹脂板を得た。本樹脂板
の光合成有効光量子束(PPF)透過率は71.9%で
あり、A値は2.60であった。本樹脂板を用いて、高
さ650mm、幅1750mm、奥行き850mmのグ
ロースキャビネットを作製し、換気扇を用い通気し、外
気温と同じになるようにした。本グロースキャビネット
中に高さ約5cmのヒマワリの苗10サンプルを入れ、
14日間栽培したところ、植物高は15.3±0.5c
m、茎長は12.8±0.6cmおよび第1節間長が
7.7±0.7cmであった。また、この樹脂板の分解
性試験を行った結果、元の形状を残さないほど分解し、
引っ張り強度は著しく低下していた。
【0033】比較のため、同時に色素を含まない分解性
樹脂板に寒冷紗をかけて、光合成有効光量子束(PP
F)透過率を75.0%(A値は1.09)にしたもの
を用いた以外他は全く同じ条件で栽培したところ、植物
高は18.2±0.6cm、茎長は15.6±0.7c
mおよび第1節間長が12.2±0.7cmであった。
このことより、本分解性着色樹脂板の成長抑制効果が見
られた。さらに、比較のため、同じ色素を練り込んだア
クリル樹脂板を同様に土中で分解性試験を行ったとこ
ろ、樹脂板形状を保ったままで、全く分解していなかっ
た。
【0034】
【発明の効果】近年、農業の合理化の観点から、栽培は
種子からではなく健康な幼苗から栽培する場合が増加し
ている。種苗生産においては、適切に苗を伸長させるよ
う制御することが商品価値を高めるので、本発明は種苗
生産工場における伸長制御上、きわめて重要かつ価値の
あるものである。本発明の分解性樹脂フィルムは、植物
伸長調節の目的のためには安価で手間のかからない優れ
た被覆材料であるとともに、廃棄後は土中で速やかに分
解することから、環境問題にも配慮した非常に価値の高
いものである。
フロントページの続き (72)発明者 水津 宏 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 井門 修平 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井東圧化学株式会社内 (72)発明者 詫摩 啓輔 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光を透過させたときの光合成有効光量子
    束(PPF)透過率が50%以上で、かつ、下記式で表
    されるA値が0.9以下である、分解性を有することを
    特徴とする分解性植物成長促進用被覆材料。 A=R/Fr (式中、Rは600〜700nmの赤色光の光量子束で
    あり、Frは700〜800nmの遠赤色光の光量子束
    である。)
  2. 【請求項2】 植物成長抑制用被覆材料が、600〜7
    00nmの間に極大吸収波長(λmax )を持つ青色色素
    を含有する分解性樹脂フィルム或いは樹脂板である請求
    項1記載の分解性植物成長促進用被覆材料。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の分解性植物成長促
    進用被覆材料を通して対象植物に光があたることを特徴
    とする植物成長促進用分解性被覆成形物。
  4. 【請求項4】 光を透過させたときの光合成有効光量子
    束(PPF)透過率が50%以上で、かつ、下記式で表
    されるA値が1.3以上である、分解性を有することを
    特徴とする分解性植物成長抑制用被覆材料。 A=R/Fr (式中、Rは600〜700nmの赤色光の光量子束で
    あり、Frは700〜800nmの遠赤色光の光量子束
    である。)
  5. 【請求項5】 植物成長抑制用被覆材料が、700〜9
    00nmの間に極大吸収波長(λmax )を持つ近赤外線
    吸収色素を含有する分解性樹脂フィルム或いは樹脂板で
    ある請求項4記載の分解性植物成長抑制用被覆材料。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5記載の分解性植物成長抑
    制用被覆材料を通して対象植物に光があたることを特徴
    とする植物成長抑制用分解性被覆成形物。
JP31192295A 1995-11-30 1995-11-30 分解性植物成長制御用被覆材料 Pending JPH09149735A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014019838A (ja) * 2012-07-23 2014-02-03 Yamada Chem Co Ltd 熱線遮蔽材料

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014019838A (ja) * 2012-07-23 2014-02-03 Yamada Chem Co Ltd 熱線遮蔽材料

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