JPH08312090A - 段型型枠を残置するコンクリート階段の施工方法と段型型枠 - Google Patents

段型型枠を残置するコンクリート階段の施工方法と段型型枠

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JPH08312090A
JPH08312090A JP7137526A JP13752695A JPH08312090A JP H08312090 A JPH08312090 A JP H08312090A JP 7137526 A JP7137526 A JP 7137526A JP 13752695 A JP13752695 A JP 13752695A JP H08312090 A JPH08312090 A JP H08312090A
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JP
Japan
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concrete
formwork
staircase
stairs
stair
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JP7137526A
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Inventor
Kikuji Nobuhara
暉久治 信原
Koji Fukuyori
孝二 福頼
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Fujita Corp
Original Assignee
Fujita Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンクリート階段の現場打設作業における型
枠形成作業の簡易化、及び脱型後の仕上げ作業の省略化
が図れるコンクリート階段の施工方法等の提供。 【構成】 型枠取付治具20の両端側のレベル調整可能
な治具支持部材22を階段設置場所の上下階に設置し
て、型枠取付治具20を掛け渡す。型枠取付治具20か
ら脱型時に切り離し可能に設けた階段状のガラス繊維入
り高流動コンクリート(GRC)製の段型型枠10を上
下階の階段傾斜に合わせて配置する。型枠取付治具20
から段型型枠10を貫通させた吊りボルト40で、段型
型枠10の裏側に配筋済みの階段裏形成用型枠30を対
面保持する。段型型枠10と階段裏形成用型枠30との
間に挟まれた部分の左右側面に堰板を設けて階段用打設
型枠を形成し、コンクリートを打設する。脱型時に段型
型枠10を型枠取付治具20から切り離して、段型型枠
10を打設成形後のコンクリート階段の階段表面として
残置する。堰板代わりに、コンクリート階段に接する壁
面を使用してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建物等のコンクリート
階段の施工方法及びそれに使用する型枠に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より建物の階段としては、コンクリ
ート階段或は鋼製の階段が使用されている。コンクリー
ト階段は、型枠を設置してコンクリートを現場打設する
方法が在来工法として知られている。しかし、小さな階
段では、プレキャストコンクリート(PC)製の工場製
品を建設現場へ搬入して据えつける工法も採用されてい
る。また、近年は作業に手間がかからない等の理由で鋼
製の階段を使用する方法も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】建物の階段としては、
上記のようにコンクリートの現場打設による在来工法を
使用したコンクリート階段、或はPC製のコンクリート
階段、又は鋼製の階段が使用されている。鋼製の階段
は、作業性がよく現場での手間がかからない等のため
に、最近は多く使用されている。しかし、鋼製階段では
通行者の足音が響くため、集合住宅等の生活通路となる
階段には不向きで、通常は屋外階段や非常用階段として
使用されている。一方、コンクリート階段は、足音が響
かないという点では鋼製の階段より優れているが、鋼製
の階段に比べて遥かにその作業性が悪い。
【0004】型枠を使用するコンクリート階段の在来工
法では、型枠として階段裏形成用に底板を階段傾斜に合
わせて設けたり、階段の左右側面部分に当る箇所に堰板
を設けたり、さらには階段の蹴込み及び踏面形成用にベ
ニヤ板等の堰板を階段状に段々に組み合わせたりしなけ
ればならない。そのため、在来工法ではかかる打設型枠
の組み付け自体に手間がかかり、かかる点がコンクリー
ト階段の施工期間を短縮できない要因の一つとされてい
た。さらに、在来の現場打設により形成されたコンクリ
ート階段では、コンクリート階段の成形表面が荒れてい
るので、打放しの状態でそのまま使用することはできな
かった。
【0005】そのため、在来工法では脱型時の型枠解体
後に、踏面等のモルタル仕上げが行なわれていた。さら
に、踏面の端部に滑り止め用のタイル等を設けたりする
作業もあり、結局脱型後でも種々の工種の作業が現場で
は必要となり、脱型後もコンクリート階段の仕上げ完了
まではかなりの日数がかかっていた。かかる点も、コン
クリート階段の施工期間の短縮を阻む要因の一つであ
る。また、かかるモルタル仕上げを施した場合には、モ
ルタルの収縮クラックのために、コンクリート下地から
のモルタルの浮きが発生し易いという問題点も指摘され
ている。
【0006】さらに、コンクリート階段の施工中は階段
部分を一時閉鎖しなけばならないが、階段は建設中でも
作業員や小物運搬の動線であるため、その施工期間が長
引くとその分工事全体の作業効率にも悪影響を与えて好
ましくない。そのため、現場からは施工期間を短縮する
技術の開発が強く求められていた。工期間短縮という点
ではPC階段を使用する方法も考えられるが、しかし、
PC階段も大型になると大重量となり運搬据えつけが簡
単に行なえず、大きな階段施工には不向きである。そこ
で、本願発明は上記問題点に鑑み提案されたもので、コ
ンクリート階段の現場打設作業における型枠形成作業の
簡易化、及び脱型後の仕上げ作業の省略化が図れるコン
クリート階段の施工方法等を提供すること目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願発明は、建物の上下階に掛け渡すコンクリート
階段の施工方法において、型枠取付治具の両端側の治具
支持部材を前記上下階に設置することにより前記上下階
の間に型枠取付治具を掛け渡して、前記型枠取付治具の
下方に型枠取付治具から脱型時に切り離し可能に設けた
蹴込み及び踏面を有する階段状の段型型枠を前記上下階
の階段傾斜に合わせて配置し、前記型枠取付治具から段
型型枠を貫通させて伸ばした吊りボルトで、前記段型型
枠の裏側にコンクリート打設面側を対面させた階段裏形
成用型枠を保持し、さらに、前記段型型枠と階段裏形成
用型枠との間に挟まれた部分の左右側面に堰板を設けて
階段用打設型枠を形成するとともに、前記階段用打設型
枠内にコンクリートを打設し、脱型時に前記段型型枠を
型枠取付治具から切り離すとともに、段型型枠を打設成
形後のコンクリート階段の階段表面として残置する。
【0008】さらに、段型型枠の左右側面に設ける堰板
の少なくともいずれか一方の堰板の代わりに、施工しよ
うとするコンクリート階段の側面に接する施工場所の壁
面を堰板として用いる。また、治具支持部材を、レベル
調整用のジャッキとした。さらに段型型枠をガラス繊維
入り高流動コンクリート(GRC)で形成した。さらに
は、階段裏形成用型枠のコンクリート打設面側には、配
筋を施した。また、建物の上下階部分に掛け渡すコンク
リート階段用の打設型枠で階段の蹴込み及び踏面形成用
に使用する段型型枠において、前記段型型枠を蹴込み及
び踏面を階段状にガラス繊維入り高流動コンクリート
(GRC)で一体に形成するとともに、前記踏面の端部
に滑り止め用の溝或はタイルを設けた。
【0009】
【作用】本発明のコンクリート階段の施工方法では、階
段を掛け渡そうとする建物の上下階部分の間に型枠取付
治具を掛け渡し、脱型時に切り離し可能に型枠取付治具
に設けた段型型枠を、上下階の階段傾斜に合わせて配置
する。掛け渡しに際しては、型枠取付治具の両端側に設
けた治具支持部材を、前記上下階部分に設置して行な
う。型枠取付治具の両端側には、治具支持部材が設けら
れているので、段型型枠を設けた型枠取付治具の重量を
支えて上下階に安定設置できる。また、上記段型型枠
は、予め蹴込み及び踏面が階段状に形成されているの
で、現場で蹴込み及び踏面形成用に、例えばベニヤ板等
の堰板を階段状に組み合わせる手間が省ける。
【0010】上記要領で設けた段型型枠の裏側に階段裏
形成用型枠を対面させ、且つ段型型枠と階段裏形成用型
枠との間に挟まれた部分の側面に堰板を設ければ、階段
施工用の打設型枠が形成できる。この打設型枠にコンク
リートを打設すれば、そのまま上下階に通じる位置にコ
ンクリート階段を設けることができる。特に、型枠取付
治具の両端側に設けた治具支持部材をレベル調整用のジ
ッャキとすれば、上下階に据えたジャッキのレベル調整
を行なうことにより、現場状況に応じながら、型枠取付
治具に設けた段型型枠を階段傾斜に容易に合わせること
ができる。
【0011】また、階段裏形成用型枠を、型枠取付治具
から段型型枠を貫通させて伸ばした吊りボルトで、コン
クリート打設面側が段型型枠の裏側に対面するように保
持する。従来のような堰板を組み合わせた段型の段々状
の裏側に、階段裏形成用の底板を斜めに支持させる面倒
な作業がないため、階段裏形成用型枠の取り付けが簡単
に行なえる。さらに、吊りボルトは、踏面のボルト穴を
通して段型型枠を貫通するようにして伸ばしてあるの
で、この踏面のボルト穴が打設コンクリートの空気抜き
穴としても使用され、コンクリート打設が円滑に行なえ
る。尚、吊りボルトはある程度コンクリートが凝固した
時点で打設コンクリート部分から抜けばよいし、或は型
枠解体後階段部分から突出した部分だけ切断して残りを
そのままコンクリート内に埋め殺しにしてもよい。
【0012】さらに、特に階段裏形成用型枠のコンクリ
ート打設面側に、予め配筋を施しておけば、従来のよう
に施工現場で手間のかかる面倒な鉄筋の配筋を行なわず
に済み、その分現場作業の手間が省ける。また、コンク
リートを打設後は、脱型時に型枠取付治具から切り離し
て段型型枠を残置するため、階段表面に段型型枠を一体
に設けたコンクリート階段を形成することができる。段
型型枠の蹴込み及び踏面に、予めそのまま使用できるよ
うに仕上げ処理を施しておけば、脱型後のコンクリート
階段の仕上げ作業を省くことができる。
【0013】さらに、段型型枠の踏面端部に、溝或はタ
イル等の滑り止め用部材を予め設けておけば、コンクリ
ート階段施工後に踏面の段鼻部分での後作業をさらに省
くこともできる。特に、コンクリート階段の表面に残置
する段型型枠をガラス繊維入り高流動コンクリート(G
RC)で形成することにより、丈夫で平滑な蹴込み及び
踏面の表面形成ができるので、従来とは異なり脱型後の
モルタル等による左官仕上げが不要となる。さらには、
ガラス繊維入り高流動コンクリート(GRC)で形成す
ることにより、在来のコンクリートに比べ薄くしても強
度が維持できるため、段型型枠自体を軽くして、作業性
を良くすることができる。コンクリート階段を施工しよ
うとする場所の一方、或は左右両方にコンクリート階段
に接する壁が既に形成されている場合には、前記堰板の
一方又は両方の代わりに、コンクリート階段に接するよ
うに設けられた壁面を堰板として使用することができ
る。
【0014】
【実施例】先ず、本発明のコンクリート階段の施工方法
の概略を述べる。本発明の施工方法は、建物の上下階部
分が形成されている段階で、その上下階の間に、予め階
段状に形成された段型型枠10を脱型時に切り離し可能
に設けた型枠取付治具20を掛け渡す。掛け渡しに際し
て、段型型枠10が階段傾斜に合うように、型枠取付治
具20を掛け渡す。さらに、階段裏形成用型枠30を型
枠取付治具20から段型型枠10を貫通して伸ばした吊
りボルト40で、段型型枠10の裏側に対面するように
保持する。その後、段型型枠10と階段裏形成用型枠3
0とに挟まれた部分の左右側面に堰板を設けて打設型枠
を形成し、コンクリートを打設する。脱型時に段型型枠
10を型枠取付治具20から切り離して、表面に段型型
枠10を残置したコンクリート階段を施工するものであ
る。尚、堰板の代わりに、コンクリート階段に接するよ
うに予め施工場所に設けられた壁面を使用しても構わな
い。
【0015】本実施例では、上下階部分のコンクリート
床部分が未だ形成されていない状態で、且つ、施工しよ
うとするコンクリート階段の左右側面に接するように壁
面が既に設けられている施工場所で、コンクリート階段
を施工する場合について説明する。本実施例で使用する
段型型枠10は、ガラス繊維入り高流動コンクリート
(GRC)を使用して、図1に示すように、蹴込み11
及び踏面12が交互に段々状に、即ち階段状に形成され
ている。段型型枠10の巾は、本実施例では、段型型枠
10の蹴込み11及び踏面12の左右の側縁部分がコン
クリート階段の左右の壁面(図示せず)に、壁面を堰板
として使用できる程度に隙間なくちょうど接することが
できるように設定されている。
【0016】このようにして壁面を堰板代わりに使用す
ることにより、本実施例では、従来の型枠形成時の堰板
の取り付け、或は脱型時の堰板取り外し作業を省くこと
ができる。また、踏面12には、図2に示すように、左
右にそれぞれ1個ずつ段型型枠の取付穴13と、この段
型型枠10の取付穴13の内側に吊りボルト40挿通用
の少し大きめの穴14が二つ設けられている。さらに、
本実施例ではガラス繊維入り高流動コンクリート(GR
C)製の踏面12の端部に、図2(a)に示すように、
滑り止め用に溝15が予め設けられている。図2(b)
に示すように、段鼻タイル16を張るようにしても構わ
ない。このようにして、予め溝15等の滑り止め処置を
施しておけば、脱型後に改めて溝15等の滑り止め処置
を踏面の端部に施す必要がないため、現場作業の手間を
省くとともに、施工期間の短縮を図ることかできる。
【0017】また、本実施例で使用する型枠取付治具2
0は、図1、3(a)に示すように、階段傾斜に合わせ
た傾斜部分21aと、その一端側に連なる水平部分21
bとからなる一対の側桁部材21から形成され、その両
端側に治具支持部材22が設けられている。傾斜部分2
1aは、階段を掛け渡そうとする階段傾斜及びその長さ
に合わされている。また、治具支持部材22は、本実施
例ではレベル調整用のジャッキが使用されている。レベ
ル調整用ジャッキの垂直ボルト部分をねじ込み調整する
ことにより、型枠取付治具20全体の据えつけ高さ、及
び傾斜部分21aの傾斜角度の調節を行なって、型枠取
付治具20に設けた段型型枠10を階段傾斜に精確に合
わせられるようになっている。
【0018】本実施例で使用する治具支持部材22のレ
ベル調整用のジャッキの先端には、階上部分に安定設置
できるようにコンクリートブロックが設けられている。
さらに、一対の側桁部材21は、傾斜部分21aの長手
方向に沿って所定間隔に設けたL型鋼で所定の対面間隔
が保たれるようになっている。一対の側桁部材21の対
面間隔は、段型型枠10の巾より狭く設定されている。
傾斜部分21aの長手方向に沿って、本実施例では3か
所に、吊りボルト係止部材23が設けられている。ま
た、側桁部材21の傾斜部分21aの長手方向に沿った
下側には、上記段型型枠10を傾斜部分21aに切り離
し可能に取り付けるための取付部材24が設けられてい
る。
【0019】取付部材24は、踏面12の奥行きより少
し長めのL型鋼で形成され、側桁部材21の傾斜部分2
1aの下側から階段傾斜に沿って所定間隔離されて水平
に突出するように設けられている。取付部材24の取り
付け間隔は、上記段型型枠10を、型枠取付治具20の
傾斜部分21aに踏面12が水平になるように取り付け
られるように設定されている。また、取付部材24のL
型鋼は、L型鋼の一方の面が傾斜部分21aの内側に取
り付けられ、他方の面が段型型枠10の踏面12に接す
るように設けられている。踏面12のボルト用の取付穴
13を使用して、この取付部材24のL型鋼の面と踏面
12とがボルトで共締めできるようになっている。
【0020】このようにして、段型型枠10が型枠取付
治具20の斜面部分21aに踏面12が水平になるよう
に、取付部材24により取り付けられるようになってい
る。取付部材24と段型型枠10の踏面12とは、ボル
ト止めになっているので、後記するようにコンクリート
打設後の脱型時に、ボルトを外すことにより、段型型枠
10と型枠取付治具20とを簡単に切り離すことができ
る。本発明の施工方法では、上記要領で脱型時に切り離
し可能に段型型枠10が設けられた型枠取付治具20
を、上下階部分に治具支持部材22を立設設置して掛け
渡す。また、型枠取付治具20の掛け渡しに際しては、
本実施例では、治具支持部材22のレベル調整用のジャ
ッキの垂直ボルトのねじ込み調節によりレベル調整を必
要に応じて適宜行なう。
【0021】このようにして、段型型枠10を階段傾斜
に合わせるとともに、踏面12が水平になるようにし、
且つ段型型枠10の上下端部分が上下階の所定位置に来
るように調節する。尚、上下階に設置した治具支持部材
22は、本実施例では、コンクリートブロック上を適当
な部材(例えば、ウェス、或は発泡材等でも構わない)
を巻く等して逆円錐状にして堰を作り、後記するように
上下階の床コンクリートを打設した後に治具支持部材2
2が抜けるようにしておく。
【0022】一方、階段裏形成用型枠30は、本実施例
では、図3(b)に示すように、上下端の水平板状部分
30aの間を、コンクリート階段を施工しようとする階
段傾斜に合わせた傾斜平板部分30bで繋いだ形状に形
成されている。この傾斜平板部分30bのコンクリート
打設面側には、縦横に所定間隔でスペーサー31が設け
られ、この上に補強用の鉄筋32が配筋されている。そ
のため、かかる配筋を現場の打設型枠の形成時に行なわ
ないで済むため、現場作業の手間を省くことができる。
また、階段裏形成用型枠30の上記傾斜平板部分30b
には、図1に示すように、段型型枠10の裏側に面して
階段裏形成用型枠30を設けたときに、型枠取付治具2
0から伸ばした吊りボルト40の先端がねじ込めるよう
に、吊りボルト止め部分25が突設して設けられてい
る。
【0023】さらに、傾斜平板部分30bの打設面側の
裏側には、図1に示すように支え材が渡され、打設コン
クリートの重みで傾斜平板部分30bが歪まないように
なっている。本発明の施工方法では、かかる構成の階段
裏形成用型枠30を、前記の如く上下階に型枠取付治具
20を掛け渡した後、段型型枠10の裏側に打設面側が
面するようにしながら、型枠取付治具20から伸ばした
吊りボルト40の先端を、階段裏形成用型枠30の吊り
ボルト止め部分25にねじ込み、階段裏形成用型枠30
を保持する。この際、階段裏形成用型枠30の傾斜平板
部分30bの上下端側の水平板状部分30aは、打設コ
ンクリートが漏れないように上下階部分に密接させる。
また、水平板状部分30aを、上下階のコンクリート床
打設時の底板と面一となるように取り付ける。
【0024】また、本実施例では、上記要領で設けた段
型型枠10及び階段裏形成用型枠30の左右側面側は、
コンクリート階段の施工場所の左右壁面で塞がれている
ため、この壁面を堰板として使用することができる。こ
のようにして形成された、階段施工用打設型枠内にコン
クリートを打設する。打設コンクリートがある程度凝固
した時点で、型枠取付治具20の吊りボルト係止部材2
3に止められた吊りボルト40を回転させながら階段裏
形成用型枠30の吊りボルト止め部分25から外す。こ
のようにして、階段裏形成用型枠30を取り外す。その
後、型枠取付治具20の取付部材24のボルトを外し
て、取付部材24から段型型枠10を切り離す。
【0025】その後、型枠取付治具20の両端側の治具
支持部材22の逆円錐状に設けた堰を外すとともに、治
具支持部材22をコンクリート階段の打設と合わせて打
設したコンクリート床部分から抜いて、型枠取付治具2
0を外す。段型型枠10はそのままコンクリート階段の
階段表面に残置する。このようにして、脱型時に段型型
枠10を残置することにより、段型型枠10を階段表面
として使用するコンクリート階段が施工できる。かかる
コンクリート階段は、従来のようにモルタル等の左官仕
上げが不要で、脱型後からすぐに使用ができる。また、
踏面12の吊りボルト40を挿通した穴14、及び型枠
取付治具20の取付部材24を取り付けるための取付穴
13、さらに治具支持部材22を抜いた穴は、補修材で
簡単に穴塞ぎすればよい。
【0026】本実施例では、上下階の床部分のコンクリ
ート打設に合わせるようにしてコンクリート階段を形成
する場合を説明したが、上下階のコンクリート床部分が
既に形成されている場合でも、本実施例と同様にして行
なえる。この場合は、床面上に治具支持部材22を設置
すればよく、その他は上記実施例で述べた要領で階段施
工用打設型枠を形成してコンクリート打設を行なえばよ
い。また、本実施例では、コンクリート階段を挟むよう
に予め左右の側壁が形成されている空間に、その側壁部
分を堰板として使用できるようにして段型型枠等を設け
た場合を示したが、左右の側壁部分或は一方の側壁部分
が形成されていない場合には、適宜堰板を段型型枠と階
段裏形成用型枠とに挟まれた部分の側面に設けて打設型
枠を形成すればよい。打設型枠の形成後は、上記実施例
の要領で、段型型枠を残置するようにしてコンクリート
階段を施工すればよい。
【0027】また、本発明の方法では、蹴込みと踏面と
が交互に形成された階段状の段型型枠としたが、階段幅
員の左右、或は中央部分に適宜スロープ部分を設けた階
段形状にしても構わない。また、本実施例では、直線状
に階段を形成したが、例えば、建物内壁の円形側面に沿
ってループ状に、或は螺旋状に段型型枠を形成しても構
わない。また、本実施例では、階段裏形成用型枠を階段
裏を単一の傾斜面にするために平板状に形成したが、予
め円弧型の、いわゆるアーチ型に形成しておく等種々の
形状に形成しておけば、階段裏の形状を従来の現場での
型枠形成では行ないにくかった種々の形状に演出した階
段裏の形成が容易にできる。
【0028】上記実施例では、型枠取付治具の両端側に
設ける治具支持部材をレベル調整用のジャッキとした
が、上下階の治具支持部材設置場所のレベルを予め規定
しておき現場でのレベル調整不要にしておけば、治具支
持部材を一定高の型枠取付治具支持専用の固定式にし
て、レベル調整機能を持たせなくても構わない。吊りボ
ルトの脱型時の処理は、本実施例では抜く処置を取った
が、階段裏形成用型枠の吊りボルト止め部材を、階段裏
形成用型枠の裏側からナットを外す要領で外して、踏面
正面に突出した吊りボルトを切断処置しても構わない。
本実施例では、型枠取付治具を端に段型型枠を支持する
ように形成したが、階段の手すりを兼ねる形状に予め形
成して段型型枠に固定するようにしておけば、コンクリ
ート打設後そのまま手すり兼用の型枠取付治具を残置す
る構成の発明も考えられる。
【0029】上記実施例では、段型型枠をガラス繊維入
り高流動コンクリート(GRC)で形成したが、ガラス
繊維入り高流動コンクリート(GRC)以外のプレキャ
ストコンクリート製とし、段型型枠の蹴込み及び踏面に
予め仕上げ処理を施すようにしておいても基本的には構
わない。さらには、コンクリートへの結着性がよけれ
ば、段型型枠の素材は上記コンクリートに限らず、例え
ば金属、或は強化プラスチック等を使用しても基本的に
は構わない。また、上記実施例では、作業性を考慮して
段型型枠10を予め型枠取付治具20に取り付けてから
型枠取付治具20を上下階に掛け渡したが、基本的には
型枠取付治具20を上下階に掛け渡した後から、段型型
枠10を取り付けるようにしても構わない。
【0030】さらに、本発明の段型型枠は、上記実施例
以外でも、例えば在来工法における堰板の現場組み合わ
せの代わりにだけに使用することもでき、その他の型枠
組み立て施工及び脱型等は在来工法をそのまま適用して
も構わない。さらには、段型型枠をガラス繊維入り高流
動コンクリート(GRC)製にして脱型時にそのまま段
型型枠を残置するようにすれば、本発明の段型型枠を在
来工法の中に組み込んで、仕上げ不要の階段表面を有し
たコンクリート階段を施工することもできる。階段裏形
成用型枠のコンクリート打設面側に設ける配筋には、イ
ナズマ筋、スラブ筋等の従来の配筋が使用できる。ま
た、治具支持部材は、レベル調整用のジャッキ(ボル
ト)としたが、高さ調整が可能であれば、これ以の形式
でも基本的には構わない。
【0031】
【発明の効果】本発明のコンクリート階段の施工方法で
は、予め階段形状に形成された段型型枠を使用するた
め、堰板を現場で組み合わせて段型の型枠を形成する作
業を省くことができる。さらに、本方法では段型型枠を
脱型時に残置するため、プレキャスト製の、例えばガラ
ス繊維入り高流動コンクリート(GRC)で形成してお
けば、脱型後のコンクリート階段の左官仕上げを省くこ
とができる。特に、踏面の端部に滑り止め用の溝或はタ
イルを予め設けておけば、コンクリートを打放しにした
ままで仕上げ処理の不要なコンクリート階段を提供する
ことかできる。また、階段裏形成用型枠の支持も、型枠
取付治具からの吊りボルトを使用するため手間を掛けず
に容易に行なえ、従来のような段型の型枠の裏から支持
する等の面倒な現場作業を行なわずに済む。特に、階段
裏形成用型枠に配筋を施しておけば、従来のような手間
のかかる現場での配筋作業をも省くことができる。その
ため、上記諸点から、本発明の施工方法を使用すること
により、コンクリート階段の施工期間を従来よりも格段
に短縮できる。また、本発明では、従来とは異なり踏面
のモルタル仕上げを行なわないため、モルタルのクラッ
クによるモルタルの浮きを回避することもできる。さら
には、段型型枠及び階段裏形成用型枠は、予め現場以外
の場所で製造するできるため、現場作業では行なえない
十分な品質管理の下に、細かな作業、或は丁寧な作業を
行なうことができ、コンクリート階段の施工品質の向上
が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る打設型枠を上下階に設け
たときの側断面図。
【図2】本発明の実施例に係る踏面の平面図(a)、
(b)。
【図3】本発明の実施例に係る型枠取付治具の斜視図
(a)、及び階段裏形成用型枠の一実施例を示す斜視図
(b)。
【符号の説明】
10 段型型枠 11 蹴込み 12 踏面 20 型枠取付治具 22 治具支持部材 30 階段裏形成用型枠 40 吊りボルト

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建物の上下階に掛け渡すコンクリート階
    段の施工方法において、型枠取付治具の両端側の治具支
    持部材を前記上下階に設置することにより前記上下階の
    間に型枠取付治具を掛け渡して、前記型枠取付治具の下
    方に型枠取付治具から脱型時に切り離し可能に設けた蹴
    込み及び踏面を有する階段状の段型型枠を前記上下階の
    階段傾斜に合わせて配置し、前記型枠取付治具から段型
    型枠を貫通させて伸ばした吊りボルトで、前記段型型枠
    の裏側にコンクリート打設面側を対面させた階段裏形成
    用型枠を保持し、さらに、前記段型型枠と階段裏形成用
    型枠との間に挟まれた部分の左右側面に堰板を設けて階
    段施工用打設型枠を形成するとともに、前記階段施工用
    打設型枠内にコンクリートを打設し、脱型時に前記段型
    型枠を型枠取付治具から切り離すとともに、段型型枠を
    打設成形後のコンクリート階段の階段表面として残置す
    ることを特徴とする段型型枠を残置するコンクリート階
    段の施工方法。
  2. 【請求項2】 段型型枠の左右側面に設ける堰板の少な
    くともいずれか一方の堰板の代わりに、施工しようとす
    るコンクリート階段の側面に接する施工場所の壁面を堰
    板として用いることを特徴とする請求項1に記載の段型
    型枠を残置するコンクリート階段の施工方法。
  3. 【請求項3】 段型型枠がガラス繊維入り高流動コンク
    リート(GRC)で形成されていることを特徴とする請
    求項1又は2に記載の段型型枠を残置するコンクリート
    階段の施工方法。
  4. 【請求項4】 治具支持部材が、レベル調整用のジャッ
    キであることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の
    段型型枠を残置するコンクリート階段の施工方法。
  5. 【請求項5】 階段裏形成用型枠のコンクリート打設面
    側には、予め配筋がなされていることを特徴とする請求
    項1、2、3又は4に記載の段型型枠を残置するコンク
    リート階段の施工方法。
  6. 【請求項6】 建物の上下階部分に掛け渡すコンクリー
    ト階段用の打設型枠で階段の蹴込み及び踏面形成用に使
    用する段型型枠において、前記段型型枠が蹴込み及び踏
    面が階段状にガラス繊維入り高流動コンクリート(GR
    C)で一体に形成されているとともに、前記踏面の端部
    に滑り止め用の溝或はタイルが設けられていることを特
    徴とする段型型枠。
JP7137526A 1995-05-12 1995-05-12 段型型枠を残置するコンクリート階段の施工方法と段型型枠 Pending JPH08312090A (ja)

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