JPH08311294A - 射出成形用ポリオレフィン組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形時に色むらの生じない射出成形用ポリオ
レフィン組成物の提供。 【構成】 エチレン・プロピレンブロック共重合体、親
油性を有する特定のシラン系化合物で表面処理された親
油性を有する無機充填剤および多成分系顔料の夫々所定
量からなる射出成形用ポリオレフィン組成物。 【効果】 無処理の無機充填剤を使用した場合と比較し
て色むらのない成形品が得られた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はエチレン・プロピレン−
ブロック共重合体と特定の表面処理を施した無機充填
材、及び多成分系顔料を含有する射出成形用ポリオレフ
ィン組成物に関するものである。特に射出成形したとき
に成形品の外表面に発生する筋状の色むらの発生を防止
することができるポリオレフィン組成物である。

【０００２】

【従来の技術】エチレン・プロピレン−ブロック共重合
体に無機充填材を添加した材料は、強度、耐衝撃性等の
機械的特性や成形性が優れているため、自動車用途、家
電・雑貨用途等に広く使用されている。特に自動車用途
における大型成形品に関しては、無機充填材を添加する
ことが一般的である。

【０００３】ところがエチレン・プロピレン−ブロック
共重合体に無機充填材を添加した材料を通常一般的に用
いられる多成分系顔料で着色した場合、射出成形におい
て成形品の表面に無機充填材の偏在による筋状の色むら
が生じやすい。

【０００４】このような筋状の色むらは、ゲートを中心
として波紋状に発生するフローマークとは異なるもので
あり、フローマークが発生しないような射出成形条件例
えば射出樹脂の流速が遅い場合でも形成され、場合によ
ってはフローマークと筋状の色むらが同時に発生するこ
とがある。この筋状の色むらは成形品の製品価値に対し
て極めて重要な問題であり、特にその特性上エチレン・
プロピレン−ブロック共重合体に無機充填材を添加した
材料の適用される大型部品にあっては、筋状の色むらの
存在は極めて目立ちやすいため致命的である。

【０００５】従来このような筋状の色むらを防止するた
めに、エチレン・プロピレン−ブロック共重合体と鉄黒
を含有する多成分系顔料とからなるポリオレフィン組成
物（特公昭６２−１４５７６号公報）、プロピレン・α
−オレフィンブロック共重合体と変性ポリオレフィンと
からなる射出成形用ポリオレフィン組成物（特開平２−
４３２４３号広報及び特開平２−４３２４９号広報）、
及びエチレン・プロピレン−ブロック共重合体と、チャ
ンネルタイプカーボンブラックまたはファーネスタイプ
カーボンブラックを含有する黒色顔料とからなるポリプ
ロピレン着色組成物（特開平１−２２５６５５号広報及
び特開平１−２８４５４５号広報）が開示されている。
しかし、これらの特許は顔料による色むら防止に関する
ものであり、無機充填材の改質が色むら防止に効果があ
ることは開示されていない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、射出成
形に際して筋状の色むらの発生を防止することを目的に
射出成形用ポリオレフィン組成物について研究を重ね
た。その結果、一般的に使用される無機充填材におい
て、特定の表面処理を行った無機充填材を用いることに
よりこの筋状の色ムラを生じない射出成型用ポリオレフ
ィン組成物を得ることができ、この知見に基づいて本発
明を完成した。以上の記述から明らかなように、本発明
の目的は、上述の問題点が解決された射出成型用ポリオ
レフィン組成物を提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は以下の構成を有
する。 （１）エチレン・プロピレン−ブロック共重合体４８．
０〜９９．８重量％と親油性を有する表面処理無機充填
材０．１〜４５．０重量％、及び多成分系顔料０．１〜
７．０重量％とからなることを特徴とする射出成形用ポ
リオレフィン組成物。 （２）無機充填材に対し、０．１〜２０重量％のシラン
系化合物で表面処理してなる表面処理無機充填材を使用
する前記（１）項に記載の射出成形用ポリオレフィン組
成物。 （３）無機充填材として、タルク、クレー、シリカ、硫
酸バリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸カリウム、炭
酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ガラス繊維、ゼオラ
イト、金属粉、金属繊維、金属酸化物若しくは金属水酸
化物から選ばれた一以上のものを使用する前記（２）項
に記載の射出成形用ポリオレフィン組成物。

【０００８】本発明の構成と効果につき以下に詳述す
る。本発明のエチレン・プロピレン−ブロック共重合体
はエチレン含量が１〜５０重量％、プロピレン含量が９
９〜５０重量％のブロック共重合体である。本発明にお
けるブロック共重合体は前記エチレンまたはプロピレン
の一部が炭素数４乃至６のオレフィンに置き換えられた
ものであっても使用し得る。

【０００９】本発明において無機充填材の表面処理を行
うために用いられるシランカップリング剤は、有機官能
基の種類としてビニル基、アミノ基、クロロ基、エポキ
シ基、メルカプト基、メタクリロキシ基等を有し、分子
量が１４８〜２８０の範囲にある特定のシランカップリ
ング剤である。この特定のシランカップリング剤で表面
処理される無機充填材は、一般にポリオレフィンの無機
充填材として使用されているものであり特に制限はない
が、タルク、クレー、シリカ、硫酸バリウム、硫酸マグ
ネシウム、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸
カルシウム、ガラス繊維、ゼオライト、金属粉、金属繊
維、金属酸化物、もしくは金属水酸化物等がある。好ま
しくは、タルクを用いる。

【００１０】本発明で使用する多成分系顔料の種類には
格別の制限はない。すなわち、公知の（市販の）顔料で
あって２以上の顔料成分が調合されたものを用いること
ができる。該顔料の本発明の組成物への配合量は０．１
〜７．０重量％が好ましく、該配合量が０．１重量％未
満では着色効果に乏しく、７．０重量％を超えて添加し
ても格別の着色効果の向上はみられない。

【００１１】本発明の組成物には所望に応じて適当量例
えば０．１〜１０重量％の他の樹脂、あるいは分散剤、
酸化防止剤、滑剤等の添加剤を配合することができる。
即ち、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィ
ン、エチレン−プロピレンゴム、スチレン−ブタジエン
ゴム、ポリイソブチレン等のゴム成分、その他強化材、
及びその他の添加剤である。

【００１２】このように本発明の組成物に他の成分が配
合された場合でも、エチレン・プロピレン−ブロック共
重合体に対する無機充填材の配合比は前述の範囲で選ば
れる。

【００１３】本発明によるポリオレフィン樹脂組成物は
成形加工時の熱あるいはせん断力にも拘わらず、成形品
とした場合に均一な無機充填材の分散が得られ、色むら
現象を生じないので優れた外観を有する製品が得られ
る。

【００１４】

【実施例】

（実施例１）タルク１００重量％に対し、ビニル基を官
能基にもつシランカップリング剤（分子量１４８）を７
重量％の割合で配合し、ヘンシェルミキサー（商品名）
で攪拌、混合し表面処理を行った後、エチレン含有量１
５重量％、ＭＦＲ_230゜C ＝３０ｇ／１０分のエチレン・
プロピレン−ブロック共重合体と多成分系顔料を所定配
合比で添加し、再びヘンシェルミキサーにて攪拌、混合
する。その後、一軸押出機で造粒し着色ペレットを得
た。

【００１５】次に射出成形機を用いて１５０ｍｍ×１５
０ｍｍの板状成形品を作製し、筋状の色むらの発生状況
を目視にて観察した。結果は第１表に示す。

【００１６】（実施例２、比較例１〜２）第１表に示し
た組成で実施例１と同様に操作して成形品を作製し観察
した。結果は第１表に示す。

【００１７】

【表１】

【００１８】

【発明の効果】本発明の射出成型用ポリオレフィン組成
物は、エチレン・プロピレン−ブロック共重合体に特定
の表面処理を施した親油性を有する無機充填材を多成分
系顔料と併せて配合することにより成形品表面の筋状の
色むらを防止でき、外観の優れた射出成形品が得られ
る。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エチレン・プロピレン−ブロック共重合
   体４８．０〜９９．８重量％と親油性を有する表面処理
   無機充填材０．１〜４５．０重量％、及び多成分系顔料
   ０．１〜７．０重量％とからなることを特徴とする射出
   成形用ポリオレフィン組成物。
2. 【請求項２】 無機充填材に対し、０．１〜２０重量％
   のシラン系化合物で表面処理してなる表面処理無機充填
   材を使用する請求項第１項に記載の射出成形用ポリオレ
   フィン組成物。
3. 【請求項３】 無機充填材として、タルク、クレー、シ
   リカ、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸カリ
   ウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ガラス繊
   維、ゼオライト、金属粉、金属繊維、金属酸化物若しく
   は金属水酸化物から選ばれた一以上のものを使用する請
   求項第２項に記載の射出成形用ポリオレフィン組成物。