JPH08305847A - 目標物抽出用の画像データ処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】画像データの不連続性に起因するノイズの発生
を防止でき、有効データを広範囲に確保できる目標物抽
出用画像データ処理装置を提供する事。 【構成】２次元画像データを１ラインづつ逐次取り出
し、一連の１次元連続データとしてラインフィルタ処理
を行なったのち、２値化処理を行なうようにした目標物
抽出用の画像データ処理装置において、ラインフィルタ
４の前段にデータ順序変換部３を設け、このデータ順序
変換部３によって隣接するライン相互間の接続部分にお
けるデータ値に連続性をもたせる如く、取り込まれたデ
ータの順序を変換する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、可視カメラあるいは赤
外線カメラで撮像された画像データについて２値化処理
等を行なうことにより、目標物の抽出を行なう目標物抽
出用の画像データ処理装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】撮像された画像について、２値化処理を
施すことによって目標物を抽出する場合、その前処理と
して光学系ノイズ（カメラのレンズ系において光の多重
反射等により生ずるノイズ）を除去する必要がある。特
に赤外線カメラで撮像された赤外線画像の場合、図７の
（ａ）（ｂ）に示すように画像の周辺部に「シェーディ
ング（Ｓｈａｄｉｎｇ）ノイズ」と呼ばれる「画像の上
下左右に非対称な輝度ムラ」が現れるため、これを除去
する必要がある。このシェーディングノイズを除去する
手段として１次元のラインフィルタを用いる手段があ
る。

【０００３】図８の（ａ）は１次元ラインフィルタを備
えた従来のこの種の画像データ処理装置の構成を示すブ
ロック図である。図示の如く赤外線カメラ１で撮像され
た目標物を含む画像は、２次元画像データ（デジタルデ
ータ）として画像メモリ２へ一旦取り込まれる。画像メ
モリ２に取り込まれた２次元画像データは、１行づつ
（又は１列づつ）ラインフィルタ４に取り込まれる。ラ
インフィルタ４により処理されたデータは、再び画像メ
モリ６に２次元画像データとして格納される。この格納
された画像データは、次段の２値化処理部７において２
値化処理されたのち出力される。

【０００４】図８の（ｂ）（ｃ）は２次元画像データの
ラインフィルタ４への取り込み状況を示す図である。
（ｂ）に示すように２次元画像データがラインフィルタ
４へ取り込まれる時には、データは例えば水平方向に１
行づつ左から右へ（又は右から左へ）取り込まれる。こ
のような取り込みが行なわれると、ラインフィルタ４の
内部においては、（ｃ）に示すように一つの行の右端
（又は左端）のデータは、次の行の左端（又は右端）の
データと隣接するデータとなる。同様に、たて方向に一
列づつ取り込む場合は、上記の行と列、左を上（下）、
右を下（上）に置き換えたものとなる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記の如く構成された
画像データ処理装置においては、例えば撮像された赤外
線画像に図７の（ａ）（ｂ）に示すようなシェーディン
グノイズ（非対称輝度ムラ）が現われても、ラインフィ
ルタ４の作用により、上記ノイズを除去することができ
る。

【０００６】しかしながら、２次元画像データを１行づ
つ（又は１列づつ）順次取り出し、１次元連続データと
してラインフィルタ処理を行なうと、図８の（ｃ）に示
す如く画像の右端と左端（又は上端と下端）に相当する
データがデータ列上で隣接する箇所Ｋ１〜Ｋｎ−１にお
いて、データ値の不連続ポイントが現われる。

【０００７】図９の（ａ）はその一例を示している。こ
のようなデータの不連続ポイントを含む画像データか
ら、図９の（ｂ）に示す移動平均データを差引いたのち
２値化処理を行なうと、図９の（ｃ）に示すようにデー
タの不連続ポイントに起因するノイズが発生する場合が
ある。なお、このノイズを除去すべく２値化処理後の画
像データの左右端（又は上下端）を無効データとして削
除すると、有効データの範囲が狭くなるという問題が発
生する。

【０００８】本発明の目的は、画像データの不連続性に
起因するノイズの発生を防止でき、有効データを広範囲
に確保できる目標物抽出用の画像データ処理装置を提供
することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決し目的を
達成するために、本発明の目標物抽出用の画像データ処
理装置は次の如く構成されている。

【００１０】（１）本発明の目標物抽出用の画像データ
処理装置は、２次元画像データを１ラインづつ逐次取り
出し、一連の１次元連続データとしてラインフィルタ処
理を行なったのち、２値化処理を行なって目標物の抽出
を行なうようにした目標物抽出用の画像処理装置におい
て、ラインフィルタの前段にデータ順序変換部を設け、
このデータ順序変換部によって隣接するライン相互間の
接続部分におけるデータ値に連続性をもたせる如く、取
り込まれたデータの順序を変換するようにしている。

【００１１】（２）本発明の目標物抽出用の画像データ
処理装置は、上記（１）に記載の装置であって、かつデ
ータ順序変換部は２次元画像データを１ラインづつ走査
して逐次取り出すとき、１ラインごとに走査方向を反転
させて蛇行走査を行なわせる。

【００１２】

【作用】上記手段（１）（２）を講じた結果、それぞれ
次のような作用が生じる。

【００１３】（１）本発明の目標物抽出用の画像データ
処理装置においては、データ順序変換部により、異なる
ラインの隣接する部分のデータ値に連続性が与えられ
る。その結果、１次元連続データの並びにおいて、例え
ば「画像データ上のある行の右端のデータの隣には、次
行の右端のデータが並ぶ」といった状態を呈することに
なる。このためラインフィルタ処理されたのち２値化処
理が行なわれても、データ値の不連続性に起因するノイ
ズが生じず、有効データの範囲を狭める等の不具合も生
じない。

【００１４】（２）本発明の目標物抽出用の画像データ
処理装置においては、２次元画像データを例えば１行づ
つ取り出す場合、ある行のデータが左から右に取り出さ
れると次の行のデータは逆に右から左に取り出されてい
く。同様に１列づつ取り出す場合、ある列のデータが上
から下に取り出されると、次の列のデータは下から上に
取り出される。同様に斜め方向に取り出す場合、ある傾
斜ラインに沿って左下から右上へデータが取り出される
と、次は逆に右上から左下へデータが取り出される。し
たがって、取り出された一次元連続データの隣接するデ
ータどうしは、すべて画像上の隣接するデータどうしと
なる。このためデータの不連続ポイントの発生が大幅に
抑制され、ラインフィルタ処理が行なわれたのち２値化
処理が行なわれても、データ値の不連続性に起因するノ
イズ発生は生じない。

【００１５】

【実施例】

（第１実施例）図１は本発明の第１実施例に係る目標物
抽出用の画像データ処理装置の構成を示すブロック図で
ある。図示の如く、赤外線カメラ１で撮像された画像
は、２次元画像データ（デジタルデータ）として画像メ
モリ２へ一旦取り込まれる。画像メモリ２に取り込まれ
た２次元画像データは、データ順序変換器３にてその順
序が適正な順序に変換される。すなわち、２次元画像デ
ータの異なる行と行又は列と列等の隣接する走査ライン
のデータ値に連続性をもたせる如く、画像メモリ２に取
り込まれた画像データの順序が変換される。この順序を
変換された画像データは、ラインフィルタ４に入力す
る。ラインフィルタ４においてラインフィルタ処理され
た画像データは、データ順序復元部５で元のデータ順序
に復元される。この復元された画像データは画像メモリ
６へ取り込まれた後、次段の２値化処理部７へ送られ、
２値化処理がなされる。

【００１６】図２は、データ順序変換部３の構成を示す
図である。図２の（ａ）に示す２次元画像データを、１
次元連続データに変換する際、例えば図２の（ｂ）に示
すように第１行（Ｉ＝１）のデータを左から右（Ｊ＝
１、２、…ｍの順序）に取り出したならば、第２行（Ｉ
＝２）のデータは右から左（Ｊ＝ｍ，ｍ−１、…２、１
の順序）で取り出していく。この様にしてデータを所謂
蛇行走査により取り出す事によって、図２の（ｃ）に示
すように変換された１次元連続データの各近隣データ
は、常に画像上の近隣データとなる。

【００１７】すなわち１次元連続データの並びにおい
て、図２の（ａ）（ｂ）に示す画像上の右端、例えばｉ
行右端（ｉ，ｍ）のデータの次には、（ｉ＋１，ｍ）の
データが隣接することになる。（ｉ，ｍ）と（ｉ＋１，
ｍ）のデータは画面上で上下に隣接している為、画面上
にたとえシェーディングノイズが存在していても、デー
タ値が大幅に異なる事はない。この点従来の装置におい
ては、画像の右端と左端とが隣接した接続部が存在して
いた為、データ値に不連続ポイントが現われる場合があ
ったが、本実施例ではそのような不連続ポイントが生じ
ない。

【００１８】上記の説明では、データを横方向に取り出
す方法について例示したが縦方向に取り出す場合につい
ても同様である。この場合は、上記説明および図２にお
いてＩとＪ、ｉとｊ、ｍとｎをそれぞれ入れ換えること
で理解されよう。

【００１９】図３の（ａ）〜（ｄ）は、ラインフィルタ
４の構成等を示す図である。図４の（ａ）〜（ｄ）に示
すように、このラインフィルタ４は入力する画像データ
について、その明るさがなだらかに変化する雑音成分
（低周波ノイズ）を除去する如く設けられている。すな
わち（ｂ）に示すような入力データＩ（ｉ，ｊ）に対し
移動平均部で処理を行なうことにより、（ｃ）に示すよ
うな低周波ノイズ成分を抽出し、この低周波雑音成分を
入力データから差引く事により、（ｄ）に示すように雑
音成分が除去された画像データを得るものとなってい
る。

【００２０】図４は、２値化処理部７の機能を示す図で
ある。図４に示す如く、２値化処理部７による２値化処
理は、目標物の形を抽出する為の処理であり、２値化処
理部７に入力するデータ値θ′（ｉ，ｊ）が（ａ）に示
すように設定されたしきい値Ｔｈ以上であるか否かを判
別し、（ｂ）に示す如くしきい値Ｔｈ以上であれば、出
力データを「１」とし、しきい値Ｔｈより小さければ出
力データを「０」とする処理である。

【００２１】図５は第１実施例の作用説明図である。本
実施例では、データ順序変換部３によってデータ順序が
変換される結果、１次元連続データの行と行、又は列と
列の接続部には画像上で隣接する部分どうしが位置する
ことになる。このため図５の（ａ）に示すように、デー
タ値の不連続ポイントが生じ難い。したがって（ｂ）に
示す移動平均データを差引かれたのち、（ｃ）に示すよ
うに設定されたしきい値Ｔｈで２値化処理されても、デ
ータ不連続ポイントに起因するノイズの発生は起こらな
い。

【００２２】（第２実施例）図６は、第２実施例に係る
データ順序変換部３の構成を示す図である。この第２実
施例のデータ順序変換部３は、図示のようにデータを斜
め方向に取り出す構成となっている。すなわち、図３の
（ａ）に示すように例えば最初に左下から右上にデータ
を取り出したならば、次は右上から左下に取り出してい
く。このようにデータを取り出すことにより、図３の
（ｂ）に示すように１次元連続データの各近隣データ
は、常に画像上の近隣データとなる。

【００２３】この第２実施例においても第１実施例と同
様の作用効果を奏する。なお本発明は上記第１実施例、
第２実施例に限定されるものではなく、種々変形実施可
能である。

【００２４】（実施例のまとめ）実施例に示された構成
および作用効果をまとめると次の通りである。

【００２５】［１］実施例に示された目標物抽出用の画
像データ処理装置は、２次元画像データを１ラインづつ
逐次取り出し、一連の１次元連続データとしてラインフ
ィルタ処理を行なったのち、２値化処理を行なって目標
物の抽出を行なうようにした目標物抽出用の画像処理装
置において、ラインフィルタ４の前段にデータ順序変換
部３を設け、このデータ順序変換部３によって隣接する
ライン相互間の接続部分におけるデータ値に連続性をも
たせる如く、取り込まれたデータの順序を変換するよう
にしている。

【００２６】したがって上記目標物抽出用の画像データ
処理装置においては、データ順序変換部３により、異な
るラインの隣接する部分のデータ値に連続性が与えられ
る。その結果、１次元連続データの並びにおいて、例え
ば「画像データ上のある行の右端のデータの隣には、次
行の右端のデータが並ぶ」といった状態を呈することに
なる。このためラインフィルタ処理されたのち２値化処
理を行なわれても、データ値の不連続性に起因するノイ
ズが生じず、有効データの範囲を狭める等の不具合も生
じない。

【００２７】［２］実施例に示された目標物抽出用の画
像データ処理装置は、上記［１］に記載の装置であっ
て、かつデータ順序変換部３は２次元画像データを１ラ
インづつ走査して逐次取り出すとき、１ラインごとに走
査方向を反転させて蛇行走査を行なわせる。

【００２８】したがって上記目標物抽出用の画像データ
処理装置においては、２次元画像データを例えば１行づ
つ取り出す場合、ある行のデータが左から右に取り出さ
れると、次の行のデータは逆に右から左に取り出されて
いく。同様に１列づつ取り出す場合、ある列のデータが
上から下に取り出されると、次の列のデータは下から上
に取り出される。同様に斜め方向に取り出す場合、ある
傾斜ラインに沿って左下から右上へデータが取り出され
ると、次は逆に右上から左下へデータが取り出される。
したがって取り出された一次元連続データの隣接するデ
ータどうしは、すべて画像上の隣接するデータどうしと
なる。このためデータの不連続ポイントの発生が大幅に
抑制され、ラインフィルタ処理が行なわれたのち、２値
化処理が行なわれても、データ値の不連続性に起因する
ノイズの発生は生じない。

【００２９】

【発明の効果】本発明によれば、画像データの不連続性
に起因するノイズの発生を防止でき、有効データを広範
囲に確保できる目標物抽出用の画像データ処理装置を提
供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例に係る目標物抽出用の画像
データ処理装置の構成を示すブロック図。

【図２】本発明の第１実施例に係るデータ順序変換部の
構成を示す図。

【図３】本発明の第１実施例のラインフィルタに係る図
であり、（ａ）はラインフィルタの構成を示す図、
（ｂ）は入力データＩ（ｉ，ｊ）を示す図、（ｃ）は移
動平均結果Ｐ（ｉ，ｊ）を示す図、（ｄ）はラインフィ
ルタ出力Ｑ（ｉ，ｊ）を示す図。

【図４】本発明の第１実施例に係る２値化処理部の機能
を示す図。

【図５】本発明の第１実施例に係る作用説明図。

【図６】本発明の第２実施例に係るデータ順序変換部の
構成を示す図。

【図７】従来の画像データ処理装置に係る図であり、
（ａ）はシェーディングノイズ発生状況を示す図、
（ｂ）はｉ行の輝度データ値を示す図。

【図８】従来の画像データ処理装置に係る図であり、
（ａ）は画像データ処理装置の構成を示すブロック図、
（ｂ）（ｃ）は２次元画像データのラインフィルタへの
取り込み状況を示す図。

【図９】従来の画像データ処理装置の問題点を示す図。

【符号の説明】

１…赤外線カメラ ２…画像メモリ ３…データ順序変換部 ４…ラインフィル
タ ５…データ順序復元部 ６…画像メモリ ７…２値化処理部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】２次元画像データを１ラインづつ逐次取り
   出し、一連の１次元連続データとしてラインフィルタ処
   理を行なったのち、２値化処理を行なって目標物の抽出
   を行なうようにした目標物抽出用の画像処理装置におい
   て、 ラインフィルタの前段にデータ順序変換部を設け、この
   データ順序変換部によって隣接するライン相互間の接続
   部分におけるデータ値に連続性をもたせる如く、取り込
   まれたデータの順序を変換するようにしたことを特徴と
   する目標物抽出用の画像データ処理装置。
2. 【請求項２】データ順序変換部は、２次元画像データを
   １ラインづつ走査して逐次取り出すとき、１ラインごと
   に走査方向を反転させて蛇行走査を行なわせるものであ
   ることを特徴とする請求項１に記載の目標物抽出用の画
   像データ処理装置。