JPH08302286A - 被覆用組成物及び積層体の製造方法 - Google Patents

被覆用組成物及び積層体の製造方法

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JPH08302286A
JPH08302286A JP7110620A JP11062095A JPH08302286A JP H08302286 A JPH08302286 A JP H08302286A JP 7110620 A JP7110620 A JP 7110620A JP 11062095 A JP11062095 A JP 11062095A JP H08302286 A JPH08302286 A JP H08302286A
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JP
Japan
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coating composition
fine particles
mol
group
compound
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Application number
JP7110620A
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English (en)
Inventor
Masahiro Asuka
政宏 飛鳥
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH08302286A publication Critical patent/JPH08302286A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (a)特定のアミノアルキルアルコキシシラ
ン化合物(例、γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン)、(b)水、(c)有機溶媒、(d)酸、(e)機
能性微粒子、(f1 )上記アミノアルキルアルコキシシ
ラン化合物1モルに対して0.05〜0.5モルの錫テ
トラアルコキシド、及び(g)ジケトン化合物、アルコ
ール化合物、ピリジン化合物、アルコールアミン化合物
及びジアミン化合物からなる群より選ばれる錯体形成剤
からなる被覆用組成物。 【効果】 この被覆用組成物を基材上に塗布、硬化させ
ると、耐擦傷性に優れた透明な被膜を形成することがで
きる。また、機能性微粒子の機能に応じて、耐摩耗性、
撥水性、防汚性、耐候性、導電性等の機能を被膜に付与
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被覆用組成物及びその
組成物が基材上に積層された積層体の製造方法に関す
る。特に、基材上に耐摩耗性、撥水性、防汚性、耐候
性、導電性等の機能を有する耐擦傷性に優れた透明な被
膜を形成し得る被覆用組成物及びその組成物が基材上に
形成された積層体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】傷がつき易く、汚れ易い基材表面に、透
明な被膜を形成させて基材表面に耐摩耗性、撥水性、防
汚性等を付与することが知られている。このような被膜
を形成するための被覆用組成物として、アルコキシシラ
ンの部分加水分解物に、真球状有機珪素系樹脂粒子やフ
ッ素系樹脂粒子を配合した組成物(特開平4−2168
75号公報、特開平4−323280号公報)、直鎖型
のシリコーン樹脂とフッ素樹脂ディスパージョンの混合
物(特開平5−177768号公報)などが提案されて
いた。
【0003】しかしながら、これらの組成物や混合物に
おいては、これらから得られる被膜の耐擦傷性が十分と
は言えなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この問題点
を解決するものであり、その目的は、耐摩耗性、撥水
性、防汚性、耐候性、導電性等の機能を有する機能性微
粒子とアルコキシシランを含有し、基材上に上記の機能
を有する耐擦傷性に優れた透明な被膜を形成し得る被覆
用組成物を提供すること及び該被覆用組成物が積層され
た積層体の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の被
覆用組成物(以下、本発明1という)に使用されるアミ
ノアルキルアルコキシシラン化合物(a)は、下記の一
般式[I]で表される。
【化3】
【0006】式中、Yはアミノ基を有する有機基を示
し、例えば、アミノ基そのもの、アミノ基の水素原子が
アミノアルキル基で置換された置換アミノ基などが挙げ
られる。Y1 は炭化水素基を示し、例えば、アルキル
基、置換アルキル基などが挙げられる。Rは炭素数1〜
5のアルキル基を示すが、炭素数が多くなると被覆用組
成物の安定性が低下して長期保存性が悪くなるので、炭
素数は1〜5に限定される。Rの例としては、メチル
基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、
n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル
基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、ネオペンチ
ル基などが挙げられる。mは1〜5の整数、nは0〜2
の整数である。
【0007】一般式[I]で表される化合物としては、
例えば、アミノメチルトリエトキシシラン、N−(β−
アミノエチル)アミノメチルトリメトキシシラン、γ−
アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメ
トキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチ
ル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
N,N−ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕
エチレンジアミン、N,N−ビス〔3−(メチルジメト
キシシリル)プロピル〕エチレンジアミンなどが挙げら
れる。これらのうち、γ−アミノプロピルトリエトキシ
シランが特に好ましい。アミノアルキルアルコキシシラ
ン化合物(a)としては、単独で使用されてもよいし2
種以上併用されてもよい。
【0008】本発明1に使用される水(b)は、アミノ
アルキルアルコキシシラン化合物(a)の加水分解と被
覆用組成物の固形分濃度の調整のために添加される。水
(b)の量は、少なくなると十分な加水分解が起こりに
くくなると共に被覆用組成物中のアミノアルキルアルコ
キシシラン化合物(a)及び後述の錫テトラアルコキシ
ド(f1 )の濃度が高くなり被覆用組成物として適さな
くなり、多くなると被覆用組成物中の他の成分との相溶
性が悪くなると共に、アミノアルキルアルコキシシラン
化合物(a)及び錫テトラアルコキシド(f1 )の濃度
が低すぎて被覆できなくなることがあるので、アミノア
ルキルアルコキシシラン化合物(a)1重量部に対し
て、0.5〜300重量部が好ましい。
【0009】本発明1の被覆用組成物に使用される有機
溶媒(c)は、アミノアルキルアルコキシシラン化合物
(a)、水(b)、錫テトラアルコキシド(f1 )及び
後述の錯体形成剤(g)と相溶性があり、酸(d)を溶
解するものであれば特に限定されるものではなく、例え
ば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピ
ルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類、ア
セトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒド
ロフランなどが挙げられ、特にメチルアルコールが好ま
しい。これらは単独で使用されてもよいし2種以上併用
されてもよい。
【0010】上記有機溶媒(c)の量は、少なくなると
被覆用組成物中のアミノアルキルアルコキシシラン化合
物(a)及び錫テトラアルコキシド(f1 )の濃度が高
くなり被覆用組成物として適さなくなり、多くなると、
アミノアルキルアルコキシシラン化合物(a)及び錫テ
トラアルコキシド(f1 )の濃度が低すぎて被覆できな
くなることがあるので、アミノアルキルアルコキシシラ
ン化合物(a)1重量部に対して、0.5〜300重量
部が好ましい。
【0011】本発明1の被覆用組成物に使用される酸
(d)は、被覆用組成物のpHを調整するために加えら
れる。本発明1の組成物においては、pHを6.5〜
8.0に調整することが好ましい。被覆用組成物のpH
がこの範囲に調整されることによって機能性微粒子
(e)の分散性が向上する。pHがこの範囲を外れる
と、機能性微粒子(e)の分散性が悪くなり、凝集を起
こして沈澱したりする場合がある。
【0012】酸(d)としては、特に限定されるもので
はなく、無機酸、有機酸のいずれも使用可能であり、例
えば、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸及び酢酸、
蟻酸等の有機酸が挙げられる。酸の量は、被覆用組成物
のpHが6.5〜8.0になるように添加されるのが好
ましく、通常、アミノアルキルアルコキシシラン化合物
(a)1重量部に対して、0.3〜30重量部の範囲が
好ましい。
【0013】本発明1に使用される機能性微粒子(e)
としては、耐摩耗性、撥水性、防汚性、耐候性、導電性
等の機能を有する微粒子や顔料が挙げられるが、特に限
定されるものではない。機能性微粒子(e)の一次粒径
としては、0.01〜100μmが好ましい。
【0014】上記機能性微粒子(e)としては、フッ素
樹脂微粒子が好ましい。フッ素樹脂微粒子を使用する
と、被膜に耐摩耗性、撥水性、防汚性などが付与され
る。上記フッ素樹脂微粒子としては、例えば、ポリテト
ラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチ
レン−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PF
A)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エ
チレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロ
エチレン(CTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVd
F)及びこれらの共重合体を粉体状態としたものが挙げ
られる。
【0015】上記機能性微粒子(e)の量は、少なくな
ると被膜に目的の機能を付与することができなくなり、
多くなると被覆用組成物中での分散性が悪くなり沈澱を
起こしたりするため、被膜にばらつきを生じたり透明性
が低下したりするので、上記(a)〜(g)の全固形分
に対して15〜75重量%の割合が好ましい。なお、こ
の固形分とは、被覆用組成物を空気中で350℃で20
分間熱処理したときの固形分のことを言う。
【0016】上記機能性微粒子(e)がフッ素樹脂微粒
子である場合は、少なくなると被膜に耐摩耗性、撥水
性、防汚性等の機能を十分に付与することができなくな
り、多くなると被覆用組成物中での分散性が悪くなり沈
澱を起こしたりするため、被膜にばらつきを生じたり透
明性が低下したりするので、上記(a)〜(g)の全固
形分に対して15〜75重量%の割合が好ましい。
【0017】本発明1に使用される錫テトラアルコキシ
ド(f1 )は、一般式Sn(OR14 で表され、R1
はアルキル基であるが、炭素数が少なくなると粉末状と
なり均質な被覆用組成物を製造するのが困難になり、炭
素数が多くなると被覆用組成物の安定性が低下して長期
保存性が悪くなるので、炭素数4又は5のアルキル基に
限定される。R1 の例としては、n−ブチル基、sec
−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
【0018】錫テトラアルコキシド(f1 )の量は、少
なくなると添加効果が得られず、多くなると機能性微粒
子(e)の分散性が悪くなるので、アミノアルキルアル
コキシシラン化合物(a)1モルに対して0.05〜
0.5モルの範囲に限定される。
【0019】本発明1に使用される錯体形成剤(g)と
してのジケトン化合物、アルコール化合物、ピリジン化
合物、アルコールアミン化合物及びジアミン化合物は、
錫テトラアルコキシド(f1 )と有機金属錯体を形成
し、上記錫テトラアルコキシド(f1 )を被覆用組成物
中で安定化させる働きを有する。また、本発明1の被覆
用組成物から得られる被膜は、錫テトラアルコキシド
(f1 )の有機金属錯体が添加されているので、従来の
アミノアルキルアルコキシシラン化合物のみの組成物に
比較し耐擦傷性の点で優れている。
【0020】本発明1に使用されるジケトン化合物は、
β−ジケトン及びβ−ケトエステルからなる群より選ば
れる。β−ジケトンとしては、例えば、アセチルアセト
ン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン、3−メ
チルペンタン−2,4−ジオン、ジアセトンアルコール
等が挙げられ、特にアセチルアセトンが好ましい。β−
ケトエステルとしては、アセト酢酸メチル、アセト酢酸
エチル、ベンゾイル酢酸メチル、ベンゾイル酢酸エチル
等が挙げられ、特にアセト酢酸エチルが好ましい。これ
らは単独で使用されてもよいし2種以上併用されてもよ
い。
【0021】上記ジケトン化合物の錫テトラアルコキシ
ド(f1 )に対する添加量は、少なくなると被覆用組成
物中での有機金属錯体の安定性が低下して、長期保存性
が悪くなったり、沈澱を起こしたりし、多くなると得ら
れる膜にクラックが生じ易くなるので、錫テトラアルコ
キシド(f1 )1モルに対して0.5〜3モルが好まし
い。
【0022】本発明1に使用されるアルコール化合物
は、オキシアルコール類、オキソアルコール類、ジオー
ル類からなる群より選ばれる少なくとも1種である。オ
キシアルコール類としては、例えば、2−オキシアルコ
ール、3−オキシアルコールがあり、2−オキシアルコ
ールとしては、2−メトキシメタノール、2−エトキシ
メタノール、2−(1−メチルエトキシ)エタノール、
1−メトキシ−2−プロパノール、2−エトキシメトキ
シエタノール、ジエチレングリコール、テトラヒドロフ
ルフリルアルコールが挙げられ、3−オキシアルコール
としては、3−メトキシプロパノール、2−(2−ヒド
ロキシエチル)フランが挙げられる。
【0023】オキソアルコール類としては、2−オキソ
アルコール、3−オキソアルコール等があり、2−オキ
ソアルコールとしては、2−オキソ−1−プロパノー
ル、乳酸エチル、フルフラールが挙げられ、3−オキソ
アルコールとしては、2−オキソ−1−ブタノール、3
−ヒドロキシ酪酸エチル等が挙げられる。
【0024】ジオール類としては、α−ジオール、β−
ジオールが挙げられ、α−ジオールとしては、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、β−ジオールとし
ては、プロパンジオール、ブタンジオール、2,4−ペ
ンタンジオールなどが挙げられる。
【0025】これらは単独で使用されてもよいし2種以
上併用されてもよい。
【0026】上記アルコール化合物の錫テトラアルコキ
シド(f1 )に対する添加量は、少なくなると被覆用組
成物中での有機金属錯体の安定性が低下して、長期保存
性が悪くなったり、沈澱を起こしたりし、多くなると得
られる膜にクラックが生じ易くなるので、錫テトラアル
コキシド(f1 )1モルに対して0.5〜4モルが好ま
しい。
【0027】本発明1に使用されるピリジン化合物は、
2−(2−ヒドロキシメチル)ピリジン、2−(2−ヒ
ドロキシエチル)ピリジン、2,2’−ビピリジン等が
挙げられ、特に2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン
が好ましい。これらは単独で使用されてもよいし2種以
上併用されてもよい。
【0028】上記ピリジン化合物の錫テトラアルコキシ
ド(f1 )に対する添加量は、少なくなると被覆用組成
物中での有機金属錯体の安定性が低下して、長期保存性
が悪くなったり、沈澱を起こしたりし、多くなると得ら
れる膜にクラックが生じ易くなるので、錫テトラアルコ
キシド(f1 )1モルに対して0.5〜3モルが好まし
い。
【0029】本発明1に使用されるアルコールアミン化
合物は、下記の一般式[II]、[III] 又は〔IV〕で表さ
れる。
【化4】 (式中、R2 は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、R3
は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又は水素、R4 は炭
素数2〜5の脂肪族炭化水素基、R5 は炭素数1〜5の
脂肪族炭化水素基、R6 は炭素数2〜5の脂肪族炭化水
素基及びR7 は炭素数2〜5の脂肪族炭化水素基)
【0030】一般式[II]で表されるアルコールアミン
化合物としては、例えば、N−メチルエタノールアミ
ン、N−エチルエタノールアミン、N−メチルプロパノ
ールアミン、N−エチルプロパノールアミン、N,N−
ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノー
ルアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N,
N−ジエチルプロパノールアミン等が挙げられ、一般式
[III] で表されるアルコールアミン化合物としては、例
えば、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエ
タノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N
−エチルジプロパノールアミン等が挙げられ、一般式
〔IV〕で表されるアルコールアミン化合物としては、例
えば、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミ
ン、トリブタノールアミン、トリペンタノールアミン等
が挙げられる。アルコールアミン化合物としては、特
に、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエ
チルエタノールアミン、トリエタノールアミン等が好ま
しい。
【0031】上記アルコールアミン化合物において、R
2 、R3 、R4 、R5 、R6 及びR 7 の炭素数は、多く
なると被覆用組成物の長期保存性が悪くなるので上記の
範囲に限定される。R2 とR3 は同一でもよい。上記ア
ルコールアミン化合物は単独で使用されてもよいし2種
以上併用されてもよい。
【0032】上記アルコールアミン化合物の錫テトラア
ルコキシド(f1 )に対する添加量は、少なくなると被
覆用組成物中での有機金属錯体の安定性が低下して、長
期保存性が悪くなったり、沈澱を起こしたりし、多くな
ると得られる膜にクラックが生じ易くなるので、錫テト
ラアルコキシド(f1 )1モルに対して0.3〜5モル
が好ましい。
【0033】本発明1に使用されるジアミン化合物は、
エチレンジアミン及びエチレンジアミンの誘導体からな
る群から選ばれることが好ましい。エチレンジアミンの
誘導体としては、N,N−ジメチルエチレンジアミン、
N,N−ジエチルエチレンジアミン、N−ヒドロキシエ
チル−N’−エチルエチレンジアミン等が挙げられる。
ジアミン化合物としては、特に、エチレンジアミンが好
ましい。
【0034】上記ジアミン化合物の錫テトラアルコキシ
ド(f1 )に対する添加量は、少なくなると被覆用組成
物中での有機金属錯体の安定性が低下して、長期保存性
が悪くなったり、沈澱を起こしたりし、多くなると得ら
れる膜にクラックが生じ易くなるので、錫テトラアルコ
キシド(f1 )1モルに対して0.5〜3モルが好まし
い。
【0035】本発明1の被覆用組成物には、さらに必要
に応じて、各種着色剤;コロイド状シリカゾル;シリカ
ゾル以外の金属酸化物ゾル(例えば、アルミナゾル);
ヒュームドシリカ等の充填剤;増粘剤;界面活性剤;紫
外線吸収剤等の添加剤を一種以上加えてもよい。
【0036】本発明1の被覆用組成物の製造方法は、特
に限定されるものではなく、例えば、アミノアルキルア
ルコキシシラン化合物(a)を水(b)と有機溶媒
(c)の混合物に溶解した後、pH調整のための酸
(d)を加え、アミノアルキルアルコキシシラン化合物
(a)溶液のpHを6.5〜8.0に調整した組成物
に、予め、錫テトラアルコキシド(f1 )に錯体形成剤
(g)を配位させた有機金属錯体を添加し、次いでフッ
素樹脂微粒子等の機能性微粒子(e)を添加する方法が
挙げられる。なお、錫テトラアルコキシド(f1 )の添
加方法は、特に限定されるわけでないが、錫テトラアル
コキシド(f1 )を直接添加しては沈澱を生ずる恐れが
あるので、上記のように錯体形成剤(g)を配位させた
有機金属錯体として添加するのが好ましい。
【0037】本発明1の被覆用組成物は、基材に塗布し
硬化させることにより、基材上に被膜を形成させた積層
体を得るために使用される。
【0038】上記基材としては、特に限定されるもので
はなく、例えば、金属、ガラス、プラスチック等が挙げ
られる。基材としては、無色又は着色の透明な基材で
も、不透明な基材でもよく、更に、色調、形状等も特に
限定されるものでもない。
【0039】上記塗布の方法としては、特に限定される
ものではなく、例えば、スプレー塗布、ロール塗布、フ
ローコーター塗布、ディップ塗布、流し塗りなどが挙げ
られる。
【0040】上記硬化の方法としては、常温で硬化させ
てもよいし、また、必要により約80〜450℃の条件
で硬化させてもよい。
【0041】このようにして本発明1の被覆用組成物か
ら、基材上に、錫テトラアルコキシド(f1 )の金属錯
体により耐擦傷性に優れた、また、機能性微粒子(e)
の機能により、耐摩耗性、撥水性、防汚性、耐候性、導
電性等の機能が付与された透明な被膜が形成された積層
体を製造することができる。
【0042】請求項2記載の発明の被覆用組成物(以
下、本発明2という)においては、本発明1における錫
テトラアルコキシド(f1 )の代わりに、アルミニウム
トリアルコキシド(f2 )が使用される他は、本発明1
と同様である。
【0043】本発明2で使用されるアミノアルキルアル
コキシシラン化合物(a)、水(b)、水(b)の使用
目的及び使用量、有機溶媒(c)、有機溶媒(c)の使
用目的及び使用量、酸(d)、酸(d)の使用目的及び
使用量、機能性微粒子(e)、機能性微粒子(e)の使
用目的及び使用量、機能性微粒子(e)としてフッ素樹
脂微粒子が好ましいこと、フッ素樹脂微粒子の使用目的
及び使用量などは、本発明1と同様である。
【0044】本発明2に使用されるアルミニウムトリア
ルコキシド(f2 )は、一般式Al(OR8 4 で表さ
れ、R8 はアルキル基であるが、炭素数が少なくなると
粉末状となり均質な被覆用組成物を製造するのが困難に
なり、炭素数が多くなると被覆用組成物の安定性が低下
して長期保存性が悪くなるので、炭素数は3〜5のアル
キル基に限定される。R8 としては、例えば、n−プロ
ピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−
ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
【0045】アルミニウムトリアルコキシド(f2 )の
量は、少なくなると添加効果が得られず、多くなると機
能性微粒子(e)の分散性が悪くなるので、アミノアル
キルアルコキシシラン化合物(a)1モルに対して0.
03〜0.5モルの範囲に限定される。
【0046】本発明2に使用される錯体形成剤(g)と
してのジケトン化合物、アルコール化合物、ピリジン化
合物、アルコールアミン化合物及びジアミン化合物は、
アルミニウムトリアルコキシド(f2 )と有機金属錯体
を形成し、上記アルミニウムトリアルコキシド(f2
を被覆用組成物中で安定化させる働きを有する。また、
本発明2の被覆用組成物から得られる被膜は、アルミニ
ウムトリアルコキシド(f2 )の有機金属錯体が添加さ
れているので、従来のアミノアルキルアルコキシシラン
化合物のみの組成物に比較し耐擦傷性の点で優れてい
る。
【0047】本発明2に使用されるジケトン化合物は、
本発明1で使用されるものと同様である。
【0048】上記ジケトン化合物のアルミニウムトリア
ルコキシド(f2 )に対する添加量は、少なくなると被
覆用組成物中での有機金属錯体の安定性が低下して、長
期保存性が悪くなったり、沈澱を起こしたりし、多くな
ると得られる膜にクラックが生じ易くなるので、アルミ
ニウムトリアルコキシド(f2 )1モルに対して0.5
〜3.5モルが好ましい。
【0049】本発明2に使用されるアルコール化合物
は、本発明1で使用されるものと同様である。
【0050】上記アルコール化合物のアルミニウムトリ
アルコキシド(f2 )に対する添加量は、少なくなると
被覆用組成物中での有機金属錯体の安定性が低下して、
長期保存性が悪くなったり、沈澱を起こしたりし、多く
なると得られる膜にクラックが生じ易くなるので、アル
ミニウムトリアルコキシド(f2 )1モルに対して0.
5〜4モルが好ましい。
【0051】本発明2に使用されるピリジン化合物は、
本発明1で使用されるものと同様である。
【0052】上記ピリジン化合物のアルミニウムトリア
ルコキシド(f2 )に対する添加量は、少なくなると被
覆用組成物中での有機金属錯体の安定性が低下して、長
期保存性が悪くなったり、沈澱を起こしたりし、多くな
ると得られる膜にクラックが生じ易くなるので、アルミ
ニウムトリアルコキシド(f2 )1モルに対して0.6
〜4モルが好ましい。
【0053】本発明2に使用されるアルコールアミン化
合物は、本発明1で使用されるものと同様である。
【0054】上記アルコールアミン化合物のアルミニウ
ムトリアルコキシド(f2 )に対する添加量は、少なく
なると被覆用組成物中での有機金属錯体の安定性が低下
して、長期保存性が悪くなったり、沈澱を起こしたり
し、多くなると得られる膜にクラックが生じ易くなるの
で、アルミニウムトリアルコキシド(f2 )1モルに対
して0.4〜4モルが好ましい。
【0055】本発明2に使用されるジアミン化合物は、
本発明1で使用されるものと同様である。
【0056】上記ジアミン化合物のアルミニウムトリア
ルコキシド(f2 )に対する添加量は、少なくなると被
覆用組成物中での有機金属錯体の安定性が低下して、長
期保存性が悪くなったり、沈澱を起こしたりし、多くな
ると得られる膜にクラックが生じ易くなるので、アルミ
ニウムトリアルコキシド(f2 )1モルに対して0.5
〜3モルが好ましい。
【0057】本発明2の被覆用組成物には、さらに必要
に応じて、各種着色剤;コロイド状シリカゾル;シリカ
ゾル以外の金属酸化物ゾル(例えば、アルミナゾル);
ヒュームドシリカ等の充填剤;増粘剤;界面活性剤;紫
外線吸収剤等の添加剤を一種以上加えてもよい。
【0058】本発明2の被覆用組成物の製造方法は、特
に限定されるものではなく、例えば、アミノアルキルア
ルコキシシラン化合物(a)を水(b)と有機溶媒
(c)の混合物に溶解した後、pH調整のための酸
(d)を加え、アミノアルキルアルコキシシラン化合物
(a)溶液のpHを6.5〜8.0に調整した組成物
に、予め、アルミニウムトリアルコキシド(f2 )に錯
体形成剤(g)を配位させた有機金属錯体を添加し、次
いでフッ素樹脂微粒子等の機能性微粒子(e)を添加す
る方法が挙げられる。なお、アルミニウムトリアルコキ
シド(f2 )の添加方法は、特に限定されるわけでない
が、アルミニウムトリアルコキシド(f2 )を直接添加
しては沈澱を生ずる恐れがあるので、上記のように錯体
形成剤(g)を配位させた有機金属錯体として添加する
のが好ましい。
【0059】本発明2の被覆用組成物は、基材に塗布し
硬化させることにより、基材上に被膜を形成させた積層
体を得るために使用される。
【0060】上記基材、塗布の方法、上記硬化の方法等
は、本発明1と同様である。
【0061】このようにして本発明2の被覆用組成物か
ら、基材上に、アルミニウムトリアルコキシド(f2
の金属錯体により耐擦傷性に優れた、また、機能性微粒
子(e)の機能により、耐摩耗性、撥水性、防汚性、耐
候性、導電性等の機能が付与された透明な被膜が形成さ
れた積層体を製造することができる。
【0062】請求項3記載の発明の被覆用組成物(以
下、本発明3という)においては、本発明1における錫
テトラアルコキシド(f1 )の代わりに、チタニウムテ
トラアルコキシド(f3 )が使用される他は、本発明1
と同様である。
【0063】本発明3で使用されるアミノアルキルアル
コキシシラン化合物(a)、水(b)、水(b)の使用
目的及び使用量、有機溶媒(c)、有機溶媒(c)の使
用目的及び使用量、酸(d)、酸(d)の使用目的及び
使用量、機能性微粒子(e)、機能性微粒子(e)の使
用目的及び使用量、機能性微粒子(e)としてフッ素樹
脂微粒子が好ましいこと、フッ素樹脂微粒子の使用目的
及び使用量などは、本発明1と同様である。
【0064】本発明3に使用されるチタニウムテトラア
ルコキシド(f3 )は、一般式Ti(OR9 4 で表さ
れ、R9 はアルキル基であるが、炭素数が多くなると被
覆用組成物の安定性が低下して長期保存性が悪くなるの
で、炭素数は1〜5のアルキル基に限定される。R9
例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i
so−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、
tert−ブチル基などが挙げられる。
【0065】チタニウムテトラアルコキシド(f3 )の
量は、少なくなると添加効果が得られず、多くなると機
能性微粒子(e)の分散性が悪くなるので、アミノアル
キルアルコキシシラン化合物(a)1モルに対して0.
03〜0.7モルの範囲に限定される。
【0066】本発明3に使用される錯体形成剤(g)と
してのジケトン化合物、アルコール化合物、ピリジン化
合物、アルコールアミン化合物及びジアミン化合物は、
チタニウムテトラアルコキシド(f3 )と有機金属錯体
を形成し、上記チタニウムテトラアルコキシド(f3
を被覆用組成物中で安定化させる働きを有する。また、
本発明3の被覆用組成物から得られる被膜は、チタニウ
ムテトラアルコキシド(f3 )の有機金属錯体が添加さ
れているので、従来のアミノアルキルアルコキシシラン
化合物のみの組成物に比較し耐擦傷性の点で優れてい
る。
【0067】本発明3に使用されるジケトン化合物は、
本発明1で使用されるものと同様である。
【0068】上記ジケトン化合物のチタニウムテトラア
ルコキシド(f3 )に対する添加量は、少なくなると被
覆用組成物中での有機金属錯体の安定性が低下して、長
期保存性が悪くなったり、沈澱を起こしたりし、多くな
ると得られる膜にクラックが生じ易くなるので、チタニ
ウムテトラアルコキシド(f3 )1モルに対して0.4
〜5モルが好ましい。
【0069】本発明3に使用されるアルコール化合物
は、本発明1で使用されるものと同様である。
【0070】上記アルコール化合物のチタニウムテトラ
アルコキシド(f3 )に対する添加量は、少なくなると
被覆用組成物中での有機金属錯体の安定性が低下して、
長期保存性が悪くなったり、沈澱を起こしたりし、多く
なると得られる膜にクラックが生じ易くなるので、チタ
ニウムテトラアルコキシド(f3 )1モルに対して0.
3〜5モルが好ましい。
【0071】本発明3に使用されるピリジン化合物は、
本発明1で使用されるものと同様である。
【0072】上記ピリジン化合物のチタニウムテトラア
ルコキシド(f3 )に対する添加量は、少なくなると被
覆用組成物中での有機金属錯体の安定性が低下して、長
期保存性が悪くなったり、沈澱を起こしたりし、多くな
ると得られる膜にクラックが生じ易くなるので、チタニ
ウムテトラアルコキシド(f3 )1モルに対して0.5
〜4モルが好ましい。
【0073】本発明3に使用されるアルコールアミン化
合物は、本発明1で使用されるものと同様である。
【0074】上記アルコールアミン化合物のチタニウム
テトラアルコキシド(f3 )に対する添加量は、少なく
なると被覆用組成物中での有機金属錯体の安定性が低下
して、長期保存性が悪くなったり、沈澱を起こしたり
し、多くなると得られる膜にクラックが生じ易くなるの
で、チタニウムテトラアルコキシド(f3 )1モルに対
して0.3〜6モルが好ましい。
【0075】本発明3に使用されるジアミン化合物は、
本発明1で使用されるものと同様である。
【0076】上記ジアミン化合物のチタニウムテトラア
ルコキシド(f3 )に対する添加量は、少なくなると被
覆用組成物中での有機金属錯体の安定性が低下して、長
期保存性が悪くなったり、沈澱を起こしたりし、多くな
ると得られる膜にクラックが生じ易くなるので、チタニ
ウムテトラアルコキシド(f3 )1モルに対して0.3
〜5モルが好ましい。
【0077】本発明3の被覆用組成物には、さらに必要
に応じて、各種着色剤;コロイド状シリカゾル;シリカ
ゾル以外の金属酸化物ゾル(例えば、アルミナゾル);
ヒュームドシリカ等の充填剤;増粘剤;界面活性剤;紫
外線吸収剤等の添加剤を一種以上加えてもよい。
【0078】本発明3の被覆用組成物の製造方法は、特
に限定されるものではなく、例えば、アミノアルキルア
ルコキシシラン化合物(a)を水(b)と有機溶媒
(c)の混合物に溶解した後、pH調整のための酸
(d)を加え、アミノアルキルアルコキシシラン化合物
(a)溶液のpHを6.5〜8.0に調整した組成物
に、予め、チタニウムテトラアルコキシド(f3 )に錯
体形成剤(g)を配位させた有機金属錯体を添加し、次
いでフッ素樹脂微粒子等の機能性微粒子(e)を添加す
る方法が挙げられる。なお、チタニウムテトラアルコキ
シド(f3 )の添加方法は、特に限定されるわけでない
が、チタニウムテトラアルコキシド(f3 )を直接添加
しては沈澱を生じるおそれがあるので、上記のように錯
体形成剤(g)を配位させた有機金属錯体として添加す
るのが好ましい。
【0079】本発明3の被覆用組成物は、基材に塗布し
硬化させることにより、基材上に被膜を形成させた積層
体を得るために使用される。
【0080】上記基材、塗布の方法、上記硬化の方法等
は、本発明1と同様である。
【0081】このようにして本発明3の被覆用組成物か
ら、基材上に、チタニウムテトラアルコキシド(f3
の金属錯体により耐擦傷性に優れた、また、機能性微粒
子(e)の機能により、耐摩耗性、撥水性、防汚性、耐
候性、導電性等の機能が付与された透明な被膜が形成さ
れた積層体を製造することができる。
【0082】請求項4記載の発明の被覆用組成物(以
下、本発明4という)においては、本発明1における錫
テトラアルコキシド(f1 )の代わりに、ジルコニウム
テトラアルコキシド(f4 )が使用される他は、本発明
1と同様である。
【0083】本発明4で使用されるアミノアルキルアル
コキシシラン化合物(a)、水(b)、水(b)の使用
目的及び使用量、有機溶媒(c)、有機溶媒(c)の使
用目的及び使用量、酸(d)、酸(d)の使用目的及び
使用量、機能性微粒子(e)、機能性微粒子(e)の使
用目的及び使用量、機能性微粒子(e)としてフッ素樹
脂微粒子が好ましいこと、フッ素樹脂微粒子の使用目的
及び使用量などは、本発明1と同様である。
【0084】本発明4に使用されるジルコニウムテトラ
アルコキシド(f4 )は、一般式Zr(OR104 で表
され、R10はアルキル基であるが、炭素数が多くなると
被覆用組成物の安定性が低下して長期保存性が悪くなる
ので、炭素数は1〜5のアルキル基に限定される。R10
の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、
iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基などが挙げられる。
【0085】ジルコニウムテトラアルコキシド(f4
の量は、少なくなると添加効果が得られず、多くなると
機能性微粒子(e)の分散性が悪くなるので、アミノア
ルキルアルコキシシラン化合物(a)1モルに対して
0.03〜0.6モルの範囲に限定される。
【0086】本発明4に使用される錯体形成剤(g)と
してのジケトン化合物、アルコール化合物、ピリジン化
合物、アルコールアミン化合物及びジアミン化合物は、
ジルコニウムテトラアルコキシド(f4 )と有機金属錯
体を形成し、上記ジルコニウムテトラアルコキシド(f
4 )を被覆用組成物中で安定化させる働きを有する。ま
た、本発明4の被覆用組成物から得られる被膜は、ジル
コニウムテトラアルコキシド(f4 )の有機金属錯体が
添加されているので、従来のアミノアルキルアルコキシ
シラン化合物のみの組成物に比較し耐擦傷性の点で優れ
ている。
【0087】本発明4に使用されるジケトン化合物は、
本発明1で使用されるものと同様である。
【0088】上記ジケトン化合物のジルコニウムテトラ
アルコキシド(f4 )に対する添加量は、少なくなると
被覆用組成物中での有機金属錯体の安定性が低下して、
長期保存性が悪くなったり、沈澱を起こしたりし、多く
なると得られる膜にクラックが生じ易くなるので、ジル
コニウムテトラアルコキシド(f4 )1モルに対して
0.5〜6モルが好ましい。
【0089】本発明4に使用されるアルコール化合物
は、本発明1で使用されるものと同様である。
【0090】上記アルコール化合物のジルコニウムテト
ラアルコキシド(f4 )に対する添加量は、少なくなる
と被覆用組成物中での有機金属錯体の安定性が低下し
て、長期保存性が悪くなったり、沈澱を起こしたりし、
多くなると得られる膜にクラックが生じ易くなるので、
ジルコニウムテトラアルコキシド(f4 )1モルに対し
て0.5〜6モルが好ましい。
【0091】本発明4に使用されるピリジン化合物は、
本発明1で使用されるものと同様である。
【0092】上記ピリジン化合物のジルコニウムテトラ
アルコキシド(f4 )に対する添加量は、少なくなると
被覆用組成物中での有機金属錯体の安定性が低下して、
長期保存性が悪くなったり、沈澱を起こしたりし、多く
なると得られる膜にクラックが生じ易くなるので、ジル
コニウムテトラアルコキシド(f4 )1モルに対して
0.5〜6モルが好ましい。
【0093】本発明4に使用されるアルコールアミン化
合物は、本発明1で使用されるものと同様である。
【0094】上記アルコールアミン化合物のジルコニウ
ムテトラアルコキシド(f4 )に対する添加量は、少な
くなると被覆用組成物中での有機金属錯体の安定性が低
下して、長期保存性が悪くなったり、沈澱を起こしたり
し、多くなると得られる膜にクラックが生じ易くなるの
で、ジルコニウムテトラアルコキシド(f4 )1モルに
対して0.5〜6モルが好ましい。
【0095】本発明4に使用されるジアミン化合物は、
本発明1で使用されるものと同様である。
【0096】上記ジアミン化合物のジルコニウムテトラ
アルコキシド(f4 )に対する添加量は、少なくなると
被覆用組成物中での有機金属錯体の安定性が低下して、
長期保存性が悪くなったり、沈澱を起こしたりし、多く
なると得られる膜にクラックが生じ易くなるので、ジル
コニウムテトラアルコキシド(f4 )1モルに対して
0.5〜6モルが好ましい。
【0097】本発明4の被覆用組成物には、さらに必要
に応じて、各種着色剤;コロイド状シリカゾル;シリカ
ゾル以外の金属酸化物ゾル(例えば、アルミナゾル);
ヒュームドシリカ等の充填剤;増粘剤;界面活性剤;紫
外線吸収剤等の添加剤を一種以上加えてもよい。
【0098】本発明4の被覆用組成物の製造方法は、特
に限定されるものではなく、例えば、アミノアルキルア
ルコキシシラン化合物(a)を水(b)と有機溶媒
(c)の混合物に溶解した後、pH調整のための酸
(d)を加え、アミノアルキルアルコキシシラン化合物
(a)溶液のpHを6.5〜8.0に調整した組成物
に、予め、ジルコニウムテトラアルコキシド(f4 )に
錯体形成剤(g)を配位させた有機金属錯体を添加し、
次いでフッ素樹脂微粒子等の機能性微粒子(e)を添加
する方法が挙げられる。なお、ジルコニウムテトラアル
コキシド(f4 )の添加方法は、特に限定されるわけで
ないが、ジルコニウムテトラアルコキシド(f4 )を直
接添加しては沈澱を生ずるおそれがあるので、上記のよ
うに錯体形成剤(g)を配位させた有機金属錯体として
添加するのが好ましい。
【0099】本発明4の被覆用組成物は、基材に塗布し
硬化させることにより、基材上に被膜を形成させた積層
体を得るために使用される。
【0100】上記基材、塗布の方法、上記硬化の方法等
は、本発明1と同様である。
【0101】このようにして本発明4の被覆用組成物か
ら、基材上に、ジルコニウムテトラアルコキシド
(f4 )の金属錯体により耐擦傷性に優れた、また、機
能性微粒子(e)の機能により、耐摩耗性、撥水性、防
汚性、耐候性、導電性等の機能が付与された透明な被膜
が形成された積層体を製造することができる。
【0102】請求項5記載の発明の被覆用組成物(以
下、本発明5という)は、上記本発明1〜4の被覆用組
成物において、機能性微粒子(e)としてフッ素樹脂微
粒子を使用してなる被覆用組成物である。
【0103】本発明5の被覆用組成物から、耐擦傷性に
優れ、耐摩耗性、撥水性、防汚性などを有する、透明な
被膜が形成された積層体を製造することができる。
【0104】請求項6記載の発明の積層体の製造方法
(以下、本発明6という)は、上記本発明5の被覆用組
成物を基材に塗布し硬化させることを特徴とする。
【0105】本発明6は、本発明5の被覆用組成物を使
用する他は、基材、塗布方法、硬化方法などは、前述
の、本発明1の被覆用組成物から積層体を得るために使
用されるものと同様である。
【0106】本発明6の積層体の製造方法によると、基
材上に、錫テトラアルコキシド(f 1 )、アルミニウム
トリアルコキシド(f2 )、チタニウムテトラアルコキ
シド(f3 )又はジルコニウムテトラアルコキシド(f
4 )の金属錯体により耐擦傷性に優れた、また、フッ素
樹脂微粒子の機能により、耐摩耗性、撥水性、防汚性等
の機能が付与された透明な被膜が形成された積層体を製
造することができる。
【0107】
【作用】本発明1〜4の被覆用組成物は、錫テトラアル
コキシド(f1 )、アルミニウムトリアルコキシド(f
2 )、チタニウムテトラアルコキシド(f3 )又はジル
コニウムテトラアルコキシド(f4 )と、ジケトン化合
物、アルコール化合物、ピリジン化合物、アルコールア
ミン化合物及びジアミン化合物からなる群より選ばれる
錯体形成剤(g)とからなる有機金属錯体が含まれるの
で、基材上に塗布、硬化させると、耐擦傷性に優れた被
膜が得られる。また、機能性微粒子(e)の機能に応じ
て、被膜に種々の機能を付与することができる。
【0108】また、本発明5においては、機能性微粒子
(e)として、フッ素樹脂微粒子を使用するので、被膜
に更に耐摩耗性、撥水性、防汚性などが付与される。
【0109】本発明6の積層体の製造方法によると、被
覆用組成物中の機能性微粒子(e)として、フッ素樹脂
微粒子を使用するので、基材上に、耐摩耗性、撥水性、
防汚性等の機能が付与され、また、錫テトラアルコキシ
ド(f1 )、アルミニウムトリアルコキシド(f2 )、
チタニウムテトラアルコキシド(f3 )又はジルコニウ
ムテトラアルコキシド(f4 )とジケトン化合物、アル
コール化合物、ピリジン化合物、アルコールアミン化合
物及びジアミン化合物とからなる群より選ばれる錯体形
成剤(g)とからなる有機金属錯体が含まれるので耐擦
傷性に優れた被膜が形成された積層体が得られる。
【0110】本発明1〜5の被覆用組成物及び本発明6
において、アミノアルキルアルコキシシラン化合物
(a)、水(b)、有機溶媒(c)及び酸(d)からな
る組成物のpHを6.5〜8.0に調整しておき、これ
に、予め錫テトラアルコキシド(f1 )、アルミニウム
トリアルコキシド(f2 )、チタニウムテトラアルコキ
シド(f3 )又はジルコニウムテトラアルコキシド(f
4 )にジケトン化合物、アルコール化合物、ピリジン化
合物、アルコールアミン化合物及びジアミン化合物とか
らなる群より選ばれる錯体形成剤(g)を配位させた有
機金属錯体を添加したものに、機能性微粒子(f)を添
加して被覆用組成物を調整すると、被覆用組成物中の機
能性微粒子(f)の分散性が特に良好であり、この被覆
用組成物を基材上に塗布、硬化させると、ばらつきがな
く、基材の透明性を損なうことがない被膜を形成するこ
とができる。
【0111】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。なお、結
果に示した被覆用組成物の分散安定性及び積層体に関す
る各物性の評価方法は次の通りである。
【0112】(1) 分散安定性 得られた被覆用組成物について、フッ素樹脂微粒子の分
散安定性を以下の通り評価した。 ○ フッ素樹脂微粒子の沈澱が生じず、均一な溶液であ
った。 △ 溶液中にフッ素樹脂微粒子の沈澱が生成していた。 × フッ素樹脂微粒子と溶液が分離していた。 (2) 外観観察 得られた積層体の外観を観察し、以下の通り評価した。 ○ 均質で透明な膜であった。 △ 均質であるがヘイズが1.0以上の膜であった。 × 凹凸のある不均質な膜であった。 (3) 可視光透過率 得られた積層体について、UV・可視分光光度計を用
い、400〜700nmの可視光の透過率の積分値の比
(何もない状態を100%とする。)を可視光透過率と
した。
【0113】(4) 対水接触角 得られた積層体について、協和界面科学社製の接触角計
を用い、液滴法によって純水に対する対水接触角を測定
した。 (5) 耐摩耗性試験 得られた積層体の表面を、スチールウール#0000を
用い、500g荷重で10回往復させて傷つき度合いを
目視で以下のように評価した。 4:殆ど傷がなかった。 3:少し傷がついた。 2:深い傷がついた。 1:基材に達する傷がついた。 (6) 耐擦傷性試験 得られた積層体について、JIS R 3212に従い
テーバー摩耗試験を行って、耐擦傷性を評価した。後述
の表1及び表2に示した数値は、1000回転後のヘイ
ズ値を示した。
【0114】(実施例1〜8)γ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン1重量部、メタノール1.6重量部及び
イオン交換水7.8重量部とを混合、攪拌後、このγ−
アミノプロピルトリエトキシシランメタノール水溶液
に、さらに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1
モルに対して0.3モルの錫テトラブトキシドに錫テト
ラブトキシドと等モルの表1に示した錯体形成剤を配位
させた有機錫錯体を加え、混合攪拌した。この液を水冷
しながら、さらに濃硝酸を攪拌しつつpHが6.8にな
るように添加した。得られた液(各実施例から得られた
液をS−実施例番号と呼ぶ。換言すると、実施例1から
得られた液をS−1、実施例2から得られた液をS−2
などと呼ぶ。)にフッ素樹脂微粒子(住友スリーエム社
製、3MTHVフルオロプラスチック)を表1に示した
ように添加して、さらに攪拌を行って被覆用組成物とし
た。
【0115】なお、表1に示したフッ素樹脂微粒子の配
合は、例えば、実施例1であれば、得られた被覆用組成
物を空気中で350℃で20分間熱処理したときの全固
形分(=S−1から得られる固形分とフッ素樹脂微粒子
から得られる固形分との総和)に対する、S−1から得
られる固形分、フッ素樹脂微粒子から得られる固形分の
割合が、それぞれ表1に示した割合となるように配合し
た。なお、S−1から得られる固形分とは、アミノアル
キルアルコキシシラン化合物(a)+水(b)+有機溶
媒(c)+酸(d)+錫テトラアルコキシド(f1 )+
錯体形成剤(g)の配合物中の固形分のことであり、本
願発明の被覆用組成物から、機能性微粒子(e)を除い
たものの中に含まれる固形分のことである。実施例2〜
8及び後述の実施例9〜32、比較例1〜10について
も、上記のS−1を、それぞれの被覆用組成物作製時の
被覆用組成物から、機能性微粒子(e)を除いた液の呼
称(即ち、例えば、実施例2の場合ならS−2、実施例
9の場合ならS−9、比較例2の場合ならA−1。)に
置き換えて、上記のように配合した。
【0116】また、表1及び後述の表2〜6に示した錯
体形成剤は下記の通りである。 A・・・アセチルアセトン、B・・・アセト酢酸エチ
ル、C・・・2−エトキシエタノール、D・・・3−ヒ
ドロキシ酪酸エチル、E・・・エチレングリコール、F
・・・2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、G・・
・トリエタノールアミン、H・・・エチレンジアミン。
【0117】この被覆用組成物を板硝子(セントラルガ
ラス社製フロートガラス)に流し塗り法で塗布し、28
0℃で1時間、350℃で20分間熱処理を行って硬化
させ、板硝子に膜厚0.5μmの被膜が形成された積層
体を得た。上記被覆用組成物の分散安定性及び得られた
積層体に関する各物性を前記評価方法に基づき評価し、
結果を表1に示した。
【0118】(比較例1)シリコーン樹脂(信越シリコ
ーン社製、KR−311)に、表2に示した所定量のフ
ッ素樹脂微粒子を添加してよく攪拌して被覆用組成物と
した。この被覆用組成物を用いて実施例1と同様にし
て、積層体を得た。なお、被膜の膜厚は0.5μmであ
った。上記被覆用組成物の分散安定性及び得られた積層
体に関する各物性を前記評価方法に基づき評価し、結果
を表2に示した。
【0119】(比較例2)γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン1重量部、メタノール1.6重量部及びイオ
ン交換水7.8重量部とを混合、攪拌後、このγ−アミ
ノプロピルトリエトキシシランメタノール水溶液を水冷
しながら、さらに濃硝酸を攪拌しつつpHが6.8にな
るように添加した。得られた液(この液を、A−1とい
う)に表2に示した所定量のフッ素樹脂微粒子(住友ス
リーエム社製、3MTHVフルオロプラスチック)を添
加して、さらに攪拌を行って被覆用組成物とした。この
被覆用組成物を用いて実施例1と同様にして、積層体を
得た。なお、被膜の膜厚は0.5μmであった。上記被
覆用組成物の分散安定性及び得られた積層体に関する各
物性を前記評価方法に基づき評価し、結果を表2に示し
た。
【0120】(比較例3)γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン1重量部、メタノール1.6重量部及びイオ
ン交換水7.8重量部とを混合、攪拌後、このγ−アミ
ノプロピルトリエトキシシランメタノール水溶液に、さ
らに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1モルに
対して0.7モルの錫テトラブトキシドに錫テトラブト
キシドと等モルの表2に示した錯体形成剤を配位させた
有機錫錯体を加え、混合攪拌した。この液を水冷しなが
ら、さらに濃硝酸を攪拌しつつpHが6.8になるよう
に添加した。得られた液(この液を、A−2という)に
表2に示した所定量のフッ素樹脂微粒子(住友スリーエ
ム社製、3MTHVフルオロプラスチック)を添加し
て、さらに攪拌を行ったが、フッ素樹脂微粒子とA−2
が分離し微粒子が沈殿した。
【0121】(比較例4)γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン1重量部、メタノール1.6重量部及びイオ
ン交換水7.8重量部とを混合、攪拌後、このγ−アミ
ノプロピルトリエトキシシランメタノール水溶液に、さ
らに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1モルに
対して0.005モルの錫テトラブトキシドに錫テトラ
ブトキシドと等モルの表2に示した錯体形成剤を配位さ
せた有機錫錯体を加え、混合攪拌した。この液を水冷し
ながら、さらに濃硝酸を攪拌しつつpHが6.8になる
ように添加した。得られた液(この液を、A−3とい
う)に表2に示した所定量のフッ素樹脂微粒子(住友ス
リーエム社製、3MTHVフルオロプラスチック)を添
加して、さらに攪拌を行って被覆用組成物とした。この
被覆用組成物を用いて実施例1と同様にして、積層体を
得た。なお、被膜の膜厚は0.5μmであった。上記被
覆用組成物の分散安定性及び得られた積層体に関する各
物性を前記評価方法に基づき評価し、結果を表2に示し
た。
【0122】
【表1】
【0123】
【表2】
【0124】(実施例9〜16)γ−アミノプロピルト
リエトキシシラン1重量部、メタノール1.6重量部及
びイオン交換水7.8重量部とを混合、攪拌後、このγ
−アミノプロピルトリエトキシシランメタノール水溶液
に、さらに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1
モルに対して0.3モルのアルミニウムイソプロポキシ
ドにアルミニウムイソプロポキシドと等モルの表3に示
した錯体形成剤を配位させた有機アルミニウム錯体を加
え、混合攪拌した。この液を水冷しながら、さらに濃硝
酸を攪拌しつつpHが6.8になるように添加した。得
られた液に表3に示した所定量のフッ素樹脂微粒子(住
友スリーエム社製、3MTHVフルオロプラスチック)
を添加して、さらに攪拌を行って被覆用組成物とした。
【0125】この被覆用組成物を用いて実施例1と同様
にして、積層体を得た。なお、被膜の膜厚は0.5μm
であった。上記被覆用組成物の分散安定性及び得られた
積層体に関する各物性を前記評価方法に基づき評価し、
結果を表3に示した。
【0126】(比較例5)γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン1重量部、メタノール1.6重量部及びイオ
ン交換水7.8重量部とを混合、攪拌後、このγ−アミ
ノプロピルトリエトキシシランメタノール水溶液に、さ
らに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1モルに
対して0.7モルのアルミニウムイソプロポキシドにア
ルミニウムイソプロポキシドと等モルの表2に示した錯
体形成剤を配位させた有機アルミニウム錯体を加え、混
合攪拌した。この液を水冷しながら、さらに濃硝酸を攪
拌しつつpHが6.8になるように添加した。得られた
液(この液を、A−4という)に表2に示した所定量の
フッ素樹脂微粒子(住友スリーエム社製、3MTHVフ
ルオロプラスチック)を添加して、さらに攪拌を行った
が、フッ素樹脂微粒子とA−4が分離し微粒子が沈殿し
た。
【0127】(比較例6)γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン1重量部、メタノール1.6重量部及びイオ
ン交換水7.8重量部とを混合、攪拌後、このγ−アミ
ノプロピルトリエトキシシランメタノール水溶液に、さ
らに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1モルに
対して0.005モルのアルミニウムイソプロポキシド
にアルミニウムイソプロポキシドと等モルの表2に示し
た錯体形成剤を配位させた有機アルミニウム錯体を加
え、混合攪拌した。この液を水冷しながら、さらに濃硝
酸を攪拌しつつpHが6.8になるように添加した。得
られた液(この液を、A−5という)に表2に示した所
定量のフッ素樹脂微粒子(住友スリーエム社製、3MT
HVフルオロプラスチック)を添加して、さらに攪拌を
行って被覆用組成物とした。
【0128】この被覆用組成物を用いて実施例1と同様
にして、積層体を得た。なお、被膜の膜厚は0.5μm
であった。上記被覆用組成物の分散安定性及び得られた
積層体に関する各物性を前記評価方法に基づき評価し、
結果を表2に示した。
【0129】
【表3】
【0130】(実施例17〜24)γ−アミノプロピル
トリエトキシシラン1重量部、メタノール1.6重量部
及びイオン交換水7.8重量部とを混合、攪拌後、この
γ−アミノプロピルトリエトキシシランメタノール水溶
液に、さらに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
1モルに対して0.3モルのチタニウムテトラブトキシ
ドにチタニウムテトラブトキシドと等モルの表4に示し
た錯体形成剤を配位させた有機チタニウム錯体を加え、
混合攪拌した。この液を水冷しながら、さらに濃硝酸を
攪拌しつつpHが6.8になるように添加した。得られ
た液に表4に示した所定量のフッ素樹脂微粒子(住友ス
リーエム社製、3MTHVフルオロプラスチック)を添
加して、さらに攪拌を行って被覆用組成物とした。
【0131】この被覆用組成物を用いて実施例1と同様
にして、積層体を得た。なお、被膜の膜厚は0.5μm
であった。上記被覆用組成物の分散安定性及び得られた
積層体に関する各物性を前記評価方法に基づき評価し、
結果を表4に示した。
【0132】(比較例7)γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン1重量部、メタノール1.6重量部及びイオ
ン交換水7.8重量部とを混合、攪拌後、このγ−アミ
ノプロピルトリエトキシシランメタノール水溶液に、さ
らに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1モルに
対して0.8モルのチタニウムテトラブトキシドにチタ
ニウムテトラブトキシドと等モルの表5に示した錯体形
成剤を配位させた有機チタニウム錯体を加え、混合攪拌
した。この液を水冷しながら、さらに濃硝酸を攪拌しつ
つpHが6.8になるように添加した。得られた液(こ
の液を、A−6という)に表6に示した所定量のフッ素
樹脂微粒子(住友スリーエム社製、3MTHVフルオロ
プラスチック)を添加して、さらに攪拌を行ったが、フ
ッ素樹脂微粒子とA−6が分離し微粒子が沈殿した。
【0133】(比較例8)γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン1重量部、メタノール1.6重量部及びイオ
ン交換水7.8重量部とを混合、攪拌後、このγ−アミ
ノプロピルトリエトキシシランメタノール水溶液に、さ
らに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1モルに
対して0.005モルのチタニウムテトラブトキシドに
チタニウムテトラブトキシドと等モルの表5に示した錯
体形成剤を配位させた有機アルミニウム錯体を加え、混
合攪拌した。この液を水冷しながら、さらに濃硝酸を攪
拌しつつpHが6.8になるように添加した。得られた
液(この液を、A−7という)に表5に示した所定量の
フッ素樹脂微粒子(住友スリーエム社製、3MTHVフ
ルオロプラスチック)を添加して、さらに攪拌を行って
被覆用組成物とした。
【0134】この被覆用組成物を用いて実施例1と同様
にして、積層体を得た。なお、被膜の膜厚は0.5μm
であった。上記被覆用組成物の分散安定性及び得られた
積層体に関する各物性を前記評価方法に基づき評価し、
結果を表5に示した。
【0135】
【表4】
【0136】
【表5】
【0137】(実施例25〜32)γ−アミノプロピル
トリエトキシシラン1重量部、メタノール1.6重量部
及びイオン交換水7.8重量部とを混合、攪拌後、この
γ−アミノプロピルトリエトキシシランメタノール水溶
液に、さらに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
1モルに対して0.3モルのジルコニウムテトラブトキ
シドにジルコニウムテトラブトキシドと等モルの表6に
示した錯体形成剤を配位させた有機ジルコニウム錯体を
加え、混合攪拌した。この液を水冷しながら、さらに濃
硝酸を攪拌しつつpHが6.8になるように添加した。
得られた液に表6に示した所定量のフッ素樹脂微粒子
(住友スリーエム社製、3MTHVフルオロプラスチッ
ク)を添加して、さらに攪拌を行って被覆用組成物とし
た。
【0138】この被覆用組成物を用いて実施例1と同様
にして、積層体を得た。なお、被膜の膜厚は0.5μm
であった。上記被覆用組成物の分散安定性及び得られた
積層体に関する各物性を前記評価方法に基づき評価し、
結果を表6に示した。
【0139】(比較例9)γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン1重量部、メタノール1.6重量部及びイオ
ン交換水7.8重量部とを混合、攪拌後、このγ−アミ
ノプロピルトリエトキシシランメタノール水溶液に、さ
らに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1モルに
対して0.7モルのジルコニウムテトラブトキシドにジ
ルコニウムテトラブトキシドと等モルの表5に示した錯
体形成剤を配位させた有機ジルコニウム錯体を加え、混
合攪拌した。この液を水冷しながら、さらに濃硝酸を攪
拌しつつpHが6.8になるように添加した。得られた
液(この液を、A−8という)に表5に示した所定量の
フッ素樹脂微粒子(住友スリーエム社製、3MTHVフ
ルオロプラスチック)を添加して、さらに攪拌を行った
が、フッ素樹脂微粒子とA−8が分離し微粒子が沈殿し
た。
【0140】(比較例10)γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン1重量部、メタノール1.6重量部及びイ
オン交換水7.8重量部とを混合、攪拌後、このγ−ア
ミノプロピルトリエトキシシランメタノール水溶液に、
さらに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1モル
に対して0.005モルのジルコニウムテトラブトキシ
ドにジルコニウムテトラブトキシドと等モルの表5に示
した錯体形成剤を配位させた有機ジルコニウム錯体を加
え、混合攪拌した。この液を水冷しながら、さらに濃硝
酸を攪拌しつつpHが6.8になるように添加した。得
られた液(この液を、A−9という)に表5に示した所
定量のフッ素樹脂微粒子(住友スリーエム社製、3MT
HVフルオロプラスチック)を添加して、さらに攪拌を
行って被覆用組成物とした。
【0141】この被覆用組成物を用いて実施例1と同様
にして、積層体を得た。なお、被膜の膜厚は0.5μm
であった。上記被覆用組成物の分散安定性及び得られた
積層体に関する各物性を前記評価方法に基づき評価し、
結果を表5に示した。
【0142】
【表6】
【0143】
【発明の効果】本発明1〜4の被覆用組成物の構成は前
記した通りであり、錫テトラアルコキシド(f1 )、ア
ルミニウムトリアルコキシド(f2 )、チタニウムテト
ラアルコキシド(f3 )又はジルコニウムテトラアルコ
キシド(f4 )と錯体形成剤(g)としてのジケトン化
合物、アルコール化合物、ピリジン化合物、アルコール
アミン化合物及びジアミン化合物とからの有機金属錯体
が含有されているので耐擦傷性に優れた被膜が得られ
る。また、機能性微粒子(e)の機能に応じて、被膜に
種々の機能を付与することができる。
【0144】また、本発明5の被覆用組成物の構成は前
記した通りであり、さらに機能性微粒子(e)として、
フッ素樹脂微粒子を使用するので被膜に耐摩耗性、撥水
性、防汚性などが付与される。
【0145】本発明6の積層体の製造方法の構成は前記
した通りであり、被覆用組成物中の機能性微粒子(e)
として、フッ素樹脂微粒子を使用し、さらに錫テトラア
ルコキシド(f1 )、アルミニウムトリアルコキシド
(f2 )、チタニウムテトラアルコキシド(f3 )又は
ジルコニウムテトラアルコキシド(f4 )と錯体形成剤
(g)としてのジケトン化合物、アルコール化合物、ピ
リジン化合物、アルコールアミン化合物又はジアミン化
合物とからの有機金属錯体が使用されているので、基材
上に、耐摩耗性、撥水性、防汚性等の機能が付与された
耐擦傷性に優れた透明な被膜が形成された積層体を製造
することができる。
【0146】また、本発明1〜5の被覆用組成物及び本
発明6の積層体の製造方法において、アミノアルキルア
ルコキシシラン化合物(a)、水(b)、有機溶媒
(c)及び酸(d)からなる組成物のpHを6.5〜
8.0に調整しておき、これに、予め錫テトラアルコキ
シド(f1 )、アルミニウムトリアルコキシド
(f2 )、チタニウムテトラアルコキシド(f3 )又は
ジルコニウムテトラアルコキシド(f 4 )にジケトン化
合物、アルコール化合物、ピリジン化合物、アルコール
アミン化合物及びジアミン化合物とからなる群より選ば
れる錯体形成剤(g)を配位させた有機金属錯体を添加
したものに、機能性微粒子(f)を添加して被覆用組成
物を調整すると、被覆用組成物中の機能性微粒子(f)
の分散性が特に良好であり、この被覆用組成物を基材上
に塗布、硬化させると、ばらつきがなく、基材の透明性
を損なうことがない被膜を形成することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C09D 183/08 185:00)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)下記の一般式[I]で表されるア
    ミノアルキルアルコキシシラン化合物、 【化1】 (式中、Yはアミノ基を有する有機基、Y1 は炭化水素
    基、Rは炭素数1〜5のアルキル基、mは1〜5の整
    数、nは0〜2の整数) (b)水、(c)有機溶媒、(d)酸、(e)機能性微
    粒子、(f1 )上記アミノアルキルアルコキシシラン化
    合物1モルに対して0.05〜0.5モルの一般式Sn
    (OR1 4 (R1 は炭素数4又は5のアルキル基)で
    表される錫テトラアルコキシド、及び(g)β−ジケト
    ン、β−ケトエステルからなる群より選ばれるジケトン
    化合物;オキシアルコール類、オキソアルコール類、ジ
    オール類からなる群より選ばれるアルコール化合物;ピ
    リジン化合物;下記の一般式[II]、[III] 又は〔IV〕
    で表されるアルコールアミン化合物; 【化2】 (式中、R2 は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、R3
    は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又は水素、R4 は炭
    素数2〜5の脂肪族炭化水素基、R5 は炭素数1〜5の
    脂肪族炭化水素基、R6 は炭素数2〜5の脂肪族炭化水
    素基及びR7 は炭素数2〜5の脂肪族炭化水素基)及び
    ジアミン化合物からなる群より選ばれる錯体形成剤から
    なることを特徴とする被覆用組成物。
  2. 【請求項2】 (a)請求項1記載のアミノアルキルア
    ルコキシシラン化合物、(b)水、(c)有機溶媒、
    (d)酸、(e)機能性微粒子、(f2 )上記アミノア
    ルキルアルコキシシラン化合物1モルに対して0.03
    〜0.5モルの一般式Al(OR8 3 (R8 は炭素数
    3〜5のアルキル基)で表されるアルミニウムトリアル
    コキシド、及び(g)請求項1記載の錯体形成剤からな
    ることを特徴とする被覆用組成物。
  3. 【請求項3】 (a)請求項1記載のアミノアルキルア
    ルコキシシラン化合物、(b)水、(c)有機溶媒、
    (d)酸、(e)機能性微粒子、(f3 )上記アミノア
    ルキルアルコキシシラン化合物1モルに対して0.03
    〜0.7モルの一般式Ti(OR9 4 (R9 は炭素数
    1〜5のアルキル基)で表されるチタニウムテトラアル
    コキシド、及び(g)請求項1記載の錯体形成剤からな
    ることを特徴とする被覆用組成物。
  4. 【請求項4】 (a)請求項1記載のアミノアルキルア
    ルコキシシラン化合物、(b)水、(c)有機溶媒、
    (d)酸、(e)機能性微粒子、(f4 )上記アミノア
    ルキルアルコキシシラン化合物1モルに対して0.03
    〜0.6モルの一般式Zr(OR104 (R10は炭素数
    1〜5のアルキル基)で表されるジルコニウムテトラア
    ルコキシド、及び(g)請求項1記載の錯体形成剤から
    なることを特徴とする被覆用組成物。
  5. 【請求項5】 機能性微粒子がフッ素樹脂微粒子である
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の被覆用組成物。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の被覆用組成物を基材に塗
    布し硬化させることを特徴とする積層体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015071767A (ja) * 2009-01-30 2015-04-16 ザ・ボーイング・カンパニーTheBoeing Company ハイブリッドコーティング及び関連の塗布方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015071767A (ja) * 2009-01-30 2015-04-16 ザ・ボーイング・カンパニーTheBoeing Company ハイブリッドコーティング及び関連の塗布方法
CN105315886A (zh) * 2009-01-30 2016-02-10 波音公司 混合式涂料及相关的施加方法

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