JPH0830201B2 - 快削性複合鋼粉末 - Google Patents
快削性複合鋼粉末Info
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- JPH0830201B2 JPH0830201B2 JP62048246A JP4824687A JPH0830201B2 JP H0830201 B2 JPH0830201 B2 JP H0830201B2 JP 62048246 A JP62048246 A JP 62048246A JP 4824687 A JP4824687 A JP 4824687A JP H0830201 B2 JPH0830201 B2 JP H0830201B2
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Description
【発明の詳細な説明】 （技術分野） 本発明は快削性複合鋼粉末に係り、特に被削性や焼結
密度等の諸性能に優れた、またミクロ組織の改善された
焼結体を提供し得る複合鋼粉末に関するものである。
密度等の諸性能に優れた、またミクロ組織の改善された
焼結体を提供し得る複合鋼粉末に関するものである。
（背景技術） 近年、鋼の粉末を成形し、焼結して得られる焼結体、
即ち焼結鋼が、自動車や農業機械の部品を始め、家電部
品や事務機械部品に至るまで、広く利用されてきてい
る。このうち、寸法精度を必要とするもの或いは形状の
複雑な部品では、多くの場合、焼結体は切削加工により
最終製品に仕上げられることとなるが、その際、焼結体
としての焼結鋼の被削性の良否は、加工能率にとって重
要な問題となっているのである。
即ち焼結鋼が、自動車や農業機械の部品を始め、家電部
品や事務機械部品に至るまで、広く利用されてきてい
る。このうち、寸法精度を必要とするもの或いは形状の
複雑な部品では、多くの場合、焼結体は切削加工により
最終製品に仕上げられることとなるが、その際、焼結体
としての焼結鋼の被削性の良否は、加工能率にとって重
要な問題となっているのである。
このため、従来から、鋼粉末を焼結して得られる焼結
鋼の被削性を向上させるべく、かかる鋼粉末中にＳ、C
a、Te、Se等の快削元素を合金化せしめたり、かかる鋼
粉末にMnS、MoS2等の快削性付与成分の粉末を配合せし
める等の技術が、明らかにされている。
鋼の被削性を向上させるべく、かかる鋼粉末中にＳ、C
a、Te、Se等の快削元素を合金化せしめたり、かかる鋼
粉末にMnS、MoS2等の快削性付与成分の粉末を配合せし
める等の技術が、明らかにされている。
しかしながら、これら従来の被削性向上技術におい
て、前者のＳ等の快削元素を所定割合で合金化せしめて
なる鋼粉末を用いて、焼結鋼を製造する手法にあって
は、その鋼粉末の圧縮性が、そのようなＳ等の快削元素
を合金化していない鋼粉末に比して著しく低下し、充分
な焼結密度を有する焼結鋼が得られないといった問題が
あり、また後者のMnS等の快削性付与成分の粉末を配合
せしめる手法にあっては、そのような快削性付与成分が
焼結体中において粗大な凝集組織を構成して、そのミク
ロ組織を悪化せしめ、以て焼結体の機械的性質や耐食性
等の特性を劣化させる問題が内在していたのである。
て、前者のＳ等の快削元素を所定割合で合金化せしめて
なる鋼粉末を用いて、焼結鋼を製造する手法にあって
は、その鋼粉末の圧縮性が、そのようなＳ等の快削元素
を合金化していない鋼粉末に比して著しく低下し、充分
な焼結密度を有する焼結鋼が得られないといった問題が
あり、また後者のMnS等の快削性付与成分の粉末を配合
せしめる手法にあっては、そのような快削性付与成分が
焼結体中において粗大な凝集組織を構成して、そのミク
ロ組織を悪化せしめ、以て焼結体の機械的性質や耐食性
等の特性を劣化させる問題が内在していたのである。
（解決課題） ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為
されたものであって、その目的とするところは、優れた
被削性を有し、且つ高い焼結密度を有すると共に、ミク
ロ組織の改善された焼結体を有利に与え得る、圧縮性の
改善された複合鋼粉末を提供することにある。
されたものであって、その目的とするところは、優れた
被削性を有し、且つ高い焼結密度を有すると共に、ミク
ロ組織の改善された焼結体を有利に与え得る、圧縮性の
改善された複合鋼粉末を提供することにある。
（解決手段） すなわち、本発明は、かくの如き目的を達成するため
に、鋼母粉末に対して、快削元素を多量に合金化してな
る、該鋼母粉末よりも粒径の小さなFe基若しくはNi基微
粉末を配合せしめてなる快削性複合鋼粉末、或いはその
ようなFe基若しくはNi基微粉末を配合すると共に、他の
快削性付与成分の粉末を配合せしめてなる快削性複合鋼
粉末を、その要旨とするものである。
に、鋼母粉末に対して、快削元素を多量に合金化してな
る、該鋼母粉末よりも粒径の小さなFe基若しくはNi基微
粉末を配合せしめてなる快削性複合鋼粉末、或いはその
ようなFe基若しくはNi基微粉末を配合すると共に、他の
快削性付与成分の粉末を配合せしめてなる快削性複合鋼
粉末を、その要旨とするものである。
このように、本発明にあっては、鋼母粉末に対して、
快削元素を合金化した所定の微粉末を配合して得られ
る、複合鋼粉末を用いて成形し、焼結することによっ
て、目的とする焼結体（焼結鋼）を得るものであるとこ
ろから、快削元素を合金化してなる鋼粉末のみを用いて
焼結体を得る場合とは異なり、鋼母粉末の圧縮性や成形
性を有効に利用して、目的とする焼結体の焼結密度を効
果的に高め得ることとなったのであり、また焼結体の被
削性は、快削元素を合金化してなる微粉末の配合によっ
て発揮されることとなり、更には快削性付与成分の粉末
が配合せしめられず、或いは配合せしめられても、その
配合量を少なくするとが出来るところから、焼結体のミ
クロ組織の改善も有効に図り得ることとなったのであ
る。
快削元素を合金化した所定の微粉末を配合して得られ
る、複合鋼粉末を用いて成形し、焼結することによっ
て、目的とする焼結体（焼結鋼）を得るものであるとこ
ろから、快削元素を合金化してなる鋼粉末のみを用いて
焼結体を得る場合とは異なり、鋼母粉末の圧縮性や成形
性を有効に利用して、目的とする焼結体の焼結密度を効
果的に高め得ることとなったのであり、また焼結体の被
削性は、快削元素を合金化してなる微粉末の配合によっ
て発揮されることとなり、更には快削性付与成分の粉末
が配合せしめられず、或いは配合せしめられても、その
配合量を少なくするとが出来るところから、焼結体のミ
クロ組織の改善も有効に図り得ることとなったのであ
る。
ところで、かかる本発明において、快削性複合鋼粉末
の主体となる鋼母粉末としては、従来から公知の鋼粉末
の何れもが用いられ得るものであって、例えば普通鋼、
低合金鋼、ステンレス鋼等の粉末がある。そして、これ
らの粉末は、それぞれ公知の手法に従って製造されたも
のであって、例えば適当なガス若しくは液体の如き噴霧
媒体を用いて、それぞれの溶湯を噴霧することによっ
て、目的とする鋼粉末を製造する噴霧法等が適宜に用い
られることとなるが、特に本発明にあっては、水を噴霧
媒体とする噴霧法によって製造される水噴霧粉末が、成
形性等の観点から、好適に用いられることとなる。な
お、このような鋼母粉末の粒度にあっても、従来から焼
結鋼の製造に用いられる粉末の粒度範囲において適宜に
決定されるものであるが、本発明にあっては、一般に15
0μ以下の粒度（平均粒径）のものが好適に用いられる
こととなる。
の主体となる鋼母粉末としては、従来から公知の鋼粉末
の何れもが用いられ得るものであって、例えば普通鋼、
低合金鋼、ステンレス鋼等の粉末がある。そして、これ
らの粉末は、それぞれ公知の手法に従って製造されたも
のであって、例えば適当なガス若しくは液体の如き噴霧
媒体を用いて、それぞれの溶湯を噴霧することによっ
て、目的とする鋼粉末を製造する噴霧法等が適宜に用い
られることとなるが、特に本発明にあっては、水を噴霧
媒体とする噴霧法によって製造される水噴霧粉末が、成
形性等の観点から、好適に用いられることとなる。な
お、このような鋼母粉末の粒度にあっても、従来から焼
結鋼の製造に用いられる粉末の粒度範囲において適宜に
決定されるものであるが、本発明にあっては、一般に15
0μ以下の粒度（平均粒径）のものが好適に用いられる
こととなる。
また、かかる鋼母粉末に対して配合せしめられて、目
的とする焼結体に有効な快削特性を付与する粉末は、所
定の快削元素を多量に合金化してなる、かかる鋼母粉末
よりも粒径の小さなFe基若しくはNi基粉末、有利には該
鋼母粉末と同様な成分組成乃至は類似の成分を有するも
のであって、公知の手法に従って粉末化して得られたも
のであるが、本発明にあっては、特に噴霧法、なかで
も、水若しくはガスを噴霧媒体として用いる手法によっ
て、それぞれの溶湯から得られる水噴霧粉末またはガス
噴霧粉末が好適に用いられることとなる。また、その中
でも、本発明では、水噴霧粉末が、成形性等の観点か
ら、より有利に用いられ得るものである。
的とする焼結体に有効な快削特性を付与する粉末は、所
定の快削元素を多量に合金化してなる、かかる鋼母粉末
よりも粒径の小さなFe基若しくはNi基粉末、有利には該
鋼母粉末と同様な成分組成乃至は類似の成分を有するも
のであって、公知の手法に従って粉末化して得られたも
のであるが、本発明にあっては、特に噴霧法、なかで
も、水若しくはガスを噴霧媒体として用いる手法によっ
て、それぞれの溶湯から得られる水噴霧粉末またはガス
噴霧粉末が好適に用いられることとなる。また、その中
でも、本発明では、水噴霧粉末が、成形性等の観点か
ら、より有利に用いられ得るものである。
ところで、このようなFe基若しくはNi基微粉末におい
て、合金化せしめられる快削元素としては、Ｓ、Ca、P
b、Te、Se、Bi等の公知の元素があり、これら元素の少
なくとも１種がFeベース若しくはNiベースの組成中に、
所定割合で含有せしめられることとなる。尤も、この快
削元素の含有割合は、そのような微粉末の配合割合、快
削元素の種類、更には目的とする複合鋼粉末全体の快削
元素の含有量等に従って、適宜に決定されるものである
が、一般に前記鋼母粉末よりも２倍以上の割合であるこ
とが望ましく、より具体的には10％、特に５％を越えな
い割合において含有せしめられることとなる。
て、合金化せしめられる快削元素としては、Ｓ、Ca、P
b、Te、Se、Bi等の公知の元素があり、これら元素の少
なくとも１種がFeベース若しくはNiベースの組成中に、
所定割合で含有せしめられることとなる。尤も、この快
削元素の含有割合は、そのような微粉末の配合割合、快
削元素の種類、更には目的とする複合鋼粉末全体の快削
元素の含有量等に従って、適宜に決定されるものである
が、一般に前記鋼母粉末よりも２倍以上の割合であるこ
とが望ましく、より具体的には10％、特に５％を越えな
い割合において含有せしめられることとなる。
また、かかるFe基若しくはNi基微粉末は、その粒径が
小なる程、前記鋼母粉末の特性を有利に利用し得るとこ
ろから、該鋼母粉末よりも小さな粒径において、特にか
かる鋼母粉末の粒径の1/2以下の粒径となるように調製
され、更にそのような微粉末は、複合鋼粉末全体の30％
重量％を越えない割合において、好適には20％重量を越
えない割合において配合せしめられることとなる。
小なる程、前記鋼母粉末の特性を有利に利用し得るとこ
ろから、該鋼母粉末よりも小さな粒径において、特にか
かる鋼母粉末の粒径の1/2以下の粒径となるように調製
され、更にそのような微粉末は、複合鋼粉末全体の30％
重量％を越えない割合において、好適には20％重量を越
えない割合において配合せしめられることとなる。
さらに、本発明にあっては、鋼母粉末に対して、上記
の如きFe基若しくはNi基微粉末を配合せしめると共に、
他の快削性付与成分の粉末、例えばMnS、FeS、BN、MnT
e、SnO2、SiO2、タルク、ガラス等の化合物の如きもの
の粉末を配合せしめることも可能である。この快削性付
与成分の粉末の更なる配合によって、目的とする焼結体
の快削性は向上せしめられることとなるが、その配合量
の増大に従って、焼結体のミクロ組織が悪化するように
なるところから、その配合量は必須の配合成分たるFe基
若しくはNi基微粉末の配合割合に関連して、悪影響をも
たらさない程度において決定される必要がある。
の如きFe基若しくはNi基微粉末を配合せしめると共に、
他の快削性付与成分の粉末、例えばMnS、FeS、BN、MnT
e、SnO2、SiO2、タルク、ガラス等の化合物の如きもの
の粉末を配合せしめることも可能である。この快削性付
与成分の粉末の更なる配合によって、目的とする焼結体
の快削性は向上せしめられることとなるが、その配合量
の増大に従って、焼結体のミクロ組織が悪化するように
なるところから、その配合量は必須の配合成分たるFe基
若しくはNi基微粉末の配合割合に関連して、悪影響をも
たらさない程度において決定される必要がある。
なお、鋼母粉末に対して、上記のFe基若しくはNi基微
粉末を配合し、更に他の快削性付与成分の粉末を配合せ
しめて、本発明に従う快削性複合鋼粉末を製造するに際
しては、基本的に、それらの粉末を単に混合することに
よって、その目的は達成されることとなるが、また本発
明にあっては、かかる鋼母粉末に対して、上記の快削性
微粉末を熱処理や糊付け等の方法によってその表面に付
着乃至は接合せしめて、復合化する方法も採用可能であ
り、これによって、粉末の偏析を避け、比較的均質な複
合粉末を得ることが出来る。
粉末を配合し、更に他の快削性付与成分の粉末を配合せ
しめて、本発明に従う快削性複合鋼粉末を製造するに際
しては、基本的に、それらの粉末を単に混合することに
よって、その目的は達成されることとなるが、また本発
明にあっては、かかる鋼母粉末に対して、上記の快削性
微粉末を熱処理や糊付け等の方法によってその表面に付
着乃至は接合せしめて、復合化する方法も採用可能であ
り、これによって、粉末の偏析を避け、比較的均質な複
合粉末を得ることが出来る。
そして、このようにして得られた本発明に従う快削性
複合鋼粉末は、通常の粉末焼結手法に従って成形され、
所定の成形体（圧粉体）とされた後、焼結せしめられる
ことにより、被削性や焼結密度の諸性能に優れた、また
ミクロ組織の改善された焼結体を与え、以て各種の用途
に有利に適用され得るのである。
複合鋼粉末は、通常の粉末焼結手法に従って成形され、
所定の成形体（圧粉体）とされた後、焼結せしめられる
ことにより、被削性や焼結密度の諸性能に優れた、また
ミクロ組織の改善された焼結体を与え、以て各種の用途
に有利に適用され得るのである。
（実施例） 以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本発明を更
に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、その
ような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるも
のでないことは、言うまでもないところである。
に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、その
ような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるも
のでないことは、言うまでもないところである。
また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上
記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限
りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修
正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべ
きである。
記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限
りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修
正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべ
きである。
なお、以下の実施例中の部及び百分率は、特に断わり
のない限り、何れも重量基準によって示されるものであ
る。
のない限り、何れも重量基準によって示されるものであ
る。
先ず、下記第１表に示される化学成分を有するステン
レス鋼溶湯を用いて、通常の水噴霧手法若しくはガス噴
霧手法にて、快削元素:Sの含有量の異なる３種のステン
レス鋼粉末を製造した。なお、第１表における粉末:Aは
鋼母粉末であり、また粉末:Bは従来レベルの快削性鋼粉
末であり、更に粉末:Cは、本発明に従って鋼母粉末に配
合される快削性微粉末である。
レス鋼溶湯を用いて、通常の水噴霧手法若しくはガス噴
霧手法にて、快削元素:Sの含有量の異なる３種のステン
レス鋼粉末を製造した。なお、第１表における粉末:Aは
鋼母粉末であり、また粉末:Bは従来レベルの快削性鋼粉
末であり、更に粉末:Cは、本発明に従って鋼母粉末に配
合される快削性微粉末である。
次いで、かかる３種の鋼粉末:A、Ｂ、Ｃと共に、市販
のMnS粉末を用いて、0.2％Ｓ含有量になるように、下記
第２表に示される如き配合割合にて配合して、各種の焼
結用粉末試料１〜５を得た。なお、それぞれの焼結用粉
末試料１〜５には、何れも潤滑剤として、ステアリン酸
亜鉛の１部を同時に均一に混合せしめた。
のMnS粉末を用いて、0.2％Ｓ含有量になるように、下記
第２表に示される如き配合割合にて配合して、各種の焼
結用粉末試料１〜５を得た。なお、それぞれの焼結用粉
末試料１〜５には、何れも潤滑剤として、ステアリン酸
亜鉛の１部を同時に均一に混合せしめた。
そして、この得られた５種の焼結用粉末試料１〜５を
用いて、それぞれの焼結体の特性を、次のようにして調
べた。先ず、圧粉密度、焼結密度及び収縮率を測定する
ために、それぞれの試料を成形圧力:3、５、７、9t/cm2
にて成形して、それぞれ円柱状のナンプル（φ11×10）
を製造し、次いで通常の焼結手法に従って、真空下、50
0℃×30分の脱ろう操作の後、1200℃×60分の焼結操作
を行なって、目的とする焼結体サンプルを得た。これら
得られたサンプルについて、それぞれの成形体の圧粉密
度、更には得られた焼結体の焼結密度、収縮率をそれぞ
れ調べて、その結果を第１図乃至第３図に示した。
用いて、それぞれの焼結体の特性を、次のようにして調
べた。先ず、圧粉密度、焼結密度及び収縮率を測定する
ために、それぞれの試料を成形圧力:3、５、７、9t/cm2
にて成形して、それぞれ円柱状のナンプル（φ11×10）
を製造し、次いで通常の焼結手法に従って、真空下、50
0℃×30分の脱ろう操作の後、1200℃×60分の焼結操作
を行なって、目的とする焼結体サンプルを得た。これら
得られたサンプルについて、それぞれの成形体の圧粉密
度、更には得られた焼結体の焼結密度、収縮率をそれぞ
れ調べて、その結果を第１図乃至第３図に示した。
この第１図乃至第３図の結果から明らかなように、本
発明に従う複合粉末:3、４を用いて得られた成形体やそ
の焼結体にあっては、充分な圧縮性を有すると共に、焼
結密度においても、従来の快削粉（試料２）を用いた場
合に比べて、著しく改善されており、収縮率においても
大きいことが認められる。
発明に従う複合粉末:3、４を用いて得られた成形体やそ
の焼結体にあっては、充分な圧縮性を有すると共に、焼
結密度においても、従来の快削粉（試料２）を用いた場
合に比べて、著しく改善されており、収縮率においても
大きいことが認められる。
また、上記で得られた成形圧力が7t/cm2の焼結品につ
いて、それぞれの試料のもののミクロ組織について顕微
鏡で調べたところ、MnSのみを配合せしめた試料:5の粉
末を使用した焼結体にあっては、粗大粒子が析出、混在
した組織となっており、これによって、焼結体の機械的
性質や耐食性を劣化させることが認められた。
いて、それぞれの試料のもののミクロ組織について顕微
鏡で調べたところ、MnSのみを配合せしめた試料:5の粉
末を使用した焼結体にあっては、粗大粒子が析出、混在
した組織となっており、これによって、焼結体の機械的
性質や耐食性を劣化させることが認められた。
さらに、被削性調査のために、切削試験片として、そ
れぞれの試料から、成形圧力:5、7t/cm2にて円板状成形
品（φ33×35）を成形した後、上記と同様にして、500
℃×30分の熱処理の後、1200℃×60分の焼結操作を真空
中において行ない、それぞれの試料から二つの焼結体を
製造し、下記切削條件にて施盤により切削し、その結果
を第４図に示した。
れぞれの試料から、成形圧力:5、7t/cm2にて円板状成形
品（φ33×35）を成形した後、上記と同様にして、500
℃×30分の熱処理の後、1200℃×60分の焼結操作を真空
中において行ない、それぞれの試料から二つの焼結体を
製造し、下記切削條件にて施盤により切削し、その結果
を第４図に示した。
切削条件 工具材質・・・P20 工具形状・・・SPP321 送り速度・・・0.2mm/rev 切り込み・・・2.0mm 切削速度・・・100m/min 切削油 ・・・なし 第４図の結果から明らかなように、快削元素:Sが充分
に添加されていない通常の鋼粉末、即ちベース粉（試料
１）を用いて得られた焼結体にあっては、切削抵抗が大
きく、従って被削性は良好でないのに対して、本発明に
従う複合粉末（試料３、４）を用いて得られた焼結体
や、通常の快削粉（試料２）、MnS添加粉（試料５）か
ら得られた焼結体にあっては、何れも切削抵抗が小さ
く、それ故被削性に優れていることが認められるのであ
る。
に添加されていない通常の鋼粉末、即ちベース粉（試料
１）を用いて得られた焼結体にあっては、切削抵抗が大
きく、従って被削性は良好でないのに対して、本発明に
従う複合粉末（試料３、４）を用いて得られた焼結体
や、通常の快削粉（試料２）、MnS添加粉（試料５）か
ら得られた焼結体にあっては、何れも切削抵抗が小さ
く、それ故被削性に優れていることが認められるのであ
る。
（発明の効果） 以上の説明から明らかなように、本発明は、鋼母粉末
に対して、快削元素を多量に合金化してなる粒径の小さ
なFe基若しくはNi基微粉末を単独で配合し、或いは他の
快削性付与成分の粉末と共に配合せしめて、快削性複合
鋼粉末としたものであって、これにより成形時の圧縮性
を改善し、以て高い焼結密度を有する、被削性に優れた
焼結体を有利に製造し得るようにしたものであり、そこ
に、本発明の大きな工業的意義が存するのである。
に対して、快削元素を多量に合金化してなる粒径の小さ
なFe基若しくはNi基微粉末を単独で配合し、或いは他の
快削性付与成分の粉末と共に配合せしめて、快削性複合
鋼粉末としたものであって、これにより成形時の圧縮性
を改善し、以て高い焼結密度を有する、被削性に優れた
焼結体を有利に製造し得るようにしたものであり、そこ
に、本発明の大きな工業的意義が存するのである。
第１図乃至第４図は、それぞれ、実施例において得られ
た各種焼結体の圧粉密度、焼結密度、収縮率及び被削性
の測定の結果を示すグラフである。
た各種焼結体の圧粉密度、焼結密度、収縮率及び被削性
の測定の結果を示すグラフである。
Claims (15)
- 【請求項１】鋼母粉末に対して、快削元素を多量に合金
化してなる、該鋼母粉末よりも粒径の小さなFe基若しく
はNi基微粉末を配合せしめてなる快削性複合鋼粉末。 - 【請求項２】前記鋼母粉末が、水噴霧粉末である特許請
求の範囲第１項記載の快削性複合鋼粉末。 - 【請求項３】前記Fe基若しくはNi基微粉末が、水噴霧粉
末またはガス噴霧粉末である特許請求の範囲第１項また
は第２項記載の快削性複合鋼粉末。 - 【請求項４】前記Fe基若しくはNi基微粉末が、前記鋼母
粉末よりも２倍以上の快削元素を含んでいる特許請求の
範囲第１項乃至第３項の何れかに記載の快削性複合鋼粉
末。 - 【請求項５】前記Fe基若しくはNi基微粉末が、前記鋼母
粉末の1/2以下の粒径を有している特許請求の範囲第１
項乃至第４項の何れかに記載の快削性複合鋼粉末。 - 【請求項６】前記Fe基若しくはNi基微粉末が、複合鋼粉
末の30重量％を越えない割合において配合せしめられて
いる特許請求の範囲第１項乃至第５項の何れかに記載の
快削性複合鋼粉末。 - 【請求項７】前記快削元素が、Ｓ、Ca、Pb、Te、Se及び
Biからなる群より選ばれた少なくとも１種の元素である
特許請求の範囲第１項乃至第６項の何れかに記載の快削
性複合鋼粉末。 - 【請求項８】鋼母粉末に対して、快削元素を多量に合金
化してなる、該鋼母粉末よりも粒径の小さなFe基若しく
はNi基微粉末を配合すると共に、他の快削性付与成分の
粉末を更に配合せしめてなる快削性複合鋼粉末。 - 【請求項９】前記鋼母粉末が、水噴霧粉末である特許請
求の範囲第８項記載の快削性複合鋼粉末。 - 【請求項１０】前記Fe基若しくはNi基微粉末が、水噴霧
粉末またはガス噴霧粉末である特許請求の範囲第８項ま
たは第９項記載の快削性複合鋼粉末。 - 【請求項１１】前記Fe基若しくはNi基微粉末が、複合鋼
母粉末よりも２倍以上の快削元素を含んでいる特許請求
の範囲第８項乃至第10項の何れかに記載の快削性複合鋼
粉末。 - 【請求項１２】前記Fe基若しくはNi基微粉末が、前記鋼
母粉末の1/2以下の粒径を有している特許請求の範囲第
８項乃至第11項の何れかに記載の快削性複合鋼粉末。 - 【請求項１３】前記Fe基若しくはNi基微粉末が、複合鋼
粉末の30重量％を越えない割合において配合せしめられ
ている特許請求の範囲第８項乃至第12項の何れかに記載
の快削性複合鋼粉末。 - 【請求項１４】前記快削元素が、Ｓ、Ca、Pb、Te、Se及
びBiからなる群より選ばれた少なくとも１種の元素であ
る特許請求の範囲第８項乃至第13項の何れかに記載の快
削性複合鋼粉末。 - 【請求項１５】前記他の快削性付与成分の粉末が、Mn
S、FeS、BN、MnTe、SnO2、SiO2、タルク及びガラスから
なる群より選ばれた少なくとも１種の粉末である特許請
求の範囲第８項乃至第14項の何れかに記載の快削性複合
鋼粉末。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP62048246A JPH0830201B2 (ja) | 1987-03-03 | 1987-03-03 | 快削性複合鋼粉末 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP62048246A JPH0830201B2 (ja) | 1987-03-03 | 1987-03-03 | 快削性複合鋼粉末 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS63216902A JPS63216902A (ja) | 1988-09-09 |
| JPH0830201B2 true JPH0830201B2 (ja) | 1996-03-27 |
Family
ID=12798083
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP62048246A Expired - Lifetime JPH0830201B2 (ja) | 1987-03-03 | 1987-03-03 | 快削性複合鋼粉末 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0830201B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US4927461A (en) * | 1988-11-02 | 1990-05-22 | Quebec Metal Powders, Ltd. | Machinable-grade, ferrous powder blend containing boron nitride and method thereof |
| SG83757A1 (en) * | 1999-12-09 | 2001-10-16 | Wing Thye Lum | Powder composition and method for polishing stone |
-
1987
- 1987-03-03 JP JP62048246A patent/JPH0830201B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS63216902A (ja) | 1988-09-09 |
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