JPH08300657A - サーマルインクジェットヘッドおよび記録装置 - Google Patents

サーマルインクジェットヘッドおよび記録装置

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JPH08300657A
JPH08300657A JP7112097A JP11209795A JPH08300657A JP H08300657 A JPH08300657 A JP H08300657A JP 7112097 A JP7112097 A JP 7112097A JP 11209795 A JP11209795 A JP 11209795A JP H08300657 A JPH08300657 A JP H08300657A
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直己 森田
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Satonobu Hamazaki
聡信 浜崎
Masahiko Fujii
雅彦 藤井
Yoshihiko Fujimura
義彦 藤村
Yukihisa Koizumi
幸久 小泉
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    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2002/14379Edge shooter

Abstract

(57)【要約】 【目的】 クロストークを発生することなく、周波数応
答性を向上させ、小型化し、しかも製造コストの上昇を
引き起こさない流路構造を有するサーマルインクジェッ
トヘッドおよび記録装置を提供する。 【構成】 チャネルウェハ4には、複数のノズル流路5
a,…と共通のインクリザーバ7が形成され、ヒータウ
ェハ8上のポリイミド層9には、発熱体1a,…の上部
からインクリザーバ7に連通するピット2a,…が形成
されている。ピット2a,…は、発熱体1a,…の後部
に絞り部を有しており、その絞り部上にノズル流路5
a,…の終端が配置され、流路の最小断面積部を形成し
ている。この部分の流路抵抗によって、安定したインク
の吐出特性を実現し、バブルの圧力のインクリザーバ7
への抜けを低減している。インクリザーバ7へ伝搬した
圧力は、その内部で減衰し、クロストークは発生しな
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、バブル発生用抵抗体か
ら発生する熱によりインク中に気泡を発生させ、発生し
た気泡の圧力によりインクをノズルから吐出させ、記録
を行なうサーマルインクジェットヘッドに関するもので
あり、特に、サーマルインクジェットヘッドのインク流
路の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、記録装置に対して高速化と高
画質化が求められている。インクをノズルから吐出さ
せ、記録を行なうインクジェット方式の記録装置におい
ても例外ではない。このような要求を満たすためにサー
マルインクジェットヘッドに求められる技術としては、
繰り返し応答性を高くして印字速度を上げること、およ
び、インク滴が安定に周波数応答して確実に紙面に達す
ることが挙げられる。不安定なインク滴の噴射は、イン
ク滴が紙面に到達するまでの時間およびインク滴が飛翔
する方向にばらつきが発生し、従って紙面における記録
位置が不揃いとなって画質を低下させる要因となる。
【0003】また、画質を向上させるための技術とし
て、高密度化、高集積化技術が挙げられる。これらの技
術は、ドット密度相当のピッチにノズルを配すること、
さらにはノズルピッチを狭くするための技術であり、今
後の高画質化に寄与するために必要となる技術である。
しかし、このとき問題となるのは、ノズル間のクロスト
ークである。圧力を用いてインクを噴射する場合、圧力
源が近接しているほど隣接するノズルに影響を与え、イ
ンク滴の噴射が不安定となる要因になる。
【0004】ここで、隣接するノズルへの圧力伝搬は、
当然ながらノズルより後方の共通の流路を通じて行なわ
れる。クロストークを抑制するためには、第1にはイン
クを噴射するためのバブル圧力を効率よくノズル側に伝
搬させ、共通の流路を通じての圧力伝搬を減少させれば
よい。そのため、インクの流路は、ノズルに対し圧力源
より後方には圧力の逃げが少ない構造であることが望ま
しい。例えば、特開平6−226978号公報では、イ
ンクキャビティ内にコンダクタンス調整壁を配置するこ
とで、ノズル側へ向かうエネルギーの増大を図ってい
る。ところが、このようなコンダクタンス調整壁の設置
は、同時に流路抵抗の増大によるインクリフィルの阻害
を招き、応答周波数の低下を招き、その結果、印字は不
安定となる。
【0005】クロストークを抑制するための第2の方法
は、ノズルより後方側に伝播した圧力に対し、流路構造
を工夫することによって圧力伝播を緩和することであ
る。例えば、特開平6−210872号公報、特開平6
−191030号公報には、後方に気体が封入されたバ
ッファ室を設けるなど、インピーダンス制御を行なう構
成が記載されている。しかし、この構成では、構造の複
雑になるとともに、気体を取り扱うという新たな不安定
要因があり、十分な効果を望めない。
【0006】また、インクのリフィルを促進して応答性
を確保し、なおかつ、流路中に混入してくるゴミの捕獲
するため、特願平6−307221号に記載されている
ような、ノズル流路とインクリザーバの間に連通流路を
設け、発熱体から連通流路まで延在する溝と、インクリ
ザーバと連通流路をつなぐ溝を設けた構成が考えられて
いる。この構造によれば、高い周波数応答性とゴミをト
ラップする機能は実現したものの、発熱体の後方に配置
されている連通流路を介して圧力が伝搬し、クロストー
クを解消できなかった。一方で製造技術の進展により、
ゴミ混入は皆無となり、チップ流路内にフィルタを設置
する必要性が解消された。
【0007】インクのリフィルを促進するための1つの
方法として、インクの流路抵抗を減らすことが考えられ
る。しかし、極端な流路抵抗の減少は逆に印字欠陥を引
き起こす。図16は、白抜け欠陥の説明図、図17は白
抜け欠陥部分の拡大図である。図16に示すように、高
周波数でベタ印字を行なった際に、ベタ印字部の先頭付
近に白スジ上の白抜け欠陥が発生する場合がある。この
印字状態を観察すると、図17に示すように、白スジの
発生は、非噴射などによるドット抜けではなく、ドット
の位置ズレであることがわかった。打ち始めの数ビット
がずれ、その後、安定してドットを印字する結果、白ス
ジとなって検知される、というのが高周波数で印字を行
なった場合の先頭の白スジ発生のメカニズムである。従
って、この打ち始めインクの流れを安定させることによ
り、この画質欠陥を回避することが可能となる。これ
は、ジェットが噴射した後の流体の振動を速やかに静止
状態とすることにより達成される。すなわち、十分な流
路抵抗を設けてインクの振動を抑止することによって、
画質欠陥を低減することが可能となる。このように、流
路抵抗を最適に制御することによって、インクのリフィ
ルとインクの流れの安定化を図る必要がある。さらに、
流路抵抗によって上述のような後方への圧力の伝搬を抑
制することができ、これらを考慮して流路構造を決定す
ることが必要となる。
【0008】さらに、決定した流路構造を均一に形成し
なければならない。ヘッドの製造時に流路を均一に形成
する方法として、例えば、特開平6−238904号公
報に記載されているように、数段階のプロセスにより流
路を形成する方法があるが、この方法では製造が複雑で
コスト高を招く。製造方法は簡易であることが望まれ
る。さらに、従来、特開平5−155020号公報、特
開平6−183002号公報、特開平6−270404
号公報に記載されているように、チャネル基板とヒータ
基板の間に設けられた厚膜樹脂層に各々の機能目的を有
する溝あるいは凹部を複数種設けることによって性能の
改善を図っている。しかし、信頼性を満足するようにこ
れらの溝や凹部を作製するためには、厳しい精度が要求
され、同時にコスト高を招いていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みてなされたもので、クロストークを発生するこ
となく、周波数応答性を向上させ、チップの大きさを小
さく保ち、しかも製造工程コストの上昇を引き起こさな
い流路構造を有するサーマルインクジェットヘッドおよ
び記録装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、バブル発生用抵抗体を有するヒータ基板と、複数の
ノズル流路、インクリザーバ、インク供給口を有するチ
ャネル基板とからなるサーマルインクジェットヘッドに
おいて、前記チャネル基板に形成されるノズル流路は前
記バブル発生用抵抗体上を通過して該バブル発生用抵抗
体の端部付近まで形成され、前記ヒータ基板上には、少
なくとも、前記バブル発生用抵抗体の上部から前記イン
クリザーバに連結するまで延在する溝が設けられてお
り、前記チャネル基板に形成されている前記ノズル流路
と前記インクリザーバとの間の隔壁と前記ヒータ基板に
設けられた前記溝とで形成されるインクの流路の断面積
が最小となるように形成されていることを特徴とするも
のである。前記インクリザーバは、請求項2に記載の発
明のように、前記インク供給口から前記ノズル流路に向
かって断面積が減少するように構成することができる。
また、請求項3に記載の発明のように、前記インクリザ
ーバを複数の前記ノズル流路に対して共通に設けること
ができる。
【0011】また、請求項4に記載の発明のように、前
記溝は、前記バブル発生用抵抗体の上部から前記インク
リザーバに至る間においてその断面積が前記ノズルの配
列方向に対し縮小されている形状とすることができる。
このとき、前記ノズル流路に、前記ノズル流路の配列方
向および前記ノズル流路の延在する方向と直交する方向
に対し拡大される斜面を形成し、該斜面の前記インクリ
ザーバ側の終端が、前記溝の断面積が縮小される部位の
上方に存在するように配置することができる。
【0012】請求項5に記載の発明は、バブル発生用抵
抗体を有するヒータ基板と、複数のノズル流路、インク
リザーバ、インク供給口を有するチャネル基板とからな
るサーマルインクジェットヘッドにおいて、前記チャネ
ル基板には、前記バブル発生用抵抗体上を通過して前記
バブル発生用抵抗体の端部付近まで形成された複数のノ
ズル流路と、インクを供給するためのインク供給口と、
該インク供給口に連通し断面積が前記インク供給口から
前記ノズル流路に向かって増加している複数の前記ノズ
ルに共通のインクリザーバが少なくとも形成されてお
り、前記ヒータ基板上には、合成樹脂層が設けられ、該
合成樹脂層には、前記バブル発生用抵抗体の上部から前
記チャネル基板に形成されたインクリザーバに連結する
まで延在しかつ前記バブル発生用抵抗体の上部から前記
インクリザーバに至る間においてその断面積が前記ノズ
ル流路の配列方向に対して縮小された溝が形成されてい
ることを特徴とするものである。
【0013】請求項6に記載の発明は、記録装置におい
て、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のサーマル
インクジェットヘッドを用いたことを特徴とするもので
ある。
【0014】
【作用】本発明によれば、チャネル基板に形成されるノ
ズル流路をバブル発生用抵抗体上を通過してバブル発生
用抵抗体の端部付近まで形成し、ヒータ基板上には、少
なくとも、前記バブル発生用抵抗体の上部から前記イン
クリザーバに連結するまで延在する溝を設けた。そし
て、ノズル流路とインクリザーバとの間の隔壁と、ヒー
タ基板に設けられた溝とで形成されるインクの流路の断
面積が最小となるように形成した。これによって、バブ
ル発生用抵抗体上で発生するバブルの圧力は、その後部
の流路の断面積が最小となっていることからノズル側に
良好に働き、後方への圧力の伝搬を減少させることがで
きる。また、バブルの圧力が効率よくインク滴の吐出に
用いられるため、十分なインクの噴射力を確保でき、動
作が安定し、駆動周波数の向上および画質の向上を実現
することができる。このとき、断面積が最小となる部分
でインクのリフィルが阻害される懸念があるが、バブル
発生用抵抗体上の溝がインクリザーバまで延在している
ので、バブル消滅後は溝のインクリザーバと連通する部
分から直線的にインクが移動するのみでバブル発生用抵
抗体上にインクが再充填され、良好にしかも高速にイン
クのリフィルを行なうことができ、高い周波数応答性が
確保されている。このように、流路の断面積が最小とな
る部分をバブル発生用抵抗体の後方に配置し、適正な流
路抵抗を与えているので、リフィルを阻害することな
く、効率よくバブルの圧力をインクの吐出に使用でき、
かつ、インクリザーバ側に対して十分なインピーダンス
成分を有するため、インク噴射後に発生する後方への圧
力伝播に基づくノズルからの空気吸引、高周波数印字時
の圧力の後方成分とバブル発生圧力の相関に基づく乱れ
をすばやく抑制でき、インクの吐出が安定し、正確なド
ット位置制御を行なって画質を向上させることができ
る。
【0015】さらに、溝を介してインクリザーバへと伝
搬した圧力も、インクリザーバ内に拡散吸収されるの
で、クロストークを低減することができる。このとき、
請求項3に記載の発明のように、インクリザーバが複数
のノズル流路に対して共通に設けられていても、他のノ
ズルに伝搬する圧力は非常に小さくなり、クロストーク
として影響が及ぶことはない。
【0016】これらの構成は、従来の製造方法を用いて
実現することができ、単にマスクパターンを変更するの
みである。そのため、コストの変動はなく、上述のよう
な効果を得ることができる。しかも、従来より流路長を
短くすることができるので、1枚のウェハ当たりのヘッ
ドの割り付け量を増加させることができ、コストを低下
させることが可能である。さらに、従来では、ヒータ基
板に設けていた開口は、1ノズルに対応する流路上に複
数存在したが、本発明では1個で済むようになってい
る。そのため、従来のようにそれぞれの開口間の精度は
要求されず、製造が容易になる。また、請求項6に記載
の発明のように、開口部を合成樹脂層に設ける構成で
は、この樹脂層は薄いため、インクの回り込みなど、故
障の要因となりやすい。本発明のように、開口部を減ら
すことは製造上の不安定要因をなくすものであり、信頼
性向上につながる。
【0017】請求項2に記載の発明のように、インクリ
ザーバの構造として、インク供給口から前記ノズル流路
に向かって断面積が減少するように構成すれば、インク
リザーバへ伝搬した圧力の拡散吸収を助長することがで
きる。また、サーマルインクジェットヘッドを記録装置
に装着する際に、インクタンクからのインクをインク供
給口から供給するためのインク供給手段をヘッドに接合
するが、この構造は、接合の際の面積を増加させ、密閉
されたインク流路を良好に形成することができる。
【0018】請求項4に記載の発明によれば、ヒータ基
板に設けられた溝は、前記バブル発生用抵抗体の上部か
ら前記インクリザーバに至る間においてその断面積が前
記ノズルの配列方向に対し縮小されている形状とするこ
とができる。これによって、バブル発生用抵抗体上に発
生したバブルは、その成長の形状が溝の縮小されている
部分で規制されるとともに、後方への圧力の逃げをさら
に減少させ、効率よくバブルの圧力をインクの噴射に利
用することができる。さらに、ノズル流路に、ノズル流
路の配列方向およびノズル流路の延在する方向と直交す
る方向に対し拡大される斜面を設けているので、バブル
発生用抵抗体上に発生するバブルの圧力を斜面でノズル
の開口へ向かう方向へ向けることができ、効率よく圧力
を利用することができる。さらに、斜面のインクリザー
バ側の終端が、溝の断面積が縮小される部位の上方に存
在するように配置することによって、インクの流路の断
面積を小さくし、バブルの圧力のインクリザーバへの逃
げを減少させることができる。さらに、この配置によっ
て斜面がバブル発生用抵抗体上に近く、あるいは、バブ
ル発生用抵抗体上にかかるように配置されるので、良好
な形状にバブルを成長させることができ、バブルによる
圧力を効率的に利用することができる。
【0019】請求項5に記載の発明によれば、ヒータ基
板上の合成樹脂層に溝を設けた構成によって、上述のよ
うな作用を実現している。
【0020】請求項6に記載の発明によれば、上述のよ
うな作用を実現したサーマルインクジェットヘッドを用
いることによって、高速な、しかも良好な画質が得られ
る記録装置を実現することができる。
【0021】
【実施例】図1は、本発明のサーマルインクジェットヘ
ッドの一実施例の概略を示す斜視図、図2は、同じく断
面図、図3は、同じく流路構造を示す三面図、図4は、
同じくピットの一部拡大図、図5は、同じくピット付近
の拡大斜視図である。図中、1,1a,1b,1cは発
熱体、2,2a,2b,2cはピット、3,3a,3
b,3cはポリイミド壁、4はチャネルウェハ、5,5
a,5b,5cはノズル流路、6はインクリザーバ前方
部、7はインクリザーバ、8はヒータウェハ、9はポリ
イミド層、10は保護膜、11はチャネル圧力壁であ
る。図4は、図3中の点線円内を拡大した図である。
【0022】サーマルインクジェットヘッドは、チャネ
ルウェハ4と、ポリイミド層9が形成されたヒータウェ
ハ8を貼り合わせて構成されている。ヒータウェハ8
は、例えば、Siにより構成され、複数の発熱体1a,
1b,1c,・・・、および、図示しない共通電極、個
別電極等が形成されている。その上に、電極などを保護
するための保護膜10が形成され、さらにその上に、合
成樹脂層としてポリイミド層9が形成される。ポリイミ
ド層9には、発熱体1a,1b,1cの上部から、イン
クリザーバ前方部6に連結されるピット2a,2b,2
c,・・・が、例えば、エッチングなどにより形成され
る。一方、チャネルウェハ4も、例えば、Si等で構成
され、ノズル流路5a,5b,5c,・・・と、インク
リザーバ前方部6を有するインクリザーバ7が、例え
ば、ODEで形成される。ODEで形成されたノズル流
路は、三角柱状である。インクリザーバ7は2回のOD
Eで形成される。1回目のODEでインクリザーバ7を
チャネルウェハ4の貫通孔として形成し、2回目のOD
Eでインクリザーバ前方部6を形成する。これにより、
チャネルウェハ4に形成された開口であるインク供給口
を小さくし、図示しないインク供給手段との接着面積を
広げている。もちろん、インクリザーバ前方部6を設け
ず、インクリザーバ7を1回のODEで形成してもよ
い。
【0023】ピット2は、図3に示すように発熱体1の
前方のポリイミド層9を少し除去している。また、ピッ
ト2は、発熱体1の後方で流路を平面的に絞って絞り部
を形成する構造としている。このような形状は、ポリイ
ミド層9のマスクパターンをピット2の形状にそって設
計することで容易に達成される。絞り部とノズル流路5
の位置関係は、ノズル流路5のチャネル圧力壁11の終
端部、すなわちチャネル圧力壁11による流路の最小閉
塞部が、絞り部上に配置されるように位置合わせされ
る。絞り部の形状は、インクリザーバ7側から発熱体1
へ向かって次第に狭め、発熱体1の直後で平面的に最小
とした形状を有している。このような形状によって、イ
ンクリフィル時のインクの流路抵抗を減少させ、逆に発
熱体1上で発生するバブルの圧力の後方への逃げを阻止
するとともに、バブルが成長する形状を規制している。
【0024】さらに、ピット2のインクリザーバ7との
連結部分に形成されるポリイミド壁3は半円形状とし
た。発熱体1で発生するバブルの圧力に対し、延在する
ピット2の終端が圧力反射壁として作用するのは明らか
なことであり、この部分を圧力波の吸収構造とすること
により、クロストークの低減が達成された。実際にこの
円構造を設計する場合は、ポリイミドマスクパターンと
して多角形構造のものを用いることになる。図6は、ポ
リイミドマスクの設計パターンの一例を示す一部拡大図
である。図6(A)に示すように、マスクパターンとし
て最もシンプルなのは三角形状であり、続いて図6
(B)に示す五角形状である。したがって、マスクパタ
ーンとしては完全な半円という訳ではなく、本実施例に
おいては18角形を用いて設計している。実際のポリイ
ミド壁3の出来映えは、解像度の制約から、ほぼ半円形
状となる。
【0025】一方、ノズル流路5とインクリザーバ7の
間の未エッチング部は、そのノズル流路5側の端部がピ
ット2の絞り部分上に来るように配置される。この未エ
ッチング部と絞り部分とで構成されるインクの流路が、
このヘッドにおける最小断面積の流路となる。この部分
の流路抵抗によって、例えば、上述の図16,図17で
説明したような印字開始時のインクの振動を抑止し、白
抜け等の画像の欠陥を防止することができる。また、こ
の部分を抜けてインクリザーバへと伝搬する圧力を最小
限にすることができる。流路抵抗は、未エッチング部の
ノズル流路5側の端部の位置によって変化する。この位
置を制御することによって、適度な流路抵抗に設定する
ことができる。
【0026】ODEにより形成されたノズル流路5の終
端には、斜めのチャネル圧力壁11が形成されている。
このチャネル圧力壁11は、図5に示すように、ピット
2の絞り部において、最小断面積の流路を構成した後、
流路を立体的に広げることを可能としており、流路の総
断面積は増加する。また、このチャネル圧力壁11は、
発熱体1の端部付近まで延びているので、発熱体1上に
発生するバブルの成長を制御するとともに、バブルの圧
力をインクの吐出口の方向に反射する機能を有する。
【0027】インクの流れは、図2、図3に示すよう
に、インクリザーバ7からピットピット2及びノズル流
路5にいたる。ピット2に流れ込んだインクは、ピット
2の絞り部を通って、発熱体1上に供給される。このと
き、ノズル流路5とインクリザーバ7の間の未エッチン
グ部の下部の最小断面積の部分を通過する。このとき、
適度な流路抵抗が発生し、高い駆動周波数で駆動した際
のインクの振動を抑制する。また、その先のチャネル圧
力壁11により立体的に流路が広げられているので、流
路の総断面積は増加し、それ以上の流路抵抗の増加はな
い。発熱体1上に発生したバブルが消滅すると、ピット
2の絞り部を通って発熱体1上へ直線的にインクが流入
し、また、チャネル圧力壁11に沿ってノズル流路5へ
インクが供給される。未エッチング部の下部の最小断面
積の部分を通過する際の流路抵抗はあるものの、インク
の流れはスムースであり、良好にインクのリフィルが行
なわれ、インクの周波数応答性を劣化させることはな
い。
【0028】発熱体1上にバブルが発生する際には、上
述した発熱体1の周囲のピット2の形状により、良好な
バブル形成を行なうことができる。図7は、バブル形成
の一例の説明図である。従来のサーマルインクジェット
ヘッド、例えば、上述の特願平5−269899号に記
載されているヘッドでは、ピット2a,2b,2c,・
・・は、発熱体1a,1b,1c,・・・の上部からそ
のまま共通スリットに連結していた。そのため、バブル
の成長を前方のピットの壁で制御し、発熱体の後方は自
由であるので、図7(B)に示すように、バブルは後方
に成長し、よって圧力が後ろ側に逃げる構造になってい
た。上述の実施例では、発熱体1の前方を少し削除し、
後方を絞ることにより、図7(A)に示すように、バブ
ルの成長をインクの吐出方向に多少向けるように制御す
ることができる。さらに、チャネル圧力壁11に沿って
バブルを成長させ、バブルの成長によって発生する圧力
をインクの吐出口へ向けて作用させることができ、効率
的にバブルの圧力を利用することができる。
【0029】さらに、このとき、ピット2の絞り部とチ
ャネル圧力壁11によって、ピット2の絞り部よりも後
方への圧力の伝搬は最小限に押さえられる。ピット2の
絞り部よりも後方へ伝搬した圧力は、ピット2の半円形
状のポリイミド壁3に衝突し、減衰する。さらに、ここ
から向きを変え、インクリザーバ前方部6に伝搬する圧
力は、このインクリザーバ前方部6およびインクリザー
バ7全体の傾斜面に沿って拡散して減衰する。インクリ
ザーバの容積はノズル流路5などに比べ非常に大きいの
で、このインクリザーバ7での圧力の減衰によってピッ
ト2の絞り部から伝搬してきた圧力はほぼ解消される。
そのため、隣接するノズル流路5などに伝搬し、クロス
トークを生じることはない。
【0030】本発明のサーマルインクジェットヘッドの
具体例を、図2〜図4を用いて説明する。ピット2につ
いては、ピット2の幅、すなわち発熱領域における幅g
は56μm程度、ノズル流路5とインクリザーバ6の間
の未エッチング部のノズル流路5側の端部が位置する絞
り部の流路幅dは約36μmとし、また、絞り部におけ
る絞り量の片側eは約14μm、絞り部の長さfは約3
0μmとすることができる。このとき、流路の最小断面
積は、流路幅dとポリイミド層の厚さの積であり、36
×25μmとなる。ピット2のポリイミド壁3の形状
は、上述のように18角形とし、半円に近い形状とする
ことができる。また、ピット2の発熱体1の前方の除去
部の長さcは、例えば10μmとすることができる。ま
た、三角柱状のノズル流路5の底面の幅bは約52μm
とし、発熱領域の幅gよりも若干小さく構成している。
また、ノズル流路5のノズル長aは30μm程度として
いる。なお、ノズル流路5の斜辺は、ODEによって形
成されるため、底面に対して54.7゜の角度で形成さ
れる。このようなインクの流路を、例えば300spi
程度の密度で配置することができる。
【0031】ノズル流路5とインクリザーバ7との間の
未エッチング部の最小長さhは35μm程度である。イ
ンクリザーバ7は、上述のように2回のODEによって
形成することができる。1回目のODEでは、エッチン
グマスクをインク供給口に基づいて決定される大きさと
してエッチングを行ない、貫通孔として形成する。チャ
ネルウェハ4の厚さjは、約500μm程度である。2
回目のODEでは、1回目のODEよりも大きな開口の
エッチングマスクを用い、ノズル流路5とともにインク
リザーバ前方部6を形成する。この2回目のODEによ
るエッチング深さiは、チップサイズなどから決定され
るものであり、約60μm程度とすることができる。こ
の深さは、エッチング時間によって調節することができ
る。
【0032】このインクリザーバ前方部6は、その長さ
をほぼゼロとすることも可能であり、この場合には、1
回のODEでインクリザーバ7を形成することができ
る。逆に、この部分の長さを長くしても、流路抵抗がヒ
ータのすぐ後方と比べ、比較にならない程度の小ささで
あれば影響はない。
【0033】このような寸法で作製されたサーマルイン
クジェットヘッドは、全長kが約2000μm程度とす
ることができる。以前の方式に比べ、本発明はその流路
長さを100ミクロン以上短縮することができる。その
ため、約2000ミクロンのチップを用いる場合、20
チップで1個の割合で取れ高を向上させることができ
る。
【0034】図8、図9は、本発明のサーマルインクジ
ェットヘッドの一実施例における周波数応答性を示すグ
ラフである。図8では、1ドットおきのパターンを印字
させた場合のプリント周波数と欠陥の発生数の関係を示
している。また、図9では、ベタ印字の場合のプリント
周波数と欠陥の発生数の関係を示している。従来のヘッ
ドでは、クロストークのために、1ドットおきのパター
ンを印字させた場合、低いプリント周波数であっても、
画質に影響していた。また、インクのリフィル等の関係
で、ベタ印字の場合にも、プリント周波数が高くなると
白抜けなどの印字欠陥が発生していた。しかし、図8、
図9に示すように、本発明のサーマルインクジェットヘ
ッドによれば、従来欠陥の発生していた高いプリント周
波数でも欠陥は発生せず、画質を維持することができ
た。そのため、従来のヘッドにおいて課題となったハー
フトーン部やベタ印字部での欠陥発生周波数を大幅に向
上させることが可能となった。具体的には10〜12k
Hz程度まで実用上支障なく動作させることができる。
なお、キャラクタ等を印字する場合、グラフィックパタ
ーン、すなわち、ベタ、ハーフトーンなどのように多量
のインクの流量を必要としないため、キャラクタモード
のプリント周波数としては、20kHz程度が可能であ
る。
【0035】図10は、ヘッド内圧と印字欠陥の発生す
るプリント周波数の関係を示すグラフである。インクを
吐出した後、バブルが消滅する際には、吐出したインク
量だけのインクが発熱体1上に流れ込む必要がある。す
なわち、リフィルが行なわれることになる。このとき、
インクジェットヘッド内の負圧の絶対値を大きい場合、
ノズル流路5内のインクがノズル内部に引き込まれ、ノ
ズルの先端から空気を巻き込む原因となる。このとき、
良好にインクリザーバ7からインクが発熱体1上に供給
できれば、このような現象は発生しない。また、負圧の
絶対値が大きい場合、インクを吐出するための噴射力も
必要となる。そのため、効率よくバブルの圧力を利用で
きないと、負圧の絶対値が大きくなったときに吐出不良
を起こすことになる。
【0036】図10に破線で示すように、従来のインク
ジェットヘッドでは、インクのリフィルがうまく行か
ず、全体として低いプリント周波数で印字欠陥を引き起
こしている。また、バブルの圧力を十分に利用できてい
ないため、負圧の絶対値が大きくなるに従って、印字欠
陥が目立つようになる。すなわち、低いプリント周波数
でも印字欠陥が発生するようになる。これに対し、本発
明では、図10に実線で示すように、全体として高いプ
リント周波数でも印字欠陥は発生せず、また、負圧の絶
対値が大きくなっても、印字欠陥は発生しない。すなわ
ち、本発明のインクジェットヘッドでは、インクのリフ
ィルが効率よく行なわれており、また、バブルの圧力を
効率よく利用していることがわかる。
【0037】図11は、本発明のサーマルインクジェッ
トヘッドの一実施例におけるプリント周波数とベタ印字
時の先頭の白スジ発生の関係を示すグラフである。上述
の図16および図17で述べたように、高いプリント周
波数でベタ印字を行なうと、先頭に白スジが発生する。
図11に示すように、従来では6kHz程度ですでに白
スジが発生するが、本発明においては白スジ欠陥は9k
Hz程度までほとんど見られなくなった。
【0038】図12は、1ヘッド内の各ノズルのインク
吐出速度の測定結果を示すグラフである。従来、図12
において黒丸で示すように、128本のノズルを有する
ヘッドの場合、標準偏差σが0.5m/sec程度のば
らつきを有していた。しかし、本発明のサーマルインク
ジェットヘッドでは、図12において×印で示すように
標準偏差σが0.2程度に改善された。インクの吐出流
速のばらつきは、ヘッドの製造出来映えのばらつきを反
映した結果であることは従来より認識されていた。本発
明において、発熱体1より後方に、リフィルの流れを阻
害することなく、バブル発生時の一瞬の圧力伝搬に対し
て十分な抵抗成分となる流路抵抗を配置したので、発熱
体1の後方の製造出来映えのばらつきに対して鈍感な構
造を実現し、バブル生成状態のみでジェット流速を決定
できる構造とすることができた。その結果、図12に示
すように、インクの吐出流速のばらつきが少なくなった
ものと考えられる。このことは、キャリッジの移動方向
のドット位置誤差を低減し、画質を向上させることがで
きる。
【0039】図13は、本発明の一実施例における駆動
制御部の一例のブロック図である。図中、21は4ビッ
トシフトレジスタ、22,23はラッチ回路、24は3
2ビット双方向シフトレジスタ、25はアンド回路、2
6はヒータ駆動回路である。上述の発熱体1は、図13
に示すような駆動制御部によって駆動制御される。ここ
では、4本のノズルを1ブロックとして、ブロックごと
に順次駆動する駆動制御部について示している。
【0040】DAT/DIR信号は、印字データあるい
はスキャン方向を示す信号である。BIT SHIFT
信号は、4ビットシフトレジスタ21のシフト信号であ
る。FCLR信号は、4ビットシフトレジスタ21およ
び32ビット双方向シフトレジスタ24のリセットと、
ラッチ回路23におけるラッチを行なうための信号であ
る。ENABLE信号は、ノズルを駆動するタイミング
信号である。ここでは、128本のノズルを駆動する構
成を示している。
【0041】アンド回路25は、発熱体1に対応して設
けられ、その出力によりヒータ駆動回路26を制御す
る。この実施例では、4本のノズルを1ブロックとし
て、各ブロックを順次駆動するため、32ビット双方向
シフトレジスタ24の出力端子Q1 ,・・・,Q32は、
それぞれ4つのアンド回路25に接続されている。
【0042】FCLR信号によって、4ビットシフトレ
ジスタ21と32ビット双方向シフトレジスタ24がリ
セットされ、その立ち上がりでラッチ回路23がDIR
信号をラッチし、32ビット双方向シフトレジスタ24
のシフト方向が決定される。その後、DAT/DIR信
号として画像データが送出されるとともに、BITSH
IFT信号が4ビットシフトレジスタ21のクロックと
して入力される。例えば、BIT SHIFT信号の立
ち下がりで、画像データが順次4ビットシフトレジスタ
21に取り込まれる。4ビットの画像データが取り込ま
れると、ENABLE信号の立ち上がりで、ラッチ回路
22にラッチされる。ラッチされた画像データは、アン
ド回路25に与えられる。
【0043】一方、ENABLE信号をクロックとし
て、32ビット双方向シフトレジスタ24がシフトさ
れ、その出力端子Q1 ,・・・,Q32のいずれか1本か
ら出力がアンド回路25に入力されている。そのため、
32ビット双方向シフトレジスタ24で選択された1つ
のブロックの4つのアンド回路25のみが、画像データ
に応じて駆動される。このとき、ENABLE信号の
“H”の期間だけ、ヒータ駆動回路26を駆動して発熱
体1の加熱が行なわれる。この発熱体1における発熱に
よって、ピット2の発熱体1上にバブルが成長する。こ
のバブルの成長時の圧力によってインク滴が吐出され、
印字記録が行なわれる。このようにしてENABLE信
号が入力されるたびに32ビット双方向シフトレジスタ
24の出力端子が順次移り、発熱体1は4つごとに32
ブロックが順次駆動される。
【0044】図14は、本発明のサーマルインクジェッ
トヘッドの他の実施例を示す概略図であり、図14
(A)はピット付近の断面図、図14(B)はピットの
平面図である。この実施例は、図3に示されるポリイミ
ド壁3を直線状に形成したものである。この構造では、
絞り部とインクリザーバ前方部6で十分クロストークを
低減できるので、ポリイミド壁3を図3や図6に示すよ
うな略半円形に形成なくても、図14に示すように、製
造しやすい直線形状とすることも可能である。
【0045】図15は、本発明のサーマルインクジェッ
トヘッドのさらに他の実施例を示す概略図であり、図1
5(A)はピット付近の断面図、図15(B)はピット
の平面図である。チャネルウェハ4と合成樹脂層9の接
合には接着剤を用いるが、この接着剤が発熱体1上に回
り込む場合がある。このため、より製造時の安定性を確
保するためには、接着剤の回り込みのためのマージン領
域を設定することが必要となる。図15に示すように、
発熱体1の後方に10μm程度の非発熱部領域を設け、
従って合成樹脂層9の絞り部から後ろを後方にずらし、
さらに接着部となるチャネル流路5の長さを10ミクロ
ン長くした。この場合、図3、図14に示す場合より流
路抵抗が落ちるので、その分、未エッチング部の長さh
を50ミクロンとした。これにより、発熱体1上へ接着
剤が回り込むことなく、製造時のばらつきを減少させる
ことができる。この場合にも、ピット2の絞り部と未エ
ッチング部とによって高い周波数応答性を確保し、ま
た、クロストークの削減も上述のようにして確保されて
いる。
【0046】上述の各実施例で示したような本発明のサ
ーマルインクジェットヘッドは、チャネルウェハ4のイ
ンク供給口に図示しないインク供給手段を接着し、イン
クタンクとの液的な連通を図る。そして、記録装置のキ
ャリッジに装着し、サーマルインクジェットヘッドを移
動させ、あるいは記録紙を移動させながら、画像データ
に従って発熱体1をに通電して発熱させ、インクをノズ
ルから吐出して記録を行なう。このような本発明のサー
マルインクジェットヘッドを装着した記録装置では、常
に安定した高品質の印字画像を得ることができる。
【0047】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、バブルのエネルギをインクの吐出に確実に利
用できるので、インクの噴射力が向上し、たとえノズル
渇きやインクの漏れなど、外部の擾乱に対しても、安定
して印字を行なうことができる。また、隣接ビットとの
クロストークは皆無となり、印字パターンによらず、安
定したインクの吐出を行なうことができる。さらに、高
い周波数応答性を有しているので、高速印字に対応する
ことができる。また、発熱体の後方に最適な流路抵抗を
配置しているので、発熱体の近傍のインクの流れが安定
し、画質欠陥の発生を低減したプリントヘッドを提供す
ることができる。また、全流路長は短くなるので、ヘッ
ドは小型化され、低コスト化される。また、樹脂層には
各ノズルに対して1つの開口部を形成するのみであるの
で、製造時のばらつきが少なく、安定した製品を製造す
ることができる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のサーマルインクジェットヘッドの一
実施例の概略を示す斜視図である。
【図2】 本発明のサーマルインクジェットヘッドの一
実施例の概略を示す断面図である。
【図3】 本発明のサーマルインクジェットヘッドの一
実施例における流路構造を示す三面図である。
【図4】 本発明のサーマルインクジェットヘッドの一
実施例におけるピットの一部拡大図である。
【図5】 本発明のサーマルインクジェットヘッドの一
実施例におけるピット付近の拡大斜視図である。
【図6】 ポリイミドマスクの設計パターンの一例を示
す一部拡大図である。
【図7】 バブル形成の一例の説明図である。
【図8】 本発明のサーマルインクジェットヘッドの一
実施例における1ドットおきパターン印字時の周波数応
答性を示すグラフである。
【図9】 本発明のサーマルインクジェットヘッドの一
実施例におけるベタ印字時の周波数応答性を示すグラフ
である。
【図10】 本発明のサーマルインクジェットヘッドの
一実施例におけるヘッド内圧と印字欠陥の発生するプリ
ント周波数の関係を示すグラフである。
【図11】 本発明のサーマルインクジェットヘッドの
一実施例におけるプリント周波数とベタ印字時の先頭の
白スジ発生の関係を示すグラフである。
【図12】 1ヘッド内の各ノズルのインク吐出速度の
測定結果を示すグラフである。
【図13】 本発明の一実施例における駆動制御部の一
例のブロック図である。
【図14】 本発明のサーマルインクジェットヘッドの
他の実施例を示す概略図である。
【図15】 本発明のサーマルインクジェットヘッドの
さらに他の実施例を示す概略図である。
【図16】 白抜け欠陥の説明図である。
【図17】 白抜け欠陥部分の拡大図である。
【符号の説明】 1,1a,1b,1c…発熱体、2,2a,2b,2c
…ピット、3,3a,3b,3c…ポリイミド壁、4…
チャネルウェハ、5,5a,5b,5c…ノズル流路、
6…インクリザーバ前方部、7…インクリザーバ、8…
ヒータウェハ、9…ポリイミド層、10…保護膜、11
…チャネル圧力壁。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 雅彦 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 藤村 義彦 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 小泉 幸久 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バブル発生用抵抗体を有するヒータ基板
    と、複数のノズル流路、インクリザーバ、インク供給口
    を有するチャネル基板とからなるサーマルインクジェッ
    トヘッドにおいて、前記チャネル基板に形成されるノズ
    ル流路は前記バブル発生用抵抗体上を通過して該バブル
    発生用抵抗体の端部付近まで形成され、前記ヒータ基板
    上には、少なくとも、前記バブル発生用抵抗体の上部か
    ら前記インクリザーバに連結するまで延在する溝が設け
    られており、前記チャネル基板に形成されている前記ノ
    ズル流路と前記インクリザーバとの間の隔壁と前記ヒー
    タ基板に設けられた前記溝とで形成されるインクの流路
    の断面積が最小となるように形成されていることを特徴
    とするサーマルインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 前記インクリザーバは、前記インク供給
    口から前記ノズル流路に向かって断面積が減少している
    ことを特徴とする請求項1に記載のサーマルインクジェ
    ットヘッド。
  3. 【請求項3】 前記インクリザーバは、複数の前記ノズ
    ル流路に対して共通に設けられていることを特徴とする
    請求項1に記載のサーマルインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 前記溝は、前記バブル発生用抵抗体の上
    部から前記インクリザーバに至る間においてその断面積
    が前記ノズルの配列方向に対し縮小されており、前記ノ
    ズル流路は、前記ノズル流路の配列方向および前記ノズ
    ル流路の延在する方向と直交する方向に対し拡大される
    斜面を有し、該斜面の前記インクリザーバ側の終端が、
    前記溝の断面積が縮小される部位の上方に存在すること
    を特徴とする請求項1に記載のサーマルインクジェット
    ヘッド。
  5. 【請求項5】 バブル発生用抵抗体を有するヒータ基板
    と、複数のノズル流路、インクリザーバ、インク供給口
    を有するチャネル基板とからなるサーマルインクジェッ
    トヘッドにおいて、前記チャネル基板には、前記バブル
    発生用抵抗体上を通過して前記バブル発生用抵抗体の端
    部付近まで形成された複数のノズル流路と、インクを供
    給するためのインク供給口と、該インク供給口に連通し
    断面積が前記インク供給口から前記ノズル流路に向かっ
    て増加している複数の前記ノズルに共通のインクリザー
    バが少なくとも形成されており、前記ヒータ基板上に
    は、合成樹脂層が設けられ、該合成樹脂層には、前記バ
    ブル発生用抵抗体の上部から前記チャネル基板に形成さ
    れたインクリザーバに連結するまで延在しかつ前記バブ
    ル発生用抵抗体の上部から前記インクリザーバに至る間
    においてその断面積が前記ノズル流路の配列方向に対し
    て縮小された溝が形成されていることを特徴とするサー
    マルインクジェットヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1項に記載
    のサーマルインクジェットヘッドを用いた記録装置。
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