JPH082993B2 - 木質系発泡体の製造方法 - Google Patents
木質系発泡体の製造方法Info
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- JPH082993B2 JPH082993B2 JP20326087A JP20326087A JPH082993B2 JP H082993 B2 JPH082993 B2 JP H082993B2 JP 20326087 A JP20326087 A JP 20326087A JP 20326087 A JP20326087 A JP 20326087A JP H082993 B2 JPH082993 B2 JP H082993B2
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Description
【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、極めて優れた特性を有する木質系発泡体、
およびそのような木質系発泡体の製造方法に関するもの
である。
およびそのような木質系発泡体の製造方法に関するもの
である。
従来技術とその問題点 従来、木材等のリグノセルロース類(以下、本明細書
中では、記載を簡単にするため、これらを一括して木質
材と表わす)の利用法の1つに、木粉と発泡性樹脂を混
練して発泡体(合成木材)を得る技術があり、これは当
業者に広く知られている。しかしながら、この発泡体の
場合、木粉と発泡性樹脂とは相溶化しておらず、木粉は
単なる充填材または骨材としての役割を果たしているに
すぎない。従って、発泡体の形成に木質材が積極的に関
与しているものでなく、木質系原料の特性を充分に利用
したものとは言えない。
中では、記載を簡単にするため、これらを一括して木質
材と表わす)の利用法の1つに、木粉と発泡性樹脂を混
練して発泡体(合成木材)を得る技術があり、これは当
業者に広く知られている。しかしながら、この発泡体の
場合、木粉と発泡性樹脂とは相溶化しておらず、木粉は
単なる充填材または骨材としての役割を果たしているに
すぎない。従って、発泡体の形成に木質材が積極的に関
与しているものでなく、木質系原料の特性を充分に利用
したものとは言えない。
そこで木質材の有効利用の一環として、木質材を有機
化合物に溶解し、該溶液中の木質材成分である、リグノ
セルロース等のポリオールとしての性質を利用してこれ
を樹脂化し、発泡体や接着剤を得ることが提唱された。
このような目的のためには、まず、木質材を適当な有機
化合物に溶解させて木材溶液を調製する必要があるが、
木質材の溶液化は、通常容易でない。この問題を解決す
る方法として、木質材の水酸基の一部または全部に置換
基を導入(例、エステル化またはエーテル化)して化学
的に修飾し、得られた化学的修飾木質材を有機溶媒に溶
解させ、次いで、この木材溶液を樹脂化に用いることが
示唆された(特開昭57−2360号公報)。その後も化学的
修飾を施した木質材から木材溶液を得、これを樹脂化に
用いる方法が報告されたが、それらの中に、実際に有用
な木質系発泡体を得たという記載を見い出すことはでき
ない 本発明者らは、有用な木質系発泡体を得るための研究
を重ねていく過程において、化学的修飾木質材を、高分
子化可能な有機溶媒に溶解させて得た木材溶液から、優
れた特性を有する木質系発泡体を調製することに成功し
た(特開昭61−171744号公報)。この発明の方法は、木
質材と溶媒とが相溶化している木材溶液から発泡体樹脂
を得る有効な方法であるが、固体の木質材の化学的な修
飾工程を必須としている点で問題があった。一般に、木
質材の化学的な修飾及びその溶液化は、例えば、エーテ
ル化の場合、1)固体の木質材と水酸化ナトリウム溶液
とを均一に混合し、2)マーセル化し、3)エーテル化
剤と反応させ、4)中和して反応を停止し、5)洗浄す
る、等の複雑な工程を経て行なわれる。また、溶液化の
出発原料として通常用いられるのは、木粉等の粉体状ま
たは繊維(ファイバー)状の嵩高く取り扱い難いもので
ある。従って、従来の化学的修飾木材溶液から木質系発
泡体を得る方法は、反応工程が複雑であり、生産コスト
が高くなるという問題点を有していた。
化合物に溶解し、該溶液中の木質材成分である、リグノ
セルロース等のポリオールとしての性質を利用してこれ
を樹脂化し、発泡体や接着剤を得ることが提唱された。
このような目的のためには、まず、木質材を適当な有機
化合物に溶解させて木材溶液を調製する必要があるが、
木質材の溶液化は、通常容易でない。この問題を解決す
る方法として、木質材の水酸基の一部または全部に置換
基を導入(例、エステル化またはエーテル化)して化学
的に修飾し、得られた化学的修飾木質材を有機溶媒に溶
解させ、次いで、この木材溶液を樹脂化に用いることが
示唆された(特開昭57−2360号公報)。その後も化学的
修飾を施した木質材から木材溶液を得、これを樹脂化に
用いる方法が報告されたが、それらの中に、実際に有用
な木質系発泡体を得たという記載を見い出すことはでき
ない 本発明者らは、有用な木質系発泡体を得るための研究
を重ねていく過程において、化学的修飾木質材を、高分
子化可能な有機溶媒に溶解させて得た木材溶液から、優
れた特性を有する木質系発泡体を調製することに成功し
た(特開昭61−171744号公報)。この発明の方法は、木
質材と溶媒とが相溶化している木材溶液から発泡体樹脂
を得る有効な方法であるが、固体の木質材の化学的な修
飾工程を必須としている点で問題があった。一般に、木
質材の化学的な修飾及びその溶液化は、例えば、エーテ
ル化の場合、1)固体の木質材と水酸化ナトリウム溶液
とを均一に混合し、2)マーセル化し、3)エーテル化
剤と反応させ、4)中和して反応を停止し、5)洗浄す
る、等の複雑な工程を経て行なわれる。また、溶液化の
出発原料として通常用いられるのは、木粉等の粉体状ま
たは繊維(ファイバー)状の嵩高く取り扱い難いもので
ある。従って、従来の化学的修飾木材溶液から木質系発
泡体を得る方法は、反応工程が複雑であり、生産コスト
が高くなるという問題点を有していた。
これに関連し、化学修飾を施さずに直接、木質材から
木材溶液を得る方法が開示された(特開昭61−261358号
公報)。この出願では、木質材を直接フェノール類また
はビスフェノール類に溶解させて木材溶液を得、該木材
溶液を樹脂化することが示唆されている。しかしなが
ら、この方法で得られた木材溶液中のセルロース、ヘミ
セルロースまたはリグニン等の水酸基は立体障害を受け
易く反応性に乏しい。従ってこのような木材溶液を発泡
硬化させた場合、木材成分は積極的に反応に関与せず、
主として反応性に富む有機化合物溶媒中の水酸基のみが
反応にあずかると考えられる。その結果、木質材の特性
を活かした、優れた物性の発泡体を得ることが困難であ
るという問題点があった。
木材溶液を得る方法が開示された(特開昭61−261358号
公報)。この出願では、木質材を直接フェノール類また
はビスフェノール類に溶解させて木材溶液を得、該木材
溶液を樹脂化することが示唆されている。しかしなが
ら、この方法で得られた木材溶液中のセルロース、ヘミ
セルロースまたはリグニン等の水酸基は立体障害を受け
易く反応性に乏しい。従ってこのような木材溶液を発泡
硬化させた場合、木材成分は積極的に反応に関与せず、
主として反応性に富む有機化合物溶媒中の水酸基のみが
反応にあずかると考えられる。その結果、木質材の特性
を活かした、優れた物性の発泡体を得ることが困難であ
るという問題点があった。
上記の事情から、優れた物性を有する木質系発泡体を
木質系材料から製造するための、工業化に適した、簡便
かつ有効な方法の開発が強く望まれていた。
木質系材料から製造するための、工業化に適した、簡便
かつ有効な方法の開発が強く望まれていた。
本発明の目的は、優れた物性を有する木質系発泡体を
製造するための、工業化に適した、実用的かつ有効な方
法を提供することにある。
製造するための、工業化に適した、実用的かつ有効な方
法を提供することにある。
また、本発明はこのようにして製造された、優れた物
性を有する木質系発泡体を提供することを目的とするも
のである。
性を有する木質系発泡体を提供することを目的とするも
のである。
問題点を解決するための手段 本発明者らは、木質材を高分子化可能な活性基を有す
る有機化合物に溶解させ、得られた木材溶液の水酸基に
置換基を導入して化学的に修飾された木材溶液を得、該
化学的修飾木材溶液を発泡硬化させることにより、上記
目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至
った。
る有機化合物に溶解させ、得られた木材溶液の水酸基に
置換基を導入して化学的に修飾された木材溶液を得、該
化学的修飾木材溶液を発泡硬化させることにより、上記
目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至
った。
本発明の木質系発泡体の製造に用いられる木質材(リ
グノセルロース)は、木粉、木材繊維、木材チップ、単
板屑または樹皮等の粉砕したもの、TMPやRGP等のパルプ
類、並びにワラやモミガラなどの植物繊維等であってよ
い。
グノセルロース)は、木粉、木材繊維、木材チップ、単
板屑または樹皮等の粉砕したもの、TMPやRGP等のパルプ
類、並びにワラやモミガラなどの植物繊維等であってよ
い。
本発明の目的に微して、木材溶液という語句には、木
材が部分的に溶解していないドープ状のものも包含され
るものとする。木材溶液の調製に用い得る高分子化可能
な活性基を有する有機化合物としては、例えば、多価ア
ルコール類、フェノール類、およびビスフェノール類を
挙げることができる。これらの内、多価アルコール類お
よびフェノール類が好ましい。そのような多価アルコー
ル類には、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2
−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,7−ヘ
プタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナン
ジオール、1,10−デカンジオール、ピナコール、シクロ
ペンタン1,2−ジオール、シクロヘキサン1,2−ジオー
ル、シクロヘキサン1,4−ジオール、ポリオキシプロピ
レングリコール、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエ
チレングリコール等の二価アルコール、グリセリン等の
三価アルコール、及びポリエチレングリコール(例、ポ
リエチレングリコール600)等の重合体が含まれる。ま
た、フェノール類には、フェノール、レゾルシン、クレ
ゾール、ナフトール、カテコールなどが含まれる。さら
にビスフェノール類には、ビスフェノールAやビスフェ
ノールFが含まれる。これらの有機化合物溶媒は2以上
の混合物としても用いることができる。
材が部分的に溶解していないドープ状のものも包含され
るものとする。木材溶液の調製に用い得る高分子化可能
な活性基を有する有機化合物としては、例えば、多価ア
ルコール類、フェノール類、およびビスフェノール類を
挙げることができる。これらの内、多価アルコール類お
よびフェノール類が好ましい。そのような多価アルコー
ル類には、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2
−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,7−ヘ
プタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナン
ジオール、1,10−デカンジオール、ピナコール、シクロ
ペンタン1,2−ジオール、シクロヘキサン1,2−ジオー
ル、シクロヘキサン1,4−ジオール、ポリオキシプロピ
レングリコール、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエ
チレングリコール等の二価アルコール、グリセリン等の
三価アルコール、及びポリエチレングリコール(例、ポ
リエチレングリコール600)等の重合体が含まれる。ま
た、フェノール類には、フェノール、レゾルシン、クレ
ゾール、ナフトール、カテコールなどが含まれる。さら
にビスフェノール類には、ビスフェノールAやビスフェ
ノールFが含まれる。これらの有機化合物溶媒は2以上
の混合物としても用いることができる。
さらには、溶解時に最初から、あるいは途中から、
水、またはメタノール等の低級アルコールまたはアセト
ン等の低級アセトンの如き低沸点の揮発性溶媒を加え、
均一な混合物として溶解を促進してもよい。これらの低
沸点溶媒は必要に応じて、木材溶液あるいは、化学的に
修飾した後の木材溶液から留去することができ、その結
果溶液を濃縮することができる。
水、またはメタノール等の低級アルコールまたはアセト
ン等の低級アセトンの如き低沸点の揮発性溶媒を加え、
均一な混合物として溶解を促進してもよい。これらの低
沸点溶媒は必要に応じて、木材溶液あるいは、化学的に
修飾した後の木材溶液から留去することができ、その結
果溶液を濃縮することができる。
通常、高分子化可能な活性基を有する有機化合物100
部に対して木材等のリグノセルロース材料を10〜1,000
部の割合で加える。木質材の割合が10部以下でも木材溶
液を得ることは可能であるが、本発明の目的とする木質
系発泡体の原料としてあまり適切でない。他方、木質材
の割合が1,000部以上になると、目的とする木材溶液を
得ることができない。
部に対して木材等のリグノセルロース材料を10〜1,000
部の割合で加える。木質材の割合が10部以下でも木材溶
液を得ることは可能であるが、本発明の目的とする木質
系発泡体の原料としてあまり適切でない。他方、木質材
の割合が1,000部以上になると、目的とする木材溶液を
得ることができない。
本発明の溶液化は100〜300℃の温度に加熱して行な
う。完全な溶液を得るためには200〜300℃、好ましくは
約250℃で撹拌下に行なうのが適切である。撹拌の際、
反応混合物にトルクをかけることにより、溶解を効率よ
く行なうことができる。そのような装置としては、通
常、ステンレス製等の耐圧容器を使用する。特に、溶解
時に充分な撹拌が可能であり、しかも、撹拌時にトルク
をかけることができる。耐圧密閉型反応器を用いると溶
解が促進され、溶解条件が緩和されるので好都合であ
る。生産性を向上させるためには、上記の条件を満た
す、連続反応器がより一層好ましい。また、N2雰囲気下
で溶解させることもできる。低濃度のドープ状の溶液を
得る際や、樹皮粉砕物等を溶液化する際には、必要に応
じて塩酸等のソルボリシス触媒の存在下、撹拌しながら
100〜200℃、好ましくは約170℃に加熱するとよい。約1
70℃においてドープ状の溶液を調製する場合には、充分
な容量のコンデンサーと撹拌機を備えた常圧型の反応容
器を用いることができる。溶解は、通常15分〜数時間で
達成される。
う。完全な溶液を得るためには200〜300℃、好ましくは
約250℃で撹拌下に行なうのが適切である。撹拌の際、
反応混合物にトルクをかけることにより、溶解を効率よ
く行なうことができる。そのような装置としては、通
常、ステンレス製等の耐圧容器を使用する。特に、溶解
時に充分な撹拌が可能であり、しかも、撹拌時にトルク
をかけることができる。耐圧密閉型反応器を用いると溶
解が促進され、溶解条件が緩和されるので好都合であ
る。生産性を向上させるためには、上記の条件を満た
す、連続反応器がより一層好ましい。また、N2雰囲気下
で溶解させることもできる。低濃度のドープ状の溶液を
得る際や、樹皮粉砕物等を溶液化する際には、必要に応
じて塩酸等のソルボリシス触媒の存在下、撹拌しながら
100〜200℃、好ましくは約170℃に加熱するとよい。約1
70℃においてドープ状の溶液を調製する場合には、充分
な容量のコンデンサーと撹拌機を備えた常圧型の反応容
器を用いることができる。溶解は、通常15分〜数時間で
達成される。
上記のソルボリシスは、木質材の溶液化に触媒を用い
て、反応時間の短縮、並びに反応温度の低下を図る方法
であって、その触媒としては、一部木材成分の熱分解に
より生成する木酢酸が有効に作用しているが、さらに、
外部から、塩酸、硫酸、およびトリフルオロ酢酸等の鉱
酸、並びに塩化アルミニウム、塩化亜鉛、三フッ化ホウ
素等のルイズ酸を触媒量添加してもよい。このソルボリ
シスは、木質材の溶液化の促進のみならず、フェノール
化やアルコール付加を効果的に行なう上でも役立つこと
がある。即ち、例えば木質材のフェノール溶液を得る場
合、三フッ化ホウ素を触媒として用いると、木材中のリ
グニンのフェニルプロパン単位の側鎖α位でのエーテル
結合(α−O−4結合)の開裂が起こると共に、α炭素
へのフェノールの縮合が起こり、その結果、フェノール
が、木材成分中に導入されると共に、フェノリシスを効
果的に行なうことが出来ることとなる。このようにして
得られる木質材のフェノール溶液は両成分の相溶性に優
れており、良質の発泡体を与えるので、発泡体の製造に
適している。ソルボリシス処理によって得られた木材溶
液は必要に応じ中和後、化学的修飾処理工程に付され
る。
て、反応時間の短縮、並びに反応温度の低下を図る方法
であって、その触媒としては、一部木材成分の熱分解に
より生成する木酢酸が有効に作用しているが、さらに、
外部から、塩酸、硫酸、およびトリフルオロ酢酸等の鉱
酸、並びに塩化アルミニウム、塩化亜鉛、三フッ化ホウ
素等のルイズ酸を触媒量添加してもよい。このソルボリ
シスは、木質材の溶液化の促進のみならず、フェノール
化やアルコール付加を効果的に行なう上でも役立つこと
がある。即ち、例えば木質材のフェノール溶液を得る場
合、三フッ化ホウ素を触媒として用いると、木材中のリ
グニンのフェニルプロパン単位の側鎖α位でのエーテル
結合(α−O−4結合)の開裂が起こると共に、α炭素
へのフェノールの縮合が起こり、その結果、フェノール
が、木材成分中に導入されると共に、フェノリシスを効
果的に行なうことが出来ることとなる。このようにして
得られる木質材のフェノール溶液は両成分の相溶性に優
れており、良質の発泡体を与えるので、発泡体の製造に
適している。ソルボリシス処理によって得られた木材溶
液は必要に応じ中和後、化学的修飾処理工程に付され
る。
化学(的)修飾木材溶液は、木材溶液中の水酸基に有
機または無機性の置換基を導入することによって得られ
る。この置換反応はリグノセルロース材料である木質材
中に存在するセルロース、ヘミセルロース、およびリグ
ニン、あるいは、溶液化の溶媒である高分子化可能な活
性基を有する有機化合物、それぞれの水酸基の少なくと
も一部に置換基を導入する反応である。そのような反応
の一例として、エステル化またはエーテル化を挙げるこ
とができる。
機または無機性の置換基を導入することによって得られ
る。この置換反応はリグノセルロース材料である木質材
中に存在するセルロース、ヘミセルロース、およびリグ
ニン、あるいは、溶液化の溶媒である高分子化可能な活
性基を有する有機化合物、それぞれの水酸基の少なくと
も一部に置換基を導入する反応である。そのような反応
の一例として、エステル化またはエーテル化を挙げるこ
とができる。
エステル化には酸ハロゲン化物、酸無水物、二塩基酸
無水物および脂肪酸等の各種酸が、またエーテルには塩
化メチル、塩化エチル、塩化アリル、塩化ベンジル、エ
チレンクロルヒドリン等のハロゲン化物:モノクロル酢
酸等のα−ハロゲン酸:硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等
のジアルキル硫酸:エチレンオキシド、プロピレンオキ
シド等のエポキシ化合物:アクリロニトリル等の陰性基
で活性化されたビニル化合物:ジアゾメタン:ホルムア
ルデヒド等のアルデヒド類:チタニウムアルキレート等
の有機金属化合物が使用される。これらの反応は無触媒
下または触媒下で行なわれる。エステル化には硫酸、過
塩素酸、ピリジン、塩化亜鉛等の触媒を、エーテル化に
は苛性ソーダ等のアルカリ触媒を用いることができる。
無水物および脂肪酸等の各種酸が、またエーテルには塩
化メチル、塩化エチル、塩化アリル、塩化ベンジル、エ
チレンクロルヒドリン等のハロゲン化物:モノクロル酢
酸等のα−ハロゲン酸:硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等
のジアルキル硫酸:エチレンオキシド、プロピレンオキ
シド等のエポキシ化合物:アクリロニトリル等の陰性基
で活性化されたビニル化合物:ジアゾメタン:ホルムア
ルデヒド等のアルデヒド類:チタニウムアルキレート等
の有機金属化合物が使用される。これらの反応は無触媒
下または触媒下で行なわれる。エステル化には硫酸、過
塩素酸、ピリジン、塩化亜鉛等の触媒を、エーテル化に
は苛性ソーダ等のアルカリ触媒を用いることができる。
エステル化またはエーテル化によって導入される有機
基の好適例としては脂肪族及び芳香族のアシル基、塩基
酸モノエステル基、低級アシル基、アリル基、カルボキ
シメチル基、ヒドロキシアルキル基、ポリオキシアルキ
レングリコール基、長鎖アルキル基、シアノエチル基、
メチレンエーテル基、および類縁基を挙げることができ
る。これらの有機基の2種以上を組合わせて導入しても
よい。
基の好適例としては脂肪族及び芳香族のアシル基、塩基
酸モノエステル基、低級アシル基、アリル基、カルボキ
シメチル基、ヒドロキシアルキル基、ポリオキシアルキ
レングリコール基、長鎖アルキル基、シアノエチル基、
メチレンエーテル基、および類縁基を挙げることができ
る。これらの有機基の2種以上を組合わせて導入しても
よい。
また、有機基の地に無機基、例えばニトロ基や炭素、
水素、酸素、および窒素以外の原子を含む有機基、例え
ば有機金属基を導入してもよい。導入置換基は必ずしも
一種類に限る必要はない。
水素、酸素、および窒素以外の原子を含む有機基、例え
ば有機金属基を導入してもよい。導入置換基は必ずしも
一種類に限る必要はない。
木質発泡体を得る目的で特に好ましい置換基は木材溶
液の中に反応部位をさらに増加させる様な置換基また
は、反応性の高い反応部位を与え、あるいは木材成分の
もつ活性基の高分子化の能力を十分に引き出し得る活性
基を有する置換基である。例えば、ヒドロキシエチル
基、ポリオキシアルキレングリコール基、シアノエチル
基、マレイン酸モノエステル基、カルボキシメチル基等
が挙げられる。
液の中に反応部位をさらに増加させる様な置換基また
は、反応性の高い反応部位を与え、あるいは木材成分の
もつ活性基の高分子化の能力を十分に引き出し得る活性
基を有する置換基である。例えば、ヒドロキシエチル
基、ポリオキシアルキレングリコール基、シアノエチル
基、マレイン酸モノエステル基、カルボキシメチル基等
が挙げられる。
あるいは、木材溶液に導入する置換基は、それ自身が
活性をもつものでなくともよく発泡体の特性を適当に変
化させることができる基であってもよい。例えば、ベン
ジル基、アセチル基等を導入すると、ベンジル化の場合
には、疎水性に富み、柔軟で適度の熱可塑性を有する発
泡体を得ることができる。
活性をもつものでなくともよく発泡体の特性を適当に変
化させることができる基であってもよい。例えば、ベン
ジル基、アセチル基等を導入すると、ベンジル化の場合
には、疎水性に富み、柔軟で適度の熱可塑性を有する発
泡体を得ることができる。
この化学的修飾処理は、処理される対象が木材溶液と
いう液体であるため、通常の方法で容易に行うことがで
きる。また、化学修飾の程度も容易に設定できるため、
目的とする発泡体の特性に応じて化学修飾の種類・置換
度を設定すれば、硬質・軟質、ヤング率、圧縮強さ、曲
げ強さ、吸水率、吸放湿性等について、木材成分を有効
に利用した多彩な特性をもつ発泡体を得ることができ
る。
いう液体であるため、通常の方法で容易に行うことがで
きる。また、化学修飾の程度も容易に設定できるため、
目的とする発泡体の特性に応じて化学修飾の種類・置換
度を設定すれば、硬質・軟質、ヤング率、圧縮強さ、曲
げ強さ、吸水率、吸放湿性等について、木材成分を有効
に利用した多彩な特性をもつ発泡体を得ることができ
る。
得られた化学的修飾木材溶液が酸性溶液である場合、
そのままでは不安定であり、場合によってはリグニン等
が縮合して沈澱することがある。従って、酸を中和する
か、複塩として沈澱除去してもよい。中和剤としては水
酸化ナトリウム等の無機塩基及びトリエチルアミン等の
有機塩基を用いることができる。
そのままでは不安定であり、場合によってはリグニン等
が縮合して沈澱することがある。従って、酸を中和する
か、複塩として沈澱除去してもよい。中和剤としては水
酸化ナトリウム等の無機塩基及びトリエチルアミン等の
有機塩基を用いることができる。
この様にして得られた、反応性に富むあるいは高分子
化に有用な付与された木材溶液を、そのまま、あるい
は、必要に応じて樹脂初期縮合物とした後に架橋剤又は
硬化剤及び発泡剤の存在下に発泡硬化させる。このと
き、同時に、あるいはそれ以前に発泡成形の為の整泡剤
を必要に応じて添加してもよい。
化に有用な付与された木材溶液を、そのまま、あるい
は、必要に応じて樹脂初期縮合物とした後に架橋剤又は
硬化剤及び発泡剤の存在下に発泡硬化させる。このと
き、同時に、あるいはそれ以前に発泡成形の為の整泡剤
を必要に応じて添加してもよい。
架橋剤または硬化剤は、溶液の種類に応じて適宜選択
される。例えば、多価アルコール溶液の場合、多価イソ
シアネート化合物、多価グリシジル化合物、メラニン誘
導体などが使用される。または、エピクロルヒドリンと
反応させて、溶液全体をポリグリシジルエーテル化した
後、アミン類・多価イソシアネート・酸無水物を架橋剤
として用いてもよい。
される。例えば、多価アルコール溶液の場合、多価イソ
シアネート化合物、多価グリシジル化合物、メラニン誘
導体などが使用される。または、エピクロルヒドリンと
反応させて、溶液全体をポリグリシジルエーテル化した
後、アミン類・多価イソシアネート・酸無水物を架橋剤
として用いてもよい。
他方、フェノール溶液の場合、ホルムアルデヒドを付
加し、メチロール化反応により樹脂初期縮合物とするこ
とができる。また上記の各架橋剤または硬化剤の他に、
必要に応じて反応を促進する触媒を加えてもよい。特
に、多価グリシジル化合物を用いる場合には、アミン
類、イソシアネート、酸無水物が有効であり、フェノー
ル溶液を用いる場合には、酸またはアルカリが有効であ
る。
加し、メチロール化反応により樹脂初期縮合物とするこ
とができる。また上記の各架橋剤または硬化剤の他に、
必要に応じて反応を促進する触媒を加えてもよい。特
に、多価グリシジル化合物を用いる場合には、アミン
類、イソシアネート、酸無水物が有効であり、フェノー
ル溶液を用いる場合には、酸またはアルカリが有効であ
る。
発泡剤としては、炭酸アンモニウム、重炭酸ソーダ、
アゾジカルボンアミド等、熱分解によってガス化するも
の、ヘキサン、フレオン等の低沸点溶媒を挙げることが
できる。イソシアネート系など水との反応によりガス体
を生成するものもある。
アゾジカルボンアミド等、熱分解によってガス化するも
の、ヘキサン、フレオン等の低沸点溶媒を挙げることが
できる。イソシアネート系など水との反応によりガス体
を生成するものもある。
発泡硬化は従来のウレタン樹脂、エポキシ樹脂あるい
はフェノール樹脂等を得る条件に準じて発泡剤および整
泡剤の存在下で行うことができる。その反応条件は溶液
化に用いた高分子化可能な活性基を有する有機化合物の
種類、化学修飾により導入した置換基の種類とその置換
の程度、架橋剤又は硬化剤の種類等によって異なる。
はフェノール樹脂等を得る条件に準じて発泡剤および整
泡剤の存在下で行うことができる。その反応条件は溶液
化に用いた高分子化可能な活性基を有する有機化合物の
種類、化学修飾により導入した置換基の種類とその置換
の程度、架橋剤又は硬化剤の種類等によって異なる。
例えば、マカンバ等の広葉樹の木粉をポリエチレング
リコールに溶解させた後、プロピレンオキサイドを重付
加して反応性の高い木材溶液とする。次いで、この化学
的に修飾された木材溶液をウレタン樹脂化するには、系
中に存在する水の量を調整したのち多価イソシアネート
と整泡剤とを加える。この反応液は、加温するか、ある
いは室温下、自己発熱を介して、発泡を伴った樹脂化を
もたらし、目的の木質系発泡樹脂体を与える。なお、こ
の際、木材溶液としての木材の存在は、ポリオールの代
替としての役割に止まらず発泡体の発泡時の形態保持
性、生成発泡体の強度特性などの物性の向上に資すると
いう積極的な役割を果たし得ることが、木材を欠く対照
実験との比較により明らかになった。
リコールに溶解させた後、プロピレンオキサイドを重付
加して反応性の高い木材溶液とする。次いで、この化学
的に修飾された木材溶液をウレタン樹脂化するには、系
中に存在する水の量を調整したのち多価イソシアネート
と整泡剤とを加える。この反応液は、加温するか、ある
いは室温下、自己発熱を介して、発泡を伴った樹脂化を
もたらし、目的の木質系発泡樹脂体を与える。なお、こ
の際、木材溶液としての木材の存在は、ポリオールの代
替としての役割に止まらず発泡体の発泡時の形態保持
性、生成発泡体の強度特性などの物性の向上に資すると
いう積極的な役割を果たし得ることが、木材を欠く対照
実験との比較により明らかになった。
作用効果 本発明方法では、木材溶液に対して発泡成形体または
発泡体の物性の向上に資する化学的修飾を施し、その化
学的修飾木材溶液を用いて発泡硬化せしめるので、前記
の従来の木質材を化学的に修飾する方法、例えば、1)
固体の木質材と水酸化ナトリウム溶液とを均一に混合
し、2)マーセル化し、3)エーテル化剤と反応させ、
4)中和して反応を停止し、5)を洗浄することからな
るエーテル化法に比べて、1)木材溶液に水酸化ナトリ
ウム溶液とエーテル化剤を加え、2)エーテル化剤を減
圧下に回収し、3)必要に応じて水酸化ナトリウムを中
和または除去する、の如く、極めて簡便な工程で発泡樹
脂化の原料を得ることができる。
発泡体の物性の向上に資する化学的修飾を施し、その化
学的修飾木材溶液を用いて発泡硬化せしめるので、前記
の従来の木質材を化学的に修飾する方法、例えば、1)
固体の木質材と水酸化ナトリウム溶液とを均一に混合
し、2)マーセル化し、3)エーテル化剤と反応させ、
4)中和して反応を停止し、5)を洗浄することからな
るエーテル化法に比べて、1)木材溶液に水酸化ナトリ
ウム溶液とエーテル化剤を加え、2)エーテル化剤を減
圧下に回収し、3)必要に応じて水酸化ナトリウムを中
和または除去する、の如く、極めて簡便な工程で発泡樹
脂化の原料を得ることができる。
本発明方法は、上記の処理工程に基づき、以下の優れ
た利点を有するものである。即ち、流動性を有する木材
溶液を化学的な修飾工程に用いるので、反応のコントロ
ールが容易であり、多様な化学的修飾を行うことがで
き、適用範囲が広い。これに加えて、導入する置換基を
自由に選択できるため、発泡体の強度特性、吸水率、吸
放湿性を容易に設定でき、木材成分を有効に利用した多
彩な特性をもつ発泡体を得ることができる。
た利点を有するものである。即ち、流動性を有する木材
溶液を化学的な修飾工程に用いるので、反応のコントロ
ールが容易であり、多様な化学的修飾を行うことがで
き、適用範囲が広い。これに加えて、導入する置換基を
自由に選択できるため、発泡体の強度特性、吸水率、吸
放湿性を容易に設定でき、木材成分を有効に利用した多
彩な特性をもつ発泡体を得ることができる。
また、木質材の反応性が高められており、樹脂化反応
に積極的に関与し得るので、発泡体の壁中に高分子の木
材成分が存在することとなり、高度の剛性と靱性を付与
されることになる。これは特に高比重の発泡体におい
て、優れた強度特性として現われる。それらの伴って、
熱安定性、寸法安定性、蒸気透過性並びに吸放湿性に富
む極めて有用な発泡体が得られる。
に積極的に関与し得るので、発泡体の壁中に高分子の木
材成分が存在することとなり、高度の剛性と靱性を付与
されることになる。これは特に高比重の発泡体におい
て、優れた強度特性として現われる。それらの伴って、
熱安定性、寸法安定性、蒸気透過性並びに吸放湿性に富
む極めて有用な発泡体が得られる。
さらに、木質材の主成分である繊維状高分子体の存在
により、モノマーまたはオリゴマー溶液を用いた発泡樹
脂化に比べると、極めて容易に発泡硬化が行える。ま
た、形成された発泡体は、多くの場合、ウレタン樹脂発
泡体、フェノール樹脂発泡体等の相当する樹脂発泡体に
比べて、強度特性にすぐれている。
により、モノマーまたはオリゴマー溶液を用いた発泡樹
脂化に比べると、極めて容易に発泡硬化が行える。ま
た、形成された発泡体は、多くの場合、ウレタン樹脂発
泡体、フェノール樹脂発泡体等の相当する樹脂発泡体に
比べて、強度特性にすぐれている。
さらに、単なる充填剤や増量材としてでなく、相溶化
した木質系材料を用いているので、低比重(高発泡)の
発泡体を得ることができる。例えば後述する実施例に示
す如く、密度20〜40kg/m3の発泡体を得ることができ
る。
した木質系材料を用いているので、低比重(高発泡)の
発泡体を得ることができる。例えば後述する実施例に示
す如く、密度20〜40kg/m3の発泡体を得ることができ
る。
本発明方法に用いる化学的修飾木材溶液の適用範囲は
極めて広く、木材や紙との接着発泡も可能であり、その
様にして得られたものは耐ハクリ強度が高い。
極めて広く、木材や紙との接着発泡も可能であり、その
様にして得られたものは耐ハクリ強度が高い。
この様に、本発明は、木質系原料を有効に利用し、極
めてすぐれた性質の多彩な発泡体を提供するものであ
る。以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明す
る。
めてすぐれた性質の多彩な発泡体を提供するものであ
る。以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明す
る。
実施例1 (1)木材の溶液化 乾燥マカンバ木粉(20−40メッシュ)20g、ポリエチ
レングリコール(PEG600)20gおよびアセトン10mlをス
テンレス製の耐圧反応管に仕込み、密封した後250℃で
2.5時間静置して溶解させた。黒色粘稠な木材溶液が得
られた。
レングリコール(PEG600)20gおよびアセトン10mlをス
テンレス製の耐圧反応管に仕込み、密封した後250℃で
2.5時間静置して溶解させた。黒色粘稠な木材溶液が得
られた。
(2)木材溶液のヒドロキシプロピル化 (1)で得た木材溶液10g、プロピレンオキシド60g、
水酸化カリウム1.2gを簡易化反応装置TEM−MV50型の反
応容器に秤り取り、密閉して、撹拌下110℃で3時間反
応させた(ヒドロキシプロピル化)。次いで、溶液状を
保った反応生成物を酢酸で中和し、ロータリーエバポレ
ーターを用い減圧下で未反応のプロピレンオキサイドお
よび水を除去した後、室温まで冷却し、ヒドロキシプロ
ピル化された溶液状木材を得た。
水酸化カリウム1.2gを簡易化反応装置TEM−MV50型の反
応容器に秤り取り、密閉して、撹拌下110℃で3時間反
応させた(ヒドロキシプロピル化)。次いで、溶液状を
保った反応生成物を酢酸で中和し、ロータリーエバポレ
ーターを用い減圧下で未反応のプロピレンオキサイドお
よび水を除去した後、室温まで冷却し、ヒドロキシプロ
ピル化された溶液状木材を得た。
(3)ヒドロキシプロピル化された木材溶液の発泡成形 ヒドロキシプロピル化された木材溶液10g、多価イソ
シアネート化合物(Millionate MR200:架橋剤)10g、ト
ルエチレンジアミン(触媒)0.025g、水(発泡剤)0.25
g、スタホームF(整泡剤)0.20gを混合し、激しく撹拌
して室温下、自己発熱により、木質系発泡体を得た。
シアネート化合物(Millionate MR200:架橋剤)10g、ト
ルエチレンジアミン(触媒)0.025g、水(発泡剤)0.25
g、スタホームF(整泡剤)0.20gを混合し、激しく撹拌
して室温下、自己発熱により、木質系発泡体を得た。
この発泡体は見かけの密度35kg/m3をもつ硬質のウレ
タン−木質系発泡体であり、優れた強度特性を有する。
タン−木質系発泡体であり、優れた強度特性を有する。
実施例2 (1)木材の溶液化 実施例1の(1)と同様に木材溶液を得た。
(2)木材溶液へのε−カプロラクトンの開環重合 プロピレンオキサイド60gの代わりにε−カプロラク
トン50gを用いる外は実施例1の(2)と同様に木材溶
液へのε−カプロラクトンの開環重合反応による化学的
処理を行った。但し、反応条件は、180℃1時間、減圧
溜去は150℃であった。得られたε−カプロラクトン重
合木材溶液は室温で固体性状を示すが、50℃に加温する
と流動性をもつ液状物となり、発泡成形を行うことがで
きる。
トン50gを用いる外は実施例1の(2)と同様に木材溶
液へのε−カプロラクトンの開環重合反応による化学的
処理を行った。但し、反応条件は、180℃1時間、減圧
溜去は150℃であった。得られたε−カプロラクトン重
合木材溶液は室温で固体性状を示すが、50℃に加温する
と流動性をもつ液状物となり、発泡成形を行うことがで
きる。
(3)ε−カプロラクトン重合木材溶液の発泡成形 溶液を50℃に保つ外は実施例1の(3)項と同様に行
った。得られた発泡体はみかけの密度が33kg/m3の軟質
発泡体であり、25%ひずみ時の圧縮荷重は0.20kgf/cm2
と柔軟性に富む、木質系発泡体であった。
った。得られた発泡体はみかけの密度が33kg/m3の軟質
発泡体であり、25%ひずみ時の圧縮荷重は0.20kgf/cm2
と柔軟性に富む、木質系発泡体であった。
実施例3 (1)木材の溶液化 実施例1において、PEGを20gから5gに減量し、同様に
木材を高濃度に含む溶液を得た。
木材を高濃度に含む溶液を得た。
(2)木材溶液へのε−カプロラクトンの開環重合 実施例2の(2)と同様に行った。
(3)ε−カプロラクトン重合木材溶液の発泡成形 溶液を50℃に保ち実施例1の(3)項と同様に行っ
た。この発泡体は、みかけの密度が27kg/m3の軟質発泡
体であり、25%ひずみ時の圧縮荷重は0.13kgf/cm2と極
めて柔軟性に富む木質系発泡体であった。
た。この発泡体は、みかけの密度が27kg/m3の軟質発泡
体であり、25%ひずみ時の圧縮荷重は0.13kgf/cm2と極
めて柔軟性に富む木質系発泡体であった。
実施例4 (1)木材の溶液化 気乾スギ樹皮100g、フェノール100g、m−クレゾール
50g及びソルボリシス触媒として35%塩酸30gをコンデン
サー及び撹拌基を備えた1容セパラブルフラスコに秤
り取り、120℃で1時間静置した後、150℃に昇温し、高
トルクを有する撹拌機により2時間撹拌を行い、木材溶
液を得た。
50g及びソルボリシス触媒として35%塩酸30gをコンデン
サー及び撹拌基を備えた1容セパラブルフラスコに秤
り取り、120℃で1時間静置した後、150℃に昇温し、高
トルクを有する撹拌機により2時間撹拌を行い、木材溶
液を得た。
その溶液は少量の残渣を有するドープ状黒色溶液であ
った。
った。
(2)木材溶液のベンジル化 実施例1の(2)においてプロピレンオキサイドの代
わりに塩化ベンジル30gを用い、80℃で3時間、ベンジ
ルエーテル化反応を行った。80℃で減圧溜去した。
わりに塩化ベンジル30gを用い、80℃で3時間、ベンジ
ルエーテル化反応を行った。80℃で減圧溜去した。
(3)レゾール型初期縮合物の合成 常法に従い、カ性ソーダを触媒としてメチロール化反
応を80℃で行い、乳酸を用いて中和後、整泡剤としてレ
ジノールF−120を3重量%添加し、80℃で樹脂不揮発
分が78%となるまで減圧溜去を行い、黒色の樹脂初期縮
合物を得た。この樹脂は粘度20,000cps(25℃)であっ
た。
応を80℃で行い、乳酸を用いて中和後、整泡剤としてレ
ジノールF−120を3重量%添加し、80℃で樹脂不揮発
分が78%となるまで減圧溜去を行い、黒色の樹脂初期縮
合物を得た。この樹脂は粘度20,000cps(25℃)であっ
た。
(4)木質系クレゾール樹脂の発泡成形 木質系レゾール樹脂10g、PSA(硬化剤)0.15g、フレ
オン113(発泡剤)0.15g、アルキルレゾルシノール(反
応促進剤)0.30gを激しく撹拌し、100℃に加熱して、木
質系フェノール発泡体を得た。この発泡体はみかけの密
度が40kg/m2の、独立気泡発泡体であり、フェノール系
の発泡体であるにもかかわらず熱可塑性を有するもので
あった。
オン113(発泡剤)0.15g、アルキルレゾルシノール(反
応促進剤)0.30gを激しく撹拌し、100℃に加熱して、木
質系フェノール発泡体を得た。この発泡体はみかけの密
度が40kg/m2の、独立気泡発泡体であり、フェノール系
の発泡体であるにもかかわらず熱可塑性を有するもので
あった。
Claims (7)
- 【請求項1】木質材を高分子化可能な活性基を有する有
機化合物に溶解させ、得られた木材溶液の水酸基に置換
基を導入して化学的に修飾した木材溶液を得、該化学的
修飾木材溶液を発泡硬化させることを特徴とする木質系
発泡体の製造方法。 - 【請求項2】高分子可能な活性基を有する有機化合物が
多価アルコール類、グリコール類およびフェノール類か
ら選択されるものであることを特徴とする特許請求の範
囲第1項記載の方法。 - 【請求項3】有機化合物100部に対して材質材10〜1,000
部を加え、100℃〜300℃の温度下で木材溶液を得ること
を特徴とする特許請求の範囲第1項記載の方法。 - 【請求項4】高分子可能な活性基を有する有機化合物中
に低級アルコールまたは低級アセトン等の低沸点の揮発
性溶媒を加えて木質材を溶解し、得られた木材溶液から
揮発性溶媒を留去することを特徴とする特許請求の範囲
第1〜第3項のいずれかに記載の方法。 - 【請求項5】木質材を、該木質材中のリグニンのソルボ
リシスを促進する触媒の存在下、有機化合物に溶解させ
て木材溶液を得ることを特徴とする特許請求の範囲第1
項〜第3項のいずれかに記載の方法。 - 【請求項6】リグニンのソルボリシスを促進する触媒と
して鉱酸、ルイス酸等の酸を用い、得られた木材溶液を
必要に応じ中和した後、化学的修飾処理を施すことを特
徴とする特許請求の範囲第5項記載の方法。 - 【請求項7】化学的修飾木材溶液が、木材溶液中の水酸
基のエステル化またはエーテル化によって得られること
を特徴とする特許請求の範囲第1項〜第6項のいずれか
に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20326087A JPH082993B2 (ja) | 1987-08-14 | 1987-08-14 | 木質系発泡体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20326087A JPH082993B2 (ja) | 1987-08-14 | 1987-08-14 | 木質系発泡体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6445440A JPS6445440A (en) | 1989-02-17 |
JPH082993B2 true JPH082993B2 (ja) | 1996-01-17 |
Family
ID=16471085
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20326087A Expired - Fee Related JPH082993B2 (ja) | 1987-08-14 | 1987-08-14 | 木質系発泡体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH082993B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3012296B2 (ja) | 1990-08-24 | 2000-02-21 | 信夫 白石 | リグノセルロース物質の液化溶液の製造法 |
KR20160062559A (ko) | 2014-11-25 | 2016-06-02 | 씨제이제일제당 (주) | 경질 폴리우레탄 폼 및 이의 제조방법 |
JP7457539B2 (ja) * | 2019-12-23 | 2024-03-28 | 公立大学法人青森県立保健大学 | 果実の搾りかすのポリオール液化物、果実の搾りかすの液化物が組み込まれたポリウレタン、果実の搾りかすの液化物が組み込まれたポリウレタンフォーム、及び果実の搾りかすを含有するポリオール液化物の製造方法。 |
CN111548523A (zh) * | 2020-06-25 | 2020-08-18 | 东北林业大学 | 可发性珠粒的制备方法与木材泡沫的制备方法 |
-
1987
- 1987-08-14 JP JP20326087A patent/JPH082993B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6445440A (en) | 1989-02-17 |
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---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |