JP2007092008A - 液化バイオマス、その製造方法及び熱硬化性樹脂 - Google Patents

液化バイオマス、その製造方法及び熱硬化性樹脂 Download PDF

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Abstract

【課題】バイオマス成分の利用収率を高めるとともに、液化や、成形、発泡、塗布等の樹脂化の際に、実用化の観点から作業性及び品質に優れた特性を有する液化バイオマス、その製造方法及び熱硬化性樹脂を提供することを課題にする。
【解決手段】バイオマス100部と、液化媒体であるフェノール類、又は多価アルコール類100〜1000部と、液化調整剤である一価アルコール類1〜20部と、酸触媒であるプロトン酸と、を混合し、密閉容器において40〜150℃の温度範囲で3〜150分間加熱し、前記プロトン酸と、前記液化媒体及び/又は前記液化調整剤の一部とを反応させてなるプロトン酸エステルが、液化触媒として機能して液化バイオマスを生成することを特徴とする。

Description

本発明は木材等のバイオマスを液化する技術に関し、詳しくは、無処理のバイオマスを合理的に液化する方法、及びこの液化したバイオマスから合成される熱硬化性樹脂に関する。
20世紀の中葉から現在に至る石油化学の発展により、耐久性が高く使いやすい人工の合成樹脂が多様に、大量に使われる様になり、人類の生活は随分と便利で快適なものとなってきている。その反面で、大気中の二酸化炭素の増大等、環境問題が著しくなり、石油資源の減少、枯渇といった資源問題も意識される様になってきている。そのような背景のもとで、再生産可能な資源である植物を中心とするバイオマスを、材料やエネルギー源としてより多く活用することが現在世界的に強く求められている。
ここでバイオマスとは、木材工業およびパルプ工業等の木材工業における木質系廃棄物、間伐材、建築解体材や稲ワラ、さやガラ等の農業廃棄物等、各種のリグノセルロース類、さらには古古米、食品工業廃棄物等をさし、本明細書中では、特にことわらない限りこれらの物質を一括してバイオマスという。
このようなバイオマスを樹脂化して工業的な利用を促進するために、このバイオマスを液化する技術の開発研究が進められている。公知技術としては、ベンジル化やアセチル化等、化学的に修飾された木質材を液化対象とし、それらを多価アルコール媒体と酸触媒存在下で120〜180℃の温度範囲で処理する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。また、他の公知技術として、木材質をそのままフェノール類又はビスフェノール類存在下で液化するという技術が開示されている(例えば、特許文献2)。さらに、他の公知技術として、多価アルコール類の存在下で、木材質をはじめとするバイオマスを液化させて成形物、接着剤、発泡体の調製を試みた技術が開示されている(特許文献3)。
特開昭61−171701号公報 特開昭61−261358号公報 特許第2060161号
しかしながら、特許文献1に記載の公知技術では、化学修飾を行う製造工程が複雑で、高コストとなり、工業化や実用性に乏しいということが問題である。この問題が解消されている他の公知技術(特許文献2,3)であっても、バイオマスの液化反応中に、一旦低分子化したバイオマス成分が再縮合反応したり、多糖の還元性末端部位がアルデヒド構造に異性化してアルドール縮合反応したり、低分子化糖の脱水反応により生ずるフルフラール類が高分子樹脂化したり、さらにはフェノール、ポリエチレングリコール400といった液化媒体がエーテル反応したりして、生成した高分子化物により液化バイオマスの粘度が増大し、バイオマス成分に起こる脱水反応により収率が低下し、炭化物や発色物質の生成による暗色化さらには不溶解物が生じるといった問題を有している。またこれら公知技術よりも、さらにバイオマスを低温で短時間に液化する技術の開発が要求されている。
本発明は、このような問題や要求を解決することを課題とし、前記した好ましくない反応を排除してバイオマス成分の利用収率を高めるとともに、液化や、成形、発泡、塗布等の樹脂化の際に、実用化の観点から作業性及び品質に優れた特性を有する液化バイオマス、及びその製造方法を提供するものである。
このような課題を解決するために、本発明にかかる液化バイオマスの製造方法は、バイオマス100部と、液化媒体であるフェノール類又は多価アルコール類100〜1000部と、液化調整剤である一価アルコール類1〜20部と、酸触媒であるプロトン酸と、を密閉容器に混合し、110〜160℃の温度範囲で5〜200分間加熱することを手段とすることを特徴とする。
また、本発明は、前記酸触媒と、前記液化媒体と、前記液化調整剤と、を先に40〜100℃の温度範囲で3〜150分反応させて得た反応液に、前記バイオマスを混合し、密閉容器において110〜160℃の温度範囲で5〜200分間加熱する手段により構成されてもよい。
また、本発明は、前記酸触媒と、前記液化媒体、前記液化調整剤のいずれか、を先に40〜100℃の温度範囲で3〜150分反応させて得た反応液を、必要に応じ前記液化媒体等に混合して得た反応液に、前記バイオマスとを混合し、密閉容器において110〜160℃の温度範囲で5〜200分間加熱する手段により構成されてもよい。
発明がこのような手段から構成されることにより液化媒体(フェノール類、又は多価アルコール類)及び/又は液化調整剤(一価アルコール類)の一部と、酸触媒(プロトン酸)が反応してプロトン酸エステルが生成する。このプロトン酸エステルが一段と優れた液化触媒として作用するのでバイオマスの液化反応が促進されることとなる。また、そのことは、同時に硫酸触媒により引起される炭化反応を抑制する結果をもたらす。他方で、本発明の手法を用いることにより、バイオマス低分子化物上に生ずる容反応な活性点対して、迅速に保護基的なものを導入することが可能となり、液化過程での重(縮)合など高分子化物を生成せしめるという逆反応を、抑制させるということにも繋がる。
本発明に係る液化バイオマス、及びその製造方法は、前記したような特徴的な手段を有する事により、液化バイオマスは樹脂原料として極めて優れた特性を有するとともに、その製造も迅速でかつ高収率で実現される。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の出発原料として用いられるバイオマスには、木粉、木材繊維、木材チップや間伐材及び単板屑樹皮等を粉砕したリグノセルロース類一般、およびワラやモミガラ等の植物繊維、古古米、食品廃棄物等広範なものが含まれる。
本発明に用いられる液化媒体としては、活性基を有するフェノール類、多価アルコール類、ε-カプロラクトンなど環状エステル、乳酸などオキシ酸、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど環状カーボネート及びグリシジル化合物等を挙げることができる。これらの内、フェノール類、多価アルコール類が特に好ましい。場合によってはそれらを混合して用いることも出来る。
前記フェノール類としては、フェノール、レゾルシン、クレゾール、ナフトール、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等が挙げられる。
一方、前記多価アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1.4−ブタンジオール、1.5−ペンタンジオール、1.6−ヘキサンジオール、1.2−ヘキサンジオール、2.4−ヘキサンジオール、1.7−ヘプタンジオール、1.8−オクタンジオール、1.9−ノナンジオール、1.10−デカンジオール、ピナコール、シクロペンタン1.2−ジオール、シクロヘキサン1.2−ジオール、シクロヘキサン1.4−ジオール等の二価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の三価アルコール、ソルビトール、蔗糖など糖アルコール及びポリエチレングリコール(例、ポリエチレングリコール400(以下、PEG400という))、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレングリコール、ポリカプロラクトン(プラクセル303)等の重合体が挙げられる。
これらのフェノール類、多価アルコール類は、それぞれ単独で用いられるが、2種以上の混合物として、あるいは、本発明の目的に適した他の適当な溶媒との混合物として用いることもできる。
本発明に用いられる液化調整剤は、バイオマスの液化反応を調整する作用を示すものであって、低級アルコールが好適に用いられる。
この低級アルコールを含む一価のアルコール類としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、n-アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、カプリルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール(ドデシルアルコール)、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、アリルアルコール、クロチルアルコール、プロパルギルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、フルフリルアルコール等が挙げられる。
これらの一価アルコール類は、それぞれ単独で用いられるが、2種以上の混合物として、あるいは、本発明の目的に適した他の適当なアルコール類或は溶媒との混合物として用いることもできる。
本発明に用いられる酸触媒は、プロトン酸が好適に用いられる。このプロトン酸としては、特に実用性の高い硫酸、フェノールスルフォン酸が挙げられる。
前記したバイオマス、液化媒体、液化調整剤、及び酸触媒の混合物の各成分量は、それらの種類や液化バイオマスの使用目的等に応じて適宜変化するが、通常はバイオマス100部に対して酸触媒(プロトン酸)0.1部〜10部、好ましくは1〜5部とし、液化媒体(フェノール類又は多価アルコール類)100〜1000部、好ましくは150〜300部、液化調整剤(一価アルコール類)1〜20部、好ましくは3〜6部とすることができる。
本発明の液化バイオマスは、バイオマス、液化媒体、液化調整剤、及び酸触媒の混合物をガラス製容器やステンレス製の容器に仕込み、約110〜160℃の温度範囲で5〜200分間、攪拌又は非攪拌下、加熱させて生成する。必要があれば、予め酸触媒を液化調整剤、又は液化調整剤と液化媒体の混合物、又は液化媒体と40〜100℃の温度範囲で3〜150分反応させて用いる。このようにして生成された液化バイオマスのバイオマス成分の含有率は、前記した混合物の各成分量に応じて重量%で10〜80%の範囲である。
また前記した混合物の各成分の割合や添加順序は、反応意図・製造設計によって適宜選択されるべきものである。具体的には、バイオマスと混合する前に、予め液化媒体(フェノール類又は多価アルコール類)のみ、又は液化媒体及び液化調整剤(一価アルコール類)と、酸触媒であるプロトン酸(特に硫酸)とを混合し、密閉容器で40〜100℃、好ましくは50〜60℃で、3〜150分、好ましくは15〜60分反応させてプロトン酸エステルを含有する反応液を作成する。
このようにして、予め硫酸エステルを生成させた反応液中に、合計で、プロトン酸触媒(特に硫酸)0.1〜10部、バイオマス100部、液化媒体100〜1000部と液化調整剤0〜20部となるように必要成分を混合させて、密閉容器において110〜160℃の温度範囲で5〜200分間加熱することにより液化バイオマスを生成させる。
つまり、液化媒体の全部又は一部と酸触媒、液化調整剤の全部又は一部と酸触媒、液化媒体と液化調整剤酸を足したものの全部又は一部と触媒とを先に混合して硫酸エステル様の物を生成させ、残りの液化媒体及び液化調整剤を加えた反応液を予め作成し、この作成された反応液にバイオマスを混合し、生成している硫酸エステルを液化触媒として作用させてバイオマスを液化することになる。また、液化調整剤の全部又は一部と、酸触媒の全部とから反応液を作成し、この反応液に、液化媒体の全部と、バイオマスと、残りの液化調整剤とを混合させる場合もある。またバイオマスを先に秤とって、上記のように調製される反応液を適宜に加えてもよく、それらの順序にはこだわらない。
なお、一般にバイオマスがフェノール類、多価アルコール類、及び/又は一価アルコール類と反応し固相から液相へ少なくとも80%変換すると、外観上、液化物が得られたといえる状態になる。本発明の液化バイオマス製造方法によれば、そのような80%変換は容易に達成できるとともに、従来の液化法では容易にはなし得なかった固相から液相へのほぼ完全な変換も容易に達成できる特徴を有している。
液化のための密閉容器としては、この反応を実施できるものであれば良く、通常還流装置を備えたものを使用することが望ましい。液化の初期には反応に関与する物質の全体が良く混和し、その後期には十分な攪拌が可能な装置や、反応期間を通じてそのような混和と攪拌が効果的に行われ得る装置を用いると、液化を助長し、反応条件を緩和することができるので望ましい。例えば、エックストルーダ等を用いれば、トルクにより反応液がバイオマスに圧入されて反応液とバイオマスとの混和が促進される。そうすると、バイオマスの液化が助長され、小さい液比でも液化が達成されることになる。
実験室でのガラス器具実験においては、壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)のほうが通常の三口ないし二口丸底フラスコよりも容易にバイオマスの液化反応を進め得ることが知られている。かさ高いバイオマスが反応液に浸漬した部分から液化していくにつれ上部に残されていた未反応のバイオマスが自然に反応液中に落ち込むという単純な効果が、攪拌の効果と相乗して結果を大きく左右するものと考えられる。なお、後記する実施例において、このような反応管で実施したバイオマスの液化について、詳細に検討する。
次に、本発明における反応系において、液化媒体(フェノール類、又は多価アルコール類)及び/又は液化調整剤(一価アルコール類)と、酸触媒(硫酸(プロトン酸))とが反応してなる硫酸エステル(プロトン酸エステル)が生成するプロセスについて検討する。
すなわち、前記したフェノール類、多価アルコール類、一価アルコール類といったアルコールと硫酸を混合するとかなり容易にモノアルキル硫酸が生成し、共存するアルコールのエーテル化をより強く触媒するものである。しかし、このようなエーテル化試薬としての特性は、このモノアルキル硫酸よりも、さらにアルコールと反応してなるジアルキル硫酸のほうが強いことが知られている。このジアルキル硫酸は単に硫酸とアルコールを混合させただけでは生成しないので、生成させるために、50〜100℃で20〜50分加熱反応させることになる。
アルコール2分子から水が取れてエーテルが生成する反応は、これら硫酸エステルがアルコールに反応するとともに、別のアルコールにより硫酸が引き出されて(硫酸エステルが再生して)、反応が進行することになる。この反応は、硫酸エステルから安定な硫酸アニオン(HOSO3−)が脱離することが駆動力になっている。
このためアルコールを前もって硫酸と処理して硫酸エステルとしておけば、木材中の水酸基をエーテル化したり、木材成分中のグリコシッド結合やエーテル結合部位を加アルコール分解したりすることが効果的に達成されることになり、バイオマスの液化が促進される。このように硫酸エステルのような反応性の高い試薬を用いる結果、バイオマスの液化反応の反応温度を引き下げることも可能である。なお、本来的にはアルコールの硫酸エステル化はアルコールと硫酸を室温に放置しても徐々に進行するが、実際的には50〜60℃で、数十分加熱することにより短時間で達成されるものである。
次に、硫酸エステル(プロトン酸エステル)がバイオマスの液化反応において有効な液化触媒として作用することについて、単糖(D-(+)-グルコース(Glc)、メチル-α-D-グルコシド(m-Glc))を用いて行った実験をもとにして説明する。
ここで、Glcとm-Glcをそれぞれ150℃でε-カプロラクトンと反応させたところ、Glcでは、反応液の顕著な褐色化、著量の高分子量物質の副生、pHの酸性側へのシフト、多量の水の生成、著しい水酸基価の減少が起こったのに対し、m-Glcでは、褐色化は進まず、高分子物や水の副生、そしてpHや水酸基価の変化といった副反応は認められず、ε-カプロラクトンのグラフトのみが起こった。
すなわち、Glcにおいては、その還元性末端部位においてアルデヒド構造へ異性化したものの行うアルドール縮合等、アルデヒド基由来の反応、Glcからの脱水反応により生ずるフルフラール類の高分子樹脂化、Glc変性物間での縮重合等を起因とする高分子化物の生成や反応液の粘度の増大、収率の低下、発色物質の生成といったことが起こるのに対し、m-Glcではそれらが起こらないということである。すなわち、Glcは、メチルグルコシッド化されてm-Glcになることにより、安定化することが示唆される。
これらの差異が生じる理由は、Glcが一種のヘミアセタールであり、アルデヒド構造への異性化が起こり変性しやすいのに対し、m-Glcは安定なアセタール構造をとっているため異性化が困難であるためと考えられる。
従って木材等、バイオマスの液化反応を進める際に、セルロースやヘミセルロースの主鎖グルコシッド結合の加溶媒分解により生成する還元性末端のメチルグリコシッド化を進めることは、低分子化されたものを含め、望ましくない副反応を抑制することにつながり、優れた液化を実現することになる。これが、本発明において不完全ながら優れた特性を有する液化バイオマスが得られることの説明である。
なお、硫酸やフェノールスルフォン酸を触媒として、90℃以上の温度でメタノールをGlcに反応させてm-Glcが合成されることは公知であり、本発明に係る液化バイオマスの製造方法においてはこの反応を応用するわけである。
このようにして本発明では、プロトン酸エステル(硫酸エステル)を液化触媒として用いることにより、容易にバイオマスを液化物に変換することができる。そして、本発明により製造された液化バイオマスは均一な液状物を構成することになる。さらに、バイオマスの液化過程で高分子化物の生成や再重縮合が起こらなくなるので、不溶解残渣量が無視できる値に低下するとともに、液化収率も高まる。同時に、液化バイオマスは、粘度が低くなるため、取り扱いの容易な物性が得られることになる。
さらにこの液化バイオマスは、少なくともバイオマス中の水酸基よりも反応性の高い液化媒体(フェノール類又は多価アルコール類)が導入されて活性化されているので、樹脂の製造原料として極めて有用なものである。
例えば、フェノール類を液化媒体として調製した液化バイオマスは、フォルムアルデヒドと反応させなくてもノボラック樹脂として使える。このノボラック樹脂は、通常の処方で充填剤(セルロシン)、硬化剤(ヘキサミン)、硬化促進剤(水酸化カルシウム)及び離型剤(ステアリン酸亜鉛)と混合・混練してコンパウンド化して試片を成形すると、90〜120 MPaというJIS規格の要求する値を大きく凌駕する曲げ強度が得られる。
また、多価アルコール類を液化媒体として調製した液化バイオマスは、多価イソシアネート類等の架橋剤又は硬化剤と発泡剤(水)を加え、通常の条件の下で発泡硬化処理を行うと、この液化バイオマスは積極的に反応に関与する。そして、バイオマス成分が発泡時の形態保持に重要な役割を果たし、0.1 MPaを超える圧縮強度を示す優れた物性の発泡体が得られる。
さらに、フェノール類或いは多価アルコール類を液化媒体として調製した液化バイオマスは、それらが含むフェノール性水酸基及び/又はアルコール性水酸基をグリシジルエーテル化することによりエポキシ樹脂を得ることができる。このエポキシ樹脂は、通常の処方で麻繊維など植物繊維との混合や含浸により、複合化させて試片を成形すると、100〜180 MPaという予期される値を大きく凌駕する曲げ強度が得られる。
これらのように反応性に優れた液化バイオマスが得られる理由は、本発明に係る液化バイオマスの製造方法において、プロトン酸エステル(硫酸エステル)が合目的に液化触媒として作用しているためと考えられる。
以上述べたように、本発明は、従来法よりもバイオマスの液化が格段に容易になると共に、得られる液化バイオマスの物性が優れる。このため、本発明により製造された液化バイオマスから合成された熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等)は、樹脂化する際の加工性が数段向上するとともに、優れた機械的強度を有している。
本発明方法によれば、バイオマスをより有効にかつ容易に、樹脂原料として利用可能なバイオマス液化物に変換することができる。従って、本発明の液化バイオマスの製造方法、並びに本発明方法によって得られたバイオマス液化物は、容易でかつ付加価値の高いバイオマスの有効利用を与えるものと言える。
以下、本発明を、実施例及び比較例によって具体的に説明するが、これらに使用される木粉は、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier & Soehne社製)を一度真空乾燥し、デシケーター中に保存したものである。また、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
実施例1では、メタノール50 g を100 ml容フラスコに秤りとり、外部より氷水で冷やし60℃以下に保つようにしながら、攪拌下で 30 ml の硫酸を滴下し、一旦十分安定化させた後、フラスコの上部に還流コンデンサーを接続したうえで、60℃で30分間攪拌下に加熱反応させ、硫酸ジメチルエステルを主体とする硫酸メチルエステルに変換させた。
その上で、フェノール 8.55 g とあらかじめ上記のように調製した硫酸エステル0.72 g を50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)に秤りとり、直ちに混合し、引き続いて上記乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier & Soehne社製)3gを上から加えた(木粉の3倍重量量の媒体(フェノール+メタノール)を加える;液比 3)。
反応管に還流コンデンサーをつけ、直ちに150℃の油浴に沈めて、40分反応させた。その際、最初の約5分間は攪拌せずに反応物全体が変色し全体的に固溶体状になるのを待ち、それを確認後スリーワンモーターによる攪拌を開始した。液化の進行が迅速であることが観察され、約15分で液化が完結しそれ以後は外観的変化が認められなくなった。
その15分程度の液化時間でどの程度まで液化が進んでいるものかを実験的に確認した結果を後記する実施例2で示すことにする。
40分の液化実験終了後、油浴から引き上げ冷却しながら少しずつメタノールを加え、溶解希釈する。ついで、300 ml容のビーカーに内容物をメタノールで洗い出し、全量を約300 mlとして、約1時間攪拌した。次いでガラス繊維濾紙(TOYO “GA100”)を用いて上記の希釈反応液を濾過し、液化物と不溶解残渣とを分離した。不溶解残渣はさらにメタノールを用いて数回洗浄し、予備乾燥の後、105 ℃で一夜、真空乾燥し、秤量して不溶解残渣率を求めた。
得られた不溶解残渣率は 1.58 % と、これまでの木粉液化実験で得られてきた値(後記する比較例1における値10.02 %)に比べて著しく低く、ほとんど完全液化が実現されたといえる値であった。これはこれまでの木材液化の場合に問題にされてきた、セルロースやヘミセルロースの低分子化液化過程で生成しうる還元性末端部位においてアルデヒド構造へ異性化したものの行うアルドール縮合等、アルデヒド基由来の反応、それら由来の単糖からの脱水反応により生ずるフルフラール類の高分子樹脂化、多糖やリグニン低分子化・変性物間での縮重合等を起因とする高分子化物の生成といった現象が、予め液化反応系の中で5%量加えるだけのメタノールで硫酸をエステル化したものを触媒として用いることにより起こらなくなり、無視できるということを示すものである。
このことと関連して、液化終了時に希釈を行わない段階で、生成反応液(液化バイオマス)の粘度を60 ℃で測定した。粘度計としては東機産業(株)製 RE80U 型粘度計を標準ロータ(1°34′x R24)とともに用いた。得られた粘度値は1853 mPa・sであり、後記する参考例1で得られた従来法による液化バイオマスの場合の 2519 mPa・s の値より低い値となった。
一方、このように得られた液化バイオマスはフォルムアルデヒドと反応させなくてもノボラック樹脂として使うことができ、通常の処方で充填剤(セルロシン)、硬化剤(ヘキサミン)、硬化促進剤(水酸化カルシウム)及び離型剤(ステアリン酸亜鉛)と混合・混練してコンパウンド化し、成形した試片は115 MPaというJIS規格の要求する値を大きく凌駕する曲げ強度を与えた。
実施例2では、液化時間を20分に変えて、その他は実施例1と同様に処理した。その結果、8.73 %の不溶解残渣率が得られ、実施例1の場合の不溶解残渣率が1.58 %であったことを勘案すると、20分の液化時点では該液化のレベルオフには達していないことが確認できた。
実施例3では、液化時間を120分に変えて、その他は実施例1と同様に処理した。その結果、0.63 %の不溶解残渣率が得られ、実施例1の場合の不溶解残渣率が1.58 %であったことを勘案すると、実施例1で採用された40分の液化時点で、該液化のレベルオフにほぼ達していたこと、及び120分という十分長い液化時間をとっても再縮合といった不溶解残渣率を高める反応がその間に起こらないことが確認できた。
<比較例1>
ここで、従来から一般に行われてきたバイオマスの液化法を比較例1として示す。この比較例1と実施例1との相違点は、メタノールを使用しない点と硫酸を直接使用する点である。すなわち、50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)にフェノール 9 g と 硫酸. 0.27 g を混合しながら秤りとったのち、乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier & Soehne社製)3gを加えた(木粉の3倍重量量の媒体(フェノール)を加える;液比 3)。それを 実施例1に準じて、150℃で、40分反応させ、不溶解残渣率を求めたところ 10.02 % の値が得られた。この値は従来からの木材液化実験で得られてきたものと同等のものであり、実施例1での議論に沿ったものとなっている。得られた液化物の60 ℃ での粘度は既述のように2519 mPa・sであった。従来法液化物をノボラック様樹脂として調製した成形物も85〜120 MPaというJIS規格の要求する値を凌駕する曲げ強度を与えた。
実施例4では、実施例1と同様にメタノールを使用するものの、予め硫酸と反応させずに直接加える液化法を検討した。従来から一般に行われてきた液化法とはメタノールを加え、それに特に糖の還元性末端への導入剤としての効果を期待した点が異なる。すなわち、50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)にフェノール8.55 g、メタノール 0.45 g 及び硫酸 0.27 gを秤りとりながら混合し、次いで乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier &Soehne社製)3gを加えた(液比 3)。
それを 実施例1に準じて、150℃で、40分反応させ、不溶解残渣率を求めたところ 1.17 % の値が得られた。この値は従来からの木材液化実験で得られてきたものと比べ格段に低く、実施例1の場合と同様、完全液化といえるものであった。ただし、得られた液化物の60 ℃ での粘度は 2110 mPa・sであり、実施例1と比較例1との中間の値になっている。実施例4の液化バイオマス成分は、実施例1の場合と比較して、希釈剤メタノールに溶解し濾過し得るものの分子量的には粘度値の上昇した分、高分子量になっていると考えられる。
実施例5では、フェノール 95 g、メタノール5 g 及び 硫酸 3 g を100 ml容フラスコに秤りとり、フラスコの上部に還流コンデンサーを接続したうえで、60℃で30分間攪拌下に加熱反応させ、硫酸エステルを生成させた。この場合、生成する硫酸エステルはメチルエステルとフェニルエステルの混合物になる点が実施例1の場合と異なる。
50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)に上記のフェノール、メタノール 及び硫酸の反応物を 9.27 gを秤りとり、その上から乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier &Soehne社製)3gを加えた(液比 3)。それを 実施例1に準じて、150℃で、40分反応させ、不溶解残渣率を求めたところ 0.88 % の値が得られた。この値は実施例1で得られた溶解残渣率1.58%より低く、完全液化といえるものであった。ただし、0.88%と1.58%の値の間に有意差があるかについては現時点では即断できない。問題は、実施例1と実施例4とで液化に先立つ硫酸のエステル化処理に量的な大きな差があり、実施例1での場合のほうが少量処理という点で実際性があるということと、バイオマス低分子化物へのエーテル化剤として考えた場合、脱離基として安定なフェノールが生成するフェニルエーテルに勝るメチルエーテル化剤での処理である実施例1という観点を今後の検討結果も勘案してどう評価するかということであろう。得られた液化物の60 ℃ での粘度は 1870 mPa・sであり、実施例1での1853 mPa・sとほぼ同等の値となっている。
実施例6では、フェノール 100 g 及び 硫酸 3 g を100 ml容フラスコに秤りとり、フラスコの上部に還流コンデンサーを接続したうえで、60℃で30分間攪拌下に加熱反応させ、硫酸エステルを生成させた。この場合、生成する硫酸エステルはフェニルエステルになる点が実施例1の場合と異なる。
50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)に上記のフェノール及び硫酸の反応物を 9.27 gを秤りとり、その上から乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier &Soehne社製)3gを加えた(液比 3)。それを 実施例1に準じて、150℃で、40分反応させ、不溶解残渣率を求めたところ 5.77% の値が得られた。この値は実施例1で得られた溶解残渣率1.58%より大きいが、液化は十分進んだといえるものであった。問題は、実施例1と実施例7とで液化に先立つ硫酸のエステル化処理に量的に大きな差があり、実施例1での場合の少量処理に比べ不利であるということと、バイオマス低分子化物へのエーテル化剤として考えた場合、脱離基として安定なフェノールが生成するフェニルエーテル化剤での処理という不利さがあるといえる。得られた液化物の60 ℃ での粘度は 2190 mPa・sであり、実施例1での1853 mPa・sよりやや高い値となっている。
実施例7では、メタノール50 g を100 ml容フラスコに秤りとり、外部より氷水で冷やしながら、攪拌下で 30 ml の硫酸を滴下し、一旦十分安定化させた後、フラスコの上部に還流コンデンサーを接続したうえで、60℃で30分間攪拌下で加熱反応させ、硫酸ジメチルエステルを主体とする硫酸メチルエステルに変換させた。その上で、PEG400 6.84 g、 グリセリン 1.71 g とあらかじめ上記のように調製した硫酸エステル0.72 g を50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)に秤りとり、直ちに混合し、引き続いて上記乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier & Soehne社製)3gを上から加えた(木粉の3倍重量量のアルコール性媒体を加える;液比 3)。
反応管に還流コンデンサーをつけ、直ちに150℃の油浴に沈めて、40分反応させた。その際、最初の約5分間は攪拌せずに反応物全体が変色し全体的に固溶体状になるのを待ち、それを確認後スリーワンモーターによる攪拌を開始した。液化の進行が迅速であることが観察され、目視では約20分で液化が完結しそれ以後は外観的変化が認められなくなった。40分の液化実験終了後、油浴から引き上げ冷却しながら少しずつジオキサン・水(重量比8:2)混液を加え、溶解希釈する。ついで、300 ml容のビーカーに内容物を上記ジオキサン・水混液で洗い出し、全量を300 mlとして、約1時間攪拌した。次いでガラス繊維濾紙(TOYO “GA100”)を用いて上記の希釈反応液を濾過し、液化物と不溶解残渣とを分離した。不溶解残渣はさらにジオキサン・水混液を用いて数回洗浄し、予備乾燥の後、105 ℃で一夜、真空乾燥し、秤量して不溶解残渣率を求めた。
得られた不溶解残渣率は 2.5 % とこれまでの対応する木粉液化実験で得られてきた値に比べて著しく低く、ほとんど完全液化が実現されたといえる値であった。これはこれまでの木材液化の場合に問題にされてきた、セルロースやヘミセルロースの低分子化液化過程で生成しうる還元性末端部位においてアルデヒド構造へ異性化したものの行うアルドール縮合等、アルデヒド基由来の反応、それら由来の単糖からの脱水反応により生ずるフルフラール類の高分子樹脂化、多糖やリグニン低分子化・変性物間での縮重合等を起因とする高分子化物の生成といった現象が、予め液化反応系の中で5%量加えるだけのメタノールで硫酸をエステル化したものを触媒として用いることにより起こらなくなり、無視できるということを示すものである。
このことと関連して、液化終了時に希釈を行わない段階で、生成反応液(液化バイオマス)の粘度を25 ℃ で測定した。粘度計としては東機産業(株)製 RE80U 型粘度計を標準ロータ(1°34′x R24)とともに用いた。得られた粘度値は1331 mPa・sと十分低い値であった。
実施例8においては、液化時間を20分と短くした他は実施例7と同様に液化を行なった。その結果、12.6 %の不溶解残渣率が得られ、実施例7の場合の不溶解残渣率が2.5 %であったことを勘案すると、20分の液化時点では該液化のレベルオフにはまだまだ達していないことが確認できた。
実施例9においては、液化時間を120分と長くする他は実施例7と同様に液化を行なった。その結果、1.43 %の不溶解残渣率が得られ、実施例7の場合の不溶解残渣率が2.5 %であったことを勘案すると、実施例7で採用された40分の液化時点で、該液化のレベルオフにほぼ達していたこと、及び120分という十分長い液化時間をとっても再縮合といった不溶解残渣率を高める反応がその間に起こらないことが確認できた。
<比較例2>
ここで、従来から一般に行われてきたバイオマスの液化法を比較例2として示す。この比較例2と実施例7との相違点は、メタノールを使用しない点と硫酸を直接使用する点である。すなわち、50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)にPEG400 7.20 g、 グリセリン 1.80 g と 硫酸. 0.27 g を混合しながら秤りとったのち、乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier & Soehne社製)3gを加えた(液比 3)。それを実施例7に準じて、150℃で、40分反応させ、不溶解残渣率を求めたところ 6.4 % の値が得られた。この値は従来からの木材液化実験で得られてきたものと同等のものであり、実施例7での議論に沿ったものとなっている。得られた液化物の25 ℃ での粘度は1460 mPa・sであった。
実施例10では、実施例7と同様にメタノールを使用するものの、予め硫酸と反応させずに直接加える液化法について検討した。従来から一般に行われてきた液化法とはメタノールを加え、特に糖の還元性末端への導入剤としての効果を期待した点が異なる。すなわち、50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)にPEG400 6.84 g、グリセリン1.71 g、 メタノール 0.45 g 及び硫酸 0.27 gを秤り取りながら混合し、次いで乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier & Soehne社製)3gを加えた(液比 3)。
それを実施例7に準じて、150℃で、40分反応させ、不溶解残渣率を求めたところ 5.00 % の値が得られた。この値は従来からの木材液化実験で得られてきたものと比べ低くはなっているが、実施例7の場合の2倍で、むしろ比較例2に近い値である。これは実施例1と実施例3との関係と異なっているが、それらの場合フェノールの融点の関係で加温したフェノールを使わざるを得ないのでその影響が考えられ、実施例7と実施例10の関係のほうが正しい結果と考えられる。メタノールは硫酸と加熱反応させて始めて著しい役割を果たすようになると判断される。ただし、得られた液化物の25 ℃ での粘度は 1219 mPa・sであり、比較例2より低い値になっている。
実施例11では、PEG400 76 g、グリセリン 19 g、メタノール5 g 及び 硫酸 3 g を100 ml容フラスコに秤り取り、フラスコの上部に還流コンデンサーを接続したうえで、60℃で30分間攪拌下で加熱反応させ、硫酸エステルを生成させた。この場合、生成する硫酸エステルはメチルエステルと多価アルコール由来エステルの混合物になる点が 実施例7の場合と異なる。
50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)に上記のPEG400、グリセリン、メタノール 及び硫酸の反応物を 9.27 gを秤り取り、その上から乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier & Soehne社製)3gを加えた(木粉の3倍重量量のアルコール性媒体を加える;液比 3)。それを実施例7に準じて、150℃で、40分反応させ、不溶解残渣率を求めたところ 2.76 % の値が得られた。この値は実施例7で得られた溶解残渣率2.50%よりは僅かに大きいが、完全液化といえるものであった。問題は、実施例7と実施例11とで液化に先立つ硫酸のエステル化処理に量的な大きな差があり、実施例7の場合のほうが少量処理という点で実際性があるということと、その場合バイオマス低分子化物へのエーテル化剤として考えた場合、分子容が小さいメチルエーテル化剤での処理であるという事実を今後の検討結果も勘案してどう評価するかということであろう。得られた液化物の25 ℃ での粘度は 1265 mPa・sであり、実施例7での1331 mPa・sとほぼ同等の値となっている。
実施例12では、PEG400 80 g、 グリセリン 20 g及び 硫酸 3 g を100 ml容フラスコに秤り取り、フラスコの上部に還流コンデンサーを接続したうえで、60℃で30分間攪拌下に加熱反応させ、硫酸エステルを生成させた。この場合、生成する硫酸エステルは多価アルコール由来エステルになる点が 実施例11の場合と異なる。
50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)に上記のPEG400、グリセリン及び硫酸の反応物を 9.27 gを秤り取り、その上から乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier &Soehne社製)3gを加えた(木粉の3倍重量量のアルコール性媒体を加える;液比 3)。それを実施例7に準じて、150℃で、40分反応させ、不溶解残渣率を求めたところ 3.20 % の値が得られた。この値は実施例7で得られた溶解残渣率2.50%よりは大きいが、優れた液化といえるものであった。実施例7と実施例12とでは液化に先立つ硫酸のエステル化処理に量的な大きな差があり、実施例7の場合のほうが少量処理という点で実際性があったということと、バイオマス低分子化物へのエーテル化剤として考えた場合、実施例7では、分子容が小さいメチルエーテル化剤を用いていたということに留意すべきと考える。得られた液化物の25 ℃ での粘度は 1350 mPa・sであり、実施例7での1331 mPa・sとほぼ同等の値となっている。
実施例13では、メタノール50 g を100 ml容フラスコに秤りとり、外部より氷水で冷やし60℃以下に保つようにしながら、攪拌下で 30 ml の硫酸を滴下し、一旦十分安定化させた後、フラスコの上部に還流コンデンサーを接続し、60℃で30分間攪拌下で加熱反応させ、硫酸ジメチルエステルを主体とする硫酸メチルエステルに変換させた。その上で、フェノール 4.28 g とあらかじめ上記のように調製した硫酸エステル0.36 g を50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)に秤りとり、直ちに混合し、引き続いて上記乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier & Soehne社製)3gを上から加えた(木粉の1.5倍重量量の媒体(フェノール+メタノール)を加える;液比 1.5)。
反応管に還流コンデンサーをつけ、直ちに150℃の油浴に沈めて、40分反応させた。その際、最初の約20分間は攪拌せずに反応物全体がおおよそ変色するのを待ち、次いで、スリーワンモーターによる攪拌を開始した。40分の液化実験終了後、油浴から引き上げ冷却しながら少しずつメタノールを加え、溶解希釈する。ついで、300 ml容のビーカーに内容物をメタノールで洗い出し、全量を約300 mlとして、約1時間攪拌した。次いでガラス繊維濾紙(TOYO “GA100”)を用いて上記の希釈反応液を濾過し、液化物と不溶解残渣とを分離した。不溶解残渣はさらにメタノールを用いて数回洗浄し、予備乾燥の後、105 ℃で一夜、真空乾燥し、秤量して不溶解残渣率を求めた。
得られた不溶解残渣率は 15.7 % とこれまでの液比1.5での木粉液化実験で得られてきた値に比べてかなり低く、高度の液化が実現されたといえる値であった。予め液化反応系の中で2.5%量加えるだけのメタノールで硫酸をエステル化したものを触媒として用いることによる効果が示された結果といえる。
実施例14においては、フェノール 4.28 g と実施例13冒頭に示した硫酸とメタノールの反応物である硫酸メチルエステル0.36 g を50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)に秤りとり、両者をよく混ぜ合わせた後、乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier &Soehne社製)3gを上から加え(木粉の1.5倍重量量の媒体(フェノール+メタノール)を加える;液比 1.5)、直ちにガラス攪拌棒で全体的に混合し、できるだけ全体的に均一にする。次いでスリーワンモーターでの攪拌を開始し、液化全過程を通してそれを継続する。こういった木粉と媒体及び触媒を最初から人為的に混ぜ合わせるといった点以外は実施例13に準じて液化を行い、不溶解残渣率を求めたところ 18.76 % の値が得られた。この値は実施例13で得られた値と差がなく、混ぜ合わせを人為的にする、しないに拘わらず同様な液化がなされたということであり、後記する参考例3,4、実施例15,16、実施例17,18それぞれ場合の値の違いと比べて対照的な結果となっており、触媒系が優れていることを反映した結果とも考えられる。
<比較例3>
ここで、従来から一般に行われてきたバイオマスの液化法を比較例3として示す。この比較例3と実施例13,14との相違点は、メタノールを使用しない点と硫酸を直接使用する点である。すなわち、50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)にフェノール 4.5 g と 硫酸 0.14 g を混合しながら秤りとったのち、乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier & Soehne社製)3gを加えた(木粉の1.5倍重量量の媒体(フェノール)を加える;液比 1.5)。それを実施例13に準じて、150℃で、40分反応させ、不溶解残渣率を求めたところ 53.2 % の値が得られた。この値は従来からの木材液化実験で得られてきたものと比べても、また実施例13で得られた不溶解残渣率15.7%と比べて大きな値となっている。後者からは、実施例13の液化手法が優れていると云えることになる。
<比較例4>
比較例4では、フェノール 4.5 g と硫酸0.14 g を50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)に秤りとり、両者をよく混ぜ合わせた後、乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier &Soehne社製)3gを上から加え(木粉の1.5倍重量量の媒体(フェノール)を加える;液比 1.5)、直ちにガラス攪拌棒で全体的に混合し、できるだけ全体的に均一にした。次いでスリーワンモーターでの攪拌を開始し、液化全過程を通してそれを継続する。こういった木粉と媒体及び触媒を最初から人為的に混ぜ合わせるといった点以外は実施例13に準じて液化を行い、不溶解残渣率を求めたところ 42.3% の値が得られた。この値は比較例3で得られた値53.2%と比べ随分と液化が進んでおり、混ぜ合わせを人為的にすることによる液化の進行の改善が伺われる。
実施例15では、実施例13と同様にメタノールを使用するものの、予め硫酸と反応させずに直接加える液化法を検討した。従来から一般に行われてきた液化法とはメタノールを加え、それに特に糖の還元性末端への導入剤としての効果を期待した点が異なる。すなわち、50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)にフェノール 4.28 g、メタノール 0.23 g 及び硫酸 0.14 gを秤り取りながら混合し、次いで乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier & Soehne社製)3gを加えた(木粉の1.5倍重量量の媒体(フェノール+メタノール)を加える;液比 1.5)。
反応管に還流コンデンサーをつけ、直ちに150℃の油浴に沈めて、40分反応させた。その際、最初の約20分間は攪拌せずに反応物全体がおおよそ変色するのを待ち、次いで、スリーワンモーターによる攪拌を開始した。40分の液化実験終了後、油浴から引き上げ冷却しながら少しずつメタノールを加え、溶解希釈する。ついで、300 ml容のビーカーに内容物をメタノールで洗い出し、全量を約300 mlとして、約1時間攪拌した。次いでガラス繊維濾紙(TOYO “GA100”)を用いて上記の希釈反応液を濾過し、液化物と不溶解残渣とを分離した。不溶解残渣はさらにメタノールを用いて数回洗浄し、予備乾燥の後、105 ℃で一夜、真空乾燥し、秤量して不溶解残渣率を求めた。得られた不溶解残渣率は33.4 % とこれまでの液比1.5での木粉液化実験で得られてきた値の範囲内のものであった。但し、液化実験経過からみると、初期から攪拌混合をすることにより改良の余地を予見させるものであったので、次の実施例16でそれを試みた。
実施例16では、フェノール 4.28 g とメタノール0.23 g 及び硫酸0.14 gを50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)に秤りとり、両者をよく混ぜ合わせた後、乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier &Soehne社製)3gを上から加え(木粉の1.5倍重量量の媒体(フェノール+メタノール)を加える;液比 1.5)、直ちにガラス攪拌棒で全体的に混合し、できるだけ全体的に均一にする。次いでスリーワンモーターでの攪拌を開始し、液化全過程を通してそれを継続する。こういった木粉と媒体及び触媒を最初から人為的に混ぜ合わせるといった点以外は実施例 15 に準じて液化を行い、不溶解残渣率を求めたところ 24.43 % の値が得られた。この値は比較例3で得られた値60.7%と比べ随分と液化が進んでおり、混ぜ合わせを人為的にすることによる液化の進行の改善は明白と言える結果となった。
実施例17では、フェノール 95 g、メタノール5 g 及び 硫酸 3 g を100 ml容フラスコに秤り取り、フラスコの上部に還流コンデンサーを接続したうえで、60℃で30分間攪拌下で加熱反応させ、硫酸エステルを生成させた。この場合、生成する硫酸エステルはメチルエステルとフェニルエステルの混合物になる点が実施例13での場合と異なる。50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)に上記のフェノール、メタノール及び硫酸の反応物を 4.64 gを秤り取り、その上から乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier & Soehne社製)3gを加えた(木粉の1.5倍重量量の媒体(フェノール+メタノール)を加える;液比 1.5)。それを 実施例13に準じて、150℃で、40分反応させ、不溶解残渣率を求めたところ19.8 % の値が得られた。液化実験経過からみると、初期から攪拌混合をすることにより改良の余地を予見させるものであったので、次の実施例18でそれを試みた。
実施例18では、フェノール 95 g、メタノール5 g 及び 硫酸 3 g を100 ml容フラスコに秤り取り、フラスコの上部に還流コンデンサーを接続したうえで、60℃で30分間攪拌下で加熱反応させ、硫酸エステルを生成させた。50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)に上記のフェノール、メタノール 及び硫酸の反応物を 4.64 gを秤り取り、その上から乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier & Soehne社製)3gを加え(木粉の1.5倍重量量の媒体(フェノール+メタノール)を加える;液比 1.5)、直ちにガラス攪拌棒で全体的に混合し、できるだけ全体的に均一にする。次いでスリーワンモーターでの攪拌を開始し、液化全過程を通してそれを継続する。こういった木粉と媒体及び触媒を最初から人為的に混ぜ合わせるといった点以外は実施例17に準じて液化を行い、不溶解残渣率を求めたところ19.0% の値が得られた。この値は実施例17で得られた値19.8%と比べ僅かに液化が進んでおり、混ぜ合わせを人為的にすることによる液化の進行の改善を示唆している。
実施例19では、フェノール 100 g 及び 硫酸 3 g を100 ml容フラスコに秤り取り、フラスコの上部に還流コンデンサーを接続したうえで、60℃で30分間攪拌下で加熱反応させ、硫酸エステルを生成させた。この場合、生成する硫酸エステルはフェニルエステルになる点が実施例13の場合と異なる。
50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)に上記のフェノール及び硫酸の反応物を 4.64 gを秤り取り、その上から乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier &Soehne社製)3gを加えた(液比 3)。それを 実施例13に準じて、150℃で、40分反応させ、不溶解残渣率を求めたところ 34.2% の値が得られた。この値は実施例13で得られた溶解残渣率15.7%より大きいが、バイオマス低分子化物へのエーテル化剤として考えた場合、脱離基として安定なフェノールが生成するフェニルエーテル化剤での処理という不利さがあるといえる。
実施例20においては、実施例19冒頭に示した硫酸とフェノールの反応物である硫酸フェニルエステル4.64 g を50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)に秤りとり、乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier &Soehne社製)3gを上から加え(木粉の1.5倍重量量の媒体(フェノール+メタノール)を加える;液比 1.5)、直ちにガラス攪拌棒で全体的に混合し、できるだけ全体的に均一にする。次いでスリーワンモーターでの攪拌を開始し、液化全過程を通してそれを継続する。こういった木粉と媒体及び触媒を最初から人為的に混ぜ合わせるといった点以外は実施例19に準じて液化を行い、不溶解残渣率を求めたところ 30.63 % の値が得られた。この値は先の実施例19で得られた値よりやや優れており、混ぜ合わせを人為的にする効果が示されている。
実施例21では、メタノール50 g を100 ml容フラスコに秤りとり、外部より氷水で冷やしながら、攪拌下で 30 ml の硫酸を滴下し、一旦十分安定化させた後、フラスコの上部に還流コンデンサーを接続したうえで、60℃で30分間攪拌下で加熱反応させ、硫酸ジメチルエステルを主体とする硫酸メチルエステルに変換させた。その上で、PEG400 3.42 g、 グリセリン 0.86 g とあらかじめ上記のように調製した硫酸エステル0.36 g を50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)に秤りとり、直ちに混合し、引き続いて上記乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier & Soehne社製)3gを上から加えた(木粉の1.5倍重量量のアルコール性媒体を加える;液比 1.5)。
反応管に還流コンデンサーをつけ、直ちに150℃の油浴に沈めて、40分反応させた。その際、最初の約5分間は攪拌せずに反応物全体が変色し全体的に固溶体状になるのを待ち、それを確認後スリーワンモーターによる攪拌を開始した。液化の進行が迅速であることが観察され、目視では約20〜30分で液化が完結しそれ以後は外観的変化が認められなくなった。40分の液化実験終了後、油浴から引き上げ冷却しながら少しずつジオキサン・水(重量比8:2)混液を加え、溶解希釈する。ついで、300 ml容のビーカーに内容物を上記ジオキサン・水混液で洗い出し、全量を300 mlとして、約1時間攪拌した。次いでガラス繊維濾紙(TOYO “GA100”)を用いて上記の希釈反応液を濾過し、液化物と不溶解残渣とを分離した。不溶解残渣はさらにジオキサン・水混液を用いて数回洗浄し、予備乾燥の後、105 ℃で一夜、真空乾燥し、秤量して不溶解残渣率を求めた。
得られた不溶解残渣率は 4.2 % とこれまでの木粉液化実験で得られてきた値に比べて低く、ほとんど完全液化が実現されたといえる値であった。これはこれまでの木材液化の場合に問題にされてきた、セルロースやヘミセルロースの低分子化液化過程で生成しうる還元性末端部位においてアルデヒド構造へ異性化したものの行うアルドール縮合等、アルデヒド基由来の反応、それら由来の単糖からの脱水反応により生ずるフルフラール類の高分子樹脂化、多糖やリグニン低分子化・変性物間での縮重合等を起因とする高分子化物の生成といった現象が、予め液化反応系の中で5%量加えるだけのメタノールで硫酸をエステル化したものを触媒として用いることにより、たとえ液比を1.5とした液化実験でも起こらなくなり、無視できるようになるということを示すものである。
<比較例5>
ここで、従来から一般に行われてきたバイオマスの液化法を比較例5として示す。この比較例5と実施例21との相違点は、メタノールを使用しない点と硫酸を直接使用する点である。すなわち、50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)にPEG400 3.60 g、 グリセリン 0.90 g と 硫酸. 0.14 g を混合しながら秤りとったのち、乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier & Soehne社製)3gを加えた(木粉の1.5倍重量量のアルコール性媒体を加える;液比 1.5)。それを 実施例21に準じて、150℃で、40分反応させ、不溶解残渣率を求めたところ 19.5 % の値が得られた。
実施例22では、実施例21と同様にメタノールを使用するものの、予め硫酸と反応させずに直接加える液化法を検討した。従来から一般に行われてきた液化法とはメタノールを加え、特に糖の還元性末端への導入剤としての効果を期待した点が異なる。すなわち、50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)にPEG400 3.42 g、グリセリン0.86 g、 メタノール 0.23 g 及び硫酸 0.14 gを秤り取りながら混合し、次いで乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier & Soehne社製)3gを加えた(液比 1.5)。それを 実施例21に準じて、150℃で、40分反応させ、不溶解残渣率を求めたところ 12.5 % の値が得られた。この値を実施例21の場合のそれと比べると、メタノールを単に液化系に存在させる効果に比べ、予め硫酸と加熱反応させる効果が大きいことが浮かび上がる。
実施例23では、PEG400 76 g、 グリセリン 19 g、メタノール5 g 及び 硫酸 3 g を100 ml容フラスコに秤り取り、フラスコの上部に還流コンデンサーを接続したうえで、60℃で30分間攪拌下で加熱反応させ、硫酸エステルを生成させた。この場合、生成する硫酸エステルはメチルエステルと多価アルコール由来エステルの混合物になる点が 実施例21の場合と異なる。50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)に上記のPEG400、グリセリン、メタノール 及び硫酸の反応物を 4.64 gを秤り取り、その上から乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier & Soehne社製)3gを加えた(木粉の1.5倍重量量のアルコール性媒体を加える;液比 1.5)。それを 実施例21に準じて、150℃で、40分反応させ、不溶解残渣率を求めたところ 7.50% の値が得られた。この値は実施例21で得られた溶解残渣率4.20%よりは大きいが、完全液化に近い値であった。問題は、実施例21と実施例23とで液化に先立つ硫酸のエステル化処理に量的な大きな差があり、実施例21での場合のほうが少量処理という点で実際性があるということと、バイオマス低分子化物へのエーテル化剤として考えた場合、分子容が小さいメチルエーテル化剤での処理である実施例21という観点を今後の検討結果も勘案してどう評価するかということであろう。
実施例24では、PEG400 80 g、 グリセリン 20 g及び 硫酸 3 g を100 ml容フラスコに秤りとり、フラスコの上部に還流コンデンサーを接続したうえで、60℃で30分間攪拌下で加熱反応させ、硫酸エステルを生成させた。この場合、生成する硫酸エステルは多価アルコール由来エステルになる点が 実施例21の場合と異なる。
50 ml容の壁面が垂直な試験管型反応管(側管付)に上記のPEG400、グリセリン及び硫酸の反応物を 4.64 g秤り取り、その上から乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier &Soehne社製)3gを加えた(木粉の3倍重量量のアルコール性媒体を加える;液比 1.5)。それを実施例21に準じて、150℃で、40分反応させ、不溶解残渣率を求めたところ 8.2 % の値が得られた。この値は実施例21で得られた溶解残渣率4.2%よりは大きいが、優れた液化といえるものであった。問題は、実施例21と実施例24とで液化に先立つ硫酸のエステル化処理に量的な大きな差があり、実施例21の場合のほうが少量処理になりうるという点で実際性があるということと、バイオマス低分子化物へのエーテル化剤として考えた場合、分子容が小さいメチルエーテル化剤での処理である実施例21という観点を今後の検討結果も勘案してどう評価するかということであろう。
実施例25では、木粉を、乾燥した精米に替えて、その他は実施例1と同様に処理した。その結果、7.33 %の不溶解残渣率が得られ、実施例1の場合の不溶解残渣率が1.58 %であったことを勘案するとやや値は大きいが従来法で得られてきたものにまさる液化を行なうことができた。米を粉砕することなくこのように液化できるということは実用上意味がある。
一方、このようにして得られた米液化物もフォルムアルデヒドと反応させなくてもノボラック樹脂として使うことができ、通常の処方で充填剤(セルロシン)、硬化剤(ヘキサミン)、硬化促進剤(水酸化カルシウム)及び離型剤(ステアリン酸亜鉛)と混合・混練してコンパウンド化し、成形した試片は101.0 MPaというJIS規格の要求する値を大きく凌駕する曲げ強度を与えた。
実施例26では、木粉を未乾燥の精米に替えて、その他は実施例1と同様に処理した。その結果、1.25 %の不溶解残渣率が得られ、実施例1の場合の不溶解残渣率が1.58 %にまさる液化を行なうことができた。但し、未乾燥米の含水率は8.9 %であった。米を乾燥せず、また粉砕することなくこのように液化できるということは実用上意味がある。
一方、このようにして得られた米液化物もフォルムアルデヒドと反応させなくてもノボラック樹脂として使うことができ、通常の処方で充填剤(セルロシン)、硬化剤(ヘキサミン)、硬化促進剤(水酸化カルシウム)及び離型剤(ステアリン酸亜鉛)と混合・混練してコンパウンド化し、成形した試片は84.25 MPaというJIS規格の要求する値を凌駕する曲げ強度を与えた。
実施例27では、液化に用いる温度のみを、それぞれ140℃、 130℃、 120℃、110℃、及び100℃と変える以外は、実施例1と同様の条件で木粉の液化を行なった。その結果、それぞれ2.9%、 9.3%、 14.5%、 26.4% 及び 39.4%の不溶解残渣率が得られた。実施例1での場合はその値は1.58%であったので、140℃、さらには130℃に液化温度を低下させても本発明の手法を用いることにより、合目的な木材液化をなしうるものと結論された。しかも、液化温度の低下と共に、150℃液化で微量認められた炭化物の生成が明らかに減じ、それらの反応容器壁への付着が認められなくなった。
一方、130℃液化で得られた木粉液化物について、その樹脂化特性について検討した結果、フォルムアルデヒドとの反応を行なわなくても、ノボラック樹脂として使うことができ、通常の処方で充填剤(セルロシン)、硬化剤(ヘキサミン)、硬化促進剤(水酸化カルシウム)及び離型剤(ステアリン酸亜鉛)と混合・混練してコンパウンド化し、成形して得た試片は88.8MPaというJIS規格の要求する値を凌駕する曲げ強度を与えた。
実施例28では、実施例7で用いた液化媒体(PEG400/グリセリン8:2混合溶液)の、それぞれ20%、40%、60%、80%、及び100%をε-カプロラクトンで置換える以外は、実施例7と同様の条件で木粉の液化を行なった。その結果、それぞれ3.43%、6.13%、12.2%、13.0%、及び39.78%の不溶解残渣率が得られた。実施例7での場合はその値は2.50%であったので、ε-カプロラクトンによる置換えの度合いが増すほど不溶解分が増えるといえるが、その置き換え量80%までは、液化は十分に進むといえ、バイオマス低分子化成分へのε-カプロラクトンの付加により溶液物性を向上が見込めるという結果となった。
<比較例6>
比較例6では、比較例2で用いた液化媒体(PEG400/グリセリン8:2混合溶液)の、それぞれ20%、40%、及び60%、をε-カプロラクトンで置換える以外は、比較例2と同様の条件で木粉の液化を行なった。その結果、それぞれ9.7%、10.5%、及び18.5%の不溶解残渣率が得られた。比較例2での場合はその値は6.2%であったので、ε-カプロラクトンによる置換えの度合いが増すほど不溶解分が増えるといえるが、その置き換え量60%までは、液化が十分に進んだ範囲で在るものの、実施例32−36の対応する値と比べると値は明らかに大きく、実施例32−34に本発明の効果が現れているといえる。
実施例29では、液化温度を140℃とする以外は実施例13と同様の条件で木粉の液化を行なった。その結果、15.8%の不溶解残渣率が得られた。実施例13での場合はその値は15.7%であったので、液化温度を150℃から140℃へと10℃低下させても殆んど同程度まで液化を進めうることが知られた。液化温度を低くするほどバイオマス成分の液化過程での炭化は抑制できることが知られているので、予めメタノールを硫酸と反応させて当該の硫酸エステルとして液化触媒に用いる液化手法ではより低温での処理が合目的なものとなることが知られた。
実施例30では、液化温度を140℃とする以外は実施例17と同様の条件で木粉の液化を行なった。その結果、19.5%の不溶解残渣率が得られた。実施例17での場合はその値は19.8%であったので、液化温度を150℃から140℃へと10℃低下させても殆んど同程度まで液化を進めうることが知られた。液化温度を低くするほどバイオマス成分の液化過程での炭化は抑制できることが知られているので、予めメタノールとフェノールを硫酸と反応させて当該の硫酸エステルとして液化触媒に用いる液化手法ではより低温での処理が合目的なものとなることが知られた。
実施例31では、液化温度を140℃とする以外は実施例15と同様の条件で木粉の液化を行なった。その結果、45.4%の不溶解残渣率が得られた。実施例15での場合はその値は33.4%であったので、液化温度を150℃から140℃へと10℃低下させると約12%液化が損なわれることが知られた。液化温度を低くするほどバイオマス成分の液化過程での炭化は抑制できることが知られているものの、予めメタノールとフェノールを硫酸と反応させず、単にメタノールを添加させるだけで行なう液化手法ではより低温での処理がやや液化を損なう結果となることが知られた。
(木材の液化)
実施例13に準じてレゾルシノール液化木材を得た。メタノール50 g を100 ml容フラスコに秤りとり、外部より氷水で冷やし60℃以下に保つようにしながら、攪拌下で 30 ml の硫酸を滴下し、一旦十分安定化させた後、フラスコの上部に還流コンデンサーを接続し、60℃で30分間攪拌下で加熱反応させ、硫酸ジメチルエステルを主体とする硫酸メチルエステルに変換させた。その上で、レゾルシノール42.8 g とあらかじめ上記のように調製した硫酸エステル3.6 g を500 ml容の反応管(側管付)に秤りとり、直ちに混合し、引き続いて上記乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier & Soehne社製)30gを上から加えた(木粉の1.5倍重量量の媒体(レゾルシノール+メタノール)を加える;液比 1.5)。
反応管に還流コンデンサーをつけ、直ちに150℃の油浴に沈めて、40分反応させた。その際、最初の約20分間は攪拌せずに反応物全体がおおよそ変色するのを待ち、次いで、スリーワンモーターによる攪拌を開始した。40分の液化生成物をつぎのエポキシ樹脂化に供した。
(レゾルシノール液化木材のエポキシ樹脂化)
次に、上記同様の手順により調製したレゾルシノール液化木材からエポキシ樹脂を合成した。まず、レゾルシノール液化木材25gと大過剰量のエピクロロヒドリン158g(液化木材中に存在するレゾルシノールの10倍モル)を300ml容四つ口フラスコ中に秤り取り、攪拌モーター、温度計、滴下ロート、還流冷却管を取り付けた。約110℃の油浴中にフラスコを入れ、内容物を攪拌しつつフラスコ内温が100℃になるように温度を制御した。ここに、内容物中のレゾルシノールの水酸基量に対し2倍モルにあたる50%水酸化ナトリウム水溶液54.5gを2時間かけて滴下した。滴下終了後さらに0.5時間攪拌を続け、反応を終了した。反応物中からエバポレーターを用いて未反応のエピクロロヒドリンと水を80℃で減圧しながら留去・回収し、樹脂粗生成物を得た。この粗生成物をアセトンに溶解し、ガラス繊維瀘紙(TOYO 「GA100」)を用いて溶液を吸引瀘過し、回収した濾液からエバポレーターを用い80℃でアセトンを減圧留去した。こうして、レゾルシノール液化木材エポキシ樹脂を得た。そのエポキシ当量を測定したところ、286g/eq.であった。
(レゾルシノール液化木材エポキシ樹脂を亜麻繊維で強化した複合材料の成形)
上記合成したレゾルシノール液化木材エポキシ樹脂10gに、エポキシ当量と化学量論にあたる活性水素を有するジアミノジフェニルメタン(DDM)2.6gを添加して十分混合し樹脂/硬化剤組成物を得た。これを50℃に加熱したホットプレート上の離型紙にコーティングし、樹脂フィルム(目付け200g/m2)を得た。別途用意した亜麻繊維不織布(目付け300g/m2)の上下に上記樹脂フィルムを圧着し、50℃のホットプレス機を用いて樹脂を不織布中に含浸させ、プリプレグを作製した。
作製したプリプレグを3枚重ね合わせた後、離型処理を施したアルミプレート上に置き、ナイロンバッグフィルムにて包み込んで内部を真空引きした。そのプレート全体をホットプレス機に置き、130℃、6MPaの圧力下で3時間加熱し成形し、その後150℃で2時間加熱することにより亜麻繊維強化木材エポキシ樹脂複合材料を得た。
(複合材料の曲げ物性測定)
上記複合材料板の曲げ強度および弾性率を、JIS K-6911に準拠し3点曲げモード、25℃の環境下で測定した。クロスヘッド速度は5mm/分とした。曲げ強度は91MPaであり、曲げ弾性率は7.9GPaと十分高いものであった。強度測定後の破断面を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、強化繊維と樹脂との接着性は良好であった。

Claims (9)

  1. バイオマス100部と、
    液化媒体であるフェノール類、又は多価アルコール類100〜1000部と、
    液化調整剤である一価アルコール類1〜20部と、
    酸触媒であるプロトン酸と、を混合し、密閉容器において110〜160℃の温度範囲で5〜200分間加熱することを特徴とする液化バイオマスの製造方法。
  2. 酸触媒であるプロトン酸と、
    液化媒体であるフェノール類若しくは多価アルコール類100〜1000部の一部、又は全部と、を混合し、40〜100℃の温度範囲で3〜150分反応させた後、
    残りの前記液化媒体と、
    バイオマス100部と、を混合し、密閉容器において110〜160℃の温度範囲で5〜200分間加熱することを特徴とする液化バイオマスの製造方法。
  3. 酸触媒であるプロトン酸と、
    液化媒体であるフェノール類若しくは多価アルコール類100〜1000部の一部、又は全部と、
    液化調整剤である一価アルコール類1〜20部の一部又は全部と、を混合し、40〜100℃の温度範囲で3〜150分反応させた後、
    残りの前記液化媒体及び前記液化調整剤と、
    バイオマス100部と、を混合し、密閉容器において110〜160℃の温度範囲で5〜200分間加熱することを特徴とする液化バイオマスの製造方法。
  4. 酸触媒であるプロトン酸と、
    液化調整剤である一価アルコール類1〜20部の一部又は全部と、を混合し、40〜100℃の温度範囲で3〜150分反応させた後、
    残りの前記液化調整剤と、
    液化媒体であるフェノール類、又は多価アルコール類100〜1000部と、
    バイオマス100部と、を混合し、密閉容器において110〜160℃の温度範囲で5〜200分間加熱することを特徴とする液化バイオマスの製造方法。
  5. 前記プロトン酸と、前記液化媒体及び/又は前記液化調整剤の一部とを反応させてなるプロトン酸エステルが、液化触媒として機能することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の液化バイオマスの製造方法。
  6. 前記プロトン酸は硫酸であり、この硫酸の量が0.1〜10部であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の液化バイオマスの製造方法。
  7. 前記一価アルコール類は、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールのうち少なくとも1種を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の液化バイオマスの製造方法。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項の製造方法により製造された液化バイオマス。
  9. 請求項1から請求項7のいずれか1項の製造方法により製造された液化バイオマスから合成された熱硬化性樹脂。
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