JP7457539B2 - 果実の搾りかすのポリオール液化物、果実の搾りかすの液化物が組み込まれたポリウレタン、果実の搾りかすの液化物が組み込まれたポリウレタンフォーム、及び果実の搾りかすを含有するポリオール液化物の製造方法。 - Google Patents

果実の搾りかすのポリオール液化物、果実の搾りかすの液化物が組み込まれたポリウレタン、果実の搾りかすの液化物が組み込まれたポリウレタンフォーム、及び果実の搾りかすを含有するポリオール液化物の製造方法。 Download PDF

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本発明は、果実の搾りかすのポリオール液化物、果実の搾りかすの液化物が組み込まれたポリウレタン、果実の搾りかすの液化物が組み込まれたポリウレタンフォーム、及び果実の搾りかすを含有するポリオール液化物の製造方法に関する。
これまでに、「各種リグニンのポリウレタン化(特許文献1)」、「糖蜜のポリウレタン化」、「おからのポリウレタン化」など種々の産業廃棄物を原料にしたバイオマスポリウレタンが開発され、得られたポリウレタンは優れた物性を有することが知られている。バイオマスポリウレタンの開発が成功した基となっているのは、リグニン等のフェノール性の高分子は加水分解によって低分子化することはできないが、ポリエチレングリコールに可溶性であることの発見である(特許文献2)。
一方、産業廃棄物の一つとして、果実の搾りかすがある。果実の搾りかすはリグニンを含んでいるものの、固体状なので、そのままでは、バイオマスポリウレタンの製造に用いることはできない。果実の搾りかすを用いてポリウレタンを製造するには、液状化しなければならない。
しかし、果実の搾りかすの液化や液化された搾りかすを用いたポリウレタン化は、未だ、試みられていない。即ち、乾燥した果実の搾りかすを液化できるかどうか、液化できるとして、その液化物のポリウレタン化が可能であるかは不明である。このような状況下、ポリウレタンの分子鎖中に果実の搾りかすの液化物を組み込んだ安価でかつ物性に優れたポリウレタンの開発が期待される。該ウレタンが開発されれば、果実の搾りかすの有効利用が可能となり、資源循環型社会構築の観点からも有意義である。
特開2003-64147号公報 特開平1-289823号
本発明は、林檎や蜜柑等の果実の搾りかすを液化物とし、該液化物を用いて、分子鎖中に果実の搾りかすの液化物を組み込んだポリウレタンの製造を可能にすることにより、果実の搾りかすの有効利用を図り、資源循環型社会の構築に寄与することを目的とするものである。
本発明によれば、以下に示す果実の搾りかすのポリオール液化物、果実の搾りかすの液化物が組み込まれたポリウレタン、果実の搾りかすの液化物が組み込まれたポリウレタンフォーム、及び果実の搾りかすを含有するポリオール液化物の製造方法が提供される。
[1]水分率が15重量%以下の乾燥させた果実の搾りかすと、ポリオールと、触媒とを、加圧容器中で加温して果実の搾りかすをポリオールに溶解させることにより、果実の搾りかすがポリオール化された液化物であって、ポリオールに溶解した乾燥果実の搾りかすの含有量が、乾燥させた果実の搾りかすとポリオールとの合計中の1~60重量%であることを特徴とする、果実の搾りかすのポリオール液化物。
]前記触媒が硫酸であり、該硫酸の添加量が、前記乾燥果実の搾りかすと前記ポリオールと該硫酸の全体に対して0.5~8.0重量%であり、加圧容器中で120℃~260℃に加温して果実の搾りかすをポリオールに溶解させることを特徴とする、前記1に記載の果実の搾りかすのポリオール液化物。
]前記果実が、林檎、蜜柑又は葡萄のいずれかであることを特徴とする、前記1又は2に記載の果実の搾りかすの液化物。
]前記ポリオールがポリエチレングリコールであることを特徴とする、前記1~のいずれかに記載の果実の搾りかすの液化物。
]前記1~のいずれかに記載の果実の搾りかすの液化物にイソシアネートを重縮合反応させることにより得られたことを特徴とする、果実の搾りかすの液化物が組み込まれたポリウレタン。
]前記1~のいずれかに記載の果実の搾りかすの液化物にイソシアネートを水の存在下で重縮合反応させることにより得られたことを特徴とする、果実の搾りかすの液化物が組み込まれたポリウレタンフォーム。
水分率が15重量%以下の乾燥させた果実の搾りかすを、触媒の存在下で、加圧容器中で加温してポリオールに溶解させることにより、果実の搾りかすがポリオール化された液化物を製造する方法であって、ポリオールに溶解した乾燥果実の搾りかすの含有量が、乾燥させた果実の搾りかすとポリオールとの合計中の1~60重量%であることを特徴とする、果実の搾りかすを含有するポリオール液化物の製造方法。
]前記触媒が硫酸であり、該硫酸の添加量が、前記乾燥果実の搾りかすと前記ポリオールと該硫酸の全体に対して0.5~8.0重量%であり、加圧容器中で120℃~260℃に加温して果実の搾りかすをポリオールに溶解させることを特徴とする、前記に記載の果実の搾りかすを含有するポリオール液化物の製造方法。
本発明によれば、林檎や蜜柑等の果実の搾りかすをポリオール液化物にすることができる。更に、得られたポリオール液化物を用いて、分子鎖中に果実の搾り滓の液化物を組み込んだポリウレタンを製造することができる。本発明によれば、果実の搾りかすの有効利用を図り、資源循環型社会の構築に寄与することが可能となる。即ち、本発明によれば、ポリウレタンの分子鎖中に果実の搾りかすの液化物を組み込んだ安価でかつ物性に優れたポリウレタンの合成に必要なポリオールが提供され、さらに該ポリオールを利用したポリウレタンが提供される。果実の液化とポリウレタン化を可能とする本発明は、青森県等の地域の特産品の活用であり、資源循環型社会構築の観点からも地域が得る効果は大きいと考えられる。
以下、本発明の果実の搾りかすのポリオール液化物、果実の搾り滓の液化物が組み込まれたポリウレタン、ポリウレタンフォーム、果実の搾りかすを含有するポリオール液化物の製造方法について説明する。
本発明の果実の搾りかすのポリオール液化物は、以下に説明する方法により得ることができる。該方法においては、乾燥させた果実の搾りかすと、ポリオールと、触媒とを加温してポリオールに溶解させることにより、ポリオール液化物を得ることができる。
本発明で用いられる果実の搾りかすに制限はなく、例えば、リンゴ(林檎)、ミカン(蜜柑)、ブドウ(葡萄)、マンゴー、バナナ、クロフサスグリ、アカフサスグリ、グズベリー、トマト、ナス、グアバ、ルクマ(lucuma)、トウガラシ、ザクロ、キウイフルーツ、テーブルグレープ、カボチャ、ウリ、キュウリ、メロン、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、バナナ、クランベリー、ブルーベリー、ブラックベリー、ラズベリー、ボイセンベリー、ヘッジアップル(hedge apple)、パイナップル、イチジク、クワの実、アンズ、モモ、サクランボ、ヒマワリの種、イチゴおよびプラムが挙げられる。これらの中では、使用量が多く、搾りかすを容易に入手できる、リンゴ(林檎)、ミカン(蜜柑)、ブドウ(葡萄)、マンゴーが好適に用いられる。
但し、本発明は前記の果物に限定されず、リグニンを含有するものであれば如何なる果物や野菜でも用いることができる。
本発明の果実の搾りかすは、乾燥させたものが用いられる。乾燥が不十分である場合には、ポリオール中の水分が多くなるため、液化が上手くいかなくなるおそれがある。乾燥の程度としては、乾燥搾りかすを熱重量分析法で測定した水分率が30重量%以下であることが望ましく、より好ましくは20重量%以下、15重量%以下、更に望ましくは10重量%以下、特に好ましくは8重量%以下である。
本発明で用いるポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリエタノールアミン、ソルビトール等の低分子量ポリオール:ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体等のポリエーテルポリオール:ポリカプロラクトン、ポリ-β-メチル-δ-プチロラクトン、ジオールと二塩基酸からのポリエステル等が挙げられる。その他、水酸基含有液状ポリブタジエン、ポリカーボネートジオール、アクリルポリオール等が挙げられる。
前記の中では、入手しやすく、取り扱いが容易なポリエチレングリコールが好ましい。ポリエチレングリコールを用いる場合、常温で液状であり、ポリオール化反応が容易に起きる事から、その数平均分子量は、100~800であることが好ましく、より好ましくは100~600、さらに好ましくは150~400である。
本発明においては、触媒を用いることにより、果実の搾りかすとポリオールとの加水分解反応が促進される。該触媒としては、硫酸、硫酸塩、塩酸、塩酸塩、硝酸、硝酸塩等が挙げられる。
これらの中では、入手が簡単で、安価で使いやすく、加水分解の効果に優れる硫酸が好ましい。
該触媒として硫酸を使用する場合、該硫酸の添加量は、前記乾燥果実の搾りかすと前記ポリオールと該硫酸の全体に対して0.5~8.0重量%が好ましい。該添加量がこの範囲内であれば、反応を促進する効果が得られる。また、該添加量が多すぎることによる、加水分解以外の反応の発生を防止することができ、不溶部が増加するなどの現象が起こることを防止できる。かかる観点から、該添加量の下限は、1.0重量%であることが好ましく、より好ましくは1.5重量%である。該添加量の上限は、6.0重量%であることが好ましく、より好ましくは5.0重量%、更に好ましくは4.0重量%、特に好ましくは3.0重量%である。
本発明においては、乾燥させた果実の搾りかすと、ポリオールとを加水分解反応させて液化物とすることにより、果実の搾りかすをポリオールに溶解させる。この反応は、加圧容器中で行なうことが好ましい。常圧では加水分解反応の進行速度遅いため、加圧容器を用いることにより、該加水分解が促進される。
得られるポリオール液化物において、ポリオールに溶解した乾燥果実の搾りかすの含有量は、乾燥させた果実の搾りかすとポリオールとの合計中の1~60重量%である。
該含有量が少なすぎると、産業廃棄物としての果実の搾りかすを処理するという効果が期待できない。該含有量が多すぎると、良好な物性を有するポリウレタンの作成が困難となる。
かかる観点から、該含有量の下限は1重量%が好ましく、より好ましくは5重量%、さらに好ましくは10重量%である。また、その上限は50重量%が好ましく、より好ましくは40重量%、さらに好ましくは30重量%、特に好ましくは20重量%である。
なお、ポリオール液化物中の果実の搾りかす液化物は、該搾りかすが加水分解されてポリオール中に溶解されることにより得られたものである。
本発明において、乾燥果実の搾りかす(搾りかす加水分解物)の含有量(重量%)は、下記式(1)によって求められる。
乾燥果実の搾りかすの含有量=
[ポリオールに溶解した乾燥果実の搾りかすの重量/(乾燥果実の搾りかすの重量+ポリオールの重量)]×100 ・・・(1)
該ポリオール化は、温度120℃~260℃に加温することにより行うことが好ましい。該温度がこの範囲内であれば、果実の搾りかすの加水分解反応が遅くなることが防止され、ポリオール中への溶解を効果的に進ませることができる。また、該温度が高すぎることによる、果実の搾りかすの分解や炭化が生じることを防止することができる。
かかる観点から、該温度の下限は、140℃が好ましく、より好ましくは160℃である。その上限は、240℃が好ましく、より好ましくは220℃、更に好ましくは200℃である。
果実の搾りかすのポリオール化反応にかかる時間は、仕込んだ乾燥搾りかすのほぼ全てがポリオールに溶解することを基準に設定すべきである。具体的には、1~10時間が好ましく、より好ましくは2~8時間、更に好ましくは3~6時間である。該時間がこの範囲内であれば生産効率が確保され、反応に十分な時間をかけることができるので反応の安定性が確保される。
なお、仕込んだ乾燥搾りかすのほぼ全てとは、仕込んだ乾燥搾りかすの90重量%以上をいい、好ましくは95重量%以上、さらに好ましくは97重量%以上、特に好ましくは99重量%以上をいう。
得られたポリオール液化物は酸性が強いので、1~5%の水酸化ナトリウム水溶液等を添加してpHを調整した方が良い。具体的には、pH4~8に調整することが好ましい。また、該ポリオール液化物は、水分を含んでいるので、濃縮して、水分率を1~10重量%の範囲内に調整することが好ましい。水分率の調整は、ポリウレタンの製造時に、発泡させるか否か、発泡させる場合、低発泡倍率(見掛け密度0.2~0.9g/cm)に発泡させるか、高発泡倍率(見掛け密度0.01g/cm以上0.2g/cm未満)に発泡させるかを基準として行われる。発泡させない場合は、通常0~1重量%に、低発泡倍率に発泡させる場合は、通常2~6重量%に、高発泡倍率に発泡させる場合は、通常8~15重量%に調整する。
以上説明したように、本発明によれば、果実の搾りかすを乾燥させ、ポリオールと、触媒とを、加温して、加水分解反応を起こすことにより、ほぼ全ての果実の搾りかすをポリオールに溶解させて、果実の搾りかすをポリオール化された液化物とすることができる。この知見は、本発明者等が、果実の搾りかすの液状化という課題の解決を初めて試み、見出したものである。
本発明者等は、さらに果実の搾りかすのポリオール液化物を用いてポリウレタンの製造を試み、ポリオール液化物のポリウレタン化が可能であることを確認した。
次に、得られたポリオール液化物を用いて製造されるポリウレタン、ポリウレタンフォームについて説明する。
本発明のポリウレタンは、前記ポリオール液化物にポリイソシアネートを重縮合反応させることによって得ることができる。この場合、その反応系に水を存在させることにより、ポリウレタンフォームを得ることができる。
なお、果実の搾りかすはポリオール中で液化することにより、糖類、リグニン等に加水分解されて分子状となって、溶液中に存在している。これらの糖類、リグニン及びポリオール中の水酸基がイソシアネートと反応し、ウレタン結合を形成することにより、ポリウレタンとなる。
本発明のポリウレタンの製造に用いるポリイソシアネートとしては、脂肪族系ポリイソシアネート、脂環族系ポリイソシアネートおよび芳香族系ポリイソシアネートの他、それらの変性体が包含される。脂肪族系ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等が挙げられ、脂環族系ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネートが挙げられる。芳香族系ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等が挙げられる。ポリイソシアネート変性体としては、例えば、ウレタンプレポリマー、ヘキサメチレンジイソシアネートビューレット、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリマー、イソホロンジイソシアネートトリマー等が挙げられる。
前記重縮合反応は、触媒の存在下で実施される。この場合の触媒としては、従来公知のウレタン化反応用触媒、通常、スズ系やアミン系の触媒が用いられる。その反応温度は常温でよいが、必要に応じ加温することもできる。
前記ポリオール液化物は、そのままポリウレタン原料として用いることもできるが、液化物の含有量が高過ぎる場合には、ポリウレタンの物性を調整するために、ポリエチレングリコール等のポリオールで希釈して用いることが好ましい。希釈のためのポリオールの量が少なすぎると、硬すぎるポリウレタンとなるおそれがある。希釈のためのポリオールの量が多すぎると、柔らか過ぎるポリウレタンとなるおそれがある。
該ポリオール液化物に対するポリイソシアネートの使用割合は、そのヒドロキシル基成分中に含まれる全ヒドロキシル基の当量数に対し、そのイソシアネート基当量数で0.8~2倍当量、好ましくは1~1.5倍当量である。
本発明のポリウレタンの製造においては、該ポリオール液化物に、必要に応じてリグニンスルホン酸又はその部分中和塩や、必要に応じて糖蜜や、糖化合物を添加することができる。この場合、リグニンスルホン酸や糖蜜等の使用割合は、ポリオール液化物の全ヒドロキシル基成分中、0.1~50重量%、好ましくは1~45重量%となる割合である。
ポリオールに溶解した乾燥果実の搾りかすの割合は、全ポリウレタン中、1~60重量%、好ましくは2~40重量%、より好ましくは5~20重量%の割合にするのがよい。このような果実の搾りかすの加水分解物を含むポリオール液化物を反応成分として用いることにより、生分解性に優れるとともに、機械的強度にも優れるポリウレタンを得ることができる。
本発明のポリウレタンは、ポリウレタンフォームであることができる。この場合、その見かけ密度(重さ/体積)は、反応原料中に加える水(発泡剤)の量で調節することができ、その水の量は、ポリイソシアネート1モル当り、0.001~0.3モル、好ましくは0.005~0.05モル程度である。このポリウレタンフォームにおいて、その見かけ密度(ポリウレタンフォームの重さ/体積)は0.01~0.9g/cm、好ましくは、0.05~0.5g/cmである。
本発明のポリウレタンは、固体状ではシート、フィルム等、液状物は接着剤等として用いることができる。又本発明のポリウレタンフォームは、断熱材料として、建築物、家電製品、車両等の断熱材料に利用できる。また、クッション材として、家具や包装材料に用いることができる。
次に、本発明の背景となる社会的な必要性について説明する。
果実の搾りかすは、植物由来の産業廃棄物の一つである。該果実の搾りかすとしては、前記したように、林檎、蜜柑、葡萄、マンゴーなどがあり、これらの搾りかすは大量に発生している。
例えば、林檎は青森県を始めとして日本中で大量に生産されている。しかし、生食に適さず、加工用として利用される林檎も多く、林檎ジュース等に加工されている。その結果、林檎加工工場では多くの搾りかすが排出されているが、それらの一部は飼料や肥料に利用されているものの、大部分は産業廃棄物として処理されている。林檎加工工場から排出される搾り滓も含め、林檎資源を有効活用することは、青森県を始めとして、地域の産業や地域住民の活性化に非常に有用なことである。
また、世界中で、果実の果汁であるジュースが飲用されており、代表的なジュースは林檎とオレンジのジュースである。ジュース加工工程等で排出される林檎及び蜜柑(日本産オレンジ)搾りかすは、その一部は飼料や肥料に利用されているが、大部分は産業廃棄物として処理されている。更に、葡萄の果汁からは、ワインが生産されている。その搾りかすも有効には利用されていない。本発明は、産業廃棄物の有効利用に道を開くものである。即ち、本発明者等は、果実の搾りかすのポリオール液化物の開発に成功し、さらに該ポリオール液化物を用いてポリウレタンを合成することに成功した。得られたポリウレタンは、分子鎖中に果実の搾りかすの加水分解物である糖類やリグニンが組み込まれたものであり、安価でかつ物性に優れ、生分解可能なものである。従って、本発明は、青森県等の地域の特産品から生じる廃棄物の活用を可能とし、資源循環型社会構築の観点からも地域社会が得る効果は大きいと考えられる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1
林檎搾りかすのポリオール液化物の調製
乾燥させた林檎の搾りかす(水分率8重量%)を粉砕し、粉砕した搾りかす1重量部を、加圧容器(オートクレーブ)中で、5重量部のポリエチレングリコール200(分子量200)に混合し、搾りかすとポリエチレングリコールの合計に対して2重量%の硫酸を添加した。180℃で4時間加熱し、林檎搾りかすのポリオール液化物を調製した。
得られたポリオール液化物を、水酸化ナトリウム水溶液でpH5になるように調製し、濃縮し、水分率を3重量%に調整した。
ポリオール液化物中の林檎搾りかすの加水分解物の含有量は、16.7重量%であった。
該水分率は、熱重量分析法で測定した。該加水分解物の含有量は前記式(1)により求めた。
実施例2
蜜柑の搾りかすのポリオール液化物の調製
乾燥させた蜜柑の搾りかす(水分率3%)を粉砕し、粉砕した搾りかす1重量部を、加圧容器(オートクレーブ)中で、5重量部のポリエチレングリコール200(分子量200)に混合し、搾りかすとポリエチレングリコールの合計に対して2重量%の硫酸を添加した。180℃で4時間加熱し、蜜柑搾りかすのポリオール液化物を調製した。
得られたポリオール液化物を、水酸化ナトリウム水溶液でpH5になるよう調製し、濃縮し、水分率を3重量%に調整した。
ポリオール液化物中の蜜柑搾りかすの加水分解物の含有量は、16.7重量%であった。
該水分率は、熱重量分析法で測定した。該加水分解物の含有量は前記式(1)により求めた。
実施例3
実施例1で得られた林檎搾りかす(APLres)のポリオール液化物(APL)とポリエチレングリコール200(分子量200)とを重量比1:1で混合してポリオール混合物(APLP)を作製した。
次に、このAPLPに触媒量の錫系触媒、水及びシリコン整泡剤を加えてよく撹拌し、さらにジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を加えて室温で激しく撹拌してポリウレタンフォームを得た。得られたフォームの熱分解温度(Td)、500℃及び600℃の熱分解残渣(m500,m600)を表1に示す。
なお、表1において、APLres(重量%)およびAPL(重量%)は以下の意味を有する。
APLres(重量%):林檎搾りかす(APLres)のポリオール液化物(APL)中における含有率(重量%)である。
APL(重量%):林檎搾りかす液化物(APL)の全ポリオール混合物(APLP)中における含有率(重量%)である。
実施例4
実施例2で得られた蜜柑搾りかす(ORres)のポリオール液化物(ORL)とポリエチレングリコール200とを重量比1:1で混合してポリオール混合物(ORLP)を作製した。
次に、このORLPに触媒量の錫系触媒、水及びシリコン整泡剤を加えてよく撹拌し、さらにジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を加えて室温で激しく撹拌してポリウレタンフォームを得た。得られたフォームの熱分解温度(Td)、500℃及び600℃の熱分解残渣(m500,m600)を表1に示す。
なお、表1において、ORres(重量%)およびORL(重量%)は以下の意味を有する。
ORres(重量%):蜜柑搾りかす(ORres)のポリオール液化物(ORL)中における含有率(重量%)である。
ORL(重量%):蜜柑搾りかす液化物(ORL)の全ポリオール混合物(ORLP)中における含有率(重量%)である。
実施例5
ワインの搾りかすのポリオール液化物の調製
乾燥させた(赤)ワインの搾りかす(水分率1重量%)を粉砕し、粉砕した搾りかす1重量部を、加圧容器(オートクレーブ)中で、5重量部のポリエチレングリコール200(分子量200)に混合し、搾りかすとポリエチレングリコールの合計に対して5重量%の硫酸を添加した。180℃で4時間加熱し、ワイン搾りかすのポリオール液化物を調製した。
得られたポリオール液化物を、水酸化ナトリウム水溶液でpH5になるよう調製し、濃縮し、水分率を3重量%に調整した。
ポリオール液化物中の蜜柑搾りかすの加水分解物の含有量は、16.7重量%であった。
該水分率は、熱重量分析法で測定した。該加水分解物の含有量は前記式(1)により求めた。
実施例6
実施例5で得られたワイン搾りかす(GRres)のポリオール液化物(GRL)とポリエチレングリコール200とを重量比1:1で混合してポリオール混合物(GRLP)を作製した。
次に、このGRLPに触媒量の錫系触媒、水及びシリコン整泡剤を加えてよく撹拌し、さらにジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を加えて室温で激しく撹拌してポリウレタンフォームを得た。得られたフォームの熱分解温度(Td)、500℃及び600℃の熱分解残渣(m500,m600)を表3に示す。
なお、表3において、GRres(重量%)およびGRL(重量%)は以下の意味を有する。
GRres(重量%):ワイン搾りかす(GRres)のポリオール液化物(GRL)中における含有率(重量%)である。
GRL(重量%):ワイン搾りかす液化物(GRL)の全ポリオール混合物(GRLP)中における含有率(重量%)である。

Claims (8)

  1. 水分率が15重量%以下の乾燥させた果実の搾りかすと、ポリオールと、触媒とを、加圧容器中で加温して果実の搾りかすをポリオールに溶解させることにより、果実の搾りかすがポリオール化された液化物であって、ポリオールに溶解した乾燥果実の搾りかすの含有量が、乾燥させた果実の搾りかすとポリオールとの合計中の1~60重量%であることを特徴とする、果実の搾りかすのポリオール液化物。
  2. 前記触媒が硫酸であり、該硫酸の添加量が、前記乾燥果実の搾りかすと前記ポリオールと該硫酸の全体に対して0.5~8.0重量%であり、加圧容器中で120℃~260℃に加温して果実の搾りかすをポリオールに溶解させることを特徴とする、請求項1に記載の果実の搾りかすのポリオール液化物。
  3. 前記果実が、林檎、蜜柑又は葡萄のいずれかであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の果実の搾りかすの液化物。
  4. 前記ポリオールがポリエチレングリコールであることを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の果実の搾りかすの液化物。
  5. 請求項1~のいずれかに記載の果実の搾りかすの液化物にイソシアネートを重縮合反応させることにより得られたことを特徴とする、果実の搾りかすの液化物が組み込まれたポリウレタン。
  6. 請求項1~のいずれかに記載の果実の搾りかすの液化物にイソシアネートを水の存在下で重縮合反応させることにより得られたことを特徴とする、果実の搾りかすの液化物が組み込まれたポリウレタンフォーム。
  7. 水分率が15重量%以下の乾燥させた果実の搾りかすを、触媒の存在下で、加圧容器中で加温してポリオールに溶解させることにより、果実の搾りかすがポリオール化された液化物を製造する方法であって、ポリオールに溶解した乾燥果実の搾りかすの含有量が、乾燥させた果実の搾りかすとポリオールとの合計中の1~60重量%であることを特徴とする、果実の搾りかすを含有するポリオール液化物の製造方法。
  8. 前記触媒が硫酸であり、該硫酸の添加量が、前記乾燥果実の搾りかすと前記ポリオールと該硫酸の全体に対して0.5~8.0重量%であり、加圧容器中で120℃~260℃に加温して果実の搾りかすをポリオールに溶解させることを特徴とする、請求項に記載の果実の搾りかすを含有するポリオール液化物の製造方法。
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