JPH08297027A - 走行作業車両の制振装置 - Google Patents

走行作業車両の制振装置

Info

Publication number
JPH08297027A
JPH08297027A JP12729595A JP12729595A JPH08297027A JP H08297027 A JPH08297027 A JP H08297027A JP 12729595 A JP12729595 A JP 12729595A JP 12729595 A JP12729595 A JP 12729595A JP H08297027 A JPH08297027 A JP H08297027A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pitching
rolling
angular velocity
precession
axis
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP12729595A
Other languages
English (en)
Inventor
Koichiro Ito
光一郎 伊藤
Seiuemon Kajikawa
政右衛門 梶川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Komatsu Ltd
Original Assignee
Komatsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Komatsu Ltd filed Critical Komatsu Ltd
Priority to JP12729595A priority Critical patent/JPH08297027A/ja
Publication of JPH08297027A publication Critical patent/JPH08297027A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Operation Control Of Excavators (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 走行時の車体の安定性を向上してより高速で
の走行を可能とし、乗り心地を改善すると共に、作業中
の車体の振動を防止してオペレータの操作性向上及び疲
労軽減を行なうことにより作業性を改善する。 【構成】 車体2上に取着された作業機を有し、車体2
に装着された車輪3により走行可能な走行作業車両1に
おいて、ジャイロ軸J回りに高速回転している回転体1
1と、回転体11のジャイロ軸Jに直交してお互いに直
交するピッチングプリセッション軸Pp 及びローリング
プリセッション軸Pr の回りに回転体11を揺動自在に
支持すると共に、ジャイロ軸Jが鉛直線と平行で、かつ
ピッチングプリセッション軸Pp が車体2の前後方向と
平行になるように車体2上に取着された支持部材13と
を備え、車体3のピッチング及びローリングを制振する
ジャイロモーメントを発生するジャイロスタビライザ1
0を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走行作業車両のピッチ
ングやローリングの制振装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】作業車両の中でホイール式のものにおい
て、ある地域の一つの作業現場から他の作業現場へ作業
車両を運搬する場合に自走して運搬することが多い。こ
のような自走できる作業車両( 以下、走行作業車両と呼
ぶ)は、短時間で運搬を完了して現場での実質的な作業
時間を向上させるために、上記自走運搬時に走行速度を
速くできる方が良い。しかしながら従来の走行作業車両
は、自走中の車体の安定性は余り考慮されてはいない。
よって、従来のままで走行作業車両を高速で走行させる
と安定性が悪いので、比較的低速で走行することを余儀
なくされている。また、走行中の乗り心地が良くないの
で、長時間の運転時は運転手の疲労が大きくなる。この
ため、少し長距離の運搬には自走することが困難となっ
て運搬用トラックを使用しなければならないので、費用
及び運搬時間等がかかるという問題がある。したがっ
て、走行作業車両の自走運搬時の安定性及び乗り心地を
向上してより高速で走行できることが強く望まれてい
る。
【0003】また、走行作業車両で作業中には車体が振
動することが多い。この様子を、図30に示すような走
行方向に向かって車体前方に作業機を有している走行作
業車両を例にとって以下に説明する。走行作業車両1
は、車体2の前方及び後方にそれぞれ左右に車輪3を有
し、また車体2の前端に鉛直方向に揺動自在に取着され
たアーム5及びバケット6等の作業機を備えている。こ
の作業機によって例えば土石の積載作業を行うとする
と、バケット6で土石を掬い取る時や、アーム5でこの
バケット6を持ち上げて土石排出用トラック(図示せ
ず)に積載する時等に、車体前後方向に振動が発生す
る。この振動はいわゆるピッチングであり、図30の矢
印Bで示される方向に発生する。また、採石現場の路面
の状態が悪い場合は、走行中に車体横方向の振動、いわ
ゆるローリングも図の矢印Cの方向に発生する。このよ
うな車体の振動があると、オペレータにとって乗り心地
が悪いので疲労し易いばかりでなく、作業機を操作しに
くいので作業性が余り良くない。また、振動によって車
体各部品の取り付け部の緩み、磨耗等を招き易いという
問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的と
するところは、走行時の車体の安定性を向上してより高
速での走行を可能とし、乗り心地を改善すると共に、作
業中の車体の振動を防止してオペレータの操作性向上及
び疲労軽減を行なうことにより作業性を改善できる走行
作業車両の制振装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係わる走行作業車両の制振装置は、車体2
上に取着された作業機を有し、車体2に装着された車輪
3により走行可能な走行作業車両1において、ジャイロ
軸J回りに高速回転している回転体11と、回転体11
のジャイロ軸Jに直交してお互いに直交するピッチング
プリセッション軸Pp 及びローリングプリセッション軸
Pr の回りに回転体11を揺動自在に支持すると共に、
ジャイロ軸Jが鉛直線と平行で、かつピッチングプリセ
ッション軸Pp が車体2の前後方向と平行になるように
車体2上に取着された支持部材13とを備え、車体2の
ピッチング及びローリングを制振するジャイロモーメン
トを発生するジャイロスタビライザ10を設けている。
【0006】また、ジャイロモーメントのヨーイング成
分をキャンセルしてピッチング及びローリングの制振に
係わるモーメントのみを生かすことにより、効果的な制
振モーメントが得られる。よって、上記の走行作業車両
の制振装置において、前記ジャイロスタビライザ10は
少なくとも2個以上設け、その中の少なくとも1個のジ
ャイロスタビライザ10の回転体11は、ジャイロ軸J
回りの回転方向を他の回転体11と反対方向に回転させ
ても良い。
【0007】また、制御目標値に近づくようにピッチン
グ及びローリングに対するそれぞれのプリセッション軸
回りの角速度をアクティブに制御すると、より安定的に
制振することができる。よって、上記の走行作業車両の
制振装置において、前記ジャイロスタビライザ10の支
持部材13に取着され、ピッチング角速度を検出するピ
ッチング角速度検出器16p と、ジャイロスタビライザ
10の支持部材13に取着され、ローリング角速度を検
出するローリング角速度検出器16r と、ピッチング角
速度検出器16p が検出したピッチング角速度とローリ
ング角速度検出器16r が検出したローリング角速度と
を入力し、このピッチング角速度、ピッチング角速度の
微分値及びピッチング角速度の積分値の内の少なくとも
一つ以上から求められるピッチングプリセッション軸回
転角速度の指令値を演算し、また前記ローリング角速
度、ローリング角速度の微分値及びローリング角速度の
積分値の内の少なくとも一つ以上から求められるローリ
ングプリセッション軸回転角速度の指令値を演算し、こ
の演算された値のピッチングプリセッション軸回転角速
度指令及びローリングプリセッション軸回転角速度指令
を出力する演算装置20と、このピッチングプリセッシ
ョン軸回転角速度指令に基づいて、動力信号を出力する
モータ駆動装置30p と、モータ駆動装置30p からの
動力信号によってピッチングプリセッション軸Pp の回
りに回転体11を回転させるピッチングプリセッション
軸駆動モータ14p と、前記ローリングプリセッション
軸回転角速度指令に基づいて、動力信号を出力するモー
タ駆動装置30r と、モータ駆動装置30r からの動力
信号によってローリングプリセッション軸Pr の回りに
回転体11を回転させるローリングプリセッション軸駆
動モータ14r とを付設しても良い。
【0008】作業時や走行時の振動状態に適合して制振
するため、ピッチング及びローリングの少なくとも一方
を手動モードで制振する対象として選択できるようにす
ると作業性が良い。よって、上記のパッシブなジャイロ
モーメントの作用を利用する走行作業車両の制振装置に
おいて、ピッチングプリセッション軸Pp の回転による
ピッチング制振及びローリングプリセッション軸Pr の
回転によるローリング制振の少なくとも一方を可能とす
るか否かを選択する制振モード切換スイッチ63と、ブ
レーキ指令又は解除指令の入力によってピッチングプリ
セッション軸Pp をそれぞれ回転停止又は回転可能にさ
せるピッチングプリセッションブレーキ67p と、ブレ
ーキ指令又は解除指令の入力によってローリングプリセ
ッション軸Pr をそれぞれ回転停止又は回転可能にさせ
るローリングプリセッションブレーキ67r と、制振モ
ード切換スイッチ63から選択信号を入力し、この選択
信号に基づいて制振を可能と選択された方のピッチング
プリセッションブレーキ67p 又はローリングプリセッ
ションブレーキ67r に解除指令を出力する演算装置2
0とを付設した方が好ましい。
【0009】また、上記のアクティブにジャイロモーメ
ントを制御する走行作業車両の制振装置において、ピッ
チングプリセッション軸Pp の回転によるピッチング制
振及びローリングプリセッション軸Pr の回転によるロ
ーリング制振の少なくとも一方を可能とするか否かを選
択する制振モード切換スイッチ63と、ブレーキ指令又
は解除指令の入力によってピッチングプリセッション軸
Pp をそれぞれ回転停止又は回転可能にさせるピッチン
グプリセッションブレーキ67p と、ブレーキ指令又は
解除指令の入力によってローリングプリセッション軸P
r をそれぞれ回転停止又は回転可能にさせるローリング
プリセッションブレーキ67r と、制振モード切換スイ
ッチ63から選択信号を入力し、この選択信号に基づい
て制振を可能と選択された方のピッチングプリセッショ
ンブレーキ67p 又はローリングプリセッションブレー
キ67r に解除指令を出力する演算装置20とを備えた
方が望ましい。
【0010】また、上記のアクティブにジャイロモーメ
ントを制御する走行作業車両の制振装置において、ピッ
チングプリセッション軸Pp の回転によるピッチング制
振及びローリングプリセッション軸Pr の回転によるロ
ーリング制振の少なくとも一方を可能とするか否かを選
択する制振モード切換スイッチ63と、この選択信号を
入力し、選択信号に基づいて制振を可能と選択された方
の前記ピッチングプリセッション軸回転角速度指令又は
ローリングプリセッション軸回転角速度指令を出力する
演算装置20とを備えても良い。
【0011】また、作業時や走行時の振動状態に自動的
に適合して制振するため、ピッチング及びローリングの
少なくとも一方を自動的に制振する対象として選択でき
るようにしても良い。よって、上記のアクティブにジャ
イロモーメントを制御する走行作業車両の制振装置にお
いて、前記ピッチング角速度検出器16p が検出したピ
ッチング角速度と前記ローリング角速度検出器16r が
検出したローリング角速度とを入力し、このピッチング
角速度、ピッチング角速度の微分値(角加速度)、ロー
リング角速度及びローリング角速度の微分値(角加速
度)の少なくともいずれか一つの大きさに基づいて、前
記ピッチングプリセッション軸回転角速度指令又はロー
リングプリセッション軸回転角速度指令を出力するか否
か、あるいは、前記ピッチングプリセッションブレーキ
67p 又はローリングプリセッションブレーキ67r に
解除指令を出力するか否かを判断してこれを出力する演
算装置20を備えても良い。
【0012】また同様に、上記のパッシブなジャイロモ
ーメントの作用を利用する走行作業車両の制振装置にお
いて、前記ジャイロスタビライザ10の支持部材13に
取着され、ピッチング角速度を検出するピッチング角速
度検出器16p と、ジャイロスタビライザ10の支持部
材13に取着され、ローリング角速度を検出するローリ
ング角速度検出器16r と、ピッチング角速度検出器1
6p が検出したピッチング角速度とローリング角速度検
出器16r が検出したローリング角速度とを入力し、こ
のピッチング角速度、ピッチング角速度の微分値(角加
速度)、ローリング角速度及びローリング角速度の微分
値(角加速度)の少なくともいずれか一つの大きさに基
づいて、前記ピッチングプリセッションブレーキ67p
又はローリングプリセッションブレーキ67r に解除指
令を出力するか否かを判断してこれを出力する演算装置
20とを備えても良い。
【0013】ピッチング又はローリングのそれぞれのプ
リセッション角度が許容最大値に近づいたとき、オペレ
ータに警報やアラーム表示等で知らせることにより、オ
ペレータがそれ以上の無理な操作をすることを防止でき
る。よって、上記の走行作業車両の制振装置において、
前記回転体11のピッチングプリセッション軸Pp 回り
の回転角度を検出するピッチングプリセッション角度検
出器15p と、回転体11のローリングプリセッション
軸Pr 回りの回転角度を検出するローリングプリセッシ
ョン角度検出器15r と、このピッチングプリセッショ
ン角度とこのローリングプリセッション角度とを入力
し、ピッチングプリセッション角度が予め設定された所
定値より大きいとき、またはローリングプリセッション
角度が予め設定された所定値より大きいときの少なくと
もいずれか一方のときに、警報信号又は/及び表示信号
を出力する演算装置20とを備えた方が好ましい。
【0014】また、ピッチング又はローリングのそれぞ
れのプリセッション角度をオペレータが確認できると、
制振できるプリセッション角度の余裕度や振動の大きさ
等を判断し易い。よって、上記の走行作業車両の制振装
置において、前記ピッチングプリセッション角度及びロ
ーリングプリセッション角度を表示できるモニタ装置6
6を付設しても良い。
【0015】
【作用】ジャイロ軸に直交して、かつお互いに直交する
二つの軸、ピッチングプリセッション軸及びローリング
プリセッション軸、の方向に回転体が揺動自在に支持さ
れたジャイロスタビライザ装置を車体上に設ける。その
ジャイロ軸が鉛直線に平行で、かつ記ピッチングプリセ
ッション軸及びローリングプリセッション軸がそれぞれ
ピッチング軸及びローリング軸に直交するように、ジャ
イロスタビライザ装置の支持部材を車体に取着する。走
行作業車両のピッチングにより生じる外力モーメントが
ジャイロ軸をピッチング軸回りに回転させると、ジャイ
ロ効果によりピッチングプリセッション軸回りにジャイ
ロスタビライザの回転体が回転させられる。さらに、こ
のピッチングプリセッション軸回りの回転体の回転によ
って、ローリングプリセッション軸回りに上記外力モー
メントと逆方向にこれと釣り合うようなジャイロモーメ
ントが受動的に発生する。このジャイロモーメントが、
ピッチングを抑えるように作用する。
【0016】また、ローリングにより生じる外力モーメ
ントがジャイロ軸をローリング軸回りに回転させると、
ジャイロ効果によりローリングプリセッション軸回りに
ジャイロスタビライザの回転体が回転させられる。さら
に、このローリングプリセッション軸回りの回転体の回
転によって、ピッチングプリセッション軸回りに上記外
力モーメントと逆方向にこれと釣り合うようなジャイロ
モーメントが受動的に発生する。このジャイロモーメン
トが、ローリングを抑えるように作用する。
【0017】複数個のジャイロスタビライザ装置を配置
し、この内の少なくとも一個以上のジャイロスタビライ
ザ装置の回転体の自転方向を他と反対にすると、ピッチ
ングに対するそれぞれのジャイロモーメントのヨーイン
グ方向の成分をお互いに打ち消し合うようにできる。ま
た同様に、ローリングに対してもそれぞれのジャイロモ
ーメントのヨーイング方向の成分をお互いに打ち消し合
うようにできる。このとき、ピッチングを制振する方向
のそれぞれのモーメントを合成したモーメント及びロー
リングを制振する方向のそれぞれのモーメントを合成し
たモーメントだけが作用し、効果的な制振が可能とな
る。
【0018】また、ジャイロスタビライザ装置のピッチ
ングプリセッション軸又はローリングプリセッション軸
をそれぞれ駆動モータで回転させると、これにより前述
と同様にジャイロモーメントがジャイロ軸及びそれぞれ
のプリセッション軸に直交する軸の回りに発生する。こ
のように、アクティブにジャイロモーメントを発生させ
てアクティブにピッチングを制振することができる。こ
のときは、ピッチングプリセッション軸角速度を制御し
て、ピッチング角度、ピッチング角速度及びピッチング
角加速度等が所定の制御目標値になるように、またロー
リングプリセッション軸角速度を制御して、ローリング
角度、ローリング角速度及びローリング角加速度等が所
定の制御目標値になるように最適なジャイロモーメント
を発生できるので、ピッチング及びローリングをより効
果的に制振することができる。
【0019】ピッチングとローリングに対して同時に制
振させるようなジャイロモーメントを発生させると、こ
の二つの方向のジャイロモーメントが干渉し合って、制
振効果が薄れる場合がある。このようなときは、ピッチ
ング及びローリングの内どちらか大きい振動に対しての
み制振作用を働かせることにより、全体的な安定性を得
ることができる。どちらの方向の振動を主に制振するか
を、手動の選択スイッチによって又は自動的に選択でき
るようにしたので、振動の状態に適合するように制振モ
ードをフレキシブルに選択できる。
【0020】それぞれのプリセッション軸角速度を制御
する際、各プリセッション角度が許容最大値以上になっ
たら、この角速度制御を停止する。これにより、作業中
にヨーイング方向のジャイロモーメントによって車体が
大きく振動することを防止する。さらに、各プリセッシ
ョン角度が上記許容最大値に達する前に、許容最大値に
近くなったことをオペレータに警報又はアラーム表示で
知らせることにより、オペレータがそれ以上の無理な操
作をすることを防止できる。また、それぞれのプリセッ
ション角度をオペレータが確認できると、制振できるプ
リセッション角度の余裕度や振動の大きさ等を判断し易
い。
【0021】
【実施例】第一実施例から第四実施例は、ジャイロスタ
ビライザの自転軸がこの軸に垂直な軸の回りにモーメン
トを受けると、それと釣り合うようなモーメント(いわ
ゆる、ジャイロモーメント)がパッシブに発生するの
で、そのパッシブなジャイロモーメントを利用してピッ
チング及びローリングを抑える例を示している。まず、
図1から図3に基づいて第一実施例を説明する。図1及
び図2はそれぞれ、車体2上にジャイロスタビライザ1
0を備えた走行作業車両1の側面図及び平面図を表して
いる。本実施例では、1個のジャイロスタビライザ10
を備えており、そのジャイロ軸Jは鉛直線と平行になっ
ている。
【0022】図3は、ジャイロスタビライザ10の詳細
を表した斜視図である。図3において、回転体11は大
きな慣性モーメントを持っており、駆動モータ12によ
ってジャイロ軸Jの回りに高速回転している。また回転
体11は、ジャイロ軸Jに直交し、かつお互いに直交す
る二つの軸Pp 及び軸Pr の回りに回転自在なように支
持部材13によって支持されている。回転体11が軸P
p 回りに振動させられるような外力があったときにこの
軸Pp 回りに共振が発生しないように、所定の減衰特性
を持たせたバネ要素及びダンパ要素60を支持部材13
に設ける。軸Pr 回りの共振に対しても、同様にバネ要
素及びダンパ要素61を支持部材13に設ける。
【0023】いま、外力によって軸Pr 回りにモーメン
トMp が生じ、ジャイロ軸Jが角速度ωqpで回転させら
れたとする。このとき、ジャイロ効果によって回転体1
1の持つ角運動量及び角速度ωqpの積に比例した大きさ
でジャイロモーメントM'Jpが発生し、軸Pp 回りに所
定方向にジャイロ軸Jが回転させられる。そしてさら
に、この発生したジャイロモーメントM'Jp による軸P
p 回りの所定方向の回転(これを、モーメントMp に対
するプリセッションと言う)によって、ジャイロモーメ
ントMJpが回転体11の持つ角運動量及び角速度ωqpの
積に比例した大きさで、かつ上記モーメントMp と逆方
向に発生する。
【0024】また同様に、外力によって軸Pp 回りにモ
ーメントMr が生じ、ジャイロ軸Jが角速度ωqrで回転
させられたとする。このとき、モーメントMr に対する
プリセッションが働き、回転体11の持つ角運動量及び
角速度ωqrの積に比例した大きさでジャイロモーメント
M'Jr が発生し、軸Pr 回りに所定方向にジャイロ軸J
が回転させられる。そして、モーメントMr に対するこ
のプリセッションによって、ジャイロモーメントMJrは
回転体11の持つ角運動量及び角速度ωqrの積に比例し
た大きさで、かつ上記モーメントMr と逆方向に発生す
る。ここで以後、軸Pp をピッチングプリセッション軸
と呼び、軸Pr をローリングプリセッション軸と呼ぶ。
【0025】図1及び図2に示すように、本実施例では
ジャイロ軸Jが鉛直線と平行になり、かつピッチングプ
リセッション軸Pp が車体前後方向と平行になるよう
に、ジャイロスタビライザ10の支持部材13を車体2
に取着している。このとき、ローリングプリセッション
軸Pr は、車体左右方向に対して平行になる。車体2の
ピッチングの中心軸(以後、ピッチング軸と呼ぶ)を軸
Pとし、ローリングの中心軸(以後、ローリング軸と呼
ぶ)を軸Rとすると、上記ピッチングプリセッション軸
Pp はピッチング軸Pに直交し、またローリングプリセ
ッション軸Pr はローリング軸Rに直交している。
【0026】図示されたBの方向に走行作業車両1がピ
ッチングすると、ジャイロ軸JにモーメントMp が作用
し、ジャイロ軸Jが軸Pr の回りに回転するので、前述
のジャイロ効果により、このモーメントMp と釣り合う
ジャイロモーメントMJpが逆方向に発生する。このジャ
イロモーメントMJpによって、走行作業車両1のピッチ
ングを制振することができる。同様に、図示されたCの
方向に走行作業車両1がローリングすると、ジャイロ軸
JにモーメントMr が作用し、ジャイロ軸Jが軸Pp の
回りに回転するので、前述のジャイロ効果により、この
モーメントMr と釣り合うジャイロモーメントMJrが逆
方向に発生する。このジャイロモーメントMJrによっ
て、走行作業車両1のローリングを制振することができ
る。
【0027】次に、第二実施例において、複数個のジャ
イロスタビライザを車体2に設ける場合を説明する。ま
ず、2個のジャイロスタビライザを設ける例を説明する
が、図4はその走行作業車両1の平面図を表し、図5は
2個のジャイロスタビライザ10の説明図である。尚、
側面図は図1と同じであるとする。この実施例では2個
のジャイロスタビライザ10は、それぞれのジャイロ軸
Jが鉛直線と平行になり、かつそれぞれのピッチングプ
リセッション軸Pp がピッチング軸Pに直交するよう
に、その支持部材13を車体2に取着される。このと
き、2つのローリングプリセッション軸Pr は互いに平
行となり、かつローリング軸Rと直交する。
【0028】2個のジャイロスタビライザ10はそれぞ
れ、前述同様に各ジャイロ軸J回りに高速回転する回転
体11とこれを駆動するモータ12を有している。ま
た、この回転体11は、ジャイロ軸Jに直交し、かつお
互いに直交する二つの軸ピッチングプリセッション軸P
p 及びローリングプリセッション軸Pr の回りに回転自
在なように、それぞれ支持部材13によって支持されて
いる。前実施例同様に、回転体11が軸Pp 回りに及び
軸Pr 回りの振動に共振しないように、所定の減衰特性
を持たせたバネ要素及びダンパ要素60、61をそれぞ
れ支持部材13に設ける。
【0029】ここで、2つの回転体11の各ジャイロ軸
J回りの回転方向はお互いに逆にする。このとき、ピッ
チングによってそれぞれのジャイロ軸Jに軸Pr 回りの
モーメントMp が作用すると、それぞれのピッチングプ
リセッション軸Pp の回りにお互いに逆方向のジャイロ
モーメントM'Jp1及びM'Jp2が発生し、2つの回転体1
1は逆方向にプリセッションされる。そしてさらに、こ
のプリセッションによって、それぞれのジャイロモーメ
ントMJp1 及びMJp2 が軸Pr 回りの上記モーメントM
p と逆方向に発生する。ここに、それぞれのジャイロモ
ーメントMJp1及びMJp2 を合成したモーメントが上記
モーメントMp に釣り合うように、MJp1 及びMJp2 が
発生する。上述のように2つの回転体11がお互いに逆
方向にプリセッションされるので、ジャイロモーメント
MJp1 及びMJp2 のヨーイング方向成分はお互いに打ち
消し合って、ピッチングを制振する方向のモーメントが
残る。
【0030】また同様に、ローリングによってそれぞれ
のジャイロ軸Jに軸Pp 回りのモーメントMr が作用す
ると、それぞれのローリングプリセッション軸Pr の回
りにお互いに逆方向のジャイロモーメントM'Jr1及び
M'Jr2が発生し、2つの回転体11は逆方向にプリセッ
ションされる。そしてさらに、このプリセッションによ
って、それぞれのジャイロモーメントMJr1 及びMJr2
が軸Pp 回りの上記モーメントMr と逆方向に発生す
る。ここに、それぞれのジャイロモーメントMJr1及び
MJr2 を合成したモーメントが上記モーメントMr に釣
り合うように、MJr1 及びMJr2 が発生する。上述のよ
うに2つの回転体11がお互いに逆方向にプリセッショ
ンされるので、ジャイロモーメントMJr1 及びMJr2 の
ヨーイング方向成分はお互いに打ち消し合って、ローリ
ングを制振する方向のモーメントが残る。
【0031】上記の如く、2個のジャイロスタビライザ
10を設けても、ピッチング及びローリングを制振でき
る。このとき、それぞれの回転体11の各ジャイロ軸J
回りの回転方向をお互いに逆にした方が、各プリセッシ
ョン軸Pp 及び軸Pr の回りの回転角度( 以後、それぞ
れピッチングプリセッション角度及びローリングプリセ
ッション角度と呼ぶ) が大きくなっても、合成されたジ
ャイロモーメントのヨーイング方向成分が小さくなるの
で、よりピッチング及びローリングの制振効果が大きく
なる。
【0032】また、3個以上のジャイロスタビライザを
車体2に設けることもできる。ジャイロスタビライザを
取着する方向は、上述の2個の場合と同様であり、それ
ぞれのジャイロ軸Jが鉛直線と平行になり、かつそれぞ
れのピッチングプリセッション軸Pp がピッチング軸P
に直交するように、その支持部材13を車体2に取着さ
れる。このときの作用及び効果も、上記同様で変わらな
い。さらに、複数個の回転体11の内の1個以上を、他
と逆の方向に各ジャイロ軸J回りに回転させると、上述
同様プリセッション時に発生する各ジャイロモーメント
MJp及びMJrのヨーイング方向成分をお互いに打ち消す
ことができるので、ピッチング及びローリングの制振効
果をより大きくできる。
【0033】次に、第三実施例を図6から図14に基づ
いて説明する。第三実施例は、ジャイロスタビライザの
ピッチングプリセッション軸及びローリングプリセッシ
ョン軸の角速度を制御し、ピッチング及びローリングを
制振するようなジャイロモーメントをアクティブに制御
する場合を示している。図6はこの場合のジャイロスタ
ビライザ部を表しており、また図7はそのときの各プリ
セッション軸を制御するための制御構成ブロック図の一
実施例を表している。まず、図6を参照しながらジャイ
ロスタビライザ部を説明する。
【0034】ジャイロスタビライザ10は前実施例と同
様なのでここでの説明は省略し、これまでと異なる構成
を説明する。ピッチングプリセッション軸駆動モータ1
4p及びローリングプリセッション軸駆動モータ14r
は、ジャイロスタビライザ10の回転体11をそれぞれ
ピッチングプリセッション軸Pp 回りに及びローリング
プリセッション軸Pr 回りに回転駆動するものであり、
例えば油圧モータや電動モータを使用することができ
る。ピッチング角速度検出器16p は、ピッチングによ
って生じるモーメントMp がジャイロ軸Jを回転させた
ときの、ジャイロ軸Jの軸Pr 回り回転角速度ωqpを検
出するものである。同じくローリング角速度検出器16
r は、ローリングによって生じるモーメントMr がジャ
イロ軸Jを回転させたときの、ジャイロ軸Jの軸Pp 回
り回転角速度ωqrを検出するものである。
【0035】ここで、ジャイロ効果に基づくジャイロス
タビライザ10の作動を簡単に説明すると、例えばジャ
イロ軸Jをピッチングプリセッション軸Pp 回りに所定
の方向に角速度ωppでプリセッションさせたとき、ジャ
イロ軸J及びピッチングプリセッション軸Pp に直交し
ている軸Pr 回りに、数式「MJp=ωpp×I×ωk 」で
表されるジャイロモーメントMJpが上記角速度ωppの方
向に対応した方向に発生する。ここに、Iは回転体11
の慣性モーメントで、ωk は回転体11の角速度であっ
て、「I×ωk 」は回転体11の角運動量を表してい
る。また同様に、ジャイロ軸Jをローリングプリセッシ
ョン軸Pr 回りに所定の方向に角速度ωprでプリセッシ
ョンさせたとき、ジャイロ軸J及びローリングプリセッ
ション軸Pprに直交している軸Pp 回りに、数式「MJr
=ωpr×I×ωk 」で表されるジャイロモーメントMJr
が上記角速度ωprの方向に対応した方向に発生する。し
たがって、回転体11の角運動量が一定のとき、ジャイ
ロ軸Jの上記各プリセッション軸P回りに回転する角速
度ωpp及び角速度ωprの大きさ及び方向を制御すること
によって、発生するジャイロモーメントMJp及びMJrの
大きさ及び方向が制御可能となる。
【0036】本実施例は、上記のジャイロ効果に基づく
作用をピッチング及びローリングのアクティブな制振に
適用するものである。ただし、ジャイロ軸Jのピッチン
グプリセッション軸Pp 回りの回転角度θpp(以後、ピ
ッチングプリセッション角度と呼ぶ)が90度近傍にな
ると、言い換えるとジャイロ軸Jが水平に近くなると、
上記ジャイロモーメントMJpは水平面内でのみ作用する
ので、ピッチングの制振効果は全く無くなってヨーイン
グ方向成分だけが発生する。同様に、ジャイロ軸Jのロ
ーリングプリセッション軸Pr 回りの回転角度θpr(以
後、ローリングプリセッション角度と呼ぶ)が90度近
傍になると、上記ジャイロモーメントMJrは水平面内で
のみ作用するので、ローリングの制振効果は全く無くな
ってヨーイング方向成分だけが発生する。したがって、
各プリセッション角度θpp及びθprを許容される所定の
最大角度以内に制御する必要がある。
【0037】以下に、図7に基づいて各プリセッション
軸を制御するための制御構成を説明する。ピッチング角
速度検出器16p はピッチングの角速度ωqpを検出して
この角速度信号を演算装置20へ出力し、またピッチン
グプリセッション角度検出器15p はピッチングプリセ
ッション角度θppを検出してこの角度信号を演算装置2
0へ出力する。同様に、ローリング角速度検出器16r
はローリングの角速度ωqrを検出してこの角速度信号を
演算装置20へ出力し、またローリングプリセッション
角度検出器15r はローリングプリセッション角度θpr
を検出してこの角度信号を演算装置20へ出力する。
【0038】演算装置20は、上記ピッチング角速度信
号及びピッチングプリセッション角度信号を基にして、
回転体11をピッチングプリセッション軸Pp 回りに回
転駆動するピッチングプリセッション軸駆動モータ14
p の回転指令を演算し、この回転指令をモータ駆動装置
30p へ出力する。モータ駆動装置30p は、この回転
指令に基づいてピッチングプリセッション軸駆動モータ
14p の駆動動力信号を出力する。
【0039】同様に演算装置20は、上記ローリング角
速度信号及びローリングプリセッション角度信号を基に
して、回転体11をローリングプリセッション軸Pr 回
りに回転駆動するローリングプリセッション軸駆動モー
タ14r の回転指令を演算し、この回転指令をモータ駆
動装置30r へ出力する。モータ駆動装置30r は、こ
の回転指令に基づいてローリングプリセッション軸駆動
モータ14r の駆動動力信号を出力する。
【0040】次に、本実施例の具体的な構成及び作動に
ついて、図8及び図9を参照して詳細に説明する。ただ
し、ピッチングに対する構成及び作用とローリングに対
する構成及び作用とは同様なので、以下の説明はピッチ
ングを例に取って行なう。したがって、ローリングに関
する構成及び作用を示す図等は省いている。図8は、ピ
ッチングプリセッション軸を油圧モータによって制御す
るための制御回路ブロック図の一実施例を表している。
本実施例では、ピッチング角速度検出器16p 及びピッ
チングプリセッション角度検出器15p として、それぞ
れジャイロスコープ及びポテンショメータを使用してい
るが、これに限定するものではなく、機能が同等の他の
検出器であっても良い。
【0041】演算装置20は、例えばマイクロコンピュ
ータ(以下、CPUと言う)を中枢にして構成されたマ
イクロコンピュータシステムである。CPU21は一般
的なマイクロコンピュータであって、その内部に記憶装
置、演算処理装置、実行制御装置及び入出力インターフ
ェース部等を備えている。また演算装置20はその他
に、システムプログラム等を記憶するROM22、演算
結果や制御データを記憶するRAM23、前記ジャイロ
スコープ及びポテンショメータからのアナログ信号を入
力するA/DコンバータのA/D24及びA/D25、
油圧モータ駆動用の方向切換弁31へ指令信号を出力す
るための出力レジスタ26、及びCPU21がデータ入
出力するためのバス27等から構成されている。
【0042】油圧モータ14paはジャイロ軸Jをピッチ
ングプリセッション軸Pp 回りに回転させるためのピッ
チングプリセッション軸駆動モータ14p であり、方向
切換弁31は油圧モータ14paを駆動する圧油の方向を
切り換えるものである。また、油圧ポンプ33は油圧モ
ータ14paへ圧油を供給するもので、走行作業車両に搭
載されている作業機駆動用油圧ポンプを使用しても良
い。
【0043】上記出力レジスタ26から出力されたモー
タ正回転指令S1 は方向切換弁31の操作ソレノイド3
1dに接続され、同じくモータ負回転指令S2 は方向切
換弁31の操作ソレノイド31eに接続される。モータ
正回転指令S1 及びモータ負回転指令S2 が共に出力さ
れてないときは、方向切換弁31は中立位置31bにあ
るので、油圧ポンプ33から吐出される圧油は油圧モー
タ14paに供給されず、よって油圧モータ14paは停止
している。
【0044】モータ正回転指令S1 が操作ソレノイド3
1dに出力されたときは、方向切換弁31が31aの位
置に切り換わり、油圧ポンプ33からの圧油は管路35
を介して油圧モータ14paの正回転側ポートに流入し、
その流出油は管路36を介してタンク34へドレーンさ
れる。このとき、油圧モータ14paは流入する油量に比
例した所定の角速度で正回転する。また、モータ負回転
指令S2 が操作ソレノイド31eに出力されたときは、
方向切換弁31が31cの位置に切り換わり、油圧ポン
プ33からの圧油は管路36を介して油圧モータ14pa
の負回転側ポートに流入し、その流出油は管路35を介
してタンク34へドレーンされる。このとき、油圧モー
タ14paは流入する油量に比例した所定の角速度で負回
転する。
【0045】ピッチングプリセッション軸Pp 回りの回
転を制御してピッチングを安定的に抑えるには、ピッチ
ング角θqp、ピッチング角速度ωqp及びピッチング角加
速度αqp等に基づく予め設定された制御目標関数を最小
にするような制御出力を得ることによって可能となる。
例えば、一般的に良く知られているPID制御により、
ピッチング角θqp、ピッチング角速度ωqp及びピッチン
グ角加速度αqp等が所定の目標値になるように制御する
方法がある。以下に、このPID制御による一実施例を
具体的に説明するが、制御方法及びそのアルゴリズム等
がこれに限定されないことは言うまでもない。
【0046】まず、説明の簡単のためにピッチング角速
度ωqpを制御対象とする場合を説明し、この場合の制御
目標は例えば「ピッチング角速度ωqp=0」に設定され
ていると仮定する。図18はこの制御の一実施例を説明
するためのCPU21の演算処理フローチャートを表し
ており、以下図18を参照して制御フローを説明する。
【0047】(ステップ100)ピッチング角速度検出
器16p からピッチング角速度ωqpを入力し、ステップ
101へ進む。 (ステップ101)ピッチング角速度ωqpと予めメモリ
(ROM22又はRAM23)に記憶している不感帯設
定値とを比較する。この不感帯設定値は、ピッチング角
速度ωqpがある程度小さい範囲のときは、プリセッショ
ン軸Pp の角速度ωppの制御によるピッチングの制振は
行わないようにするためのものであり、予めピッチング
角速度の0値を含む所定の範囲に設定される。このステ
ップでは、ピッチング角速度ωqpの極性が正で、かつピ
ッチング角速度ωqpの絶対値が不感帯設定値より大きい
ときはステップ105へ進み、そうでないときはステッ
プ102へ進む。
【0048】(ステップ102)ピッチング角速度ωqp
と上記不感帯設定値とを比較し、ピッチング角速度ωqp
の極性が負で、かつピッチング角速度ωqpの絶対値が不
感帯設定値より大きいときはステップ103へ進み、そ
うでないときはステップ107へ進む。 (ステップ103)ピッチングプリセッション角度検出
器15p からプリセッション角度θppを入力し、このプ
リセッション角度θppと予めメモリ(ROM22又はR
AM23)に記憶している許容最大値θppMAX とを比較
する。この許容最大値θppMAX は、前述したようなジャ
イロモーメントMJpのヨーイング成分をなるべく小さく
してピッチングの制振効果を大きくするために、ピッチ
ングプリセッション角度が許容される所定角度以内に入
っているかを判定できるように設定されるものである。
ピッチングプリセッション角度θppが許容最大値θppMA
X以下のときはステップ104へ進み、そうでないとき
はステップ107へ進む。
【0049】(ステップ104)この時点での状態は、
ピッチング角速度ωqpが負の大きな値になっていて、か
つピッチングプリセッション角度θppが上記許容最大値
θppMAX 以下の制御可能範囲にある状態である。よっ
て、このステップでは、ピッチング角速度ωqpと反対方
向にジャイロモーメントMJpを発生させるように、油圧
モータ14paの負回転指令S2 を出力する。この結果、
方向切換弁31が31cの位置に切り換わり、油圧モー
タ14paは所定の大きさのピッチングプリセッション軸
回転角速度ωppで負回転する。ただし、ここでは、油圧
モータ14paが負回転したときにジャイロモーメントM
Jpが負のピッチング角速度ωqpと反対方向に発生するよ
うに、各制御の極性が設定されているものとする。この
後、処理は先頭のステップ100へ戻って以上を繰り返
す。
【0050】(ステップ105)ピッチングプリセッシ
ョン角度検出器15p からプリセッション角度θppを入
力し、このプリセッション角度θppと前記許容最大値θ
ppMAX とを比較する。ピッチングプリセッション角度θ
ppが上記許容最大値θppMAX以下のときはステップ10
6へ進み、そうでないときはステップ107へ進む。
【0051】(ステップ106)この時点での状態は、
ピッチング角速度ωqpが正の大きな値になっていて、か
つピッチングプリセッション角度θppが上記許容最大値
θppMAX 以下の制御可能範囲にある状態である。よっ
て、このステップでは、ピッチング角速度ωqpと反対方
向にジャイロモーメントMJpを発生させるように、油圧
モータ14paの正回転指令S1 を出力する。この結果、
方向切換弁31が31aの位置に切り換わり、油圧モー
タ14paは所定の大きさのピッチングプリセッション軸
回転角速度ωppで正回転する。この後、処理は先頭のス
テップ100へ戻って以上を繰り返す。同じく、油圧モ
ータ14paが正回転したときにジャイロモーメントMJp
が正のピッチング角速度ωqpと反対方向に発生するよう
に、各制御の極性が設定されているものとする。
【0052】(ステップ107)ステップ102からこ
のステップに来たときの状態は、ピッチング角速度ωqp
が前記不感帯設定値の範囲以内に入っているので、ピッ
チングプリセッション軸Pp の回転制御を停止する必要
がある。また、ステップ103又はステップ105から
このステップに来たときの状態は、ピッチングプリセッ
ション角度θppが許容最大値θppMAX 以上になっている
ので、ピッチングプリセッション軸Pp の回転制御を一
時的に停止する必要がある。よってこのステップでは、
油圧モータ14paの正回転指令S1 及び負回転指令S2
の出力を停止する。この後、処理は先頭のステップ10
0へ戻って以上を繰り返す。
【0053】上記のステップ104及び106におい
て、油圧モータ14paが回転駆動されることによりピッ
チングプリセッション軸が所定の大きさの角速度ωppで
回転し、角速度ωppに比例したジャイロモーメントMJp
がピッチング角速度ωqpと反対方向に発生する。そし
て、ステップ101及びステップ102では、ピッチン
グ角速度ωqpが極小さい0近傍の値になるまで油圧モー
タ14paが回転駆動され、0近傍の値になったらステッ
プ107で油圧モータ14paの回転が停止されてジャイ
ロモーメントMJpの発生を停止する。このようにして、
以上の演算処理フローに従って制御が行われると、ピッ
チング角速度ωqpを小さくする方向にジャイロモーメン
トMJpを発生し、ピッチングが制振できる。
【0054】次に、ピッチングプリセッション軸駆動モ
ータ14p として電動モータを使用する場合の一実施例
を説明する。図10に、そのピッチングプリセッション
軸制御回路ブロック図を示す。ここでは、電動モータと
して直流モータを使用した実施例を上げるが、交流モー
タでも作用及び効果は変わらない。上記油圧モータの場
合の構成と異なっている直流モータ14pbと直流モータ
駆動アンプ32について以下に説明する。
【0055】直流モータ14pbは、前述の油圧モータ1
4paと同様にピッチングプリセッション軸Pp の回転制
御用であり、その電機子コイルAの端子A1及びA2間
に印加される直流電圧の大きさに比例した角速度でモー
タが回転するものである。ここでは、端子A1がA2に
対して正となる電圧が印加されると直流モータ14pbは
正回転し、また端子A1がA2に対して負となる電圧が
印加されると直流モータ14pbは負回転するものと仮定
する。
【0056】直流モータ駆動アンプ32は直流モータ1
4pbを駆動するパワーアンプであり、演算装置20から
出力されるモータの正回転指令S1 及び負回転指令S2
の信号を入力し、この指令信号に対応した回転方向に直
流モータ14pbが回転するようにモータ駆動する。演算
装置20からモータの正回転指令S1 が出力されると、
直流モータ駆動アンプ32は予め設定された角速度で直
流モータ14pbが正回転するように、端子A1がA2に
対して正の所定の電圧を印加する。また、モータの負回
転指令S2 が出力されると、電動モータ駆動アンプ32
は予め設定された角速度で直流モータ14pbが負回転す
るように、端子A1がA2に対して負の所定の電圧を印
加する。
【0057】このような構成で直流モータ14pbを制御
する場合の制御目標を前述同様に「ピッチング角速度ω
qp=0」に設定したとき、CPU21の演算処理フロー
チャートは上記で説明した図9と全く同じにしても良
い。このときの、作用及び効果は変わらない。尚、以上
の制御フローの説明の中で、複数個のジャイロスタビラ
イザを設けてその内の1個以上の回転体の回転方向を他
と反対方向にしている場合は、ピッチング角速度ωqpを
小さくするためのピッチングプリセッション軸駆動モー
タ14p の回転指令の極性を考慮する必要がある。すな
わち、回転体の回転方向が他と反対方向であるジャイロ
スタビライザに対しては、これまで説明したピッチング
プリセッション軸駆動モータ14p 回転指令S1 及びS
2 をお互いに逆に出力すれば良い。
【0058】また、ローリングプリセッション軸を制御
するための制御構成図及び制御フローについては、これ
までの説明の中の「ピッチング」を「ローリング」に置
き換えることによって容易に説明できる。
【0059】次に、図7と同じ構成において、ピッチン
グプリセッション軸の角速度ωppの指令値がピッチング
角加速度αqpに比例するようにピッチングプリセッショ
ン軸Pp を制御する場合の一実施例について説明する。
この場合の制御目標は、Kを比例定数とすると、数式
「角速度ωpp−K×角加速度αqp=0」で表される。こ
のことは、以下の理由で説明される。前述したように、
ピッチングによって発生するモーメントMp はピッチン
グ角加速度αqpに比例しており、一方ピッチングプリセ
ッション軸Pp の回転制御により発生するジャイロモー
メントMJpは角速度ωppに比例している。したがって、
モーメントMp とジャイロモーメントMJpが比例するよ
うに、言い換えると大きさが等しくかつ反対方向になる
ように角速度ωppを制御すれば、前実施例のようなピッ
チング角速度ωqpを制御目標にした場合に比べてより安
定的にピッチングを制振できる。
【0060】図11は、ピッチング角加速度αqpに比例
するように角速度ωppを制御するための、油圧モータに
よる制御回路ブロック図の一実施例を表している。この
図で前述の図8と異なる構成について、以下に説明を加
える。D/A28は、角速度ωppの指令信号S3 を出力
するD/Aコンバーターであり、CPU21から出力さ
れたNビット(Nは2以上の自然数とする)のディジタ
ルデータをアナログ信号に変換する。Nが大きいほど、
角速度ωppの制御は滑らかになる。サーボアンプ38
は、上記角速度ωppの指令信号S3 を入力すると同時
に、油圧モータ14paの回転速度(これは、ピッチング
プリセッション軸の角速度ωppに相当)信号S4を入力
し、この2つの信号の偏差が0になるように出力電流を
制御するものである。この出力電流信号は、流量制御サ
ーボ弁37の操作ソレノイド37dに接続されている。
【0061】流量制御サーボ弁37はその出力する流量
を制御するもので、操作ソレノイド37dに入力された
上記サーボアンプ38の出力電流信号の大きさに比例し
てその内部にあるスプールの変位量を制御することによ
り、流量を制御する。ここで、操作ソレノイド37dの
電流信号が0のときは流量制御サーボ弁37は中立位置
37bにあって、このとき油圧ポンプ33から吐出され
た圧油は圧油入力ポートから入力され、そのまま戻りポ
ートからタンク34へドレーンされる。アクチュエータ
側の2つのポートは、それぞれ管路35及び管路36を
介して油圧モータ14paの正回転時の流入ポート及び負
回転時の流入ポートに接続されている。
【0062】油圧モータ14paにその回転速度を検出す
るモータ角速度検出器19を取着し、このモータ角速度
検出器19が出力したモータ角速度信号S4 を前記サー
ボアンプ38のフィードバック入力端子へ接続する。モ
ータ角速度検出器19は、例えばタコジェネレータやパ
ルスジェネレータ等を使用することができる。
【0063】ここで、サーボアンプ38と流量制御サー
ボ弁37と油圧モータ14paの作動について説明する。
角速度ωppの指令信号S3 は、0Vを中心にして正と負
に振れるアナログ電圧信号とする。油圧モータ14paを
正回転させるときは指令信号S3 に正の電圧信号を出力
し、負回転させるときは指令信号S3 に負の電圧信号を
出力するものと仮定する。
【0064】いま、サーボアンプ38に正の電圧信号の
指令信号S3 が入力されると、この指令信号S3 と油圧
モータ14paの回転速度S4 との偏差が小さくなるよう
に、サーボアンプ38は流量制御サーボ弁37の操作ソ
レノイド37dに電流信号を出力する。このとき電流信
号は正の電流信号となり、流量制御サーボ弁37のスプ
ールは37a側に電流信号の大きさに従った変位量だけ
移動する。よって、この変位量に比例した流量の圧油が
管路35を介して油圧モータ14paの正回転時の流入ポ
ートに流入し、反対側のポートから流出して管路36を
介してタンク34にドレーンする。油圧モータ14paは
上記流量に比例した回転速度で正回転し、この回転速度
信号S4がサーボアンプ38にフィードバックされる。
このようにして、正回転の指令信号S3 に追従して油圧
モータ14paが正回転するように、油圧モータ14paが
フィードバック制御される。
【0065】反対に、サーボアンプ38に負の電圧信号
の指令信号S3 が入力されると、この指令信号S3 と油
圧モータ14paの回転速度S4 との偏差が小さくなるよ
うに、サーボアンプ38は流量制御サーボ弁37の操作
ソレノイド37dに電流信号を出力する。このとき電流
信号は負の電流信号となり、流量制御サーボ弁37のス
プールは37c側に電流信号の大きさに従った変位量だ
け移動する。よって、この変位量に比例した流量の圧油
が管路36を介して油圧モータ14paの負回転時の流入
ポートに流入し、反対側のポートから流出して管路35
を介してタンク34にドレーンする。油圧モータ14pa
は上記流量に比例した回転速度で負回転し、この回転速
度信号S4がサーボアンプ38にフィードバックされ
る。このようにして、同様に負回転の指令信号S3 に追
従して油圧モータ14paが負回転するように、油圧モー
タ14paがフィードバック制御される。
【0066】上記構成による制御目標を数式「角速度ω
pp−K×角加速度αqp=0」で表した場合の演算処理フ
ローチャートを図12に示している。これに基づいて、
制御フローを説明する。 (ステップ110)ピッチング角速度検出器16p から
ピッチング角速度ωqpを入力し、ステップ111へ進
む。 (ステップ111)ピッチング角速度ωqpからピッチン
グ角加速度αqpを演算する。ピッチング角加速度αqpを
求めるには例えば、微小時間Δtの間にピッチング角速
度ωqpがΔωqpだけ変化したとき、数式「αqp=Δωqp
÷Δt」によって近似的に求めることができる。この
後、ステップ112へ進む。
【0067】(ステップ112)ピッチングプリセッシ
ョン角度検出器15p からプリセッション角度θppを入
力し、このプリセッション角度θppと予めメモリ(RO
M22又はRAM23)に記憶している許容最大値θpp
MAX とを比較する。この許容最大値θppMAX は、前述し
たものと同じである。ピッチングプリセッション角度θ
ppが許容最大値θppMAX 以下のときはステップ113へ
進み、そうでないときはステップ115へ進む。 (ステップ113)ピッチングプリセッション軸の角速
度指令値Vθp を数式「Vθp =K×αqp」によって求
める。ここに、αqpは前ステップで求めたピッチング角
加速度であり、Kは安定的に制振できるように所定値に
設定された正の定数とする。この後、ステップ114へ
進む。
【0068】(ステップ114)ピッチング角加速度α
qpと反対方向にジャイロモーメントMJp を発生させる
ように、上記で求めた角速度指令値Vθp に相当する油
圧モータ14paの角速度指令信号S3 を出力する。この
結果、例えばピッチング角加速度αqpが正のときは、正
の角速度指令信号S3 がサーボアンプ38へ出力され
る。これによって、正の角速度指令信号S3 の大きさに
比例した角速度で、しかもこの指令信号S3 に追従して
油圧モータ14paが正回転する。ここで、油圧モータ1
4paが正回転したときにジャイロモーメントMJpが正の
ピッチング角加速度αqpと反対方向に発生するように、
各制御の極性が設定されているものとする。ピッチング
角加速度αqpが負のときも、上記と同様である。この
後、処理は先頭のステップ110へ戻って以上を繰り返
す。
【0069】(ステップ115)ピッチングプリセッシ
ョン角度θppが許容最大値θpMAX以上になっているの
で、ピッチングプリセッション軸Pp の回転制御を一時
的に停止する。よってこのステップでは、油圧モータ1
4paの角速度指令信号S3 を出力停止する。この後、処
理は先頭のステップ110へ戻って以上を繰り返す。
【0070】上記のステップ113においてピッチング
角加速度αqpに比例したピッチングプリセッション軸の
角速度指令値Vθp が求められ、またステップ114に
おいてこの角速度指令値Vθp に相当する角速度指令信
号S3 がサーボアンプ38へ出力される。サーボアンプ
38及び流量制御サーボ弁37は、この角速度指令信号
S3 の符号に合った回転方向で、かつその大きさに比例
した角速度で油圧モータ14paが回転するように制御す
る。これによって、ピッチングプリセッション軸Pp が
ピッチング角加速度αqpに比例した大きさの角速度ωpp
で回転し、角速度ωppに比例した大きさのジャイロモー
メントMJpがピッチング角加速度αqpと反対方向に発生
する。このようにして、以上の演算処理フローに従って
制御が行われると、ピッチング角加速度αqpを小さくす
る方向にジャイロモーメントMJpを発生し、ピッチング
がより安定的に制振できる。
【0071】尚、上記油圧ポンプ33を可変容量ポンプ
にし、このポンプの吐出容量を演算装置で制御して油圧
モータ14paの角速度を制御しても良い。このときは、
容量制御サーボ弁37の代わりに方向切り換え弁を使用
し、油圧モータ14paの回転方向はこの方向切り換え弁
で制御する。また前記油圧モータ14paを、斜板又は斜
軸の傾斜角を制御してその回転角速度を変更できる油圧
モータにしても良い。このときは、容量制御サーボ弁3
7の代わりに方向切り換え弁を使用して油圧モータ14
paの回転方向はこの方向切り換え弁で制御し、油圧モー
タ14paの角速度は斜板又は斜軸の傾斜角を制御するこ
とにより制御可能となる。
【0072】上記実施例の油圧モータ14paの代わりに
電動サーボモータ14pbを使用することもでき、次にそ
の一実施例を示す。図13は、直流サーボモータ14pb
及びその駆動用のサーボアンプ39を使用した一実施例
の制御回路ブロック図であり、前実施例と異なる構成に
ついて以下に説明する。直流サーボモータ14pbはピッ
チングプリセッション軸の回転制御用であり、その電機
子コイルAの端子A1及びA2間に印加される直流電圧
の大きさに比例した角速度でモータが回転する。ここで
は、端子A1がA2に対して正となる電圧が印加される
と直流サーボモータ14pbは正回転し、また端子A1が
A2に対して負となる電圧が印加されると直流サーボモ
ータ14pbは負回転するものと仮定する。
【0073】サーボアンプ39は、演算装置20のD/
A28から出力されるプリセッション軸角速度ωppの指
令信号S3 を入力すると同時に、直流サーボモータ14
pbの回転速度(これは、プリセッション軸の角速度ωpp
に相当)信号S4を入力し、この2つの信号の偏差が0
になるように出力電圧を制御するものである。この出力
電圧信号は、直流サーボモータ14pbの電機子コイルA
の端子A1及びA2に接続されている。
【0074】このような構成で直流サーボモータ14pb
を制御する場合の制御目標を前述同様に「角速度ωpp−
K×角加速度αqp=0」に設定したとき、CPU21の
演算処理フローチャートは上記で説明した図12と全く
同じにしても良い。このとき、作用及び効果は変わらな
い。また、複数個のジャイロスタビライザを設けてその
内の1個以上の回転体の回転方向を他と反対方向にする
場合においても、回転体の回転方向が他と反対方向であ
るジャイロスタビライザに対しては、これまで説明した
制御フローのプリセッション軸駆動モータ14p の回転
指令S3 の極性を逆に出力すれば良い。以上の説明の中
で、「ピッチング」を「ローリング」に置き換えること
により、ローリングプリセッション軸の制御に対しても
容易に説明が可能である。
【0075】これまでの説明では、ピッチング角速度ω
qp又はピッチング角加速度αqp、あるいはローリング角
速度ωqr又はローリング角加速度αqrを所定値にするこ
とを制御目標にし、ピッチングプリセッション軸Pp 回
りの回転速度ωppあるいはローリングプリセッション軸
Pr 回りの回転速度ωprを制御する実施例を示した。こ
の他に、ピッチング角θqp又はローリング角θqrを所定
値にすることを制御目標にすることもでき、この場合の
制御構成ブロック図は図14で表される。
【0076】図14の例では、ピッチング角度検出器1
7p 及びローリング角度検出器17r をジャイロスタビ
ライザ部に設け、これにより検出したピッチング角度信
号及びローリング角度信号を演算装置20に入力する。
演算装置20は、ピッチング角θqp及びローリング角θ
qrが所定値になるようにジャイロ軸Jのピッチングプリ
セッション軸Pp 回りの角速度ωpp及びローリングプリ
セッション軸Pr 回りの角速度ωprを制御する。この結
果、発生するジャイロモーメントMJp及びMJrがそれぞ
れピッチング及びローリングを制振することができる。
ここでピッチング角度検出器17p 及びローリング角度
検出器17r は、例えば傾斜計やジャイロコンパス等で
あっても良いし、または前実施例のピッチング角速度検
出器16p 又はローリング角速度検出器16r から出力
されたピッチング角速度信号又はローリング角速度信号
を積分して得るようにしても良い。
【0077】一般的に、ピッチング角θqp、ピッチング
角速度ωqp、ピッチング角加速度αqp、ローリング角θ
qr、ローリング角速度ωqr及びローリング角加速度αqr
等に基づく制御目標を組み合わせて予め設定された制御
目標関数を最小にするような制御出力を得ることによっ
て、ピッチング及びローリングをより安定的に抑えられ
ることは良く知られている。図15に、その場合の一実
施例の制御構成ブロック図を示している。この例では、
ピッチング角θqp、ピッチング角速度ωqp及びピッチン
グ角加速度αqpをそれぞれピッチング角度検出器17p
、ピッチング角速度検出器16p 及びピッチング角加
速度検出器18p で検出するようにしている。同様に、
ローリング角θqr、ローリング角速度ωqr及びローリン
グ角加速度αqrをそれぞれローリング角度検出器17r
、ローリング角速度検出器16r 及びローリング角加
速度検出器18r で検出するようにしている。
【0078】これらの検出器は、例えば前述のようにピ
ッチング角速度信号を積分してピッチング角を得るよう
にしても良く、またピッチング角速度信号を微分してピ
ッチング角加速度を得るようにしても良い。ローリング
の各信号についても、同様である。そして、他の構成は
前述と同様である。
【0079】上記構成によってピッチング角θqp、ピッ
チング角速度ωqp、ピッチング角加速度αqp、ローリン
グ角θqr、ローリング角速度ωqr及びローリング角加速
度αqr等に基づく制御目標を組み合わせた制御目標関数
を使用し、ピッチングプリセッション軸Pp りの角速度
ωpp及びローリングプリセッション軸Pr りの角速度ω
prを制御する場合の演算処理フローチャートは、具体的
にはここでは示していない。しかしながら、前述のごと
く一般的に良く知られているPID制御によって各種の
補正をしながら角速度ωpp及び角速度ωprの最適な制御
信号を得ることができる。またさらに、その他の制御手
法、例えば統計的手法による最適制御アルゴリズムやフ
ァジー理論による制御アルゴリズム等を用いれば、より
効果的にかつ安定してピッチング及びローリングを制振
できる角速度ωpp及び角速度ωprの最適制御信号を得ら
れる。
【0080】次の第四実施例は、ピッチングの制振及び
ローリングの制振を自動又は手動にて選択可能とした例
を表している。本実施例ではピッチング及びローリング
に対してアクティブに制振を行なう場合で、かつジャイ
ロスタビライザを1個設けた例を示す。図16にこの場
合の制御構成ブロック図を示し、以下に図16を参照し
て説明する。まず、前実施例と異なっている構成につい
て説明を加える。
【0081】自動/手動切換スイッチ62は、ピッチン
グの制振及びローリングの制振の選択を自動で行うか又
は手動で行うかを切り換えるものであり、演算装置20
に自動/手動切換信号を出力する。また、制振モード切
換スイッチ63は、上記手動モード時にピッチングの制
振及びローリングの制振の選択を行なうためのものであ
り、例えば次のような3つのモードが選択可能である。
すなわち、1)ピッチングのみ制振、2)ローリングのみ制
振、3)ピッチング及びローリングの両方を制振、のモー
ドが選択できる。この選択信号は、演算装置20に出力
される。これらの自動/手動切換スイッチ62及び制振
モード切換スイッチ63は、運転席パネル(図示せず)
に設けられる。
【0082】警報器65は、ピッチングプリセッション
角度θpp又はローリングプリセッション角度θprがそれ
ぞれ前述の実施例で説明した許容最大値θppMAX 又はθ
prMAX の近くになったことをオペレータに知らせるもの
である。これによりオペレータは、各プリセッション角
度が上記許容最大値に達してジャイロモーメントの発生
が突然停止されるより以前に、これを予測できる。この
結果、ジャイロモーメントの発生停止により急に振動が
大きくなってしまうような危険性を防止できる。演算装
置20からの警報信号によって、駆動される。
【0083】モニタ装置66は、上記各プリセッション
角度の現在値を表示したり、また上記警報器65と同時
に警告のエラーメッセージを表示するものである。数値
及び文字の表示機能を備えており、例えばLEDによる
数値及び文字表示、液晶やプラズマによる文字又はグラ
フィック表示装置等で構成される。演算装置20からの
表示信号に従って、表示を行なう。
【0084】次に、上記構成における作動を説明する。
演算装置20は、自動/手動切換スイッチ62から自動
/手動切換信号を入力する。手動のときは、さらに制振
モード切換スイッチ63から制振モード選択信号を入力
し、下記3つのモードに対応する処理を行なう。 1)ピッチングのみ制振するモード時は、ローリングプリ
セッション軸角速度ωprの制御は行わず、ピッチングプ
リセッション軸角速度ωppのみの制御を行なう。ローリ
ングプリセッション軸角速度ωprの制御は、この間モー
タ駆動装置30r への回転指令出力を停止しても良い
し、又はローリングプリセッション軸モータ14r にブ
レーキ等を設けて回転を停止させても良い。 2)ローリングのみ制振するモード時は、ピッチングプリ
セッション軸角速度ωppの制御は行わず、ローリングプ
リセッション軸角速度ωprのみの制御を行なう。ピッチ
ングプリセッション軸角速度ωppの制御は、この間モー
タ駆動装置30p への回転指令出力を停止しても良い
し、又はピッチングプリセッション軸モータ14p にブ
レーキ等を設けて回転を停止させても良い。 3)ピッチング及びローリングの両方を制振するモード時
は、ピッチングプリセッション軸角速度ωpp及びローリ
ングプリセッション軸角速度ωprの制御を共に行なう。
【0085】自動のときは、演算装置20はピッチング
角速度検出器16p 及びローリング角速度検出器16r
からそれぞれピッチング角速度ωqp及びローリング角速
度ωqrを入力する。そして、ピッチング角速度ωqpが所
定値より大きいときは、ピッチングが特に大きい状態と
見做し、ピッチングプリセッション軸角速度ωppのみの
制御を行なう。同様にローリング角速度ωqrが所定値よ
り大きいときは、ローリングが特に大きい状態と見做
し、ローリングプリセッション軸角速度ωprのみの制御
を行なう。ピッチング角速度ωqp及びローリング角速度
ωqrが共に所定値より大きいときは、両方のプリセッシ
ョン軸角速度を制御する。尚ここでは、ピッチング及び
ローリングの大きさをそれぞれの角速度で判断している
が、角加速度等でも判断できる。
【0086】また、例えばステアリング角度の大きさに
よってピッチング又はローリングの制振を選択しても良
い。すなわち、走行中にステアリング角度が大きくなる
とローリングが大きくなるので、ローリングのみの制振
を行なう。ステアリング角度が小さいときはピッチング
が大きくなるので、ピッチングのみの制振を行なうよう
にしても良い。
【0087】以上のようにすると、ピッチング及びロー
リングの大きさに合わせて主にどちらを制振するかをフ
レキシブルに選択できるので、効果的に制振することが
可能となる。また、各プリセッション角度が大きくなっ
た状態でピッチング及びローリングを同時に制振させる
ようなジャイロモーメントを発生させたとき、二つの方
向のモーメントがお互いに干渉し合って制振効果が薄れ
る傾向がある。この場合に、上記のように制振モードを
選択することにより、制振の効果を高められる。
【0088】また、演算装置20はピッチングプリセッ
ション角度θppを許容最大値θppMAX より小さい所定値
と比較し、この所定値より大きいときは許容最大値θpp
MAXに近いと見做し、警報信号を警報器65に出力す
る。同様に、ローリングプリセッション角度θprを許容
最大値θprMAX より小さい所定値と比較し、この所定値
より大きいときは許容最大値θprMAX に近いと見做し、
警報信号を警報器65に出力する。この警報により、オ
ペレータはジャイロモーメントの発生が停止させられる
前にその傾向を知ることができ、現在の振動が増大する
ような操作を予防できる。
【0089】さらに、上記ピッチングプリセッション角
度θpp及びローリングプリセッション角度θprをモニタ
装置66に表示すると、オペレータはどちらのプリセッ
ション角度が許容最大値に近いか判断できる。よって、
上記警報器65の代わりにこの表示を見て、許容最大値
に近いことを判断しても良い。また、プリセッション角
度が許容最大値に近い方の制振に対しては、前述のよう
に手動で制振モード切換スイッチ63を選択して一時的
に制振停止することによって、効果的な制振が可能とな
る。
【0090】また、アクティブ制御以外に前実施例のご
とくパッシブに制御した場合においても、上記制振モー
ドの手動モードでの選択や自動的な切り換えが適用可能
である。図17は、この場合の制御機能ブロック図を示
している。ここでは、これまでの実施例と異なっている
構成について説明する。ピッチングプリセッションブレ
ーキ67p は、ピッチングプリセッション軸Pp 回りの回
転を停止させるためのブレーキであり、演算装置20か
らの回転停止又はブレーキ解除の指令信号によって制御
される。同様に、ローリングプリセッションブレーキ67
r は、ローリングプリセッション軸Pr 回りの回転を停
止させるためのブレーキであり、演算装置20からの回
転停止又はブレーキ解除の指令信号によって制御され
る。
【0091】上記パッシブ制御の場合に、手動モードに
おいて制振モードが選択されたら、制振の対象でないピ
ッチング又はローリングのプリセッション軸はブレーキ
をかけられる。よって、ブレーキをかけられたプリセッ
ション軸は外力に対してプリセッションできないので、
ジャイロモーメントが発生せず、制振作用が一時的に停
止する。また、自動モードにおいても、ピッチングプリ
セッション角速度検出器16p 及びローリングプリセッ
ション角速度検出器16r から、それぞれピッチング及
びローリングに対する角速度を入力し、この大きさに基
づいてどちらを主に制振するかを判断できる。また、各
プリセッション角度が許容最大値に近くなったときに、
警報器65又はモニタ装置66にそれぞれ警報信号又は
アラーム表示信号を出力することもできる。さらに、各
プリセッション角度をモニタ装置66に表示してもよ
い。
【0092】尚、本実施例の説明はジャイロスタビライ
ザを1個設けた場合について行ったが、複数個を設けて
も良い。このときの作用及び効果は、変わらない。
【0093】
【発明の効果】ジャイロスタビライザ装置を車体上に設
け、走行作業車両のピッチングにより生じる外力のモー
メントと逆方向に、及びローリングにより生じる外力の
モーメントと逆方向にそれぞれジャイロモーメントをパ
ッシブに発生させるようにしたので、それぞれのジャイ
ロモーメントがピッチング及びローリングを抑えられ
る。この結果、車体の安定性を増大できるので、高速走
行時にも安定して走行でき、また乗り心地を改善でき
る。
【0094】複数個のジャイロスタビライザ装置を配置
するとき、この内の少なくとも一個以上のジャイロスタ
ビライザ装置の回転体の自転方向を他と反対にすると、
それぞれのジャイロモーメントのヨーイング方向の成分
がお互いに打ち消し合う。よって、ピッチングを制振す
る方向のそれぞれのモーメントを合成したモーメント及
びローリングを制振する方向のそれぞれのモーメントを
合成したモーメントだけが作用し、ピッチング及びロー
リングの効果的な制振が可能となる。
【0095】また、ジャイロスタビライザ装置のピッチ
ングプリセッション軸を駆動モータで回転させ、これに
よりジャイロモーメントをアクティブに発生させてピッ
チングを制振させることができる。同様にローリングプ
リセッション軸を駆動モータで回転させ、これによりジ
ャイロモーメントをアクティブに発生させてローリング
を制振させることができる。このときは、ピッチング及
びローリングに対するそれぞれの角度、角速度及び角加
速度等が所定の制御目標値になるように、各プリセッシ
ョン軸角速度を制御して最適なジャイロモーメントを発
生できるので、ピッチング及びローリングをより効果的
に制振することができる。
【0096】ピッチング及びローリングの大きさに合わ
せて主にどちらを制振するかをフレキシブルに選択でき
るので、効果的に制振することが可能となる。また、各
プリセッション角度が大きくなった状態のときに、ピッ
チング及びローリングの内で主に制振したい方を選択で
きるので、二つの方向のジャイロモーメントがお互いに
干渉し合って制振効果が薄れることを防止でき、制振の
効果を高められる。
【0097】各プリセッション軸角速度を制御する際、
各プリセッション角度が所定の許容最大値以上になった
ら、この角速度制御を停止する。これにより、作業中に
ヨーイング方向のジャイロモーメントによって車体の振
動を適切に制御できなくなるような危険性が無くなる。
また、各プリセッション角度が上記許容最大値より小さ
い所定値を越えたときは、許容最大値に近いと判断して
警報器やモニタ表示装置によってオペレータに知らせる
ので、プリセッション角度が増大するような無理な操作
を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる第一実施例のジャイロスタビラ
イザ装置が取着された走行作業車両の側面図である。
【図2】本発明に係わる第一実施例のジャイロスタビラ
イザ装置が取着された走行作業車両の平面図である。
【図3】本発明に係わる第一実施例のジャイロスタビラ
イザ装置の説明図である。
【図4】本発明に係わる第二実施例のジャイロスタビラ
イザ装置が取着された走行作業車両の平面図である。
【図5】本発明に係わる第二実施例のジャイロスタビラ
イザ装置の説明図である。
【図6】本発明に係わる第三実施例のジャイロスタビラ
イザ装置の説明図である。
【図7】本発明に係わる第三実施例のプリセッション軸
制御機能ブロック図である。
【図8】本発明に係わる第三実施例の油圧モータによる
プリセッション軸制御回路ブロック図である。
【図9】本発明に係わる第三実施例のプリセッション軸
制御フローチャートである。
【図10】本発明に係わる第三実施例の電動モータによ
るプリセッション軸制御回路ブロック図である。
【図11】本発明に係わる第三実施例の他の例の油圧モ
ータによるプリセッション軸制御回路ブロック図であ
る。
【図12】本発明に係わる第三実施例の他の例のプリセ
ッション軸制御フローチャートである。
【図13】本発明に係わる第三実施例の他の例の電動モ
ータによるプリセッション軸制御回路ブロック図であ
る。
【図14】本発明に係わる第三実施例の二番目の例のプ
リセッション軸制御機能ブロック図である。
【図15】本発明に係わる第三実施例の三番目の例のプ
リセッション軸制御機能ブロック図である。
【図16】本発明に係わる第四実施例のプリセッション
軸制御機能ブロック図である。
【図17】本発明に係わる第四実施例の他の例のプリセ
ッション軸制御機能ブロック図である。
【図18】従来の走行作業車両の説明図である。
【符号の説明】
1…走行作業車両、2…車体、3…車輪、5…アーム、
6…バケット、10…ジャイロスタビライザ、11…回
転体、12…ジャイロスタビライザ駆動モータ、13…
ジャイロスタビライザ支持部材、14p …ピッチングプ
リセッション軸駆動モータ、14r …ローリングプリセ
ッション軸駆動モータ、14pa…ピッチングプリセッシ
ョン軸駆動油圧モータ、14pb…ピッチングプリセッシ
ョン軸駆動電動モータ、15p …ピッチングプリセッシ
ョン角度検出器、15r …ローリングプリセッション角
度検出器、16p …ピッチング角速度検出器、16r …
ローリング角速度検出器、17p …ピッチング角度検出
器、17r …ローリング角度検出器、18p …ピッチン
グ角加速度検出器、18r …ローリング角加速度検出
器、19…回転速度検出器、20…演算装置、21…C
PU、22…ROM、23…RAM、24…A/D、2
5…A/D、26…出力レジスタ、27…バス、28…
D/A、30p 、30r …モータ駆動装置、31…方向
切換弁、32…直流モータ駆動アンプ、33…油圧ポン
プ、34…タンク、35…管路、36…管路、37…流
量制御サーボ弁、38…サーボアンプ、39…サーボア
ンプ、60…ピッチング用バネ及びダンピング要素、6
1…ローリング用バネ及びダンピング要素、62…自動
/手動切換スイッチ、63…制振モード切換スイッチ、
65…警報器、66…モニタ装置、 67p …ピッチン
グプリセッションブレーキ、67r …ローリングプリセ
ッションブレーキJ…ジャイロ軸、P…ピッチング軸、
R…ローリング軸、Pp …ピッチングプリセッション
軸、Pr …ローリングプリセッション軸、B…ピッチン
グ方向、C…ローリング方向、Mp …ピッチングモーメ
ント、Mr …ローリングモーメント、M'Jp 、MJp…対
ピッチングジャイロモーメント、M'Jr 、MJr…対ロー
リングジャイロモーメント、M'Jp1、MJp1 、M'Jp2、
MJp2 …対ピッチングジャイロモーメント、M'Jr1、M
Jr1 、M'Jr2、MJr2 …対ローリングジャイロモーメン
ト、θqp…ピッチング角、ωqp…ピッチング角速度、α
qp…ピッチング角加速度、θpp…ピッチングプリセッシ
ョン角、ωpp…ピッチングプリセッション角速度、θqr
…ローリング角、ωqr…ローリング角速度、αqr…ロー
リング角加速度、θpr…ローリングプリセッション角、
ωpr…ローリングプリセッション角速度、ωk …回転体
回転角速度

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体(2) 上に取着された作業機を有し、
    車体(2) に装着された車輪(3) により走行可能な走行作
    業車両(1) において、 ジャイロ軸(J) 回りに高速回転している回転体(11)と、 回転体(11)のジャイロ軸(J) に直交してお互いに直交す
    るピッチングプリセッション軸(Pp)及びローリングプリ
    セッション軸(Pr)の回りに回転体(11)を揺動自在に支持
    すると共に、ジャイロ軸(J) が鉛直線と平行で、かつピ
    ッチングプリセッション軸(Pp)が車体(2) の前後方向と
    平行になるように車体(2) 上に取着された支持部材(13)
    とを備え、車体(2) のピッチング及びローリングを制振
    するジャイロモーメントを発生するジャイロスタビライ
    ザ(10)を設けたことを特徴とする走行作業車両の制振装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記ジャイロスタビライザ(10)は少なくとも2個以上設
    け、その中の少なくとも1個のジャイロスタビライザ(1
    0)の回転体(11)は、ジャイロ軸(J) 回りの回転方向を他
    の回転体(11)と反対方向に回転させることを特徴とする
    走行作業車両の制振装置。
  3. 【請求項3】 前記ジャイロスタビライザ(10)の支持部
    材(13)に取着され、ピッチング角速度を検出するピッチ
    ング角速度検出器(16p) と、 ジャイロスタビライザ(10)の支持部材(13)に取着され、
    ローリング角速度を検出するローリング角速度検出器(1
    6r) と、 ピッチング角速度検出器(16p) が検出したピッチング角
    速度とローリング角速度検出器(16r) が検出したローリ
    ング角速度とを入力し、このピッチング角速度、ピッチ
    ング角速度の微分値及びピッチング角速度の積分値の内
    の少なくとも一つ以上から求められるピッチングプリセ
    ッション軸回転角速度の指令値を演算し、また前記ロー
    リング角速度、ローリング角速度の微分値及びローリン
    グ角速度の積分値の内の少なくとも一つ以上から求めら
    れるローリングプリセッション軸回転角速度の指令値を
    演算し、この演算された値のピッチングプリセッション
    軸回転角速度指令及びローリングプリセッション軸回転
    角速度指令を出力する演算装置(20)と、 このピッチングプリセッション軸回転角速度指令に基づ
    いて、動力信号を出力するモータ駆動装置(30p) と、 モータ駆動装置(30p) からの動力信号によってピッチン
    グプリセッション軸(Pp)の回りに回転体(11)を回転させ
    るピッチングプリセッション軸駆動モータ(14p) と、 前記ローリングプリセッション軸回転角速度指令に基づ
    いて、動力信号を出力するモータ駆動装置(30r) と、 モータ駆動装置(30r) からの動力信号によってローリン
    グプリセッション軸(Pr)の回りに回転体(11)を回転させ
    るローリングプリセッション軸駆動モータ(14r) とを付
    設したことを特徴とする請求項1又は2記載の走行作業
    車両の制振装置。
  4. 【請求項4】 ピッチングプリセッション軸(Pp)の回転
    によるピッチング制振及びローリングプリセッション軸
    (Pr)の回転によるローリング制振の少なくとも一方を可
    能とするか否かを選択する制振モード切換スイッチ(63)
    と、 ブレーキ指令又は解除指令の入力によってピッチングプ
    リセッション軸(Pp)をそれぞれ回転停止又は回転可能に
    させるピッチングプリセッションブレーキ(67p) と、 ブレーキ指令又は解除指令の入力によってローリングプ
    リセッション軸(Pr)をそれぞれ回転停止又は回転可能に
    させるローリングプリセッションブレーキ(67r) と、 制振モード切換スイッチ(63)から選択信号を入力し、こ
    の選択信号に基づいて制振を可能と選択された方のピッ
    チングプリセッションブレーキ(67p) 又はローリングプ
    リセッションブレーキ(67r) に解除指令を出力する演算
    装置(20)とを付設したことを特徴とする請求項1又は2
    記載の走行作業車両の制振装置。
  5. 【請求項5】 ピッチングプリセッション軸(Pp)の回転
    によるピッチング制振及びローリングプリセッション軸
    (Pr)の回転によるローリング制振の少なくとも一方を可
    能とするか否かを選択する制振モード切換スイッチ(63)
    と、 ブレーキ指令又は解除指令の入力によってピッチングプ
    リセッション軸(Pp)をそれぞれ回転停止又は回転可能に
    させるピッチングプリセッションブレーキ(67p) と、 ブレーキ指令又は解除指令の入力によってローリングプ
    リセッション軸(Pr)をそれぞれ回転停止又は回転可能に
    させるローリングプリセッションブレーキ(67r) と、 制振モード切換スイッチ(63)から選択信号を入力し、こ
    の選択信号に基づいて制振を可能と選択された方のピッ
    チングプリセッションブレーキ(67p) 又はローリングプ
    リセッションブレーキ(67r) に解除指令を出力する演算
    装置(20)とを備えたことを特徴とする請求項3記載の走
    行作業車両の制振装置。
  6. 【請求項6】 ピッチングプリセッション軸(Pp)の回転
    によるピッチング制振及びローリングプリセッション軸
    (Pr)の回転によるローリング制振の少なくとも一方を可
    能とするか否かを選択する制振モード切換スイッチ(63)
    と、 この選択信号を入力し、選択信号に基づいて制振を可能
    と選択された方の前記ピッチングプリセッション軸回転
    角速度指令又はローリングプリセッション軸回転角速度
    指令を出力する演算装置(20)とを備えたことを特徴とす
    る請求項3記載の走行作業車両の制振装置。
  7. 【請求項7】 前記ピッチング角速度検出器(16p) が検
    出したピッチング角速度と前記ローリング角速度検出器
    (16r) が検出したローリング角速度とを入力し、このピ
    ッチング角速度、ピッチング角速度の微分値(角加速
    度)、ピッチング角速度の積分値(角度)、ローリング
    角速度、ローリング角速度の微分値(角加速度)及びロ
    ーリング角速度の積分値(角度)の少なくともいずれか
    一つの大きさに基づいて、前記ピッチングプリセッショ
    ン軸回転角速度指令又はローリングプリセッション軸回
    転角速度指令を出力するか否か、あるいは、前記ピッチ
    ングプリセッションブレーキ(67p) 又はローリングプリ
    セッションブレーキ(67r)に解除指令を出力するか否か
    を判断してこれを出力する演算装置(20)を備えたことを
    特徴とする請求項3、5又は6記載の走行作業車両の制
    振装置。
  8. 【請求項8】 前記ジャイロスタビライザ(10)の支持部
    材(13)に取着され、ピッチング角速度を検出するピッチ
    ング角速度検出器(16p) と、 ジャイロスタビライザ(10)の支持部材(13)に取着され、
    ローリング角速度を検出するローリング角速度検出器(1
    6r) と、 ピッチング角速度検出器(16p) が検出したピッチング角
    速度とローリング角速度検出器(16r) が検出したローリ
    ング角速度とを入力し、このピッチング角速度、ピッチ
    ング角速度の微分値(角加速度)、ピッチング角速度の
    積分値(角度)、ローリング角速度、ローリング角速度
    の微分値(角加速度)及びローリング角速度の積分値
    (角度)の内の少なくとも一つ以上から求められるピッ
    チングプリセッション軸回転角速度の指令値を演算し、
    また前記ローリング角速度、ローリング角速度の微分値
    及びローリング角速度の積分値このピッチング角速度、
    ピッチング角速度の微分値(角加速度)、ローリング角
    速度及びローリング角速度の微分値(角加速度)の少な
    くともいずれか一つの大きさに基づいて、前記ピッチン
    グプリセッションブレーキ(67p) 又はローリングプリセ
    ッションブレーキ(67r) に解除指令を出力するか否かを
    判断してこれを出力する演算装置(20)とを備えたことを
    特徴とする請求項4記載の走行作業車両の制振装置。
  9. 【請求項9】 前記回転体(11)のピッチングプリセッシ
    ョン軸(Pp)回りの回転角度を検出するピッチングプリセ
    ッション角度検出器(15p) と、 回転体(11)のローリングプリセッション軸(Pr)回りの回
    転角度を検出するローリングプリセッション角度検出器
    (15r) と、 このピッチングプリセッション角度とこのローリングプ
    リセッション角度とを入力し、ピッチングプリセッショ
    ン角度が予め設定された所定値より大きいとき、または
    ローリングプリセッション角度が予め設定された所定値
    より大きいときの少なくともいずれか一方のときに、警
    報信号又は/及び表示信号を出力する演算装置(20)とを
    備えたことを特徴とする請求項1から8のいずれか一つ
    に記載の走行作業車両の制振装置。
  10. 【請求項10】 前記ピッチングプリセッション角度及
    びローリングプリセッション角度を表示できるモニタ装
    置(66)を付設したことを特徴とする請求項9記載の走行
    作業車両の制振装置。
JP12729595A 1995-04-27 1995-04-27 走行作業車両の制振装置 Pending JPH08297027A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12729595A JPH08297027A (ja) 1995-04-27 1995-04-27 走行作業車両の制振装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12729595A JPH08297027A (ja) 1995-04-27 1995-04-27 走行作業車両の制振装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08297027A true JPH08297027A (ja) 1996-11-12

Family

ID=14956434

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12729595A Pending JPH08297027A (ja) 1995-04-27 1995-04-27 走行作業車両の制振装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08297027A (ja)

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007022575A1 (en) * 2005-08-22 2007-03-01 Technology Investment Company Pty Ltd Stabilising means
WO2008072542A1 (ja) * 2006-12-12 2008-06-19 Yoshihiro Suda 姿勢制御装置
AU2006284523B2 (en) * 2005-08-22 2010-08-05 Veem Limited Stabilising means
US8214107B2 (en) 2008-04-02 2012-07-03 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Vehicle behavior control apparatus and control method
CN102785713A (zh) * 2011-05-17 2012-11-21 株式会社捷太格特 车辆防倾翻设备
JP2013519887A (ja) * 2010-02-17 2013-05-30 ヴィーム リミテッド 障害耐容船舶スタビライザー制御システム
JP2013522108A (ja) * 2010-03-16 2013-06-13 リット モーターズ コーポレイション ジャイロ安定化車両
WO2014007162A1 (ja) * 2012-07-03 2014-01-09 国立大学法人 東京大学 鉄道車両用台車
KR101517728B1 (ko) * 2014-03-31 2015-05-15 동양하이테크산업주식회사 진동 및 롤/피치 교정이 가능한 녹조 발생 감시 장치
WO2015131192A1 (en) * 2014-02-28 2015-09-03 Horizon Hobby, LLC Systems and methods for causing a rotational force to be applied to a vehicle
WO2016045891A1 (de) * 2014-09-22 2016-03-31 Zf Friedrichshafen Ag Gyroskopischer fahrzeugstabilisator
CN106800049A (zh) * 2017-02-20 2017-06-06 戴亦飞 自平衡的两轮电动车
CN110422574A (zh) * 2019-06-10 2019-11-08 河南黄河河务局焦作黄河河务局 斜坡料物运输自平衡小车及其自平衡运输系统

Cited By (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2006284523B2 (en) * 2005-08-22 2010-08-05 Veem Limited Stabilising means
US8555734B2 (en) 2005-08-22 2013-10-15 Technology Investment Company Pty Ltd Stabilising means
WO2007022575A1 (en) * 2005-08-22 2007-03-01 Technology Investment Company Pty Ltd Stabilising means
JP2009504506A (ja) * 2005-08-22 2009-02-05 テクノロジー インベストメント カンパニー ピーティーワイ リミテッド 安定化手段
EP2103471A1 (en) * 2006-12-12 2009-09-23 Suda, Yoshihiro Attitude control device
EP2103471A4 (en) * 2006-12-12 2010-04-21 Suda Yoshihiro Position control DEVICE
WO2008072542A1 (ja) * 2006-12-12 2008-06-19 Yoshihiro Suda 姿勢制御装置
US20110016996A1 (en) * 2006-12-12 2011-01-27 Yoshihiro Suda Attitude control device
JP2008143390A (ja) * 2006-12-12 2008-06-26 Yoshihiro Suda 姿勢制御装置
US8973450B2 (en) 2006-12-12 2015-03-10 Yoshihiro Suda Attitude control device
US8214107B2 (en) 2008-04-02 2012-07-03 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Vehicle behavior control apparatus and control method
JP2013519887A (ja) * 2010-02-17 2013-05-30 ヴィーム リミテッド 障害耐容船舶スタビライザー制御システム
JP2013519886A (ja) * 2010-02-17 2013-05-30 ヴィーム リミテッド 能動適応ジャイロスタビライザー制御システム
JP2013522108A (ja) * 2010-03-16 2013-06-13 リット モーターズ コーポレイション ジャイロ安定化車両
JP2012240466A (ja) * 2011-05-17 2012-12-10 Jtekt Corp 車両横転防止装置
CN102785713A (zh) * 2011-05-17 2012-11-21 株式会社捷太格特 车辆防倾翻设备
WO2014007162A1 (ja) * 2012-07-03 2014-01-09 国立大学法人 東京大学 鉄道車両用台車
JP2014008941A (ja) * 2012-07-03 2014-01-20 Univ Of Tokyo 鉄道車両用台車
WO2015131192A1 (en) * 2014-02-28 2015-09-03 Horizon Hobby, LLC Systems and methods for causing a rotational force to be applied to a vehicle
KR101517728B1 (ko) * 2014-03-31 2015-05-15 동양하이테크산업주식회사 진동 및 롤/피치 교정이 가능한 녹조 발생 감시 장치
WO2016045891A1 (de) * 2014-09-22 2016-03-31 Zf Friedrichshafen Ag Gyroskopischer fahrzeugstabilisator
CN106800049A (zh) * 2017-02-20 2017-06-06 戴亦飞 自平衡的两轮电动车
CN110422574A (zh) * 2019-06-10 2019-11-08 河南黄河河务局焦作黄河河务局 斜坡料物运输自平衡小车及其自平衡运输系统

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH08297027A (ja) 走行作業車両の制振装置
CN100530018C (zh) 移动台车的控制方法及移动台车
US3373832A (en) Gyro vehicle
JP5324874B2 (ja) 建設機械の自動レベリング制御システムとその制御方法
JPH08297026A (ja) 上部旋回式建設機械のピッチング制振装置
US20220154426A1 (en) Excavator
JP2004338507A (ja) 自動二輪車
US20040006408A1 (en) Method of controlling table angle of transport robot
JP2012179960A (ja) 作業車両
JP3159057B2 (ja) 産業車両の制御装置
JPH08302750A (ja) 上部旋回式建設機械の旋回装置
JPH0713625A (ja) 作業車の操向制御装置
JPH07276958A (ja) 車両の姿勢制御方法及び装置
JP3159056B2 (ja) 産業車両の制御装置
JP2005271815A (ja) 自律走行型二輪車および自律制御方法
JP2005263392A (ja) フォークリフト
JPH0418165B2 (ja)
JPH11291931A (ja) クローラ式建設機械の操向制御装置及びその制御方法
JPH03262769A (ja) 舵取用走行車輪の自動舵取制御装置
JP3164009B2 (ja) 産業車両の制御装置
JP3249105B2 (ja) 横行システムを持った作業車両
JP2002356879A (ja) 作業機械
JP2022149934A (ja) 建設機械
JPS62146775A (ja) 車両の4輪操舵装置
JP2002362889A (ja) 横行システムを持った作業車両