JPH11291931A - クローラ式建設機械の操向制御装置及びその制御方法 - Google Patents

クローラ式建設機械の操向制御装置及びその制御方法

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JPH11291931A
JPH11291931A JP11610198A JP11610198A JPH11291931A JP H11291931 A JPH11291931 A JP H11291931A JP 11610198 A JP11610198 A JP 11610198A JP 11610198 A JP11610198 A JP 11610198A JP H11291931 A JPH11291931 A JP H11291931A
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JP
Japan
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steering
crawler
construction machine
type construction
rotation speed
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JP11610198A
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Inventor
Shigenori Matsushita
重則 松下
Kazutoshi Hori
一俊 堀
Haruhiro Tsubota
晴弘 坪田
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Komatsu Ltd
Original Assignee
Komatsu Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速走行時でも安全に、かつ、滑らかなステ
アリング感覚で操向操作可能とし、またクローラ装置の
摩耗を低減する。 【解決手段】 アーティキュレートステアリング機構を
有する車体2の前後にそれぞれ左右1対ずつのクローラ
装置を有するクローラ式建設機械において、操向量の大
きさに応じて前記アーティキュレートステアリング機構
を駆動する操向と、前記左右のクローラ装置の回転数を
操向量に応じた所定の回転数比に制御する操向とを併用
する。操向操作量が所定値より大きくなった時に併用し
てもよい。油圧モータで各クローラ装置を回転させる場
合には、右側及び左側のクローラ装置の油圧モータをそ
れぞれ制御する右用及び左用の油圧ポンプの内、一方か
ら他方に圧油を応援し、また、右側及び左側の油圧モー
タが前記所定の回転数比で回転し、かつ、前後で回転数
が同期するようにデフロックを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両前後にそれぞ
れ左右1対ずつのクローラ装置を備えて走行可能とした
クローラ式建設機械の操向性の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、クローラ式車両には、幾つかの操
向方式が採用されている。一般的に、ホイール式走行装
置を有する車両では、アッカーマンステアリング、アー
ティキュレートステアリング、またはスキッドステアリ
ングが広く採用されており、また、クローラ装置を有し
て走行自在とした建設機械(以後、クローラ式建設機械
と呼ぶ)等では、スキッドステアリングによるものが多
い。
【0003】クローラ式建設機械のスキッドステアリン
グによる操向装置としては、例えば、特開平6−239
270号公報により開示されたものが知られている。同
公報に開示された無限軌道車(つまり、クローラ式車
両)は、車体の前後に左右1対ずつのクローラ装置を備
えており、前クローラ装置はステアリングホイル(いわ
ゆるハンドル)で操向作動される。また、車体の下側に
は横軸構造のミッションケースが設けてあり、このミッ
ションケースを介してエンジンの動力が前クローラ装置
及び後クローラ装置に同期して伝達されると共に、ミッ
ションケース内に装備された油圧無断変速機により車両
の前後進切換及び速度設定が行われている。そして、前
記ステアリングホイルによる前クローラ装置の操向作動
に関連して、前クローラ装置が設定角度を越えて操向さ
れたときに、ミッションケース内に設けられているサイ
ドクラッチ及びブレーキの内、操向内輪側のサイドクラ
ッチが「断」作動され、かつ、同側のブレーキが制動さ
れるように構成されている。このように、操向内輪側の
クローラ装置の回転が停止して、スキッドステアリング
による操向が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、クロー
ラ式建設機械において、特開平6−239270号公報
により開示されたような従来のスキッドステアリングを
行うと、内輪側のクローラ装置の回転が停止して、高速
走行時にはオーバーステアリング(操舵角が大き過ぎる
状態)になり易く、これにより車両の横滑り等が発生す
る危険性がある。また、スキッドステアリングによりク
ローラ装置が常に横滑りすることになり、クローラ装置
の摩耗が早くなる。このために、クローラ装置の定期点
検や部品交換を頻繁に行わなければならないので、保守
費用がかかるという問題もある。さらに、ステアリング
ホイルの操作角度(回転角度)とこのときのスキッドス
テアリングによる操舵角度との関係が滑らかに変化する
ように調整するのが非常に困難であり、操舵角度が断続
的に変化する。したがって、滑らかなステアリング操作
感覚とならない。
【0005】一方、クローラ式建設機械において、ホイ
ール式走行装置を有する車両と同様の操向方式を採用す
ることも考えられる。しかしながら、例えばアーティキ
ュレートステアリングでは、車両重量が大きい場合には
機構的に切れ角(最大操向角)が大きくとれないので、
車両の操向半径(いわゆる車両旋回半径)が大きくな
り、作業能率が低下するという問題が生じる。
【0006】本発明は、上記の問題点に着目してなされ
たものであり、高速走行時でも安全に、かつ、滑らかな
ステアリング感覚で操向操作でき、またクローラ装置の
摩耗を低減できるクローラ式建設機械の操向制御装置及
びその制御方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】上記の目
的を達成するために、請求項1に記載の発明は、アーテ
ィキュレートステアリング機構を有する車体2の前後に
それぞれ左右1対ずつのクローラ装置を備え、操向操作
量の大きさに応じて前記アーティキュレートステアリン
グ機構を駆動して操向を制御するクローラ式建設機械の
操向制御方法において、アーティキュレートステアリン
グによる操向と、前記左右のクローラ装置の回転数を操
向操作量に応じた所定の回転数比に制御する操向とを併
用する方法としている。
【0008】請求項1に記載の発明によると、本クロー
ラ式建設機械はアーティキュレートステアリングによる
操向を行うので、高速走行中に操向しても、従来のスキ
ッドステアリングに比べて滑らかに操向できるようにな
る。しかも、左右のクローラ装置の回転数を操向操作量
に応じた所定の回転数比に制御する操向を併用している
ので、アーティキュレートステアリング機構の操向角が
大きくとれなくても、左右クローラ装置の回転数差によ
って操向半径を小さくすることができる。したがって、
小回り性が良く、高速走行中でも安定した滑らかな操向
が可能となる。また、クローラ装置が横滑りしなくなる
ので、クローラ装置の摩耗が減少して寿命が長くなり、
保守費用が低減する。
【0009】請求項2に記載の発明は、請求項1記載の
クローラ式建設機械の操向制御方法において、操向操作
量が所定値以下の時には、前記アーティキュレートステ
アリングにより操向を行い、操向操作量が所定値より大
きくなった時には、さらに、前記左右のクローラ装置の
回転数を操向操作量に応じた所定の回転数比に制御する
操向を併用する方法としている。
【0010】請求項2に記載の発明によると、ハンドル
などによる操向の操作量(操向量)が所定値以下で小さ
いときは、アーティキュレートステアリングにより操向
が行われるので、高速走行中に操向されても、従来のス
キッドステアリングに比べて滑らかなステアリングとな
る。また、操向量が所定値より大きくなった時、つまり
小回りしたい時には、上記のアーティキュレートステア
リングと併用して、さらに、左右のクローラ装置の回転
数を操向量に応じた所定の回転数比になるように制御す
る操向が行われる。これにより、操向量が大きくなって
も滑らかなステアリングが可能になると共に、アーティ
キュレートステアリングのみによる操向に比べて非常に
操向半径を小さくできる。したがって、操向量に対応し
た滑らかなステアリング操作感覚が得られると共に、高
速走行中でも安全性が高く、小回り性が良好な操向が可
能となる。また、クローラ装置が横滑りしなくなるの
で、クローラ装置の摩耗が減少して寿命が長くなり、保
守費用が低減する。
【0011】請求項3に記載の発明は、アーティキュレ
ートステアリング機構を有する車体2の前後にそれぞれ
油圧モータで回転駆動される左右1対ずつのクローラ装
置を備え、操向操作量の大きさに応じて前記アーティキ
ュレートステアリング機構を駆動して操向を制御するク
ローラ式建設機械の操向制御方法において、アーティキ
ュレートステアリングにより操向を行う時に、右側の各
クローラ装置の油圧モータの回転数を制御する右用可変
容量ポンプ76a、及び左側の各クローラ装置の油圧モ
ータの回転数を制御する左用可変容量ポンプ76bの
内、一方のポンプから他方のポンプに圧油を応援する方
法としている。
【0012】請求項3に記載の発明によると、操向時
に、右用油圧ポンプ及び左用油圧ポンプの内、一方の負
荷圧が高い方(つまり、内輪側)の油圧ポンプから、他
方の負荷圧が低い方(つまり、外輪側)の油圧ポンプに
圧油が応援される。これによって、外輪側と内輪側の油
圧モータの回転数差が自動的に発生するので、容易に、
かつ、滑らかに操向を行うことができるようになる。し
たがって、クローラ式建設機械において、操向操作性が
向上し、また、クローラ装置が横滑りしなくなるので、
クローラ装置の摩耗が減少して寿命が長くなる。
【0013】請求項4に記載の発明は、アーティキュレ
ートステアリング機構を有する車体2の前後にそれぞれ
油圧モータで回転駆動される左右1対ずつのクローラ装
置を備え、操向操作量の大きさに応じて前記アーティキ
ュレートステアリング機構を駆動して操向を制御するク
ローラ式建設機械の操向制御方法において、操向操作量
が所定値以下の時には、アーティキュレートステアリン
グにより操向を行うと共に、右側の各クローラ装置の油
圧モータの回転数を制御する右用可変容量ポンプ76
a、及び左側の各クローラ装置の油圧モータの回転数を
制御する左用可変容量ポンプ76bの内、一方のポンプ
から他方のポンプに圧油を応援し、操向操作量が所定値
より大きくなった時には、さらに、前記左右の油圧モー
タの回転数が操向操作量に応じた所定の回転数比になる
ように、右用可変容量ポンプ76a及び左用可変容量ポ
ンプ76bの内、前記応援されている方のポンプの吐出
量を増加させるか、及び/又は、前記応援している方の
ポンプの吐出量を減少させるかして操向する方法として
いる。
【0014】請求項4に記載の発明によると、各クロー
ラ装置を油圧モータで駆動する場合に、操向時には、左
右のクローラ装置の内輪側の油圧モータは負荷が大きく
なって負荷圧が高くなり、外輪側の油圧モータは内輪側
より負荷が小さく負荷圧が低くなる。この状態で、操向
量が所定値以下の時に、左右の各油圧モータの回転数を
制御する右用油圧ポンプ及び左用油圧ポンプの内、前記
負荷圧が高い方(つまり、内輪側)の油圧ポンプから負
荷圧が低い方(つまり、外輪側)に圧油が応援される。
これによって、内輪側と外輪側の油圧モータの回転数に
差が生じ、外輪側の回転数が大きくなるので、アーティ
キュレートステアリング機構による操向時に、滑らかな
ステアリングが可能となる。したがって、走行抵抗等の
変動に影響を受けずに安定して操向が可能となる。ま
た、操向量が所定値より大きくなった時、つまり小回り
したい時には、上記のアーティキュレートステアリング
と併用して、さらに、左右のクローラ装置の回転数を操
向量に応じた所定の回転数比になるように前記油圧ポン
プの吐出量を制御して操向する。この結果、さらに滑ら
かなステアリング操作感覚が得られ、高速時の安全性、
小回り性及びクローラ装置の寿命が向上する。
【0015】請求項5に記載の発明は、前後が水平方向
に屈折自在に連結されたアーティキュレートステアリン
グ機構を有する車体2と、車体2の前後にそれぞれ左右
1対ずつ回転自在に取着されたクローラ装置とを備えた
クローラ式建設機械の操向制御装置において、操向を操
作するための操向操作手段9と、操向操作手段9の操向
量を検出する操向量検出手段51と、操向量検出手段5
1により検出された操向量に応じて、アーティキュレー
トステアリング機構の操向角αを制御する操向角指令を
出力する操向角指令手段41と、この操向角指令に基づ
いてアーティキュレートステアリング機構を駆動する操
向駆動手段39と、予め記憶してある前記操向量と前記
左右のクローラ装置の回転数比との関係を表わすデータ
に基づいて、前記操向量検出手段51により検出された
操向量から前記回転数比を演算する回転数比演算手段4
5と、前記操向駆動手段39でアーティキュレートステ
アリングによる操向を行っている時に、前記回転数比演
算手段45により演算された回転数比に基づいて左右の
クローラ装置の回転数指令を演算し出力する走行指令算
出手段46と、前記回転数指令を受け、この指令の大き
さに応じて前記右側のクローラ装置及び左側のクローラ
装置の回転数をそれぞれ制御する右モータ駆動手段56
a及び左モータ駆動手段56bとを備えた構成としてい
る。
【0016】請求項5に記載の発明によると、操向操作
手段(ハンドルなど)による操向量を操向量検出手段で
検出し、操向角指令手段はこの操向量に応じた操向角指
令を操向駆動手段に出力し、これにより、アーティキュ
レートステアリングによる操向が操向量に応じて行われ
る。よって、クローラ式建設機械において、高速走行中
でも、従来のスキッドステアリングに比べて滑らかに操
向が行われる。また、前記操向量に対応した左右のクロ
ーラ装置の回転数比が演算され、この演算された回転数
比に基づいて左右のクローラ装置の回転数が制御され
る。これにより、上記のアーティキュレートステアリン
グと併用して、さらに、左右のクローラ装置が操向量に
応じた所定の回転数比で回転することにより操向が行わ
れる。したがって、アーティキュレートステアリング機
構による操向角が大きくとれなくとも、左右クローラ装
置間の回転数比を制御することにより、操向半径を小さ
くすることができ、また滑らかなステアリングが可能と
なる。この結果、操向量に対応した滑らかなステアリン
グ操作感覚が得られると共に、高速時でも安全性が高
く、小回り性が良好な操向ができるようになる。また、
クローラ装置が横滑りしなくなるので、クローラ装置の
摩耗が減少して寿命が長くなり、保守費用が低減する。
【0017】請求項6に記載の発明は、請求項5記載の
クローラ式建設機械の操向制御装置において、前記走行
指令算出手段46は、操向量が所定値より大きい場合
に、前記操向駆動手段39でアーティキュレートステア
リングによる操向を行っている時に、前記演算された回
転数比に基づいて左右のクローラ装置の回転数指令を演
算し出力するようにする。
【0018】請求項6に記載の発明によると、操向操作
手段(ハンドルなど)による操向量を操向量検出手段で
検出し、操向角指令手段はこの操向量に応じた操向角指
令を操向駆動手段に出力し、これにより、アーティキュ
レートステアリングによる操向が操向量に応じて行われ
る。よって、クローラ式建設機械において、高速走行中
に操向が行われても、従来のスキッドステアリングに比
べて滑らかなステアリングとなる。そして、前記操向量
が所定値より大きくなった時、つまり小回りしたい時に
は、この操向量に対応した左右のクローラ装置の回転数
比が演算され、この演算された回転数比に基づいて左右
のクローラ装置の回転数が制御される。したがって、上
記のアーティキュレートステアリングと併用して、さら
に、左右クローラ装置の回転数を操向量に応じた所定の
回転数比になるように制御する操向が行われる。これに
よって、アーティキュレートステアリングのみによる操
向の場合に比べて、より小さい操向半径でも滑らかなス
テアリングが可能となる。この結果、操向量に対応した
滑らかなステアリング操作感覚が得られると共に、高速
時でも安全性が高く、小回り性が良好な操向ができるよ
うになる。また、クローラ装置が横滑りしなくなるの
で、クローラ装置の摩耗が減少して寿命が長くなり、保
守費用が低減する。
【0019】請求項7に記載の発明は、請求項5記載の
クローラ式建設機械の操向制御装置において、 前記各
クローラ装置を回転駆動するクローラモータが油圧モー
タであり、前記右モータ駆動手段56a及び左モータ駆
動手段56bが、それぞれ、右側及び左側の各クローラ
モータに前記回転数指令に応じた流量の圧油を供給する
右用可変容量ポンプ76a及び左用可変容量ポンプ76
bを有し、この右用可変容量ポンプ76a及び左用可変
容量ポンプ76bから前進時及び後進時に同一方向に圧
油が吐出される管路93,95間、及び管路94,96
間には、それぞれ、一方のポンプから他方のポンプへ圧
油を応援するために前記両管路間を連通させる連通弁8
3,84を設けた構成としている。
【0020】請求項7に記載の発明によると、操向時
に、右用可変容量ポンプ及び左用可変容量ポンプの内、
一方の負荷圧が高い方(つまり、内輪側)の油圧ポンプ
から、他方の負荷圧が低い方(つまり、外輪側)の油圧
ポンプに連通弁を経由して圧油が応援される。これによ
って、外輪側と内輪側の油圧モータの回転数差が自動的
に発生するので、容易に、かつ、滑らかに操向を行うこ
とができるようになり、クローラ式建設機械において操
向操作性が向上する。また、クローラ装置が横滑りしな
くなるので、クローラ装置の摩耗が減少して寿命が長く
なる。
【0021】請求項8に記載の発明は、請求項6記載の
クローラ式建設機械の操向制御装置において、 前記各
クローラ装置を回転駆動するクローラモータが油圧モー
タであり、前記右モータ駆動手段56a及び左モータ駆
動手段56bが、それぞれ、右側及び左側の各クローラ
モータに前記回転数指令に応じた流量の圧油を供給する
右用可変容量ポンプ76a及び左用可変容量ポンプ76
bを有し、この右用可変容量ポンプ76a及び左用可変
容量ポンプ76bから前進時及び後進時に同一方向に圧
油が吐出される管路93,95間、及び管路94,96
間には、それぞれ、一方のポンプから他方のポンプへ圧
油を応援するために前記両管路間を連通させる連通弁8
3,84を設け、かつ、前記走行指令算出手段46は、
前記操向量が所定値より大きい時に、右側及び左側の各
クローラモータが前記算出された回転数比で回転するよ
うに、前記右用可変容量ポンプ76a及び左用可変容量
ポンプ76bの内、前記応援されている方のポンプの吐
出量を増加させるか、及び/又は、前記応援している方
のポンプの吐出量を減少させる回転数指令を出力するよ
うにしている。
【0022】請求項8に記載の発明によると、各クロー
ラ装置を油圧モータで駆動する場合に、操向時には、左
右のクローラ装置の内輪側の油圧モータは負荷が大きく
なって負荷圧が高くなり、外輪側の油圧モータは内輪側
より負荷が小さく負荷圧が低くなる。この状態で、操向
量が所定値以下の時に、左右の各油圧モータの回転数を
それぞれ制御する右用可変容量ポンプ及び左用可変容量
ポンプの内、前記負荷圧が高い方(つまり、内輪側)の
油圧ポンプから負荷圧が低い方(つまり、外輪側)に2
つの連通弁を経由して圧油が応援される。これによっ
て、内輪側と外輪側の油圧モータの回転数に差が生じ、
外輪側の回転数が大きくなるので、アーティキュレート
ステアリングによる操向時に、滑らかなステアリングが
可能となる。したがって、走行抵抗等の変動に影響を受
けずに安定して操向が可能となる。また、操向量が所定
値より大きくなった時、つまり小回りしたい時には、上
記のアーティキュレートステアリングと併用して、さら
に、左右のクローラ装置の回転数を操向量に応じた所定
の回転数比になるように前記油圧ポンプの吐出量を制御
する操向も行われる。この結果、さらに滑らかなステア
リング操作感覚が得られ、高速時の安全性、小回り性及
びクローラ装置の寿命が向上する。
【0023】請求項9に記載の発明は、請求項5,6,
7又は8記載のクローラ式建設機械の操向制御装置にお
いて、前記クローラ式建設機械が、前記車体2上に排土
のために傾動可能に取着された荷台32を備えたクロー
ラダンプであることを特徴としている。
【0024】請求項9に記載の発明によると、クローラ
ダンプが、請求項5,6,7又は8に記載のように、ア
ーティキュレートステアリングと、左右クローラ装置の
回転数比を操向量に応じて制御する操向とを併用してい
るので、高速時の操向の安定性が良く、また非常に小回
り性が良い。そして、クローラ装置により走行するの
で、不整地等での安定性および操向性が向上し、荷こぼ
れが少なくなる。
【0025】請求項10に記載の発明は、請求項9記載
のクローラ式建設機械の操向制御装置において、前記ク
ローラダンプの荷台32及び運転室4が、車体2の上部
に旋回自在に設けられた上部旋回体3上に搭載されてい
る。
【0026】請求項10に記載の発明によると、上部旋
回体上に荷台及び運転室を備えた上部旋回式クローラダ
ンプとしているので、車体のクローラ装置の進行方向に
左右されずに荷台のダンプ(排土)位置を任意に選択で
き、かつ、迅速に旋回操作できる。これによって、ダン
プ作業性が良くなり、クローラダンプによる土砂運搬等
の作業能率が向上する。
【0027】請求項11に記載の発明は、請求項9又は
10記載のクローラ式建設機械の操向制御装置におい
て、前記操向操作手段9がハンドルあるいは操作レバー
のいずれかであることを特徴としている。
【0028】請求項11に記載の発明によると、ハンド
ル又は操向操作レバーを操作することによって、操向操
作を非常にスムーズに、かつ容易に行うことができる。
したがって、この操向操作に応じた滑らかなステアリン
グ操作感覚を得ることができる。
【0029】請求項12に記載の発明は、請求項10記
載のクローラ式建設機械の操向制御装置において、上部
旋回体3が前記車体2の前進方向に対して±90度より
も所定角度以上旋回した位置にあるときと、その他の旋
回位置にあるときとで、前記操向操作手段9による操向
量と、前記操向駆動手段39によるアーティキュレート
ステアリング機構の駆動方向との関係を反転させる逆ス
テアリング補正手段47を設けた構成としている。
【0030】請求項12に記載の発明によると、運転室
が搭載された上部旋回体が、クローラ装置の前進方向に
対して±90度より所定角度(0度も含む)以上後進側
に旋回した状態では、操向操作方向とこれによる実際の
操向方向とが反対になるようにしたので、人間の操作感
覚に適合し、操作性が良くなる。したがって、旋回時の
逆ステアリング等の誤操作を防止できる。
【0031】請求項13に記載の発明は、請求項9又は
10記載のクローラ式建設機械の操向制御装置におい
て、前記各クローラ装置は、前記右モータ駆動手段56
a又は左モータ駆動手段56bにより回転数を制御され
る各クローラモータにより回転駆動されるスプロケット
11と、前記車体2に固設されたブラケット7の下方に
車両進行方向に沿って配設されたトラックフレーム12
と、トラックフレーム12に回転自在に配設されたアイ
ドラ13と、前記スプロケット11及びアイドラ13に
卷装された履帯15と、前記ブラケット7の車両進行方
向の前部、及びトラックフレーム12の略中央部の前寄
りの間を、それぞれ連結ピン16a,16bにより前後
方向に揺動自在に連結する第1リンク16と、前記ブラ
ケット7の車両進行方向の後部、及びトラックフレーム
12の略中央部の後寄りの間を、それぞれ連結ピン17
a,17bにより前後方向に揺動自在に連結する第2リ
ンク17とを有し、前記連結ピン16b,17b間の距
離L2を、前記連結ピン(16a,17a) 間の距離L1より短
くし、かつ、第1リンク16の中心線と第2リンク17
の中心線とのそれぞれの延長線の交点Pが、第1リンク
16及び第2リンク17より下方に位置するようにした
構成としている。
【0032】請求項13に記載の発明によると、クロー
ラ装置のトラックフレームが車体に2本のリンクで前後
方向に揺動自在に吊り下げられた状態で連結されてお
り、トラックフレーム側の連結ピン間長さを車体側の連
結ピン間長さより小さくしたので、クローラ装置が障害
物等に衝突したときに、衝突した側のトラックフレーム
端部が上昇してクローラ装置が傾斜する。この傾斜によ
って障害物を乗り越え易くなるので、クローラダンプの
走破性が向上し、したがって作業能率が向上する。
【0033】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係わるクローラ
式建設機械の実施形態を、上部旋回式クローラダンプを
例に挙げて図面を参照して詳細に説明する。
【0034】図1は、実施形態に係わる上部旋回式クロ
ーラダンプ30の側面図である。同図において、車体2
の上部に旋回ベアリング34を介して上部旋回体3のフ
レーム33が旋回自在に搭載されており、このフレーム
33上の前部には運転室4及びエンジンルーム5が搭載
され、また後部には荷台32がダンプ可能に(つまり、
傾動して排土可能に)搭載されている。また、運転室4
内には、オペレータが操向操作するための例えばハンド
ルなどの操向操作手段9が設けられている。車体2は詳
細は後述するように前部フレーム35と後部フレーム3
1を有しており、この前部フレーム35に左右1対の前
方クローラ装置20A,20Aが、後部フレーム31に
は左右1対の後方クローラ装置20B,20Bがそれぞ
れ装着されている。ここで、前方クローラ装置20A及
び後方クローラ装置20Bは同じ構成のクローラ装置2
0からなる。各前方クローラ装置20A及び後方クロー
ラ装置20Bは、トラックフレーム12の端部に回動自
在に取着されたアイドラ13と、各クローラモータ(図
1には図示しないが、詳細は後述する)により回転駆動
されるスプロケット11とを有しており、車両の進行方
向(以後、前後方向と言う)の外側にアイドラ13が位
置し、内側にスプロケット11が位置するように配設さ
れている。
【0035】図2は、前方クローラ装置20A,20A
及び後方クローラ装置20B,20Bをそれぞれ構成す
るクローラ装置20の側面図である。前記車体2に固設
されたブラケット7の上部には、2個の上転輪21,2
1が回動自在に支持されており、ブラケット7の下方に
は上部旋回式クローラダンプ30の前後方向に沿ってト
ラックフレーム12が配設されている。また、トラック
フレーム12の一端部にはスプロケット11が回動自在
に取着されており、他端部にはアイドラ13が回動自在
に、かつ、リコイルスプリング22を介して取着されて
いる。リコイルスプリング22はアイドラ13をスプロ
ケット11から離間させる方向に(すなわち外側に向け
て)付勢している。さらに、トラックフレーム12の下
部には、所定個数(ここでは2個)の下転輪14,14
が取着されている。そして、前記上転輪21,21、ア
イドラ13、スプロケット11及び下転輪14,14に
は履帯15が卷装されている。
【0036】また、ブラケット7の前部とトラックフレ
ーム12の略中央部の前寄りとは第1リンク16を介し
てそれぞれ連結ピン16a,16bにより連結されてお
り、ブラケット7の後部とトラックフレーム12の略中
央部の後寄りとは第2リンク17を介してそれぞれ連結
ピン17a,17bにより連結されている。このとき、
ブラケット7、第1リンク16、第2リンク17及びト
ラックフレーム12は4節リンクを構成しており、この
4節リンクの下辺の連結ピン16b,17b間の距離L
2は上辺の連結ピン(16a,17a) 間の距離L1より短くな
っている。ここで、第1リンク16の中心線と第2リン
ク17の中心線の各延長線の交点Pが、両リンクよりも
下方で、履帯15の内側に位置するようになっている。
【0037】クローラ装置の上記構成により、クローラ
装置が障害物等に衝突したときには、トラックフレーム
12が外力を受けて衝突方向に(進行方向と反対方向
に)揺動する。この揺動によって、第1リンク16及び
第2リンク17の内、前記外力に近い方のリンクが上昇
し、他方のリンクが反対に下降するので、衝突した側の
トラックフレーム端部が上昇してクローラ装置が傾斜す
る。この傾斜により、クローラ装置が障害物を乗り越え
易くなるので、クローラダンプの走破性が向上する。
【0038】図3は図1のA−A断面図であり、車体2
のアーティキュレートステアリング機構を表わしてい
る。車体2は、アーティキュレートピン36により水平
面内で屈折自在に連結された前部フレーム35と後部フ
レーム31を備えており、両フレームが操向駆動手段3
9により屈折され、操向角αが得られるようになってい
る。すなわち、アーティキュレートピン36を挟んで、
進行方向前方を向いて右側の前部フレーム35と後部フ
レーム31との間、及び、左側の前部フレーム35と後
部フレーム31との間に、操向駆動手段39として、そ
れぞれ操向駆動手段39a及び操向駆動手段39bが取
着されている。この操向駆動手段39a,39bは例え
ば油圧シリンダなどの伸縮自在なアクチュエータからな
っており、このアクチュエータを伸縮することにより、
細い2点鎖線に示すように前部フレーム35が後部フレ
ーム31に対してアーティキュレートピン36を中心と
して回動し、これにより上部旋回式クローラダンプ30
の操向が行われるようになっている。また、前記旋回ベ
アリング34は、後部フレーム31の上部に搭載されて
いる。
【0039】図4は本発明に係わる制御機能ブロック図
を示しており、以下に、同図に基づいて各制御機能構成
を説明する。操向量検出手段51は操向操作手段9の操
作量を検出するものであり、この検出した操向操作量
(以後、単に操向量と呼ぶ)を制御部40の操向角指令
手段41及び回転数比演算手段45に出力する。操向角
指令手段41は前記操向量に基づいて前記操向駆動手段
39を駆動するための操向角指令を出力する。すなわ
ち、前記操向量の大きさに対応して操向角α(前部フレ
ーム35の後部フレーム31に対するアーティキュレー
トピン36の回りの回動角)が切れるように、前記操向
角指令が逆ステアリング補正手段47に出力される。
【0040】また、旋回角検出手段52は上部旋回体3
の旋回角度を検出するものであり、検出した旋回角度を
制御部40の操向方向判定手段42に出力する。なお、
旋回角検出手段52は、例えば前記上部旋回体3の回転
に伴って回転し、かつ、その回転数に比例してパルス信
号を発生するパルス発生器などにより構成することがで
き、このパルス信号の数を計数することにより旋回角度
が求められる。
【0041】操向方向判定手段42は前記旋回角度に基
づいて操向方向、すなわち、操向駆動手段39を駆動す
る方向を判定する。これは、旋回角度が車両前進方向に
対して±90度以上になったときには、運転室4の向き
が反転するので、オペレータが操作する操向方向に対し
てこれによる実際の操向方向が反転する感覚となること
を受けて、この反転による誤操作を防止するためであ
る。よって、ここでは、車両前進方向に対して±90度
よりもさらに所定の許容角度(例えば10度、但し0度
も含む)以上後進方向に旋回した状態で操向操作が行わ
れた場合には、前進方向を向いた状態での操向方向と反
対の操向駆動方向となるようにしている。この判定結果
は、走行指令算出手段46及び逆ステアリング補正手段
47に出力される。
【0042】逆ステアリング補正手段47は、操向角指
令手段41からの操向角指令を操向駆動手段39に出力
する。このとき、操向方向判定手段42により判定され
た操向駆動方向に従って操向されるように、操向駆動手
段39の駆動方向を切り換える。操向駆動手段39は、
上記操向角指令に応じてアーティキュレートステアリン
グ機構の屈折を駆動し、操向角αを制御する。操向駆動
手段39は、本実施形態では前記1対の操向駆動手段3
9a,39bにより構成されている。なお、本発明はこ
れに限定されず、操向駆動するアクチュエータの種類及
び数には限定されない。
【0043】回転数比テーブル記憶手段44は、前記操
向量に応じて滑らかに車両(ここでは、上部旋回式クロ
ーラダンプ30)を操向させるための、操向内輪側のク
ローラ装置と外輪側のクローラ装置との回転数比(速度
比)を規定するテーブルを記憶している。このテーブル
は所定量毎の操向量に対する回転数比データとして記憶
されており、このデータは例えば図5に示すような所定
の関数に基づいて求めることができる。
【0044】回転数比演算手段45は操向量検出手段5
1により検出した操向量に対応する回転数比を、回転数
比テーブル記憶手段44のデータに基づいて演算し、求
めた回転数比を走行指令算出手段46に出力する。な
お、本発明はテーブルによる演算方法に限定されず、例
えば、予め設定した図5のような所定の関数により回転
数比を演算するようにしてもよい。走行指令算出手段4
6は、この回転数比と、操向方向判定手段42からの前
記駆動方向判定結果とを入力し、つぎに、この駆動方向
判定結果に対応する方向に、この回転数比で内輪側と外
輪側のクローラ装置が回転するように、モータ指令値を
演算して出力する。
【0045】右モータ駆動手段56a及び左モータ駆動
手段56bは上記モータ指令値を入力して、このモータ
指令値に応じた左右クローラ装置の回転数及び回転数比
となるように、それぞれデフロック手段57a,57b
を介して、右前クローラモータ58aと右後クローラモ
ータ59a、及び左前クローラモータ58bと左後クロ
ーラモータ59bの回転数の制御指令を出力する。
【0046】デフロックスイッチ54は前後のクローラ
装置どうしで回転数の同期をとるように指令するための
スイッチであり、右前クローラモータ58aと右後クロ
ーラモータ59a間、及び、左前クローラモータ58b
と左後クローラモータ59b間の回転数を同期させる。
このデフロックスイッチ54がオンのとき、ロック指令
が前記デフロック手段57a,57bに出力される。デ
フロック手段57a,57bは、前記ロック指令を入力
したとき、それぞれ右モータ駆動手段56a又は左モー
タ駆動手段56bからの各回転数制御指令に対応する回
転数になるように、右前クローラモータ58aと右後ク
ローラモータ59aとの間で、及び、左前クローラモー
タ58bと左後クローラモータ59bとの間での回転数
を同期させる。
【0047】旋回操作量検出手段53は、例えば旋回操
作レバーなどで構成されるような旋回操作を行う手段
(以後、旋回操作手段と言う)の操作量を検出するもの
であり、その検出した操作量を制御部40の旋回角指令
手段43に出力する。旋回角指令手段43は前記操作量
の大きさに応じた旋回角速度になるように旋回制御指令
を旋回駆動手段55に出力する。旋回駆動手段55は例
えば旋回モータで構成されており、前記旋回制御指令に
応じた角速度で回転する。これにより、旋回操作量に応
じた旋回角速度で上部旋回体3が旋回する。
【0048】図6は、図4に示した各制御機能構成を具
体的に表わした、本実施形態に係わる油圧回路例を示し
ている。以下、同図に基づいて、詳細に説明する。油圧
ポンプ87から吐出された圧油はプライオリティバルブ
88の入力ポートに供給されており、プライオリティバ
ルブ88の優先的に切り換えられる第1出力ポートは管
路91を経由してオービットロール61に接続され、ま
た、非優先的な第2出力ポートは管路92を経由して旋
回方向切換弁63に接続されている。オービットロール
61はここでは前記操向角指令手段41の一例として用
いられており、すなわち、操向操作手段9のハンドルに
連結され、かつ、ハンドルと共に回転可能な弁を有し、
このハンドルの回転角度に比例した流量の圧油を回転方
向に応じた方向に出力(例えば、右回転のときには出力
ポートRから出力)するようになっている。そして、オ
ービットロール61の2つの出力ポートR,Lは、逆ス
テアリング補正用切換弁67及び油圧用スリップリング
SL(いわゆる、油圧用スィベルジョイント)を経由し
て、車体2側の操向駆動手段39のボトム室及びヘッド
室にそれぞれ接続されている。
【0049】また、操向操作手段9には操向量検出手段
51としてのエンコーダ71が回転自在に取り付けられ
ており、このエンコーダ71により検出された操向量信
号(ハンドルの回転角信号)はコントローラ60に入力
されている。また、逆ステアリング補正用切換弁67は
逆ステアリング補正手段47の一例として用いられてお
り、この逆ステアリング補正用切換弁67のソレノイド
はコントローラ60に接続されている。
【0050】一方、上記旋回方向切換弁63は前記旋回
角指令手段43の一例として設けられており、この旋回
方向切換弁63の出力ポートは前記旋回駆動手段55の
例としての旋回モータ75に接続されている。旋回モー
タ75のモータ軸の近傍には、前記旋回角検出手段52
の例としてこのモータ軸の回転角度を検出する旋回角検
出センサ72が配設されている。旋回方向切換弁63の
パイロット操作部には、旋回操作量検出手段53の例と
して旋回操作レバー73aの操作量を検出し、操作量に
比例するパイロット油圧力を発生する旋回操作弁73が
接続されている。
【0051】管路92には、図示しないダンプ用の方向
切換弁及びダンプシリンダが接続されており、ダンプ操
作レバー(図示せず)の操作量に従って荷台32の上昇
及び下降が制御されるようになっている。
【0052】また、前記右モータ駆動手段56aが、右
用可変容量ポンプ76aと、この右用可変容量ポンプ7
6aの斜板角を制御するシリンダ82aと、このシリン
ダ82aを駆動する右用方向制御弁81aとにより構成
され、同様に前記左モータ駆動手段56bが左用可変容
量ポンプ76bと、この左用可変容量ポンプ76bの斜
板角を制御するシリンダ82bと、このシリンダ82b
を駆動する左用方向制御弁81bとにより構成されてい
る。右用方向制御弁81a及び左用方向制御弁81bは
それぞれ対応するポンプの斜板の前進時又は後進時の方
向及び角度を制御して、ポンプからの吐出方向及び吐出
量を制御しており、それぞれのソレノイド操作部はコン
トローラ60に接続されている。
【0053】右用可変容量ポンプ76aの前進時の出力
ポートは、管路93及び油圧用スリップリングSLを経
由して第1の右デフロック弁57a1に接続され、この右
デフロック弁57a1で分流してそれぞれ右前クローラモ
ータ58a又は右後クローラモータ59aに接続され、
さらにこれらのクローラモータの出力側は第2の右デフ
ロック弁57a2に接続されて合流し、油圧用スリップリ
ングSL及び管路94を経由して右用可変容量ポンプ7
6aの後進時の出力ポートに接続されている。また、左
用可変容量ポンプ76bの前進時の出力ポートは、管路
95及び油圧用スリップリングSLを経由して第1の左
デフロック弁57b1に接続され、この左デフロック弁5
7b1で分流してそれぞれ左前クローラモータ58b又は
左後クローラモータ59bに接続され、さらにこれらの
クローラモータの出力側は第2の左デフロック弁57b2
に接続されて合流し、油圧用スリップリングSL及び管
路96を経由して左用可変容量ポンプ76bの後進時の
出力ポートに接続されている。
【0054】管路93と管路95間には連通弁83が接
続され、管路94と管路96間には連通弁84が接続さ
れている。これらの連通弁83,84のソレノイド操作
部はそれぞれコントローラ60に接続されている。
【0055】前記第1の右デフロック弁57a1及び第2
の右デフロック弁57a2と、第1の左デフロック弁57
b1及び第2の左デフロック弁57b2とは前記デフロック
手段57a,57bの一例であり、本実施形態では、そ
れぞれ同様に3つの方向制御弁85,86,77、及び
分流器89により構成されている。すなわち、前記各管
路93,94,95,96はそれぞれ2位置の方向制御
弁86の入力ポートに接続され、この方向制御弁86の
3つの出力ポートの内、1つの出力ポートは分流器89
を経由して3位置の方向制御弁77の2つの入力ポート
に接続され、さらに方向制御弁77の2つの出力ポート
はそれぞれ対応する前記各クローラモータ58a,59
a,58b,59bに接続される。また、前記方向制御
弁86の他の2つの出力ポートは方向制御弁77の前記
2つの出力ポートに接続され、さらにこの方向制御弁7
7の両出力ポート間には絞り弁77cが接続されてい
る。さらに、分流器89の分流された両管路は方向制御
弁77の両切換方向のパイロット入力部77a,77b
に接続されている。そして、方向制御弁86のパイロッ
ト操作部86aには方向制御弁85の出力ポートが接続
され、方向制御弁85の2つの入力ポートはそれぞれパ
イロット用管路97及びタンク80に接続されている。
各方向制御弁85のソレノイド操作部85aは、それぞ
れコントローラ60に接続されている。
【0056】また、運転室4内の操作パネルにはデフロ
ックスイッチ54が設けられており、このデフロックス
イッチ54はコントローラ60に接続されている。
【0057】コントローラ60は例えばマイクロコンピ
ュータなどを主体としたコンピュータ装置により構成さ
れており、本実施形態では前記制御部40の内の操向方
向判定手段42、回転数比テーブル記憶手段44、回転
数比演算手段45及び走行指令算出手段46に相当する
機能を有している。すなわち、前記エンコーダ71から
入力した操向量信号、及び所定メモリ内に記憶している
回転数比テーブルに基づいて、このときの操向量に対応
する左右クローラ装置間の回転数比を演算し、また、旋
回角検出手段52から入力した旋回角データに基づい
て、現在の上部旋回体3の旋回位置での操向駆動方向が
正方向か又は逆方向かを判定し、この判定結果に従っ
て、前記逆ステアリング補正用切換弁67に操向駆動方
向を指令する。さらに、前記演算した回転数比に基づい
て、右モータ駆動手段56a及び左モータ駆動手段56
bにそれぞれ右側クローラ装置及び左側クローラ装置の
モータ回転数指令を出力するようにしている。
【0058】つぎに、以上の構成による作動を説明す
る。まず、操向操作が行われてない(ハンドルが操作さ
れてない)ときには、オービットロール61は管路91
内の圧油を遮断しているので、管路91内の圧力が上昇
してプライオリティバルブ88はB位置に切り換わって
いる。これにより、プライオリティバルブ88は、油圧
ポンプ87から吐出された圧油を管路92を経由して旋
回方向切換弁63に導く。このとき、旋回操作レバー7
3aが操作されると、その操作方向及び操作量に従って
所定のパイロット圧信号が旋回方向切換弁63の対応す
るパイロット操作部63a,63bに入力される。これ
により、旋回方向切換弁63が対応する位置に切り換わ
り、前記操作量に応じた流量の圧油が旋回モータ75に
流入して、旋回モータ75が前記操作方向に対応する旋
回方向に流量に応じた速度で回転する。これにより、上
部旋回体3が所定旋回角速度で旋回する。
【0059】一方、コントローラ60は、旋回角検出手
段52により検出された旋回角を常時入力してチェック
しており、この旋回角が車両(上部旋回式クローラダン
プ30)の前進方向に対して±90度よりもさらに所定
角度以上後方に旋回した角度である場合には、逆ステア
リング補正用切換弁67に切換指令を出力し、そうでな
い場合には逆ステアリング補正用切換弁67にオフ指令
を出力する。
【0060】上記の旋回操作を終了した時点で、あるい
は、旋回操作中に、ハンドルが操作された場合には、管
路91内の圧油がオービットロール61から出力される
ので管路91内の圧力が下がり、プライオリティバルブ
88はA位置に切り換わる。したがって、圧油が優先的
に管路91を経由してオービットロール61に流入する
ようになる。ハンドルが操作されている間、オービット
ロール61はハンドル回転角度、すなわち旋回操作量に
比例した流量の圧油を、ハンドルが右回転しているとき
は出力ポートRに、左回転しているときは出力ポートL
に出力する。
【0061】逆ステアリング補正用切換弁67は、前記
オフ指令を入力している場合には、前記オービットロー
ル61の出力ポートRから出力された圧油を、操向駆動
手段39a(前進方向右側の操向シリンダ)のヘッド室
及び操向駆動手段39b(前進方向左側の操向シリン
ダ)のボトム室に供給する。これにより、操向駆動手段
39aが縮小し、かつ、操向駆動手段39bが伸長し
て、操向駆動手段39が右操向方向に駆動するので、前
部フレーム35が右操向方向にアーティキュレートす
る。あるいは、逆ステアリング補正用切換弁67は、前
記オービットロール61の出力ポートLから出力された
圧油を、操向駆動手段39aのボトム室及び操向駆動手
段39bのヘッド室に供給するので、操向駆動手段39
が左操向方向に駆動し、よって前部フレーム35が左操
向方向にアーティキュレートする。
【0062】反対に、逆ステアリング補正用切換弁67
は、前記切換指令を入力している場合には弁位置が切り
換わり、上記の操向駆動方向と反対に操向駆動されるよ
うに、操向駆動手段39の駆動方向を切り換える。
【0063】そして、上記の操向操作が終了すると、オ
ービットロール61の圧油出力が停止し、これに伴って
プライオリティバルブ88は再びB位置に切り換わり、
旋回操作による旋回駆動が可能となる。また、このと
き、コントローラ60は、操向量検出手段51のエンコ
ーダ71からハンドルの操向量信号を入力し、この操向
量が略零である(つまり、ハンドルの回転角が中央位置
近傍にある)場合には、連通弁83,84にオフ指令を
出力して、管路93と管路95間、及び管路94と管路
96間を遮断し、前記操向量が略零でない(つまり、ハ
ンドルの回転角が中央位置近傍に無い)場合には、連通
弁83,84にオン指令を出力して、管路93と管路9
5間、及び管路94と管路96間を連通させる。
【0064】このような状態で、コントローラ60は、
図示しない前後進切換レバーから前進指令又は後進指令
を入力したら、例えばアクセル等の車速指令手段(図示
せず)により指令された所定速度値に応じたモータ回転
数指令を、右用方向制御弁81a及び左用方向制御弁8
1bの前進又は後進に対応した各ソレノイド操作部に出
力する。このときのモータ回転数指令の大きさは、操向
量が所定値以下の間(つまり、中央位置からのハンドル
回転角が所定角度以下の間)では、右モータ駆動手段5
6aと左モータ駆動手段56bとの間で等しくする。こ
こで、操向駆動手段39a,39bにより操向角αを所
定角度α0(例えば±15度)に操向駆動したときのハ
ンドル回転角を角度β(例えば±360度)とすると、
ハンドル回転角がこの所定の角度β以下の間では、上記
のごとく左右モータの回転数指令の大きさを等しくする
ようにすればよい。なお、上記所定角度α0は、操向角
αが小さいと判断できるような範囲の最大角度とする。
【0065】これによって、右用可変容量ポンプ76a
及び左用可変容量ポンプ76bは等しい回転数で所定の
方向に回転し、所定方向に圧油を吐出する。ここで、前
進時に、管路93を介して右デフロック弁57a1に、ま
た、管路95を介して左デフロック弁57b1に上記圧油
が供給されるとする。右デフロック弁57a1はこの圧油
を分流してそれぞれ右前クローラモータ58a及び右後
クローラモータ59aに出力する。この後、右前クロー
ラモータ58a及び右後クローラモータ59aから流出
した油は右デフロック弁57a2により合流し、管路94
を介して右用可変容量ポンプ76aに戻る。同様にし
て、左デフロック弁57b1は入力した前記圧油を分流し
てそれぞれ左前クローラモータ58b及び左後クローラ
モータ59bに出力し、この左前クローラモータ58b
及び左後クローラモータ59bから流出した油は左デフ
ロック弁57b2により合流し、管路96を介して左用可
変容量ポンプ76bに戻る。これにより、各クローラモ
ータ58a,59a,58b,59bは所定回転数で前
進方向へ回転し、上部旋回式クローラダンプ30は前進
する。
【0066】このとき、操向駆動手段39a,39bに
より車体2が所定角度だけアーティキュレートされてい
るので、操向内輪側のクローラモータには外輪側よりも
大きな走行負荷がかかり、よって内輪側のクローラモー
タに流入する油の圧力が高くなる。例えば、右操向時に
は右前クローラモータ58a及び右後クローラモータ5
9aに圧油を供給する管路93内の油圧が管路95内の
油圧よりも高くなる。したがって、管路93内の圧油が
連通弁83を経由して管路95内に流入し、この流入し
た圧油は左前クローラモータ58b及び左後クローラモ
ータ59bを経由して連通弁84により管路94に戻さ
れる。これにより、右用可変容量ポンプ76aは吐出し
た圧油の一部を左用可変容量ポンプ76bに応援するよ
うに駆動することになり、よって、右側(内輪側)のク
ローラモータの回転数が減少し、かつ、左側(外輪側)
のクローラモータの回転数が増加することになる。この
結果、内輪側と外輪側のクローラモータの回転数差が生
じるので、アーティキュレートステアリングのみによる
操向よりもさらに滑らかに操向する。
【0067】そして、デフロックスイッチ54がオンさ
れてないときには、各ポンプからの圧油は、前記デフロ
ック弁57a1,57a2,57b1,57b2内の各分流器8
9や方向制御弁77を経由せずに、ただ単に方向制御弁
86により分流して、それぞれに対応したクローラモー
タに供給されるので、左右同一側の前後のクローラモー
タどうしは略同じ回転数となるが、走行負荷の変動等の
影響を受けて回転数の同期精度があまり良くない。
【0068】デフロックスイッチ54がオンされると、
コントローラ60は各デフロック弁57a1,57a2,5
7b1,57b2内の方向制御弁85にデフロック指令を出
力し、これにより方向制御弁86のパイロット操作部8
6aに位置切換指令が入力され、方向制御弁86はA位
置に切り換わる。したがって、各ポンプからの圧油は各
分流器89及び方向制御弁77を経由して対応する各ク
ローラモータに供給される。このとき、同一側の前後の
クローラモータどうしが走行負荷の変動等の影響を受け
て回転数の同期がずれた(回転数が等しくなくなる)場
合には、方向制御弁77のパイロット入力部77a,7
7bの内、前記走行負荷が大きい方のクローラモータに
対応するパイロット入力部にパイロット圧がかかり、こ
れにより方向制御弁77が切り換わって前記走行負荷が
大きい方のクローラモータへのみ圧油が供給されるよう
になる。この結果、同一側の前後のクローラモータどう
しの走行負荷の変動による回転数のずれが短時間で解消
され、前後間で略同じ回転数となる。よって、回転数の
同期精度が非常に良くなる。
【0069】また、前記操向量が所定値より大きくなっ
たとき、すなわち中央位置からのハンドル回転角が所定
角度βより大きくなったときには、次のようにして右モ
ータ駆動手段56a及び左モータ駆動手段56bへのモ
ータ回転数指令の大きさが求められる。コントローラ6
0は、回転数比テーブル記憶手段44によって予め記憶
されている、操向量と左右クローラモータの回転数比と
のテーブルに基づいて、操向量の大きさに応じた左右ク
ローラモータの回転数比を演算する(回転数比演算手段
45)。そして、操向量に対応する操向角αに基づい
て、図7に示すように、例えば、上部旋回式クローラダ
ンプ30が操向するときの外輪側クローラ装置の操向半
径rを演算し、この操向半径rによって所定車速で操向
するときの外輪側のクローラモータの回転数を演算す
る。この演算した外輪側クローラモータの回転数と、前
記求めた左右クローラモータの回転数比(外輪側と内輪
側との比)とに基づいて、内輪側のクローラモータの回
転数を算出し、これらのデータをそれぞれ対応する右用
方向制御弁81a及び左用方向制御弁81bに左右クロ
ーラモータの回転数指令として出力する(走行指令算出
手段46)。これによって、前記連通弁83,84を経
由して圧油を応援されている外輪側クローラモータに対
応する油圧ポンプの吐出量を増加するか、又は、応援し
ている内輪側クローラモータに対応する油圧ポンプの吐
出量を減少するかの少なくともいずれかが行われる。な
お、この回転数指令の算出及び出力の際には、旋回角に
基づいて判定した操向方向判定結果(操向方向判定手段
42)に従って、操向する方向を考慮する。
【0070】上記により出力された回転数指令に従っ
て、右用可変容量ポンプ76a及び左用可変容量ポンプ
76bは所定の吐出量の圧油をそれぞれ対応する各クロ
ーラモータに供給するので、左右のクローラモータは前
記算出された回転数及びその回転数比で回転する。した
がって、左右クローラ装置の回転数差を制御することに
よって、アーティキュレートステアリングのみによる操
向よりも操向半径を小さくし、かつ、滑らかに操向する
ことができる。このとき、前述と同様に、連通弁83,
84による右用可変容量ポンプ76aと左用可変容量ポ
ンプ76bとの間の相互の応援も行われ、さらに、デフ
ロックスイッチ54がオンの場合にはデフロック弁57
a1,57a2,57b1,57b2によるデフロック機能も作
動して左右クローラモータの回転数が前後で同期してい
る。したがって、操向半径が小さくても、上部旋回式ク
ローラダンプ30は横滑りが無く安全に、かつ、安定し
て操向できる。そして、ハンドルなどの操向量に応じて
滑らかなステアリング操作感覚で操向を行うことができ
る。
【0071】なお、上記実施形態では、操向角が所定量
より大きくなったときに、アーティキュレートステアリ
ングによる操向と、左右のクローラ装置の回転数比を操
向量に応じて制御する操向とを併用する例を示したが、
本発明はこれに限定するものではない。すなわち、常時
(上記操向角の所定量をゼロに設定したときに相当)両
操向方法を併用することもでき、これによって、操向時
の安定性や安全性、小回り性、及びクローラ装置の寿命
等がさらに改善される。
【0072】以上説明したように、本発明によると、ア
ーティキュレートステアリングにより、クローラ装置の
横滑りが少なく、かつ、滑らかに操向できるので、高速
走行での操向時の安全性及び操作感覚が向上する。ま
た、操向量が所定量(ゼロを含む)より大きい(ハンド
ル等の操作量が大きい)ときには、このアーティキュレ
ートステアリングによる操向と、左右のクローラ装置の
回転数比を操向量に応じて制御する操向とを併用するの
で、アーティキュレートステアリングのみによる操向に
比べて、操向半径を小さくすることが容易にでき、小回
り性が向上すると共に、クローラ装置の横滑りを無くす
ことができる。よって、高速時に操向量を大きくして
も、すなわち急ハンドルをきっても、非常に安定した滑
らかな操向が可能となり、本クローラ式建設機械による
作業能率を向上させることができる。さらに、クローラ
装置の横滑りが減少し、摩耗度が小さくなるので、クロ
ーラ装置の保守点検費用を低減できる。
【0073】各クローラ装置を油圧モータで回転駆動す
る場合に、右側及び左側のクローラ装置の油圧モータの
回転数を制御する右用油圧ポンプ及び左用油圧ポンプの
内、負荷圧が高い方(操向時の内輪側)の油圧ポンプか
ら負荷圧の低い方(外輪側)に圧油が応援されるように
したので、内輪側と外輪側の油圧モータの回転数に差が
生じ、外輪側の回転数が大きくなる。これにより、アー
ティキュレートステアリングによる操向時でも、安定し
て滑らかなステアリングが可能となる。また、アーティ
キュレートステアリングによる操向と、操向量に応じた
左右のクローラ装置の回転数比になるように油圧ポンプ
の吐出量を制御する操向とを併用するので、高速時操向
の安全性、小回り性及びクローラ装置の寿命が向上す
る。
【0074】さらに、走行抵抗の変動に影響受けずに左
側及び右側のそれぞれの前後のクローラ装置どうしの回
転数が等しくなるようにデフロック機能を有している。
これにより、操向時に、特に低速で大きく操向するよう
な「すえ切り」時には、非常に容易に、かつ、滑らかに
操向を行うことができるようになる。したがって、アー
ティキュレートステアリング機構を有するクローラ式建
設機械において、その場で方向転換するような場合の操
作性及び操向性が向上する。
【0075】また、操向量に応じて、アーティキュレー
トステアリングの操向角や、左右クローラ装置の回転数
比を制御しているので、スキッドステアリングのように
左右クローラ装置の断続的な回転停止による操向となら
ずに、連続的な回転数制御による滑らかな操向となる。
したがって、クローラ式建設機械において滑らかなステ
アリング操作感覚が得られると共に、操向時に車体の安
定性が向上する。この結果、例えばクローラダンプなど
のように荷台を有して搬送作業を行うような車両におい
ては、荷こぼれが少なくなり、作業能率の向上が可能と
なる。
【0076】また、通常、旋回自在な上部旋回体上に運
転室が搭載された車両(例えば、上部旋回式クローラダ
ンプ)においては、運転室が車両後方(つまり後進方
向)を向くような旋回位置に上部旋回体を旋回させた場
合、前進方向を向いた旋回位置での操向操作と、人間の
操作感覚が反転する。したがって、本発明においては、
上部旋回体が前進方向に対して±90度よりも所定角度
以上後方位置に旋回した場合には、操向操作方向に対す
る操向駆動手段の駆動方向、及び左右クローラ装置の回
転数比の関係を反転させている。この結果、人間の操作
感覚に適合し、操作性が良くなるので、旋回時の逆ステ
アリング等の誤操作を防止できる。
【0077】なお、操向操作手段9としては、上記実施
形態で示した回転可能なハンドルに限定されるものでは
なく、例えば操作レバーのように所定方向に揺動又は褶
動させて連続的な操向操作が可能なものであればよい。
この場合には、操向量検出手段51により検出された操
向量信号を、操向角指令手段41が電気的に(例えばマ
イクロコンピュータや電子回路により)あるいは油圧回
路により信号処理し、上記実施形態と同様に、操向量に
基づく操向角指令を出力するようにすればよい。これに
よって、滑らかなステアリング操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるクローラ式建設機械例の上部旋
回式クローラダンプの側面図である。
【図2】本発明に係わるクローラ式建設機械に用いられ
るクローラ装置の側面図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】本発明に係わる制御構成ブロック図を示す。
【図5】本発明に係わる左右クローラモータ回転数比の
演算方法の説明図である。
【図6】第1実施形態に係わる制御構成を表わした油圧
回路例を示す。
【図7】本発明に係わるクローラ式建設機械が操向する
ときの外輪側クローラ装置の操向半径rの説明図であ
る。
【符号の説明】
1…、2…車体、3…上部旋回体、4…運転室、7…ブ
ラケット、9…操向操作手段、11…スプロケット、1
2…トラックフレーム、13…アイドラ、15…履帯、
16…第1リンク、17…第2リンク、16a,16
b,17a,17b…連結ピン、20…クローラ装置、
30…上部旋回式クローラダンプ、31…後部フレー
ム、32…荷台、35…前部フレーム、36…アーティ
キュレートピン、39,39a,39b…操向駆動手
段、40…制御部、41…操向角指令手段、42…操向
方向判定手段、43…旋回角指令手段、44…回転数比
テーブル記憶手段、45…回転数比演算手段、46…走
行指令算出手段、47…逆ステアリング補正手段、51
…操向量検出手段、52…旋回角検出手段、53…旋回
操作量検出手段、54…デフロックスイッチ、55…旋
回駆動手段、56a…右モータ駆動手段、56b…左モ
ータ駆動手段、57a,57b…デフロック手段,57
a1,57a2…右デフロック弁、57b1,57b2…左デフ
ロック弁、58a…右前クローラモータ、58b…左前
クローラモータ、59a…右後クローラモータ、59b
…左後クローラモータ、60…コントローラ、61…オ
ービットロール、67…逆ステアリング補正用切換弁、
75…旋回モータ、76a…右用可変容量ポンプ、76
b…左用可変容量ポンプ、83,84…連通弁、88…
プライオリティバルブ、89…分流器、93,94,9
5,96…管路。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アーティキュレートステアリング機構を
    有する車体(2) の前後にそれぞれ左右1対ずつのクロー
    ラ装置を備え、操向操作量の大きさに応じて前記アーテ
    ィキュレートステアリング機構を駆動して操向を制御す
    るクローラ式建設機械の操向制御方法において、 アーティキュレートステアリングによる操向と、前記左
    右のクローラ装置の回転数を操向操作量に応じた所定の
    回転数比に制御する操向とを併用することを特徴とする
    クローラ式建設機械の操向制御方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のクローラ式建設機械の操
    向制御方法において、 操向操作量が所定値以下の時には、前記アーティキュレ
    ートステアリングにより操向を行い、操向操作量が所定
    値より大きくなった時には、さらに、前記左右のクロー
    ラ装置の回転数を操向操作量に応じた所定の回転数比に
    制御する操向を併用するようにしたことを特徴とするク
    ローラ式建設機械の操向制御方法。
  3. 【請求項3】 アーティキュレートステアリング機構を
    有する車体(2) の前後にそれぞれ油圧モータで回転駆動
    される左右1対ずつのクローラ装置を備え、操向操作量
    の大きさに応じて前記アーティキュレートステアリング
    機構を駆動して操向を制御するクローラ式建設機械の操
    向制御方法において、 アーティキュレートステアリングにより操向を行う時
    に、右側の各クローラ装置の油圧モータの回転数を制御
    する右用可変容量ポンプ(76a) 、及び左側の各クローラ
    装置の油圧モータの回転数を制御する左用可変容量ポン
    プ(76b) の内、一方のポンプから他方のポンプに圧油を
    応援するようにしたことを特徴とするクローラ式建設機
    械の操向制御方法。
  4. 【請求項4】 アーティキュレートステアリング機構を
    有する車体(2) の前後にそれぞれ油圧モータで回転駆動
    される左右1対ずつのクローラ装置を備え、操向操作量
    の大きさに応じて前記アーティキュレートステアリング
    機構を駆動して操向を制御するクローラ式建設機械の操
    向制御方法において、 操向操作量が所定値以下の時には、アーティキュレート
    ステアリングにより操向を行うと共に、右側の各クロー
    ラ装置の油圧モータの回転数を制御する右用可変容量ポ
    ンプ(76a) 、及び左側の各クローラ装置の油圧モータの
    回転数を制御する左用可変容量ポンプ(76b) の内、一方
    のポンプから他方のポンプに圧油を応援し、操向操作量
    が所定値より大きくなった時には、さらに、前記左右の
    油圧モータの回転数が操向操作量に応じた所定の回転数
    比になるように、右用可変容量ポンプ(76a) 及び左用可
    変容量ポンプ(76b) の内、前記応援されている方のポン
    プの吐出量を増加させるか、及び/又は、前記応援して
    いる方のポンプの吐出量を減少させるかして操向するよ
    うにしたことを特徴とするクローラ式建設機械の操向制
    御方法。
  5. 【請求項5】 前後が水平方向に屈折自在に連結された
    アーティキュレートステアリング機構を有する車体(2)
    と、車体(2) の前後にそれぞれ左右1対ずつ回転自在に
    取着されたクローラ装置とを備えたクローラ式建設機械
    の操向制御装置において、 操向を操作するための操向操作手段(9) と、 操向操作手段(9) の操向量を検出する操向量検出手段(5
    1)と、 操向量検出手段(51)により検出された操向量に応じて、
    アーティキュレートステアリング機構の操向角( α) を
    制御する操向角指令を出力する操向角指令手段(41)と、 この操向角指令に基づいてアーティキュレートステアリ
    ング機構を駆動する操向駆動手段(39)と、 予め記憶してある前記操向量と前記左右のクローラ装置
    の回転数比との関係を表わすデータに基づいて、前記操
    向量検出手段(51)により検出された操向量から前記回転
    数比を演算する回転数比演算手段(45)と、 前記操向駆動手段(39)でアーティキュレートステアリン
    グによる操向を行っている時に、前記回転数比演算手段
    (45)により演算された回転数比に基づいて左右のクロー
    ラ装置の回転数指令を演算し出力する走行指令算出手段
    (46)と、 前記回転数指令を受け、この指令の大きさに応じて前記
    右側のクローラ装置及び左側のクローラ装置の回転数を
    それぞれ制御する右モータ駆動手段(56a) 及び左モータ
    駆動手段(56b) とを備えたことを特徴とするクローラ式
    建設機械の操向制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のクローラ式建設機械の操
    向制御装置において、 前記走行指令算出手段(46)は、操向量が所定値より大き
    い場合に、前記操向駆動手段(39)でアーティキュレート
    ステアリングによる操向を行っている時に、前記演算さ
    れた回転数比に基づいて左右のクローラ装置の回転数指
    令を演算し出力することを特徴とするクローラ式建設機
    械の操向制御装置。
  7. 【請求項7】 請求項5記載のクローラ式建設機械の操
    向制御装置において、 前記各クローラ装置を回転駆動するクローラモータが油
    圧モータであり、 前記右モータ駆動手段(56a) 及び左モータ駆動手段(56
    b) が、それぞれ、右側及び左側の各クローラモータに
    前記回転数指令に応じた流量の圧油を供給する右用可変
    容量ポンプ(76a) 及び左用可変容量ポンプ(76b) を有
    し、 この右用可変容量ポンプ(76a) 及び左用可変容量ポンプ
    (76b) から前進時及び後進時に同一方向に圧油が吐出さ
    れる管路(93,95) 間、及び管路(94,96) 間には、それぞ
    れ、一方のポンプから他方のポンプへ圧油を応援するた
    めに前記両管路間を連通させる連通弁(83,84) を設けた
    ことを特徴とするクローラ式建設機械の操向制御装置。
  8. 【請求項8】 請求項6記載のクローラ式建設機械の操
    向制御装置において、 前記各クローラ装置を回転駆動するクローラモータが油
    圧モータであり、 前記右モータ駆動手段(56a) 及び左モータ駆動手段(56
    b) が、それぞれ、右側及び左側の各クローラモータに
    前記回転数指令に応じた流量の圧油を供給する右用可変
    容量ポンプ(76a) 及び左用可変容量ポンプ(76b) を有
    し、 この右用可変容量ポンプ(76a) 及び左用可変容量ポンプ
    (76b) から前進時及び後進時に同一方向に圧油が吐出さ
    れる管路(93,95) 間、及び管路(94,96) 間には、それぞ
    れ、一方のポンプから他方のポンプへ圧油を応援するた
    めに前記両管路間を連通させる連通弁(83,84) を設け、
    かつ、 前記走行指令算出手段(46)は、前記操向量が所定値より
    大きい時に、右側及び左側の各クローラモータが前記算
    出された回転数比で回転するように、前記右用可変容量
    ポンプ(76a) 及び左用可変容量ポンプ(76b) の内、前記
    応援されている方のポンプの吐出量を増加させるか、及
    び/又は、前記応援している方のポンプの吐出量を減少
    させる回転数指令を出力することを特徴とするクローラ
    式建設機械の操向制御装置。
  9. 【請求項9】 前記クローラ式建設機械が、前記車体
    (2) 上に排土のために傾動可能に取着された荷台(32)を
    備えたクローラダンプであることを特徴とする請求項
    5,6,7又は8記載のクローラ式建設機械の操向制御
    装置。
  10. 【請求項10】 前記クローラダンプの荷台(32)及び運
    転室(4) が、車体(2) の上部に旋回自在に設けられた上
    部旋回体(3) 上に搭載されたことを特徴とする請求項9
    記載のクローラ式建設機械の操向制御装置。
  11. 【請求項11】 前記操向操作手段(9) が、ハンドルあ
    るいは操作レバーのいずれかであることを特徴とする請
    求項9又は10記載のクローラ式建設機械の操向制御装
    置。
  12. 【請求項12】 請求項10記載のクローラ式建設機械
    の操向制御装置において、 上部旋回体(3) が前記車体(2) の前進方向に対して±9
    0度よりも所定角度以上旋回した位置にあるときと、そ
    の他の旋回位置にあるときとで、前記操向操作手段(9)
    による操向量と、前記操向駆動手段(39)によるアーティ
    キュレートステアリング機構の駆動方向との関係を反転
    させる逆ステアリング補正手段(47)を設けたことを特徴
    とするクローラ式建設機械の操向制御装置。
  13. 【請求項13】 請求項9又は10記載のクローラ式建
    設機械の操向制御装置において、 前記各クローラ装置は、 前記右モータ駆動手段(56a) 又は左モータ駆動手段(56
    b) により回転数を制御される各クローラモータにより
    回転駆動されるスプロケット(11)と、 前記車体(2) に固設されたブラケット(7) の下方に車両
    進行方向に沿って配設されたトラックフレーム(12)と、 トラックフレーム(12)に回転自在に配設されたアイドラ
    (13)と、 前記スプロケット(11)及びアイドラ(13)に卷装された履
    帯(15)と、 前記ブラケット(7) の車両進行方向の前部、及びトラッ
    クフレーム(12)の略中央部の前寄りの間を、それぞれ連
    結ピン(16a,16b) により前後方向に揺動自在に連結する
    第1リンク(16)と、 前記ブラケット(7) の車両進行方向の後部、及びトラッ
    クフレーム(12)の略中央部の後寄りの間を、それぞれ連
    結ピン(17a,17b) により前後方向に揺動自在に連結する
    第2リンク(17)とを有し、 前記連結ピン(16b,17b) 間の距離(L2)を、前記連結ピン
    (16a,17a) 間の距離(L1)より短くし、かつ、第1リンク
    (16)の中心線と第2リンク(17)の中心線とのそれぞれの
    延長線の交点(P) が、第1リンク(16)及び第2リンク(1
    7)より下方に位置するようにしたことを特徴とするクロ
    ーラ式建設機械の操向制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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