JPH082965A - ジルコニア質焼結体及びその製造方法、並びに、粉砕用部品材料及び歯科矯正用ブラケット材料 - Google Patents
ジルコニア質焼結体及びその製造方法、並びに、粉砕用部品材料及び歯科矯正用ブラケット材料Info
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Abstract
安定性に優れた、ホウ素化合物を含有する希土類金属酸
化物安定化ジルコニア質焼結体及びその製造方法並びに
該ジルコニア質焼結体を用いて構成された粉砕用部品材
料及び歯科矯正用ブラケット材料を提供すること。 【構成】 ZrO2を主成分とし、Yb2O3,Er2O3,Ho2O3,Y
2O3,Dy2O3の1種又は2種以上の希土類金属酸化物(R2O
3)と、ホウ素化合物[又はホウ素化合物とAl2O3及び/
又はSiO2]とを含むジルコニア質焼結体であって、R2O3
/ZrO2(モル比)が1.3/98.7〜2/98未満、ホウ素成分が
B2O3に換算して0.05〜8モル%、[Al2O3が0.1〜5モル%
及び/又はSiO2が0.05〜1.5モル%]であるジルコニア
質焼結体。該ジルコニア質焼結体を用いて構成された粉
砕用部品材料及び歯科矯正用ブラケット材料。
Description
びその製造方法、並びに、該ジルコニア質焼結体を用い
て構成された粉砕用部品材料及び歯科矯正用ブラケット
材料に関し、特に高い破壊靱性特性を有し、機械的強度
及び熱安定性に優れた、ホウ素化合物を含有する希土類
金属酸化物安定化ジルコニア質焼結体及びその製造方
法、並びに、該ジルコニア質焼結体を用いて構成された
粉砕用部品材料及び歯科矯正用ブラケット材料に関す
る。
の強靱性を応用したセラミックスハサミや医療用材料、
潤滑性を利用した金型押出し用ダイス、又は、断熱性、
熱膨張性の特性を利用した断熱型エンジン用部品、或い
は、酸素イオン導電性を応用した酸素センサや燃料電池
等の構成材料として幅広く使用されている。
たジルコニア質焼結体の破壊靱性特性は、他のセラミッ
クスに比べても特に優れたものであることが知られてお
り、この特性を利用した製品の開発も盛んに行われてい
る。例えばセラミックス材料や金属粉或いは食品関連な
どの混合や粉砕に利用される粉砕媒体(メディア)等の粉
砕用部品材料として注目されており、また、金属及び高
分子製などに比べ優れた審美性と高い強度及び靱性を有
する歯列矯正用ブラケット材料としても注目を集めてい
る。
酸化物を安定化剤としたジルコニア質焼結体の破壊靱性
特性は、その安定化剤の量や焼結温度に比例して低下す
る傾向が見られる。例えば、安定化剤の量が2モル%未
満からなるジルコニア質焼結体は、優れた破壊靱性特性
を示すことが知られている。従って、上記傾向からみ
て、2モル%未満(以下単に「低モル」と略記する)の安
定化剤を含む原料を使用し、しかも、これを低温度で焼
結させることができれば、高い破壊靱性特性を有するジ
ルコニア質焼結体を得ることが可能となる。
ニアを焼結させることは非常に困難であり、かつ、一般
に希土類金属酸化物を安定化剤としたジルコニア質焼結
体は、低温度域での長期エ−ジングに伴う劣化(ジルコ
ニア質焼結体の結晶相のうち常温では準安定相である正
方晶が安定相の単斜晶に移転し、この相転移に伴う体積
膨張が焼結体内に微小亀裂を発生させることによる)が
起こりやすい欠点を有している。特に、100〜300℃の水
中もしくは水蒸気中でのエ−ジングは、著しい劣化を生
じる原因となり、低モルで安定化させたジルコニア質焼
結体ほどこのような現象が起こりやすい。
するジルコニア質焼結体を作製することは困難であると
いう問題があった。また、仮に作製されたジルコニア質
焼結体が高靱性なものであっても、この種の高靱性のジ
ルコニア質焼結体は、低温度域での熱安定性が悪く、製
品の信頼性を損ねてしまう欠点を有しており、そのた
め、その利用範囲が一部の限られたものになってしまう
という問題があった。
質焼結体からなる粉砕用部品材料が提案されているが
(例えば特公平2−20587号公報参照)、従来のジルコニア
質焼結体は、100〜300℃付近で長時間にわたり放置され
ると著しい強度の低下が起こり、特に水中もしくは水蒸
気中の環境下においては、その速度(強度の低下速度)も
非常に速いため、溶媒として水を用いるような湿式によ
る粉砕工程での使用、又は、粉砕用部品材料を水等で洗
浄した後に高温(200℃付近)にて乾燥工程を行う場合な
どにおいて、支障をきたすこととなる。
ホウ酸化合物(例えばB2O3)と、Al2O3及び/又はSiO2と
を含むジルコニア質焼結体[但し、希土類金属酸化物が
2モル%以上含むもの]が特開平6−239662号公報等に提
案されている。このようなジルコニア質焼結体は、熱安
定性の向上は認められるものの、2モル%以上の希土類
金属酸化物を安定化剤としたジルコニア質焼結体である
ため、安定化剤の量が2モル%未満からなるジルコニア
質焼結体ほどの優れた破壊靱性特性を示さず、その破壊
靱性特性及び耐摩耗性など、すべての特性を満たせるよ
うなものではない。
靱性に優れた材料として、ジルコニア質焼結体からなる
歯列矯正用ブラケット材料が、フランス特許第2,559,05
9号明細書、特開平2−21857号公報、特開平4−280864号
公報などにおいて提案されている。例えば特開平2−218
57号公報には、ジルコニア質焼結体としてY2O3などで部
分安定化された“いわゆる部分安定化ジルコニア”を歯
列矯正用ブラケット材料として用いることが記載されて
おり、また、特開平4−280864号公報には、色調が人の
歯に非常に近いものとして、酸化エルビウム、酸化プラ
セオジム、酸化鉄からなる色剤を含む部分安定化ジルコ
ニアを歯列矯正用ブラケット材料として用いることが記
載されている。
ア質焼結体においても、100〜300℃付近で長時間にわた
り放置されると著しい強度の低下が起こり、特に水中も
しくは水蒸気中の環境下では、その速度(強度の低下速
度)も非常に速く、より低温域でも強度の低下が進行す
る。歯列矯正用ブラケット材料を含む医療用材料は、特
に高温(100〜300℃付近)で溶媒として水を用いるような
洗浄や滅菌消毒などを行うことが多いため、支障をきた
すこととなる。
ホウ素化合物(例えばB2O3)と、Al2O3及び/又はSiO2と
を含むジルコニア質焼結体[但し、希土類金属酸化物が
2モル%以上含むもの]が特願平6−169453号等に提案さ
れている。このようなジルコニア質焼結体は、熱安定性
の向上は認められるものの、2モル%以上の希土類金属
酸化物を安定化剤としたジルコニア質焼結体であるた
め、安定化剤の量が2モル%未満からなるジルコニア質
焼結体ほどの優れた破壊靱性特性を示さず、その破壊靱
性特性など、すべての特性を満たせるようなものではな
い。
されたものであって、その目的とするところは、 ・第1に、低モルの希土類金属酸化物を安定化剤とし、
比較的低い温度にて焼結させることが可能で、かつ、熱
安定性及び破壊靱性特性に優れたジルコニア質焼結体及
びその製造方法を提供することにあり、 ・第2に、上記ジルコニア質焼結体及びその製造方法で
得られたジルコニア質焼結体を用いた粉砕用部品材料を
提供することにあり、 ・第3に、同じく上記ジルコニア質焼結体及びその製造
方法で得られたジルコニア質焼結体を用いた歯列矯正用
ブラケット材料を提供することにある。
質焼結体は、ZrO2を主成分とし、所定範囲の希土類金属
酸化物(R2O3)と、所定範囲のホウ素化合物(又は所定範
囲のホウ素化合物と、所定範囲のAl2O3及び/又はSiO2)
とを含む配合物を焼結してなることを特徴とし、これに
より熱安定性及び破壊靱性特性に優れたジルコニア質焼
結体を提供するものである。
製造方法は、所定の原料組成となるように、中和共沈
法、加水分解法、アルコキシド法などの化学合成法又は
酸化物混合法により原料配合物を調製し、これを所定温
度(500〜1200℃)で仮焼した後、解砕工程を経て得た所
定比表面積(化学合成法により得られたものの比表面積
は3m2/g以上、酸化物混合法により得られたものの比表
面積は10m2/g以上)の原料粉末を成形し、所定温度(130
0〜1650℃)で焼結することを特徴とし、これにより比較
的低い温度で焼結させることが可能であり、かつ、熱安
定性及び破壊靱性特性に優れたジルコニア質焼結体を得
ることができるものである。
列矯正用ブラケット材料は、上記ジルコニア質焼結体及
び上記製造方法で得られたジルコニア質焼結体であっ
て、所定の物性値を有するジルコニア質焼結体を用いる
ことを特徴とする。
は、「ZrO2を主成分とし、Yb2O3,Er2O3,Ho2O3,Y2O3
及びDy2O3よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の
希土類金属酸化物と、ホウ素化合物とを含むジルコニア
質焼結体であって、ホウ素成分の含有量が酸化ホウ素(B
2O3)に換算して0.05〜8モル%であり、かつ、上記希土
類金属酸化物(R2O3)とZrO2とのモル比(R2O3/ZrO2)が1.
3/98.7〜2/98未満であり、得られる結晶粒子が主とし
て正方晶と単斜晶の混合相よりなることを特徴とするジ
ルコニア質焼結体。」(請求項1)、及び「ZrO2を主成分
とし、Yb2O3,Er2O3,Ho2O3,Y2O3及びDy2O3よりなる群
から選ばれる1種又は2種以上の希土類金属酸化物と、
ホウ素化合物と、Al2O3及び/又はSiO2とを含むジルコ
ニア質焼結体であって、ホウ素成分の含有量が酸化ホウ
素(B2O3)に換算して0.05〜8モル%、上記希土類金属酸
化物(R2O3)とZrO2とのモル比(R2O3/ZrO2)が1.3/98.7
〜2/98未満であり、かつ、Al2O3の含有量が0.1〜5モル
%及び/又はSiO2の含有量が0.05〜1.5モル%であり、
得られる結晶粒子が主として正方晶と単斜晶の混合相よ
りなることを特徴とするジルコニア質焼結体。」(請求
項2)を要旨とする。
方法は、「ZrO2を主成分とし、Yb2O3,Er2O3,Ho2O3,Y
2O3及びDy2O3よりなる群から選ばれる1種又は2種以上
の希土類金属酸化物(R2O3)と、ホウ素化合物[又は、ホ
ウ素化合物と、Al2O3及び/又はSiO2]とを含むジルコ
ニア質焼結体の製造方法であって、(1)原料組成とし
て、前記希土類金属酸化物(R2O3)とZrO2とのモル比(R2O
3/ZrO2)が1.3/98.7〜2/98未満、前記ホウ素化合物の
含有量が酸化ホウ素(B2O3)に換算して0.05〜8モル%と
なるように[又は、前記ホウ素化合物の含有量が酸化ホ
ウ素(B2O3)に換算して0.05〜8モル%と、前記Al2O3の含
有量が0.1〜5モル%及び/又は前記SiO2の含有量が0.05
〜1.5モル%となるように]、中和共沈法,加水分解
法,アルコキシド法などの化学合成法又は酸化物混合法
により原料配合物を調製する工程、(2)上記原料配合物
を500〜1200℃で仮焼する工程、(3)上記仮焼物を、比表
面積が化学合成法により得られたもので3m2/g以上、酸
化物混合法により得られたもので10m2/g以上となるよ
うに解砕する工程、(4)上記解砕粉を成形する工程、(5)
上記成形体を1300〜1650℃で焼結する工程、を含むこと
を特徴とするジルコニア質焼結体の製造方法。」(請求
項4)を要旨とする。
用いた粉砕用部品材料及び歯列矯正用ブラケット材料
は、 ・前記ジルコニア質焼結体又は前記方法によって得られ
たジルコニア質焼結体を用いて構成された粉砕用部品材
料及び歯列矯正用ブラケット材料であって、「このジル
コニア質焼結体の平均粒子径が2μm以下で、且つ、か
さ密度が5.8g/cm3以上であり、100〜300℃の温度にて
大気中、又は、水及び水蒸気中において、長時間使用し
ても焼結体の劣化が起こりにくいことを特徴とするジル
コニア質焼結体を用いた粉砕用部品材料。」(請求項
5)、及び、「このジルコニア質焼結体の審美性を高め
るために、色剤としてPr6O11を0.0001〜0.002モル%、E
r2O3を0.01〜0.2モル%を含み、更に該焼結体の平均粒
子径が2μm以下で、且つ、気孔率が1%以下であり、10
0〜300℃の温度にて大気中又は水及び水蒸気中において
長時間使用しても焼結体の劣化が起こりにくいことを特
徴とするジルコニア質焼結体を用いた歯科矯正用ブラケ
ット材料。」(請求項6)を要旨とする。
の製造方法、並びに、このジルコニア質焼結体を用いた
粉砕用部品材料及び歯科矯正用ブラケット材料につい
て、順に詳細に説明する。
ついて詳細に説明する。本発明に係るジルコニア質焼結
体は、前記したとおり、ZrO2を主成分とし、Yb2O3,Er2
O3,Ho2O3,Y2O3及びDy2O3よりなる群から選ばれる1種
又は2種以上の希土類金属酸化物(本明細書で、この希
土類金属酸化物を“R2O3”と略記する)を安定化剤とし
て用いるものである。(なお、Tm2O3及びLu2O3を用いる
こともできるが、Tm2O3及びLu2O3は非常に高価であり、
ジルコニア製品とした場合、市場競争力で問題とな
る。)
れば、前記R2O3以外の希土類金属酸化物を含んでも良
く、これも本発明に包含されるものである。この場合、
ZrO2-R2O3に対し0.5モル%以下であれば、前記R2O3以外
の希土類金属酸化物を含んでも機械的強度に顕著な変化
は認められないが、0.5モル%以上含むと、機械的強度
の低下が見られるので好ましくない。
O2とのモル比(R2O3/ZrO2)が1.3/98.7〜2/98未満とす
ることを特徴とする。安定化剤(R2O3)とZrO2とのモル比
が1.3/98.7未満では、ZrO2の正方晶を常温で維持させ
ることができ難く、正方晶から単斜晶に転移する際に生
じる体積変化により亀裂を伴うので、所望の焼結体を得
ることが困難となる。要するに安定化剤としての効果が
少ないので、好ましくない(後記表1,2の“組成No.18”
と表4,6の“組成No.44”参照)。
2/98以上では、焼結性及び機械的強度の優れた焼結体
が得られるが、本発明で意図する高い破壊靱性特性を有
するジルコニア質焼結体とはなり難く、本発明の高靱性
ジルコニア質焼結体を得ることができないので、好まし
くない(後記表1,3の“組成No.20”と表4,6の“組成N
o.46”参照)。従って、本発明に係るジルコニア質焼結
体において、R2O3とZrO2とのモル比(R2O3/ZrO2)が1.3
/98.7〜2/98未満であるのが好ましく、より好ましい
範囲は、1.5/98.5〜2/98未満である。
は、該焼結体中にホウ素(B)成分を含有していることを
特徴とする。なお、このホウ素成分は、ジルコニア質焼
結体の熱安定化性を向上させ得る添加物である。しか
し、ホウ素(B)の量がB2O3に換算して0.05モル%未満で
は、その熱安定化性効果が見られず(後記表1,2の“組
成No.1,2”と表4,5の“組成No.27,28”参照)、逆に8
モル%を越えるものでは、かえって熱安定性を低下させ
る傾向が見れるので好ましくない(後記表1,2の“組成N
o.5”と表4,5の“組成No.31”参照)。従って、ホウ素
(B)の量は、B2O3に換算して0.05〜8モル%であり、好ま
しくは0.2〜5モル%である。
の添加物(ホウ素源)としては、ホウ素からなる化合物を
用いることができ、これを例示すれば、酸化ホウ素、窒
化ホウ素、炭化ホウ素、もしくは、Zr,Al,Si,Yb,E
r,Ho,Y又はDyと、ホウ素(B)との化合物を挙げること
ができる。
定性の更なる向上及び焼結性の向上などのため、Al2O3
及び/又はSiO2を添加することができる。Al2O3の量は
0.1〜5モル%(好ましくは0.3〜2モル%)、SiO2の量は0.
05〜1.5モル%(好ましくは0.1〜0.5モル%)の範囲内に
あるものが好ましい。
の量が0.05モル%未満のものでは、それぞれの元素の添
加効果が見られない。一方、Al2O3が5モル%を超えて含
有されるジルコニア質焼結体では、Al2O3の量に比例し
て破壊靱性特性が低下するため好ましくない(後記表1,
2の“組成No.13”と表4,5の“組成No.39”参照)。ま
た、SiO2が1.5モル%を超えて含有されるようなジルコ
ニア質焼結体では、前記したホウ素の添加効果による熱
安定性が低下してしまう傾向があり、好ましくない(後
記表1,2の“組成No.15”と表4,5の“組成No.41”参
照)。
て、Al2O3,SiO2の添加は、「B2O3-Al2O3-SiO2」の3成
分の添加のほか、上記の各添加範囲内であれば「B2O3-A
l2O3」又は「B2O3-SiO2」の2成分の添加においても添
加効果が得られる(後記表1,2の“組織No.6,7”と表
4,5の“組織No.32,33”参照)。これらの添加物(Al
源、Si源)は、これら添加成分(Al、Si)からなる酸化物
のほかに窒化物、炭化物又は水酸化物などの形で添加し
ても同様の効果が得られ、いずれも本発明に包含される
ものである。
製造法について説明する。まず、中和共沈法、加水分解
法、アルコキシド法などの化学合成法又は酸化物混合法
を用い、ZrO2にR2O3及びホウ素化合物(更に必要に応じ
てAl2O3及び/又はSiO2)を前記所定原料組成になるよう
に調製する。次に、この原料粉を500〜1200℃の温度範
囲内で仮焼し、該仮焼粉を解砕した後成型し、1300〜16
50℃の温度範囲で焼結(本焼成)する。
での仮焼は、混合原料を出来る限り均一なものとするた
めであり、また、ZrO2の一部を相転移させておき、焼成
過程(本焼成工程)での焼結の促進を図るためのものであ
り、本発明の製造方法において重要な要件の1つであ
る。
0℃は、仮焼によってZrO2の単斜晶の一部を正方晶に相
転移させることが可能な最低温度である。一般に、ZrO2
の単斜晶から正方晶への転移は、1170℃付近と言われて
いるが、ZrO2に安定化剤を加えることによりその転移温
度は低温側に移動し、例えばY2O3を安定化剤として用い
たものでは、800℃程度の温度で相転移が見られる。な
お、この温度は、安定化剤の種類或いは量により異なる
値となる。
後の原料に見られる凝集粉が解砕工程により十分粉砕さ
れ得る最高温度であり、この温度を超えて仮焼を行った
ものでは、解砕後においても凝集粒が残留し、これが大
きな破壊点となり、ジルコニア質焼結体の強度の低下を
招くので好ましくない。従って、本発明の方法における
仮焼温度は500〜1200℃が好ましい。
いるため、解砕を必要とする。この際、解砕された原料
粉末の比表面積が化学合成法により得られたもので3m
2/g以上、酸化物混合法により得られたもので10m2/
g以上になっていることが必要であり、好ましくは、化
学合成法により得られたもので8〜20m2/gの範囲、酸
化物混合法により得られたもので15〜30m2/gの範囲
にあるものが好ましい。
で3m2/g未満、酸化物混合法により得られたもので10
m2/g未満の原料粉末では、焼結性が悪く、緻密な焼
結体が得られ難いので好ましくない。なお、比表面積が
化学合成法により得られたもので3m2/g未満、酸化物
混合法により得られたもので10m2/g未満の原料粉末
を用いて緻密な焼結体を得るためには、本発明で示す13
00〜1650℃の温度範囲外で焼結(本焼成)する必要があ
り、この範囲外の焼結(本焼成)では、後記する問題点が
生じるので好ましくない。また、比表面積が大き過ぎる
ものでは、取り扱いが困難であるため、あまり好ましく
はなく、その上限は、化学合成法及び酸化物混合法とも
30m2/g程度である。
温度は、上記したように1300〜1650℃であることが好ま
しく、特に好ましくは1350〜1500℃である。焼結温度が
1300℃未満では、機械的特性の低いものしか得られず、
一方、1650℃を超えると、結晶粒の異常粒成長などが生
じ、このため高靱性な焼結体が得られないので好ましく
ない。
圧焼結処理によりジルコニア質焼結体を製造することに
より、より一層高強度なジルコニア質焼結体を製造する
ことができる。例えば、後述の実施例においてCIP成形
後の焼成により製造された強度130kgf/mm2以上のもの
は、HIP処理により150kgf/mm2以上の高強度な焼結体と
することができる。
て説明する。本発明に係る粉砕用部品材料は、上記本発
明に係るジルコニア質焼結体及び上記本発明に係る製造
方法で得られたジルコニア質焼結体を用いるものであっ
て、所定の物性値を有するジルコニア質焼結体からなる
ことを特徴とする。即ち、ジルコニア質焼結体の平均粒
子径が2μm以下で、且つかさ密度が5.8g/cm3以上であ
り、しかも100〜300℃の温度にて大気中、又は、水及び
水蒸気中において、長時間使用しても焼結体の劣化が起
こりにくいジルコニア質焼結体を用いた粉砕用部品材料
である。
を超えると、耐摩耗性及び熱安定性に欠けるため、好ま
しくなく、一方、かさ密度が5.8g/cm3未満では、例え
ば粉砕用メディアとして用いたときに現れる粉砕効率が
小さなものとなってしまうため、また、強度特性も低い
値となるため、好ましくない。また、大気中、又は、水
及び水蒸気中において、100〜300℃の温度範囲で劣化す
る焼結体では、その劣化に伴い耐摩耗性、粉砕効率、強
度特性などすべての面の特性が大きく低下し、そのた
め、例えば溶媒として水を用いるような湿式による粉砕
工程での使用、又は、粉砕用部品材料を水等で洗浄した
後に高温(200℃付近)にて乾燥工程を行う場合などに使
用し難くなるので、好ましくない。
材料について説明する。本発明に係る歯列矯正用ブラケ
ット材料は、前記本発明に係るジルコニア質焼結体及び
前記本発明に係る製造方法で得られたジルコニア質焼結
体を用いるものであって、このジルコニア質焼結体の審
美性を高めるために、色剤としてPr6O11を0.0001〜0.00
2モル%、Er2O3を0.01〜0.2モル%を含み、更に該焼結
体の平均粒子径が2μm以下で、且つ、気孔率が1%以下
であり、しかも100〜300℃の温度にて大気中、又は、水
及び水蒸気中において長時間使用しても焼結体の劣化が
起こりにくい性質を有するジルコニア質焼結体を用いる
ことを特徴とする。
上記範囲外であって少ない場合、その色が白すぎるた
め、また、逆に多い場合はその色が歯より濃すぎるた
め、いずれも歯に接着したときにその外観色調の違いか
ら、見たときに違和感があり、審美上好ましくない。
構成するジルコニア質焼結体の平均粒子径が2μmを超
えると、熱安定性に欠けるため好ましくなく、一方、気
孔率が1%を超えると、光沢感のある審美性に欠けるた
め、また、強度特性も低い値となるため、好ましくな
い。また、大気中、又は、水及び水蒸気中において、10
0〜300℃の温度範囲で劣化する焼結体では、その劣化に
伴い審美性、強度特性などすべての面の特性が大きく低
下し、そのため、該焼結体からなる歯列矯正用ブラケッ
ト材料は、特に高温(100〜300℃付近)での水による洗浄
や滅菌消毒などを行うことができ難くなるため、好まし
くない。
に係る粉砕用部品材料及び歯列矯正用ブラケット材料に
用いるジルコニア質焼結体を含む)は、その結晶粒子が
主として正方晶(T)と単斜晶(M)の混合相(T+M)よりなる
ことを特徴とする。本発明に係るジルコニア質焼結体で
は、安定剤(R2O3)が2モル%未満であるので、立方晶が
存在せず、その結晶粒子が主として正方晶(T)と単斜晶
(M)の混合相(T+M)になる。そして、このような混合相
(T+M)よりなるジルコニア質焼結体では、破壊靱性の向
上が期待でき、そのような傾向も認められる。
晶含有量は、焼結体表面を#600のダイアモンド砥石で
研削した後、1〜5μmのダイヤモンド粒により鏡面に仕
上げ、その表面のX線回折による強度比より、次の式
(1)〜(3)を用いて求めた。
測定は、上記したように鏡面に仕上げた焼結体の表面を
フッ化水素酸によりエッチング処理を行い、電子顕微鏡
写真で粒子を50個以上含むような一定面積(S)内に等し
い円の直径(d)を、式d=(4S/π)1/2により計算し
た。そして、直径(d)を同一試料の3カ所以上の視野に
ついて求めて、その平均粒子径とした。粒子数(n)は、
一定面積(S)に完全に含まれる粒子の数と一定面積の境
界線で切られる粒子の数の1/2との和とした(なお、該
測定法については、特公昭61−21184号公報参照)。
ば、中和共沈法、加水分解法、アルコキシド法などの化
学合成法のみでなく、比較的安価な酸化物混合法による
原料を用いても、熱安定性に優れ、高い破壊靱性特性を
有するジルコニア質焼結体を得ることができる。
するR2O3安定化ジルコニア質焼結体を用いた粉砕用部品
材料によれば、即ち、本発明に規定される組成を有し、
平均粒子径、かさ密度を満足するジルコニア質焼結体を
用いた粉砕用部品材料によれば、従来にない高い破壊靱
性特性を有し、且つ、耐摩耗性、熱安定性に優れた粉砕
効率の良い粉砕用部品材料が提供される。
を含有するR2O3安定化ジルコニア質焼結体を用いた歯列
矯正用ブラケット材料によれば、即ち、本発明に規定さ
れる組成を有し、更に色剤としてPr6O11、Er2O3を含
み、平均粒子径、気孔率を満足するジルコニア質焼結体
を用いた歯列矯正用ブラケット材料によれば、装着時の
審美性に優れ、従来にない高い破壊靱性を有し、且つ、
熱安定性に優れた歯列矯正用ブラケット材料が提供され
る。
本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を
越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
組成(組成No.1〜26)となるように酸化ジルコニウム(ZrO
2)、希土類金属酸化物(R2O3:安定化剤)、酸化ホウ素(B
2O3)、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)
を秤量し、溶媒としてイオン交換水を用い、ゴムライニ
ングのボ−ルミルにてZrO2質ボ−ルを使用して混練した
後、乾燥を行った。
行い(ただし、表3の組成No.19中「仮焼温度:0℃」の
ものは仮焼せず)、得られた仮焼粉を上記混練時と同様
のボ−ルミルにて表2及び表3に示す比表面積となるよ
うに解砕し、アクリル系共重合樹脂を3重量%加えてス
プレ−造粒を行った。この造粒粉を1000kgf/cm2の圧力
でCIP成形し、表2及び表3に示す温度にて本焼成を
行った。
ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法(JIS R1601)
に基づいて測定した「3点曲げ強度」,「ビッカ−ス硬
さ(JIS R1610)」,IF法により求めた「破壊靱性値(JIS
R1607)」及び焼結体の「熱安定性」を表2及び表3に
示す。なお、焼結体の「熱安定性」は、焼結体をオ−ト
クレ−ブに入れ、200℃の熱水中にて200時間のエ−ジン
グテストを行った後、焼結体の劣化具合を観測して判断
した。
ZrO2とのモル比が本発明の所定範囲内で、かつ、所定範
囲のホウ素化合物(又は所定範囲のホウ素化合物と、Al2
O3及び/又はSiO2)を含む実施例1では、高強度で高破
壊靱性値を示し、しかも熱安定性が良好なジルコニア質
焼結体が得られることが理解できる。
1つでもはずれたもの、又は、ホウ素(B)成分を含まな
いものでは、本発明のジルコニア質焼結体を得ることは
できない。例えば、本発明で規定する「R2O3/ZrO2:1.
3/98.7〜2/98未満」の範囲外である組成No.18(R2O3/
ZrO2:1/99)の比較例では、安定化剤(Y2O3)が微量であ
るので焼結せず、同じく組成No.20(R2O3/ZrO2:2.5/9
7.5)の比較例では、破壊靱性値が7.10MPa√mと低く、所
望のジルコニア質焼結体を得ることができなかった。ま
た、本発明で規定するR2O3/ZrO2モル比の範囲内であっ
ても、ホウ素(B)成分を含まない組成No.1、2の比較例及
びホウ素(B)成分が本発明で規定する範囲を超えて添加
した組成No.5では、表2で明らかなように熱安定性が劣
るものであった。
が本発明の所定範囲内で、かつ、本発明に係る添加物
(ホウ素化合物、Al2O3及び/又はSiO2)がそれぞれ本発
明の所定範囲内となるように調製した原料配合物を用い
ても、仮焼条件において500〜1200℃の範囲外の条件下
にて行った場合、又は、原料の比表面積或いは本焼成条
件が本発明の所定範囲外のものでは、結果として、本発
明のジルコニア質焼結体は得られない。
範囲(500〜1200℃)外の1400℃で仮焼した比較例及び仮
焼しなかった比較例(表3の組成No.19参照)では、前者
は曲げ強度が11.63Kgf/mm2と極端に低く、後者につ
いては低破壊靱性値(4.11MPa√m)のものが得られた。ま
た、原料の比表面積が本発明で規定する範囲(酸化物混
合法で10m2/g以上)外である6m2/gの原料を使用した
表2に示す組成No.9では、曲げ強度が低く、しかも熱安
定性の悪いものが得られた。
規定する範囲(1300〜1650℃)外の1700℃で焼結した比較
例及び1200℃で焼結した比較例(表3の組成No.21参照)
では、前者の高温焼結したものは焼き台との反応が認め
られ、後者の低温焼結によるものでは曲げ強度が2.09kg
f/mm2と極端に低く、いずれも本発明で所望する高靱
性ジルコニア質焼結体が得られなかった。
組成(組成No.27〜47)となるように、中和共沈法で得ら
れたY2O3を1〜2.5モル%、又は、Yb2O3を1.8モル%含む
原料に、B2O3、Al2O3、SiO2を秤量し、溶媒としてイオ
ン交換水を用い、ゴムライニングのボ−ルミルにてZrO2
質ボ−ルを使用して混練した後、乾燥を行った。
行い(ただし、表6の組成No.45中「仮焼温度:0℃」の
ものは仮焼せず)、得られた仮焼粉を上記混練と同様の
ボ−ルミルにて表5、表6に示す比表面積となるように
解砕し、アクリル系共重合樹脂を3重量%加えてスプレ
−造粒を行った。この造粒粉を1000kgf/cm2の圧力でC
IP成形し、表5、表6に示す温度にて本焼成を行っ
た。
前記実施例1に示す評価方法による“3点曲げ強度”
“ビッカ−ス硬さ”“破壊靱性値”“熱安定性”の各特
性を検討した。その結果を表5及び表6に示す。
ZrO2とのモル比が本発明の所定範囲内で、かつ、所定範
囲のホウ素化合物(又は所定範囲のホウ素化合物と、Al2
O3及び/又はSiO2)を含む実施例2では、高強度で高破
壊靱性値を示し、しかも熱安定性が良好なジルコニア質
焼結体が得られることが理解できる。
1つでもはずれたもの、又は、ホウ素(B)成分を含まな
いものでは、本発明のジルコニア質焼結体を得ることが
できない。例えば、本発明で規定する「R2O3/ZrO2:1.
3/98.7〜2/98未満」の範囲外である組成No.44(R2O3/
ZrO2:1/99)の比較例では、安定化剤(Y2O3)が微量であ
るので焼結せず、同じく組成No.46(R2O3/ZrO2:2.5/9
7.5)の比較例では、破壊靱性値が7.01MPa√mと低く、所
望のジルコニア質焼結体が得ることができなかった。ま
た、本発明で規定するR2O3/ZrO2モル比の範囲内であっ
ても、ホウ素(B)成分を含まない組成No.27、28の比較例
及びホウ素(B)成分が本発明で規定する範囲を超えて添
加した組成No.31では、表5で明らかなように熱安定性
が劣るものであった。
が本発明の所定範囲内で、かつ、本発明に係る添加物
(ホウ素化合物、Al2O3及び/又はSiO2)がそれぞれ本発
明の所定範囲内となるように調製した原料配合物を用い
ても、仮焼条件において500〜1200℃の範囲外の条件下
にて行った場合、又は、原料の比表面積或いは本焼成条
件が本発明の所定範囲外のものでは、結果として、本発
明のジルコニア質焼結体が得られない。
囲(500〜1200℃)外の1400℃で仮焼した比較例及び仮焼
しなかった比較例(表6の組成No.45参照)では、前者は
曲げ強度が20.39kgf/mm2と極端に低く、後者について
は低破壊靱性値(5.21MPa√m)のものが得られた。また、
原料の比表面積が本発明で規定する範囲(化学合成法で3
m2/g以上)外である2m2/gの原料を使用した表6に示す
組成No.45では、曲げ強度が低く、しかも熱安定性の悪
いものが得られた。
規定する範囲(1300〜1650℃)外の1700℃で焼結した比較
例及び1200℃で焼結した比較例(表6の組成No.47参照)
では、前者の高温焼結したものは焼き台との反応が認め
られ、後者の低温焼結によるものでは曲げ強度が8.72kg
f/mm2と極端に低く、いずれも本発明で所望するジルコ
ニア質焼結体が得られなかった。
1の方法に従って作製した原料(表1の組成No.2,9,20
のもので、仮焼温度:1000℃、比表面積:10m2/gのも
の)を用い、焼結後に直径1/2インチのボ−ル形状にな
るように成形した。これを1500℃にて焼成を行い、粉砕
用メディアを作製した。
ストを行った。摩耗テストは、2リットルアルミナ質ボ
−ルミルポットを用い、試料メディア3.6kgと800ccの水
及び電融アルミナ粉末(#325)を入れ、回転数100rpmで4
8時間回転させ、テスト前後のメディア重量の減少量を
測定した。この減少量より使用した粉砕用メディアの摩
耗率を求め、また、熱水テストを行った後の、即ち、オ
−トクレ−ブに入れ、200℃の熱水中にて200時間のエ−
ジングテストを行った後の摩耗率を求め、その結果を表
7に示した。
ジルコニア質焼結体(組成No.9)を用いた粉砕用部品材料
(粉砕用メディア)は、耐摩耗率が小さく、かつ、熱安定
性に優れており、特に熱水テストを行った後において
も、摩耗率の変化が極めて小さいことが認められた。
1の方法に従って作製した原料(表1の組成No.2,9,20
のもので、仮焼温度:1000℃、比表面積:10m2/gのも
の)を使用し、この原料に、表8に示す組成となるよう
に、色剤としてのPr6O11及びEr2O3を秤量し、溶媒とし
てイオン交換水を用い、ゴムライニングのボ−ルミルに
てZrO2質ボ−ルを使用して混練した後、乾燥を行った。
ウンドを作製するため、樹脂とワックスを添加して加熱
ニ−ダ−により加熱混練し、更に、射出成形機内への安
定供給のためにペレット化した。次いで、目的とする
“歯列矯正用ブラケットの所定形状を設計している金型
を保持する射出成形機”に上記コンパウンド(ペレット)
を投入、成形した。この成形体を約350℃の温度でコン
パウンド中の樹脂分を分解、散逸させ、続いて1500℃に
て焼結させた。
磨し、前記実施例1と同様の方法により“ビッカ−ス硬
さ(JIS R1610)”“破壊靱性値(JIS R1607)”を測定し、
また、“熱安定性”を評価した。更に、“3点曲げ強
度”についても測定し、それらの結果を表8に示す。な
お、“3点曲げ強度”は、ファインセラミックスの曲げ
強さ試験方法(JIS R1601)に基づいた試験片形状になる
ように、歯列矯正用ブラケット形状の時と同じ条件に
て、射出成形して作製したものを用いた。
ニア質歯列矯正用ブラケツトは、実施例1と同様、焼結
体の特性として、3点曲げ強度、ビッカ−ス硬さ及び破
壊靱性値とも、ジルコニアセラミックスとしては市販材
料と比較しても優れた値を示し、熱安定性の点に関して
も、ブラケツトの表面は何ら変質することのないことが
確認され、滅菌条件或いは通常口腔内の使用条件を考慮
するならば、全く問題のないことが示唆された。また、
Pr6O11、Er2O3の添加量が本発明で規定する量よりも少
ない場合は、その色が白すぎ(白っぽい淡黄色を呈す
る)、逆に多い場合は、その色が歯より濃すぎるため(茶
系象牙色を呈する)、いずれも歯に接着したときにその
外観色調の違いから、見たときに違和感があり、審美上
好ましくないものであった。
O2を主成分とし、所定範囲の希土類金属酸化物(R2O3)と
所定範囲のホウ素化合物(又は所定範囲のホウ素化合物
と、所定範囲のAl2O3及び/又はSiO2)とを含むことを特
徴とし、これにより熱安定性及び破壊靱性特性に優れた
ジルコニア質焼結体を提供することができる。
製造方法は、所定の原料組成となるように化学合成法又
は酸化物混合法により原料配合物を調製し、これを所定
温度(500〜1200℃)で仮焼した後、解砕工程を経て得た
所定比表面積(化学合成法により得られたもので3m2/g
以上、酸化物混合法により得られたもので10m2/g以上)
の原料粉末を成形し、所定温度(1300〜1650℃)で焼結す
ることを特徴とし、このように本発明の方法によれば、
比較的低い温度で焼結させることが可能であり、しかも
化学合成法による製造のみでなく、比較的安価な製造方
法である酸化物混合法を用いても、従来にない高靱性
で、かつ、熱安定性に優れたジルコニア質焼結体を製造
することができる効果が生じる。
性、断熱性、熱膨張特性、酸素イオン導電性等の様々な
特性を備え、これら各特性を利用して工業的に幅広い応
用分野が望まれているジルコニア質焼結体を提供するこ
とができ、しかも熱安定性に優れ、著しく高靱性なジル
コニア質焼結体を安価に提供することが可能であり、そ
の工業的有用性は極めて大である。
ア質焼結体を用いた粉砕用部品材料によれば、高強度、
強靱性で且つ耐摩耗性、熱安定性に優れ、しかも粉砕効
率の良い粉砕用部品材料が提供される。このような本発
明の粉砕用部品材料は、乾式又は湿式で、セラミック
ス、金属、有機高分子などの粒子を微粉砕する各種粉砕
装置に使用される内張材、メディア等の粉砕用部品材料
として工業的に極めて有用である。
ア質焼結体を用いた歯列矯正用ブラケット材料によれ
ば、高強度、高硬さ、高靱性で、しかも装着時の審美性
に優れ、且つ、熱安定性に優れた歯列矯正用プラケット
材料を提供することができる。
Claims (6)
- 【請求項1】 ZrO2を主成分とし、Yb2O3,Er2O3,Ho2O
3,Y2O3及びDy2O3よりなる群から選ばれる1種又は2種
以上の希土類金属酸化物と、ホウ素化合物とを含むジル
コニア質焼結体であって、ホウ素成分の含有量が酸化ホ
ウ素(B2O3)に換算して0.05〜8モル%であり、かつ、上
記希土類金属酸化物(R2O3)とZrO2とのモル比(R2O3/ZrO
2)が1.3/98.7〜2/98未満であり、得られる結晶粒子が
主として正方晶と単斜晶の混合相よりなることを特徴と
するジルコニア質焼結体。 - 【請求項2】 ZrO2を主成分とし、Yb2O3,Er2O3,Ho2O
3,Y2O3及びDy2O3よりなる群から選ばれる1種又は2種
以上の希土類金属酸化物と、ホウ素化合物と、Al2O3及
び/又はSiO2とを含むジルコニア質焼結体であって、ホ
ウ素成分の含有量が酸化ホウ素(B2O3)に換算して0.05〜
8モル%、上記希土類金属酸化物(R2O3)とZrO2とのモル
比(R2O3/ZrO2)が1.3/98.7〜2/98未満であり、かつ、
Al2O3の含有量が0.1〜5モル%及び/又はSiO2の含有量
が0.05〜1.5モル%であり、得られる結晶粒子が主とし
て正方晶と単斜晶の混合相よりなることを特徴とするジ
ルコニア質焼結体。 - 【請求項3】 前記ホウ素化合物が、酸化ホウ素,窒化
ホウ素,炭化ホウ素、もしくは、請求項1又は2に示さ
れる元素(Zr,Al,Si,Yb,Er,Ho,Y,Dy)とホウ素(B)
との化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載
のジルコニア質焼結体。 - 【請求項4】 ZrO2を主成分とし、Yb2O3,Er2O3,Ho2O
3,Y2O3及びDy2O3よりなる群から選ばれる1種又は2種
以上の希土類金属酸化物(R2O3)と、ホウ素化合物[又
は、ホウ素化合物とAl2O3及び/又はSiO2]とを含むジ
ルコニア質焼結体の製造方法であって、(1)原料組成と
して、前記希土類金属酸化物(R2O3)とZrO2とのモル比(R
2O3/ZrO2)が1.3/98.7〜2/98未満、前記ホウ素化合物
の含有量が酸化ホウ素(B2O3)に換算して0.05〜8モル%
となるように[又は、前記ホウ素化合物の含有量が酸化
ホウ素(B2O3)に換算して0.05〜8モル%と、前記Al2O3の
含有量が0.1〜5モル%及び/又は前記SiO2の含有量が0.
05〜1.5モル%となるように]、中和共沈法,加水分解
法,アルコキシド法などの化学合成法又は酸化物混合法
により原料配合物を調製する工程、(2)上記原料配合物
を500〜1200℃で仮焼する工程、(3)上記仮焼物を、比表
面積が化学合成法により得られたもので3m2/g以上、酸
化物混合法により得られたもので10m2/g以上となるよ
うに解砕する工程、(4)上記解砕粉を成形する工程、(5)
上記成形体を1300〜1650℃で焼結する工程、を含むこと
を特徴とするジルコニア質焼結体の製造方法。 - 【請求項5】 請求項1、2又は3に記載のジルコニア
質焼結体、又は、請求項4に記載の方法によって得られ
たジルコニア質焼結体を用いて構成された粉砕用部品材
料であって、該焼結体の平均粒子径が2μm以下で、且
つ、かさ密度が5.8g/cm3以上であり、100〜300℃の温
度にて大気中、又は、水及び水蒸気中において長時間使
用しても焼結体の劣化が起こりにくいことを特徴とする
請求項1、2又は3に記載のジルコニア質焼結体、又
は、請求項4に記載の方法によって得られたジルコニア
質焼結体を用いた粉砕用部品材料。 - 【請求項6】 請求項1、2又は3に記載のジルコニア
質焼結体、又は、請求項4に記載の方法によって得られ
たジルコニア質焼結体を用いて構成された歯科矯正用ブ
ラケット材料であって、該焼結体の審美性を高めるため
に、色剤として、Pr6O11を0.0001〜0.002モル%、Er2O3
を0.01〜0.2モル%を含み、更に該焼結体の平均粒子径
が2μm以下で、且つ、気孔率が1%以下であり、100〜3
00℃の温度にて大気中、又は、水及び水蒸気中において
長時間使用しても焼結体の劣化が起こりにくいことを特
徴とする請求項1、2又は3に記載のジルコニア質焼結
体、又は、請求項4に記載の方法によって得られたジル
コニア質焼結体を用いた歯科矯正用ブラケット材料。
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AU22666/95A AU683746B2 (en) | 1994-04-22 | 1995-04-19 | Zirconia sinter, process for producing the same, grinding part material, and orthodontic bracket material |
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CA002164118A CA2164118A1 (en) | 1994-04-22 | 1995-04-19 | Zirconia sinter, process for producing the same, grinding part material, and orthodontic bracket material |
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