JPH08296171A - 防虫加工繊維及び防虫加工繊維製品 - Google Patents

防虫加工繊維及び防虫加工繊維製品

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JPH08296171A
JPH08296171A JP8041724A JP4172496A JPH08296171A JP H08296171 A JPH08296171 A JP H08296171A JP 8041724 A JP8041724 A JP 8041724A JP 4172496 A JP4172496 A JP 4172496A JP H08296171 A JPH08296171 A JP H08296171A
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insect repellent
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喜代恭 福元
Toshiaki Ai
敏彰 阿井
Hiromoto Sugano
浩基 菅野
Matsutaro Ueda
松太郎 上田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防虫剤の使用量が任意に設定することがで
き、防虫効果が高く、かつ洗濯などに対する耐久性が大
きい防虫加工繊維又は防虫加工繊維製品を得る。特に防
虫剤の保持が難しいパンティストッキングについても耐
久性を大きくする。 【解決手段】 防虫成分とともに乳化剤又は可溶化剤を
配合してなる防虫溶液を用いてポリウレタン弾性繊維を
処理し、該繊維に防虫成分を保持させた防虫加工繊維製
品。防虫成分とともにアニオン系界面活性剤を配合して
なる防虫溶液を用いてポリウレタン弾性繊維を処理した
防虫加工繊維。前記防虫成分としてエムペントリンを配
合すること。前記防虫溶液を用いて処理した後、バイン
ダーを含む溶液で処理すること。前記防虫加工繊維を用
いた防虫加工繊維製品、例えば防虫ストッキング、タイ
ツあるいは靴下類、防虫ヘアーバンドあるいはリストバ
ンド類、防虫サポーター類、または防虫腹巻。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防虫成分を保持し
た防虫加工繊維または製品および防虫加工用組成物に関
し、特に繊維の特性を利用して防虫成分の保持能力が高
くすることができ、耐久性のある防虫効果を有する防虫
加工繊維及びその製品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から繊維或いは繊維製品に防虫効果
を有するようにすることが要望され、これに関する技術
について種々の研究開発が行われており、例えば最終的
な繊維製品に防虫剤をスプレーする方法、防虫剤と糊剤
や熱可塑性重合体との混練物を繊維製品の表面に塗布す
る方法(特開昭61−284210号公報)、繊維構造
物に、昆虫又はダニ類の忌避剤と、それと相溶性のある
水不溶性樹脂からなる液を含浸し、絞り、乾燥及び熱処
理することにより、洗濯耐久性ある昆虫又はダニ類に対
する忌避効果を有する繊維構造体を製造する方法(特開
平2−269880号公報)、昇華性防虫剤を含有した
有孔樹脂皮膜を表面に有するようにした防虫繊維構造物
(特開平3−234877号公報)が提案されている。
【0003】また、昆虫忌避成分、特定の構造式を有す
るジカルボキシイミド誘導体、炭素数10〜20のパラ
フィン系炭化水素及び/又は界面活性剤を含む昆虫忌避
剤で繊維又は繊維製品を処理すること(特開平4−22
5902号公報)、繊維形成用ポリマーからなり、繊維
表面から内部の中空部まで貫通溝を有するような中空繊
維を形成し、その中空部に防虫剤、バインダー及び撥水
剤を付着させるようにし、その中空繊維を少なくとも一
部に用いて繊維構造物を形成すること(特開平6−22
8882号公報)、あるいはN,N−ジエチル−m−ト
ルアミド等の虫の忌避剤を全体に付着させると共に表面
に撥水剤をスプレーで噴霧したことを特徴とする虫よけ
ストッキング(特開平3−113002号公報)があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにして得ら
れた防虫繊維あるいは防虫繊維製品は、それらに付着し
た忌避剤等の防虫剤について耐久性を与え、耐洗濯性を
与えるなどの効果を与えるが、特公平6−104922
号公報で指摘されているように、、耐久性があまり高く
なく商品価値の低いものであった。
【0005】別の方法として防虫剤をマイクロカプセル
化したものを繊維に付着させる防虫加工法は、従来の含
浸方法に比して防虫剤の耐久性に優れている点があり、
意図的な摩擦による防虫剤の発散作用により防虫効果が
発揮されるものの、実際の着用状態においては、カプセ
ルの破裂性は小さく、実質的には防虫剤のカプセルを用
いると使用量に限界があり、任意に使用量を設定でき
ず、充分な防虫効果を付与できない場合があり、通常工
程を想定した場合に生地の全面に均一に付着せしめられ
るのは工業的に難しい。
【0006】特に、繊維製品として、パンティストッキ
ングに加工する場合、バインダーを用いる加工では編組
織の密なパンティ部に大量に付着しやすく、効果の要求
されるレッグ部には編組織が粗の為、付着しにくいとい
う欠点を有していた。
【0007】本発明は、防虫剤の使用量が任意に設定で
き、かつ優れた防虫効果と耐久性が工業的に安定で、品
質のバラツキが少ない防虫加工繊維及び防虫加工繊維製
品、特にパンティストッキングを提供することを目的と
するものである。本発明は、防虫能力が高く、繊維の風
合いを損ねることがなく、かつ保持させた防虫剤につい
ての耐洗濯性が高いなど耐久性が高い防虫加工繊維ある
いは防虫加工繊維製品を提供することを目的とするもの
である。
【0008】また、本発明は、それらが保持する防虫剤
が人体に接触することを極めて少なくして、防虫剤によ
る人体に対する影響をなるべく少なくした防虫加工繊維
あるいは防虫加工繊維製品を提供することを目的とする
ものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記の目的
を達成するために防虫剤をよく繊維に保持し、それでい
て人体に触れる事が無いようにするための手段として、
繊維の種類、構造、また防虫溶液の種類等の面から広く
検討したところ、ポリウレタン弾性繊維がその弾性を示
す関係上、繊維の構造としてその内部に多くの空隙が存
在しており(長い細隙を多数その長さ方向に有してお
り)、その空隙が防虫溶液をその内部に封じ込めてしま
う作用を有していて、このため防虫剤の徐放性を有する
ことができかつ優れた耐洗濯性を有し、また保持してい
る防虫剤が人体に直接接触することにならないなどの利
点を有することを発見した。
【0010】さらに、その防虫溶液として、防虫剤を溶
液状にする際には乳化状態とするのが好適であるが、そ
の際乳化状態とするのに用いる界面活性剤としてアニオ
ン界面活性剤を用いると、乳化状態がよい、優れた防虫
作用を示す、前記ポリウレタン弾性繊維への保持状態が
よいなどの各種の利点があることを見いだし、本発明に
到達した。前記防虫剤を溶液とするためには、乳化剤で
はなく、溶剤のような可溶化剤を使用することも可能で
ある。
【0011】すなわち、本発明は、下記の手段により前
記の目的を達成することができた。 (1)防虫成分とともに乳化剤又は可溶化剤を配合して
なる防虫溶液を用いてポリウレタン弾性繊維を処理し、
該繊維に防虫成分を保持させたことを特徴とする防虫加
工繊維製品。 (2)防虫成分とともにアニオン系界面活性剤を配合し
てなる防虫溶液を用いてポリウレタン弾性繊維を処理
し、該繊維に防虫成分を保持させたことを特徴とする防
虫加工繊維。 (3)前記防虫成分としてエムペントリンを配合したこ
とを特徴とする前記(2)項記載の防虫加工繊維。 (4)前記防虫溶液を用いて処理した後、バインダーを
含む溶液で処理したことを特徴とする(2)又は(3)
項記載の防虫加工繊維。 (5)前記(2)ないし(4)項のいずれか1項記載の
防虫加工繊維を用いた防虫加工繊維製品。 (6)前記(2)ないし(4)項のいずれか1項記載の
防虫加工繊維を用いた防虫ストッキング、タイツあるい
は靴下類、防虫ヘヤーバンドあるいはリストバンド類、
防虫サポーター類、または防虫腹巻。 (7)アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、
および有機溶剤からなる群から選択される少なくとも1
種以上および防虫成分を含む防虫溶液からなることを特
徴とする繊維処理に用いられる防虫加工用組成物。
【0012】本発明は防虫成分を含む防虫溶液をポリウ
レタン弾性繊維自体またはその繊維を使用した製品に処
理し、防虫成分を該繊維に保持させることにより防虫機
能を発揮させる防虫加工繊維または防虫加工繊維製品を
提供するものである。本発明においては、上記防虫溶液
の処理と同時もしくはその後にバインダーを該繊維へ処
理することが好ましい。
【0013】防虫加工された繊維、即ち防虫加工繊維
は、これを通常の技術で更に織物もしくは編み物として
防虫加工された製品、即ち防虫加工繊維製品とすること
ができる。この製品は少なくとも一部に該防虫加工繊維
を使用していればよい。
【0014】また、本発明においては、ポリウレタン弾
性繊維を少なくとも使用した製品(布、編み物等の中間
品も含む)を防虫溶液にて処理して得られた製品もポリ
ウレタン弾性繊維製品に含む。該防虫成分は乳化剤又は
可溶化剤に配合されて溶液あるいは懸濁液等の液剤形態
である防虫溶液に含有される。
【0015】即ち、防虫溶液は少なくとも防虫成分およ
び乳化剤又は可溶化剤からなる。また、本発明は防虫溶
液からなることを特徴とする繊維処理に用いられる防虫
加工用組成物を提供する。この防虫加工用組成物は処理
対象がポリウレタン弾性繊維に限定されず、任意の繊維
に適用され得るものである。例えば、ポリウレタン以外
の繊維としては、例えばナイロン、ポリエステル、セル
ロース等が挙げられる。
【0016】防虫加工用組成物は、アニオン系界面活性
剤、ノニオン系界面活性剤、および有機溶剤からなる群
から選択される少なくとも1種以上および防虫成分から
なる。その他にバインダー、柔軟剤、緩衝剤、撥水剤
(パーフルオロアルキルアクリレート共重合体、エポキ
シ変性ジメチルポリシロキサン等)、包接剤(デキスト
リン等)、染料固着剤(ポリアミドポリエステル誘導体
等)等が防虫加工用組成物と適宜併用される。この併用
は本発明もしくは本発明以外の防虫加工処理工程で適宜
添加される形態で使用される。
【0017】前記の乳化剤又は可溶化剤としては、従来
公知の乳化剤、可溶化剤が使用できる。乳化剤、可溶化
剤としては、好ましくは各種の界面活性剤や有機溶剤が
挙げられ、特に好ましくは界面活性剤であり、その中で
もアニオン系界面活性剤が好適である。また、有機溶剤
としては防虫成分を乳化もしくは可溶化することがで
き、かつ水に対して相溶性のあるものが好ましい。
【0018】界面活性剤の例を挙げると、アニオン系界
面活性剤としては、例えば石鹸、硫酸の脂肪族モノエス
テル塩、例えばナトリウムラウリルサルフェート、スル
ホン化芳香族化合物の塩、例えばナトリウムドデシルベ
ンジルスルホネート、リグノスルホネート、ブチルナフ
タレンスルホネートのナトリウム、カルシウム、アンモ
ニウム塩、ジイソプロピル及びトリイソプロピルナフタ
レンスルホネートのナトリウム塩の混合物等が挙げられ
る。カチオン系界面活性剤としては、第四級アンモニウ
ム化合物、例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロ
マイド等が挙げられる。さらにノニオン系界面活性剤と
しては、エチレンオキシドとオレイルアルコール又はセ
チルアルコール等の脂肪族アルコール又はオクチルフェ
ノール、ノニルフェノール及びオクチルクレゾール等の
アルキルフェノールとの縮合生成物が挙げられる。さら
にこの他に、直鎖脂肪酸とヘキシトール無水物とから誘
導される部分エステル、該部分エステルとエチレンオキ
シドとの縮合生成物及びレシチン等が挙げられる。
【0019】有機溶剤としては、シクロヘキサン、イソ
ホロン、アセトフェノン、メチルイソブチルケトン等の
ケトン、アニソール等のエーテル、酢酸ヘキシル及び安
息香酸メチル等のエステル、植物油、N−メチルピロリ
ドン等のアミド、1,1,1−トリクロロトルエン、ク
ロロパラフィン、クロロトルエン等の塩化炭化水素、ア
ルキルベンゼン及びメチルナフタレン等の芳香族炭化水
素、アルキルシクロパラフィン、分岐鎖アルカン等の脂
肪族炭化水素、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル等のアルコールエーテル、プロピレングリコール及び
テトラヒドロフルフリルアルコール、イソプロピルベン
ゼン、オクタン、キシレン、シクロペンタン、スチレ
ン、灯油、ドデシルベンゼン、ヘキサン、ペンタン、メ
チルシクロヘキサン等の炭化水素、アリルクロリド、塩
化ブチル、クロロベンゼン、クロロトルエン、ジクロロ
ベンゼン、ブロモベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ア
ミルアルコール、アリルアルコール、エタノール、プロ
パノール、メタノール等のアルコール、アニソール、ジ
オキサン、シネオール、ジメチルエーテル、メチル−t
−ブチルエーテル等のエーテル、ケトン、アセト酢酸
類、蟻酸類等のエステル、エチレングリコール、グリセ
リン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロ
ピレングリコール類等の多価アルコール及びその誘導
体、フェノール類等さらにイソパラフィンやノルマルパ
ラフィン等のパラフィン系炭化水素又はそれらの混合物
が挙げられる。この中でも、親水性の有機溶剤を使用す
る場合には、防虫溶液に界面活性剤をあえて配合しなく
ともよい。
【0020】また、本発明は乳化剤又は可溶化剤として
界面活性剤を使用できる。また、本発明に使用すること
ができる有機溶剤を具体的示すと、アイソパーE(エッ
ソ社製)、EXXSOL DSP80/100(エクソ
ン社製)、スーパーゾル FP20(出光興産社製)、
スーパーゾル LA25(出光興産社製)、アイソゾー
ル200(日本石油化学社製)等が挙げられる。
【0021】バインダーとしては、特に制限はないが、
弾性があり、防虫成分の繊維への保持を強固にする繊維
接着機能を有し、防虫成分の揮散を阻害しないものが好
ましい。具体的にはアクリル酸エステル樹脂、メタクリ
ル酸エステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹
脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、スチレンブタジ
エンラテックス、ポリオレフィン樹脂、フェノール系樹
脂、化学処理または天然澱粉等の糊剤、ポリアクリル
酸、メタクリル酸、これらの誘導体(例えばハロゲン化
物等)又はこれらと他のビニル系ポリマーとの共重合体
等が挙げられる。
【0022】防虫溶液とするに際しては、これら防虫成
分と乳化剤又は可溶化剤を適宜配合して使用条件に適し
た防虫溶液とすることができる。防虫溶液組成としては
特に制限はないが、具体的には防虫溶液全体に対し防虫
成分が10〜50重量%、界面活性剤が防虫成分に対し
10〜20重量%、有機溶剤(有機溶剤に代えて水を用
いる場合は水)が残部とする範囲が好ましい。また、防
虫成分の使用量は、処理するポリウレタン弾性繊維の重
量に対し0.1〜2.5重量%が好ましい。また、バイ
ンダーの使用量は、繊維重量に対して15倍の水を加え
た時に、水中での含有濃度が0.1重量%程度が適切で
ある。この時のバインダーは、処理するポリウレタン弾
性繊維の重量に対し0.1〜5重量%、好ましくは0.
1〜2.5重量%である。
【0023】また、防虫溶液に溶剤として水を用いる場
合は、界面活性剤の使用量を防虫成分に対し30〜40
%程度使用することが好ましい。また、本発明の防虫加
工用組成物としては、上記防虫溶液組成に準じて調製さ
れる。本発明で用いる防虫成分としては、殺虫剤、忌避
剤、防虫剤、精油などを用いることができる。
【0024】殺虫剤としては、ピレスロイド系、有機リ
ン系、カーバメート系を用いることができるが、人体に
少量触れても影響がないものでなければならない。本発
明の防虫加工繊維では殺虫することはその目的とすると
ころでないから、従来殺虫剤に分類されているもので
も、忌避作用がある程度の量で使用すればよい。具体的
にはポリウレタン弾性繊維の繊維重量に対し0.05〜
1.0重量%の防虫成分が保持されるように防虫溶液に
て処理することが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明に使用される防虫成分は、
その選定においては、防虫溶液によるポリウレタン弾性
繊維またはその繊維製品の処理中に揮発しにくく、例え
ばパンティストッキングの製造工程における型付セット
処理においても著しく揮散しないものが好ましく、蒸気
圧で10-3〜10-5mmHg程度のものが望ましい。ピ
レスロイド系殺虫剤としては、エムペントリン、ペンフ
ルスリン、テラレスリン、アレスリン、バイオアレスリ
ン、エキスリン、エスバイオール、レスメトリン、フラ
メトリン、プラレトリン、フタルスリン、フェノトリ
ン、ペルメトリン、シフェノトリン等が挙げられる。さ
らに有機リン系およびカーバメイト系殺虫剤としては、
フェニトロチオン、ピリミホスメチル、マラチオン、プ
ロポクサー、ベンジオカルブ等の従来から知られている
各種のものを挙げることができるが、その中でもエムペ
ントリン、ベンフルスリン、テラレスリンが好ましく、
さらにエムペントリンが好ましい。
【0026】忌避剤としては、2−エチル−1,3−ヘ
キサンジオール、インダロン、フタル酸ジメチル、N,
N−ジメチル−m−トルアミド、N−ブチルアセトアニ
リド、プロピル−N,N−ジエチルサクシナート、N,
N−ジエチルフェニルアセトアミド、イソアミル−エチ
レングリコールアセトアミド、シクロヘキサン−アルカ
ノイックカルボキシアミド、ジメチル−2−クロロベン
ズアミド、2−クロロ−N,N−ジエチルベンズアミド
等が挙げられる。
【0027】防虫剤としては、樟脳、ナフタレン、パラ
ジクロルベンゼン、イソボルニル、チオシアノ酢酸、
1,2−ベンゼンジカルボン酸ジエチルエステル等が挙
げられる。精油としては、シネオール、シトロネラー
ル、ゲラニオール、ピプリトン、リモネン、シトラール
等が挙げられる。
【0028】本発明で用いるポリウレタン弾性繊維につ
いては、従来から知られたものがいずれも使用できる
が、その空隙を利用する関係から、防虫溶液の保持に適
したものを使用することが好ましい。具体的には、オペ
ロン(東レ・デュポン社製)、エスパ(東洋紡績社
製)、フジボウスパンデックス(富士紡績社製)、モビ
ロン(日清紡績社製)、ロイカ(旭化成工業社製)、ル
ーベル(鐘紡社製)が挙げられる。
【0029】また、ポリウレタン弾性繊維は、弾性を有
するが強度が比較的小さいことから、本発明の防虫加工
繊維又は防虫加工繊維製品を作るさいには、このポリウ
レタン弾性繊維単独ではなく、他の繊維ととともに紡糸
するとか、ナイロン、ポリエステル、アクリル等との複
合糸にするとか、織るようにすることにより、広い用途
に適合させることができる。
【0030】特に、パンティストキングなどは、極めて
細い糸でしかも薄く編む関係で、このポリウレタン弾性
繊維を中心とし、その周りにポリアミド糸のような強度
の高い糸を絡ませるように巻いて形成したカバリング糸
を用いて編むことが好ましい。本発明において防虫溶液
の処理に供されたポリウレタン弾性繊維から製造される
製品もしくは該処理に供される製品としては、ブラジャ
ー、ガードル、コルセット等のファンデーション類、リ
ストバンド、ヘアーバンド類、セーター、肌着、パンテ
ィストッキング、くつ下類、サポーター類、腹巻、水
着、ワイシャツ、スラックス、作業着、軍服等が挙げら
れる。これら製品は少なくともその製品の一部が本発明
の防虫溶液により処理されたものであればよい。
【0031】本発明では、ポリウレタン弾性繊維がその
弾性を示す関係上、繊維の構造としてその内部に多くの
空隙が存在しており(長い細隙を多数その長さ方向に有
しており)、その空隙が防虫溶液をその内部に封じ込め
てしまう作用を有していて、このため防虫成分の徐放性
を有することができ、かつ耐洗濯性に優れまた保持して
いる防虫成分が人体に直接接触することが少ないなどの
利点を有する。
【0032】さらに、その防虫溶液として、防虫成分を
液状にする際には乳化状態とするのが好適であるが、そ
の際乳化状態とするのに用いる乳化剤又は可溶化剤とし
て特にアニオン界面活性剤を用いると、乳化状態がよ
い、優れた防虫作用を示す、前記ポリウレタン弾性繊維
への保持状態がよいなどの各種の利点がある。また、防
虫加工製品の製造時における熱処理、乾燥処理において
防虫成分に対する耐熱性を向上させることができる。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。 実施例1〜15 各種のポリウレタン弾性繊維に対し、防虫成分を保持さ
せた各種の製品を例示する。また、その防虫溶液組成例
を表1に示す。表1中、防虫溶液の防虫成分の%は、防
虫溶液全体に対する重量%、界面活性剤は防虫成分に対
する重量%、溶剤は残部である。バインダーの%は繊維
重量に対する重量%である。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】実施例16 (1)パンティストッキング製造工程 a.編み・染色 ポリウレタン弾性繊維を中心とし、その周りにポリアミ
ド糸のような強度の高い糸を絡ませるように巻いて形成
したカバリング糸を用いてパンティストッキングを編機
で編み立てた後、染色機(スミスドラム型)で染色を行
った。各製造工程で物理的な運動を行うため、ストッキ
ングを染色袋に入れて染色工程以降の工程を行うように
して損傷を防いだ。この場合、ストッキングは1袋12
0足の生地を3袋として染色、防虫加工を行った。
【0037】b.色止め処理(フィックス処理) 染色の色落ちなどを防止するための処理であって、染色
後、染色液を排水した後、新たに給水し、フィックス剤
を投入して高温(80〜90℃)で処理した。 c.防虫加工・柔軟処理 フィックス処理を終えた後、排水、給水し、防虫加工を
行い、この場合柔軟処理も兼ねさせた。まず、最初に防
虫成分として実施例1の防虫溶液を加工浴に投入し、そ
の後バインダーを投入し、1時間処理した。その後、繊
維の風合いを向上させるために適当な柔軟剤を適量投入
し低温(40℃前後)で処理した。処理した後、排水
し、脱水後に型付け工程へ送った。
【0038】型付け工程へ送る前、脱水、乾燥後、未セ
ットのストッキングへの防虫成分の付着量をパンツ部と
レッグ部に分けて定量した(表3)。 d.型付けセット 柔軟処理後、排水し、染色袋ごと生地を遠心脱水した。
その後、生地を取り出し、蒸気を当て、さらに乾燥させ
る型付けセット工程を通した。その際の蒸気の温度は1
15℃で15秒、乾燥は118℃で20秒とした。この
型付セットしたストッキングへの防虫成分の付着量をパ
ンツ部とレッグ部に分けて定量した(表3)。
【0039】実施例17 実施例16において、1袋120足の生地を2袋として
染色、防虫加工を行ったほかは、実施例16と同じ条件
で処理し、未セットおよび型付セットのストッキングへ
の防虫成分の付着量を測定した(表3)。 実施例18 実施例16において、35足の生地を1袋として染色、
防虫加工を行ったほかは、実施例16と同じ条件で処理
し、未セットおよび型付けセットのストッキングへの防
虫成分の付着量を測定した(表3)。
【0040】比較例1 従来の方法で調製した防虫加工剤(マイクロカプセル;
エムペントリン内包率85%、シリコン系バインダー水
性エマルジョン2.0%、アクリル系バインダー水性エ
マルジョン3.5%)のエムペントリンが本発明の防虫
溶液のエムペントリンと同量になるように防虫加工剤を
本発明の防虫溶液に代えて使用した他は、実施例16〜
18と同様にストッキングを処理し、未セットおよび型
付けセットのストッキングへの防虫成分の付着量を測定
した(表3)。
【0041】
【表3】
【0042】表3から本発明の実施例は比較例に比べレ
ッグ部への防虫成分の付着がパンツ部に比べて極めて大
きく、加工効率および防虫効果が高いことがわかる。
【0043】実施例19 本発明における防虫加工の効果を確認するために、各種
繊維における防虫剤の吸着・付着量の程度の差を測定し
た。試料の素材としては次の各種の繊維の各10gを使
用した。 1.レッグ用カバリング糸 E 20/12−5 2.レッグ用ポリアミド糸 N66 NF15−3 3.パンツ用カバリング糸 M 30/25−7 4.パンツ用ポリアミド糸 N630−10 パンティストッキングにおいては、レッグ部は薄いこと
が必要であるが、腰の部分にくるパンツ部は強度が必要
であるため、通常レッグ部分よりも太く強度が高いを糸
を使用し、かつその編みの密度も高くしている関係か
ら、別の糸を使用しているので、この場合においても2
種の試料を使用した。
【0044】なお、前記試料において、その表示の意味
は、例えば「E 20/12−5」の場合、20デニール
のポリウレタンに12デニールのポリアミド糸をカバリ
ングしたものでポリアミド糸のフィラメントが5本のも
のであることを意味する。これに、実施例1と同一組成
の防虫溶液(ただし、繊維重量に対し防虫成分が1.0
%)に浸漬して含浸させ、乾燥した。
【0045】この防虫処理をした各試料を分析して、そ
れらにおける有効成分の付着量を測定した。この場合、
各試料について防虫溶液中の有効成分の投入量は100
mgとなるようにした。各試料の有効成分の付着量の測
定結果を表4に示す。これによれば、同条件の加工にお
いてポリウレタン弾性繊維使用の素材がポリアミド単独
の素材と比べて付着量が高いということがわかる。
【0046】
【表4】
【0047】実施例20 本発明の防虫加工繊維の耐久性に関する試験を行った。
ポリウレタン弾性繊維を3タイプ、ポリアミド繊維を2
タイプ用い、防虫溶液として実施例2のもので防虫成分
量が50mgの防虫溶液を使用して20分間防虫加工
し、それに緩衝液を加えてpH調整をし、50分間処理
し、処理液を排出し、脱水する。これにより防虫成分を
吸収させる。このようにして得た加工素材を洗濯のJI
S L 0217の103号で2回洗濯を行い、繊維に
付着している防虫成分の量を測定した。その測定結果を
表5に示す。この表5に示す結果によれば、ポリウレタ
ンとポリアミドへの吸収の仕方に明白な差異が認められ
る。また、この場合、バインダーを使用していなくとも
耐洗濯性の保持はポリウレタン弾性繊維への吸収が大き
く寄与しているといえる。
【0048】
【表5】
【0049】実施例21 本発明の防虫加工繊維の蚊に対する忌避効力を実際に試
験してその効果を確認した。 (1)供試サンプル 実施例1および比較例1、比較例1においてエムペント
リン内包率を95%としたもの(比較例2とする)の防
虫溶液を用いて各種の防虫パンティストッキングを作成
し、供試サンプルとして使用した。ただし、試料No.
6は防虫剤を保持しないものである。表6に防虫成分の
レッグ部付着量を示す。 (2)供試虫 ヒトスジシマカ雌成虫
【0050】
【表6】
【0051】(3)試験方法 供試虫を入れた25×25×25cmのゲージに、試料
のストッキングを腕にはめた状態で両腕を挿入し10分
間吸血させる。今回の試験では4名が吸血試験を行い、
2点ずつサンプルの忌避効果を経時的な飛来数と吸血率
で比較した。 (4)試験結果 その試験結果を表7及び表8に示す。未加工品(No.
6)の試験では飛来数及び吸血率が非常に高いことか
ら、供試虫に充分な活性があると確認できる。
【0052】レッグ付着量が多い方が飛来数は少ないが
多少のバラツキがある。カプセル内包率による差はみら
れなかった。また、個人差はあるが、カプセル品に対し
てリキッド品の方が飛来数が少ない傾向であった。
【0053】
【表7】
【0054】
【表8】
【0055】さらに試験者をA〜Jに変更し、かつ防虫
成分のレッグ部付着量(分析値)を変更した他は表3の
防虫溶液(試料Noが対応)を用いて上記と同様に試験
した結果を表9に示した。
【0056】
【表9】
【0057】実施例22 本発明の防虫加工繊維でつくった繊維製品の蚊に対する
忌避効果についての耐洗濯性に関する試験を行った。 (1)供試サンプル 実施例1に示した防虫ストッキングを用い、その洗濯し
たものと洗濯しないものを供試サンプルとした。また、
防虫加工していない無処理品も対照例とした。なお、下
記試験検体の洗濯品は、その洗濯をJIS L 021
7の103号の試験方法に規定されている方法によった
ものである。 試験検体: 防虫ストッキング(I):未使用品 防虫ストッキング(II):洗濯5回品 対照検体: ストッキング(無処理品) なお、前記試験検体における洗濯前と洗濯後の有効成分
の付着量によって影響されることを考慮して、事前にそ
れぞれの試験検体における有効成分の付着量を測定し
た。その測定結果は、表11に示す。表11では、その
レッグ部について測定した。そこにおける5回洗濯品の
洗濯後の有効成分付着率は、平均値で未使用品を100
としたとき、77.45であった。 (2)供試虫 ヒトスジシマカ雌成虫(Aedes albopictus) 羽化後3〜7日の雌成虫を使用した。
【0058】(3)試験方法 3.7×3.7×高さ2.4m=32.9m3 の試験
室に約20個体の供試虫を放った。 モニターは検体のストッキングを履き、1室あたり2
名入室した。 入室後、10分間ストッキング部分への吸血虫数をカ
ウントした。この場合吸血虫数はストッキング上から吸
血活動を開始した虫数で表した。また、ストッキング上
以外の皮膚に止まった供試虫は追い払うようにした。試
験検体によっては、飛来しても吸血しない蚊もあること
を考えられるため、飛来数と吸血虫数をカウントした。 試験終了後は、室内の供試虫をネットと吸虫管を用い
て採取し、供血の有無を個体別にろ紙の上で押しつぶし
て確認した。各試験は、同一使用の試験室を3つ用い、
合計6名のモニターを対象に実施した。各試験室の室温
は22℃、換気は自然換気(約0.4回/時間)であっ
た。 (4)試験結果 試験結果を表10に示す。
【0059】
【表10】
【0060】
【表11】
【0061】試験によれば、対照検体の未処理ストッキ
ングは、吸血行動率が70%以上の高値を示した。ま
た、その吸血行動した虫のすべてにおいて吸血が確認さ
れた。これに対して、試験検体の防虫ストッキングで
は、5回洗濯品においては蚊が飛来したのみで(飛来
率:1.7%)、吸血されることがなかった。また未使
用品では飛来率が3.3%で、吸血行動率が1.7%で
あったが、実験終了後の採取した供試虫は吸血していな
かったことが確認された。また、対照検体ではモニター
の体周辺に供試虫が集まるものの、試験検体を着用した
場合は、いずれの検体も供試虫がストッキングだけでな
くモニター周辺からも忌避されている状況が確認され
た。このことから、防虫ストッキングのヒトスジシマカ
に対する忌避効力は優れており、また、未使用品から少
なくとも5回洗濯品まで安定した効力が持続しているこ
とも確認された。
【0062】
【発明の効果】本発明は、その防虫加工繊維がポリウレ
タン弾性繊維を素材としているため、防虫剤をその繊維
内部に包み込んで保持するため、防虫剤の使用量が任意
に設定でき、かつ優れた防虫効果と耐久性が工業的に安
定で、品質のバラツキが少ないという優れた効果を奏す
る。本発明は、防虫能力が高く、繊維の風合いを損ねる
ことがなく、かつ保持させた防虫剤についての耐洗濯性
が高いなど耐久性が高い防虫加工繊維あるいは防虫加工
繊維製品を得ることができる。特に、従来防虫剤を保持
することが困難であったパンティストキングについて高
い防虫効果と耐久性を与えることができる優れた効果を
有する。また、本発明は、防虫加工繊維あるいは防虫加
工繊維製品が保持する防虫剤が人体に接触することを極
めて少なくして、防虫剤による人体に対する影響をなる
べく少なくすることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A01N 53/02 A41D 20/00 A41D 20/00 31/00 501Z 31/00 501 A41B 17/00 Z // A41B 17/00 A01N 53/00 502A D06M 101:38 D06M 13/00 (72)発明者 上田 松太郎 兵庫県赤穂市坂越3150

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 防虫成分とともに乳化剤又は可溶化剤を
    配合してなる防虫溶液を用いてポリウレタン弾性繊維を
    処理し、該繊維に防虫成分を保持させたことを特徴とす
    る防虫加工繊維製品。
  2. 【請求項2】 防虫成分とともにアニオン系界面活性剤
    を配合してなる防虫溶液を用いてポリウレタン弾性繊維
    を処理し、該繊維に防虫成分を保持させたことを特徴と
    する防虫加工繊維。
  3. 【請求項3】 前記防虫成分としてエムペントリンを配
    合したことを特徴とする請求項2記載の防虫加工繊維。
  4. 【請求項4】 前記防虫溶液を用いて処理した後、バイ
    ンダーを含む溶液で処理したことを特徴とする請求項2
    又は請求項3記載の防虫加工繊維。
  5. 【請求項5】 請求項2ないし請求項4のいずれか1項
    記載の防虫加工繊維を用いた防虫加工繊維製品。
  6. 【請求項6】 請求項2ないし請求項4のいずれか1項
    記載の防虫加工繊維を用いた防虫ストッキング、タイツ
    あるいは靴下類、防虫ヘアーバンドあるいはリストバン
    ド類、防虫サポーター類、または防虫腹巻。
  7. 【請求項7】 アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面
    活性剤、および有機溶剤からなる群から選択される少な
    くとも1種以上および防虫成分を含む防虫溶液からなる
    ことを特徴とする繊維処理に用いられる防虫加工用組成
    物。
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