JPH08296027A - ステンレス鋼の製造方法 - Google Patents

ステンレス鋼の製造方法

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JPH08296027A
JPH08296027A JP10575595A JP10575595A JPH08296027A JP H08296027 A JPH08296027 A JP H08296027A JP 10575595 A JP10575595 A JP 10575595A JP 10575595 A JP10575595 A JP 10575595A JP H08296027 A JPH08296027 A JP H08296027A
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JP
Japan
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stainless steel
oxide film
elution
metal ions
weight
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Application number
JP10575595A
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English (en)
Inventor
Akiko Miyake
明子 三宅
Toshio Shibuya
敏生 澁谷
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Shinko Pantec Co Ltd
Original Assignee
Shinko Pantec Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 NiおよびMnを含む全金属イオンの溶出
量、特にNi、Mnの溶出量の極めて少ないステンレス
鋼の製造方法を提供する。 【構成】 Crを16〜32重量%含有するフェライト
系ステンレス鋼を清浄化処理した後、酸化性雰囲気中で
加熱処理する。また、Crを16〜32重量%含有する
フェライト系ステンレス鋼を清浄化処理した後、酸化性
雰囲気中で加熱処理して表面に酸化被膜を形成し、その
後にこの酸化被膜を溶解除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属イオン、特にFe
イオン、Crイオン、Niイオン、Mnイオン等の金属
イオンの溶出を嫌う半導体製造装置、純水装置、医薬品
製造装置等の分野、特に超精密洗浄用の超純水あるいは
温超純水供給系で使用されるステンレス鋼製の機器、配
管、部品等の材料として好適であるステンレス鋼の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】上記
した産業分野では、装置を構成する配管、弁類、貯槽な
どに使用されるステンレス鋼は、通常、表面に不動態被
膜が形成され、耐食性は向上するが、特に金属イオンの
溶出を嫌う半導体製造分野に用いるには耐溶出性が不十
分である。
【0003】即ち、半導体製造分野など高純度の超純水
が使用される分野での装置材料に対する金属イオンの溶
出量の制限は極めて厳しく、64Mビットクラスの半導
体の製造においては、ウエハ上の金属不純物の原子数が
1010atoms /cm2 程度以下にする必要があると言われ
ている。
【0004】この点に関して、特願昭60−26083
号には、ステンレス鋼に高温酸化を施して着色酸化被膜
を形成させる方法が開示されている。この方法によれ
ば、ステンレス鋼の表面が安定なFe、Crの酸化物で
被覆され、その厚さは数100Åとなるため、通常の不
動態被膜で覆われたステンレス鋼よりは金属イオンの溶
出は少なくなるが、上記半導体製造に適用しうるレベル
でない。そこで、この技術を改良するものとして、特公
平2−1916号公報には、「清浄化処理したオーステ
ナイト系ステンレス鋼の表面に酸化性雰囲気中で加熱処
理して着色酸化被膜を形成し、しかるのちこの着色酸化
被膜を溶解除去することにより、Fe溶出分の少ないス
テンレス鋼を得ることができるステンレス鋼の表面処理
方法」が開示されている。この方法によれば、Fe分の
溶出は減少させることはできるが、Ni、Mn等の溶出
量が多い。従って、上記公報記載の方法で表面処理した
ステンレス鋼は、64Mビットクラス用の超純水あるい
は温超純水供給系としては十分適用できるが、半導体記
憶素子の集積度がさらに向上した場合は不十分なレベル
である。
【0005】本発明は従来の技術の有するこのような問
題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、Ni
およびMnを含む全金属イオンの溶出量、特にNi、M
nの溶出量の極めて少ないステンレス鋼の製造方法を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の要旨は、Crを16〜32重量%含有するフ
ェライト系ステンレス鋼を清浄化処理した後、酸化性雰
囲気中で加熱処理することを特徴とするステンレス鋼の
製造方法を第一の発明とし、Crを16〜32重量%含
有するフェライト系ステンレス鋼を清浄化処理した後、
酸化性雰囲気中で加熱処理して表面に酸化被膜を形成
し、その後にこの酸化被膜を溶解除去することを特徴と
するステンレス鋼の製造方法を第二の発明とする。
【0007】加熱処理前に行う清浄化処理としては、脱
脂、酸洗、機械研磨、電解研磨などの処理を行うことが
できる。また、加熱処理温度は350〜450℃が好ま
しく、加熱時間は5分〜2時間が好ましい。さらに、酸
化被膜の溶解除去手段としては、酸洗を適用できる。
【0008】
【作用】ステンレス鋼の表面は一般的にCr濃度が高
く、結合水を有しているので、ステンレス鋼表面には水
和酸化物からなる不動態被膜が形成されている。この不
動態被膜により金属のイオン化、すなわち、金属イオン
の溶出が速度論的に抑制される。しかし、金属イオンの
溶出速度はステンレス鋼の表面組成や状態に大きく依存
しており、機械研磨を施しただけでは表面に加工変質層
が残存し、不動態被膜の保護性は低く、溶出速度は大き
い。また、ステンレス鋼の清浄化処理手段として電解研
磨を施し、加工変質層を完全に除去すると、保護性の高
い不動態被膜が形成されるが、厚み方向の原子濃度
(%)は、図1に示すように、極表層部にはFeとCr
が混在し、やや内側においてはFeが多いという状況で
ある。また、このFeは図2に示すように、酸素と結び
ついた酸化鉄(Fe2 3 あるいはFeO)ではなく、
鉄そのものとして存在するFeがほとんどを占めてお
り、溶出は避けられない。
【0009】ところが、清浄化処理後に酸化性雰囲気中
で加熱処理することにより100Å以上の厚さの酸化被
膜が形成され、図3に示すように、表層部には安定な鉄
酸化物(Fe2 3)が多くなり、溶出速度は小さくな
る。
【0010】また、清浄化処理後に加熱処理して表面に
酸化被膜を形成し、次いでこの酸化被膜を溶解除去する
ことにより、図4に示すように、表層部のFeが選択的
に溶解し、Fe成分に変わって不動態化しやすいCr成
分が多くなるので、一層溶出しにくくなる。特に、超純
水中の溶存酸素濃度が数ppb以下で使用される場合
は、鉄酸化物よりもCr酸化物からなる酸化被膜の方が
安定で適している。
【0011】加熱処理条件としては、加熱温度が350
℃未満では酸化被膜の厚みが不十分であり、450℃を
超えると酸化被膜が過度に厚くなると同時に脆くなる。
同様に、加熱時間が5分より短いと、酸化被膜の形成が
不十分であり、加熱時間が2時間より長くなると、酸化
被膜が過度に厚くなるとともに、その厚みが不均一にな
る。
【0012】Cr含有量については、13Crの低Cr
鋼では部分的にマルテンサイト変態を起こし、Cr含有
量が16重量%より少ないと耐食性が低下する。一方、
Cr含有量が32重量%より多くなると、脆化による加
工性の低下が生じる。
【0013】
【実施例】試料としては、Cr22重量%の高純度フェ
ライト系ステンレス鋼を用いて、清浄化処理(電解研
磨)のみを行ったもの(比較例)と、同ステンレス鋼を
電解研磨後に大気雰囲気で加熱処理したもの(実施例
1)と、Cr含有量が16、17、19、22、30重
量%の各種フェライト系ステンレス鋼を用いて電解研磨
後に大気雰囲気で加熱処理して表面に酸化被膜を形成
し、次いでこの酸化被膜を溶解除去したもの(実施例
2)について、それぞれ超純水への金属イオンの溶出量
の測定を行ったので、その処理条件ならびに金属イオン
の溶出量の測定結果について順次説明する。
【0014】(1) 処理条件 電解研磨は、リン酸:硫酸=2:1の混合比率の酸
を主成分とする電解液を用いた。 加熱条件は、400℃×1時間とした。 酸化被膜の溶解除去手段は、0.1Nの塩酸中に1
5分間浸漬する方法を採用した。
【0015】(2) 金属イオンの溶出量の測定 25mm×45mm×2mmの大きさの試片に上記処理を施し
た各ステンレス鋼を所定量の超純水に浸漬して80℃で
金属イオンの溶出試験を行った。その試験方法として
は、試験を開始して1日後に超純水を更新し、2日目か
ら7日目または2日目から6日目までの間に試験片から
超純水に溶出したFe、Cr、NiおよびMnの金属イ
オン量をICP−MS(高周波誘導結合プラズマ質量分
析法)で測定するという方法を行った。その結果を以下
の表1に示す。表1における単位は(ng/m2 ・日)
であり、日数の欄に記号Aとあるのは、2日目から7日
目までの間に溶出した量の測定データを示し、記号Bと
あるのは、2日目から6日目までの間に溶出した量の測
定データを示す。
【0016】なお、表1において、試片No(11)、(12)
はCr19重量%、試片No(13)、(14)はCr30重量
%、試片No(15)、(16)はCr17重量%、試片No(1
7)、(18)はCr16重量%、その他の試片はCr22重
量%の各種フェライト系ステンレス鋼を用いて溶出試験
をした測定データである。
【0017】
【表1】
【0018】上記表1に明らかなように、本実施例に係
るものは、Fe、Cr、NiおよびMnのすべての金属
イオンの溶出がまったくないか、または金属イオンの溶
出が認められた試片でも、その溶出量は比較例のものに
比べて極めて少ない。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、Fe、Cr、Niおよ
びMnを含む全金属イオンの溶出量、特にNi、Mnの
溶出量の極めて少ないステンレス鋼の製造方法を提供す
ることができるので、本発明方法で処理したステンレス
鋼は純水装置、半導体製造装置、医薬品製造装置等の金
属イオンの溶出量の制限が極めて厳しい機器、配管類等
の材料として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フェライト系ステンレス鋼を電解研磨した後の
厚み方向の原子濃度(%)を示す図である。
【図2】フェライト系ステンレス鋼を電解研磨した後の
厚み方向のFeの原子価状態を示す図である。
【図3】フェライト系ステンレス鋼を電解研磨した後、
大気雰囲気で加熱処理したものの厚み方向のFeの原子
価状態を示す図である。
【図4】フェライト系ステンレス鋼を電解研磨した後、
大気雰囲気で加熱処理して表面に酸化被膜を形成し、そ
の後にこの酸化被膜を溶解除去したものの厚み方向の原
子濃度(%)を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Crを16〜32重量%含有するフェラ
    イト系ステンレス鋼を清浄化処理した後、酸化性雰囲気
    中で加熱処理することを特徴とするステンレス鋼の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 Crを16〜32重量%含有するフェラ
    イト系ステンレス鋼を清浄化処理した後、酸化性雰囲気
    中で加熱処理して表面に酸化被膜を形成し、その後にこ
    の酸化被膜を溶解除去することを特徴とするステンレス
    鋼の製造方法。
JP10575595A 1995-04-28 1995-04-28 ステンレス鋼の製造方法 Pending JPH08296027A (ja)

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