JPH08288444A - リードフレーム製造方法 - Google Patents

リードフレーム製造方法

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JPH08288444A
JPH08288444A JP8097624A JP9762496A JPH08288444A JP H08288444 A JPH08288444 A JP H08288444A JP 8097624 A JP8097624 A JP 8097624A JP 9762496 A JP9762496 A JP 9762496A JP H08288444 A JPH08288444 A JP H08288444A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 改善されたリードフレーム製造方法を提供
すること。 【解決手段】 リードフレームにオーバーフローメッ
キを施してメッキ層を形成する過程と、メッキ層に再結
晶を起きさせるべく所定の温度でメッキされたリードフ
レームを加熱する過程とを含むことを特徴とするリード
フレーム製造方法を提供する。これによって、メッキ層
に形成された気泡が除去され点腐食が効果的に抑制され
るとともに、リードフレームの耐腐食性及び電気伝導度
が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリードフレーム製造
方法に係る。より詳細には、熱処理により改善されたメ
ッキ組織を有するリードフレームの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、リードフレーム製造工程では、
まず、薄板状のリードフレーム材料をスタンピング工程
(プレス工程)またはエッチング工程によりリードフレ
ーム形状に加工する。リードフレーム材料としては、主
に銅合金またはニッケル合金などが用いられる。
【0003】リードフレーム形状に加工された材料(こ
れをリードフレームと呼ぶこともある)に、ニッケルの
ような金属でオーバーフローメッキを施し、更にその上
にパラジウム(Pd)やパラジウム−ニッケル(Pd−
Ni)合金などを用いてオーバーフローメッキを行うこ
とによって完成されたリードフレームが得られる。
【0004】このようなリードフレームのメッキ方法
は、電解方式と無電解方式とに分けられるが、主に電解
方式を用いた電解メッキ法が用いられる。
【0005】電解メッキ法では、溶液中に被メッキ物体
(この場合はリードフレーム)を浸漬し、それが陰極と
なるように電圧を印加することによって、溶液中に溶け
ている金属が被メッキ物体の表面に析出するようにす
る。金属陽イオンが被メッキ物体の表面で電子を受けと
り析出するとき、核を中心として析出する。このような
核は、製品の形状、電流密度分布及び溶液中に溶けてい
る金属陽イオンの濃度分布に応じて不均一に生じ得る。
核を中心とした金属の成長速度は、核のまわりの隣接し
た地点に核が生成される速度より速い。このような現象
は、メッキ層に対するX線回折分析結果によりメッキ層
が一定した結晶配向性を示すことからわかる。
【0006】このようなメッキ構造では、メッキ層の核
と核の間に気体或いは気泡が混入し得る。気泡がある
と、腐食を促進する例えは塩素イオン(Cl- )のよう
なイオンが気泡を通して容易に浸入する。実際、42%
のNiと少量の他の元素を含むNi−Fe合金である合
金42からなるリードフレームに上記のようなメッキを
施した後塩水噴霧試験を行うと、2〜3時間の内にメッ
キされた面の全体に気泡形成部を中心として点腐食が発
生する。
【0007】点腐食が過度に発生すると、リードフレー
ムが著しく腐食し、電気伝導度が低下して、リードフレ
ームの特性は大幅に劣化する。また、メッキ物質である
パラジウムは高い反応性を有しているため、メッキ液か
ら流入する水素イオンにより脆性が誘発されてメッキ面
が脆くなることもある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記したよう
な問題点を解決するために案出されたものであり、本発
明の主な目的は、有害ガス成分が除去され、気泡の数が
できるだけ少なくなるようなリードフレーム製造方法を
提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明によると、リードフレームにオーバーフロー
メッキを施してメッキ層を形成する過程と、前記メッキ
層に再結晶を生じさせるべく所定温度で前記メッキされ
たリードフレームを加熱する過程とを含むことを特徴と
するリードフレーム製造方法が提供される。
【0010】前記加熱過程は、加熱温度450〜800
℃、加熱時間30〜160秒で行われることが好まし
い。また、前記加熱過程は、窒素、水素、アルゴン、ヘ
リウムの中の少なくとも何れか一つを含むガス雰囲気で
行われることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】まず、従来と同様に薄板素材(例えば合金
42)をプレスまたはエッチングすることによってリー
ドフレームを用意し、外部電源に接続してパラジウムま
たはパラジウム合金によるオーバーフローメッキを行
う。このようにメッキされたリードフレームに対し本発
明の特徴である熱処理工程を施す。
【0013】通常、金属を所定温度以上に加熱すると、
金属内に形成された気泡が排気され、結晶の回復現象が
起こる。このような現象を再結晶という。従って、再結
晶が起こるように熱処理を施すことによって、オーバー
フローメッキされたリードフレームのメッキ層に形成さ
れた気泡の数を減らすことができる。通常、金属の再結
晶が起こる温度(再結晶温度)は、その金属の融点の概
ね0.3倍乃至0.6倍である。ニッケルの場合は、融
点は1455℃であり、再結晶温度は245〜764℃
である。
【0014】熱処理工程は、メッキされたリードフレー
ムを炉に供給する過程と、再結晶が起こる温度でリード
フレームを所定時間加熱する過程と、加熱の終了したリ
ードフレームを冷却する過程と、冷却の終わったリード
フレームを炉から取り出す過程とを含む。
【0015】通常、製品化されたリードフレームはリー
ルに巻かれ連続処理可能であるため、上記のリードフレ
ームを炉に供給する過程では、リードフレームを一定の
速度で炉に送り込むようにすることができる。更に、リ
ードフレームの供給速度を調節することによって熱処理
時間を制御することもできる。
【0016】熱処理時、高温の雰囲気中でリードフレー
ムのメッキ層が酸素と結合して酸化するのを防止するた
め、熱処理炉の内部には、窒素、水素、アルゴン及びヘ
リウムの中の少なくとも何れか一つを含むガスが注入さ
れていることが好ましい。前記冷却過程では、再結晶が
起きたリードフレームの強度を考慮して冷媒及び冷却速
度が適切に調節される。
【0017】
【実施例】再結晶が起きるように熱処理されたリードフ
レームと、熱処理されないリードフレームの気泡の数を
比較するため、試料1及び試料2(後に詳述)を製造
し、再結晶が起きるように熱処理を施した後、塩水沈漬
試験を行った。塩水沈漬試験では、試料1及び試料2を
20℃、5wt%の塩水に96時間(4日間)沈漬した
後、15×25mm2のメッキ部位に発生した点腐食の数
を数え、それを熱処理を行わない試料と比較した。点腐
食の数は気泡の数に比例する。
【0018】試料1及び試料2は、0.203mmの厚さ
の合金42よりなるリードフレームの表面に通常の脱脂
及び活性化処理を行った後、それぞれ以下のようにオー
バーフローメッキを行うことによって製造した。
【0019】試料1は、リードフレームに常用ニッケル
メッキ液であるSOFNAL(登録商標)を用いて約
1.5μmの厚さにニッケルメッキを施した後、その上
に常用パラジウム溶液であるALPADIN−100
(登録商標)を用いて約0.2μmの厚さにパラジウム
メッキを行うことによって製造した。製造した試料1は
3つの加熱温度条件即ち、450℃(試料1B)、60
0℃(試料1C)及び800℃(試料1D)で90秒間
熱処理した。
【0020】試料2は、リードフレームに常用ニッケル
メッキ液であるSOFNAL(登録商標)を用いて約
1.5μmの厚さにニッケルメッキを施した後、その上
に常用パラジウム合金溶液であるPALLAGOLD
(登録商標)を用いて約0.2μmの厚さにPd−Au
合金メッキを行うことによって製造した。試料2も試料
1と同様に3つの加熱温度条件、即ち、450℃(試料
2B)、600℃(試料2C)及び800℃(試料2
D)で90秒間熱処理した。
【0021】測定データを試料1について表1に、試料
2について表2に示す。これらの表に於いて、試料番号
1A及び2Aは、それぞれ熱処理された試料1B、1
C、1D及び2B、2C、2Dと比較するための対照例
である。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】実験結果を見ると、本発明による熱処理工
程を施した試料1B、1C、1D及び2B、2C、2D
では、発生した点腐食の数が熱処理しない試料に比べて
著しく減っていることがわかる。前記表によると、熱処
理条件として、加熱温度450〜800℃、加熱時間9
0秒が望ましいことがわかるが、加熱時間は30〜16
0秒でもよい。
【0025】
【発明の効果】本発明によると、オーバーフローメッキ
されたリードフレームに熱処理を施し再結晶が起きるよ
うにすることによって、メッキ層に形成された気泡を除
去し点腐食を大幅に減らすことができる。また、メッキ
時にメッキ液から流入した水素などの耐腐食性を低下さ
せるガス成分も取り除くことができる。それによって、
耐腐食性が向上し、リードフレームの電気伝導度も向上
する。
【0026】更に、熱処理によりリードフレームの延性
が向上し、リードフレームの局部のクラックの発生が抑
制される。
【0027】上記の説明は例示に過ぎず、当業者であれ
ば、多様な変形及び実質的に等価な他実施例が可能であ
ろう。従って、本発明の真の保護対象範囲は特許請求の
範囲に記載された技術的思想によるべきである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リードフレームにオーバーフローメッ
    キを施してメッキ層を形成する過程と、 前記メッキ層に再結晶を起させるべく所定温度で前記メ
    ッキされたリードフレームを加熱する過程とを含むこと
    を特徴とするリードフレーム製造方法。
  2. 【請求項2】 前記所定温度が450〜800℃であ
    ることを特徴とする請求項1に記載のリードフレーム製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記加熱過程が30〜120秒間行わ
    れることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の
    リードフレーム製造方法。
  4. 【請求項4】 前記加熱過程が90秒間行われること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載のリードフ
    レーム製造方法。
  5. 【請求項5】 前記加熱過程が窒素、水素、アルゴ
    ン、ヘリウムのうち少なくとも一つを含むガス雰囲気で
    行われることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいず
    れかに記載のリードフレーム製造方法。
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